JP2007051741A - クラッチ機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】クラッチの開放/係合の切り替えや係合状態の保持に必要な力を低減する。
【解決手段】電磁石12と可動部材24の間に、超弾性変形しながら回転部材14,16の中心軸方向に収縮可能な強磁性形状記憶合金製のばね26が設けられている。ばね26は、コイル形状を呈しており、超弾性変形する前の状態では、回転部材14,16の中心軸方向において強磁性形状記憶合金の部分26aと磁気的ギャップの部分26bとが交互に並んで配置されている。回転部材14,16を係合させるためにばね26が収縮するときには、電磁石12へ吸引された強磁性形状記憶合金の部分が、回転部材14,16の中心軸方向に磁気的ギャップを空けて近接する強磁性形状記憶合金の部分を吸引することで、電磁石12への吸引動作が連鎖的に行われる。
【選択図】図1
【解決手段】電磁石12と可動部材24の間に、超弾性変形しながら回転部材14,16の中心軸方向に収縮可能な強磁性形状記憶合金製のばね26が設けられている。ばね26は、コイル形状を呈しており、超弾性変形する前の状態では、回転部材14,16の中心軸方向において強磁性形状記憶合金の部分26aと磁気的ギャップの部分26bとが交互に並んで配置されている。回転部材14,16を係合させるためにばね26が収縮するときには、電磁石12へ吸引された強磁性形状記憶合金の部分が、回転部材14,16の中心軸方向に磁気的ギャップを空けて近接する強磁性形状記憶合金の部分を吸引することで、電磁石12への吸引動作が連鎖的に行われる。
【選択図】図1
Description
本発明は、第1回転部材と第2回転部材の開放/係合を切り替えることが可能なクラッチ機構に関し、特に、形状記憶合金や強磁性形状記憶合金(強磁性特性を示す形状記憶合金)を利用したクラッチ機構に関する。
形状記憶合金を利用したクラッチ機構の関連技術が下記特許文献1,2に開示されており、強磁性形状記憶合金を利用したクラッチ機構の関連技術が下記特許文献3に開示されている。特許文献1,2によるクラッチ機構は、摩擦力により動力伝達を行う摩擦クラッチであり、電磁コイルによりアーマチュア(強磁性体)に磁気吸引力を作用させてアーマチュアを駆動することで、摩擦クラッチを係合している。そして、アーマチュアに反吸引方向の付勢力を付与する戻し用ばねを形状記憶合金で形成している。特許文献3によるクラッチ機構も、摩擦クラッチであり、電磁コイルにより強磁性形状記憶合金に磁気力を作用させて強磁性形状記憶合金を変形させることで、摩擦クラッチを係合している。
形状記憶合金や強磁性形状記憶合金は、一定の応力以上で歪が急激に増大する超弾性変形を起こし、超弾性変形では応力がほぼ飽和する。特許文献1〜3では、摩擦クラッチの係合時に形状記憶合金や強磁性形状記憶合金が超弾性変形を起こすため、形状記憶合金や強磁性形状記憶合金に生じる応力は通常の弾性体と比較して低下する。これによって、摩擦クラッチの係合状態を保つのに必要な保持力の低減を図っている。
また、その他の背景技術として、下記特許文献4〜8による強磁性形状記憶合金が開示されている。
電磁コイルの起磁力により強磁性体を駆動することでクラッチの開放/係合を切り替える場合には、電磁コイルと強磁性体との間の磁気的ギャップが増大するほど、強磁性体に作用する磁気力は減少する。特許文献1〜3では、クラッチの開放/係合の切り替えに必要なストロークが増大するほど、磁気的ギャップの最大値が増大するため、電磁コイルの起磁力を増大させる必要がある。したがって、クラッチの開放/係合の切り替えに必要な駆動力が増大してしまう。例えば、歯の噛み合いにより動力伝達を行う噛み合いクラッチにおいては、クラッチの開放/係合の切り替えに必要なストロークが摩擦クラッチよりも増大するため、電磁コイルの起磁力により噛み合いクラッチの開放/係合を切り替えようとすると、電磁コイルの起磁力を増大させる必要がある。
また、摩擦力により動力伝達を行う摩擦クラッチでは、クラッチの滑りを防ぐためにクラッチに押圧力を付加し続ける必要がある。特許文献1〜3では、摩擦クラッチの係合状態を保つのに必要な保持力を低減しようとすると、摩擦力つまり伝達トルク容量も低下してクラッチに滑りが発生してしまい、動力伝達を確実に行うことが困難となる。このように、摩擦クラッチにおいて、クラッチの戻し用ばねに形状記憶合金や強磁性形状記憶合金を用いても、伝達トルク容量の低下を防ぎながら、クラッチの係合状態を保つのに必要な保持力を低減することは困難である。
本発明は、クラッチの開放/係合の切り替えや係合状態の保持に必要な力を低減することができるクラッチ機構を提供することを目的とする。
本発明に係るクラッチ機構は、上述した目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明に係るクラッチ機構は、磁極による磁気吸引力を調整することで、第1回転部材と第2回転部材の開放/係合を切り替えることが可能なクラッチ機構であって、前記磁気吸引力により磁極へ吸引されることで、超弾性変形しながら所定方向に収縮する強磁性形状記憶合金製の弾性部材が設けられており、クラッチ機構は、前記磁気吸引力により強磁性形状記憶合金製の弾性部材が前記所定方向に収縮することで、第1回転部材と第2回転部材の開放/係合を切り替える機構であり、強磁性形状記憶合金製の弾性部材は、超弾性変形前の状態では、前記所定方向において強磁性形状記憶合金の部分と磁気的ギャップの部分とが交互に並んで配置される形状を呈しており、さらに、超弾性変形しながら前記所定方向に収縮するときには、磁極へ吸引された強磁性形状記憶合金の部分が、該所定方向に磁気的ギャップを空けて近接する強磁性形状記憶合金の部分を吸引することを要旨とする。
本発明においては、強磁性形状記憶合金製の弾性部材が超弾性変形しながら所定方向に収縮するときには、磁極へ吸引された強磁性形状記憶合金の部分が所定方向に磁気的ギャップを空けて近接する強磁性形状記憶合金の部分を吸引することで、磁極への吸引動作が連鎖的に発生する。これによって、小さい磁気吸引力でも弾性部材全体を磁極へ吸引することができるので、クラッチの開放/係合の切り替えに必要な力を低減することができる。
本発明の一態様では、強磁性形状記憶合金製の弾性部材は、前記所定方向に平行な中心軸まわりに螺旋状に巻回されたコイル形状をほぼ呈していることが好適である。
また、本発明の一態様では、強磁性形状記憶合金製の弾性部材は、前記所定方向に伸縮可能な蛇腹形状をほぼ呈していることが好適である。
また、本発明の一態様では、クラッチ機構は、前記磁気吸引力により強磁性形状記憶合金製の弾性部材が前記所定方向に収縮することで、第1回転部材と第2回転部材が係合する機構であることが好適である。
また、本発明の一態様では、クラッチ機構は、第1回転部材に設けられた歯と第2回転部材に設けられた歯が噛み合うことで、第1回転部材と第2回転部材が係合する噛み合いクラッチ機構であることが好適である。
また、本発明に係るクラッチ機構は、駆動手段による駆動力を増大させることで第1回転部材に設けられた歯と第2回転部材に設けられた歯が噛み合って第1回転部材と第2回転部材が係合し、且つ該駆動力を減少させることで第1回転部材に設けられた歯と第2回転部材に設けられた歯の噛み合いが解除されて第1回転部材と第2回転部材が開放する噛み合いクラッチ機構であって、前記駆動力の増大に対して第1回転部材の歯と第2回転部材の歯を噛み合わせるように超弾性変形し、該駆動力の減少に対して第1回転部材の歯と第2回転部材の歯の噛み合いを解除するように超弾性変形前の形状に戻る形状記憶合金製の弾性部材が設けられていることを要旨とする。
本発明においては、第1回転部材の歯と第2回転部材の歯が噛み合っている状態では、形状記憶合金製の弾性部材は超弾性変形しているため、その応力は通常の弾性体と比較して大幅に低下する。そして、噛み合う歯の部分でトルク伝達を行う噛み合いクラッチ機構では、形状記憶合金製の弾性部材の歪を保持できるだけの力を作用させれば、伝達トルク容量の低下を招くことなく、第1回転部材の歯と第2回転部材の歯の噛み合いを保持することができる。したがって、クラッチの係合状態の保持に必要な力を低減することができる。
本発明の一態様では、駆動手段は、前記駆動力として磁気力を発生する磁極であり、前記弾性部材は、磁極による磁気力の増大に対して第1回転部材の歯と第2回転部材の歯を噛み合わせるように超弾性変形する強磁性形状記憶合金製の弾性部材であることが好適である。
以下、本発明を実施するための形態(以下実施形態という)を図面に従って説明する。
図1,2は、本発明の実施形態に係るクラッチ機構の内部構成の概略を示す図であり、図1はクラッチが開放された状態を示し、図2はクラッチが係合された状態を示す。本実施形態に係るクラッチ機構10は、クラッチケース22に設けられた電磁石(磁極)12により発生させる磁気吸引力(駆動力)を調整することで、第1の回転部材14と第2の回転部材16の開放/係合を切り替えることができる。
回転部材14,16は、それらの中心軸(回転軸)に平行な方向(以下、中心軸方向とする)において対向配置されており、それらの中心軸が一致している。回転部材14は、その中心軸まわりに回転可能なようにベアリング18を介してクラッチケース22に支持されている。回転部材16は、その中心軸まわりに回転可能なようにベアリング20を介して可動部材24に支持されている。可動部材24は、電磁石12に対して回転部材14,16の中心軸方向において間隔を空けて対向配置されており、さらに、クラッチケース22に対して回転部材14,16の中心軸方向に並進運動することができる。そのため、回転部材16は、クラッチケース22に対して中心軸まわりの回転運動と中心軸方向の並進運動とを行うことが可能である。
回転部材14には歯14aが回転部材16に対向して複数設けられており、回転部材16には歯16aが回転部材14に対向して複数設けられている。回転部材14の歯14aと回転部材16の歯16aが噛み合っていない場合は、図1に示すように、回転部材14と回転部材16は開放しており、回転部材14と回転部材16の間で動力伝達は行われない。一方、回転部材14の歯14aと回転部材16の歯16aが噛み合っている場合は、図2に示すように、回転部材14と回転部材16は係合しており、回転部材14と回転部材16の間で動力伝達が行われる。このように、本実施形態に係るクラッチ機構10は、回転部材14に設けられた歯14aと回転部材16に設けられた歯16aが噛み合うことで、回転部材14と回転部材16が係合する噛み合いクラッチ(ドッグクラッチ)機構である。なお、図1は、歯14a,16aの歯面が回転部材14,16の中心軸に略平行である例を示している。
本実施形態では、回転部材14,16の中心軸方向において間隔を空けて対向配置された電磁石12と可動部材24の間に、超弾性変形しながら回転部材14,16の中心軸方向に収縮可能な強磁性形状記憶合金製のばね(弾性部材)26が設けられている。ばね26の中心軸方向に関する一端部は電磁石12に近接配置されており、ばね26の中心軸方向に関する他端部は可動部材24に連結されている。ばね26によって可動部材24及び回転部材16が回転部材14から離れる側へ付勢されていることで、回転部材14の歯14aと回転部材16の歯16aの噛み合いが解除されており、回転部材14と回転部材16が開放している。ここでの強磁性形状記憶合金製のばね26は、回転部材14,16の中心軸まわりに螺旋状に巻回されたコイル形状(あるいはコイルに近似した形状)を呈している。ばね26が超弾性変形する前の状態では、図1に示すように、回転部材14,16の中心軸方向において強磁性形状記憶合金の部分26aと磁気的ギャップの部分26bとが交互に並んで配置されている。
次に、本実施形態に係るクラッチ機構10の動作について説明する。
回転部材14と回転部材16を開放状態に保つ場合は、電磁石12のコイル(図示せず)への励磁電流を0に保つことで、電磁石12による磁気吸引力を発生させない。その場合は、強磁性形状記憶合金製のばね26に磁気吸引力は作用しないため、ばね26は、電磁石12へ吸引されることなく、可動部材24及び回転部材16を回転部材14から離れる側へ付勢している。したがって、回転部材14の歯14aと回転部材16の歯16aの噛み合いが解除されている。
回転部材14と回転部材16を係合させる(開放状態から係合状態に切り替える)場合は、電磁石12のコイルに流す励磁電流を0から増大させることで、電磁石12により発生させる磁気吸引力を0から増大させる。電磁石12により磁気吸引力を発生させると、強磁性形状記憶合金製のばね26は、この磁気吸引力によって電磁石12へ吸引されることで、超弾性変形しながら回転部材14,16の中心軸方向に収縮する。このばね26の超弾性変形による収縮によって、ばね26と連結された可動部材24が回転部材16とともに回転部材14側(電磁石12側)へ引き寄せられて、回転部材14の歯14aと回転部材16の歯16aが噛み合う。すなわち、回転部材14,16が開放状態から係合状態に切り替わる。このように、強磁性形状記憶合金製のばね26は、作用する磁気吸引力の増大に対して回転部材14の歯14aと回転部材16の歯16aを噛み合わせるように超弾性変形する。なお、ばね26が磁気吸引力を受けて収縮するときの動作の詳細については後述する。
回転部材14と回転部材16を係合状態に保つ場合は、電磁石12のコイルに励磁電流を流し続けることで、電磁石12による磁気吸引力を強磁性形状記憶合金製のばね26に作用させ続ける。ここでは、ばね26の収縮(超弾性変形)を保持できるだけの磁気吸引力を電磁石12からばね26に作用させることで、回転部材14の歯14aと回転部材16の歯16aの噛み合いが維持される。
回転部材14と回転部材16を開放させる(係合状態から開放状態に切り替える)場合は、電磁石12のコイルに流す励磁電流を0に減少させることで、電磁石12により発生させる磁気吸引力を0に減少させる。その場合は、強磁性形状記憶合金製のばね26に作用していた磁気吸引力が取り除かれることで、収縮していたばね26が超弾性変形前の形状に戻り、可動部材24が回転部材16とともに回転部材14(電磁石12)から離れる側へ移動する。これによって、回転部材14の歯14aと回転部材16の歯16aの噛み合いが解除される。すなわち、回転部材14,16が係合状態から開放状態に切り替わる。このように、強磁性形状記憶合金製のばね26は、作用する磁気吸引力の減少に対して回転部材14の歯14aと回転部材16の歯16aの噛み合いを解除するように超弾性変形前の形状に戻る。
形状記憶合金は、マルテンサイト変態温度以上の温度において、応力誘起型のマルテンサイト変態、つまり超弾性変形を起こす。通常の弾性体による弾性変形の場合は、図3に示すように、応力と歪がほぼ線形関係にある。一方、形状記憶合金による超弾性変形の場合は、図3に示すように、応力が小さい領域では応力と歪がほぼ線形関係にあるが、一定の応力以上で歪が急激に増大して応力がほぼ飽和する特性を示す。本実施形態において、回転部材14と回転部材16が係合している状態では、強磁性形状記憶合金製のばね26は超弾性変形しているため、ばね26の応力は、図3に示すように、ほぼ飽和しており、通常の弾性体を用いる場合と比較して大幅に低下する。
摩擦力により動力伝達を行う摩擦クラッチ(特許文献1〜3)では、クラッチの滑りを防ぐためにクラッチに押圧力を付加し続ける必要がある。摩擦クラッチにおいて、係合状態を保つのに必要な保持力を低減しようとすると、摩擦力つまり伝達トルク容量も低下するため、クラッチに滑りが発生してしまうことになる。したがって、摩擦クラッチにおいて、クラッチの戻し用ばねに形状記憶合金や強磁性形状記憶合金を用いても、クラッチの滑りを防ぎながら、クラッチの係合状態を保つのに必要な保持力を低減することは困難である。
これに対して本実施形態の噛み合いクラッチでは、回転部材14,16間のトルク伝達は噛み合う歯14a,16aの部分で行われる。そのため、歯14a,16aの噛み合いによる回転部材14,16の係合状態では、ばね26の歪、つまり歯14a,16aの噛み合いを保持できるだけの磁気吸引力を電磁石12からばね26(強磁性形状記憶合金)に作用させることで、伝達トルク容量の低下を招くことなく、回転部材14,16の係合状態を保つことができる。したがって、本実施形態によれば、伝達トルク容量の低下を招くことなく、回転部材14,16の係合状態を保つのに必要な励磁電流つまり保持力を低減することができる。
また、本実施形態との比較対象として、図4に示すように、非磁性材料のばね30の先端に取り付けられた強磁性体28を電磁石12の起磁力により吸引することでクラッチを係合する場合を考える。この場合は、電磁石12と強磁性体28との間の磁気的ギャップが増大するほど、強磁性体28に作用する磁気吸引力は減少する。より具体的には、図5の点線に示すように、強磁性体28に作用する磁気吸引力は、電磁石12との磁気的ギャップの2乗に反比例して減少する。ここで、図5は、磁気的ギャップ−磁気吸引力の特性を、形状記憶合金の歪−応力特性とともに示す。そのため、クラッチの係合に必要なストロークが増大するほど、磁気的ギャップの最大値が増大するため、電磁石12のコイルへの励磁電流を増大させる必要がある。特に、歯の噛み合いにより動力伝達を行う噛み合いクラッチの場合は、クラッチの係合に必要なストロークが摩擦クラッチよりも増大するため、電磁石12のコイルへの励磁電流を増大させる必要がある。
これに対して本実施形態では、回転部材14と回転部材16を係合させるときには、図6に示すように、強磁性形状記憶合金で構成されたばね26自体が電磁石12の起磁力により吸引される。ここで、図6は、図1,2に示す構成から電磁石12及びばね26のみを取り出して図示している。超弾性変形前のばね26は、回転部材14,16の中心軸方向において強磁性形状記憶合金の部分が磁気的ギャップを空けて配列されており、ばね26が電磁石12へ吸引されて回転部材14,16の中心軸方向に収縮するときには、図6(A),(B)に示すように、まず磁気吸引力が電磁石12近傍の強磁性形状記憶合金の部分26cに作用することで、この部分26cが電磁石12へ吸引されて電磁石12に吸着する(電磁石12との磁気的ギャップが無くなる)。電磁石12に吸着した強磁性形状記憶合金の部分26cは磁化されているため、この部分26cが回転部材14,16の中心軸方向に磁気的ギャップを空けて近接する強磁性形状記憶合金の部分26dに磁気吸引力を作用させてこの部分26dを吸引する。これによって、強磁性形状記憶合金の部分26dが電磁石12(強磁性形状記憶合金の部分26c)に吸着する(強磁性形状記憶合金の部分26c,26d間の磁気的ギャップが無くなる)。そして、電磁石12に吸着した強磁性形状記憶合金の部分26dが、回転部材14,16の中心軸方向に磁気的ギャップを空けて近接する強磁性形状記憶合金の部分を吸引する。この吸引動作が繰り返されることで、図6(C)に示すように、ばね26全体が電磁石12に吸着し、回転部材14と回転部材16が係合する。
このように、本実施形態では、電磁石12がその近傍に位置する強磁性形状記憶合金の部分26cを吸引することで、強磁性形状記憶合金の部分の電磁石12への吸着動作が、電磁石12から近い順に連鎖的に起こる。ばね26の電磁石12への吸着動作の際には、強磁性形状記憶合金の部分間の磁気的ギャップは、電磁石12に近いギャップほど先に無くなる。ここでの強磁性形状記憶合金の部分間の磁気的ギャップは、クラッチの係合に必要なストロークに依存することなく、ばね26の形状に応じて、例えばばね26をコイル形状にすることで小さく設定することができる。そのため、噛み合いクラッチのようにクラッチの係合に必要なストロークが増大する場合でも、少ない励磁電流でばね26全体を電磁石12に吸着させることができ、回転部材14,16を開放状態から係合状態に切り替えることができる。したがって、本実施形態によれば、回転部材14,16の開放/係合の切り替えに必要なストロークが増大しても、回転部材14,16の開放/係合の切り替えに必要な励磁電流つまり磁気吸引力を低減することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、クラッチの開放/係合の切り替え、及びクラッチの係合状態の保持に必要な力を低減することができる。
なお、本実施形態では、強磁性形状記憶合金製のばね26(弾性部材)は、図7に示すように、回転部材14,16の中心軸方向に伸縮可能な蛇腹形状(あるいは蛇腹に近似した形状)を呈していてもよい。この蛇腹形状によっても、ばね26が超弾性変形する前の状態では、回転部材14,16の中心軸方向において強磁性形状記憶合金の部分26aと磁気的ギャップの部分26bとが交互に並んで配置される。そして、図7に示す構成例でも、電磁石12がその近傍に位置する強磁性形状記憶合金の部分を吸引することで、強磁性形状記憶合金の部分の電磁石12への吸着動作が、電磁石12から近い順に連鎖的に起こる。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
10 クラッチ機構、12 電磁石、14,16 回転部材、14a,16a 歯、22 クラッチケース、24 可動部材、26 ばね。
Claims (7)
- 磁極による磁気吸引力を調整することで、第1回転部材と第2回転部材の開放/係合を切り替えることが可能なクラッチ機構であって、
前記磁気吸引力により磁極へ吸引されることで、超弾性変形しながら所定方向に収縮する強磁性形状記憶合金製の弾性部材が設けられており、
クラッチ機構は、前記磁気吸引力により強磁性形状記憶合金製の弾性部材が前記所定方向に収縮することで、第1回転部材と第2回転部材の開放/係合を切り替える機構であり、
強磁性形状記憶合金製の弾性部材は、
超弾性変形前の状態では、前記所定方向において強磁性形状記憶合金の部分と磁気的ギャップの部分とが交互に並んで配置される形状を呈しており、
さらに、超弾性変形しながら前記所定方向に収縮するときには、磁極へ吸引された強磁性形状記憶合金の部分が、該所定方向に磁気的ギャップを空けて近接する強磁性形状記憶合金の部分を吸引することを特徴とするクラッチ機構。 - 請求項1に記載のクラッチ機構であって、
強磁性形状記憶合金製の弾性部材は、前記所定方向に平行な中心軸まわりに螺旋状に巻回されたコイル形状をほぼ呈していることを特徴とするクラッチ機構。 - 請求項1に記載のクラッチ機構であって、
強磁性形状記憶合金製の弾性部材は、前記所定方向に伸縮可能な蛇腹形状をほぼ呈していることを特徴とするクラッチ機構。 - 請求項1〜3のいずれか1に記載のクラッチ機構であって、
クラッチ機構は、前記磁気吸引力により強磁性形状記憶合金製の弾性部材が前記所定方向に収縮することで、第1回転部材と第2回転部材が係合する機構であることを特徴とするクラッチ機構。 - 請求項1〜4のいずれか1に記載のクラッチ機構であって、
クラッチ機構は、第1回転部材に設けられた歯と第2回転部材に設けられた歯が噛み合うことで、第1回転部材と第2回転部材が係合する噛み合いクラッチ機構であることを特徴とするクラッチ機構。 - 駆動手段による駆動力を増大させることで第1回転部材に設けられた歯と第2回転部材に設けられた歯が噛み合って第1回転部材と第2回転部材が係合し、且つ該駆動力を減少させることで第1回転部材に設けられた歯と第2回転部材に設けられた歯の噛み合いが解除されて第1回転部材と第2回転部材が開放する噛み合いクラッチ機構であって、
前記駆動力の増大に対して第1回転部材の歯と第2回転部材の歯を噛み合わせるように超弾性変形し、該駆動力の減少に対して第1回転部材の歯と第2回転部材の歯の噛み合いを解除するように超弾性変形前の形状に戻る形状記憶合金製の弾性部材が設けられていることを特徴とするクラッチ機構。 - 請求項6に記載のクラッチ機構であって、
駆動手段は、前記駆動力として磁気力を発生する磁極であり、
前記弾性部材は、磁極による磁気力の増大に対して第1回転部材の歯と第2回転部材の歯を噛み合わせるように超弾性変形する強磁性形状記憶合金製の弾性部材であることを特徴とするクラッチ機構。
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Cited By (1)
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JP2021516320A (ja) * | 2018-03-26 | 2021-07-01 | ジン−ジン エレクトリック テクノロジーズ カンパニー リミテッド | 噛み合い電磁クラッチ |
-
2005
- 2005-08-19 JP JP2005238784A patent/JP2007051741A/ja active Pending
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