JP2007049691A - アンテナモジュールおよび無線装置 - Google Patents

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宣匡 北森
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Abstract

【課題】様々な方向ごとに適切なビーム幅を設定し、アンテナモジュールの高性能化と、小型化とを図る。
【解決手段】アンテナモジュール41では、アンテナ基板42に設けたアンテナ43A、43B,43C,43D,43E,43Fが互いに異なる方向に指向する。マイクロストリップアレーアンテナ(43B,43C,43D,43E)は高いアンテナ利得が必要な方向に指向する。八木宇田アレーアンテナ(43A,43F)は広い検知領域が必要な方向に指向する。
アンテナ基板42を支持する支持基板44の側部に、電磁波を反射する電磁波反射面45を設けて、該電磁波反射面45で、八木宇田アレーアンテナ(43A,43F)の指向性を定める。
【選択図】図6

Description

本発明は、複数のアンテナを備えるアンテナモジュール、および、そのアンテナモジュールを備える無線装置に関する。
本発明の発明者らは、それぞれ異なる方向に指向するように角度を異ならせて配置した複数のホーンアンテナを備えたアンテナモジュールを提案している(特許文献1参照。)。
図1(A)を用いてこのアンテナモジュール1を説明する。アンテナモジュール1は、ケーシング2に複数のホーンアンテナ3A〜3Fを収めた構成であり、アンテナ切り換えスイッチ4によりホーンアンテナ3A〜3Fを切り換えて用いる。
このようなアンテナモジュール1は例えば車載レーダの一部として用いられるが、このような場合に、各ホーンアンテナ3A〜3Fのビーム指向方向と車の進行方向との関係によって、各方向に必要なアンテナ利得が異なるために、ビーム幅5A〜5Fは異なるものに設定される。例えば、高いアンテナ利得が求められる方向には狭いビーム幅が、広範囲の検知領域が求められる方向には広いビーム幅がそれぞれ必要となる。そこで、特許文献1では、各ホーンアンテナ3A〜3Fのビーム幅5A〜5Fをそれぞれのホーンアンテナ3A〜3Fの開口面の大きさにより定める。例えば、高いアンテナ利得よりも広範囲の検知領域が求められる方向に配したホーンアンテナ3A,3Fは、開口面を小さくすることによりビーム幅5A,5Fを広くしている。逆に、広範囲の検知領域よりも高いアンテナ利得が求められる方向に配したホーンアンテナ3C,3Dは、開口面を大きくすることによりビーム幅5C,5Dを狭くしている。
本発明の発明者らは、他にも誘電体レンズなどの2次放射器の裏面に1次放射器を配置しておき、1次放射器を回転させて高いアンテナ利得と広い検知領域とを切り換えることができるアンテナモジュールも提案している(特許文献2参照。)。
図1(B)を用いてこのアンテナモジュール1について説明する。このアンテナモジュール1は、回転する円形導波管2に1次放射器(ホーンアンテナ)3を配している。また、1次放射器3とは離れた位置に2次放射器6を配している。この2次放射器6は誘電体レンズなどであり、その焦点位置に円形導波管2を配置している。
このような構成では、1次放射器3から照射されるビームが2次放射器6を通過する場合は誘電体レンズアンテナとして作用して高いアンテナ利得を実現できる。また、1次放射器3の回転角度によっては、1次放射器3から照射されるビームが2次放射器6を通過せず、そのまま空間に放射され広い検知領域を実現できる。そのため、アンテナの指向する方向によって、高いアンテナ利得と広い検知領域とを切り換えて用いることができる。
また他にも、単一のビーム幅特性(指向性パターン)の放射器を複数備え、その配置により指向方向を異ならせ、様々な指向方向を得たアンテナモジュールが公知である(特許文献3参照。)。
特開2004−158911号公報 特開2004−112660号公報 特許第3411428号公報
以上に示した従来技術がレーダセンシングの分野で利用されているが、近年、さらなるアンテナモジュールの高性能化と小型化とが要求されてきている。
しかしながら、従来技術のアンテナモジュールにおいては、さらなる高性能化(高アンテナ利得の実現や、指向性パターンの改善)と小型化とを両立させることが難しく、その解決が求められることになった。
特許文献1においては、例えば高アンテナ利得が必要とされる方向に向けるホーンアンテナでは、その開口面を大きくすることでアンテナのビーム幅を狭くする。また、広い検知領域が必要とされる方向に向けるホーンアンテナでは、その開口面を小さくすることでアンテナのビーム幅を広くする。このようにしてアンテナモジュールの高性能化を実現していた。しかしながら、このような開口面を大きくしたホーンアンテナは、必然的に奥行サイズが大きなものとなり小型化の問題を十分に解決するものではなかった。
また、特許文献2においても、1次放射器と2次放射器との間に所定の間隙が必要となるために、これも小型化の問題を十分に解決するものではなかった。
また、特許文献3においては、高性能化のためにビーム幅を異ならせる場合に、アンテナの構成自体を変更する必要があり、アンテナモジュール全体としての小型化と高性能化を両立して実現するものではなかった。
そこで、本発明は、様々な方向ごとに適切なビーム幅を実現して、アンテナモジュールの高性能化を図りながらも、従来よりも小型化を可能にすることを目的とする。
本発明のアンテナモジュールは、異なる方向に指向する複数のアンテナを備えたアンテナモジュールであって、前記複数のアンテナを複数種のアンテナで構成し、少なくとも1つのアンテナはアレーアンテナとしたことを特徴とする。
このように、アレーアンテナを用いて、また各方向に適切なビーム幅特性を実現する複数種のアンテナを用いてアンテナモジュール全体を高性能化する。すると、アレーアンテナは薄板上に搭載可能であるために、アンテナモジュール全体としてのサイズを容易に小型化(薄型化)でき、相反する2つの要求(高性能化、小型化)を満足させることができる。
また、本発明のアンテナモジュールでは、複数のアンテナとして、高いアンテナ利得が必要な方向に指向する導波管スロットアレーアンテナと、広い検知領域が必要な方向に指向するマイクロストリップアレーアンテナと、を含むことを特徴とする。
このように、導波管スロットアレーアンテナを、より高アンテナ利得が必要とされる方向に用いて、また、その方向よりは広い検知領域が必要な方向にマイクロストリップアレーアンテナを用いて、アンテナモジュール全体の高性能化を実現する。すると、導波管スロットアレーアンテナ、マイクロストリップアレーアンテナはともに薄板上に搭載可能であるために、アンテナモジュール全体のサイズを容易に小型化(薄型化)でき、相反する2つの要求(高性能化、小型化)をさらに満足させることができる。
また、本発明のアンテナモジュールでは、前記複数のアンテナを略単一のアンテナ基板に配することを特徴とする。
このように、多くのアンテナを略単一のアンテナ基板上に実現することでアンテナモジュールのサイズを最大限に小型化(薄型化)できる。
また、本発明のアンテナモジュールでは、前記複数のアンテナは、前記アンテナ基板の主面に対して略垂直方向に指向する垂直放射型のアンテナと、前記アンテナ基板の主面に対して略平行方向に指向する平行放射型のアンテナと、を含むことを特徴とする。
このようにして、略垂直方向、略平行方向の検知領域に対してそれぞれ垂直放射型のアンテナと平行放射型のアンテナを用いるため、このアンテナモジュール全体を広角化できる。そのため、例えば広角ビーム走査に適したものとなり、さらなる高性能化が実現できる。
また、本発明のアンテナモジュールは、前記アンテナ基板を支持する支持基板を備え、前記支持基板の側部に電磁波を反射する電磁波反射面を設け、前記平行放射型のアンテナは、電磁波反射面により、このアンテナの前記平行方向の指向性を定める構成であることを特徴とする。
たとえば、アンテナ基板上のアンテナを1次放射器とし、電磁波反射面を2次放射器として用いることで、電磁波反射面により1次放射器からの電磁波を前記平行方向に偏向する。このようにすることで、平行放射型のアンテナの1次放射器として、電磁波を平行放射するアンテナに限らずに、垂直放射するアンテナを選択することもできる。これにより、この1次放射器の指向性パターンをより望ましいものに設定できる。
また、たとえば、アンテナ基板上のアンテナが電磁波を平行放射するアンテナである場合であっても、アンテナ近傍の指向性パターンの一部と重なる位置に電磁波反射面を配置すれば、その指向性パターンをより精緻に設定でき、電磁波反射面を所望角度に設定することにより、ビーム方向を所望方向に設定できる。
さらに、電磁波反射面を支持基板の側部に設けることで、部品点数の低減を図ることができ、部品コスト、製造コストともに抑制できる。
また、上記課題を解決する本発明の無線装置は、上記アンテナモジュールを信号送受信部に備えることを特徴とする。
以上のように本発明によれば、薄板上に搭載できるアレーアンテナを用いて、全体のサイズを小型化(薄型化)し、高性能化を行ったアンテナモジュールを提供できる。
さらに、各方向(例えば平行方向)に対応させるアンテナの種類を柔軟に選択でき、より高性能化と小型化に適したアンテナモジュールを提供できる。
次に、第1の実施形態について図2に基づいて説明する。
ここでは、説明のために図中に示す直交座標系(X−Y−Z軸)を用いる。各アンテナはXY面における所定の方向を向けて配置する。以下の説明では、それぞれの方向をX軸に近い角度の方向からY軸までを順に、方向A、方向B、方向Cとする。また、逆にY軸に近い角度の方向からX′軸(X軸の負の方向)までを順に、方向D、方向E、方向Fとする。
このアンテナモジュール11において、ケーシング12はXY面が略半円状または略半楕円状の断面を有し、Z軸方向に所定寸法を持つ筐体である。このケーシング12には、複数のアンテナ13A,13B,13C,13D,13E,13Fを前記円周の外縁に沿って配置している。ここでアンテナ13Aは方向Aに向くように配置しており、アンテナ13Bは方向Bに向くように配置しており、アンテナ13Cは方向Cに向くように配置しており、アンテナ13Dは方向Dに向くように配置しており、アンテナ13Eは方向Eに向くように配置しており、アンテナ13Fは方向Fに向くように配置している。
また、ケーシング12の内部にはアンテナ切り換えスイッチ(図示せず。)を設け、該スイッチによりアンテナ13A,13B,13C,13D,13E,13Fへの給電を切り換え可能なように構成している。
各アンテナ13A,13B,13C,13D,13E,13Fはアンテナ種類が異なり、アンテナ13A,13Fはホーンアンテナ、アンテナ13B,13Eはマイクロストリップアレーアンテナ、アンテナ13C,13Dは導波管スロットアレーアンテナである。
ホーンアンテナ(13A,13F)は、導電性金属ブロックに開口導波管15を設けることで構成している。開口導波管15は、ブロックのXY面の中心点O側から方向A,方向Fに向かい、しだいに拡開し、半円の端面で開口するように形成している。
このようなホーンアンテナ(13A,13F)によれば、開口導波管15を電磁波が伝搬し、その結果、開口から自由空間に亘って指向性パターンが生じることになる。この指向性パターンは、開口寸法を設定することにより設定可能であるが、ここでは、XY面での開口寸法を比較的小さなものに設定することで図2(B)に示すような広い検知領域を得るようにしている。
また、マイクロストリップアレーアンテナ(13B,13E)は、マイクロストリップ型のパッチ電極16と、基板の裏面に設けた裏面電極とにより構成している。複数のパッチ電極16は給電点から縦続接続して4列に構成している。
このようなマイクロストリップアレーアンテナ(13B,13E)によれば、各パッチ電極の位相や振幅、配置個数や配列などを設定することで、所望の指向方向や所望のアンテナ利得、所望のビーム幅特性などを実現できる。ここでは、それぞれのパッチ電極16の配置間隔や寸法、面積などを設定して各パッチ電極16が同位相、同振幅で励振するようにし、基板に略垂直な方向にアンテナの指向性パターンを得て、図2(B)に示すようにXY面における、比較的広い検知領域と比較的大きなアンテナ利得とを実現している。
また、導波管スロットアレーアンテナ(13C,13D)は、ケーシング12内部にTE01モードで励振する複数の方形導波管を設け、それらの導波管のH面またはE面がケーシング12の端面となるようにして構成している。ここでは、図2(B)に示すようにXY面における、大きなアンテナ利得を得るようにそのスロットの形状や配置を設定している。
以上のように、複数の方向のうち、より高いアンテナ利得が必要とされる方向に対して、アレーアンテナを対応させてアンテナモジュール11を構成する。このために、従来のようなサイズが大きくなりがちなホーンアンテナを必ずしも全方位に必要としないでアンテナモジュール11を構成することができる。本実施形態の場合には特にY軸方向の寸法を従来より小さくしてアンテナモジュール11を構成できる。
また、一般に、導波管スロットアレーアンテナ(13C,13D)はマイクロストリップアレーアンテナ(13B,13E)に比べると損失が小さく、したがって大きなアンテナ利得を得ることができる。そのため、本実施形態のアンテナモジュール11は、図2(B)に示すようにXY面におけるY軸に近い方向(方向Cおよび方向D)ほど高アンテナ利得を得ることができ、逆にX軸に近い方向(方向Aおよび方向F)ほど広い検知領域を得ることができる。このように、高アンテナ利得を得ることができる導波管スロットアレーアンテナ13Cおよび13Dと、ある程度のアンテナ利得と検知領域を実現できるマイクロストリップアレーアンテナ13Bおよび13Eと、広い検知領域を得ることができるホーンアンテナ13Aおよび13Fと、を適切に配置したことにより、アンテナモジュール11の高性能化を実現し、従来より小型化することができる。
次に、各アンテナに生じるグレーティングローブについて説明する。
一般にアレーアンテナにおいて、高周波の管内波長が自由空間波長に比べて短いアンテナでは、所謂グレーティングローブが可視領域に生じない性質があり、良好な指向性パターンを得られる。一方、高周波の管内波長が自由空間波長に比べて長いアンテナでは、所謂グレーティングローブが生じやすい性質があり、良好な指向性パターンを得ることが困難である。
図3はマイクロストリップアレーアンテナについて説明する図であり、図4は導波管スロットアレーアンテナについて説明する図である。
図3(A)は、マイクロストリップアレーアンテナのメインローブを示しており、図3(B)は指向性パターンを示した図である。図中の実線は、メインローブを90°の方向に向けた場合のものであり、破線は、メインローブを45°の方向に向けた場合のものである。
マイクロストリップアレーアンテナのようなアンテナでは、高周波の管内波長が自由空間波長に比べて短く、「アレー素子間隔 < 自由空間波長」の場合、図3(B)に示すように、グレーティングローブが可視領域に表れることが無い。
このため、マイクロストリップアレーアンテナの指向性パターンでは、メインローブにのみ最大アンテナ利得が得られる。なお、この図で低いアンテナ利得が得られている角度のローブはサイドローブである。
一方、図4(A)は導波管スロットアレーアンテナのメインローブを示しており、図4(B)は指向性パターンを示した図である。図中の実線は、メインローブを90°の方向に向けた場合であり、破線はメインローブを45°の方向に向けた場合である。
導波管スロットアレーアンテナのようなアンテナでは、高周波の管内波長が自由空間波長に比べて長く、図4(B)に示すように、グレーティングローブが可視領域に表れてしまう。導波管スロットアレーアンテナの指向性パターンでは、最大アンテナ利得を得られる角度が複数あり、これらが即ちメインローブとグレーティングローブとなる。
図4(B)に示す例では、90°方向にメインローブを生じさせた場合には、20°及び160°方向にグレーティングローブが生じる。また、45°方向にメインローブを生じさせた場合には、100°方向にグレーティングローブが生じている。
このように導波管スロットアレーアンテナは、高アンテナ利得を実現できる一方、グレーティングローブが生じてしまうという問題がある。また、マイクロストリップアレーアンテナは、アンテナ利得は比較的低い一方、グレーティングローブが生じないという利点がある。
このために、本実施形態では、導波管スロットアレーアンテナ(13C,13D)を方向C,Dに向けて配置することで、この方向C,Dに向けて高いアンテナ利得を得るとともに、グレーティングローブを低仰角方向(X軸に近い方向)に向かせる。
また、マイクロストリップアレーアンテナ(13B,13E)を方向B,Eに向けて配置することで、この方向B,Eに向けて、ある程度の高いアンテナ利得と、広い検知領域とを両立させるとともにグレーティングローブの問題を回避する。
これにより、このアンテナモジュール11をレーダに用いた場合に、高仰角の方向にグレーティングローブを発生させず、他の車両などの誤検知を無くす。また、低仰角な方向に生じるグレーティングローブに写り込む道路設備などの物標を信号処理により除去できるようにしている。また、より狭いビーム幅となるようにスロットの形状や位相を設定することで、導波管スロットアレーアンテナ(13C,13D)のメインローブだけではなく、グレーティングローブのビーム幅も狭くできる。
以上のように導波管スロットアレーアンテナとマイクロストリップアレーアンテナとを使い分けることで本実施形態では、グレーティングローブによる影響を抑制できる。
なお、本実施形態では、ホーンアンテナを配したアンテナモジュールを提示したが、本発明はこれに限らずホーンアンテナに変えて誘電体レンズアンテナを用いてもよい。
また、マイクロストリップラインを用いたマイクロストリップアレーアンテナを提示したが、本発明はこれに限らずマイクロストリップアレーアンテナの代わりに、コプレーナ線路で構成したアンテナを用いてもよく、サスペンディッド線路で構成したアンテナを用いてもよく、トリプレート型で構成したアンテナを用いてもよい。
また、本実施形態では、Y軸に近い方向(方向Cおよび方向D)ほど高い角度分解能と高アンテナ利得が必要であり、X軸に近い方向(方向Aおよび方向F)ほど広い検知領域が必要な場合の構成例を示したが、逆にY軸に近い方向Aおよび方向Fに高い角度分解能と高アンテナ利得が必要であり、X軸に近い方向Cおよび方向Dに広い検知領域が必要な場合には、配置を逆にして構成することもできる。
このように本実施形態は、高角度分解能と高アンテナ利得が必要な方向に向けて、アレーアンテナを配し、広検知領域が必要な方向に他のアンテナを配する。これによりアンテナモジュール11全体の高性能化とサイズの小型化を実現し、相反する2つの要求(高性能化、小型化)を満足させることができる。
次に、本発明の第2の実施形態について図5に基づいて説明する。
図5(A)は本実施形態のアンテナモジュール21の斜視図であり、このアンテナモジュール21はアンテナ基板22上に複数のアンテナ23A,23B,23C,23D,23Eを配置している点を特徴とする。
アンテナ基板22は支持基板24に接合しており、アンテナ基板22の図上面には導波管スロットアレーアンテナ(23B,23C,23D)のスロット27と、マイクロストリップアレーアンテナ(23A,23E)のパッチ電極26を設けている。またアンテナ基板22の裏面には、パッチ電極26に対向する部分周辺とスロット27に対向する部分周辺とに裏面電極を設けている。なお、ここではアンテナ基板22と支持基板24とを、ともに矩形の薄板状に構成し、スロット27はアンテナ基板22を貫通する孔として形成している。なお、スロット27は必ずしも貫通孔で構成しなくともよく、裏面電極に電極非形成部分を設けることでスロット27としてもよい。
マイクロストリップアレーアンテナ(23A,23E)のパッチ電極26の部分全体に設けた裏面電極と、パッチ電極26とは3列のマイクロストリップライン型の線路として構成している。ここでは複数のパッチ電極26を給電点から縦続接続し、3列に構成している。そのため3列の縦続接続したパッチ電極26がそれぞれ裏面電極とマイクロストリップラインをなす。また、それぞれのパッチ電極26が各列ごとに所定の位相差で励振するようにその配置間隔や寸法を設定している。また、それぞれのパッチ電極26が同振幅または所定の振幅差で励振するように各パッチ電極26の面積を設定している。このようなマイクロストリップアレーアンテナ(23A,23E)によれば、各パッチ電極26が所定の位相差で、且つ所定の振幅で励振するために、基板に略垂直な方向から所定の方向にチルトした方向にアンテナの指向性パターンが生じることになる。この指向性パターンは、パッチ電極26の配置間隔や寸法、配置個数などによって設定可能であり、このようにしてアンテナ利得やビーム幅特性を定めることができる。
導波管スロットアレーアンテナ(23B,23C,23D)のスロット27部分全体に対向する支持基板には空隙(ここではアンテナ23B,23C,23Dに対応して3列の空隙を備えている。)を設けており、この空隙の部分全体に電極を設けるとともに、アンテナ基板22の裏面の、間隙部分にあたる裏面電極と空隙表面の電極とによりTE01モードで励振するように導波管を形成している。そして、それらの導波管の一面が前記アンテナ基板の面となるようにして構成している。
このようなアンテナモジュール21では、導波管スロットアレーアンテナ(23B,23C,23D)により、アンテナ面に対し垂直方向に高アンテナ利得を得ることができ、また、マイクロストリップアレーアンテナ(23A,23E)により、アンテナ面の垂直方向からチルトした方向に広い検知領域を得ることができる。これによりアンテナモジュール11の高性能化を実現し、従来のアンテナより小型化することができる。
また、導波管スロットアレーアンテナ(23B,23C,23D)はマイクロストリップアレーアンテナ(23A,23E)に比べて低損失であり、高アンテナ利得を実現できるものである。さらに、マイクロストリップアレーアンテナ(23A,23E)は導波管スロットアレーアンテナ(23B,23C,23D)に比べてグレーティングローブの影響が少ないものである。そのため、グレーティングローブによる影響を抑制することもできる。
このように、アンテナ基板22に複数のアンテナ23A,23B,23C,23D,23Eを配しているために、本実施形態のアンテナモジュールでは、アンテナモジュール21全体のサイズを極めて小型化(薄型化)できる。
次に、本実施形態の変形例を図5(B)に示す。
本変形例のアンテナモジュール31では、導波管スロットアレーアンテナ(33A,33F)に、アンテナ基板32の垂直方向からチルトした方向の指向性を持たせている。また、マイクロストリップアレーアンテナ(34B,34C,34D,34E)に、アンテナ基板32の垂直方向の指向性を持たせている。このように、高いアンテナ利得が必要な方向が垂直方向でなく垂直方向からチルトした方向であっても、その方向に最適な指向性パターンを有するアレーアンテナを配することで、アンテナモジュール31全体のサイズを最大限に薄型化しながら高アンテナ利得を実現し、且つ、高アンテナ利得が必要な方向にグレーティングローブが生じることを防いでいる。
次に、本発明の第3の実施形態について図6に基づいて説明する。
図6(A)は本実施形態のアンテナモジュール41の斜視図であり、図6(B)はそのアンテナモジュール41の断面斜視図である。このアンテナモジュール41はアンテナ基板42に支持基板44を接合して構成している。また、支持基板44にアンテナ43A,43Fからの電磁波を反射する電磁波反射面45を設けている。一部のアンテナ(43A,43F)の種類は前述の実施形態とは異なる。
アンテナモジュール41では、アンテナ基板42の図上面にはマイクロストリップアレーアンテナ(43B,43C,43D,43E)のパッチ電極46を設けている。またこのアンテナ基板の裏面にはマイクロストリップアレーアンテナ(43B,43C,43D,43E)のパッチ電極46と対向するように裏面電極を設けており、この裏面電極とパッチ電極46とでマイクロストリップライン型の線路を構成している。
また、アンテナ基板42の図上面にはさらにアレー状に配置した八木宇田アンテナ(以下、八木宇田アレーアンテナという。)(43A,43F)を設けている。八木宇田アレーアンテナ(43A,43F)は図6(C)に示すアンテナ素子を複数、給電点から縦続接続してなり、各アンテナ素子は図に示す放射器48と導波器49と、その裏面付近に設けた反射器(図示せず。)とから構成している。放射器48は分岐した2つの線路から構成していて、分岐された一方の線路長が他方の線路長よりも高周波信号の半波長分だけ長くなるようにしている。
この八木宇田アレーアンテナ(43A,43F)は、アンテナ基板42から略平行な方向に、且つアンテナ素子の配列方向に対して垂直な方向に電磁波を放射する。
このようにアンテナ面から略垂直方向に電磁波を放射するマイクロストリップアレーアンテナ(43B,43C,43D,43E)と、略平行方向に電磁波を放射する八木宇田アレーアンテナ(43A,43F)とを備えるため、このアンテナモジュール41全体を広角化して用いることができる。このようにすることで、例えば広角ビーム走査に適したアンテナモジュールを構成することになり、さらなる高性能化が実現できる。
また、本実施形態では、八木宇田アレーアンテナ(43A,43F)の本来の指向性パターンの一部に重なるように、支持基板44に電磁波反射面45を設けている。電磁波反射面45には、金属膜を設けており、これにより、八木宇田アレーアンテナ(43A,43F)からの電磁波を反射することになる。また、この電磁波反射面45の形状は、ビーム方向を所望方向に向ける形状になっており、これにより、八木宇田アレーアンテナ(43A,43F)からの電磁波を偏向する構成になっている。そのために、八木宇田アレーアンテナ(43A,43F)のアンテナ利得を高くしたり、検知領域を広くしたりでき、アンテナ特性をさらに精緻に設定できる。
また、電磁波反射面45が支持基板44の側部に設けてあることで、部品点数が削減でき、部品コスト、製造コストともに抑制できる。
次に、本発明の他の実施形態について図7に基づいて説明する。
図7(A)は第3の実施形態のアンテナモジュール41と略同様な構成のアンテナモジュール51であるが支持基板54に電磁波反射面を設けていない点で相違する。このように電磁波反射面を設けていなくとも、八木宇田アレーアンテナ(53A,53F)を用いているために容易に平行放射型のアレーアンテナが構成できる。
また、図7(B)は第3の実施形態のアンテナモジュール41と略同様な構成のアンテナモジュール61であるが、アンテナ基板62にはマイクロストリップアレーアンテナに代えて、導波管スロットアレーアンテナ(63B,63C,63D)を設けている点で相違する。このように導波管スロットアレーアンテナ(63B,63C,63D)を用いてもよく、このような構成により、垂直方向のアンテナ利得を更に高くできる。
また、図7(C)は第3の実施形態のアンテナモジュール41と略同様な構成のアンテナモジュール71であるがアンテナ基板72には八木宇田アレーアンテナのうちの1つに代えて、アンテナ基板にパッチ電極76を配したパラボラアンテナ(73A)を設けた構成である。
このように八木宇田アレーアンテナではなく、垂直方向に向けて指向性を有するパッチ電極76を用いて、電磁波反射面75によりその電磁波を偏向させてアンテナ基板72の平行方向に向けるため、パッチ電極76を1次放射器として、電磁波反射面を2次放射器として平行放射型のアンテナを構成することができる。なおこの例では、単一のパッチ電極76のみでパラボラアンテナ73Aを構成するが、このような場合でも、電磁波反射面によりそのパッチ電極76からの電磁波を集光し所望方向に指向性を持たせることができる。また、この例ではアンテナ基板72の図上面にのみパッチ電極76を設けたが、この部分にスルーホールなどを設けて、アンテナ基板72の裏面にパッチ電極76を配してもよい。
また、図7(D)のアンテナモジュール81は、導波管スロットアレーアンテナ(83B,83C,83D)と、パラボラアンテナ(83A,83E)とを備えている。このようにしても導波管スロットアレーアンテナ(83B,83C,83D)により大きなアンテナ利得を得ることができ、本発明は好適に実施できる。なお、この例では、パラボラアンテナ(83A,83E)として、導波管スロットアンテナを用い、そのスロット87を図での表示の無いアンテナ板82の裏面に設けている。この例では、アンテナ板82は金属製の箱状であり内部に空隙を備える。また、各アンテナ83A,83B,83C,83D,83Eに対向する空隙部分を区分するようにアンテナ板82内部に隔壁を備えており、各アンテナが設けられた部分が導波管となるように構成している。このようにアンテナ板に導波管を設けてもよく、とくに導波管の構成に係らずに本発明は実施できる。
次に本発明の無線装置について図8に基づいて説明する。ここでは無線装置の具体例としてレーダ装置の信号送受信部の構成を説明する。
レーダ装置100は、電圧制御発振器101と、該電圧制御発振器101に増幅器102、サーキュレータ104を介して接続されたスイッチ回路105と、該スイッチ回路105に接続される、第3の実施形態で示したアンテナモジュール41と、受信アンテナ108から受信した信号を中間周波信号IFにダウンコンバートするためにサーキュレータ106に接続されたミキサ107とによって概略構成されている。また、増幅器102とサーキュレータ104との間には方向性結合器103が接続して設けられ、この方向性結合器103によって電力分配された信号は、ミキサ107にローカル信号として入力される。また、スイッチ回路105は、アンテナモジュール41の各アンテナ43A〜43FのうちいずれかをCPU(不図示)から指示されるタイミングで切り替えながら選択する。
レーダ装置100は上述の如き構成を信号送受信部に有するもので、電圧制御発振器101から出力された発振信号は増幅器102によって増幅され、方向性結合器103およびサーキュレータ104を経由して、スイッチ回路105により選択されているアンテナモジュール41のアンテナから送信信号として送信される。一方、受信アンテナ装置108から受信された受信信号はサーキュレータ106を通じてミキサ107に入力されると共に、方向性結合器103によるローカル信号を用いてダウンコンバートされ、中間周波信号IFとして出力される。
かくして、本実施の形態によれば、アンテナモジュール41を用いてレーダ装置100を構成したから、様々な方向ごとに適切なビーム幅を実現し、従来よりも小型化したレーダ装置を提供できる。
なお、本発明によるアンテナ装置はレーダ装置以外のさまざまな無線装置に適用してもよい。
また、図示する構成に、さらに符号化・復号化回路、同期制御回路、変調器、復調器、およびCPUなどから成る信号処理回路に接続して高周波モジュールおよび通信装置を構成してもよい。
従来のアンテナモジュールの構成例を示す図である。 第1の実施形態のアンテナモジュールの構成例を示す図である。 マイクロストリップアレーアンテナの指向性を説明する図である。 導波管スロットアレーアンテナの指向性を説明する図である。 第2の実施形態のアンテナモジュールの構成例を示す図である。 第3の実施形態のアンテナモジュールの構成例を示す図である。 他の実施形態のアンテナモジュールの構成例を示す図である。 レーダ装置の構成例を示す図である。
符号の説明
11,21,31,41,51,61,71,81−アンテナモジュール
12−ケーシング
22,32,42,62,72−アンテナ基板
82−アンテナ板
13,23,33,43,53,63,73,83−アンテナ
24,34,44,54−支持基板
15−開口導波管
45,75,85−電磁波反射面
16,26,36,46,76−パッチ電極
17,27,37,87−スロット
48−放射器
49−導波器
100−無線装置
101−電圧制御発振器
102−増幅器
103−方向性結合器
104,106−サーキュレータ
105−スイッチ回路
107−ミキサ

Claims (6)

  1. 互いに異なる方向に指向する複数のアンテナを備えたアンテナモジュールであって、
    前記複数のアンテナを複数種のアンテナで構成し、少なくとも1つのアンテナをアレーアンテナとしたことを特徴とするアンテナモジュール。
  2. 前記複数のアンテナは、高いアンテナ利得が必要な方向に指向する導波管スロットアレーアンテナと、広い検知領域が必要な方向に指向するマイクロストリップアレーアンテナとを含むことを特徴とする請求項1に記載のアンテナモジュール。
  3. 前記複数のアンテナを略単一のアンテナ基板に配したことを特徴とする請求項1または2に記載のアンテナモジュール。
  4. 前記複数のアンテナは、前記アンテナ基板の主面に対して略垂直方向に指向する垂直放射型のアンテナと、前記アンテナ基板の主面に対して略平行方向に指向する平行放射型のアンテナと、を含むことを特徴とする請求項3に記載のアンテナモジュール。
  5. 前記アンテナ基板を支持する支持基板を備え、
    前記支持基板の側部に電磁波を反射する前記電磁波反射面を設け、
    前記平行放射型のアンテナは、前記電磁波反射面により、このアンテナの前記平行方向の指向性を定めた構成であることを特徴とする請求項4に記載のアンテナモジュール。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のアンテナモジュールを信号送受信部に備えたことを特徴とする無線装置。
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