JP2007047651A - 光学ユニットおよび光学機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 防振ユニットにおいて、平面度が低いヨークを用いた場合でも、該ヨークが取り付けられる部材に変形を生じさせずにコイルとマグネット間のギャップを管理する。
【解決手段】 防振ユニット35は、光学素子L5を保持する第1の部材102と、該第1の部材を互いに直交する第1の方向および第2の方向に移動可能に保持する第2の部材106と、ヨーク保持部材106に取り付けられたヨーク105とを有する。また、該ヨークに取り付けられ、コイル保持部材102に取り付けられたコイル103y、103yに対向する第1および第2のマグネット104p,104yを有する。ヨークは、該ヨークにおける第1および第2のマグネットの間の第1の部位105aにおいてヨーク保持部材に取り付けられる。該ヨーク保持部材は、ヨークにおける第1の部位とは異なる第2の部位105b,105cのマグネットとコイルが対向する方向への移動を制限する制限部110を有する。
【選択図】 図5

Description

本発明は、コイルとマグネットによる磁気的作用によってレンズ等の光学素子やCCDセンサ、CMOSセンサ等の撮像素子を像振れ補正のために駆動する光学ユニットに関する。
カメラやビデオカメラ、交換レンズ等の光学機器においては、撮影者の手振れを検知し、記録される画像の振れをキャンセルするように光学素子をピッチ方向およびヨー方向に駆動可能な防振ユニットが搭載されていることが多い。また、レンズを駆動する代わりに、撮像素子を同様にピッチ方向およびヨー方向に駆動することにより像振れを補正する防振ユニットも提案されている。
このような防振ユニットは、光学素子又は撮像素子を保持する保持部材と、該部材をピッチ方向およびヨー方向に移動可能に保持するベース部材とを有する。また、駆動アクチュエータとして、例えば、ベース部材に取り付けられた磁性材料からなるヨークと、ヨークに取り付けられたピッチ方向およびヨー方向駆動用マグネット(永久磁石)と、保持部材に取り付けられたピッチ方向およびヨー方向駆動用電磁コイルとにより構成される(特許文献1参照)。
各方向駆動用のコイルとマグネットは互いに対向配置され、それらの間の磁気的作用によって各方向への駆動力を生成する。ヨークは、マグネットからの磁力線をまとめ、磁界を強める役割を有する。防振ユニットのベース部材は、コイルとマグネット間の磁気回路に影響を及ぼさないように、非磁性材、例えばプラスチックにより製作される。また、ベース部材に固定されるヨークは、磁性材料である鉄又はその合金の板材料からプレス型による打ち抜き加工で製作されることが多い。
このような電磁駆動アクチュエータにおいて、コイルとマグネット間のギャップを最適な範囲に管理することで、安定的な駆動力が得られる。したがって、ピッチ方向およびヨー方向駆動用マグネットが取り付けられるヨークの平面度も高い方が望ましい。
特開平9−61881号公報(段落0016〜0034、図1等)
しかしながら、上記のように製作されたヨークには、打ち抜き加工前の板材料自身のロール、打ち抜き型の精度、プレス加工による残留応力の影響等によって反りが発生する。このような平面度の低いヨークをビス等によってベース部材に固定する場合において、複数箇所でのビスの強い締め付けによってヨークを弾性変形させ、その平面度を高めようとすると、剛性が低いプラスチック材料により製作されたベース部材がヨークに生じた弾性力によって変形する。このため、該ベース部材によって保持されている光学素子や撮像素子に位置ずれや倒れが発生し、防振性能を低下させるおそれがある。したがって、反りを容認してヨークを使用せざるを得ない。
この場合において、ヨークを1箇所でのみベース部材に固定することが考えられる。しかしながら、該固定位置から離れたマグネット取付け部分が、マグネットとコイル間に作用する吸引力や反発力によってコイル側やその反対側に変位する(つまり、ヨークが固定位置を中心に傾く)おそれがある。このため、コイルとマグネット間のギャップを最適な範囲に管理することが難しくなる。
本発明は、平面度が低いヨークを用いた場合でも、該ヨークが取り付けられる部材に変形を生じさせずにコイルとマグネット間のギャップを管理でき、安定的な駆動力が得られるようにした防振ユニットおよびこれを備えた光学機器を提供することを目的の1つとしている。
本発明の一側面としての防振ユニットは、光学素子又は撮像素子を保持する第1の部材と、 該第1の部材を、互いに直交する第1の方向および第2の方向に移動可能に保持する第2の部材と、第1および第2の部材のうち一方の部材(ヨーク保持部材)に取り付けられたヨークと、該ヨークに取り付けられ、第1および第2の部材のうち他方の部材(コイル保持部材)に取り付けられたコイルに対向する第1および第2のマグネットとを有する。そして、ヨークは、該ヨークにおける第1および第2のマグネットの間の第1の部位において上記ヨーク保持部材に取り付けられる。さらに、該ヨーク保持部材は、ヨークにおける第1の部位とは異なる第2の部位のマグネットとコイルが対向する方向への移動を制限する制限部を有することを特徴とする。
本発明によれば、ヨークのヨーク保持部材への取付けは、第1および第2のマグネットの間にある第1の部位においてのみ行われるので、ヨークに反りがあってもヨーク保持部材の変形を生じさせない。また、マグネットとコイル間に作用する力によってヨークの第2の部位がマグネットとヨークの対向方向に移動してもその移動量が制限部によって制限される。この結果、ヨークに取り付けられたマグネットとこれに対向するコイル間のギャップを適正に管理できる。したがって、安定的な駆動力が得られる防振ユニットを実現することができ、これを搭載した光学機器において防振性能を向上させることができる。
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照しながら説明する。
図1および図2には、本発明の実施例である光学機器としてのズームレンズ鏡筒を示している。このズームレンズ鏡筒は、図1に示すように、CCDセンサやCMOSセンサ等の撮像素子101を備えた一眼レフデジタルカメラ(以下、カメラ本体という)100又はフィルムを使用する一眼レフフィルムカメラに対して着脱可能な交換レンズである。
図1は、該ズームレンズ鏡筒のWIDE端における内部構成を示す断面図であり、図2はTELE端における内部構成を示す断面図である。
本レンズ鏡筒は、ズームレンズであり、ズームリング7の回転操作に連動してカム環30を案内筒29に対して光軸方向定位置で回転させることにより、焦点距離が変化する。
L1は1群レンズユニットであり、1群保持枠19に保持されている。1群保持枠19は、その外周に配置された移動筒1に不図示のビスにより一体的に固定されている。
移動筒1は、直進筒24に不図示のビスで固定されている。案内筒29には、光軸方向に延びるように直進溝(図示せず)が形成されており、カム環30には第1のカム溝(図示せず)が形成されている。これら直進溝と第1のカム溝には、直進筒24に一体的に固定された直進カムフォロワ(図示せず)が係合している。これにより、カム環30の回転に伴い、WIDE端とTELE端との間で、移動筒1およびこれに保持された1群レンズユニットL1が光軸方向に移動する。なお、1群鏡筒19は移動筒1に対してビスで固定される前に、位置調整ができる構成となっている。
L2は2群レンズユニットであり、2群鏡筒27に保持されている。2群鏡筒27の外周部には、不図示のカムフォロワ部とキー連動部27aとが形成されており、それぞれフォーカスカム環28の内周に形成されたカム28aとフォーカスユニット40内のフォーカスキー50とに係合している。これにより、2群鏡筒27は、フォーカスユニット40の出力によりフォーカスキー50が回転した際に、これに連動したカム28aとカムフォロワ部とのカム作用によって、光軸回りで回転しながら光軸方向に移動する。フォーカスユニット40の詳細については後述する。
本実施例のレンズ鏡筒は、いわゆるインナーフォーカスレンズであり、焦点距離に応じて焦点調節のための2群レンズユニットL2の移動量を異ならせる必要がある。つまり、焦点距離に応じてフォーカスカム28aの使用位置を変える必要がある。
フォーカスカム環28に一体的に設けられたカムフォロア部(図示せず)は、カム環30に光軸方向に延びるように形成された連動溝(図示せず)と案内筒29に形成された補正カム(図示せず)とに係合している。これにより、フォーカスカム環28は、カム環30とともに光軸回りで回転しながら光軸方向に移動する。このような構成により、フォーカスカム28aの使用位置を焦点距離の変化に応じて変化させてもピントずれを生じさせない位置に2群レンズユニットL2を移動させることができる。
L3は3群レンズユニットであり、3群鏡筒32に保持されている。3群鏡筒32の被写体側(以下、前側ともいう)には、副絞りユニット31が固定されている。L4は4群レンズユニットであり、4群鏡筒34に保持されている。
4群鏡筒34の前側には、本レンズ鏡筒の開口径を決める絞りユニット33が固定されている。また、4群鏡筒34の像面側(以下、後側ともいう)には、周方向等間隔に設けられた3本の接続部34aが延びており、その後端には7群鏡筒36が不図示のビスにより固定されている。
また、4群鏡筒34の前側端面には、絞りユニット33を挟んで3群鏡筒32が固定されている。さらに、4群鏡筒34の外周面には、周方向等間隔の3箇所に不図示のカムフォロワが固定されている。このカムフォロワは、カム環30に形成された第2のカム溝(図示せず)と、案内筒29に形成された直進溝(図示せず)とに係合している。これにより、3群,4群および7群レンズユニットL3,L4,L7はカム環30の回転に伴って一体的に光軸方向に移動する。また、案内筒29に設けられたカムによって副絞りユニット31内の回転部材が回転し、副絞りの開口径が焦点距離によって変化してFナンバーの変動を抑えている。
L5はシフトレンズユニット(5群レンズユニット)であり、防振ユニット35を構成している鏡筒に保持されている。防振ユニット35は、コイルとマグネットにより構成されるアクチュエータによってシフトレンズユニットL5を光軸に略直交する方向(ピッチ方向およびヨー方向)に駆動する。また、防振ユニット35のベース部材の後側には、6群鏡筒35aが3本のビス35bによって固定されている。防振ユニット35の外周における周方向3箇所には、不図示のカムフォロワが固定されている。これらのカムフォロアは、カム環30に形成された第3のカム溝(図示せず)と、案内筒29に形成された直進溝(図示せず)とに係合している。これにより、カム環30の回転に伴い、5群および6群レンズユニットL5,L6が光軸方向に一体的に移動する。なお、本実施例に用いられている防振ユニット35の詳しい構成は後述する。
7群レンズユニットL7は、7群鏡筒36によって保持されており、7群鏡筒36は、前述したように3群鏡筒34の接続部34aの後端に固定されている。
以上のように構成されたレンズ鏡筒では、撮影者がズームリング7を回転させると、不図示の連動キーによってカム環30が一緒に回転する。カム環30は、案内筒29とバヨネット結合しているため、案内筒に対しては定位置で回転する。
案内筒29は、本レンズ鏡筒における固定部を構成し、固定継筒5、外装環8およびカメラ本体100に装着するためのマウント9と一体的に構成されている。
17はマウント9の内側に配置された裏蓋であり、レンズ鏡筒内の内面反射を防止するための部材である。
10はシーリングゴムであり、マウント9がカメラ本体100に装着される際に、該カメラ本体100と当接して、マウント9付近の防水防滴性を確保する。
また、16はカメラ本体100側との通信を行う接点ブロックであり、レンズ鏡筒の制御を行うCPU(図示せず)が実装されているメイン実装基板37にフレキシブルプリント配線基板(FPC)38を介して接続されている。
いわゆる振動型モータを駆動源とするフォーカスユニット40は、案内筒29に固定されている。フォーカスユニット40のベース部材の先端40aには、第1の部材である固定筒23が固定されている。
固定筒23とフォーカスユニット40の間のスペースには、レンズ鏡筒の垂直(ピッチ)方向および水平(ヨー)方向の振動を検出するための2つの振動ジャイロ43がその周囲を固定筒23とフォーカスユニット40によって囲まれるように保持されている。このような配置により、振動ジャイロ43に対して騒音等の外乱の影響が及ぶことを防止している。なお、振動ジャイロ43は不図示のFPCによってメイン実装基板37と接続されている。メイン実装基板37は、該振動ジャイロ43からの信号に基づいて防振ユニット35を制御する。
固定筒23と固定継筒5の前側端面との間にはフォーカスリング3が配置されている。フォーカスリング3の後端部は、フォーカスユニット40内の連結部に係合しており、フォーカスリング3を回転させることで、前述したフォーカスキー50を回転させる。これにより、2群レンズユニットL2を光軸方向に移動させて、マニュアルフォーカスが行える。
フォーカスリング3の内周部にはその全周にわたって形成された溝3aがあり、この溝3aには、固定筒23の周方向等間隔の3箇所にビス26によって固定されたコロ25が係合している。これにより、フォーカスリング3は、固定筒23に対する光軸方向への移動が阻止された状態で回転操作が可能となっている。
4,6は操作ゴムであり、それぞれフォーカスリング3およびズームリング7の外周面上に形成された溝内に嵌め込まれ、各リングの操作を行い易く(滑らないように)している。
また、39は距離目盛が印刷されているシートであり、前述したフォーカスキーが固定された回転環上に設けられている。該シート39上の距離目盛は、固定継筒5上に設けられた窓11を通して撮影者が確認することができる。
本レンズ鏡筒では、上記操作部には防水防滴構造としてシーリング部材41,42を設けたり、防水防滴油を塗布したりしている。これにより、レンズ鏡筒全体として防水防滴性能を発揮できる。また、図1と図2から分るように、本レンズ鏡筒はズーミングによって全長が変化する。
図3には、防振ユニット35を分解して示している。また、図4には、防振ユニット35のうちベース部材側の組み立て状態を示している。
光学素子としてのシフトレンズユニットL5は、光軸AXLに直交するピッチ方向(図中の上下方向)およびヨー方向(図の左右方向)に移動することで、該レンズ鏡筒によって形成される物体像を偏芯させる。なお、光軸に直交する方向は、光軸に対して完全に直交する方向だけでなく、許容誤差範囲で光軸に完全に直交する方向から傾いている場合も含む。また、本実施例では、光軸に直交する方向にのみシフトレンズユニットL5が移動する場合について説明するが、光軸上の一点を中心として回動して物体像を偏芯させる場合も、光軸直交方向に移動する概念に含まれるものとする。
102はシフトレンズユニットL5を保持するシフト鏡筒である。103p,103yはそれぞれシフト鏡筒102に一体的に取り付けられ、該シフト鏡筒102をピッチ方向およびヨー方向に駆動するための駆動コイル(第1および第2のコイル)である。該駆動コイル103p,103yに電流を流すことで磁場を発生させることができる。
104p,104yはそれぞれシフト鏡筒102をピッチ方向およびヨー方向に駆動するための永久磁石(第1および第2のマグネット:以下、マグネットという)である。
105は該マグネット104p,104yの吸着力によってこれらを保持するマグネット側ヨークである。該マグネット側ヨーク105は、本防振ユニット35のベース部材であるベース筒106のヨーク取付け部106aにビス107によって取り付けられる。本実施例では、ビス107を組立て性の関係により、ベース筒106側から締め込んでいるが、マグネットヨーク105側から締め込んでもよい。なお、マグネット側ヨーク105には、マグネット104p,104yを位置決めするための複数の突起部105eが形成されている。また、マグネット側ヨーク105の両端近傍には、位置決め穴105dが形成されている。これら位置決め穴105dに、べース筒106に設けられた位置決めピン106dが挿入されることで、マグネット側ヨーク105のビス107を中心とした光軸直交面内での回転が阻止される。
108はマグネット104p,104yおよび駆動コイル103p,103yを挟んでマグネット側ヨーク105とは反対側(駆動コイル側)に配置されたコイル側ヨークである。該コイル側ヨーク108は、ベース筒106によって位置決め保持される。マグネット側ヨーク105とコイル側ヨーク108はいずれも、鉄等の磁性材料により形成されており、板材からのプレス型を用いた打ち抜き加工によって製作されたものである。このため、後述するように若干の反りを有する。
109は3本のシフトピンである。これらシフトピン109は、ベース筒106に周方向均等間隔で設けられた3つの穴部6bにそれぞれ圧入され、鏡筒径方向の内方に延びる。これらシフトピン109は、シフト鏡筒102の外周に周方向均等間隔で形成された長穴部102aにそれぞれ係合している。これにより、シフト鏡筒102は、光軸方向への移動は阻止された状態で、光軸直交面、すなわちピッチ方向とヨー方向に移動可能に支持される。
コイル側ヨーク108、駆動コイル103p,103y、マグネット104p,104yおよびマグネット側ヨーク105は、前側からこの順で配置される。また、駆動コイル103p,103yとマグネット104p,104yは所定のギャップを介して対向配置される。これにより、マグネット104p,104yを発生源とする磁気回路が形成される。駆動コイルに電流を流すと、ローレンツ力により該駆動コイルは磁力線と電流の方向に対して直交する方向に駆動力を受け、該駆動コイルを保持したシフト鏡筒102およびシフトレンズユニットL5を該駆動力の方向に駆動する。このような磁気回路(駆動機構)を、ピッチ方向とヨー方向の2方向に配置することにより、光軸AXLと直交する平面内でシフト鏡筒102を駆動することができる。なお、ベース筒106は、磁気回路に影響を及ぼさないように、非磁性材、例えばプラスチックにより構成されている。
ここで、マグネット側ヨーク105およびそのベース筒106に対する固定方法について、図5を用いてさらに詳しく説明する。マグネット側ヨーク105は、前述したように金属板からの打ち抜き加工によってその部品形状が作り出される。金属板はロールされた状態で加工工場に納入される。このため、ロール形状による反りが加工後の部品形状に残り易い。また、そのロール方向は生産工程上一定であることが一般的であることから、複数生産されるマグネット側ヨーク105のロール目方向は全て同じ向きになる。上記反りの方向は、ロール目方向に垂直な方向である。
このようなマグネット側ヨーク105を、図5においてロール目方向である左右に並んだマグネット104p,104yとシフト鏡筒102上に設けられた駆動コイル103p,103y間の間隔を大きく変動させることなく該ヨーク105をベース筒106に固定する必要がある。このため、本実施例では、以下のようなマグネット側ヨーク105の固定方法を採用している。
まず、マグネット側ヨーク105を、マグネット104p,104yの取付け面側が駆動コイル側に向くようにベース筒106のヨーク取付け面6a上に配置する。この際、前述した位置決め穴105dにベース筒106の位置決めピン106dを挿入させる。マグネット側ヨーク105におけるマグネット104p,104yの間の部位(本実施例では、中央よりもマグネット104pに近い部位:以下、第1の部位という)には、メネジ部105aが形成されている。位置決め穴105dへの位置決めピン106dの挿入によって、メネジ部105aがヨーク取付け面106a上に自動的に配置される。ベース筒106には、ヨーク取付け面106aからその反対側の面まで延びる貫通穴が形成されている。そして、この貫通穴に挿入したビス107をメネジ部10に対して締め込んでいくことで、マグネット側ヨーク105の第1の部位をベース筒106側に引き込んで固定することができる。
マグネット側ヨーク105の反りによって、該ヨーク105のうち第1の部位よりもヨーク両端に近い部位(本実施例では、ヨーク105の両端近傍:以下、それぞれを第2Aおよび第2B部位という)105b,105cは、ヨーク取付け面106aよりも駆動コイル側に位置する。第2A部位105bはマグネット104p側の端部近傍であり、第2B部位105cはマグネット104y側の端部近傍である。
ベース筒106におけるマグネット側ヨーク105の両端近傍には、円筒状の突起106b,106cが形成されている。これら突起106b,106cの内側には、メネジ部が形成されている。そして、各突起のメネジ部には、押さえビス10がねじ込まれる。押さえビス10は、ツバ部(頭部)110aが各突起の端面に当接するまで締め込まれる。これは、例えば突起106b,106cを設けずに押さえビス110を途中までねじ込むような取り付け方をすると、防振ユニットを使用している間に押さえビス110が緩み、ツバ部110aの高さが変化するおそれがあるからである。また、突起106b,106cの高さ精度さえ許容範囲に収めれば、ここに押さえビス110をツバ部110aが当接するまで締め込むだけで、該ツバ部110aを規定の高さ位置に位置決めすることができるからである。
ここで、突起106b,106cの高さ、つまりはヨーク取付け面106aから押さえビス10のツバ部110aまでの寸法H1,H2は、マグネット側ヨーク105の第2Aおよび第2B部位105b,105cの移動範囲の制限量を決定する。すなわち、押さえビス10のツバ部110aをマグネット側ヨーク105の第2Aおよび第2B部位105b,105cの移動を制限する移動制限壁として用いる。
例えば、駆動コイル103pとマグネット104pとの間に作用する吸引力によってマグネット側ヨーク105が第1の部位(105a)を中心にして傾き、第2A部位105bがこの移動制限壁に当接すると、第2A部位105bはそれ以上駆動コイル103p側に移動できなくなる。つまりは、第2A部位105bの近くに配置されたマグネット104pと、これに対向する駆動コイル103p間のギャップが最低規定量より狭まることが防止される。また、駆動コイル103pとマグネット104pとの間に作用する反発力によってマグネット側ヨーク105が第1の部位(105a)を中心にして傾き、第2B部位105cがこの移動制限壁に当接すると、第2A部位105bはそれ以上駆動コイル103pから離れない。つまりは、マグネット104pと駆動コイル103p間のギャップが最大規定量より広がることが防止される。このようにして、各マグネットとそれに対向するマグネットとの間のギャップの移動範囲が制限される。
上記高さH1,H2は、マグネット側ヨーク105の反りと板厚とを加えた値よりも若干大きくなるように設定されている。これにより、マグネット側ヨーク105の第2Aおよび第2B部位105b,105cは、押さえビス10のツバ部110aから駆動コイル側とは反対側への押圧力が作用しない状態とすることができる。したがって、ベース筒106にもこれを変形させる力は作用しない。
なお、本実施例では、マグネット側ヨーク5の中央よりもマグネット104pに近い部位でネジ107によりベース筒106に固定しているので、第2A部位105bの方が第2B部位105cよりも低い。このため、高さH1,H2をH1<H2に設定してもよい。
以上の構成により、マグネット側ヨーク105に反りがある場合でも、防振駆動のための磁気回路への影響を小さく抑えた状態でマグネット側ヨーク105をベース筒106に取り付けることができる。したがって、ピッチ方向およびヨー方向への安定的な駆動力を得ることができる。また、ベース筒106に該ヨーク105を取り付けたことによる変形を引き起こすことがないため、防振性能の低下を防止することができる。
さらに、本実施例の固定方法を用いれば、マグネット側ヨーク105の平面度を必要以上に高くする必要がないため、安価な部品費でマグネット側ヨーク105を製作することができる。したがって、防振ユニット全体のコスト低下にも寄与する。
図6および図7には、本発明の実施例2である防振ユニットの構成を示している。本実施例の防振ユニットは、実施例1にて説明した防振ユニット35に代えて、図1および図2に示したレンズ鏡筒に搭載される。なお、本実施例の基本的構成は実施例1と同じであり、共通する構成要素については実施例1と同符号を付して説明に代える。
実施例1ではマグネット側ヨーク5の両端近傍に押さえビス110を設けた場合について説明したが、本実施例では、第2B部位105c′側の押さえビス110をマグネット104yよりも第1の部位(105a)に近い位置に配置している。この場合、第1の部位(105a)から第2A部位105b′および第2B部位105c′までの距離が互いに概ね等しくなる。このため、本実施例では、ヨーク取付け面106aから押さえビス10のツバ部110aまでの寸法H1,H2は等しいか概ね等しい。なお、実施例1では、第2A部位105bおよび押さえビス110をマグネット側ヨーク105の端部外周側に設けていたが、本実施例では、マグネット側ヨーク105′の端部内周側に設けている。
このように構成することで、マグネット104pおよび駆動コイル103p間のギャップと、マグネット104yおよび駆動コイル103y間のギャップとを概ね等しくすることができ、ピッチ方向とヨー方向での駆動力のバランスをとりやすくすることができる。したがって、より安定的な防振駆動を行うことができる。
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
例えば、本実施例では、駆動コイル103p,103yがシフト鏡筒102に取り付けられてシフト鏡筒102とともにピッチ方向およびヨー方向に移動し、マグネット104p,104yがベース筒106に固定されたいわゆるムービンクコイル型の防振ユニットについて説明した。しかし、本発明は、マグネットがシフト鏡筒に取り付けられてシフト鏡筒とともに移動し、駆動コイルがベース筒に固定されるいわゆるムービングコイル型の防振ユニットにも適用することができる。
また、上記実施例では、マグネット側ヨーク105、105′をビス107によってベース筒106に固定する場合について説明したが、ベース筒に軸を設け、該軸をマグネット側ヨークに形成した穴に通した上で熱かしめによってベース筒に固定するようにしてもよい。
また、上記実施例では、押さえビス110をベース筒106に形成した突起106b,106cにねじ込むことでそのツバ部110aによる「移動制限壁」を作る場合について説明したが、該突起にマグネット側ヨーク上に張り出すオーバーハング部を一体形成することで、移動制限壁を作ってもよい。
また、本実施例では、光学素子であるシフトレンズユニットL5をピッチ方向およびヨー方向に移動させて像振れ補正を行う防振ユニットについて説明したが、本発明はこのような防振ユニットに限らず適用することができる。例えば、図1にカメラ本体101内に設けられた撮像素子101を示したが、この撮像素子101をピッチ方向およびヨー方向に駆動する防振ユニットにも本発明を適用することができる。この場合の防振ユニットでは、上記実施例にて説明したシフト鏡筒102を、撮像素子101を保持する部材に代えればよい。
さらに、上記各実施例では、一眼レフカメラ用の交換レンズ鏡筒について説明したが、本発明は、レンズ一体型のカメラ、ビデオカメラ等の光学機器のレンズ鏡筒部にも適用することができる。
本発明の実施例1であるレンズ鏡筒のWIDE状態での断面図。 実施例1のレンズ鏡筒のTELE状態での断面図。 実施例1のレンズ鏡筒に搭載される防振ユニットの分解斜視図。 実施例1の防振ユニットの組立て状態を示す図。 実施例1の防振ユニットにおけるマグネット側ヨークのベース筒への固定方法を説明する図。 本発明の実施例2である防振ユニットの組立て状態を示す図。 実施例2の防振ユニットにおけるマグネット側ヨークのベース筒への固定方法を説明する図。
符号の説明
L1〜L7 レンズユニット
3 フォーカスリング
7 ズームリング
35 防振ユニット
37 メイン回路基板
102 シフト鏡筒
103p,103y 駆動コイル
104p,104y マグネット
105 マグネット側ヨーク
106 ベース筒
107 ビス
108 コイル側ヨーク
109 シフトピン
110 押さえビス

Claims (5)

  1. 防振のために移動させる素子を保持する第1の部材と、
    該第1の部材を、互いに直交する第1の方向および第2の方向に移動可能に保持する第2の部材と、
    前記第1および第2の部材のうち一方の部材に取り付けられたヨークと、
    該ヨークに取り付けられ、前記第1および第2の部材のうち他方の部材に取り付けられたコイルに対向する第1および第2のマグネットとを有し、
    前記ヨークは、該ヨークにおける前記第1および第2のマグネットの間の第1の部位において前記一方の部材に取り付けられ、
    前記一方の部材は、前記ヨークにおける前記第1の部位とは異なる第2の部位の前記マグネットとコイルが対向する方向への移動を制限する制限部を有することを特徴とする防振ユニット。
  2. 前記ヨークは、前記第1の部位において1本のビスにより前記一方の部材に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の防振ユニット。
  3. 前記制限部は、前記第2の部位を前記コイル側とは反対側に押すことなく該第2の部位の前記コイル側への移動を制限することを特徴とする請求項1又は2に記載の防振ユニット。
  4. 前記制限部は、前記一方の部材における前記第1の部位の取付け面から突出する突起部に取り付けられたビスの頭部を移動制限壁として含み、
    該ビスは、前記頭部が前記突起部に当接する位置まで締め込まれていることを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の防振ユニット。
  5. 請求項1から4のいずれか1つに記載の防振ユニットを備えたことを特徴とする光学機器。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011118284A (ja) * 2009-12-07 2011-06-16 Sony Corp 像ぶれ補正装置及び撮像装置

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