JP2007049861A - アウターロータ型の洗濯機用モータ及びロータの製造方法 - Google Patents

Abstract

【課題】 ヨークの真円度を担保し、ステータとのギャップを均一にできるアウターロータ型の洗濯機用モータ及びロータの製造方法を提供する。
【解決手段】 断面略Ｌ字状の環状ヨーク74の周壁75の内面に、複数の磁石72を配置し、樹脂73で被覆してなるロータ70を具え、該ロータ70をステータ40の外周に配置したアウターロータ型の洗濯機用モータにおいて、ヨーク74をモールド用金型80,83に挿入して、樹脂73で被覆する際に、ヨーク74の真円度を確保するために、ヨーク74の周壁75の少なくとも一部に、モールド用金型80と直接当接する当たり部76を設けた。
【選択図】 図３

Description

本発明は、洗濯機の内槽やパルセータを回転させるモータに関するものであり、より具体的には、ロータの真円度を担保することのできる洗濯機用モータ及びロータの製造方法に関するものである。

洗濯機の内槽やパルセータを回転させる洗濯機用モータは、コイルを巻回したステータと、ステータの内周又は外周に回転自在に配置されたロータから構成されており、ロータを動力伝達可能に内槽やパルセータに連結し、内槽やパルセータを回転させる(例えば、特許文献１参照)。
ステータがロータの内周側に配置されるアウターロータ型モータでは、ロータは、環状のヨークの内周壁に磁石を取り付け、インサート成形によって、全体を樹脂被覆して作製される。

特開２０００−１５２５２９号公報

ヨークは、ケイ素鋼、ステンレス鋼等を絞り加工することによって作製される。しかしながら、絞り加工では、加工時のひずみや変形により、ヨークの真円度を確保することが困難であり、ヨークが楕円形状等に歪んだり変形してしまうことがある。
モータの損失を低くするには、ステータとロータとの間のギャップを極力小さくする必要があるが、ヨークの真円度を確保できなければ、ギャップが不均一となり、モータの回転が安定せず、また、磁気損失が増大し、所定の出力を発揮できないことがあった。

本発明の目的は、ヨークの真円度を担保し、ステータとのギャップを均一にできるアウターロータ型の洗濯機用モータ及びロータの製造方法を提供することである。

上記課題を解決するために本願発明のアウターロータ型の洗濯機用モータは、
断面略Ｌ字状の環状ヨークの周壁内面に、複数の磁石を配置し、樹脂で被覆してなるロータを具え、該ロータをステータの外周に配置したアウターロータ型の洗濯機用モータにおいて、
ヨークをモールド用金型に挿入して、樹脂被覆する際に、ヨークの真円度を確保するために、ヨークの周壁の少なくとも一部に、モールド用金型と直接当接する当たり部を設けた。

上記洗濯機用モータのロータの製造方法は、
ステータの外周に嵌まる断面略Ｌ字状の環状ヨークを絞り加工によって作製するステップ、
ヨークの周壁の内周面に磁石を取り付けて、モールド用金型に挿入し、樹脂被覆するステップと、
を有するアウターロータ型の洗濯機用モータのロータの製造方法において、
ヨークの周壁には、モールド用金型にヨークを挿入したときに、モールド用金型の内面と当接し、ヨークの真円度を担保する当たり部を設け、当たり部がモールド用金型の内面と直接当接した状態で樹脂被覆を行なうようにした。

本発明の洗濯機用モータによれば、ヨークを樹脂モールドする際に、モールド用金型の内面にヨークの当たり部を当てることによって、ヨークを真円に矯正することができる。このため、得られたロータも真円度を確保しているから、ステータとのギャップを均一にでき、モータの性能を向上させ、動作安定性を高めることができる。

本発明の洗濯機用モータ(30)を搭載した洗濯機(10)について、図面を参照しながら説明する。

図１は、本発明の洗濯機用モータ(30)を搭載した洗濯機(10)の断面図、図２は、駆動機構の拡大断面図である。洗濯機(10)は、筺体(11)に吊下支持された有底円筒状の外槽(12)(貯水槽)の内部に、周壁に多数の脱水孔(図示せず)を有する有底円筒状の内槽(13)(脱水槽)を回転自在に軸支して構成される。内槽(13)の内底面には、洗濯物を撹拌するためのパルセータ(15)(撹拌翼)が回転自在に支持されている。
内槽(13)は底面側に中空の主軸(14)が延びており、該主軸(14)にパルセータ(15)の回転軸である翼軸(16)がオイルレスメタル(17)を介して遊嵌されている。主軸(14)及び翼軸(16)は、外槽(12)を貫通しており、外槽(12)の下側に設けられた受け皿(18)の下面に取り付けられた動力伝達機構(20)を介して、洗濯機用モータ(30)に接続されている。
動力伝達機構(20)は、受け皿(18)の下面に固定された外周カバー(21)の内部に減速遊星機構からなる減速機構(22)及びクラッチ機構(23)(例えばクラッチスプリング機構)と駆動軸(31)を連繋して構成される。減速機構(22)及びクラッチ機構(23)は、洗いやすすぎ運転のときに、洗濯機用モータ(30)の駆動力を翼軸(16)に伝達して、パルセータ(15)のみを回転させる。また、脱水運転のときには、洗濯機用モータ(30)の駆動力を翼軸(16)と主軸(14)の両方に伝達させて、内槽(13)とパルセータ(15)を一体に回転駆動させるように、動力伝達の切替えを行なう。なお、主軸(14)及び翼軸(16)と洗濯機用モータ(30)の駆動軸(31)との動力伝達機構は、上記に限定されるものではなく、また、減速を必要としない場合には、動力伝達機構(20)の一部又は全部を省略した所謂ダイレクトドライブ機構とすることも可能である。

洗濯機用モータ(30)は、図２に示すように、内側にステータ(40)、外側にロータ(70)を配置したアウターロータ型のモータを例示できる。ステータ(40)は、前記動力伝達機構(20)の外周カバー(21)に取り付けられており、ロータ(70)は、ステータ(40)の外周を覆うように、ステータ(40)と同芯に嵌まっている。

ステータ(40)は、環状の鉄心(41)を複数積層して構成される。鉄心(41)は、環状の継鉄部と、該継鉄部の外周から突設されたティースから構成される。ティースには、後述するとおりコイル(51)が巻回される。

積層された鉄心(41)は、絶縁性を有するＰＢＴ樹脂(ポリブチレンテレフタレート樹脂)でティースの先端以外に絶縁性樹脂モールド(52)が施される。ティースの先端を樹脂モールドしないのは、後述するロータ(70)とのギャップを可及的に短くするためである。
絶縁性樹脂モールド(52)には、コイル(51)のずれ止めのリブ(53)(53)を形成しておくことが望ましい。

鉄心(41)に絶縁性樹脂モールド(52)を施した後、ティースに夫々コイル(51)を巻回し、所定の電気的な配線が施され、ステータ(40)が作製される。なお、三相交流モータの場合、三組のコイル(51)が各ティースに順に巻回される。

作製されたステータ(40)には、防水の目的及びステータ(40)を動力伝達機構(20)の外周カバー(21)に取り付けるために、樹脂モールド(54)を施す。モールドする樹脂として、ＢＭＣ樹脂(バルクモールディングコンパウンド樹脂、例えば熱硬化性の不飽和ポリエステル)を例示できる。なお、この場合もティースの先端には樹脂モールドを施さず、露出させておく。
上記のように、ステータ(40)を防水樹脂モールド(54)することにより、モータ(30)内に水が侵入しても、コイル(51)がショートしてしまうことはなく、錆び等の劣化も防止することができる利点がある。

ステータ(40)をステータハウジング(54)で包囲した後、ステータハウジング(54)は、動力伝達機構(20)の外周カバー(21)に取り付けられ、ステータ(40)の外周に、ロータ(70)が配置される。

ステータ(40)の外周には、ロータ(70)が配置される。
ロータ(70)は、図３及び図４に示すように、有底短円筒状であり、図２に示すように、ステータ(40)と同芯に配備され、中心に駆動軸(31)が連結される。

ロータ(70)は、断面略Ｌ字状の環状ヨーク(74)、磁石(72)、駆動軸(31)の取り付けられる円形底板(78)、及び、樹脂モールド(73)から形成することができる。
ヨーク(74)は、ケイ素鋼、軟鉄、パーマロイ、ステンレス鋼等を図３及び図４に示すように、断面略Ｌ字状に絞り加工したものである。ヨーク(74)の周壁(75)の内面には、磁石(72)(72)が複数配置される。

一般に上記材料の金属板を絞り加工を施し、断面略Ｌ字状の環状のヨーク(74)を作製すると、加工の際に生ずるひずみや変形により、周壁(75)の真円度を担保できない。従って、本発明では、図５に示すように、ヨーク(74)に磁石(72)(72)を取り付けた後、樹脂モールド(73)を行なう際に、樹脂モールド用の金型のコア(80)の周面に周壁(75)の一部又は全部を当接させ、周壁(75)の真円度を確保した上で、樹脂モールド(73)を施すようにしている。なお、当たり部(76)は、金型(80)の内面と当接するから、樹脂被覆は施されない。

当たり部(76)は、周壁(75)の先端に形成することが望ましい。また、当たり部(76)は、周壁(75)の一周全体に亘って形成してもよいし、図３に示すように、所定間隔毎に形成してもよい。当たり部(76)を所定間隔毎に形成する場合、周壁(75)の真円度を確保するために、少なくとも３カ所以上とすることが望ましい。なお、樹脂被覆は、強度向上のために行なわれるので、樹脂被覆されない当たり部(76)の面積はできるだけ小さくすることが望ましい。

金型のコア(80)には、真円の段付き凹み(81)と、中心に円形底板(78)の軸孔(79)が嵌まる凸部(82)が形成されている。ヨーク(74)は、周壁(75)の内面に磁石(72)を取り付けた状態で、金型コア(80)に周壁(75)が下向きとなるように配置し、周壁(75)をコア(80)の段付き凹み(81)に嵌める。当たり部(76)が段付き凹み(81)と当たることにより、ヨーク(74)が楕円状に歪んでいても真円に矯正される。
また、駆動軸(31)が取り付けられる円形底板(78)は、軸孔(79)がコア(80)の凸部(82)に嵌まるように配置する。

この状態で、金型のキャビティ(83)を嵌め、金型(80)(83)間の空隙に、ＢＭＣ樹脂(例えば熱硬化性の不飽和ポリエステル)の樹脂(73)を流し込むことにより、ヨーク(74)、磁石(72)及び円形底板(78)が樹脂モールド(73)される。当たり部(76)及び磁石(72)の内面側は、金型(80)(83)に直接当たっているため、樹脂被覆はされない。

得られたロータ(70)は、ステータ(40)の周りに、周壁(75)が上向きとなるように嵌めて、軸孔(79)を動力伝達機構(20)に連繋された駆動軸(31)に連結することによって取り付けられ、モータ(30)の組立が完了する。

上記構成の洗濯機用モータ(30)において、コイル(51)に通電を行なうと、コイル(51)に流れる三相交流電流によって、ステータ(40)に回転磁界が発生し、ロータ(70)が回転する。
ロータ(70)の回転は、動力伝達機構(20)に伝達されて、主軸(14)や翼軸(16)が回転し、内槽(13)、パルセータ(15)が回転する。

本発明のロータ(70)は、ヨーク(74)の周壁(75)の真円度が高いから、ステータ(40)とのギャップを小さく且つ一定にすることができ、磁気損失を低減でき、モータ(30)の性能向上、動作安定性の向上を達成できる。

本発明は、ヨークの真円度を高め、性能の向上及び動作安定性を向上できる洗濯機用モータとして好適である。

洗濯機の断面図である。 洗濯機の駆動機構の拡大断面図である。 ロータの斜視図である。 ロータの断面図である。 磁石を取り付けたヨークをモールド用金型に挿入し、樹脂モールドしている状態を示す断面図である。

符号の説明

(10) 洗濯機
(30) 洗濯機用モータ
(40) ステータ
(70) ロータ
(72) 磁石
(73) 樹脂モールド
(74) ヨーク
(75) 周壁
(76) 当たり部

Claims (5)

1. 断面略Ｌ字状の環状ヨークの周壁内面に、複数の磁石を配置し、樹脂で被覆してなるロータを具え、該ロータをステータの外周に配置したアウターロータ型の洗濯機用モータにおいて、
   ヨークをモールド用金型に挿入して、樹脂被覆する際に、ヨークの真円度を確保するために、ヨークの周壁の少なくとも一部に、モールド用金型と直接当接する当たり部を設けたことを特徴とするアウターロータ型の洗濯機用モータ。
2. 当たり部は、ヨークの周壁の先端に設けられる請求項１に記載のアウターロータ型の洗濯機用モータ。
3. 当たり部は、ヨークの周壁を一周するように設けられる請求項１又は請求項２に記載のアウターロータ型の洗濯機用モータ。
4. 当たり部は、ヨークの周壁の少なくとも３カ所に設けられる請求項１又は請求項２に記載のアウターロータ型の洗濯機用モータ。
5. 断面略Ｌ字状の環状ヨークを絞り加工によって作製するステップ、
   ヨークの周壁の内周面に磁石を取り付けて、モールド用金型に挿入し、樹脂被覆するステップと、
   を有するアウターロータ型の洗濯機用モータのロータの製造方法において、
   ヨークの周壁には、モールド用金型にヨークを挿入したときに、モールド用金型の内面と当接し、ヨークの真円度を担保する当たり部を設け、当たり部がモールド用金型の内面と直接当接した状態で樹脂被覆を行なうことを特徴とするアウターロータ型の洗濯機用モータのロータの製造方法。

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