JP3647266B2 - 超電導マグネット装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は超電導マグネット装置にかかるもので、とくに冷媒として液体ヘリウムを用いないタイプの超電導マグネット装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の、とくに超電導コイルを真空中においてGM冷凍機(ギフォード・マクマホン冷凍機)などにより冷却し、冷媒として液体ヘリウムを用いる必要がないタイプの超電導マグネット装置(いわゆる、ヘリウムフリーの超電導マグネット装置)については、その超電導コイルと外部の磁性体との間に強い磁気力が作用する場合に、超電導コイルの断熱支持構造が重要となる。
すなわち、超電導マグネット装置本体の重量および外部との間に働く磁気力を支持するための部材としては、機械的強度のほかに、熱侵入量の低さが要求される。
【0003】
図4は、従来のヘリウムフリーの超電導マグネット装置1の概略断面図であって、超電導マグネット装置1は、最外層の真空容器2と、GM冷凍機3と、円筒状の熱シールド板4と、上部支持部5と、下部支持部6と、コイル巻枠7および超電導コイル8と、を有し、その軸方向中央には円柱状の室温磁場空間9(室温ボア)を形成している。
【0004】
真空容器2は、その上部フランジ10にGM冷凍機3および上部支持部5を設け、その下部フランジ11に下部支持部6を設けているとともに、その容器ボア内筒12内を上記室温磁場空間9としている。
【0005】
GM冷凍機3は、その第一段冷却ステージ3Aを熱シールド板4の上部フランジ13に熱的に接続するとともに、その第二段冷却ステージ3Bをコイル巻枠7の巻枠支持板14に熱的に接続している。
【0006】
熱シールド板4は、第二段冷却ステージ3B、超電導コイル8および第2の中空ロッド17部分、さらに第3の中空ロッド18の一部を収容するとともに、その上部フランジ13を上部支持部5により支持し、その下部フランジ15を下部支持部6により支持している。
【0007】
すなわち、上部支持部5は、荷重支持体としてたとえばFRP製(繊維強化プラスチック製)の第1の中空ロッド16および第2の中空ロッド17を有し、第1の中空ロッド16は上部フランジ10の円周方向に等角度間隔で、たとえばその3本を取り付け、熱シールド板4の上部フランジ13を支持する。
第2の中空ロッド17は、上部フランジ13の円周方向に等角度間隔で、たとえばその3本を取り付け、巻枠支持板14を支持する。
【0008】
また下部支持部6は、真空容器2の下部フランジ11において固定支持した、たとえばFRP製の第3の中空ロッド18(荷重支持体)を有し、第3の中空ロッド18は下部フランジ11の円周方向に等角度間隔で、たとえばその3本を取り付けるとともに、熱シールド板4の下部フランジ15を支持し、さらに取付け片19を介してコイル巻枠7を支持している。
【0009】
なお、熱シールド板4のシールド板内筒20は、真空容器2の容器ボア内筒12の内側に位置している。
【0010】
こうした構成の超電導マグネット装置1において、真空容器2および熱シールド板4により外部からの輻射熱による侵入熱を抑制するとともに、GM冷凍機3の第一段冷却ステージ3A(温度60Kレベル)、および第二段冷却ステージ3B(温度4Kレベル)による熱シールド板4および超電導コイル8の冷却作用を行う。
【0011】
上部支持部5および下部支持部6により熱シールド板4、巻枠7および超電導コイル8を支持しているので、超電導マグネット装置1の軸方向の強度保持については十分であるが、超電導マグネット装置1の使用目的のひとつとして、室温磁場空間9内に置いた強磁性体Mに磁場をかけて、これに着磁するというものがある。
このように室温磁場空間9の磁場中に強磁性体Mを置いた場合には、その強磁性体Mと超電導マグネット装置1の本体(超電導コイル8)との間に強力な磁気力が発生する。
【0012】
この磁気力の方向および大きさは、強磁性体Mの形状、および超電導コイル8との相対位置関係などによって決まるものである。
たとえば、ソレノイド型の超電導マグネット装置1の室温磁場空間9に直方体型の強磁性体Mを置いた場合には、互いの中心位置と中心軸とが一致していれば、対称性から両者の間に働く磁気力はゼロとなるが、中心が径方向にズレを生じると両者間には吸引力が作用する。
かくして、引きつけ合う磁気力によって強磁性体Mあるいは超電導コイル8の支持体(コイル巻枠7、巻枠支持板14、上部支持部5および下部支持部6など)に変形が生じ、その結果、両者が互いに近づけられた場合、磁気力はより強くなる。
また、強磁性体Mの形状が非対称である場合は、自ずと磁気力が働くことになり、その非対称性が大きければ大きいほど、超電導コイル8との間に作用する磁気力は大きくなる。
【0013】
したがって、強磁性体Mおよび超電導マグネット装置1(超電導コイル8)ともに、考え得る磁気力の作用時においても変形を生じないように径方向に対しても十分な剛性を有するもので保持する必要がある。
【0014】
しかしながら、上部支持部5および下部支持部6における3本ないしはそれ以上のFRP円筒体(第1の中空ロッド16、第2の中空ロッド17、第3の中空ロッド18)による荷重支持構造では、径方向の荷重に対しては、中空ロッド16、17、18の断面積を大きくする必要があり、それに応じて、熱侵入の増加を引き起こし、超電導マグネット装置1全体としての機能を発揮することが不可能になってしまうという問題がある。
【0015】
なお図5は、液体ヘリウムを使用する従来の他の超電導マグネット装置の支持構造21を示す概略断面図であって、この支持構造21においては、真空容器2内の支持体22(荷重支持体)が、ヘリウム容器23を支持している。
【0016】
こうした構成の支持構造21においても、上述のような磁気力の働く方向が不確定であるために、全方向における荷重を支持可能とする必要があるので、支持体22は強大なものとなって、熱侵入量の大幅な増加は避けられないという問題がある。
また、この支持構造21では横方向の支持体22の長さを確保するために、装置全体が横方向に大きくなってしまい、この支持構造21のままをヘリウムフリータイプの超電導マグネット装置1に応用しても、ヘリウムフリータイプとしたときの利点である、装置の小型化を相殺してしまうという問題がある。
またこのような支持体22は、その組み立て時の位置決めに相当の作用を要し、コストの増大を引き起こすという問題がある。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は以上のような諸問題にかんがみなされたもので、超電導コイルの断熱性、および縦方向(軸方向)とともに横方向(径方向)における耐荷重性を向上させた超電導マグネット装置を提供することを課題とする。
【0018】
また本発明は、室温磁場空間中に置いた強磁性体と超電導コイルとの間の磁気力が大きくなっても十分な機械的支持強度を保有可能な超電導マグネット装置を提供することを課題とする。
【0019】
また本発明は、横方向耐荷重性の方向依存性をなくすことができる超電導マグネット装置を提供することを課題とする。
【0020】
また本発明は、荷重支持体の位置決め作業を容易にするとともに、装置全体を小型化可能な超電導マグネット装置を提供することを課題とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、コイル巻枠ないし超電導コイルと同じ内径を有するふたつのGFRP製(ガラス繊維強化プラスチック製)の中空円筒体をコイル巻枠ないし超電導コイルの両端部に同心になるように配置すること、コイル巻枠ないし超電導コイルの両端部と真空容器とを接続し、荷重支持体とすることに着目したもので、真空容器と、この真空容器内に設けるとともに冷凍機により冷却可能とした超電導コイルと、この超電導コイルを巻いたコイル巻枠と、を有する超電導マグネット装置であって、上記コイル巻枠と同じ内径を有するガラス繊維強化プラスチック製の中空円筒状の荷重支持体を該コイル巻枠の両端部に、上記超電導コイルと同心的に配置し、この荷重支持体を介して上記コイル巻枠を上記真空容器に取り付けたことを特徴とする超電導マグネット装置である。
【0022】
上記荷重支持体は、中間取付け部において第1の荷重支持体および第2の荷重支持体にこれを二分割し、その分割部に銅その他の金属製の熱アンカーを熱的に接触させて設け、この熱アンカーを上記冷凍機の冷却ステージに熱的に接続することができる。
【0023】
上記熱アンカーと上記冷凍機の上記冷却ステージとの間の伝熱手段として、熱応力の防止機能を備えた伝熱コンタクトバネを設けることができる。
【0024】
上記荷重支持体および上記真空容器は、その一方の取付け部においては互いに機械的に強固に固定し、他方の取付け部においては、互いに軸方向には移動可能としてあることができる。
【0025】
上記コイル巻枠と上記真空容器との間に熱シールド板を設け、上記コイル巻枠と上記真空容器の容器ボア内筒との間に位置するこの熱シールド板のシールド板ボア内筒は、その一端部を上記熱アンカーのうちのいずれか一方に機械的および熱的に強固に固定するとともに、この熱シールド板の他端部を、上記熱アンカーの他方に熱的に、および径方向には固定し、軸方向には移動可能としてあることができる。
【0026】
本発明による超電導マグネット装置においては、GFRP製(ガラス繊維強化プラスチック製)の中空円筒体などによる荷重支持体により超電導コイルおよびコイル巻枠を支持するようにしたので、その軸方向の荷重を支え得るとともに、室温磁場空間に置いた強磁性体との磁気力の相互作用による径方向の荷重に対して十分な耐荷重性を有することができる。
【0027】
たとえば、荷重支持体とコイル巻枠とをはめ込み、ピン止めなどにより機械的に強固に固定する。
荷重支持体と真空容器との取付け構造については、一方はコイル巻枠との取付け構造と同様に機械的に強固に固定するが、他方の取付け構造は、軸方向に移動することが可能なようにはめ込みのみとすることができる。かくして、超電導コイル、コイル巻枠および荷重支持体が冷却された場合の熱収縮による歪みを防止可能である。
【0028】
また、荷重支持体を中間取付け部で二分割し、その分割部に金属製リングなどによる熱アンカーを設け、冷凍機の冷却ステージ、あるいはこの冷却ステージにより冷却する熱シールド板に熱的に接続することにより、冷却ステージによる冷却作用によって熱シールド板とともに荷重支持体を冷却し、荷重支持体を介した侵入熱量を抑制可能である。
【0029】
なお真空容器とコイル巻枠との間に設置する熱シールド板は、その一端を熱アンカーの一方にハンダ付けやピン止めなどにより機械的および熱的に強固に固定し、熱シールド板の他端を熱アンカーに接続はするが、熱的および径方向には固定し、軸方向には自由度を持たせた構造として、熱シールド板が冷却された場合の熱収縮による歪みを防止可能である。
【0030】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明の実施の形態による超電導マグネット装置30を図1ないし図3にもとづき説明する。ただし、図4および図5と同様の部分には同一符号を付し、その詳述はこれを省略する。
図1は、超電導マグネット装置30の軸方向に沿った断面図であって、その断面部分の一側(左側)のみを示す。超電導マグネット装置30は、超電導マグネット装置1(図4)と同様に、前記真空容器2、GM冷凍機3、熱シールド板4、コイル巻枠7および超電導コイル8、を有し、その軸方向中央には前記円柱状の室温磁場空間9を形成している。当該超電導マグネット装置30は、その荷重支持構造31として、上部支持部32および下部支持部33を有する。
【0031】
上部支持部32は、第1の上部荷重支持体34および第2の上部荷重支持体35を有し、真空容器2の上部フランジ10との間の上部取付け部36と、第1の上部荷重支持体34および第2の上部荷重支持体35の間の中間取付け部37と、コイル巻枠7との間の巻枠上部取付け部38と、を構成している。
【0032】
下部支持部33は、第1の下部荷重支持体39および第2の下部荷重支持体40を有し、真空容器2の下部フランジ11との間の下部取付け部41と、第1の下部荷重支持体39および第2の下部荷重支持体40の間の中間取付け部42と、コイル巻枠7との間の巻枠下部取付け部43と、を構成している。
【0033】
図2は、上部支持部32の要部拡大断面図であって、第1の上部荷重支持体34および第2の上部荷重支持体35は、中空円筒状のGFRP製(ガラス繊維強化プラスチック製)であるとともに、互いに同径、同長、かつコイル巻枠7(超電導コイル8)と同心、さらにコイル巻枠7と同じ内径を有する。
【0034】
上部取付け部36においては、径方向固定リング44および軸方向固定金具45により第1の上部荷重支持体34の上部を真空容器2の上部フランジ10に強固に固定する。軸方向固定具45は、単一のリング部材ではなく、いくつかの部分に分割されており、第1の上部荷重支持体34の側面にある段差を押して、上部フランジ10に第1の上部荷重支持体34の端部を押し付けている。
【0035】
中間取付け部37は、第1の上部荷重支持体34および第2の上部荷重支持体35の分離部分(分割部分)に位置しており、中間取付け部37には、熱アンカーリング46(熱アンカー)と、上下一対の荷重支持体押さえリング47と、伝熱コンタクトバネ48と、熱シールド板固定リング49と、を設けてある。
【0036】
熱アンカーリング46は、銅、鋼その他の金属製であって、第1の上部荷重支持体34および第2の上部荷重支持体35さらにシールド板内筒20に熱接触しているとともに、ステンレス製の上下一対の荷重支持体押さえリング47により第1の上部荷重支持体34および第2の上部荷重支持体35の間にこれを介在させて固定し、第1の上部荷重支持体34および第2の上部荷重支持体35と熱アンカーリング46との機械的拘束状態をより強固なものとしてある。
なお上下一対の荷重支持体押さえリング47は、第1の上部荷重支持体34のテーパー面34Aおよび第2の上部荷重支持体35のテーパー面35Aに当接しており、軸方向および径方向の固定状態を確実にしている。
【0037】
熱シールド板4の上部フランジ13に熱シールド板固定リング49を固定し、金メッキした銅製の伝熱コンタクトバネ48を熱シールド板固定リング49と荷重支持体押さえリング47との間に介在させることにより、軸方向の拘束を行うとともに、上部フランジ13と熱アンカーリング46との熱的な接続を行っている。
【0038】
巻枠上部取付け部38において、コイル巻枠7の段部に第2の上部荷重支持体35の下端部を挿入するとともに、金属製のピン50により軸方向に固定している。
【0039】
図3は、下部支持部33の要部拡大断面図であって、第1の下部荷重支持体39および第2の下部荷重支持体40は、図2の第1の上部荷重支持体34および第2の上部荷重支持体35と同じく、中空円筒状のGFRP製(ガラス繊維強化プラスチック製)であるとともに、互いに同径、同長、かつコイル巻枠7(超電導コイル8)と同心、さらにコイル巻枠7と同じ内径を有する。
【0040】
下部取付け部41においては、径方向固定リング51により第2の下部荷重支持体40の下部を真空容器2の下部フランジ11に、軸方向には自由度を持たせるとともに径方向には拘束するように固定する。
【0041】
径方向固定リング51には気体流路52を貫通形成し、容器ボア内筒12と、第1の上部荷重支持体34、シールド板内筒20および第2の下部荷重支持体40との間に囲まれた容器内空間53を真空排気可能としている。
なお、シールド板内筒20には、上下二箇所に貫通孔54を形成し、シールド板内筒20と、第2の上部荷重支持体35、コイル巻枠7および第1の下部荷重支持体39との間に囲まれたシールド板内空間55を容器内空間53に連通可能とし、これを真空排気可能としている。
【0042】
中間取付け部42は、第1の下部荷重支持体39および第2の下部荷重支持体40の分離部分(分割部分)に位置しており、中間取付け部42には、中間取付け部37と同様に、熱アンカーリング46(熱アンカー)と、上下一対の荷重支持体押さえリング47と、伝熱コンタクトバネ48と、熱シールド板外筒下部板56と、を設けてある。
【0043】
熱アンカーリング46は、中間取付け部37と同様に、第1の下部荷重支持体39および第2の下部荷重支持体40さらにシールド板内筒20に熱接触しているとともに、ステンレス製の上下一対の荷重支持体押さえリング47により第1の下部荷重支持体39および第2の下部荷重支持体40の間にこれを介在させて固定し、第1の下部荷重支持体39および第2の下部荷重支持体40と熱アンカーリング46との機械的拘束状態をより強固なものとしてある。
なお上下一対の荷重支持体押さえリング47は、第1の下部荷重支持体39のテーパー面39Aおよび第2の下部荷重支持体40のテーパー面40Aに当接しており、軸方向および径方向の固定状態を確実にしている。
【0044】
熱シールド板4の下部フランジ15に熱シールド板外筒下部板56を固定し、金メッキした銅製の伝熱コンタクトバネ48を熱シールド板外筒下部板56と荷重支持体押さえリング47との間に介在させることにより、軸方向の拘束を行うとともに、下部フランジ15と熱アンカーリング46との熱的な接続を行っている。
【0045】
巻枠下部取付け部43において、巻枠上部取付け部38と同様に、コイル巻枠7の段部に第1の下部荷重支持体39の上端部を挿入するとともに、金属製のピン50により軸方向に固定している。
【0046】
さらに、図1および図2に仮想線で示すように、GM冷凍機3の第一段冷却ステージ3Aを熱シールド板4の上部フランジ13に熱的に接触させ、第二段冷却ステージ3Bをコイル巻枠7の巻枠支持板14に熱的に接触させてある。
したがって、超電導コイル8および保護ダイオードなどの部品(図示せず)をとりまく形で設置してある熱シールド板4の上部フランジ13が、熱シールド板固定リング49および伝熱コンタクトバネ48を介して熱アンカーリング46に熱的に接触されていることになる。
【0047】
またシールド板内筒20の上端部は、中間取付け部37における熱アンカーリング46にハンダ付けあるいは接着により、熱的および機械的に固定されており、その下端部は、中間取付け部42における熱アンカーリング46に軸方向に移動可能に、はめ込まれている。
【0048】
こうした構成の超電導マグネット装置30および荷重支持構造31においては、超電導コイル8が鉛直方向に設置された場合には、超電導コイル8は、上部支持部32の第1の上部荷重支持体34および第2の上部荷重支持体35により吊り下げられる状態であり、上下反転して設置された状態では第1の上部荷重支持体34および第2の上部荷重支持体35(このときは下側に位置している)の上に載置された状態となる。
【0049】
また、超電導コイル8が横向きの状態では、上部支持部32の第1の上部荷重支持体34および第2の上部荷重支持体35、さらに下部支持部33の第1の下部荷重支持体39および第2の下部荷重支持体40による両持ち梁の状態で支持されることになる。
【0050】
さらに、超電導コイル8が上述の三方向以外の斜めの状態であっても、上部支持部32の第1の上部荷重支持体34および第2の上部荷重支持体35、さらに下部支持部33の第1の下部荷重支持体39および第2の下部荷重支持体40のそれぞれの引っ張り作用および圧縮作用による支持機能および両持ち梁の組み合わせにより超電導コイル8の重量が支持されることになる。
【0051】
第1の上部荷重支持体34、第2の上部荷重支持体35、第1の下部荷重支持体39および第2の下部荷重支持体40は回転対称体であるので、超電導コイル8と、室温磁場空間9に置かれた強磁性体Mとの間に働く磁気力に対しては径方向のあらゆる方向の力を支持することができ、両者が任意の相対位置関係にあつときでも、耐荷重性能を発揮可能である。
なお磁気力は、第1の上部荷重支持体34、第2の上部荷重支持体35、第1の下部荷重支持体39および第2の下部荷重支持体40を通して真空容器2に伝えられるので、室温磁場空間9内の強磁性体Mの支持構造物(図示せず)と真空容器2の荷重支持構造31を磁気力に耐え得るようにその強度を設計する必要がある。
【0052】
超電導コイル8のコイル巻枠7と同内径の第1の上部荷重支持体34、第2の上部荷重支持体35、第1の下部荷重支持体39および第2の下部荷重支持体40の中間取付け部37および中間取付け部42においては、ここに設けられた熱アンカーリング46を介してGM冷凍機3の第一段冷却ステージ3Aにより冷却され、熱伝導による超電導コイル8への侵入熱量を低く抑えている。
【0053】
また、第1の上部荷重支持体34、第2の上部荷重支持体35、第1の下部荷重支持体39および第2の下部荷重支持体40の真空容器2への取付け構造のうち、一方の端部(下部支持部33における下部取付け部41および中間取付け部42)を軸方向に自由度を持たせてあることにより、コイル巻枠7や超電導コイル8、第1の上部荷重支持体34、第2の上部荷重支持体35、第1の下部荷重支持体39および第2の下部荷重支持体40の熱収縮による変形を吸収して超電導マグネット装置30を構成する各部材に熱応力が発生することを防止している。
【0054】
さらに、熱シールド板4の固定についても、荷重支持体34、35、39、40の取付け構造と同様に、その一方の端部(下部支持部33におけるシールド板内筒20と熱アンカーリング46との間、および伝熱コンタクトバネ48と熱シールド板外筒下部板56との間)を軸方向に自由度を持たせてあることにより、熱シールド板4の熱収縮による熱応力の発生を防止している。
【0055】
本発明による超電導マグネット装置30の荷重支持構造31、および従来の超電導マグネット装置1(図4)について、その機械的強度および侵入熱の具体的な数値を例示する。
本発明における荷重支持体34、35、39、40の内径を474mm、肉厚を2mmとし、FRP材の弾性係数を2415Kg/cm2、温度300Kから60Kまでの熱伝導積分値を1.32×10-1、温度60Kから4Kまでの熱伝導積分値を1.24×10-1とし、その1本にかかる設計荷重を3000Kgfとすると、荷重支持体の最大たわみは、0.05mmである。
また、室温(300K)からGM冷凍機3の第一段冷却ステージ3A(60K)への侵入熱量は、5.64Wであり、第一段冷却ステージ3Aから第二段冷却ステージ3B(4K)への侵入熱は、0.25Wである。
【0056】
一方、図4に示した従来の超電導マグネット装置1における荷重支持体(中空ロッド16、17、18)の内径を46mm、肉厚を2mmとして、最大たわみが、たとえば1.0mm以下となるようにするには、1本あたりの荷重を60Kgfにする必要があるので、上述のように設計荷重3000Kgfを支持するためには、単純計算で50本の中空ロッドが必要となる。
ここで、たとえば温度300Kから60Kまでの第1の中空ロッド16の長さを70mm、温度60Kから4Kまでの第2の中空ロッド17の長さを150mm、長さ計220mmとすると、中空ロッド1本あたりの侵入熱量は、温度300Kから60Kまでは0.57W、温度60Kから4Kまでは0.025Wであり、中空ロッドが50本として侵入熱量の合計は、温度300Kから60Kまでは28.5W、温度60Kから4Kまでは1.25Wとなって、本発明の荷重支持体に比較して、たわみが大きいにもかかわらず、熱侵入量も大幅に増加することがわかる。
【0057】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、荷重支持体により超電導コイルないしコイル巻枠を支持するようにしたので、超電導マグネット装置の組み立て時においては従来の複数本の中空ロッドの場合に比較して、位置決めの作業量を大幅に削減することができる。
さらに、超電導コイルへの侵入熱量を大幅に増加させることなく、荷重支持体の許容荷重を向上させることができるとともに、横方向耐荷重の方向依存性をなくすことができ、かつ装置全体の小型化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による超電導マグネット装置30の軸方向に沿った断面図であって、その断面部分の一側(左側)のみを示す。
【図2】同、上部支持部32の要部拡大断面図である。
【図3】同、下部支持部33の要部拡大断面図である。
【図4】従来のヘリウムフリーの超電導マグネット装置1の概略断面図である。
【図5】液体ヘリウムを使用する従来の他の超電導マグネット装置の支持構造21を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 超電導マグネット装置(図4)
2 真空容器
3 GM冷凍機(ギフォード・マクマホン冷凍機)
3A GM冷凍機3の第一段冷却ステージ
3B GM冷凍機3の第二段冷却ステージ
4 円筒状の熱シールド板
5 上部支持部
6 下部支持部
7 コイル巻枠
8 超電導コイル
9 室温磁場空間(室温ボア)
10 真空容器2の上部フランジ
11 真空容器2の下部フランジ
12 真空容器2の容器ボア内筒
13 熱シールド板4の上部フランジ
14 コイル巻枠7の巻枠支持板
15 熱シールド板4の下部フランジ
16 FRP製(繊維強化プラスチック製)の第1の中空ロッド
17 FRP製(繊維強化プラスチック製)の第2の中空ロッド
18 FRP製(繊維強化プラスチック製)の第3の中空ロッド
19 取付け片
20 熱シールド板4のシールド板内筒
21 液体ヘリウムを使用する従来の超電導マグネット装置の支持構造(図5)
22 支持体
23 ヘリウム容器
30 超電導マグネット装置(実施の形態、図1)
31 超電導マグネット装置30の荷重支持構造
32 上部支持部
33 下部支持部
34 GFRP製(ガラス繊維強化プラスチック製)の第1の上部荷重支持体
34A 第1の上部荷重支持体34のテーパー面
35 GFRP製(ガラス繊維強化プラスチック製)の第2の上部荷重支持体
35A 第2の上部荷重支持体35のテーパー面
36 上部取付け部
37 中間取付け部
38 巻枠上部取付け部
39 GFRP製(ガラス繊維強化プラスチック製)の第1の下部荷重支持体
39A 第1の下部荷重支持体39のテーパー面
40 GFRP製(ガラス繊維強化プラスチック製)の第2の下部荷重支持体
40A 第2の下部荷重支持体40のテーパー面
41 下部取付け部
42 中間取付け部
43 巻枠下部取付け部
44 径方向固定リング
45 軸方向固定具
46 熱アンカーリング(熱アンカー)
47 上下一対の荷重支持体押さえリング
48 伝熱コンタクトバネ
49 熱シールド板固定リング
50 金属製のピン
51 径方向固定リング
52 気体流路
53 容器内空間
54 貫通孔
55 シールド板内空間
56 熱シールド板4の熱シールド板外筒下部板
M 室温磁場空間9に置く強磁性体

Claims (5)

  1. 真空容器と、
    この真空容器内に設けるとともに冷凍機により冷却可能とした超電導コイルと、
    この超電導コイルを巻いたコイル巻枠と、を有する超電導マグネット装置であって、
    前記コイル巻枠と同じ内径を有するガラス繊維強化プラスチック製の中空円筒状の荷重支持体を該コイル巻枠の両端部に、前記超電導コイルと同心的に配置し、
    この荷重支持体を介して前記コイル巻枠を前記真空容器に取り付けたことを特徴とする超電導マグネット装置。
  2. 前記荷重支持体は、中間取付け部において第1の荷重支持体および第2の荷重支持体にこれを二分割し、
    その分割部に金属製の熱アンカーを熱的に接触させて設け、
    この熱アンカーを前記冷凍機の冷却ステージに熱的に接続することを特徴とする請求項1記載の超電導マグネット装置。
  3. 前記熱アンカーと前記冷凍機の前記冷却ステージとの間の伝熱手段として、熱応力の防止機能を備えた伝熱コンタクトバネを設けたことを特徴とする請求項2記載の超電導マグネット装置。
  4. 前記荷重支持体および前記真空容器は、その一方の取付け部においては互いに機械的に強固に固定し、他方の取付け部においては、互いに軸方向には移動可能としてあることを特徴とする請求項1記載の超電導マグネット装置。
  5. 前記コイル巻枠と前記真空容器との間に熱シールド板を設け、
    前記コイル巻枠と前記真空容器の容器ボア内筒との間に位置するこの熱シールド板のシールド板ボア内筒は、その一端部を前記熱アンカーのうちのいずれか一方に機械的および熱的に強固に固定するとともに、
    この熱シールド板の他端部を、前記熱アンカーの他方に熱的に、および径方向には固定し、軸方向には移動可能としてあることを特徴とする請求項2記載の超電導マグネット装置。
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