JPH10249776A - 把持装置 - Google Patents

把持装置

Info

Publication number
JPH10249776A
JPH10249776A JP9061521A JP6152197A JPH10249776A JP H10249776 A JPH10249776 A JP H10249776A JP 9061521 A JP9061521 A JP 9061521A JP 6152197 A JP6152197 A JP 6152197A JP H10249776 A JPH10249776 A JP H10249776A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fluid
coil
magnetic
gripping device
elastic member
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP9061521A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3469424B2 (ja
Inventor
Hajime Sudo
藤 肇 須
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toshiba Corp filed Critical Toshiba Corp
Priority to JP06152197A priority Critical patent/JP3469424B2/ja
Publication of JPH10249776A publication Critical patent/JPH10249776A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3469424B2 publication Critical patent/JP3469424B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Manipulator (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 装置全体の小型化、把持および解放動作の十
分な応答性、および十分なエネルギ効率を同時に達成で
きる把持装置を提供することを目的とする。 【解決手段】 把持装置は、通電状態に対応して変化す
る磁場を形成するコイル10と、内部に磁性流体が封入
された流体収容部材20とを有している。コイル10が
通電された場合、磁性流体はコイル10が形成する磁場
の方向に沿って移動し、流体収容部材20の円筒部分2
1は、磁場の方向に沿うようにコイルの軸線方向を向く
ように変位する。円筒部分21は、弾性部材35のバネ
力に逆らい、可動指33を固定指32の方向に回動させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マニピュレータ等
への適用に適した把持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在では、組立工程を自動化するための
産業用ロボットが広く実用化されており、このようなロ
ボットにおいて作業対象物に作業を行うエンドエフェク
タについても様々なものが実用化されている。
【0003】エンドエフェクタとしては、作業対象物の
形状が確定している作業を行う場合には、作業対象物の
形状に適合した専用のものが用いられ、作業対象物の形
状が確定していない場合には、汎用作業用の2本指ある
いは多本指のハンド(把持装置)が使用されるのが一般
的である。後者の指型ハンドは、従来から様々な形態で
具体化されているが、以下に、その従来例を数例示す。
【0004】第1の従来例を図15に示す。図15に概
略的に示すハンド100は、回転モータ101が発生し
た回転駆動力を、概略的に図示された歯車列102で減
速し、歯車列の最終段の出力軸に固着されたフィンガ1
03をそれぞれ中心方向に向けて回動させ、これにより
把持および解放動作を行うものである。
【0005】第2の従来例を図16に示す。図16に示
すハンド110は、シリコーンゴムからなる外套部材1
11に線状の形状記憶合金からなる心材112を埋設す
ることにより構成されており、このハンド110は、形
状記憶合金からなる心材112を外部電源113により
通電加熱することに指部の開閉動作を行うものである。
【0006】第3の従来例を図17に示す。図17に示
すハンド120は、シリコーンゴムからなる複数のフィ
ンガ121を有しており、これらフィンガには、各々の
内部にその長手方向に延びる3つの空気室が形成されて
いる。そして外部加圧装置122から3つの空気室へそ
れぞれ独立して加圧を行い、各空気室の圧力バランスを
変化させることにより各フィンガを内側および外側に自
在に湾曲させ、これにより把持および解放動作を行わせ
るものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、この
ようなハンド装置においては、小型化、把持および解放
動作の応答性向上、およびエネルギ効率の向上の要求が
より高くなってきているが、上述したハンドにおいて
は、以下のような理由により、これらの要求に応えるに
は一定の限界がある。
【0008】第1の従来例として示したハンド100の
小型化を行う手法としては、回転モータ101の小型化
を行うことが考えられる。しかし、一般に回転モータ
は、小型になるほど、十分な出力を得ようとした場合、
より高回転を行わなければならなくなる。このため、フ
ィンガ103に実用的な速度で開閉動作を行わせようと
した場合、歯車列102の減速比を大きく確保する必要
があり、歯車列102の段数を増す必要が生ずる。
【0009】しかし、歯車列102の段数を増加させる
ことは、歯車列のサイズの増大につながり、ハンド10
0全体の寸法低減という観点から見た場合、回転モータ
101の小型化の効果が相殺されてしまう。更に、歯車
列102の段数を増加させることにより、歯車間の摩擦
の増加、すなわち駆動力伝達効率の低下という問題が生
じ、ハンドの性能が低下するという問題も生じる。
【0010】また、第2の従来例に示したハンド110
においては、形状記憶合金が駆動源と構造材を兼ねてい
るため、ある程度のサイズまでの小型化は容易である。
【0011】しかし、本従来例においては、電気エネル
ギを熱エネルギに変換しこれをさらに運動エネルギに変
換するようになっているため、消費電力が大きいという
欠点がある。さらに、一度把持動作を行わせた後の解放
動作は、もっぱら自然冷却により行われるため、応答性
や制御性は必ずしも良好ではない。更に、一定以下のサ
イズまで小型化を進めようとすると、形状記憶合金の脆
弱さが問題となり、これを解決しようとして堅牢な外套
部材を使用しようとすると、摩擦抵抗の増加および形状
記憶合金自体の出力の小ささが問題となってくるため、
やはりハンド全体の小型化には限界がある。
【0012】また、第3の従来例に示したハンド120
においては、ハンド120自体の構成は簡単であり、小
型化も容易である。しかし、ハンド120に付随する外
部加圧装置を構成するポンプやこれを制御するレギュレ
ータの小型化は困難であり、外部装置を含めた装置全体
の小型化には自ずと限界がある。
【0013】以上述べたように、従来のハンド型の把持
装置においては、小型化、把持および解放動作の十分な
応答性、および十分なエネルギ効率を同時に達成できる
ようなものは得られていないのが現状である。
【0014】本発明は、上記実状に鑑みなされたもので
あり、装置全体の小型化、把持および解放動作の高い応
答性、および高いエネルギ効率を同時に達成できる把持
装置を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
め、本発明は、把持装置において、通電状態に対応して
変化する磁場を形成する磁場形成手段と、前記磁場形成
手段が形成する磁場を変化させることにより移動する磁
性体と、前記磁性体の移動に対応して移動する流体と、
前記流体が収容された内部空間を有するとともに、前記
流体の移動に伴い変位する第1の部分を有する流体収容
部材と、前記第1の部分の変位に伴い変位して把持対象
物を把持する可動部材とを備えたことを特徴とするもの
である。
【0016】本発明によれば、装置全体の小型化、把持
および解放動作の十分な応答性、および高いエネルギ効
率を同時に達成できる把持装置を提供することができ
る。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について説明する。
【0018】第1の実施の形態 まず、第1の実施の形態について説明する。図1および
図2は本発明の第1の実施の形態を示す図である。な
お、図1および図2(a)は、把持装置1Aが作業対象
物を把持していない状態(以下、「解放状態」という)
を示しており、図2(b)は把持装置1Aが作業対象物
を把持している状態(以下、「把持状態」という)を示
している。
【0019】図1に示すように、把持装置1Aは、磁場
を発生させる手段として円筒型の中空のコイル(ソレノ
イドコイル)10と、流体収容部材20とを備えてい
る。
【0020】このうちコイル10は、非磁性体からなる
固定部材30の一部をなす円筒形状の支持部31の内側
に同軸的に固着されている。また、図2に概略的に示す
ように、コイル10には電流付与手段2が接続されてい
る。
【0021】また、図1および図2に示すように、流体
収容部材20は、コイル10の内周面により区画される
円柱形状の空間(以下、コイル10の内部空間という)
内に配置された袋形状を有する袋部分22と、コイル1
0の内部空間の外に配置された円筒形状の円筒部分21
とからなる。円筒部分21はコイル10の軸線Aより下
側の位置で袋部分22に連結されており、袋部分22の
内部空間と円筒部分22の内部空間とは互いに連通して
いる。
【0022】流体収容部材20は、任意方向に伸縮自在
の材料(エラストマ材料)、例えばゴム等から形成され
ており、内部ないし外部から荷重が負荷された場合に任
意形状に変形可能であるとともに、当該荷重が除去され
た後は、所定の初期形状に自ら復元するような弾性を有
している。
【0023】この流体収容部材20の内部には、粉末状
の微小な磁性体を液中(流体中)にコロイド状に混濁さ
せることにより得られたいわゆる磁性流体が封入されて
いる。
【0024】袋部分22の下側の外面は、特に図2に示
すように、コイル10の内周面に接着固定されており、
一方、袋部分22の上側はコイル10に対して自由に動
けるようになっている。
【0025】また、固定部材30のうち支持部31以外
の部分、すなわち把持作用に関与する部分である固定指
32は、支持部31の端面(図2左側)側からコイル1
0の軸方向に延びる部材として形成されている。
【0026】固定指32の支持部31側(図2右側)の
端部上面には、板状の可動部材用弾性部材35(以下、
単に「弾性部材35」という)の一端が固着されてい
る。また、弾性部材35の他端には、非磁性体からなる
可動指(可動部材)33が固着されており、この可動指
33の上面33aには、流体収容部材20の円筒部分2
1の先端部分が固着されている。
【0027】弾性部材35は、適当なバネ性を有する材
料からなり、後述するようにコイル10の通電により円
筒部分21が可動指33を変位させようとする力が一定
以上とならない限り、可動指33が固定指32から離間
した状態を維持するようにアーチ状に湾曲している。従
って、可動指33に固着された円筒部分21も、弾性部
材35の形状に倣ってアーチ状に湾曲している。
【0028】なお、流体収容部材20の円筒部分21の
本来の形状(何ら外部から拘束を受けていない場合の形
状)は、図1に示すような上方に向かって湾曲した形状
ではなく、円筒部分21と袋部分22の連結部からコイ
ル10の軸線と平行な方向に向かって直線的に延びるよ
うな形状となっている。
【0029】次に、上記構成を有する本実施形態の作用
について説明する。
【0030】前述したように、コイル10が通電されて
いない場合、把持装置1Aは、可動指33が固定指32
から離間した解放状態にある。
【0031】電流付与手段2によりコイル10が通電さ
れると、円筒状のコイル10の近傍には磁場が生じる。
この磁場の状態を示す磁力線のうち主要なものを図2
(b)に破線矢印で示す。図2(b)においては、磁場
の方向が図中右向きとなり、コイル10右端がN極とな
るようにコイル10は通電されている。
【0032】このような磁場内に置かれる流体収容部材
20内の磁性流体は、磁場の方向に沿おうとする。詳述
すれば、磁場の影響下に置かれた(磁性流体を構成す
る)磁性体粉末は、それぞれのN極が図2(b)におけ
る右側を向き、かつそれぞれが互いに密着するように配
列し、これにより流体収容部材20内の磁性流体は、そ
の密度を増した状態で磁場の方向に沿うように移動す
る。
【0033】ここで、流体収容部材20の袋部分22の
下側の外面はコイル10の内周面に固着されているた
め、袋部分22は磁性流体の挙動に倣って図2左右方向
に伸張し、円筒部分21はその軸線が磁場の方向に沿う
ようにコイル10の軸線と平行な方向を向くように変位
する。
【0034】円筒部分21が変位しようとする力が弾性
部材35のバネ力に打ち勝つと、円筒部分21に固着さ
れた可動指33は、弾性部材35と固定指32との連結
部付近を中心として図2における反時計方向に向かって
回動し、固定指32に当接する。これにより、把持装置
1Aの把持状態が実現される。
【0035】なお、この場合、円筒部分21と袋部分2
2との連結部は、コイル10の軸線より下方に位置して
いるため、コイル10のN極側から出てS極側(図2左
側)に入ってゆく磁力線により表される磁場のうち、図
2においてコイル10の軸線Aより上方にある磁場の影
響を受けにくくなる。前記連結部がコイル10の軸線よ
り上方に位置している場合には、磁場の形成状況次第で
は、袋部分22内にある磁性流体がコイル10より上方
にある磁場の影響を受け、袋部分22が真っ直ぐになろ
うとする力が減少してしまう場合もあり得なくもない
が、本実施形態によればそのようなことはない。
【0036】把持装置1Aを把持状態から解放状態へと
移行させる場合には、コイル10への電流を遮断すれば
よい。すると可動指33は、弾性部材35のバネ力によ
り速やかに元の位置(図2(a)に示す位置、すなわち
解放位置)に戻され、これにより、把持装置1Aは解放
状態に戻る。更に、流体収容部材20全体は、自らの復
元力により図2(a)に示す状態に復元する。これによ
り把持装置1A全体は完全に初期状態に復帰する。
【0037】なお、可動指33が解放位置に戻った後、
流体収容部材20全体が完全に初期状態に復帰するまで
には、流体収容部材20の弾性特性によっては若干のタ
イムラグが発生する場合もありうるが、このことは把持
装置1Aの応答性に何ら影響を与えない。把持および解
放を高速で繰り返す場合においても、上記作動原理より
明らかなように、流体収容部材20が完全に初期状態に
戻るのを待たずにコイル10に再度通電しても把持作用
は何ら支障無く直ちに行われるからである。
【0038】また、把持装置1Aが上述した把持状態お
よび解放状態を実現するために、弾性部材35のバネ特
性(バネ定数およびバネ力設定方向)は、コイル10が
通電されていない状態において、弾性部材35が、流体
収容部材20の円筒部分21内の磁性流体の重量と可動
指33の重量とに打ち勝って可動指33を固定指32か
ら離間した状態を維持することができ、かつ、コイル1
0が通電された場合、円筒部分21が弾性部材のバネ力
に打ち勝って真っ直ぐになることができるように設定さ
れる。
【0039】なお、上述した説明においては、コイル1
0が通電されて流体収容部材20の袋部分22が変形し
た場合、コイル10および固定部材30の支持部31の
内周面と、袋部分22の上面との間に隙間ができるよう
に記載したが、例えば磁性流体の容積がコイル10の内
部空間に対して十分に大きい場合には、袋部分が21が
コイル10の内部空間を満たすようになる場合もある。
【0040】この場合、コイル10の内部空間の容積の
制限から磁性流体は袋部分22の外部に流出せざるを得
なくなるため、必然的に円筒部分21の側へ流入する。
円筒部分21内へ磁性流体が流入することに起因して円
筒部分21の内圧が高まることにより、円筒部分21
は、図2に示すような湾曲した状態より、真っ直ぐな状
態の方が安定となる。このため、円筒部分21は、磁性
流体が磁場の方向に沿おうする力にのみ基づいて移動し
ようとする場合よりも更に強く真っ直ぐになろうとす
る。このため、円筒部分21は、より強い力で可動部材
用弾性部材35のバネ力に逆らうようになる。
【0041】以上説明したように、本実施形態によれ
ば、把持装置1Aの主要部分の構造が、流体収容部材2
0中に磁性流体を封入し、この流体収容部材20の周囲
にコイル10を配設したという単純なものであるため、
小型化を容易に行うことができる。
【0042】また、本実施形態によれば、流体収容部材
20内部へ流体を流入させたり外部へ流体を流出させた
りする必要がないため、小型化に制限のある流体源や圧
力調節機構等を外部に設ける必要はない。すなわち小型
化が容易な電子回路を設けるのみで足りる。このため、
把持装置本体部1Aおよびその制御装置からなるシステ
ム全体の小型化を容易に行うことができる。
【0043】また、本実施形態によれば、小型化を行う
際に大きな問題であった機械的な摩擦損失発生の原因と
なる歯車列等を使用する必要がないため、装置に入力さ
れるエネルギを高効率で利用することができる。また、
これにより不要な発熱を回避することができる。
【0044】また、本実施形態においては電磁気力を駆
動力として用いているため、非常に高い応答性を得るこ
とができる。このため、十分な制御の下で把持動作およ
び解放動作を高速で行うことができる。
【0045】第2の実施の形態 次に、第2の実施の形態による把持装置1Bについて図
3および図4により説明する。第2の実施の形態は、第
1の実施の形態に対して、流体収容部材の内部に磁性流
体に代えて水または空気等の通常の流体が封入されてい
る点と、流体収容部材の外部に磁性体を配置している点
と、これに伴い流体を移動させる手法が変更されている
点とが異なり、他は第1の実施の形態と略同一である。
第2の実施の形態において第1の実施と同一部分につい
ては同一符号を付し、詳細な説明は省略する。なお、図
4(a)は把持装置1Bの解放状態を、図4(b)は把
持装置1Bの把持状態をそれぞれ示している。なお、図
3以降の図面においては、電流付与手段の記載は省略す
る。
【0046】図3に示すように、固定部材30の支持部
31の内部空間には、流体収容部材20の袋部分22が
配置されている。袋部分22の外周面は、その全周が
(第1の実施の形態では下側のみ)支持部31の内周面
(コイル10の内周面を含む)に接着されている。
【0047】流体収容部材20には、水または空気等の
一般的な流体が封入されている。なお、使用される流体
の圧縮性の差により、把持効率は多少異なることになる
が、以下に説明する作動原理はどのような流体を使用し
た場合でも実質的に同一である。
【0048】また、図3に示すように、流体収容部材2
0は、その袋部分22の後部22bに接着され、適当な
バネ性を有する円盤状の流体収容部材用弾性部材23
(以下、単に「弾性部材23」という)を有している。
【0049】弾性部材23はコイル10の内部空間内に
配置されており、弾性部材23の外周端縁は、コイル1
0の軸線方向の概ね中央部においてコイル10の内周面
に固着されている。
【0050】この弾性部材23は、コイル10の軸方向
のいずれかに所定量変位した凸の状態、すなわち図4
(a)および図4(b)のいずれかに示す状態で安定状
態となるようになっている。すなわち弾性部材23は、
何ら外力が加わっていない場合、コイル10の軸線に垂
直な状態(中立位置)を維持できないようになってい
る。
【0051】なお、本実施形態においては、弾性部材2
3は流体収容部材20自体とは異なる部材として記載さ
れているが、これに限定されるものではない。すなわ
ち、流体収容部材20の後部22b自体に弾性部材23
と同様の弾性を持たせることができるならば、弾性部材
23を設けることなく袋部分22の後部22bに永久磁
石24を直接固着するように構成してもよい(第5の実
施形態においても同じ)。
【0052】弾性部材23には、磁化された磁性体、す
なわち永久磁石24が取り付けられている。この永久磁
石24は、弾性部材の直径より小さい直径を有する円盤
形状または円柱形状を有しており、永久磁石24は弾性
部材23と同軸的に設けられている。この永久磁石24
は、図4に示すように、図4における左側の面(袋部分
22側の面)がN極、右側の面がS極となるように磁化
されている。
【0053】なお、永久磁石24の着磁の向きは、上記
方向に限定されるものではなく、逆向きであってもよ
い。この場合は、コイル10への通電方向を変化させる
ことにより、把持装置1Bに後述する作用と同様の作用
を行わせることができる。
【0054】また、後述するように、流体収容部材20
内の流体を移動させる役割を担うのは弾性部材23であ
るため、第1の実施形態の如く袋部分22の全体をコイ
ル10の内部空間内に配置する必要はない。
【0055】次に、上記構成からなる本実施形態の作用
について図4および図5により説明する。
【0056】まず、コイル10が通電されていない場
合、把持装置1Bは、図4(a)に示すような解放状態
にある。なお、前述したように、弾性部材23は中立位
置を維持することができないようになっているため、こ
の非通電状態において、把持装置1Bは解放状態および
把持状態のいずれの状態をも採ることはできるが、本説
明においては上記前提の下で説明を行う。なお、図5に
おいて、(N)および(S)なる表記は、コイル10に
より形成される磁場による磁極を表現するものである。
【0057】把持装置1Bを把持状態とする場合には、
コイル10を通電し、図5(a)に示すように、コイル
10の左側がN極、右側がS極となるように磁場を形成
する。
【0058】すると弾性部材23に取着された永久磁石
24のS極は、コイル10による磁場のS極から、永久
磁石24のN極はコイル10による磁場のN極からそれ
ぞれ反発力を受ける。
【0059】ここで、永久磁石24の各磁極がコイルが
形成する磁極から受ける電磁力は、下式 F=k・(m・M)/R2 ここで kは比例定数 m,Mはコイル10および永久磁石24が形成する磁極
の強さ Rは磁極間の距離 により表現されるため、永久磁石24のS極が受ける反
発力の方が永久磁石24のN極の受ける反発力より大き
くなる。このため永久磁石24が取り付けられた弾性部
材23は、図5右方向に移動する。
【0060】なお、この場合、弾性部材23が図5
(a)に示す位置から中立位置に向かって図中左方向に
変位してゆく過程において、永久磁石24のS極とコイ
ル10のS極との間の距離aと、永久磁石24のN極と
コイル10のN極との間の距離bとの差は次第に小さく
なってゆくが、上記式に示されるように、電磁力は磁極
間距離の2乗に反比例する力であるため、弾性部材23
が中立位置に接近し前記距離aと前記距離bとの差が小
さくなった場合でも、永久磁石24のS極が受ける反発
力の方が永久磁石24のN極が受ける反発力より十分に
大きいという状態が維持される。このため、弾性部材2
3は、十分に大きな速度で中立位置に接近する。ここで
弾性部材23および永久磁石24は一定の質量を有して
いるため、永久磁石24が取り付けられた弾性部材23
は、慣性力により中立位置を越えて変位する。
【0061】弾性部材23が中立位置を越えて変位した
場合、永久磁石24のN極が受ける反発力の方が大きく
なるが、前述したように弾性部材23は、左右いずれか
の方向に凸の状態が安定状態であり、かつ弾性部材23
および永久磁石24は一定の質量を有しているため、弾
性部材23は、安定状態となろうとする力および慣性力
により図5の左方向に変位し続け、直ちに図5右方向へ
追い戻されることはない。
【0062】そして、弾性部材23が中立位置を越える
と直ちに、図示しない電流付与手段によりコイル10に
付与される電流の極性が切り替えられる。
【0063】すると、図5(b)に示すように、コイル
10が形成する磁場の磁極は、左側がS極、右側がN極
となる。これにより、永久磁石24の両極は、コイル1
0による両極から吸引力を受ける。この場合も、上述し
た式により説明したのと同様の原理により、永久磁石2
4のN極が受ける吸引力の方が永久磁石23のS極が受
ける吸引力より大きくなる。この吸引力のバランスに加
えて弾性部材24自体の安定状態を維持しようとする力
により、永久磁石24が取着された弾性部材23は、図
中左側に変位した状態を安定して維持する。なお、この
状態は、図4(b)に示す状態に対応する。
【0064】このように弾性部材23が変位することに
より、流体収容部材20の袋部分22内の流体は、円筒
部分21に向かって押し出される。円筒部分内21内へ
磁性流体が流入することに起因して円筒部分の内圧が高
まることにより、円筒部材21は、図3および図4
(a)に示すような湾曲した状態より、コイル10の軸
線と平行な真っ直ぐな状態の方が安定となる。このた
め、円筒部分21は、自らが真っ直ぐになろうとする力
により、可動指33を弾性部材35のバネ力に逆らって
固定指32側に回動させる。これにより、図4(b)に
示すように、把持装置1Bは把持状態となる。
【0065】把持状態を解除するには、図5(c)に示
すように、コイル10が形成する磁場の方向を逆向きに
すればよい。すると、上述した作動原理と同様の作動原
理により、永久磁石24が取り付けられた弾性部材23
は、中立位置を越えて図中右方向に移動し、解放位置に
戻る。そして把持装置1Bは図4(a)に示すように、
解放状態に復帰する。なお、この過程においても、弾性
部材23が中立位置を越えた後、コイル10が形成する
磁場方向の切り替え(図5(d)参照)が同様に実行さ
れる。
【0066】以上の説明から理解できるように、本実施
形態においても第1の実施の形態と略同一の効果を得る
ことができる。さらに、本実施形態においては、予め磁
化された部材のポテンシャルエネルギを利用することが
できるため、エネルギ効率をより高めることができる。
【0067】本実施形態においては、弾性部材23が中
立位置を中心として(図4および5における)左右両側
に変位するようになっているため、弾性部材23が流体
収容部材20の袋部分22内の流体を円筒部分21に向
けて押し出す力を大きくすることができるようになって
いる。
【0068】しかしながら、上記のように弾性部材23
を大きく変位させる必要がない場合には、弾性部材23
の作用は上述したものに限定されるものではない。すな
わち、中立位置の左側または右側のいずれか一側の領域
で変位するように弾性部材23を動かすようにしてもよ
い。
【0069】この場合、図5(a)〜(d)に示す各状
態において、コイル10に通電する電流値を調節しコイ
ル10が形成する磁場の強さを変化させることにより、
弾性部材23を中立位置を越えることなく左右方向(コ
イル10の軸線方向)に連続的に変位させることが可能
なことは理解できるであろう。このように弾性部材23
を変位させる場合には、流体収容部材20の第1の部分
21および第2の部分22の内部形状および内容積等の
関係を適宜変更することにより、把持装置に前述した作
用と同様の作用を行わせることができる。
【0070】なお、弾性部材23を中立位置を越えるこ
となく左右方向に変位させる場合、例えば、弾性部材2
3を中立位置の(図4および図5における)右側のみで
変位させる場合には、コイル10に通電しない状態によ
り把持装置の解放状態を実現し、図5(a)に示すよう
にコイル10に通電し、弾性部材23を図5(a)の位
置から左方向に変位させることにより把持装置の把持状
態を実現することができる。すなわち、この場合には、
コイル10の状態を通電状態および非通電状態との間で
切り替えることのみにより把持装置の解放状態および把
持状態の2状態を実現することができる。なお、この場
合、弾性部材23の把持状態から解放状態への変位は、
弾性部材自体の弾性的な復元力により行われる。
【0071】また、本実施形態においては、弾性部材2
3をコイル10内に配置しているため、把持装置1Bの
コイル10軸方向に対する全長を短くすることができ
る。
【0072】しかしながら、弾性部材23は図6に示す
ようにコイル10の外側に配置してもよい。この場合、
弾性部材23は、固定部材30の支持部31の内周面に
取り付けられる。そしてこの場合、弾性部材23は、コ
イル10が形成する磁極のうち図6における右側の磁極
と永久磁石24の左側の磁極との吸引および反発作用に
より変位させることが可能である。
【0073】第3の実施の形態 次に、第3の実施の形態について図7および図8により
説明する。第3の実施の形態は流体収容部材により直接
作業対象物を把持するように構成したものである。な
お、第3の実施の形態において第1の実施の形態と同一
部材については同一符号を付し詳細な説明は省略する。
【0074】図7に示すように、第3の実施の形態によ
る把持装置1Cは、磁場を形成する手段として一対の円
筒形状の中空のコイル(ソレノイドコイル)11、12
と、内部に磁性流体が封入された容積可変の流体収容部
材40とを備えている。
【0075】コイル11および12は、非磁性体材料か
らなる固定部材50の上側部分51および下側部分52
にそれぞれ埋め込まれている。コイル11およびコイル
12の軸線は垂直方向を向き、コイル11およびコイル
12は、互いに同一の仕様(巻き数、サイズ等)で形成
されており、互いに同軸的に配置されている。
【0076】また、流体収容部材40は、固定部材50
の上側部分51と下側部分52との間の空間内に配置さ
れ、流体収容部材40の上面43は、固定部材50の上
側部分51の下面に接着されている。
【0077】流体収容部材40は、前述した第1の実施
の形態と同様の材料から形成されている。また、流体収
容部材40は、とりわけ図8(a)に示すように、荷重
が負荷されていない場合に、コイル11およびコイル1
2間に位置する第1の部分41の容積が小さくなり、コ
イル11、12間に位置しない第2の部分42の容積が
大きくなるようにその形状が設定されている。この流体
収容部材40は、内部ないし外部から荷重が加わった場
合に任意形状に変形することができ、かつ、荷重が除去
された場合、図8(a)に示す形状に自ら復元できるよ
うな弾性を有している。
【0078】次に、上記構成を有する本実施形態の作用
について説明する。
【0079】まず、図示しないコイル11,12に電流
が付与されていない場合には、把持装置1Cは解放状態
にあり、流体収容部材40は、その本来の形状、すなわ
ち図8(a)に示すような状態にある。
【0080】次に、コイル11およびコイル12により
形成される磁場の方向が同一となるようにコイル11、
12を通電する。なお、この場合の、コイル11および
コイル12により形成される磁場の方向が同一であれば
よく、磁場の方向は図8において上向きであろうが下向
きであろうが構わない。
【0081】すると、図8(b)に示すように、そして
流体収容部材40の第2の部分42内にある磁性流体
は、コイル11および12により形成される磁場の影響
を受け、コイル11、12間に位置する第1の部分41
側に移動するとともに、磁場の方向に沿うようになる。
ここで、流体収容部材40の上面43は固定部材50の
上側部分51に固着されているため、流体収容部材40
は固定部材50に対して移動することなく内部の磁性流
体のみが移動し、流体収容部材40は第1の部分41側
の容積が増すように変形する。
【0082】そして、その上側が固定部材50の上側部
分51により拘束されている流体収容部材40の第1の
部分41は、下方に向かって膨れ、これにより、第1の
部分41の下方に位置する把持対象物3は、固定部材5
0の下側部分52の上面と第1の部分41との間に挟ま
れ把持される。この状態が把持装置1Cの把持状態であ
る。
【0083】把持対象物を解放する場合には、コイル1
1、12の通電を停止すればよい。そうすれば、磁場の
影響を受けなくなった流体収容部材40内の磁性流体
は、弾性を有する流体収容部材40の復元に倣い、初期
状態(図8(a)に示す状態)に戻る。これにより把持
装置1Cは解放状態へ戻る。
【0084】本実施形態によれば、把持対象物を変形自
在な流体収容部材40の第1の部分41で把持するよう
にしているため、把持対象物の形状変化に柔軟に対応す
ることができる。
【0085】なお、上記実施形態において、コイルは固
定部材50の上側部分51および下側部分52の両方に
設けられているが、これに限定されるものではなく、上
側部分51または下側部分52のいずれか一方のみに設
けるようにしてもよい。この場合も、把持装置は上記説
明と略同一の態様で機能する。
【0086】また、上記実施形態の作用の説明において
は、把持状態の解除は、コイル11、12の通電を停止
することのみにより行ったが、これに限定されるもので
はない。すなわち、コイル11およびコイル12に、互
いが形成する磁場が逆方向になるように通電を行い、こ
れにより両コイルが形成する磁場を反発させあうことに
より、磁性流体をコイル11およびコイル12の間から
追い出し、磁性流体を強制的に流体収容部材40の第2
の部分42に移動させることにより把持状態を解除して
もよい。この手法を用いることにより、より迅速に把持
状態を解除することができる。すなわち、把持装置の把
持および解放動作の応答性を高めることができる。
【0087】第4の実施の形態 次に第4の実施の形態について図9および図10により
説明する。第4の実施の形態は、第3の実施の形態に対
して、把持状態から解放状態への復元を補助する磁石が
更に設けられている点がが異なり、他は第3の実施の形
態と略同一である。第4の実施の形態において第3の実
施と同一部分については同一符号を付し、詳細な説明は
省略する。
【0088】図9に示すように、第3の実施の形態によ
る把持装置1Dは、固定部材50の上側部分51の下面
側に埋め込まれた永久磁石55を更に備えている。この
永久磁石55は、流体収容部材40の第2の部分42の
上方に配置されており、永久磁石55が形成する磁場
は、コイル11、12が形成する磁場より十分に小さい
ものとなっている。
【0089】次に、上記構成を有する本実施形態の作用
について説明する。
【0090】コイル11、12を通電すると、永久磁石
55の作る磁場は、コイル11、12の作る磁場より十
分に小さいため、第3の実施の形態と同様の作動原理に
より把持状態を実現することができる。
【0091】一方、コイル11、12への通電を停止す
ると、磁性流体は永久磁石55の作る磁場の影響によ
り、図9に示すように、流体収容部材40の第2の部分
42側に移動する。この磁性流体の積極的な移動と、流
体収容部材40自らの復元力とにより、速やかに把持状
態から解放状態への移行が行われる。
【0092】なお、図10に示すように、永久磁石55
に代えて、コイル11、12と同様の構成をからなる把
持解除用コイル13、14を配置してもよい。この場
合、コイル13は永久磁石55が配置されていた部位に
配置され、コイル14はコイル13と同軸的に下側部分
52に埋め込まれた状態で配置される。
【0093】このようにすれば、コイル11、12と、
把持解除用コイル13、14とを交互に通電することに
より、把持状態(図10二点鎖線参照)と解放状態(図
10実線参照)とを切り替えることができる。
【0094】このような構成を採った場合には、把持解
除用コイル13、14が形成する磁場をコイル11、1
2が形成する磁場より弱くする必要はない。このため、
把持状態と解放状態との切換をより迅速に行うことがで
きる。
【0095】第5の実施の形態 次に、第5実施の形態について図11および図12によ
り説明する。第5の実施の形態は、第2の実施の形態に
対して、弾性部材23に着磁された磁性体部材に代えて
高透磁率材料からなる部材が取り付けられている点、前
記高透磁率材料を磁化するための永久磁石が設けられて
いる点、および流体収容部材自体が把持対象物を直接把
持するように構成されている点が主に異なっている。第
5の実施の形態において、第2の実施の形態と同一部分
については同一符号を付し詳細な説明は省略する。
【0096】図11に示すように、第5の実施の形態に
よる把持装置1Eは、内部に水または空気等の流体が封
入された流体収容部材60を備えている。この流体収容
部材60も、第1の実施の形態の流体収容部材20と同
様の材料から構成されている。
【0097】流体収容部材60は、固定部材70の支持
部71の内部空間内に配置された第2袋部分62と、こ
の把持装置1Eの先端側に配置された第1袋部分61
と、第2袋部分62と第1袋部分61とを連通する連通
部分(第3の部分)63とを有している。なお、固定部
材70の支持部71の構成は第2の実施の形態における
支持部31の構成と略同一である。
【0098】流体収容部材60の連通部分63の上面
は、固定部材70の上側延長部分72の下面に接着され
ており、また、流体収容部材60の第2袋部分62の外
周面は円筒形状の支持部71の内周面に接着されてい
る。
【0099】連通部分63は、その外面に巻き付けられ
た金属薄板64を有しており、これにより、連通部分6
3は自由に変形できないようになっている。なお、連通
部分63の構成は、上記のものに限定されるものではな
く、金属以外のものを巻き付けるようにしてもよいし、
連通部分63の肉厚を増すことにより上記と同様の効果
(変形抑制効果)を得るようにしてもよい。
【0100】また、流体収容部材60の第2袋部分62
の前部62aの前面には、支持部71に固着された板7
5が設けられており、この板75により第2袋部分62
の前部62aが前方に変位できないようになっている。
【0101】以上のように拘束された流体収容部材60
は、第1袋部分61および第2袋部分62の後部62b
以外は実質的に変位することができないようになってい
る。
【0102】また、第2袋部分62の後部62bに接着
された弾性部材23の後面には、高透磁率材料からなる
薄い円盤状部材27が取り付けられている。
【0103】この円盤状部材27の後方には、永久磁石
77が配置されている。この永久磁石77は、固定部材
70の支持部71の後面71aに、コイル10と同軸的
な関係をもって取り付けられており、その前側がN極、
その後側がS極となっている。
【0104】コイル10を通電した場合、コイル10に
より形成される磁界は、弾性部材23の運動範囲を中心
として形成され、永久磁石77が形成する磁界への影響
が小さく抑えられる程度のものとなっている。
【0105】次に、上記構成を有する本実施形態の作用
について説明する。
【0106】弾性部材23に取り付けられた高透磁率材
料からなる円盤状部材27は、永久磁石77が形成する
磁場の影響により、その左側がN極、右側がS極となる
ように磁化される。この状態において、円盤状部材27
の極性は、第2の実施の形態の作用の説明において引用
した図5における永久磁石23の極性と同一になる。
【0107】従って、コイル10の通電方向および電流
値を第2の実施の形態と同様に調節することにより、円
盤状部材27が取着された弾性部材23を図12の左右
方向に変位させることができる。
【0108】図12(a)は把持装置1Eの解放状態を
示す図である。この状態から上記作動原理により、弾性
部材23を図中左側に変位させると、流体収容部材60
の第2袋部分62内の流体は、第2袋部分62から追い
出され、連通部材63を通って第1袋部分61内へ流入
する。
【0109】第1袋部分61内の内圧が高まると、その
上側のみが拘束された変形自在な第1袋部分61は、下
方に向かって膨張する。なお、この場合、板75および
金属薄板64により、第2袋部分62の前部62aおよ
び連通部分63の変形が最小限に抑えられているため、
弾性部材23の変位に起因する第2袋部分62内の内圧
の増加は、無駄なく第1袋部分61を膨張させるエネル
ギとして使用される。
【0110】そして第1袋部分61が膨張すると、図1
2(b)に示すように、固定部材70の下側延長部分7
3に載置された把持対象物3は、下側延長部分73の上
面と下流体収容部材60の第1袋部分61により把持さ
れる。なお、把持状態を解除するには、弾性部材23を
図中右方向に変位させればよい。
【0111】なお、上述した説明より明らかなように、
把持装置1Eの把持力は、流体収容部材60の第1袋部
分61と第2袋部分62との容積比と、およびコイル1
0に通電される電流値とにより決定される。
【0112】以上説明したように、本実施形態において
は、弾性部材23に取着される磁性体として高透磁率材
料からなる部材27を用い、部材27を当該部材27か
ら離間して配置された永久磁石77により磁化するよう
になっている。
【0113】このため、強力な永久磁石77を使用する
こと、すなわち永久磁石77の形成する磁場を強くする
ことにより、第2の実施の形態の永久磁石24の磁化の
強さに比べて、本実施形態の(高透磁率材料からなる)
部材27の磁化の強さを大きくすることが可能となる。
【0114】すなわち、第2の実施形態および本実施形
態の如く、コイル10の内部空間に磁性体からなる部材
(24または27)を配置する場合には、スペース上の
問題から大型の部材を配置することは困難である。周知
の通り、磁石の磁力は(材料および着磁条件等が同一な
らば)磁石の体積に比例する。このため、第2の実施の
形態の如く予め着磁された永久磁石24をコイル10内
に配置する態様では、永久磁石24の磁力に一定の制限
を受けることになる。これに対して、本実施形態によれ
ば、部材27を磁化する永久磁石77がコイル10の外
部に配置されているため、寸法上の制約が少ない。この
ため、大容積の磁石を用いることにより、部材27の磁
化の強さを強くすることが容易となる。
【0115】また、通常の永久磁石材料より高透磁率材
料の方が、弾性部材23の特性を損なう傾向が小さいと
いう利点もあるため、弾性部材23と円盤状部材27と
の接合面積を大きく設定しようとする場合に有利とな
る。
【0116】なお、本実施形態の把持装置の作動原理
は、第2の実施の形態に対して、弾性部材23に取着さ
れる部材の磁化方法が異なるのみであるため、第2の実
施の形態と同様に、弾性部材23を中立位置の一側のみ
で変位させるようにすることも可能である。
【0117】また、本実施形態における、弾性部材2
3、高透磁率材料からなる部材27、および永久磁石7
7を組み合わせた構成を、第2の実施の形態に開示され
た弾性部材23および永久磁石24を組み合わせた構成
に置換することも可能である。従って、第2の実施の形
態(第6の実施の形態においても同様に本実施形態の該
当部分と置換可能である。)における弾性部材23およ
び永久磁石24を組み合わせた構成を、本実施形態に開
示された構成に置換することも可能である。
【0118】第6の実施の形態 次に、第6の実施の形態について説明する。第6の実施
の形態は、第2の実施の形態に対して、流体収容部材を
剛体で形成するとともに固定部材と兼用した点が主とし
て異なり、把持装置1Fの本質的な作動原理は第2の実
施の形態と略同一である。第6の実施の形態において第
2の実施の形態と同一部分については同一符号を付し詳
細な説明は省略する。
【0119】図13に示すように、把持装置1Fは、剛
体と見なすことができる非磁性体材料からなる流体収容
部材80を備えている。この流体収容部材80の上側部
分84の内部には、相対的に小さな容積を有する円柱形
状の第1の部屋81と、相対的に大きな容積を有する円
柱形状の第2の部屋82と、第1の部屋81と第2の部
屋82とを連通する通路83とが形成されている。第1
の部屋81の軸方向に垂直な方向の断面を示す円の直径
r1は、第2の部屋82の軸方向に垂直な方向の断面を
示す円の直径r2より十分に小さくなっている。
【0120】第2の部屋82を区画する壁には、第2の
部屋82の周りを囲むように円筒状の中空コイル10が
埋め込まれている。そして永久磁石24が取り付けられ
た弾性部材23は、第2の実施の形態と同様の態様でコ
イル10の内周面に取り付けられている。なお、この場
合、弾性部材23は流体収容部材の一部を構成すること
になる。
【0121】また、流体収容部材80は、第1の部屋8
1の壁面に対して摺動自在に設けられたピストン86を
有している。すなわち、ピストン86は、流体収容部材
80の変位可能な第1の部分として機能するように設け
られている。
【0122】なお、ピストン86と第1の部屋81の壁
面との間、コイル10の内周面、およびコイル10と弾
性部材23の外周端縁との間等の必要な部分には、図示
はされていないが、適当なシールが施されている。
【0123】次に、上記構成を有する本実施形態の作用
について説明する。
【0124】第2の実施の形態と同様にして弾性部材2
3を図13の左方向に変位させると、第2の部屋82内
にある流体が、第1の部屋81に向かって押し出され、
これにより、第1の部屋81の内圧上昇とともにピスト
ン86が下方に変位する。そして流体収容部材80の下
側部分85の上面に載置された把持対象物3は、ピスト
ン86の先端部分86aの下面と下側部分85の上面と
の間で把持される。
【0125】一方、弾性部材23を図中右方向に変位さ
せることにより、ピストン86が上昇し、把持状態が解
除される。
【0126】なお、以上の説明より理解されるように、
本実施形態におけるピストン86が把持動作を実現する
ためのものである必要は必ずしもない。すなわち、ピス
トン86に適当なエンドエフェクタを装着することによ
り把持動作以外の動作を実現することも可能である。
【0127】更に、図14に示すような構成とすること
により、小型の流体用ポンプ(あるいは流体加圧装置)
を実現することも可能である。
【0128】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
装置全体の小型化、把持および解放動作の十分な応答
性、および十分なエネルギ効率を同時に達成できる把持
装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による把持装置の第1の実施の形態を示
す斜視図である。固定部材の上部手前側は破断され内部
の構成が示されている。
【図2】第1の実施の形態の構成および作用を示す断面
図。
【図3】本発明による把持装置の第2の実施の形態を示
す斜視図である。固定部材の上部手前側は破断され内部
の構成が示されている。
【図4】第2の実施の形態の構成および作用を示す断面
図。
【図5】第2の実施の形態の作用の詳細を模式的に示す
概略断面図。
【図6】第2の実施の形態の変形例を示す断面図。
【図7】本発明による把持装置の第3の実施の形態を示
す斜視図である。固定部材の上部手前側は破断され内部
の構成が示されている。
【図8】第3の実施の形態の構成および作用を示す断面
図。
【図9】本発明による把持装置の第4の実施の形態を示
す図であって、把持装置の構成および作用を示す断面
図。
【図10】第4の実施の形態の変形例を示す図。
【図11】本発明による把持装置の第5の実施の形態を
示す斜視図である。固定部材の上部手前側は破断され内
部の構成が示されている。
【図12】第5の実施の形態の構成および作用を示す断
面図。
【図13】本発明の第6の実施の形態を示す断面図。
【図14】第6の実施の形態の応用例を示す図。
【図15】従来の把持装置を示す図。
【図16】従来の把持装置を示す図。
【図17】従来の把持装置を示す図。
【符号の説明】
10、11、12 磁場形成手段 24、27、 磁性体(この用語には磁性流体中の磁性
粉末が含まれる) 20、40、60、80 流体収容部材

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】通電状態に対応して変化する磁場を形成す
    る磁場形成手段と、 前記磁場形成手段が形成する磁場を変化させることによ
    り移動する磁性体と、 前記磁性体の移動に対応して移動する流体と、 前記流体が収容された内部空間を有するとともに、前記
    流体の移動に伴い変位する第1の部分を有する流体収容
    部材と、 前記第1の部分の変位に伴い変位して把持対象物を把持
    する可動部材と、を備えたことを特徴とする把持装置。
  2. 【請求項2】前記磁性体は着磁された磁性体粉末からな
    り、 前記磁性体粉末は、前記流体収容部材の内部空間に収容
    されるとともに前記流体中に分散することにより磁性流
    体を形成していること特徴とする請求項1に記載の把持
    装置。
  3. 【請求項3】前記流体収容部材は、前記磁性体が取り付
    けられるとともに前記磁性体の移動に対応して変位する
    第2の部分を更に有し、 前記第2の部分を変位させることにより、前記流体が前
    記流体収容部材内で移動することを特徴とする請求項1
    に記載の把持装置。
  4. 【請求項4】前記磁性体は着磁されていることを特徴と
    する請求項3に記載の把持装置。
  5. 【請求項5】前記磁性体は高透磁率材料からなり、 前記磁性体を磁化するための磁化用磁石を更に備えたこ
    とを特徴とする請求項3に記載の把持装置。
  6. 【請求項6】前記流体収容部材のうち少なくとも前記第
    1の部分は、前記流体の圧力変化に応じて変形自在の部
    材として形成されるとともに、それ自体が前記可動部材
    をなし、前記第1の部分が把持対象物を直接把持するよ
    うになっていることを特徴とする請求項1乃至5のいず
    れかに記載の把持装置。
  7. 【請求項7】前記流体収容部材を保持する固定部材と、 前記固定部材に取り付けられるとともに、前記可動部材
    を回動可能に支持する弾性部材と、を更に備え、 前記流体収容部材の第1の部分は、前記可動部材に取り
    付けられており、 前記第1の部材を変位させることにより、前記可動部材
    が前記弾性部材のバネ力に対抗して前記固定部材の方向
    に回動し、これにより把持対象物を前記固定部材および
    可動部材により把持することができるように構成されて
    いることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載
    の把持装置。
JP06152197A 1997-03-14 1997-03-14 把持装置 Expired - Fee Related JP3469424B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06152197A JP3469424B2 (ja) 1997-03-14 1997-03-14 把持装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP06152197A JP3469424B2 (ja) 1997-03-14 1997-03-14 把持装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH10249776A true JPH10249776A (ja) 1998-09-22
JP3469424B2 JP3469424B2 (ja) 2003-11-25

Family

ID=13173491

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP06152197A Expired - Fee Related JP3469424B2 (ja) 1997-03-14 1997-03-14 把持装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3469424B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002301681A (ja) * 2001-04-02 2002-10-15 Smc Corp 細径ワーク用エアチャック
JP2016518173A (ja) * 2013-03-29 2016-06-23 コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェKoninklijke Philips N.V. 磁気粘性に基づいたアクチュエータを有する力フィードバックグリップデバイス
KR20190031007A (ko) * 2017-09-15 2019-03-25 인하대학교 산학협력단 자기유변탄성체를 이용한 차량용 공명기
KR20200051206A (ko) * 2018-11-05 2020-05-13 한국과학기술연구원 유압 그리퍼 및 유압 그리퍼 시스템

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002301681A (ja) * 2001-04-02 2002-10-15 Smc Corp 細径ワーク用エアチャック
JP4596204B2 (ja) * 2001-04-02 2010-12-08 Smc株式会社 細径ワーク用エアチャック
JP2016518173A (ja) * 2013-03-29 2016-06-23 コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェKoninklijke Philips N.V. 磁気粘性に基づいたアクチュエータを有する力フィードバックグリップデバイス
US10414054B2 (en) 2013-03-29 2019-09-17 Koninklijke Philips N.V. Force feedback gripping device with magnetorheological based actuator
KR20190031007A (ko) * 2017-09-15 2019-03-25 인하대학교 산학협력단 자기유변탄성체를 이용한 차량용 공명기
KR20200051206A (ko) * 2018-11-05 2020-05-13 한국과학기술연구원 유압 그리퍼 및 유압 그리퍼 시스템

Also Published As

Publication number Publication date
JP3469424B2 (ja) 2003-11-25

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Hunter et al. A comparative analysis of actuator technologies for robotics
US7688168B2 (en) Actuators based on ferromagnetic shape memory alloy composites
US20130270056A1 (en) Hybrid coded magnets and sma positive drive clutch
US4903578A (en) Electropneumatic rotary actuator having proportional fluid valving
JP2006178291A5 (ja)
KR880011443A (ko) 전자 밸브 작동기
US20120175974A1 (en) Compact electromechanical mechanism and devices incorporating the same
CN108494202B (zh) 一种可磁化重构的机器人关节电机
EP3892866B1 (en) Bistable hydraulic solenoid valve
US20140062628A1 (en) Electromagnetic actuator device
Tortora et al. Design of an autonomous swimming miniature robot based on a novel concept of magnetic actuation
Kim et al. Methodology of dynamic actuation for flexible magnetic actuator and biomimetic robotics application
JPH10249776A (ja) 把持装置
US20030108439A1 (en) Magnetohydraulic motor
CN100517522C (zh) 脉冲励磁双稳态电磁致动器
US7419367B2 (en) Magnetically actuated pump
CN205195480U (zh) 内置于螺线管线圈的摆动直驱装置
EP1030010A3 (en) Electromechanical actuator
JP2008054374A (ja) 磁気駆動機構
JP2008067462A (ja) リニアモータ及びそれを用いた実装装置
KR200187408Y1 (ko) 모터의 회전자 보조 구동 장치
JP4258982B2 (ja) 変速操作装置
CN111835175A (zh) 高频直动式力马达
WO2004064238A1 (fr) Procede et appareil permettant de commander le mouvement de va-et-vient d'un objet au moyen d'un pole magnetique rotatif et d'obtenir de l'energie cinetique
Akagi et al. Development of small-sized fluid control valve with self-holding function using permanent magnet

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070905

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080905

Year of fee payment: 5

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees