JP2007049288A - 複数段接続縦結合多重モード弾性表面波フィルタ - Google Patents

複数段接続縦結合多重モード弾性表面波フィルタ Download PDF

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Abstract

【課題】 通過特性を劣化させることなく通過帯域近傍の減衰量を改善する。
【解決手段】 2段縦続接続縦1次−2次DMSフィルタ10は、圧電基板12に第1フィルタ部14と第2フィルタ部16とが並列に近接して設けてある。第1フィルタ部14は、弾性表面波の伝播方向に、IDT18、20と、これらを挟んだ一対の反射器34a、34bが形成してある。第2フィルタ部16は、弾性表面波の伝播方向に、IDT40、42と、これらを挟んだ一対の反射器44a、44bが形成してある。第1フィルタ部14と第2フィルタ部16とは、IDTの電極指の形成ピッチLtと、反射器の導体ストリップの形成ピッチLrとの比が相互に異なっている。すなわち、Lt1/Lr1≠Lt2/Lr2となっている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、弾性表面波(Surface Acoustic Wave:SAW)フィルタに係り、特に一対の反射器の間に複数のIDT(Interdigital Transducer)を設けた縦結合多重モードフィルタ部を複数接続した複数段接続縦結合多重モードフィルタに関する。
弾性表面波フィルタ(以下、SAWフィルタということがある)は、高周波に対応可能であるとともに、小型で量産性に優れており、近年、各種の電子機器に広く使用されている。一方、高周波フィルタは、より広い周波数通過帯域を有するものが要求されている。広い周波数通過帯域を有する弾性表面波フィルタとして縦結合多重モードSAWフィルタが知られている。縦結合多重モードSAWフィルタは、圧電基板の弾性表面波の伝播方向にすだれ状電極からなる複数のIDTを形成し、これら複数のIDTを挟んで一対の反射器を設けたものが知られている。さらに、通過帯域近傍の減衰量をより大きくするために、同一の圧電基板に一対の縦結合多重モードフィルタ部(セクション)を形成し、これらのセクションを相互に縦続接続または並列接続するようにしている。
そして、特許文献1は、通過帯域近傍の減衰量が良好なSAWフィルタを得るために、縦続接続した一対のセクション(フィルタ部)間において、IDTを構成している電極指の形成ピッチを異ならせた縦続接続縦結合二重モードSAWフィルタを開示している。これにより、一対のセクション間において高次の振動モードによるスプリアスの周波数が異なるため、通過帯域近傍の減衰量を改善することができる。
特開平9−130203号公報
前記したように、特許文献1に記載の縦続接続縦結合二重モードSAWフィルタは、各セクション間においてIDTの電極指の形成ピッチを異ならせて、スプリアスの周波数をずらしている。弾性表面波フィルタは、周知のように、共振周波数が基本的にIDTの電極指の形成ピッチに依存している。このため、特許文献1に記載のように、一対のセクション間においてIDTの電極指の形成ピッチを異ならせると、両者間の共振周波数が異なる。すなわち、特許文献1に記載の弾性表面波フィルタは、各セクション間において通過帯域を形成するモードの周波数が異なるため、通過帯域が狭くなって通過特性が劣化する。
本発明は、前記従来技術の欠点を解消するためになされたもので、通過特性を劣化させることなく通過帯域近傍の減衰量を改善することを目的としている。
上記の目的を達成するために、本発明に係る複数段接続縦結合多重モードフィルタは、圧電基板の弾性表面波の伝播方向に形成した、一対の櫛型電極からなるIDTの複数と、これらのIDTを挟んで設けた一対の反射器とを有するフィルタ部の複数を、縦続接続または並列接続した複数段接続縦結合多重モード弾性表面波フィルタにおいて、前記IDTを構成する前記櫛型電極の電極指の形成ピッチと、前記反射器を構成する導体ストリップの形成ピッチとの比が、前記各フィルタ部間において相互に異なっていることを特徴としている。
複数段接続縦結合二重モード表面波弾性フィルタは、通過帯域近傍の低周波数側に、梯子状反射器が弾性表面波を反射することによる影響により、通過帯域の低周波数側にスプリアスが生ずる。このスプリアスの周波数は、発明者らの研究によると、IDTを構成している電極指の形成ピッチが同じであっても、反射器を構成している導体ストリップの形成ピッチを変えると変化する。具体的には、反射器の導体ストリップの形成ピッチを大きくすると、反射器の反射の影響によるスプリアス周波数が低周波数側に移動する。したがって、複数のフィルタ部を縦続接続または並列接続した場合、各フィルタ部間におけるIDTの電極指の形成ピッチと反射器の導体ストリップの形成ピッチとの比を相互に変えると、各フィルタ部における反射器が弾性表面波を反射したことの影響に基づくスプリアス周波数が相互に異なる。この結果、フィルタ部を複数段接続した場合に、通過帯域の低周波数側に生ずるスプリアスを小さくすることができ、通過帯域近傍の減衰量が大きくなって減衰量の改善を図ることができる。しかも、各フィルタ部間におけるIDTの電極指の形成ピッチを変えなくても、IDTの電極指の形成ピッチと反射器の導体ストリップの形成ピッチとの比を変えるだけでよいため、通過帯域を形成するモードの周波数にほとんど影響を与えることがなく、通過特性が劣化するのを防ぐことができ、挿入損失が大きくなるのを防ぐことができる。
また、本発明に係る複数段接続縦結合多重モード弾性表面波フィルタは、一対の櫛型電極からなる複数のIDTが圧電基板の弾性表面波の伝播方向に形成されたフィルタ部の複数を、縦続接続または並列接続した複数段接続縦結合多重モード弾性表面波フィルタにおいて、前記各フィルタ部の少なくとも1つのフィルタ部の前記櫛型電極は、電極指の交差部の、前記弾性表面波の伝播方向と直交した側方にダミー電極を有している、ことを特徴としている。
発明者等の研究によると、複数段接続縦結合二重モード弾性表面波フィルタにおいては、IDTを構成する櫛型電極の、電極指の交差部の、弾性表面波の伝播方向と直交する側方にダミー電極を設けると、通過帯域の高周波数側に生ずるスプリアスの周波数が変化する。したがって、複数のフィルタ部の少なくとも1つにダミー電極を設けることにより、通過帯域の高周波数側に生ずるスプリアス周波数をフィルタ部間においてずらすことができる。この結果、複数のフィルタ部を縦続接続または並列接続した場合、通過帯域の高周波数側に生ずるスプリアスを低減することができ、通過帯域近傍の減衰量が大きくなって減衰量の改善を図ることができる。しかも、ダミー電極を設けるだけで各フィルタ部のIDTを構成する電極指の形成ピッチを変える必要がないため、通過帯域を形成するモードの周波数にほとんど影響を与えることがなく、通過特性を劣化させるのを防ぐことができ、挿入損失が大きくなるのを防ぐことができる。
また、本発明に係る複数段接続縦結合多重モード弾性表面波フィルタは、圧電基板の弾性表面波の伝播方向に形成した、一対の櫛型電極からなるIDTの複数と、これらのIDTを挟んで設けた一対の梯子状反射器とを有するフィルタ部の複数を、縦続接続または並列接続した複数段接続縦結合多重モード弾性表面波フィルタにおいて、前記IDTを構成する前記櫛型電極の電極指の形成ピッチと、前記反射器を構成する導体ストリップの形成ピッチとの比が、前記各フィルタ部間において相互に異なっており、前記各フィルタ部の少なくとも1つのフィルタ部の前記櫛型電極は、前記電極指の交差部の、前記弾性表面波の伝播方向と直交した側方にダミー電極を有している、ことを特徴としている。
このようになっている本発明は、上記したように、通過帯域の低周波数側と高周波数側との両側のスプリアスを小さくすることができ、通過特性を劣化させることなく、通過帯域近傍の減衰量の改善を図ることができる。
前記ダミー電極は、各フィルタ部に設けることができる。この場合、各フィルタ部間のダミー電極は、相互に長さを異ならせる。発明者等の研究によると、ダミー電極の長さが異なると、通過帯域の高周波数側のスプリアス周波数が異なる。このため、各フィルタ部のそれぞれの櫛型電極にダミー電極を設け、ダミー電極の長さを各フィルタ部間において異ならすことにより、通過帯域の高周波数側のスプリアス周波数を分散させることができる。したがって、複数のフィルタ部を縦続接続または並列接続した場合、通過帯域近傍の減衰量をより大きくすることができる。
前記ダミー電極は、前記電極指に対応して設けることができる。ダミー電極を各電極指に対応させて設けると、スプリアスの原因となる不要な振動の発生を抑制することができる。また、前記ダミー電極の長さをD、前記電極指の交差部の幅をW0としたときに、D/W0≦0.2にするとよい。電極指の長さを必要以上に長くすると、5次などの高次のスプリアスが大きくなり、減衰量の改善が困難となる。したがって、ダミー電極の長さをD、電極指の交差部の幅をW0としたときに、D/W0≦0.2であることが望ましい。
各フィルタ部は、IDTを構成している電極指の形成ピッチを同じにすることが望ましい。IDTを構成している電極指の形成ピッチを各フィルタ部間において同じにすると、各フィルタ部の通過帯域を形成するモードの周波数を同じにすることができ、通過特性が劣化するのを防ぐことができる。圧電基板は、カット角がオイラー角を(φ,θ,ψ)としたときに、(0±5°,26°〜40.7°,90±5°)の水晶板を用いることができる。このようなカット角を有する水晶板を用いて弾性表面波フィルタを形成すると、周波数温度特性に優れた弾性表面波フィルタとすることができる。各フィルタ部は、縦1次−2次二重モードフィルタ部であってよい。これにより、上記した作用効果を有する複数段に縦続接続または並列接続した縦1次−2次二重モード(Double Mode SAW:DMS)フィルタを得ることができる。
本発明に係る複数段接続縦結合多重モード弾性表面波フィルタの好ましい実施の形態を、添付図面に従って詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本発明の一態様であって、これらに限定されるものではない。
図1は、本発明の第1実施の形態に係る複数段接続縦結合多重モードフィルタの説明図であって、2段縦続接続縦1次−2次DMSフィルタの平面図である。図1において、2段縦続接続縦1次−2次DMSフィルタ(以下、縦続接続DMSフィルタという)10は、圧電基板12の表面に2つのフィルタ部(セクション)14、16が形成してある。圧電基板12は、実施形態の場合、カット角がオイラー角を(φ,θ,ψ)としたときに、(0°,38°,90°)の水晶板からなっている。そして、実施形態の縦続接続DMSフィルタ10は、いわゆる−52度回転Yカット水晶90度X伝搬SH型SAWフィルタとなっている。なお、圧電基板12は、カット角がオイラー角表示で、(0±5°,26°〜40.7°,90±5°)の水晶板を使用することができる。このようなカット角を有する水晶板は、Q値が高く、周波数温度特性の優れたSAWデバイスを得ることができる。また、圧電基板12は、タンタル酸リチウムやニオブ酸リチウム、ランガサイトなど、他の圧電材料であってもよい。
第1フィルタ部(第1セクション)14は、一対のIDT18、20が圧電基板12の弾性表面波の伝播(伝搬)方向である水晶のX軸から90度回転した方向に沿って形成してある。各IDT18、20は、それぞれが一対の櫛型電極22(22a、22b)、24(24a、24b)からなっている。櫛型電極22a、22bは、それぞれ複数の電極指26(26a、26b)と、バスバー28(28a、28b)とを有している。電極指26は、弾性表面波の伝播方向に直交して形成してあり、一端が対応するバスバー28に接続してある。そして、IDT18は、一対の櫛型電極22の各電極指26が噛み合うように配置してあり、すだれ状に形成してある。IDT20を構成している一対の櫛型電極24は、電極指30(30a、30b)とバスバー32(32a、32b)とを有し、櫛型電極22と同様に形成してある。したがって、IDT20は、IDT18と同様に一対の櫛型電極24の電極指30によってすだれ状に形成してある。
第1フィルタ部14は、IDT18、20を挟むように、弾性表面波の伝播方向に一対の反射器34(34a、34b)を備えている。反射器34は、IDT18、20の電極指と平行に形成した複数の導体ストリップ38からなっている。そして、反射器34は、各導体ストリップ38の両端が相互に接続されていて、梯子状をなしている。このようになっている第1フィルタ部14は、縦1次−2次DMSフィルタ部を構成している。
第2フィルタ部16は、第1フィルタ部14に近接して並列に形成してある。第2フィルタ部16は、第1フィルタ部14とほぼ同様に形成してあって、弾性表面波の伝播方向に沿って形成した一対のIDT40、42と、これらのIDT40、42を挟んで設けた一対の反射器44(44a、44b)を備えており、第1フィルタ部14と同様に、縦1次−2次DMSフィルタ部を構成している。
第2フィルタ部16の各IDT40、42は、それぞれが一対の櫛型電極46(46a、46b)、48(48a、48b)からなっている。そして、各櫛型電極46、48は、電極指50(50a、50b)、52(52a、52b)とバスバー54(54a、54b)、56(56a、56b)とからなり、第1フィルタ部14の櫛型電極と同様に形成してある。したがって、第2フィルタ部16のIDT40、42は、第1フィルタ部14のIDT18、20と同様に、櫛型電極46、48の電極指50、52によってすだれ状に形成してある。また、第2フィルタ部16の各反射器44は、複数の導体ストリップ58を有していて、第1フィルタ部14の反射器34と同様に梯子状に形成してある。
縦続接続DMSフィルタ10は、実施形態の場合、第1フィルタ部14のIDT20と第2フィルタ部16のIDT40とが電気的に接続してある。すなわち、IDT20を構成している一方の櫛型電極24bのバスバー32bと、IDT40を構成している一方の櫛型電極46aのバスバー54aとは、導電性のパターンによって相互に接続してある。したがって、縦続接続DMSフィルタ10は、2段縦続接続縦1次−2次DMSフィルタを構成している。そして、実施形態の場合、第1フィルタ部14のIDT18の櫛型電極22bとIDT20の櫛型電極24a、および第2フィルタ部16のIDT40の櫛型電極46bとIDT42の櫛型電極48aとは、図示しない基板回路のグランドに接続される。第1フィルタ部14のIDT18の櫛型電極22aと第2フィルタ部16のIDT42の櫛型電極48bは、いずれか一方が入力回路に接続され、いずれか他方が出力回路に接続される。
なお、縦続接続DMSフィルタ10は、実施形態の場合、第1フィルタ部14のIDT18、20を構成している各対の櫛型電極22、24のバスバー間の幅W1と、第2フィルタ部16のIDT40、42を構成している各対の櫛型電極46、48のバスバー間の幅W2とが同じに形成してある。さらに、縦続接続DMSフィルタ10は、第1フィルタ部14のIDT18、20を構成している櫛型電極の電極指26、30の交差幅(弾性表面波の伝播方向における重なり部の幅)W01と、第2フィルタ部16のIDT40、42を構成している櫛型電極の電極指50、52の交差幅W02とが同じに形成してある。しかし、縦続接続DMSフィルタ10は、IDTを構成している電極指の形成ピッチLtと、反射器を構成している導体ストリップの形成ピッチLrとの比が、各フィルタ部14、16間において異なっている。
すなわち、第1フィルタ部14のIDT18、20を構成している各対をなす櫛型電極の電極指の形成ピッチ(隣接する電極指の中心間距離)をLt1、各反射器34の隣接する導体ストリップ38の形成ピッチ(中心間距離)をLr1、第2フィルタ部16のIDT40、42を構成している各対をなす櫛型電極の電極指の形成ピッチをLt2、各反射器44の隣接する導体ストリップ58の形成ピッチをLr2とした場合、
Figure 2007049288
となっている。これにより、通過帯域近傍の低周波数側に生ずるスプリアスを低減することができ、通過帯域近傍の減衰量が改善されて、高精度な2段縦続接続縦1次−2次DMSフィルタとすることができる。ただし、縦続接続DMSフィルタ10は、実施形態の場合、Lt1=Lt2にしてある。すなわち、第1フィルタ部14と第2フィルタ部16とは、IDTの電極指の形成ピッチが同じにしてある。
発明者等の研究によると、縦1次−2次DMSフィルタの場合、図2の実線に示したように、通過帯域近傍の低周波数側に、反射器の反射した弾性表面波の影響によるスプリアスSprが現れる。図2は、315MHz帯の縦1次−2次DMSフィルタの周波数特性を示したもので、高周波数側は簡素化して示してある。そして、図2は、横軸が周波数をMHzで示し、縦軸が挿入損失をdBによって示してある。また、図2は、IDTの電極指の形成ピッチをLt、反射器の導体ストリップの形成ピッチをLrとした場合、実線がLt/Lr=0.996であり、破線がLt/Lr=0.993である。
図2に示されているように、Lt/Lr=0.996の場合、周波数特性が実線で示したようになり、反射器の反射の影響によるスプリアスSprが313.8MHz程度周波数のところに現れる。しかし、Lt/Lrを0.993にすると、周波数特性が図2の破線に示したようになり、反射器の反射の影響によるスプリアスSprがSpr´のように低周波数側に移動する。すなわち、Lt/Lrの値を変えると、反射器の反射の影響によるスプリアスSprの周波数を変えることができる。なお、図2に示したスプリアスSp1、Sp1´は、縦3次モードによるスプリアスである。
したがって、実施形態の縦続接続DMSフィルタ10は、第1フィルタ部14のLt1/Lr1と、第2フィルタ部16のLt2/Lr2とが異なっているため、反射器の反射の影響によるスプリアスの周波数が相互に異なる。このため、縦続接続DMSフィルタ10は、第1フィルタ部14と第2フィルタ部16とを縦続接続したことにより、通過帯域近傍の低周波数側に現れる反射器の反射の影響によるスプリアスを低減することができ、挿入損失を損なわずに通過帯域近傍の減衰量を改善することができる。しかも、縦続接続DMSフィルタ10は、第1フィルタ部14と第2フィルタ部16との電極指の形成ピッチが同じとなっているため、第1フィルタ部14と第2フィルタ部16とにおいて、通過帯域を形成するモードの周波数が同一となっており、通過帯域が狭くなるなどの通過特性の劣化を生ずることがない。
図3は、本発明の第2実施形態に係る縦続接続DMSフィルタの説明図である。この実施形態に係る縦続接続DMSフィルタ60は、IDTを構成している櫛型電極にダミー電極が設けてある。すなわち、第1フィルタ部14のIDT18、20は、それぞれ一対の櫛型電極62(62a、62b)、64(64a、64b)からなっている。各櫛型電極62、64は、ダミー電極66(66a、66b)、68(68a、68b)を有する。これらのダミー電極66、68は、電極指26、30の弾性表面波の伝播方向における重なり部である交差部70の、弾性表面波の伝播方向に直交した側方に設けられている。そして、ダミー電極66、68は、電極指の間に形成してある。
すなわち、櫛型電極62aに設けたダミー電極66aは、隣接する電極指26a間に形成してある。そして、ダミー電極66aは、他方の櫛型電極62bの電極指26bに対応して設けてあり、先端が電極指26bの先端と対向するように配置してある。他の櫛型電極に形成したダミー電極66b、68a、68bもダミー電極66aと同様に形成してある。また、実施形態の場合、ダミー電極66、68は、長さD1が同じに形成してある。なお、各ダミー電極は、バスバーに接続されていなくともよい。
第2フィルタ部16のIDT40、42を構成している各櫛型電極72(72a、72b)、74(74a、74b)は、第1フィルタ部14の櫛型電極62、64と同様に形成してある。すなわち、櫛型電極72、74は、電極指50、52の交差部76の、弾性表面波の伝播方向と直交した側方にダミー電極78(78a、78b)、80(80a、80b)を有している。これらのダミー電極78、80は、第1フィルタ部14のダミー電極66、68と同様に形成してある。また、ダミー電極78、80は、長さD2が同じに形成してある。しかし、第2フィルタ部16のダミー電極78、80の長さD2は、第1フィルタ部14のダミー電極66、68の長さD1と異なっている。実施形態の場合、D2>D1となっている。
なお、縦続接続DMSフィルタ60は、実施形態の場合、各IDT18、20、40、42を構成している電極指の形成ピッチLtが同じにしてあり、反射器34、44を構成している導体ストリップの形成ピッチLr(いずれも図示せず)が同じにしてある。また、第1フィルタ部14の交差部70の交差幅W01と、第2フィルタ部16の交差部76の交差幅W02とが同じに形成してある。このため、第1フィルタ部14の各対をなす櫛型電極62、64のバスバー間の幅W1は、第2フィルタ部16の各対をなす櫛型電極72、74のバスバー間の幅W2より小さくなっている。すなわち、縦続接続DMSフィルタ60は、W1<W2となっている。これにより、縦続接続DMSフィルタ60は、通過帯域近傍の高周波数側に現れるスプリアスを低減することができ、通過帯域近傍の減衰量の改善を図ることができる。
すなわち、発明者等の研究によると、縦結合1次−2次DMSフィルタの場合、ダミー電極の長さDを変え、バスバー間の幅Wを変化させると、図4に示したように、通過帯域の高周波数側に現れるスプリアスの周波数が変化する。図4は、315MHz帯の縦結合1次−2次DMSフィルタにおける、ダミー電極の長さの変化に伴う、通過帯域の高周波数側に現れるスプリアスの周波数変化を示したものである。
また、図4は、横軸がダミー電極の長さDと電極指の交差幅W0との比D/W0であり、縦軸が縦結合1次−2次DMSフィルタの通過帯域の高周波数側に生ずるスプリアスの周波数をMHzで示したものである。図4に示したように、ダミー電極の長さDが長くなり、電極指の交差幅W0との比D/W0が大きくなると、3次のスプリアス周波数が低周波数側に移動する。なお、図4に示した符号Sp5は、5次のスプリアス周波数を示している。すなわち、D/W0の値を大きくすると、3次のスプリアス周波数は、次第に低下する。しかし、D/W0の値が0.25を超えると、5次のスプリアスが大きくなる。したがって、D/W0は、0.2以下にするのが望ましい。
図5は、IDTを形成している一対の櫛型電極における、電極指の交差幅W0とバスバー間の幅Wとの比W0/Wと、スプリアス周波数との関係を示したものである。図5は、横軸が比W0/Wを示し、縦軸が315MHz帯の縦結合1次−2次DMSフィルタにおける、通過帯域の高周波数側に現れるスプリアス周波数をMHzで示したものである。図5に示したように、バスバー間の幅Wが大きくなると、スプリアス周波数は、低周波数側に移動する。すなわち、ダミー電極の長さDが長くなり、バスバー間の幅Wが大きくなると、図5に示したように、通過帯域の高周波数側のスプリアス周波数が次第に低周波数側に移動する。
したがって、縦続接続DMSフィルタ60は、第1フィルタ部14のダミー電極66、68の長さD1と、第2フィルタ部16のダミー電極78、80の長さD2とが異なっているため、第1フィルタ部14と第2フィルタ部16とのバスバー間の幅W1、W2が異なる。このため、第1フィルタ部14と第2フィルタ部16とにおいて、通過帯域の高周波数側に現れるスプリアスの周波数が相互に異なり、第1、第2フィルタ部14、16を縦続接続すると、通過帯域の高周波数側のスプリアスを低減することができる。この結果、縦続接続DMSフィルタ60は、通過帯域近傍の高周波数側における減衰量を改善することができる。しかも、縦続接続DMSフィルタ60は、第1フィルタ部14と第2フィルタ部16との電極指の形成ピッチが同じになっているため、第1フィルタ部14と第2フィルタ部16とにおいて、通過帯域を形成するモードの周波数が同一となっており、通過帯域が狭くなるなどの通過特性の劣化を生ずることがない。
図6は、第3実施形態に係る縦続接続DMSフィルタの説明図であって、電極パターンの平面図である。この第3実施形態に係る縦続接続DMSフィルタ90は、第1フィルタ部14と第2フィルタ部16との各櫛型電極62、64、72、74にダミー電極66、68、78、80が設けてある。これらのダミー電極66、68、78、80は、同じ長さに形成してある。すなわち、ダミー電極66、68の長さD1と、ダミー電極78、80の長さD2とが等しくなっている。
また、縦続接続DMSフィルタ90は、Lt1/Lr1とLt2/Lr2との値が異ならせてある。すなわち、縦続接続DMSフィルタ90は、第2フィルタ部16の反射器44を構成している導体ストリップ58の形成ピッチLr2が、第1フィルタ部14の反射器34を構成している導体ストリップ38の形成ピッチLr1より大きくしてある。しかし、第1フィルタ部14と第2フィルタ部16とは、各IDTの電極指の形成ピッチLt1、Lt2が同じにしてある。他の構成は、前記実施形態と同様に形成してある。
このようになっている第3実施形態に係る縦続接続DMSフィルタ90は、前記したように、第1フィルタ部14のLt1/Lr1と第2フィルタ部16のLt2/Lr2とが異なっているため、通過帯域の低周波数側に現れるスプリアスを小さくすることができる。このため、通過帯域近傍の減衰量を改善することができる。
図7は、315MHz帯の第3実施形態に係る縦続接続DMSフィルタ90の周波数特性を、第1フィルタ部と第2フィルタ部とのLt/Lrが同じである縦続接続DMSフィルタの周波数特性とを比較した図である。図7の実線は、実施形態に係る縦続接続DMSフィルタ90の特性図であって、Lt1/Lr1=0.996、Lt2/Lr2=0.993のときの周波数特性図である。また、破線は、Lt1/Lr1=Lt2/Lr2=0.996のときの周波数特性図である。なお、図7は、横軸がMHzで表した周波数、縦軸がdBで表した挿入損失である。
なお、実施形態の縦続接続DMSフィルタ90および比較例の縦続接続DMSフィルタは、いずれも第1フィルタ部と第2フィルタ部とに設けたダミー電極の長さD1、D2が2λ(λは、IDTによって励振された弾性表面波の波長)にしてある。また、実施形態の縦続接続DMSフィルタ90および比較例の縦続接続DMSフィルタは、いずれもIDTを形成している電極指の形成ピッチLtが同じにしてある。
図7に示されているように、実線で示した実施形態の縦続接続DMSフィルタは、通過帯域の低周波数側に現れる反射器の反射の影響によるスプリアスSprを大幅に低減することができる。また、図8に図7のA部分を拡大して示したように、実施形態の縦続接続DMSフィルタは、通過帯域を形成するモードの周波数も比較例の縦続接続DMSフィルタより劣化することがなく、挿入損失も大きくなることがない。
なお、前記実施形態においては、第2フィルタ部16の反射器44を構成している導体ストリップ58の形成ピッチを、第1フィルタ部14の反射器34を構成している導体ストリップ38の形成ピッチより大きくした場合について説明したが、第1フィルタ部14側の導体ストリップ38の形成ピッチを大きくしてもよい。
図9は、第4実施形態の縦続接続DMSフィルタ92の説明図であって、電極パターンの平面図である。第4実施形態に係る縦続接続DMSフィルタ92は、第1フィルタ部14と第2フィルタ部16との各櫛型電極62、64、72、74にダミー電極66、68、78、80が設けてある。そして、縦続接続DMSフィルタ92は、第2フィルタ部16のダミー電極78、80の長さD2が、第1フィルタ部14に設けたダミー電極66、68の長さD1より長くしてある。また、縦続接続DMSフィルタ92は、第2フィルタ部16の反射器44を構成している導電ストリップ58の形成ピッチLr2が、第1フィルタ部14の反射器34を構成している導体ストリップ38の形成ピッチLr1よりも大きくしてある。
ただし、縦続接続DMSフィルタ92は、第1フィルタ部14のIDT18、20を構成している電極指の形成ピッチLt1と、第2フィルタ部16のIDT40、42を構成している電極指の形成ピッチLt2とが同じにしてある。したがって、縦続接続DMSフィルタ92は、Lt1/Lr1>Lt2/Lr2となっていて、第1フィルタ部14のバスバー間の距離W1が、第2フィルタ部16のバスバー間の距離W2より小さくなっている。
このようになっている第4実施形態の縦続接続DMSフィルタ92は、通過帯域の低周波数側と高周波数側とに現れるスプリアスを低減することができる。したがって、通過帯域近傍の減衰量が大きくなり、減衰量を改善することができる。しかも、第1フィルタ部14と第2フィルタ部16とのIDTを構成している電極指の形成ピッチが同じであるため、通過帯域を形成するモードの周波数を第1フィルタ部14と第2フィルタ部16とにおいて同じにすることができ、通過帯域が狭くなるなどの通過特性の劣化を生ずることがない。
図10は、第4実施形態に係る縦続接続DMSフィルタ92の周波数特性を示したものである。図10の実線が315MHz帯の実施形態に係る縦続接続DMSフィルタ92の周波数特性図であり、破線が比較例に係る縦続接続DMSフィルタの周波数特性図である。実施形態に係る縦続接続DMSフィルタは、Lt1/Lr1=0.996、Lt2/Lr2=0.993であり、D1=1λ、D2=3λである。また、比較例の縦続接続DMSフィルタは、Lt1/Lr1=Lt2/Lr2=0.996、D1=D2=2λである。なお、図10は、横軸がMHzで示した周波数であり、縦軸がdBで示した挿入損失である。
図10に示されているように、実施形態に係る縦続接続DMSフィルタは、通過帯域の高周波数側に破線で示した比較例に生ずる縦2次横3次のスプリアスSp2、縦1次横3次モードのスプリアスSp3を低減することができる。また、通過帯域の低周波数側に現れる反射器の反射の影響によるスプリアスSprも低減することができる。そして、図10のB部分の拡大図である図11に示したように、実施形態の縦続接続DMSフィルタは、通過帯域を形成するモードの周波数も比較例の縦続接続DMSフィルタより劣化をすることがなく、挿入損失も大きくなることがない。
なお、前記実施形態の縦続接続DMSフィルタ92においては、D1<D2、Lt1/Lr1>Lt2/Lr2の場合について説明したが、D1>D2、Lt1/Lr1>Lt2/Lr2であってもよく、D1<D2、Lt1/Lr1<Lt2Lr2またはD1>D2、Lt1/Lr1<Lt2/Lr2であってもよい。
なお、前記実施形態においては、2つのフィルタ部を縦続接続した場合について説明したが、3つ以上のフィルタ部を縦続接続してもよい。さらに、複数のフィルタ部を並列接続してもよい。図12は、2つのフィルタ部を並列接続した2段並列接続縦1次−2次DMSフィルタ(以下、並列接続DMSフィルタという)の例を示したものである。
図12において、並列接続DMSフィルタ94は、圧電基板12の表面に、第1フィルタ部14と第2フィルタ部16とが弾性表面波の伝播方向に沿って並列に近接して設けてある。第1フィルタ部14のIDT18は、第2フィルタ部16の対応したIDT40と電気的に接続してある。すなわち、第1フィルタ部14のIDT18を形成している櫛型電極22bと、第2フィルタ部16のIDT40を形成している櫛型電極46aとは、配線パターンを介して相互に接続してある。また、第1フィルタ部14のIDT20を形成している櫛型電極24bと、第2フィルタ部16のIDT42を形成している櫛型電極48aとが配線パターンを介して相互に接続されている。
この縦続接続DMSフィルタ94は、図示しないが、第1フィルタ部14と第2フィルタ部16とが前記各実施形態と同様に形成してある。これにより、前記各実施形態と同様の作用効果を有する2段並列接続縦1次−2次DMSフィルタを得ることができる。
第1実施形態に係る2段縦続接続縦1次−2次DMSフィルタの平面図である。 通過帯域の低周波数側のスプリアスを低減する方法の説明図である。 第2実施形態に係る2段縦続接続縦1次−2次DMSフィルタの説明図である。 ダミー電極の長さと通過帯域の高周波数側のスプリアスとの関係を示す図である。 電極指の交差幅と通過帯域の高周波側のスプリアスとの関係を示す図である。 第3実施形態に係る2段縦続接続縦1次−2次DMSフィルタの説明図である。 第3実施形態と比較例との周波数特性を示す図である。 図7のA部分の拡大図である。 第4実施形態に係る2段縦続接続縦1次−2次DMSフィルタの説明図である。 第4実施形態と比較例との周波数特性を示す図である。 図10のB部分の拡大図である。 2段並列接続縦1次−2次DMSフィルタの各フィルタ部の接続状態を説明する図である。
符号の説明
10………複数段接続多重モード弾性表面波フィルタ(2段縦続接続縦1次−2次DMSフィルタ)、12………圧電基板、14………第1フィルタ部、16………第2フィルタ部、18、20、40、42………IDT、22a、22b、24a、24b………櫛型電極、26a、26b、30a、30b………電極指、34a、34b、44a、44b………反射器、38、58………導体ストリップ、46a、46b、48a、48b………櫛型電極、50a、50b、52a、52b………電極指、60、90、92………複数段接続多重モード弾性表面波フィルタ(2段縦続接続縦1次−2次DMSフィルタ)、62a、62b、64a、64b………櫛型電極、66a、66b、68a、68b………ダミー電極、70、76………交差部、72a、72b、74a、74b………櫛型電極、78a、78b、80a、80b………ダミー電極、94………複数段接続多重モード弾性表面波フィルタ(2段並列接続縦1次−2次DMSフィルタ)、W01、W02………交差幅。

Claims (9)

  1. 圧電基板の弾性表面波の伝播方向に形成した、一対の櫛型電極からなるIDTの複数と、これらのIDTを挟んで設けた一対の反射器とを有するフィルタ部の複数を、縦続接続または並列接続した複数段接続縦結合多重モード弾性表面波フィルタにおいて、
    前記IDTを構成する前記櫛型電極の電極指の形成ピッチと、前記反射器を構成する導体ストリップの形成ピッチとの比が、前記各フィルタ部間において相互に異なっていることを特徴とする複数段接続縦結合多重モード弾性表面波フィルタ。
  2. 一対の櫛型電極からなる複数のIDTが圧電基板の弾性表面波の伝播方向に形成されたフィルタ部の複数を、縦続接続または並列接続した複数段接続縦結合多重モード弾性表面波フィルタにおいて、
    前記各フィルタ部の少なくとも1つのフィルタ部の前記櫛型電極は、電極指の交差部の、前記弾性表面波の伝播方向と直交した側方にダミー電極を有している、
    ことを特徴とする複数段接続縦結合多重モード弾性表面波フィルタ。
  3. 圧電基板の弾性表面波の伝播方向に形成した、一対の櫛型電極からなるIDTの複数と、これらのIDTを挟んで設けた一対の梯子状反射器とを有するフィルタ部の複数を、縦続接続または並列接続した複数段接続縦結合多重モード弾性表面波フィルタにおいて、
    前記IDTを構成する前記櫛型電極の電極指の形成ピッチと、前記反射器を構成する導体ストリップの形成ピッチとの比が、前記各フィルタ部間において相互に異なっており、
    前記各フィルタ部の少なくとも1つのフィルタ部の前記櫛型電極は、前記電極指の交差部の、前記弾性表面波の伝播方向と直交した側方にダミー電極を有している、
    ことを特徴とする複数段接続縦結合多重モード弾性表面波フィルタ。
  4. 請求項2または3に記載の複数段接続縦結合多重モード弾性表面波フィルタにおいて、
    前記各フィルタ部は、それぞれが前記ダミー電極を有しており、
    前記ダミー電極は、前記各フィルタ部間において相互に長さが異なっている、
    ことを特徴とする複数段接続縦結合多重モード弾性表面波フィルタ。
  5. 請求項2ないし4のいずれかに記載の複数段接続縦結合多重モード弾性表面波フィルタにおいて、
    前記ダミー電極は、前記電極指に対応して設けてあることを特徴とする複数段接続縦結合多重モード弾性表面波フィルタ。
  6. 請求項2ないし5のいずれかに記載の複数段接続縦結合多重モード弾性表面波フィルタにおいて、
    前記ダミー電極の長さをD、前記電極指の交差部の幅をW0としたときに、D/W0≦0.2であることを特徴とする複数段接続縦結合多重モード弾性表面波フィルタ。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載の複数段接続縦結合多重モード弾性表面波フィルタにおいて、
    前記各フィルタ部は、前記IDTを構成している前記電極指の形成ピッチが同じであることを特徴とする複数段接続縦結合多重モード弾性表面波フィルタ。
  8. 請求項1ないし7のいずれかに記載の複数段接続縦結合多重モード弾性表面波フィルタにおいて、
    前記圧電基板は水晶板であって、カット角がオイラー角を(φ,θ,ψ)としたときに、(0±5°,26°〜40.7°,90±5°)であることを特徴とする複数段接続縦結合多重モード弾性表面波フィルタ。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載の複数段接続縦結合多重モード弾性表面波フィルタにおいて、
    前記各フィルタ部は、縦1次−2次結合二重モードフィルタ部であることを特徴とする複数段接続縦結合多重モード弾性表面波フィルタ。
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