JP2007043077A - 磁気シールド材およびその製造装置 - Google Patents

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久幸 三浦
Yoshiteru Hashimoto
義照 橋本
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Abstract

【課題】気泡の発生を最小限にとどめ、密着強度や耐食性が改善されたラミネート構造の磁気シールド材とそのための製造装置を提供する。
【解決手段】ヒートロール2と、前記ヒートロール周側面に樹脂フィルム6a、6bを巻きだすための樹脂フィルムロール1a、1bと、前記樹脂フィルム6a、6bの上に合金薄帯を巻きだすための合金薄帯ロール3a、3bと、前記樹脂フィルム6a、6bと合金薄帯をヒートロール2に押し付けるための圧着ロール8a、8bからなる磁気シールド材の製造装置であって、前記合金薄帯ロール3a、3bは少なくとも回転軸が異なる複数の合金薄帯ロール3a、3bが備えられ、かつ前記圧着ロール8a、8bは前記合金薄帯を前記樹脂フィルム6a、6bにそれぞれ圧着するための複数の圧着ロール8a、8bが備えられていることを特徴とする磁気シールド材の製造装置を用いる。
【選択図】図1

Description

本発明は、電子機器等に使用される磁気シールドあるいは電磁波シールドとして用いることができる磁気シールド材に関するものであり、また、アモルファス材料を熱処理して得られる軟磁性急冷合金薄帯をヒートロールの外周上において樹脂フィルムに貼付する磁気シールド材の製造方法に関するものである。
優れた磁気特性を有する磁性薄帯として、アモルファス材料やナノ結晶材料が知られている。代表的なアモルファス材料は、溶湯をロール表面で急冷し、厚さ50μm以下のリボンとして得ることができる。このまま使用する場合もあるが、加熱処理を施し、磁気特性を向上させることも多い。
また、ナノ結晶材料は、たとえばFe−Cu−Nb−(Si,B)系のごときナノ結晶組織に調整可能な合金組成を有する溶湯を、上記アモルファス合金と同様にして急冷しアモルファスリボンを製造し、その後加熱処理によりナノ結晶組織に調整して得ることができる。ナノ結晶材料は、たとえば、特公平4−4393号に示されるような、組織の少なくとも50%以上が平均結晶粒径100nm以下の微細な結晶粒からなる材料である。
上述した熱処理を施したアモルファス材料あるいはナノ結晶材料の軟磁性急冷合金薄帯は、急冷したままのアモルファス材料に比べて靱性が低下して、脆化する傾向がある。特に、熱処理により結晶化させてナノ結晶組織に調整すると脆化傾向は著しく、ハンドリング時に薄帯が容易に破断する問題がある。
上記のアモルファス材料あるいはナノ結晶材料の用途として、たとえば特公平5−19196号等に記載されるセンサー材料や特開平1−241200号等に記載されるシールド材料がある。このような用途において、脆化した状態の薄帯を用いることは、加工時および使用時のハンドリングにおいて割れ、欠け等を生じ問題となるため、通常は軟磁性急冷合金薄帯の片面若しくは両面に樹脂を貼付することで複合し、積層薄帯としたものを使用することが多い。
軟磁性急冷合金薄帯と樹脂とを複合して上記の積層薄帯とする場合、一般に樹脂の耐熱性は高くても300℃程度しかなく、たとえば上述したナノ結晶材料への加熱処理のように400℃を越える温度を適用する場合は、加熱処理の前に樹脂を予め貼付けたり被覆しておくことができず、従って熱処理後に複合し積層薄帯とすることが行われる。
従来、熱処理後の軟磁性急冷合金薄帯と樹脂との複合は、例えば特許文献1に示されるように、樹脂フィルム−軟磁性急冷合金薄帯−樹脂フィルムの順番に重なるよう各のロールから巻きだし、接着ロールと圧着ロールの間にこの積層シートを入れ、3層を圧着することで製造されている。
また、複数本の急冷合金薄帯を2枚の樹脂に挟み込み、一枚のシート状にする技術として、特許文献2には、アモルファス合金もしくはナノ結晶合金よりなる複数条の磁性薄帯同士が、端部を部分的に重ね合わされ、かつ並行に配置され、樹脂により一体化することが記載されている。
特開2004−160513号公報((0015)〜(0019)、図1) 特開平11−26981号公報((0013)〜(0016)、図1)
しかしながら、複数本の急冷合金薄帯の両面を樹脂フィルムにより挟んだラミネート構造の磁気シールド材を特許文献1の図1に示す構造の装置で製造してみると、樹脂フィルムと急冷合金薄帯の間に気泡が多数できてしまうという問題が発生した。外観性や密着強度、耐食性などを向上するためにもこの気泡はなるべく少ない方が好ましい。よって本発明の課題は、これら気泡の発生を最小限にとどめ、密着強度や耐食性が改善されたラミネート構造の磁気シールド材とそのための製造装置を提供することである。
本発明者らは、この原因が薄帯の形状(厚さ、幅方向の寸法、反り、表面粗さ)等によるものか、ヒートロール等の温度によるものか、または樹脂フィルムや急冷合金薄帯などの張力によるものなのか、さまざまな観点から検討した。その結果、気泡の発生原因は、急冷合金薄帯を樹脂フィルムの粘着面側に接触させた後、ヒートロール上をある距離回転させた後に圧着ロールで圧着していたためであることを知見した。
つまり、複数本の急冷合金薄帯を樹脂フィルムでラミネートする磁気シールド材を製造するには、シールド特性を上げる為に、各急冷合金薄帯の端部同士を特許文献2に記載するように重ねる必要がある。このように急冷合金薄帯の端部同士を重ねるためには、急冷合金薄帯を巻き出すロールを段違い交互に設置しないと、端部が重なる状態で平行に巻き出すことができない。
このため、少なくとも2つの異なる軸で回転する急冷合金薄帯ロールが必要になるが、図7に示すように、急冷合金薄帯ロール3から巻き出された急冷合金薄帯7がヒートロール2によって加熱された樹脂フィルム上に接触した後、樹脂フィルム上に接触したまま張力だけで所定の範囲の回転角(θ)でヒートロール上を移動しつづけ、異なる軸より巻き出された急冷合金薄帯がヒートロール2によって加熱された樹脂フィルム上に接触し、その後圧着ロール8で圧着される。このように急冷合金薄帯7aがヒートロールに接触した位置10から圧着ロールで圧着する位置11までの距離が長いと、樹脂フィルムと急冷合金薄帯の間に封入された気泡は、圧着ロールとヒートロールにより圧着されても排出されない。これは、樹脂フィルムに塗布された接着剤が、ヒートロールの持つ熱で解け、解けた接着剤の上に合金薄帯が接触し、ヒートロール上を移動するため、圧着ロールに到達するまでに急冷合金薄帯と樹脂フィルムが部分的に接着されてしまうために、気泡が排出されずに閉じ込められ、その後圧着ロールによって圧着されても排出されないと推察される。
よって、これらの原因を無くすため、本発明では、ヒートロールと、前記ヒートロール周側面に樹脂フィルムを巻きだすための樹脂フィルムロールと、前記樹脂フィルムの上に合金薄帯を巻きだすための合金薄帯ロールと、前記樹脂フィルムと合金薄帯をヒートロールに押し付けるための圧着ロールからなる磁気シールド材の製造装置であって、前記複数の合金薄帯ロールは少なくとも回転軸が異なる複数の合金薄帯ロールが備えられ、かつ前記圧着ロールは前記合金薄帯を前記樹脂フィルムにそれぞれ圧着するための複数の圧着ロールが備えられていることを特徴とするシールド材の製造装置を採用した。
圧着ロールを、合金薄帯が前記ヒートロールに接触する位置の近傍に各々設けたことで、樹脂フィルムに塗布された接着剤と合金薄帯が接着する前に気泡を追い出すことができる。
これにより、急冷合金薄帯が複数並べられ、その両面に樹脂フィルムが貼付けられたシールド材であって、前記シールド材の急冷合金薄帯と樹脂フィルムの間に封入された気泡の面積が、並べられた前記急冷合金薄帯の面積に対して20%以下、さらには10%以下、さらには5%以下、さらには3%以下であるシールド材を製造することが可能になった。気泡の発生している部分は、急冷合金薄帯の色調に対して白濁した色調になり、外観上明らかに色が変わる。斑な部分であっても、気泡の発生している部分に相当するとし、色調が変わった部位の輪郭を取り、その面積により算出した。
圧着ロールを配置する位置は、複数の合金薄帯ロールから巻きだされた各々の前記合金薄帯が樹脂フィルムに接触した後に直ちに両者を圧着するように、両者の接触位置の近傍に配置する。具体的には、各々の前記合金薄帯が樹脂フィルムに接触する位置から20mm以内、好ましくは10mm以内の位置でヒートロールに押し付けるようにすることが好ましい。図1,2に記載するように、接触して直ちに圧着させるような構造がさらに好ましい。また合金薄帯が樹脂フィルムに接触する前にヒートロール表面に接触した圧着ロールに接触し、圧着ロール面上を周回した後に樹脂フィルムに接触し、同時にヒートロールと圧着ロールにより圧着されるような構造も好ましい。図7に示すようにある程度離れた位置で圧着しようとしても、前記したように気泡が押出されずに残留する。
製造装置の具体的な構造として、回転軸が異なる複数の合金薄帯ロールから引き出された合金薄帯が樹脂フィルムに接触する位置がそれぞれ異なるように構成する。例えば図3に示すように、一つの圧着ロールで圧着させようとすると、少なくとも一つの合金薄帯ロールはヒートロールに対して離れた場所に設置することになる。この合金薄帯ロールから合金薄帯が巻きだされ始める位置から、前記ヒートロールに接触する位置までの距離Lが長くなると、合金薄帯ロールから巻きだされた合金薄帯が非拘束となる距離が長いため、図8に示すような捩れや蛇行を生じ破断する場合がある。また回転軸が異なる合金薄帯同士が樹脂フィルムに接着する前に接触し、破断する場合がある。
前記の理由から急冷合金薄帯ロールから急冷合金薄帯が巻きだされ始める位置から、前記接着ロールに接触する位置までの距離Lが200mm以内(0を含まず)とすることが好ましい。また、距離Lを1mm以上離すことで、磁性薄帯コイルから巻出された磁性薄帯は樹脂フィルムの走行方向に対する垂直方向の動きについて自由度を持ち、樹脂フィルムの走行方向と磁性薄帯コイルの回転軸とが正確に直交していない場合でも、自発的なズレの補正が可能であり、ズレを生じた後に積層を続けても破断を生じ難くなる。逆に、この距離Lが0mmとなるような、急冷合金薄帯ロールとヒートロールが円周上で互いに接触している形状では、接触点には常時応力がかかり、安定したシールド特性が得られない。また、合金薄帯の幅方向の偏肉を原因とする応力が発生し、逆に合金薄帯が自発的にズレを発生させ、合金薄帯が破断する場合がある。
また、合金薄帯をロールから引き出す際には、単位断面積あたり3.0×10〜1.2×10(Pa)の張力を付与することが好ましい。急冷合金薄帯の破断は、殆どの場合、非拘束磁性薄帯と磁性薄帯コイルとの巻出開始位置または非拘束磁性薄帯とヒートロールとの接触開始位置において生じる。これは、アモルファス材料や、ナノ結晶材料である軟磁性急冷合金薄帯は、一般の結晶質の金属材料と比べて熱処理後の脆性が著しいため、非拘束磁性薄帯の捩れ、蛇行が巻出開始位置または接触開始位置にもたらす応力集中により破断する為と考えられる。捩れ、蛇行の発生は、軟磁性急冷合金薄帯の厚さが幅方向で一定でないことが一因である。軟磁性急冷合金薄帯は溶湯をロール表面で急冷する製法上、偏肉を生じやすく、幅方向で厚さを厳密に制御することが困難である。幅方向の一方の側が厚くなっている軟磁性急冷合金薄帯では、非拘束磁性薄帯が幅方向の全面でヒートロールと接触した場合、非拘束磁性薄帯は捩じられることになる。軟磁性急冷合金薄帯が連続して巻出される場合には、非拘束磁性薄帯は繰り返し捩じられるが、この際、非拘束磁性薄帯に付与されている張力が十分でないと捩れが大きくなり、その結果、軟磁性急冷合金薄帯の破断に至ると考えられる。また、場合によっては、この過程で、蛇行も生じると考えられる。非拘束磁性薄帯に単位断面積あたり3.0×10〜1.2×10(Pa)の張力を付与することで軟磁性急冷合金薄帯の厚さのばらつきに起因する捩じれ、蛇行を抑制する。一定以上の張力を付与した状態では、接触開始位置において非拘束磁性薄帯の幅方向で厚みの大きい箇所が主体的にヒートロールと接触し、厚みの小さい個所は浮き気味に接着ロールと接触する状態が維持されるため、破断を生じるほどの大きな捩れの発生を抑制することができる。本発明者の検討では、磁性薄帯コイルから巻出された非拘束磁性薄帯に3.0×10Pa以上の張力を付与した場合には、非拘束磁性薄帯に捩れの増幅を抑制することが出来る。好ましくは4.0×10(Pa)以上の張力を付与する。一方、張力が高すぎると、付与した張力自体が原因となり軟磁性急冷合金薄帯が破断することがある。よって、本発明では非拘束磁性薄帯に付与する張力は1.2×10(Pa)以下とする。好ましくは9.0×10(Pa)以下の張力を付与する。
本発明の製造方法は例えば図1、図2に示す装置により実施することが出来る。図1は、片面に接着剤がついた樹脂フィルム6を樹脂フィルム巻出し機1から巻出し、磁性薄帯を磁性薄帯巻出し機3に設置した磁性薄帯コイル7から巻出し、両者をヒートロール2の外周上で接合して積層帯とした後、磁気シールド材9を巻取り機5で巻取る積層薄帯(シールド材)の製造装置の概略構成図である。
本発明のシールド材の製造方法では、合金薄帯コイル7を幅方向に複数配することにより幅広の積層薄帯を製造出来る。本発明の装置ではヒートロール2上の任意の位置に合金薄帯コイルを適宜配置することが可能であり、ロール幅以外に装置を大型化することなく合金薄帯の帯幅以上の磁気シールド材を製造することが出来る。
合金薄帯ロールそれぞれは、全て同方向側に回転するよう設置されることが好ましい。合金薄帯はロール超急冷により製造され、熱処理や運搬のためにロールに巻きつけられるが、設備上ロールへの巻き付け方向は常に一定である。この合金薄帯を巻きつけたロールを熱処理し、本発明の製造装置に取り付け、樹脂フィルムと圧着され、シールド材となって、別のシールド材ロールに巻きつける。この際、熱処理した際の急冷合金薄帯の曲がり方向に対して反らせてしまうと、磁歪との関係からシールド特性が落ちてしまう。このため、磁気シールド空間を区画する磁気シールド装置の角部、隅部などのR形状となる部分にこのシールド材を使用する場合は、熱処理した際の急冷合金薄帯の曲がり方向と同じ方向になるように曲げて設置する必要がある。
例えば図2に示す本発明の製造装置で、第一の急冷合金薄帯ロールと、第二の急冷合金薄帯ロールが別方向に回転することになると、裏面と表面が交互に反対の急冷合金薄帯の面ができあがる。どちらに曲げても一方の急冷合金薄帯は熱処理した際の曲がり方向に対して反ることになり、磁気シールド特性が落ちることになる。
本発明のシールド材を製造する際には、この点を留意し、熱処理の際にどちらの方向に曲がっていたのかを製造および磁気シールド空間の区画に至るまで把握しておくことが重要である。この急冷合金薄帯の曲がり方向は、特にCo基非晶質合金薄帯を使用する際に顕著に効果が現れる。
このCo基非晶質合金薄帯の合金成分は、組成式:(Co1-xFex)100-a-b-cMaSibBc[ただし、Mは、Mn、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Cu、Ag、Au、Y、希土類元素のうちから選ばれた少なくとも1種以上の元素]で表され、かつ、xが0〜0.1、aが0〜6、(b+c)が18〜30、bが8〜18、cが7〜18を満足することを特徴とする。NiなどをCoに対して20原子%以下含有してもよい。不可避不純物は炭素、P、Al、O、N、Hなどが該当するが、これらの総和は1原子%以下とする。
本発明の合金薄帯は、次のような方法で製造することができる。まず、単ロール法などの液体急冷法によりアモルファス薄帯を作製する。次いでアモルファス合金はこのままの状態で使用することができるが、より優れた軟磁性を得るために、結晶化温度以下で熱処理しても良い。一方、ナノ結晶材では、アモルファス薄帯を作製した後、結晶化温度以上で熱処理し微結晶化させる。このようにして得られたアモルファス合金もしくはナノ結晶合金の磁性薄帯を磁気的および電気的に結合できるように、端部を部分的に重ね合わせて、並列に複数条ならべ、その少なくとも一方に樹脂製のシートを接着する。また、本発明において樹脂は一層である必要はなく、接着剤となる樹脂と補強用の樹脂と組み合わせるなど、多層化しても良い。
合金薄帯はロール超急冷の際のロール面と自由面とで色感が異なるため、全て同一面側が揃うように急冷合金薄帯を並べることで、視覚的に単一の色彩をもつシールド材とすることができる。
樹脂フィルムとしては、本発明の磁気シールド板の用途によって適当なものを選択すればよい。ポリマーシートは可撓性があり、水や空気を遮断する効果があり、また容易に成形体にもすることができる利点がある。ポリマーシートからなる支持板材料としては、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えばポリエチレン樹脂、ポリブチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂など)、ビニル系樹脂(例えばポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂など)、ポリウレタン樹脂、セルロース系樹脂、ABS樹脂、合成ゴム(例えばNBR、SBRなど)、などの熱可塑性樹脂、あるいはそれらの共重合体、エポキシ系樹脂、フェノール系樹脂、アミド系樹脂、イミド系樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることができる。また、導電性の良い銅薄帯やアルミニウム薄帯を用いることができる。
本発明によれば、気泡の発生を防ぎ、密着強度や耐食性が改善されたラミネート構造の磁気シールド材を提供することができる。また、脆い急冷合金薄帯を樹脂フィルムに貼付する際の急冷合金薄帯の破断を飛躍的に改善することができる。さらに、Co基などの磁歪の大きな材質であっても、磁気シールド空間を区画する際にR形状の部分に用いてもシールド特性に劣化のないシールド材料を得ることが可能である。
(実施例1)
まず、単ロール法により幅25mm、平均厚さ23μmのCobalCu1−Nb3−Si15−B6(at%)、残部Feからなるアモルファスリボンを作製し、連続的に製造されるCo基非晶質合金薄帯を、単ロールとの接触面が内周側になるように心材に巻きつけ磁性薄帯コイルとした。このコイルを420℃で1時間熱処理し、磁気特性を向上させた。この熱処理による結晶化はなく、合金は非晶質のままである。
図1はシールド材の製造装置の主要部を示す斜視図である。この製造装置は、主にヒートロール2と、その周囲に配置される、樹脂ロール1a,1b、薄帯コイル3a,3bを有し、また磁性薄帯と樹脂フィルムを圧着させるための圧着ロール8a,8b,8cと、積層されたシールド材を巻き取るためのロール5から主になる。全ての回転軸は平行になるよう配置されている。図2は図1を軸方向から見た図である。
ヒートロール2に向かって樹脂ロール1aから塩化ビニル製の樹脂フィルム6aを巻き出した。樹脂フィルムの片側には接着剤を塗布している。この樹脂フィルム6a上に磁性薄帯コイル3aおよび3bから樹脂フィルムと同スピードで非晶質合金薄帯7a,7bを単位断面積あたり3.0×10〜1.2×10(Pa)の張力を付与して巻き出し、ヒートロール上に平行に敷いた。各非晶質合金薄帯が磁気的、電気的に結合するように、図1に示すようにロールを段違いに配し、単ロールとの接触面が全て片方の側を向くようにCo基非晶質合金薄帯を引き出した。Co基非晶質合金薄帯は端部が重ね合わさるように並列に並べている。各ロールから同じスピードで非晶質合金薄帯を引き出し、ヒートロール2の周上に接触したのち、直ちに圧着ロール8a,8bにより樹脂フィルム6aと圧着させた。正確には非晶質合金薄帯7aを所定間隔空けた状態で樹脂フィルム上に圧着させ、圧着ロール8aで直ちに圧着させ、その後非晶質合金薄帯7aで覆われていない部分を非晶質合金薄帯7bで覆い、圧着ロール8bで直ちに圧着させている。非晶質合金薄帯は、樹脂フィルムに接触する前に圧着ロールに接触し、圧着ロール面上を周回した後に樹脂フィルムに接触し、同時にヒートロールと圧着ロールにより圧着される。
次に、非晶質合金薄帯7a,7bで覆われた面のさらに上層に樹脂ロール1bから塩化ビニル製の樹脂フィルム6aを巻きだし、圧着ロール8cにより圧着させて、樹脂フィルム6a、非晶質合金薄帯7a,7b、樹脂フィルム6bの積層構造からなるシールド材9を製造した。この磁気シールドシートを最初のロールのCo基非晶質合金薄帯湾曲方向と同じ方向になるように心材に巻きつけて磁気シールドシートロールを得た。このシールド材9はロール5により巻き取った後、搬送される。
図4にこの製造装置を用いて製造したシールド材の外観写真を示す。図4に示すように、樹脂フィルムと非晶質合金薄帯との間に残存する気泡の面積は1%程度であり、従来と比較して格段に気泡の発生が少なくなることが確認された。なお、図6(a)は図4の外観写真の模式図である。
上記で製造した磁気シールド材を、図9に示す、磁気シールド装置のコーナーのR形状となる部分に使用した。磁気シールド材は、非晶質合金薄帯をロール状に巻きつけて熱処理した時の湾曲方向に対し、同方向に湾曲させて設置した。コーナー部R形状は、2つの稜線が交差する角部91においては、直交する2つのR部を複合したものとする。図示するように、40層のシールド材9と強化材13で壁面が形成され、また、充当材14(パーマロイ)によりコーナー部材17を予め作製しておいたものを他のパネル部材に嵌合して磁気シールド装置の壁とすることができる。磁気シールド装置のコーナー部にパネル材を使用する場合には、パネルの強度部材のコーナー部には、Rを形成しておき、その上で磁性積層部材をコーナー部でRを形成するように張り合わせ、コーナー部パネル部材として、これを設置すればよい。図中18はアルミニウム製の骨組部材18であり、内周壁を形成すると共に、これに複数の磁気シールドパネルを固定して壁を形成することができる。
(比較例1)
比較として、従来の図6に示す断面構造の製造装置を用いてシールド材の製造を行った。樹脂フィルム、非晶質合金薄帯は実施例1と同じ物を使用し、ヒートロールの外径、回転スピードなど、同じ条件で製造した。外観写真を図5に示す。本発明のシールド材よりも気泡ができている面積が広く、シールド材の面積に対して20%を超える範囲で気泡が発生していた。なお、図6(b)は図5の外観写真の模式図である。
本発明の製造装置の主要部分斜視図である。 図1を軸方向から見た図である。 製造装置の参考例である。 本発明の磁気シールド材の外観写真である。 従来の磁気シールド材の外観写真である。 従来の製造装置を示す図である。 本発明で規定する距離Lを説明するための図である。 合金薄帯に応力を印加しない場合の問題を図示したものである。 磁気シールド装置の一例を示す図である。
符号の説明
1 樹脂フィルムロール、2 ヒートロール、3 合金薄帯ロール、4 非拘束磁性薄帯、5 巻取機、6 樹脂フィルム、7 合金薄帯コイル、8 圧着ロール、9 磁気シールド材、10 接触開始位置、11 圧着位置、12 巻出開始位置、13 強化材、14 充填材、17 コーナー部、18…アルミニウム骨組部材、19…磁気シールド空間、91…コーナー部

Claims (9)

  1. 合金薄帯が複数並べられ、その両面に樹脂フィルムが貼付けられた磁気シールド材であって、前記シールド材の合金薄帯と樹脂フィルムの間に封入された気泡の面積が並べられた前記合金薄帯の面積に対して20%以下であることを特徴とする磁気シールド材。
  2. ヒートロールと、前記ヒートロール周側面に樹脂フィルムを巻きだすための樹脂フィルムロールと、前記樹脂フィルムの上に合金薄帯を巻きだすための合金薄帯ロールと、前記樹脂フィルムと合金薄帯をヒートロールに押し付けるための圧着ロールからなる磁気シールド材の製造装置であって、
    前記合金薄帯ロールは少なくとも回転軸が異なる複数の合金薄帯ロールが備えられ、かつ前記圧着ロールは前記合金薄帯を前記樹脂フィルムにそれぞれ圧着するための複数の圧着ロールが備えられていることを特徴とする磁気シールド材の製造装置。
  3. 前記合金薄帯ロールから引き出された合金薄帯が樹脂フィルムに接触する位置がそれぞれ異なることを特徴とする請求項2に記載の磁気シールド材の製造装置。
  4. 前記圧着ロールは、複数の合金薄帯ロールから巻きだされた各々の前記合金薄帯が樹脂フィルムに接触した後に直ちに両者を圧着するように配置されたことを特徴とする請求項2乃至3に記載の磁気シールド材の製造装置。
  5. 前記圧着ロールは、各々の前記合金薄帯が樹脂フィルムに接触する位置から20mm以内の部分で接着ロールに押し付けるよう配置されていることを特徴とする請求項4に記載の磁気シールド材の製造装置。
  6. 前記圧着ロールは、前記合金薄帯が前記樹脂フィルムに接触する前に前記圧着ロールに接触し、圧着ロール面上を周回した後に樹脂フィルムに接触し、同時にヒートロールと圧着ロールにより圧着される構造であることを特徴とする請求項2乃至3に記載の磁気シールド材の製造装置。
  7. 前記合金薄帯ロールから合金薄帯が巻きだされ始める位置から、前記接着ロールに接触する位置までの距離Lが200mm以内(0を含まず)であることを特徴とする請求項2乃至6に記載の磁気シールド材の製造装置。
  8. 前記合金薄帯ロールから合金薄帯が巻きだす際、単位断面積あたり3.0×10〜1.2×10(Pa)の張力を付与可能なことを特徴とする請求項2乃至に7記載の磁気シールド材の製造装置。
  9. 前記複数の急冷合金薄帯ロールは、全て同方向側に回転するよう設置されることを特徴とする請求項2乃至8に記載の磁気シールド材の製造装置。
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