JP2007040982A - 方位及び傾斜角検出装置、方位及び傾斜角検出方法、プログラム及び携帯端末装置 - Google Patents

方位及び傾斜角検出装置、方位及び傾斜角検出方法、プログラム及び携帯端末装置 Download PDF

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Abstract

【課題】地磁気成分や重力成分を検出して方位及び傾斜角の情報を検出するにあたって、重力成分に含まれる誤差の影響を抑える。
【解決手段】測定データ取り込み手段702は加速度センサや磁気センサから測定データg,hを取り込む。第1の演算手段703は測定データg,hから方位角α0や仰角β0、地磁気伏角θ0を算出する。平均化手段704は地磁気伏角θ0を蓄積し平均値をとって地磁気伏角θとする。第2の演算手段705は測定データhと地磁気伏角θとから方位角αや仰角βを算出する。複数の解が存在する場合、それぞれの解を候補値(α1,β1)(α2,β2)とする。選択手段706は上記の値α0,β0を参考値とし、候補値(α1,β1)(α2,β2)から検出値(α,β)を選択する。
【選択図】図3

Description

この発明は、地磁気成分や重力成分を検出することにより、対象とする装置の中心線の対地座標系での方位及び傾斜角を検出する技術に関し、特に検出精度を向上させる技術に関する。
近年、携帯電話機等の携帯端末では高機能化が進み、方位を測定するために地磁気を検出する磁気センサや装置本体の傾斜を検出する加速度センサを備えたものが開発されている。この種の装置では、装置本体の傾斜による補正を加えることにより方位の検出精度を高めるといった処理が可能となる利点がある。
従来のこの種の技術には、たとえば特許文献1,2に記載される技術がある。これらの技術はいずれも、地磁気センサと加速度センサを両方使用し、両センサの協調動作により検出精度を向上させるものである。
特開平10−185608号公報 特開2003−172633号公報
携帯電話機等の携帯端末にこの種の検出装置を搭載した場合、携帯端末の動きにより生じる加速度成分を加速度センサがピックアップしてしまい、検出する携帯端末の傾斜に誤差を生じ、これに伴って方位の補正量に誤差が生じて検出精度の劣化を招く問題があった。かかる問題は、特許文献1,2に記載される技術をもっても解消されないものであった。
この発明は、このような事情に鑑み、地磁気成分や重力成分を検出することにより、対象とする装置の中心線の対地座標系での方位成分を検出するにあたって、重力成分に含まれる誤差の影響を低減して検出精度を向上した技術を提供することを課題とする。
上記の課題を解決するために請求項1記載の発明は、装置固定の座標系での地磁気成分を検出する方位センサと、同じく装置固定の座標系での重力成分を検出する加速度センサを備え、前記地磁気成分および重力成分を用いて、対地座標系での装置の方位及び傾斜角の検出値を生成する方位及び傾斜角検出装置であって、前記重力成分を用いて前記地磁気成分の座標変換を行うことにより前記方位及び傾斜角を演算して参考情報とする第1の演算手段と、水平面と地磁気方向とがなす角である地磁気伏角を取得する地磁気伏角取得手段と、前記装置固定の座標系および対地座標系での地磁気成分の関係から前記地磁気伏角をもって規定される前記方位及び傾斜角の連立方程式を解くことにより前記方位と傾斜角の演算結果を求め、該演算結果を前記検出値とする第2の演算手段と、前記演算結果が複数通りある場合に前記参考情報を参照して複数の演算結果の中から1つを選択して前記検出値とする選択手段と、を備えたことを特徴とする方位及び傾斜角検出装置を提供する。
また請求項2記載の発明は、請求項1記載の方位及び傾斜角検出装置において、前記選択手段は、前記参考情報の傾斜角に近い傾斜角を持つ演算結果を選択して前記検出値とすることを特徴とする方位及び傾斜角検出装置を提供する。
また請求項3記載の発明は、請求項1記載の方位検出装置において、前記地磁気伏角取得手段は、前記重力成分を用いて前記地磁気成分の座標変換を行うことにより前記地磁気伏角に相当する値を算出する地磁気伏角演算手段と、該地磁気伏角に相当する値を蓄積して平均値をとって前記地磁気伏角に設定する平均化手段と、を有することを特徴とする方位及び傾斜角検出装置を提供する。
また請求項4記載の発明は、請求項1記載の方位検出装置において、前記地磁気伏角取得手段は、現在の緯度経度のうち少なくとも緯度を現在の位置情報として取得する位置情報取得手段と、該現在の位置情報から地磁気伏角を生成する地磁気伏角生成手段と、を有することを特徴とする方位及び傾斜角検出装置を提供する。
また請求項5記載の発明は、装置固定の座標系での地磁気成分を検出すると共に、同じく装置固定の座標系での重力成分を検出し、前記地磁気成分および重力成分を用いて、対地座標系での装置の方位及び傾斜角の検出値を生成する方位及び傾斜角検出方法であって、前記重力成分を用いて前記地磁気成分の座標変換を行うことにより前記方位及び傾斜角を演算して参考情報とするステップと、水平面と地磁気方向とがなす角である地磁気伏角を取得するステップと、前記装置固定の座標系および対地座標系での地磁気成分の関係から前記地磁気伏角をもって規定される前記方位及び傾斜角の連立方程式を解くことにより前記方位と傾斜角の演算結果を求め、該演算結果を前記検出値とするステップと、前記演算結果が複数通りある場合に前記参考情報を参照して複数の演算結果の中から1つを選択して前記検出値とするステップと、を行うことを特徴とする方位及び傾斜角検出方法を提供する。
また請求項6記載の発明は、検出装置固定の座標系での地磁気成分を検出するステップと、同じく検出装置固定の座標系での重力成分を検出するステップと、前記重力成分を用いて前記地磁気成分の座標変換を行うことにより、対地座標系での装置の前記方位及び傾斜角を演算して参考情報とするステップと、水平面と地磁気方向とがなす角である地磁気伏角を取得するステップと、前記装置固定の座標系および対地座標系での地磁気成分の関係から前記地磁気伏角をもって規定される前記方位及び傾斜角の連立方程式を解くことにより前記方位と傾斜角の演算結果を求め、該演算結果を検出値とするステップと、前記演算結果が複数通りある場合に前記参考情報を参照して複数の演算結果の中から1つを選択して前記検出値とするステップと、をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラムを提供する。
また、請求項7記載の発明は、装置固定の座標系での地磁気成分を検出する方位センサと、同じく装置固定の座標系での重力成分を検出する加速度センサを備え、前記地磁気成分および重力成分を用いて、対地座標系での装置の方位及び傾斜角の検出値を生成する手段を有する携帯端末装置であって、前記重力成分を用いて前記地磁気成分の座標変換を行うことにより前記方位及び傾斜角を演算して参考情報とする第1の演算手段と、水平面と地磁気方向とがなす角である地磁気伏角を取得する地磁気伏角取得手段と、前記装置固定の座標系および対地座標系での地磁気成分の関係から前記地磁気伏角をもって規定される前記方位及び傾斜角の連立方程式を解くことにより前記方位と傾斜角の演算結果を求め、該演算結果を前記検出値とする第2の演算手段と、前記演算結果が複数通りある場合に前記参考情報を参照して複数の演算結果の中から1つを選択して前記検出値とする選択手段と、を備えたことを特徴とする携帯端末装置を提供する。
この発明によれば、地磁気成分により規定される方位及び傾斜角の連立方程式を解くことにより方位及び傾斜角を算出するので、重力成分の誤差の影響を受けない検出値を得ることができ、検出精度が向上する利点がある。しかも地磁気成分および重力成分から方位成分を演算して参考情報としておき、この参考情報を用いて複数の解のうちから1つを選択することにより、上記の連立方程式が複数の解をもつ場合がある問題を解消している。このような利点からこの発明は、可搬型の方位及び傾斜角検出装置、特に携帯電話機等の携帯端末に内蔵される方位及び傾斜角検出装置に適用して極めて効果的である。
また地磁気伏角取得手段は、たとえば重力成分を用いて地磁気成分を座標変換することにより地磁気伏角に相当する値を算出し、この値を蓄積して平均値をとることにより加速度センサの誤差成分を平均除去して地磁気伏角として使用する形態をとれば、現地点における地磁気伏角の実測値を用いた信頼性の高い演算が可能となる利点がある。
また地磁気伏角取得手段は、たとえば現在の緯度経度のうち少なくとも緯度を現在の位置情報として取得し、この現在の位置情報から地磁気伏角を生成する形態をとれば、重力成分の誤差の影響を全く受けない値として地磁気伏角を取得でき、検出精度を向上できる利点がある。
以下、図面を用いてこの発明の実施形態について説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る携帯電話機の概略を示すブロック図である。
同図に示すように携帯電話機1は、端末ユニット1−1,1−2の2つの筐体を備えた、折り畳み式の携帯端末である。アンテナ201は図示しない無線基地局との間の電波信号の送受信を行うためのアンテナである。RF(Radio Frequency)部202は、アンテナ201が受信する受信信号を中間周波数の受信信号に変換して変復調部203へ出力するものである。さらにこのRF部202は、変復調部203から入力する送信信号を送信周波数の信号に変調し、アンテナ201へ出力して送信も行うものである。
変復調部203は、RF部202から入力した受信信号の復調処理と、CDMA(Code Division Multiple Access:符号分割多元接続)部204から入力した送信信号の変調処理とを行うものである。CDMA部204は、送信信号の符号化処理、および受信信号の復号化処理を行うものである。音声処理部205は、マイクロホン301から入力される音声信号をデジタル信号に変換してCDMA部204へ出力し、また、CDMA部204からデジタルの音声信号を入力してアナログの音声信号に変換し、スピーカ302へ出力して発音させるものである。
アンテナ401は、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波信号を受信するためのアンテナである。GPS受信部402は、GPS衛星から受信した電波信号を復調し、電波信号に基づいて携帯端末1の緯度・経度(3次元モードの場合はさらに高度等)で表される位置を算出するものである。
加速度センサ部510は、端末ユニット1−1の加速度を検出するものであり、1つのパッケージに組み込まれ1チップ化されている。ここで図2は、携帯電話機1の端末ユニット1−1,1−2を開いた状態にしたときの正面図であり、Y軸は、端末ユニット1−1の、端末ユニット1−1から端末ユニット1−2へ向かう方向の側面に平行な軸である。一方、X軸は、端末ユニット1−1の表面上の軸であり、かつ上記Y軸と直交する軸である。Z軸は、X軸及びY軸を含む平面に対して垂直で且つ、同図の裏側から表側に向かう方向に設定する。図1に戻って説明を続けると、この加速度センサ部510による検出加速度は、たとえば端末ユニット1−1の動きや傾斜を検出するために用いられる。
磁気センサ部520は、磁気センサ521−1〜521−3、温度センサ522および磁気センサ制御部523とを備えたものであり、1つのパッケージに組み込まれ1チップ化されている。磁気センサ521−1〜521−3は、互いに直交するX,Y,Z軸の各々の軸方向の磁気(磁界)を検出し、磁界データとして出力するものである。ここでは、X,Y,Z軸は加速度センサと同一となるように調整されているものとする。温度センサ522は、磁気センサ521−1〜521−3の温度補償を行うために周囲の温度を検出するものである。磁気センサ制御部523は、各磁気センサ521−1〜521−3,温度センサ522および加速度センサ部510の検出出力に対して所定のデータ処理を行い出力するものである。
主制御部601は、携帯端末1の主制御を司るものであり、CPU(Central Processing Unit)を用いて構成されている。ROM(Read Only Memory)602およびRAM(Random Access Memory)603は、CPUのメインメモリを構成するメモリである。ROM602は、CPUで実行するプログラムや各種データを保持している。RAM603は、CPUが動作中にデータ記憶等に使用するためのワーク領域等を提供する。
報知手段303は、スピーカ・バイブレータ・発光ダイオード等を備え、着信やメール受信等を音・振動・光等によってユーザに報知するものである。時計部304は、主制御部601が使用する計時機能部である。主操作部305は、ユーザの指示入力を取り込んで主制御部601に与えるものである。
電子撮像部306は、被写体の像をデジタル信号に変換して主制御部601へ出力するものである。表示部307は、主制御部から入力する表示用の信号に基づいて画像や文字等を表示する液晶ディスプレイ(LCD)である。タッチパネル308は、表示部307の液晶ディスプレイの表面に組み込まれ、ユーザの接触操作による入力内容を表す信号を主制御部601へ出力するものである。副操作部309は、表示切り替えに用いられるプッシュスイッチである。
以上の構成において、主制御部601はROM602から読み出された上位プログラムをCPUにより起動して、この上位プログラムから各種アプリケーションプログラムを選択して実行していくが、実行するアプリケーションプログラムが方位または傾斜データを必要とする場合、このアプリケーションプログラムの実行に伴って測定トリガが立ち上がる。この測定トリガを受けて主制御部601は、方位及び傾斜角の検出処理を立ち上げて対地座標系での方位成分である方位角α,仰角βを取得する。
図3は、この方位及び傾斜角の検出処理において実現される機能の概略を示すブロック図である。同図に示すように、測定トリガ手段701は測定指示を発生するものである。測定データ取り込み手段702は、加速度センサ部510や磁気センサ部520から測定データg,hを取り込むものである。第1の方位および傾斜角の演算手段703は、後述する第1の演算を実行し、測定データg,hから方位角αや仰角β、ねじれ角γ、地磁気伏角θを算出するものである。方位角αや仰角β等については後で詳細に説明する。なお、第1の演算で求めた方位角αや仰角βは参考値α0,β0として扱われ、地磁気伏角θは誤差を含む粗い値θ0として扱われる。平均化手段704は、地磁気伏角θ0を蓄積し、蓄積した地磁気伏角θ0の平均値をとって誤差を平均除去して地磁気伏角θとするものである。
第2の方位及び傾斜角の演算手段705は、後述する第2の演算を実行し、測定データhと地磁気伏角θとから方位角αや仰角βを算出するものである。もしも方位角αや仰角βの値として複数の解が存在する場合、それぞれの解を候補値(α1,β1)(α2,β2)として出力する。選択手段706は、第1の方位及び傾斜角の演算手段703で得られた(α0,β0)を参考値とし、候補値(α1,β1)(α2,β2)の中からいずれかを選択し、検出値(α,β)として出力するものである。
図4は、第1および第2の演算で用いるデータおよびその座標系を示す線図である。同図において、x,y,z軸は携帯電話機上に設定される直交座標軸(図2参照)である。x0,y0,z0軸は、水平面上にx0,y0軸が位置し、y0軸が磁北方位Nを向く直交座標軸である。z0軸は水平面に対して鉛直上方に伸びる軸である。以下では、x0、y0、z0軸で表される座標系を対地座標系と呼ぶ。ベクトルVは携帯電話機の中心線の向きを示すベクトルであり、y軸と平行となる。ベクトルV0は、ベクトルVをz0軸上方からx0y0平面(水平面)に対して投影したものであり、x0y0平面上のベクトルである。方位角αは、y0軸とベクトルV0とがなす角に相当する。仰角βは、ベクトルV0とベクトルVとがなす角に相当する。ベクトルVは、方位角αと仰角βにより方向が決定される。ねじれ角γは、x,y平面のy軸回りのねじれの角度であり、yz0平面とyz平面との交角に相当する。ベクトルHは地磁気の方向を示すベクトルであり、磁極N0に向いている。地磁気伏角θは、水平面と地磁気の方向がなす角であり、y0軸(磁北方位N)とベクトルH(磁北N0)とがなす角に相当する。
図5は、方位及び傾斜角の検出処理の概略を示すフローチャートである。図1,5を用いて説明すると主制御部601は、加速度センサ部510から検出重力gを取り込むと共に、磁気センサ部520から検出地磁気hを取り込む(S101)。ここで検出重力gは、数1に示すように上述した携帯電話機1上の座標(x,y,z軸座標)系での重力成分(gx,gy,gz)として取得される。ここでgx,gy,gzは、加速度センサ510−1〜3の検出出力に相当する。
Figure 2007040982
主制御部601は、取り込んだ検出重力g、検出地磁気hを用いてまず第1の演算を実行する(S102)。この第1の演算においては、まず第1の角度演算を実行して検出重力gから仰角β、ねじれ角γを演算し、さらに第2の角度演算を実行して検出地磁気h、仰角β、ねじれ角γから方位角αを演算する。
ここで第1の角度演算について説明するにあたって、検出重力gと対地座標系での重力Gとの関係を説明する。対地座標系での重力Gは、(Gx0,Gy0,Gz0)として捉えることができ、Gx0=0,Gy0=0であるから、数2に示すようになる。なおGx0,Gy0,Gz0は、上述したx0,y0,z0軸上の重力成分である。
Figure 2007040982
このとき両者の関係は、数3に示すようになる。
Figure 2007040982
ただし、Bは仰角βだけ回転変換するための変換式であり、数4に示す行列式となる。
Figure 2007040982
また、Cはねじれ角γだけ回転変換するための変換式であり、数5に示す行列式となる。
Figure 2007040982
数4,5より、仰角βおよびねじれ角γだけ回転変換する合成変換式BCは、数6に示す行列式となり、
Figure 2007040982
この数6と数2を、数3に代入して整理すると、数7に示すようになる。
Figure 2007040982
数7を整理すると、数8に示すように、仰角βと重力成分gx,gy,gzとの関係式が定まると共に、
Figure 2007040982
数9に示すように、ねじれ角γと重力成分gx,gy,gzとの関係式が定まる。
Figure 2007040982
第1の角度演算では、数8,9の関係式を用いて重力成分gx,gy,gzから仰角βとねじれ角γを演算する。
次に第2の角度演算について説明する。ここで検出地磁気hは、数10に示すように携帯電話機1上の座標(x,y,z軸座標)系での地磁気成分hx,hy,hzとして取得される。なおhx,hy,hzは、磁気センサ521−1〜3の検出出力に相当する。
Figure 2007040982
対地座標(x0,y0,z0軸座標)系での地磁気Hは、(Hx0,Hy0,Hz0)として捉えることができ、Hx0=0であるから、数11に示すようになる。なおHx0,Hy0,Hz0はx0,y0,z0軸上の地磁気成分である。
Figure 2007040982
このとき両者の関係は、数12に示すようになる。
Figure 2007040982
ただし、Aは方位角αだけ回転変換するための変換式であり、数13に示す行列式となる。
Figure 2007040982
数12を変形すると数14が得られる。この式は(hx1,hy1,hz1)の恒等式となっている。ここでhx1,hy1,hz1は、x0,y0,z0軸をz0軸回りに方位角αだけ回転変換した座標軸x1,y1,z1軸(図示せず)による座標での地磁気成分である。
Figure 2007040982
数14を整理すると数15の式が得られ、
Figure 2007040982
数15から、数16に示すように、方位角αと地磁気成分hx1,hy1との関係式が得られる。
Figure 2007040982
また同様にして、地磁気伏角θと地磁気成分hx1,hy1,hz1との関係式は、数17に示すようになる。
Figure 2007040982
第2の角度演算では、数14と数16の関係式を用いて、地磁気成分hx,hy,hzから方位角αを演算する。
このようにして主制御部601は、第1,第2の角度演算を実行することにより、方位角αと仰角βが求まる。ただし、ここで求めた方位角αと仰角βは、検出重力gに基づいて算出された値であって、携帯電話機1の動きによる誤差の影響を受けた精度の低い値であるから、主制御部601は、求めた方位角αと仰角βを参考値(α0,β0)として登録してステップS102を終了する。なお、ここで、演算されたねじれ角γが−10度から+10度の範囲内であれば、(α0、β0)を最終的な検出値としてステップS102以降を省略してもよい。
次に主制御部601は、第2の演算を実行する(S103)。この第2の演算では、ステップ101で取り込んだ検出地磁気hと、別途取得した地磁気伏角θとから、方位角αと仰角βとを演算する。
ここで第2の演算について説明するにあたって、地磁気Hの水平、及び垂直成分を地磁気強度Hgと地磁気伏角θを用いて表すと、数18に示すようになる。
Figure 2007040982
ここで、地磁気Hと検出地磁気hとの関係は数19に示すようになる。
Figure 2007040982
ただし、ABはx,y,z軸座標系とx0,y0,z0軸座標系との変換のための合成変換式であり、数4,13から数20に示す行列式になる。
Figure 2007040982
数18,19から、数21に示す式が導かれる。
Figure 2007040982
すなわち、地磁気伏角θと地磁気成分hx,hy,hzとが与えられるとき、数20,21から方位角αと仰角βの連立方程式が得られる。
主制御部601は、第2の演算において、地磁気伏角θと地磁気成分hx,hy,hzとから方位角αと仰角βとの連立方程式を取得し、この連立方程式を解くことにより方位角αと仰角βとを算出する。ただし、この連立方程式の解は、必ずしも1つではなく、複数の解が得られることもある。
そこで主制御部601は、複数の解が得られた場合、その複数の解をそれぞれ候補値(α1,β1)(α2,β2)として登録してステップS103を終了する。そして第2の演算の結果、求めた解が1つである場合(S104:No)、その解を検出値α,βとして登録して終了する。もしも求めた解が複数である場合(S104:Yes)、主制御部601は比較選択処理を実行する(S105)。
この比較選択処理では、前述の参考値(α0,β0)と候補値(α1,β1)(α2,β2)とを比較し、参考値の仰角β0に近いほうの仰角を持つ候補値を選択して検出値(α,β)として登録する。このようにして得られた検出値α,βは、地磁気伏角θと地磁気成分hx,hy,hzとに基づいて得られた値であるから、携帯電話機1の動きによる誤差の影響を含まず、精度の高い値が得られる。
次に、地磁気伏角θの取得処理について説明する。
図6は、地磁気伏角θの取得処理の一例を示すフローチャートである。図1,6を用いて説明すると、主制御部601は、任意に設定されたトリガをもって地磁気伏角θの取得処理を立ち上げる。この処理では、主制御部601は、前述の方位及び傾斜角の検出処理と同様に、まず加速度センサ部510から検出重力gを取り込むと共に、磁気センサ部520から検出地磁気hを取り込む(S201)。そして数8,9の関係式と数14,17の関係式とを用いて、重力成分gx,gy,gzと地磁気成分hx,hy,hzとから地磁気伏角θを求める(S202)。主制御部601は、求めた地磁気伏角θを、加速度センサ部510の誤差を含む粗い値θ0として登録蓄積する(S203)。
この後、主制御部601は、蓄積データが所定量貯まる等のトリガをもって平均値演算処理を選択する(S204)。この平均値演算処理では、蓄積した地磁気伏角θ0の平均値をとって、携帯電話機1の動きに起因する加速度センサ部510の誤差を平均除去する(S205)。このとき、たとえば現在の平均値θから一定の偏差範囲にある値θ0のみを弁別し、弁別した値θ0のみを平均値演算の対象データとして用いるといった形態をとることもできる。この形態によれば、加速度センサ部510の誤差が顕著なθ0を排除することにより、より精度の高い地磁気伏角θを取得できる利点がある。
ここで、地磁気伏角θの蓄積方法について一例を示す。ステップS203にてθ0を蓄積する際に、主制御部601は時計部304から現在日時を示す日時データを取得し、その日時データをθ0と共にテーブルに書き込む。図6が地磁気伏角θ0と日時データとを蓄積した地磁気伏角テーブルの一例を示す図である。主制御部601は、地磁気伏角テーブルに所定個数nのデータが蓄積されると、再度時計部304から現在日時を示す日時データを取得する。
続いて、主制御部601は所得した現在日時を示す日時データと、地磁気伏角テーブルにθ0と共に蓄積された日時データとを比較し、現在日時から所定時間以上離れたデータが地磁気伏角テーブルに蓄積されていないかを判定する。現在日時から所定時間以上離れたデータが蓄積されていない場合には、主制御部601はステップS204の処理に進み、θ0の平均値演算処理を行う。
一方、現在日時から所定時間以上離れたデータが蓄積されている場合には、主制御部601はそのデータに対応するθ0を地磁気伏角テーブルから削除し、再度ステップS201に戻ってデータの取り込みを続ける。なお、ステップS204の処理に進んだ場合においても、主制御部601は地磁気伏角テーブルのデータをクリアしない。これにより、過去に取得した地磁気伏角のデータを有効に利用することが可能となり、さらに上述した日時データを用いた判定処理を行うことで現在日時から所定時間以内のデータのみを利用することが可能となり、地磁気伏角の検出精度を向上させることができる。
地磁気伏角θの蓄積方法に関する別の形態として、主制御部601がGPS受信部402から現在の位置情報(緯度・経度)を取得し、θ0と共に地磁気伏角テーブルに蓄積してもよい。この場合、日時データを用いた判定処理で述べたのと同様の方法で現在の位置情報と地磁気伏角テーブルに蓄積された位置情報とを比較し、現在の位置から所定距離以上離れているデータを削除もしくは使用しないようにしてもよい。図8に日時データと共に位置情報を蓄積した場合の地磁気伏角テーブルの一例を示す。
次に、地磁気伏角θの取得処理の他の例について、図1を用いて説明する。
主制御部601は、たとえば方位及び傾斜角の検出処理におけるステップS103(図5参照)の開始時に、地磁気伏角θの取得処理を実行する。この取得処理において、主制御部601は、まずGPS受信部402から現在の位置情報φ,λを取得する。ただしφは緯度、λは経度である。そして数22を用いて、位置情報φ,λから地磁気伏角θを演算する。
Figure 2007040982
なお、この式は2000年度の式であり、ΔφはΔφ=φ−37°N、ΔλはΔλ=λ−138°Eである。
この数22は、地磁気伏角の分布を緯度・経度の2次式で近似した式である。数22の各項の係数は、磁極の移動に伴って変化するため、1年毎等、定期的に更新する(例えば、サーバから各係数のデータを携帯端末にダウンロードする)などして正確さを維持すれば良い。また、地磁気伏角θの取得に対して要求される精度によっては、数22の第2項まで、すなわち地磁気伏角θを緯度φで1次近似した式を用いる形態をとることも可能である。
また数22に基づいて、位置情報φ,λを地磁気伏角θに変換する変換テーブルを予め作成してROM602に格納しておき、この変換テーブルに位置情報φ,λを入力して地磁気伏角θを取得する形態をとることも可能である。この例によれば、磁気センサ部520から検出重力hを用いずに地磁気伏角θを取得できるから、加速度センサ部510の誤差を含まない精度の高い演算が可能となる利点がある。また簡素な演算のみで地磁気伏角θを取得できる利点がある。
以上、この発明の実施形態を詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。たとえば携帯電話機等、通信機能を有する装置にこの発明を適用する場合、通信先の中継局やサーバ等に位置情報φ,λあるいは地磁気伏角θを通知する機能を設置しておき、携帯電話機からの要求に応じ、要求された情報を中継局側から携帯電話機に送信するといった形態をとることもできる。この形態は、特にPHS(登録商標:Personal Handyphone System)等の狭域無線通信システムにおいて高精度の地磁気伏角θを端末が取得できる点で好適である。
また、主制御部601は、CPUを用いた制御部として説明したが、具体的にはBBP(Base Band Processor)、あるいはBBPをメインに通話信号の変復調処理等を行うDSP(Digital Signal Processor)をサブとして組み合わせて構築する形態等をとることができる。
BBPやDSPに組み込むプログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されて頒布されることができ、機能の一部を実現する形態で頒布されるものであっても良い。たとえばOS(オペレーション・システム)が提供する基本機能を利用したアプリケーションソフトの形式で頒布されるものであっても良い。さらにコンピュータシステムにすでに記録されている既存システムのプログラムとの組み合わせで所定の機能を実現できるもの、いわゆる差分プログラムで頒布される形態をとることも可能である。
また上記のコンピュータ読み取り可能な記録媒体には、可搬型の磁気ディスクや光磁気ディスク等の記憶媒体等以外にも、ハードディスク等の記憶装置その他不揮発性の記憶装置を含む。さらにインターネットその他のネットワーク等、任意の伝送媒体を介して他のコンピュータシステムから提供される形態でも良い。この場合、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」には、ネットワーク上のホストやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、伝送媒体において一定時間プログラムを保持しているものも含む。
またBBPやDSPによるコプロセッサ方式により制御部を構築する形態に言及したが、少なくともその一部のプロセッサをFPGA(Field Programmable Gate Alley)等のハードウエア回路により構築する形態も可能である。FPGAに組み込む回路プログラム情報の頒布については、上記のプログラムの頒布と同様に各種の形態をとることも可能である。
この発明の一実施形態に係る携帯電話機の概略を示すブロック図である。 端末携帯電話機の端末ユニットを開いた状態にしたときの正面図である。 この方位及び傾斜角の検出処理において実現される機能の概略を示すブロック図である。 第1および第2の演算で用いるデータおよびその座標系を示す線図である。 方位及び傾斜角の検出処理の概略を示すフローチャートである。 地磁気伏角θの取得処理の一例を示すフローチャートである。 地磁気伏角θ0が蓄積される地磁気伏角テーブルの一例を示す図である。 地磁気伏角θ0が蓄積される地磁気伏角テーブルの別の一例を示す図である。
符号の説明
1…携帯電話機 1−1,1−2…端末ユニット 201…アンテナ 202…RF部 203…変復調部 204…CDMA部 205…音声処理部 301…マイクロホン 302…スピーカ 303…報知手段 304…時計部 305…主操作部 306…電子撮像部 307…表示部 308…タッチパネル 309…副操作部 401…アンテナ 402…GPS受信部 510…加速度センサ部 520…磁気センサ部 521−1〜521−3…磁気センサ 522…温度センサ 523…磁気センサ制御部 601…主制御部 602…ROM 603…RAM 701…測定トリガ手段 702…測定データ取り込み手段 703…第1の演算手段 704…平均化手段 705…第2の演算手段 706…選択手段

Claims (7)

  1. 装置固定の座標系での地磁気成分を検出する方位センサと、同じく装置固定の座標系での重力成分を検出する加速度センサを備え、前記地磁気成分および重力成分を用いて、対地座標系での装置の方位及び傾斜角の検出値を生成する方位及び傾斜角検出装置であって、
    前記重力成分を用いて前記地磁気成分の座標変換を行うことにより前記方位及び傾斜角を演算して参考情報とする第1の演算手段と、
    水平面と地磁気方向とがなす角である地磁気伏角を取得する地磁気伏角取得手段と、
    前記装置固定の座標系および対地座標系での地磁気成分の関係から前記地磁気伏角をもって規定される前記方位及び傾斜角の連立方程式を解くことにより前記方位と傾斜角の演算結果を求め、該演算結果を前記検出値とする第2の演算手段と、
    前記演算結果が複数通りある場合に前記参考情報を参照して複数の演算結果の中から1つを選択して前記検出値とする選択手段と、
    を備えたことを特徴とする方位及び傾斜角検出装置。
  2. 前記選択手段は、前記参考情報の傾斜角に近い傾斜角を持つ演算結果を選択して前記検出値とすることを特徴とする請求項1に記載の方位及び傾斜角検出装置。
  3. 前記地磁気伏角取得手段は、
    前記重力成分を用いて前記地磁気成分の座標変換を行うことにより前記地磁気伏角に相当する値を算出する地磁気伏角演算手段と、
    該地磁気伏角に相当する値を蓄積して平均値をとって前記地磁気伏角に設定する平均化手段と、
    を有することを特徴とする請求項1記載の方位及び傾斜角検出装置。
  4. 前記地磁気伏角取得手段は、
    現在の緯度経度のうち少なくとも緯度を現在の位置情報として取得する位置情報取得手段と、
    該現在の位置情報から地磁気伏角を生成する地磁気伏角生成手段と、
    を有することを特徴とする請求項1記載の方位及び傾斜角検出装置。
  5. 装置固定の座標系での地磁気成分を検出すると共に、同じく装置固定の座標系での重力成分を検出し、前記地磁気成分および重力成分を用いて、対地座標系での装置の方位及び傾斜角の検出値を生成する方位及び傾斜角検出方法であって、
    前記重力成分を用いて前記地磁気成分の座標変換を行うことにより前記方位及び傾斜角を演算して参考情報とするステップと、
    水平面と地磁気方向とがなす角である地磁気伏角を取得するステップと、
    前記装置固定の座標系および対地座標系での地磁気成分の関係から前記地磁気伏角をもって規定される前記方位及び傾斜角の連立方程式を解くことにより前記方位と傾斜角の演算結果を求め、該演算結果を前記検出値とするステップと、
    前記演算結果が複数通りある場合に前記参考情報を参照して複数の演算結果の中から1つを選択して前記検出値とするステップと、
    を行うことを特徴とする方位及び傾斜角検出方法。
  6. 検出装置固定の座標系での地磁気成分を検出するステップと、
    同じく検出装置固定の座標系での重力成分を検出するステップと、
    前記重力成分を用いて前記地磁気成分の座標変換を行うことにより、対地座標系での装置の前記方位及び傾斜角を演算して参考情報とするステップと、
    水平面と地磁気方向とがなす角である地磁気伏角を取得するステップと、
    前記装置固定の座標系および対地座標系での地磁気成分の関係から前記地磁気伏角をもって規定される前記方位及び傾斜角の連立方程式を解くことにより前記方位と傾斜角の演算結果を求め、該演算結果を検出値とするステップと、
    前記演算結果が複数通りある場合に前記参考情報を参照して複数の演算結果の中から1つを選択して前記検出値とするステップと、
    をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
  7. 装置固定の座標系での地磁気成分を検出する方位センサと、同じく装置固定の座標系での重力成分を検出する加速度センサを備え、前記地磁気成分および重力成分を用いて、対地座標系での装置の方位及び傾斜角の検出値を生成する手段を有する携帯端末装置であって、
    前記重力成分を用いて前記地磁気成分の座標変換を行うことにより前記方位及び傾斜角を演算して参考情報とする第1の演算手段と、
    水平面と地磁気方向とがなす角である地磁気伏角を取得する地磁気伏角取得手段と、
    前記装置固定の座標系および対地座標系での地磁気成分の関係から前記地磁気伏角をもって規定される前記方位及び傾斜角の連立方程式を解くことにより前記方位と傾斜角の演算結果を求め、該演算結果を前記検出値とする第2の演算手段と、
    前記演算結果が複数通りある場合に前記参考情報を参照して複数の演算結果の中から1つを選択して前記検出値とする選択手段と、
    を備えたことを特徴とする携帯端末装置。
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