JP2005350432A - プロスタサイクリン生成促進剤 - Google Patents

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進 丸山
Toshiaki Ichimura
年昭 市村
Akiko Yamanaka
晶子 山中
Masaaki Teruya
正映 照屋
Tetsuya Toyokawa
哲也 豊川
Hiroko Wakuta
裕子 湧田
Toshio Ichiba
俊雄 市場
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Abstract

【課題】 本発明の課題は、天然物由来のプロスタサイクリン生成促進剤を提供することである。
【解決手段】 本発明は、ニシヨモギ、リュウキュウヨモギ、カワラヨモギ等のヨモギ属植物抽出物、バンジロウ抽出物、ボタンボウフウ抽出物ク、さらにはクミスクチン抽出物を有効成分として含有するプロスタサイクリン生成促進剤に関する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、肺高血圧症、高血圧症、血栓症などの改善、予防に利用できるプロスタサイクリン生成促進剤に関する。
プロスタサイクリン(プロスタグランジンI2)は以下のような経路を経て生成されることが知られている。細胞膜に存在するホスホリパーゼA2は、膜のリン脂質からアラキドン酸を細胞質中に遊離させる。アラキドン酸からはシクロオキシゲナーゼ(プロスタグランジン-エンドペルオキシド-シンターゼ)によりプロスタグランジンG2が作られ、プロスタグランジンH2を経て、トロンボキサンA2、プロスタグランジン類、プロスタサイクリンが作られる。プロスタサイクリンの6,9-エポキシド構造は不安定で、37℃中性の水で、半減期5分とされ、安定で顕著な生理活性のない6-ケトプロスタグランジンF(6-ketoprostaglandin F)になる。プロスタサイクリンは血管拡張を引き起こし、血圧を下げ、また血小板の凝集を抑制する生理活性が顕著で、トロンボキサンA2と拮抗しつつ、循環系の生理的状態を保つと考えられている。
プロスタサイクリンは血管内皮細胞によって合成されるが、特に肺の血管内皮細胞はプロスタサイクリン合成能が高く、肺循環が円滑にいくようにしている。肺胞の酸素濃度の低下、心房の圧の上昇の際には、肺胞の血管抵抗を低下させ、肺血流量を増やす必要が生じ、プロスタサイクリンの合成量が増すことが報告されている。
肺高血圧症は心臓から肺に血液を送る肺動脈血管が細くなり血圧が高くなってしまう難病で、呼吸困難や心不全を引き起こす。肺高血圧症は治療が困難であるが、血管拡張剤で肺動脈圧を下げる治療が行われ、特に、プロスタサイクリン注射が現在最も効果のあるものとされている。
アスピリンやポリフェノール類は酸素分子を付加する酵素であるシクロオキシゲナーゼの働きを抑制することにより、トロンボキサンやプロスタグランジン類の生成を抑制し、抗炎症作用や血小板凝集抑制作用を持つことが知られている。また、リポキシゲナーゼ(炎症反応に関与するロイコトリエンの生成に関与する)やシクロオキシゲナーゼの阻害剤を体毛および/または頭髪の成長阻害および/または抑制、または抜毛促進用薬剤の調整、または化粧品組成物へ使用することの記述がなされ、そのなかにクルクミン、クロロゲン酸、ルテオリンなどのポリフェノールが幾つか言及されている(特許文献1、2)。このように抗酸化活性のあるポリフェノール類は酸素添加酵素であるシクロオキシゲナーゼの働きを抑制することによりプロスタグランジン類の生成を抑制するものと考えられる。
一方、フラボノイド類の幾つかは高濃度ではシクロオキシゲナーゼの活性を阻害し、低濃度では活性を促進するとの報告がなされ(非特許文献1)、また、チョコレートに含まれるフラボノイドの一種プロシアニジンがロイコトリエンの生成を抑制し、プロスタサイクリンの生成を促進することが報告されている(非特許文献2)。カフェー酸の2量体であるロズマリン酸については、1mMの濃度でプロスタサイクリンの合成を阻害し、1μMから10μMの濃度で合成を促進すること(非特許文献3)、また、1mMの濃度でシクロオキシゲナーゼ活性が58%阻害されることも報告されている(非特許文献4)。このようにポリフェノール類はその種類と濃度によってシクロオキシゲナーゼ活性、あるいはプロスタサイクリン生成を阻害あるいは促進させるという複雑な様相を呈する。
特開平7-238037号公報 特開平10-36235号公報 ファーマコロジー(Pharmacology)、(スイス)、1992年、44巻、p.1-12 アメリカンジャーナル オブ クリニカルニュートリション(American Journal of Clinical Nutrition)、(米国)、2001年、73巻、p.36-40 バイオケミカル ファーマコロジー(Biochemical Pharmacology)、(英国)1986年、35巻、p.1397-1400 フィトメディシン(Phytomedicine)、(ドイツ)、2000年、7巻、p.7-13
本発明の課題は、安全性の高い食品系植物由来のプロスタサイクリン生成促進剤を提供することである。
本発明者らは、安全性の高い食品系植物由来のプロスタサイクリン生成促進剤を求めて鋭意探索した結果、ニシヨモギ、リュウキュウヨモギ、カワラヨモギ等のヨモギ属に属するヨモギ類植物の抽出物、バンジロウ抽出物、ボタンボウフウ抽出物およびクミスクチン抽出物が血管内皮細胞に働いてプロスタサイクリンの生成を促進する効果を有することを見出し、本発明を完成した。前述のように幾つかのポリフェノールは濃度によってプロスタサイクリンの生成を阻害あるいは促進させるが、本発明の植物抽出物は細胞毒性以下の濃度では生成を促進させる方向にのみ働くという特徴を有することも確認した。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1) ヨモギ属植物抽出物および/またはその処理物を有効成分として含有するプロスタサイクリン生成促進剤、
(2) ヨモギ属植物がニシヨモギ、リュウキュウヨモギおよびカワラヨモギのうちの少なくとも一つである(1)のプロスタサイクリン生成促進剤、
(3) バンジロウ抽出物および/またはその処理物を有効成分として含有するプロスタサイクリン生成促進剤、
(4) ボタンボウフウ抽出物および/またはその処理物を有効成分として含有するプロスタサイクリン生成促進剤、
(5) クミスクチン抽出物および/またはその処理物を有効成分として含有するプロスタサイクリン生成促進剤、
(6) (1)から(5)のいずれかのプロスタサイクリン生成促進剤を含有する肺高血圧症、高血圧症または血栓症の改善および/または予防用医薬、
(7) (1)から(5)のいずれかのプロスタサイクリン生成促進剤を含有する血流改善剤、
(8) 食品に添加するための(1)から(5)のいずれかのプロスタサイクリン生成促進剤、
(9) ヨモギ属植物、バンジロウ、ボタンボウフウならびにクミスクチンのうちの少なくとも一つを搾汁または粉砕する工程、該搾汁または該粉砕物を抽出する工程、および必要に応じて該搾汁または該粉砕物またはその抽出物に濃縮処理および/または精製処理を行う工程を含む、(1)から(5)のいずれかのプロスタサイクリン生成促進剤の製造方法、ならびに
(10) ヨモギ属植物がニシヨモギ、リュウキュウヨモギおよびカワラヨモギのうちの少なくとも一つである(9)のプロスタサイクリン生成促進剤の製造方法。
本発明により、安全性が高い食品系植物由来のプロスタサイクリン生成促進剤が提供される。該プロスタサイクリン生成促進剤は、医薬および/または食品の有効成分として用いることができる。
以下、上記本発明について詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることはなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜実施し得る。
本発明は、ニシヨモギ、リュウキュウヨモギ、カワラヨモギ等のヨモギ属植物に属するヨモギ類植物抽出物、バンジロウ抽出物、ボタンボウフウ抽出物、さらにはクミスクチン抽出物を有効成分として含有するプロスタサイクリン生成促進剤に関する。また、本発明はニシヨモギ、リュウキュウヨモギ、カワラヨモギ等のヨモギ属植物、バンジロウ、ボタンボウフウ、さらにはクミスクチンに由来し、プロスタサイクリン生成促進活性を示す物質を有効成分として含有するプロスタサイクリン生成促進剤に関する。
これらの植物の抽出物を得る際には、植物全体、葉、根または花の搾汁をそのまま用いることができるが、植物全体、葉、根、花または果実を破砕、粉砕等により粉末化処理したものを用いてもよい。抽出物を得るために用いる植物の部分は、植物の種類に応じて適宜選択すればよい。また、該搾汁または該粉砕物の抽出物または該搾汁または該粉砕物またはその抽出物の処理物として用いることもできる。ここで、「抽出物」とは、植物全体、葉、根または花に含まれる成分を、水、エタノール等の溶媒に溶解させて抽出し適宜乾燥させた、通常は液体または固体の物質を指し、「処理物」とは、搾汁、粉末または抽出物に対してさらに濃縮処理や精製処理等を行うことにより得られる物質を指すものとする。
植物を抽出物として用いる場合、抽出時間は10分〜1時間程度、特に30分程度が好ましく、また抽出に使用する溶媒量は原料に対して質量比で2倍量〜10倍量、特に5倍量が好ましい。抽出溶媒は、任意の溶媒であってよく、例えばメタノール、エタノール、酢酸エチル、その他の有機溶媒、および水のうち1種または2種以上を用いることができる。好ましくは、エタノールと水の混合溶媒を用いる。また、溶媒抽出の過程でケイソウ土を加えてもよい。さらに場合により、抽出後、ろ過または遠心分離により抽出残渣を除き抽出液を得ることができる。
また、搾汁、粉末または抽出液を濃縮処理することもできる。さらに、搾汁、粉末または抽出液には糖分や有機酸が非常に多く含まれるため、それらを除く精製工程を行うことも好ましい。精製処理の方法として、順相または逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルろ過等が挙げられる。これらの方法を適宜組合せて用いることもできる。
さらに、ニシヨモギ、リュウキュウヨモギ、カワラヨモギ等のヨモギ属植物、バンジロウ、ボタンボウフウ、さらにはクミスクチンに由来し、プロスタサイクリン生成促進活性を示す物質を公知の方法で得ることができ、これらの物質を含む組成物も本発明のニシヨモギ、リュウキュウヨモギ、カワラヨモギ等のヨモギ属植物抽出物、バンジロウ抽出物、ボタンボウフウ抽出物、さらにはクミスクチン抽出物を有効成分として含有するプロスタサイクリン生成促進剤に含まれる。
本発明のプロスタサイクリン生成促進剤における、ニシヨモギ、リュウキュウヨモギ、カワラヨモギ等のヨモギ属植物抽出物は、葉、茎、根または花の抽出物が好ましく、葉の抽出物が特に好ましい。
ニシヨモギ(フーチバー、Artemisia indica)リュウキュウヨモギ(ハママーチ、Artemisia campestris L.)、カワラヨモギ(Artemisia capillaris)はキク科の多年草である。本発明に使用するニシヨモギ、リュウキュウヨモギ、カワラヨモギ等のヨモギ属の品種と産地は、特に限定されるものではない。本発明に使用できるヨモギ属植物抽出物は、上記方法により得ることができるが、例えば、ニシヨモギ、リュウキュウヨモギあるいはカワラヨモギの葉を乾燥したのち、遠心破砕器で破砕し、溶媒抽出を行い、抽出液を減圧下で乾燥することにより粉末として得ることができる。抽出溶媒は任意の溶媒であってよく、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、酢酸エチル、その他の有機溶媒、および水のうち1種または2種以上を用いることができる。また、溶媒抽出の過程でケイソウ土を加えてもよい。
本発明はさらにまた、バンジロウ抽出物を含有するプロスタサイクリン生成促進剤に関する。バンジロウの抽出物としては、葉、茎、根、花または果実の抽出物が好ましく、葉の抽出物が特に好ましい。
バンジロウ(グアバ、Psidium guajava)はフトモモ科の常緑小高木である。本発明に使用するバンジロウの品種と産地は、特に限定されるものではない。本発明に使用できるバンジロウ抽出物は、上記方法により得ることができるが、例えば、バンジロウの葉を乾燥したのち、遠心破砕器で破砕し、溶媒抽出を行い、抽出液を減圧下で乾燥することにより粉末として得ることができる。抽出溶媒は任意の溶媒であってよく、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、酢酸エチル、その他の有機溶媒、および水のうち1種または2種以上を用いることができる。また、溶媒抽出の過程でケイソウ土を加えてもよい。
本発明はさらにまた、ボタンボウフウ抽出物を含有するプロスタサイクリン生成促進剤に関する。ボタンボウフウの抽出物としては、葉、茎、根、または花の抽出物が好ましく、葉の抽出物が特に好ましい。
ボタンボウフウ(牡丹防風、沖縄では長命草(チョーミーグサ)、Peucedanum japonicum)はセリ科の常緑多年草である。本発明に使用するボタンボウフウの品種と産地は、特に限定されるものではない。本発明に使用できるボタンボウフウ抽出物は、上記方法により得ることができるが、例えば、ボタンボウフウの葉を乾燥したのち、遠心破砕器で破砕し、溶媒抽出を行い、抽出液を減圧下で乾燥することにより粉末として得ることができる。抽出溶媒は任意の溶媒であってよく、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、酢酸エチル、その他の有機溶媒、および水のうち1種または2種以上を用いることができる。また、溶媒抽出の過程でケイソウ土を加えてもよい。
本発明はさらにまた、クミスクチン抽出物を含有するプロスタサイクリン生成促進剤に関する。クミスクチンの抽出物としては、葉、茎、根または花の抽出物が好ましく、葉の抽出物が特に好ましい。
クミスクチン(ネコノヒゲ、Orthosiphon aristatus (Bl.) Miq.)はシソ科の多年草でインドから東南アジア、オーストラリア北部に広く分布し、沖縄でも広く栽培されている。本発明に使用するクミスクチンの品種と産地は、特に限定されるものではない。
本発明に使用できるクミスクチン葉抽出物は、上記方法により得ることができるが、例えば、クミスクチンの葉を乾燥したのち、遠心破砕器で破砕し、溶媒抽出を行い、抽出液を減圧下で乾燥することにより粉末として得ることができる。抽出溶媒は任意の溶媒であってよく、例えばメチルアルコール、エチルアルコール、酢酸エチル、その他の有機溶媒、および水のうち1種または2種以上を用いることができる。また、溶媒抽出の過程でケイソウ土を加えてもよい。
本発明のプロスタサイクリン生成促進剤中での植物抽出物の含有量は、投与目的、投与経路、剤形等によって適宜変更し得るが、例えば、ニシヨモギ抽出物リュウキュウヨモギ抽出物、カワラヨモギ抽出物、バンジロウ抽出物、ボタンボウフウ抽出物、あるいはクミスクチン抽出物を含有する場合その含有量は製剤全重量に対して0.1〜90重量%である。
本発明の上記植物の抽出物を含有するプロスタサイクリン生成促進剤は、抽出物それ自体であってもよいし、通常用いられる固体または液体の担体、乳化分散剤等により錠剤、粉剤、乳剤、カプセル剤等の剤形に製剤化されたものであってもよい。上記担体としては、水、ゼラチン、デンプン、ステアリン酸マグネシウム、ラクトース、植物油等が挙げられる。
本発明のプロスタサイクリン生成促進剤は、肺高血圧症、高血圧症、血栓症などの改善および/または予防ならびに血流改善に有効である。すなわち、本発明のプロスタサイクリン生成促進剤は、肺高血圧症、高血圧症、血栓症などの改善および/または予防用医薬ならびに血流改善用医薬として用いることができる。
本発明のプロスタサイクリン生成促進剤は医薬として用いるほか、種々の食品中に添加して特定保健用食品または機能性食品として用いることができる。かかる食品として、清涼飲料、乳酸飲料、スープ、ジャム、菓子類などが挙げられる。本発明のプロスタサイクリン生成促進剤はまた、ペットフード、飼料などに添加してペットや家畜の高血圧改善、血流改善に用いることもできる。
本発明のプロスタサイクリン生成促進剤の使用形態は使用目的に応じた任意の形態であってよく、例えば経口的投与、直腸投与、皮膚への塗布が例示される。
本発明のプロスタサイクリン生成促進剤の投与量は特に限定されるものではなく、例えば、病気の種類、患者の年齢、性別、体重、症状の程度、又は投与方法などに応じて適宜決定することができる。例えば、軽症の高血圧症患者にニシヨモギ抽出物を含有するプロスタサイクリン生成促進剤を経口投与の場合には、1日当たり1mg/kg体重〜200mg/kg体重であることが好ましい。1日の投与回数は、限定されず1回から数回投与すればよい。
本発明のプロスタサイクリン生成促進剤を特定保健用食品または機能性食品に添加する場合には目的に応じて適量を添加することができる。例えば、ニシヨモギ抽出物、リュウキュウヨモギ抽出物、カワラヨモギ抽出物、バンジロウ抽出物、ボタンボウフウ抽出物、あるいはクミスクチン抽出物を含有するプロスタサイクリン生成促進剤を食品に添加する場合には、それぞれの抽出物が1.0〜100重量%含有されるように添加する。
さらに、本発明はニシヨモギ、リュウキュウヨモギ、カワラヨモギ等のヨモギ属植物抽出物、バンジロウ抽出物、ボタンボウフウ抽出物、さらにはクミスクチン抽出物を有効成分として含有し、肺高血圧症、高血圧症、血栓症等の改善および/または予防作用、あるいは血流改善作用を有するものであることを特徴とし、肺高血圧症、高血圧症、血栓症等の改善および/または予防、あるいは血流改善のために用いられるものである旨の表示を付した飲食品をも包含する。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。
実施例1 ニシヨモギ、リュウキュウヨモギ、カワラヨモギ等のヨモギ属植物抽出物、バンジロウ抽出物、ボタンボウフウ抽出物、またはクミスクチン抽出物からなるプロスタサイクリン生成促進剤の製造法
ニシヨモギ(全草、沖縄県にて6月収穫)、リュウキュウヨモギ(全草、沖縄県にて7月収穫)、カワラヨモギ(全草、沖縄県にて7月収穫)、バンジロウ(成葉、沖縄県にて11月収穫)、ボタンボウフウ(葉、沖縄県にて7月収穫)、クミスクチン(葉、沖縄県にて収穫)それぞれを60℃、12時間乾燥させ、これを遠心粉砕器(MRK-Retschm, ZM-100)を用いて粉砕し、0.5mmのスクリーンを通過したものについて、高速溶媒抽出装置(日本ダイオネクス社製、ASE-200)により溶媒抽出を行った。即ち、それぞれ乾燥重量で2gの試料を8gのケイソウ土とともに抽出セルに装填し、50%エタノール溶液を加え、抽出温度82℃、抽出時間10分、圧力1500psi、抽出回数2回で、合計50mlの50%エタノール抽出を行った。つぎに、それぞれ5mlをメンブレンフィルターでろ過し、遠心式濃縮器にて乾固することにより、それぞれ109mg、137mg、107mg、98mg、183mgの粉末を得た。
実施例2 ニシヨモギ抽出物、リュウキュウヨモギ抽出物、カワラヨモギ抽出物のウシ大動脈内皮細胞におけるプロスタサイクリン生成促進活性
ウシ大動脈内皮細胞(継代数2、25 cm2培養フラスコ入り、大日本製薬(セルシステムズ社)より購入)をCS-C培地(D-MEM培地とハムF12培地を1:1に等比混合した培地に、10%ウシ胎児血清、15mM HEPES、Acidic FGF、ヘパリンを添加した培地、セルシステムズ社より購入)に分散させ、コラーゲンをコーティングした24穴(1穴2cm2)のプレート1枚に添加して、5% CO2存在下、37℃で3日間の培養を行った。次にプレートの各穴の培地を捨て、1mlのKrebs-Ringer bicarbonate (KRB)緩衝液(NaCl 129 mM、NaHCO3 5mM、KCl 4.8 mM、KH2PO41.2 mM、CaCl2 1.0 mM、MgSO4 1.2 mM、Glucose 2.8 mM、 Bovine serum albumin 0.1%、HEPES 10 mM、pH 7.4)にて各穴を2回洗浄した。その後、360μlのKRB緩衝液に40μlの試料(0.63〜5mg/mlのニシヨモギ抽出物、1〜5mg/mlのリュウキュウヨモギ抽出物、1〜5mg/mlのカワラヨモギ抽出物、ポジティブコントロールとしての10μMカルシウムイオノフォアA23187、または対照としての蒸留水)を加えた溶液400μlを各穴に添加し、5%CO2存在下、37℃で20分間静置した。なお、試料添加時における細胞数は1穴あたり2.2×105個である。その後、上清300μlを回収して、遠心により混入した細胞を除去した。プロスタサイクリンの6,9-エポキシド構造は不安定で、安定な6-ケトプロスタグランジンFに変換されるため、上清中の6-ケトプロスタグランジンFの濃度を、6-ケトプロスタグランジンFELISAシステム(アマシャムバイオサイエンス社より購入)を用いた酵素免疫測定法により測定した。その結果を表1および表2に示す。
表1は各濃度のニシヨモギ抽出物添加後20分の間に溶液中へ放出された6-ケトプロスタグランジンF量を蒸留水添加時の6-ケトプロスタグランジンF量を100%として比較した値(n=4の平均値)で示した。また、表2は終濃度0.1mg/mlあるいは0.5mg/mlのニシヨモギ抽出物、リュウキュウヨモギ抽出物、あるいはカワラヨモギ抽出物添加後20分の間に溶液中へ放出された6-ケトプロスタグランジンF量を蒸留水添加時の6-ケトプロスタグランジンF量を100%として比較した値をn=4の平均値(平均値±標準偏差、群間に有意差が認められた場合は*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)で示した。ヨモギ属植物抽出物にプロスタサイクリン生成促進効果が認められた。
次に、ロッシュ社のMTT(3-[4,5-dimethylthiazole-2-yl]-2,5-diphenyl tetrazolium bromid)キットにより細胞増殖に対するニシヨモギ抽出物、リュウキュウヨモギ抽出物、のカワラヨモギ各抽出物の影響を検討したところ、表1および表2の濃度範囲では細胞増殖に対して全く影響のないことが確認できた。
Figure 2005350432
Figure 2005350432
実施例3 バンジロウあるいはボタンボウフウ抽出物のウシ大動脈内皮細胞におけるプロスタサイクリン生成促進活性
実施例2と同様に24穴のマイクロプレートにて培養したウシ大動脈内皮細胞の各穴をKRB緩衝液で2回洗浄し、360μlのKRB緩衝液に40μlの試料(1mg/mlのバンジロウ抽出物、5mg/mlのバンジロウ抽出物、1mg/mlのボタンボウフウ抽出物、5mg/mlのボタンボウフウ抽出物、10μMカルシウムイオノフォアA23187または対照としての蒸留水)を加えた溶液400μlを各穴に添加し、5%CO2存在下、37℃で20分間静置した。試料添加時における細胞数は1穴あたり2.2 x 105個である。上清300μlを回収して、遠心により混入した細胞を除去したのち、上清中の6-ケトプロスタグランジンF濃度を実施例1と同じ6-ケトプロスタグランジンFELISAシステムにより測定した。その結果を表3に示す。
表3は各濃度のバンジロウあるいはボタンボウフウ抽出物添加後20分の間に溶液中へ放出された6-ケトプロスタグランジンF量を蒸留水添加時の6-ケトプロスタグランジンF量を100%として比較した値をn=4の平均値(平均値±標準偏差、群間に有意差が認められた場合は*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)で示した。バンジロウおよびボタンボウフウ類抽出物にプロスタサイクリン生成促進効果が認められた。
次に、ロッシュ社のMTTキットにより細胞増殖に対する各抽出物の影響を検討したところ、表3の濃度範囲ではボタンボウフウ抽出物は細胞増殖に対して全く影響がなく、バンジロウ抽出物は0.5mg/mlで僅かに細胞増殖阻害が認められたが、0.1mg/mlでは全く影響のないことが確認できた。
Figure 2005350432
実施例4 クミスクチン抽出物のウシ大動脈内皮細胞におけるプロスタサイクリン生成促進活性
実施例1と同様に24穴のマイクロプレートにて培養したウシ大動脈内皮細胞の各穴をKRB緩衝液で2回洗浄し、360μlのKRB緩衝液に40μlの試料(0.63〜5mg/mlのクミスクチン抽出物、10μMカルシウムイオノフォアA23187または対照としての蒸留水)を加えた溶液400μlを各穴に添加し、5%CO2存在下、37℃で20〜60分間静置した。試料添加時における細胞数は1穴あたり2.2 x 105個である。上清300μlを回収して、遠心により混入した細胞を除去したのち、上清中の6-ケトプロスタグランジンF濃度を実施例1と同じ6-ケトプロスタグランジンFELISAシステムにより測定した。その結果を表4および表5に示す。
表4は20分の間に溶液中へ放出された6-ケトプロスタグランジンF量を、また、表5は60分の間に溶液中へ放出された6-ケトプロスタグランジンF量を蒸留水添加時の6-ケトプロスタグランジンF量を100%として比較した値をn=4の平均値(平均値±標準偏差、群間に有意差が認められた場合は*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001)で示した。クミスクチン抽出物にプロスタサイクリン生成促進効果が認められた。
次に、実施例1と同様にロッシュ社のMTTキットにより細胞増殖に対するクミスクチン抽出物の影響を検討したところ、表4および表5の濃度範囲では細胞増殖に対して全く影響のないことが確認できた。
Figure 2005350432
Figure 2005350432

Claims (10)

  1. ヨモギ属植物抽出物および/またはその処理物を有効成分として含有するプロスタサイクリン生成促進剤。
  2. ヨモギ属植物がニシヨモギ、リュウキュウヨモギおよびカワラヨモギのうちの少なくとも一つである請求項1記載のプロスタサイクリン生成促進剤。
  3. バンジロウ抽出物および/またはその処理物を有効成分として含有するプロスタサイクリン生成促進剤。
  4. ボタンボウフウ抽出物および/またはその処理物を有効成分として含有するプロスタサイクリン生成促進剤。
  5. クミスクチン抽出物および/またはその処理物を有効成分として含有するプロスタサイクリン生成促進剤。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載のプロスタサイクリン生成促進剤を含有する肺高血圧症、高血圧症または血栓症の改善および/または予防用医薬。
  7. 請求項1から5のいずれか1項に記載のプロスタサイクリン生成促進剤を含有する血流改善剤。
  8. 食品に添加するための請求項1から5のいずれか1項に記載のプロスタサイクリン生成促進剤。
  9. ヨモギ属植物、バンジロウ、ボタンボウフウならびにクミスクチンのうちの少なくとも一つを搾汁または粉砕する工程、該搾汁または該粉砕物を抽出する工程、および必要に応じて該搾汁または該粉砕物またはその抽出物に濃縮処理および/または精製処理を行う工程を含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のプロスタサイクリン生成促進剤の製造方法。
  10. ヨモギ属植物がニシヨモギ、リュウキュウヨモギおよびカワラヨモギのうちの少なくとも一つである請求項9記載のプロスタサイクリン生成促進剤の製造方法。
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