JP2007045771A - 経口投与組成物 - Google Patents

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【課題】 特定な食品成分により、プラスミノゲーンアクチベータインヒビター(PAI)を抑制する技術を提供する。
【解決手段】 バラ科プルナス属の植物の花及び/又は蕾の抽出物を有効成分として含有する、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター抑制のための経口投与組成物を提供する。前記バラ科プルナス属の植物は、モモ及び/又はノモモであることが好ましく、前記抽出物は、含水エタノールで抽出し、抽出溶媒を除去し、しかる後、水相の存在下、n−ヘキサン可溶分、酢酸エチル可溶分、n−ブチルアルコール可溶分を除去し、残った水相より水分を除去したものであることが好ましい。前記抽出物は、プルナシン酸、ネオプルナシン酸、ムルチノサイドA、ムルチフロリンB及びそれらの塩から選択される1種乃至は2種以上を薬効成分として含有するものであることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は経口投与組成物に関し、更に詳細には、食品に好適な食品組成物に関する。
近年、食事体系の西欧化による、所謂生活習慣病の急増が社会問題として大きく取り上げられるようになっている。即ち、食生活の西欧化に伴い、動物性脂質の摂取量が急増し、これにより血中のコレステロール含量が増加し、余分なコレステロールを貪食した貪食細胞が血管壁に積層し、アテロームを形成し、血栓を形成せしめ、血流量を阻害し、血圧を上昇せしめると言う、循環器の増悪コースを形成する駆動力となっている。この様な増悪をくい止めるためには、血栓の形成を阻害することが重要な課題となる。この様な血栓の形成阻害をする薬剤は、現在幾つかは開発されて実用に供されているが、一度投与を始めると、途中中断が出来なくなるため、思いもかけぬ副作用の発現などが発生する可能性が存し、結果、血栓形成は抑制されても、延命効果やQOLの向上に結びつかない例も存し、通常の生活において、血栓形成を阻害する手段の開発が望まれていた。この様な手段としては、食事を介しての方法が特に期待されている。これは、この様な疾患そのものの発生が食事に起因するところが大きいことを勘案すれば当然のことと思われる。この様な食事を介しての血栓の形成阻害の手段としては、特定な食品成分によるプラスミノーゲンアクチベータなどの線溶酵素の活性を高める方法と、プラスミノーゲンアクチベータインヒビターなどの線溶酵素活性阻害物質の阻害作用を抑制する方法の2種が存在する。前者としては、ヒラタケや納豆などが知られている。(例えば、特許文献1、特許文献2を参照)しかしながら、後者については、食品成分では未だ有効なものが見出されていないのが現状である。
一方、バラ科プルナス属の植物の花及び/又は蕾は、「白桃花」のように古来より、漢方生薬として知られているものであり、その効能としては、抗肥満効果や抗便秘効果などが知られている。(例えば、特許文献3、特許文献4を参照)しかしながら、線溶系への作用は全く知られていない。
プルナシン酸、ムルチノサイドA、ムルチフロリンBはバラ科プルナス属の植物体に含有されていることは知られているが(例えば、非特許文献1を参照)これらに線溶系への作用が存することも知られていない。ネオプルナシン酸は文献未記載の新規化合物である。
特開2003−116535号公報 特開2002−065294号公報 特開2003−055249号公報 特開2004−244389号公報 Swain E. , et. al. , Plant Physiol. , 1994 , 106(2):437-445
本発明は、この様な状況下為されたものであり、特定な食品成分により、プラスミノゲーンアクチベータインヒビター(PAI)を抑制する技術を提供することを課題とする。
この様な状況に鑑みて、本発明者らは、特定な食品成分により、プラスミノゲーンアクチベータインヒビター(PAI)を抑制する技術を求めて、鋭意研究努力を重ねた結果、バラ科プルナス属の植物の花及び/又は蕾の抽出物を食品として摂取することにより、その様な抑制が為しうることを見出し、発明を完成させるに至った。即ち、本発明は以下に示すとおりである。
(1)バラ科プルナス属の植物の花及び/又は蕾の抽出物を有効成分として含有する、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター抑制のための経口投与組成物。
(2)前記バラ科プルナス属の植物が、モモ及び/又はノモモであることを特徴とする、(1)に記載の経口投与組成物。
(3)前記抽出物が、含水エタノールで抽出し、抽出溶媒を除去し、しかる後、水相の存在下、n−ヘキサン可溶分、酢酸エチル可溶分、n−ブチルアルコール可溶分を除去し、残った水相より水分を除去したものであることを特徴とする、(1)又は(2)に記載の経口投与組成物。
(4)前記抽出物が、プルナシン酸、ネオプルナシン酸、ムルチノサイドA、ムルチフロリンB及びそれらの塩から選択される1種乃至は2種以上を薬効成分として含有するものであることを特徴とする、(1)〜(3)何れか1項に記載の経口投与組成物。
Figure 2007045771
プルナシン酸
Figure 2007045771
ネオプルナシン酸
Figure 2007045771
ムルチノサイドA
Figure 2007045771
ムルチフロリンB
(5)血流量を改善する目的で使用されるものであることを特徴とする、(1)〜(4)何れか1項に記載の経口投与組成物。
(6)食品であることを特徴とする(1)〜(5)何れか1項に記載の経口投与組成物。
(7)プラスミノゲンアクチベーターインヒビター抑制作用を有する旨及び/又は血流量を改善する目的で使用される旨が製品形態に表示されていることを特徴とする、(1)〜(6)何れか1項に記載の経口投与組成物。
(8)ネオプルナシン酸。
本発明によれば、特定な食品成分により、プラスミノゲーンアクチベータインヒビター(PAI)を抑制する技術を提供することができる。
本発明の経口投与組成物は、バラ科プルナス属の植物の花及び/又は蕾の抽出物を有効成分として含有する、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター抑制のためのものであることを特徴とする。前記バラ科プルナス属の植物としては、モモ、ノモモ、プルーン、ソルダム、アプリコットなどが例示でき、モモ及び/又はノモモが特に好ましい。
抽出物としては、通常食品などで使用されている抽出溶剤で有れば特段の限定無く適用することが出来、水、エタノール、プロパノール、ブタノール或いは1,3−ブタンジオールなどのアルコール類、酢酸エチルなどのエステル類、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなどのエーテル類、ノルマルヘキサンなどの炭化水素類などが好適に例示でき、中でも、水、アルコールなどの極性溶剤がより好ましく、30〜70質量%のエタノール水溶液が特に好ましい。抽出は、溶剤中に溶剤量の1〜50質量%のプルナス属の植物の花及び/又は蕾を加え、所望により攪拌しながら、室温であれば数日間、沸点付近の温度であれば数時間浸漬することにより、これらの植物に含有される、プラスミノゲンアクチベーターインヒビターを阻害する薬効成分を含有する形で抽出できる。この様な抽出を行った後、室温まで冷却後、濾過などにより不溶分を除去し、しかる後に溶媒を減圧溜去等の手技で除去することが出来る。更に、これらを液液抽出やカラムクロマトグラフィーで分画精製することも出来る。液液抽出としては、アルコールを含有していても良い水とノルマルヘキサン、酢酸エチルと水、ノルマルブタノールと水などの系が例示でき、この順で順次非極性部分を除去しながら精製することが好ましい。カラムクロマトグラフィーとしてはシリカゲルカラムクロマトグラフィーや「ダイアイオンHP−20」(三菱化学株式会社製)などのイオン交換カラムクロマトグラフィーで精製することが好ましい。精製の後、所望により、移動相である溶剤を除去することが出来る。本発明で言う、「抽出物」とは、これらの全てを包含する言葉である。
斯くして得られた抽出物は、プラスミノーゲンアクチベータインヒビターを抑制する成分を含有し、かかる抽出物を有効成分として経口投与組成物に含有せしめることにより、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビターを阻害する作用に優れる経口投与組成物とすることが出来る。
前記抽出物は、この様な作用を有する成分として、プルナシン酸、ネオプルナシン酸、ムルチノサイドA、ムルチフロリンB或いはそれらの塩を含有する。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩、トリエチルアミン塩等の有機アミン塩類、リジン塩、アルギニン塩等の塩基性アミノ酸塩等が好ましく例示できる。これらの成分の抽出物における含有量は、それぞれ抽出物に対して1〜10質量%であり、植物の花及び/又は蕾に対して、0.1〜3質量%になるように抽出を行うことが好ましい。
斯くして得られた抽出物は、常法に従って、賦形剤、結合剤、崩壊剤、被覆剤、矯味矯臭剤、着色剤、糖衣剤などとともに処理して経口投与組成物へと加工することが出来る。本発明の経口投与組成物における、かかる抽出物の好ましい含有量は1〜30質量%であり、より好ましくは3〜20質量%である。
経口投与組成物の種類としては、経口で投与されるものであれば、特段の限定無く適用でき、例えば、特定保健用食品などを包含する食品組成物、医薬組成物などが例示でき、食品組成物に適用することが特に好ましい。食品組成物に適用する場合に於いては、プラスミノゲンアクチベーターインヒビター抑制作用を有する旨及び/又は血流量を改善する目的で使用される旨が製品形態に表示されていることが、適切な効果を奏する使用方法での使用を喚起できるので特に好ましい。
以下に、実施例を挙げて、本発明について更に詳細に説明を加えるが、本発明がかかる実施例にのみに限定されないことは言うまでもない。
市販の白桃花(バラ科モモの花蕾(からい)を乾燥させたもの)150gを70%含水エタノール6リットル中でホモジナイズし,ろ過,濃縮,乾燥し,白桃花70%エタノール抽出物48gを得た.別に白桃花150gを70%含水エタノール6リットル中でホモジナイズし,ろ過,濃縮し,水溶液としたものをノルマルヘキサン,酢酸エチル,ノルマルブタノール各1.3リットルで3回ずつ順次液液分配し,それぞれ濃縮,乾燥し白桃花ヘキサン抽出物2.3g,白桃花酢酸エチル抽出物7.3g,白桃花ブタノール抽出物7.9g,白桃花水抽出物26.7gを得た.
白桃花水抽出物1gをダイアイオンHP−20(三菱化成製)カラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;水:メタノール=100:0〜0:100)およびODSカラムを装着した分取高速液体クロマトグラフィーで精製し、プルナシン酸16mgおよびネオプルナシン酸23mgを得た.白桃花ブタノール抽出物1gをダイアイオンHP−20(三菱化成製)カラムクロマトグラフィー(溶出溶媒;水:メタノール=100:0〜0:100)およびODSカラムを装着した分取高速液体クロマトグラフィーで精製し、クロロゲン酸29mg,ムルチノサイドA33mg,ムルチフロリンB36mgを得た.
ネオプルナシン酸の物性:白色無晶形粉末
1H NMR (500 MHz, 重水+アセトン-d6) δ 7.38-7.33 (5H, m), 5.36 (1H, s), 4.14 (1H, d, J=8 Hz), 3.76 (1H, dd, J=12.5, 2 Hz), 3.59 (1H, dd, J=6, 12.5 Hz), 3.31-3.14 (4H, m)
市販のヒト臍帯静脈由来血管内皮細胞(Huvec,クラボウ)を培養したものを24 穴コラーゲンコートプレートに1×10cells/wellでまき24時間インキュベートした.無血清培地に交換し,更に一晩インキュベートし,低血清培地に交換すると共に上記の白桃花抽出物または化合物をDMSOに溶かしたものを被検物として終濃度10μg/mLで添加し,同時にTNF−αを終濃度10ng/mLで添加した.24時間後に培地を回収し,遠心(3000rpm)後上清について,市販のPAI−1 ELISAキットで培地中のPAI−1(プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター1)濃度を測定した.被検物のかわりにDMSOを添加したものをコントロールとして,コントロールのPAI−1量に対する100分率で各被検物のPAI−1産生抑制率を求めた.結果を表1に示す。クロロゲン酸以外の成分に優れたPAI−1産生抑制作用が認められた。これにより、血流量を改善できることが判る。
Figure 2007045771
前記の如くに得られた抽出物を用いて、本発明の経口投与組成物である、食品(プラスミノーゲンアクチベーターインヒビターを抑制し、これにより線溶系の活性化で血流を改善する旨の表示を有する。)を製造した。即ち、処方成分を混合した後、処方成分10質量部に対し、3質量部の水を噴霧しながら流動層造粒を行い、40℃で24時間乾燥させた後に、打錠機で打錠し、錠剤を得た。
表2の成分 10質量%
ヒドロキシプロピルセルロース 3質量%
結晶セルロース 40質量%
デンプン 46質量%
ステアリン酸マグネシウム 1質量%
Figure 2007045771
本発明は血流を改善する食品に応用できる。

Claims (8)

  1. バラ科プルナス属の植物の花及び/又は蕾の抽出物を有効成分として含有する、プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター抑制のための経口投与組成物。
  2. 前記バラ科プルナス属の植物が、モモ及び/又はノモモであることを特徴とする、請求項1に記載の経口投与組成物。
  3. 前記抽出物が、含水エタノールで抽出し、抽出溶媒を除去し、しかる後、水相の存在下、n−ヘキサン可溶分、酢酸エチル可溶分、n−ブチルアルコール可溶分を除去し、残った水相より水分を除去したものであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の経口投与組成物。
  4. 前記抽出物が、プルナシン酸、ネオプルナシン酸、ムルチノサイドA、ムルチフロリンB及びそれらの塩から選択される1種乃至は2種以上を薬効成分として含有するものであることを特徴とする、請求項1〜3何れか1項に記載の経口投与組成物。
    Figure 2007045771
    プルナシン酸
    Figure 2007045771
    ネオプルナシン酸
    Figure 2007045771
    ムルチノサイドA
    Figure 2007045771
    ムルチフロリンB
  5. 血流量を改善する目的で使用されるものであることを特徴とする、請求項1〜4何れか1項に記載の経口投与組成物。
  6. 食品であることを特徴とする請求項1〜5何れか1項に記載の経口投与組成物。
  7. プラスミノゲンアクチベーターインヒビター抑制作用を有する旨及び/又は血流量を改善する目的で使用される旨が製品形態に表示されていることを特徴とする、請求項1〜6何れか1項に記載の経口投与組成物。
  8. ネオプルナシン酸。
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