JP4899525B2 - 磁気センサ制御装置、磁気測定装置、並びにオフセット設定方法及びプログラム - Google Patents
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Description
球面上に存在する2点の垂直二等分面は、その球の中心を通る。磁界強度が異なる場所で磁気データを入力すると、それらの磁気データに対応する点は、測定誤差を除外すると理論的には磁界強度と対応する大きさを半径とする球面上に存在する。入力された2つ1組の磁気データ毎に複数の垂直二等分面を算出する構成では、各垂直二等分面を算出するための各組の磁気データがほぼ同一の磁界強度で入力されたものであれば、算出された各垂直二等分面は、それぞれの磁気データが入力された時点の磁界強度に半径が対応する同心球の中心付近を通る。したがって、それらの垂直二等分面が集合している領域を統計的手法により1つの点で近似し、その点に基づいてオフセットを設定することにより、求めたい真のオフセットとの誤差が小さいオフセットを設定することができる。
予め決められた所定距離以上離れた2点に対応する2つ1組の磁気データを選抜し、垂直二等分面を算出することにより、3次元磁気センサ自体の測定誤差や3次元磁気センサの出力をディジタル値で取り出す際の計算誤差等の影響によって、算出される垂直二等分面と真のオフセットとの誤差を小さくすることができる。2つ1組の磁気データを入力順に組み合わせて選抜し、垂直二等分面を算出することにより、入力順が遠い2点の垂直二等分面を算出する場合と比較して、入力間隔の時間差が少ないため磁界強度の変化の影響を受けにくく、したがって算出される垂直二等分面と真のオフセットとの誤差を小さくすることができる。
既に記憶されている垂直二等分面の1つと新たに算出された垂直二等分面とのなす全ての角が、予め決められた所定の角度以上である場合にのみ、新たに算出された垂直二等分面を統計計算の母集団要素として選抜することにより、統計的手法を用いて求めるオフセットの誤差を小さくすることができる。なぜなら例えば2つの垂直二等分面を例にすると、それぞれの垂直二等分面と真のオフセットに対応する点との距離が小さくても2つの垂直二等分面が平行に近ければ2つの垂直二等分面の共有線は真のオフセットに対応する点から遠くなるためである。したがって、統計処理の母集団としてそのような垂直二等分面が含まれると、オフセットの誤差が大きくなるためである。尚、二平面のなす全ての角とは、二平面のなす4つの角の全てを指す。
既に記憶されている垂直二等分面の全てと新たに算出された垂直二等分面とのなす全ての角が、予め決められた所定の角度以上である場合にのみ新たに算出された垂直二等分面を統計計算の母集団要素として選抜することにより、統計的手法を用いて求めるオフセットの誤差を小さくすることができる。なぜなら例えば2つの垂直二等分面を例にすると、それぞれの垂直二等分面と真のオフセットに対応する点との距離が小さくても2つの垂直二等分面が平行に近ければ2つの垂直二等分面の共有線は真のオフセットに対応する点から遠くなるためである。したがって、統計処理の母集団としてそのような垂直二等分面が含まれると、オフセットの誤差が大きくなるためである。尚、二平面のなす全ての角とは、二平面のなす4つの角の全てを指す。
特定の点を中心とする単位球の球面を略同一面積に区分する区画毎に、垂直二等分面と垂直でかつ特定の点を始点とする単位ベクトルの終点が区画に包含される一定数以下の前記垂直二等分面を記憶させる構成では、垂線の方向が特定の方向に偏った複数の垂直二等分面で統計処理の母集団が構成されないため、そのような母集団を用いた統計的手法により求めたオフセットの誤差を小さくすることができる。
本実施形態では、3次元磁気センサの出力に含まれる、それが搭載されている移動体の着磁成分と磁気センサ自体の測定誤差を打ち消すためのオフセットを求める。オフセットを求めるためには、3次元磁気センサの出力である磁気データを成分とするベクトル空間内の無数の点の集合を球面として近似する。この球面を方位球の球面というものとする。また測定誤差等のない理想的な3次元磁気センサの出力である磁気データを成分とするベクトル空間内の無数の点の集合を真の方位球の球面というものとする。真の方位球の半径は磁界強度と対応する。本実施形態では、方位球の中心点の成分がオフセットとして算出される。
図2は本発明が適用される移動体の一例である携帯型電話機1の外観を示す模式図、図3は携帯型電話機1のブロック図である。携帯型電話機1には3次元磁気センサ4が搭載されている。3次元磁気センサは互いに直交するx、y、zの3方向の磁界のベクトル成分を検出することによって磁界の方向および強さを検出する。ディスプレイ5には、文字や画像の各種情報が表示される。例えばディスプレイ5には、地図と方位を示す矢印や文字が表示される。
音声処理部18は、マイクロホン16から入力されるアナログ音声信号のAD変換、スピーカ50にアナログ音声信号を出力するためのDA変換を行う回路である。
GPS受信部20は、アンテナ21で受信されたGPS衛星からのGPS電波を処理し、現在位置の緯度経度を出力する回路である。
キー入力部48は、文字入力キーを兼ねたダイヤルキー、カーソルキー等を備える。
電子撮像部52は、図示しない光学系、撮像素子、AD変換器等で構成されている。
表示部54は、LCD等のディスプレイ5、図示しない表示制御回路等で構成され、携帯型電話機1の動作モードに応じた各種画面を表示する。
報知部58は、図示しない音源回路、着信音スピーカ、バイブレータ、LED等を備え、着信をユーザに報知する。
図1は、オフセット設定処理の流れを示すフローチャートである。図1に示す処理は、オフセットの更新要求が発生するとCPU40によって実行される処理である。オフセットの更新要求は、例えば着信時、一定時間経過毎、あるいはユーザによるナビゲーションプログラム起動時等に発生するものである。
はじめに、RAM44に記憶されている垂直二等分面群と記憶面数とが初期化される(ステップS100)。具体的には、1つの垂直二等分面は、平面の方程式をax+by+cz+d=0とすると、各係数a,b,c,dの値が対応する変数に格納されることによってRAM44に記憶されている。RAM44には、所定個数の垂直二等分面を記憶するための各係数を格納する変数が用意される。記憶面数は、このようにしてRAM44に記憶されている垂直二等分面の個数を格納する変数である。ステップS100では、RAM44に記憶されている垂直二等分面群の各変数の値が破棄され、記憶面数が格納されている変数が0に初期化される。
ステップS104では、磁気データが制御部45に入力され、入力された磁気データがp2に設定される。磁気データは、xyzの3成分を有する座標としてデータ構造体p2に格納されることによってRAM44に記憶され、ベクトル空間における特定の点の位置を示す。
ステップS106では、p1とp2との距離が所定距離以上であるか判定される。p1とp2との距離が所定距離以上離れていない場合は、ステップS104に戻り、磁気データ(p2)が入力される。p1とp2との距離が所定距離以上離れていない場合に、ステップS102に戻って再度2つの磁気データを取得するのではなくステップS104で2点目だけを取得するのは、携帯型電話機1本体の向きがゆっくりとしか変化しない場合、3次元磁気センサ4から順次入力された2つの磁気データの距離が所定距離以上にならないため、1組の磁気データをなかなか選抜できなくなることを回避するためである。
p1とp2の距離が近すぎる場合、3次元磁気センサ4自体の測定誤差や3次元磁気センサ4の出力をディジタル値で取り出す際の計算誤差等の影響によって真のオフセットに対応する点を中心とする方位球の球面からp1とp2がわずかに離れるだけでp1とp2の垂直二等分面と真のオフセットに対応する点との距離が大きく離れるため(図5(A)の一点鎖線f3参照)、その垂直二等分面を用いてオフセットを算出すると、算出されたオフセットと真のオフセットとの誤差が大きくなる。ステップS106の処理では、あまりに近い2点の垂直二等分面がオフセットの設定に用いられることがないように、入力された磁気データが選抜される。またステップS106の処理では、垂直二等分面を算出するための磁気データが入力順に組み合わせられるため、1つの垂直二等分面が求まる1組の磁気データに対応する磁界強度の差を低減することができる。したがって、そのようにして求めた垂直二等分面を用いてオフセットを算出することにより、精度良くオフセットを設定することができる。これに対し、図5(B)に示すように入力順があまりに遠い2点の垂直二等分面を算出する場合、算出される垂直二等分面と真のオフセットに対応する点との距離が大きくなる垂直二等分面が算出されるおそれがある。図5(B)でf4はp1とp1′の垂直二等分面、f5はp2とp2′の垂直二等分面を表している。
図6は、垂直二等分面管理処理の流れを示すフローチャートである。
ステップS200では、記憶面数が0であるか判定される。RAM44に垂直二等分面が1つも記憶されていない場合は、ステップS204の処理に進む。
ステップS202では、直前に算出された垂直二等分面と、新たに算出された垂直二等分面とのなす角が所定角度以上であるか判定される。2平面のなす角を求めることは、それぞれの平面の垂線ベクトルのなす角を求めることと等価である。したがって、今回算出された垂直二等分面a1x+b1y+c1z+d1=0と、前回算出された垂直二等分面a2x+b2y+c2z+d2=0と、それらのなす角θの関係は、以下の式(3)の通りである。
ステップS206では、記憶面数がインクリメントされる。
ステップS112では、記憶面数が所定個数(N個)であるか判定される。尚、オフセット更新要求発生から所定時間が経過したことを判定条件としてもよい。
本発明を適用した第二のオフセット設定方法が第一のオフセット設定方法と異なる点は垂直二等分面管理処理である。
図7及び図8は第二のオフセット設定方法に係る垂直二等分面管理処理を説明するための模式図である。オフセット設定プログラムは、図7に示すように半径1の単位球200の球面を略同一面積の複数の区画に区分し、統計処理の母集団を構成する垂直二等分面を区画毎に蓄積する。具体的には例えば、各区画が略同一面積となるように、原点を中心とする単位球Eの球面をxy平面に平行な面で複数個に分割し、分割された各領域(z軸と交わる領域を除く)をz軸に平行な平面で放射状にさらに分割し、分割された各領域をそれぞれ1つの区画とする。オフセット設定プログラムは各区画の範囲を規定するデータを有する。区画nの範囲を規定するデータは区画の端点Mn1,Mn2,Mn3,Mn4のxyz成分で表される。
ステップS300では、新たに算出された垂直二等分面に垂直で、単位球の中心を始点とする単位ベクトルの終点を包含する区画に対応付けて記憶されている垂直二等分面がないかどうか判定される。具体的には、図8に示すように、図示しない方位球の球面上の2点から新たに算出された垂直二等分面f1をax+by+cz+d=0とすると、垂直二等分面f1の垂線ベクトルv1の成分は(a,b,c)で表される。垂線ベクトルv1(a,b,c)を単位長さに正規化することにより、単位ベクトルe1の終点を算出することができる。具体的には例えば、単位ベクトルe1の終点(a′,b′,c′)が単位球Eの区画nに包含されるとき、Mn3z<c≦Mn1zかつMn1y/Mn1x<b/a≦Mn2y/Mn2xが満たされる。この関係を満たす区画nに対応付けて垂直二等分面が記憶されているか否かが判定される。尚、一つの平面においてその垂線ベクトルは互いに逆向きの2種類存在する。単位ベクトルの終点が包含される区画が異なっているためにほぼ同一の傾きの垂直二等分面f2が重複して記憶されないようにするために、単位球Eの半分の区画を使用するようにしてもよい。具体的には例えば、単位球Eのz成分が正である半球部分を使用することとして、垂線ベクトルv2が単位長さに正規化された単位ベクトルe2のz成分が負であるとき、原点を中心とした点対称の向きに変換しその終点が包含される区画に対応付けて垂直二等分面が既に記憶されているか判定するようにしてもよい。
ステップS304では、記憶面数がインクリメントされる。
本実施形態では、各区画に対応付けて記憶できる垂直二等分面の数を1つに限定しているが、各区画に対応付けて記憶できる垂直二等分面は複数であってもよい。ステップS112の条件がY判定のとき、各区画に垂直二等分面が満遍なく記憶されている。それらの垂直二等分面を用いて統計的手法で方位球の中心を算出することにより、求めたオフセットと真のオフセットとの誤差を小さくすることができる。なぜなら例えば2つの垂直二等分面を例にすると、それぞれの垂直二等分面と真のオフセットに対応する点との距離が小さくても2つの垂直二等分面が平行に近ければ2つの垂直二等分面の共有線は真のオフセットに対応する点から遠くなるためである。したがって、統計処理の母集団としてそのような垂直二等分面が含まれると、オフセットの誤差が大きくなるためである。また、本実施形態によると、傾きに偏りのない垂直二等分面を記憶するために、既に算出されている垂直二等分面の全てと新たに算出された垂直二等分面とのなす角度を全て求める必要がないため、必要となる計算量が少なく、速く垂直二等分面を記憶させることができる。
Claims (10)
- 3次元磁気センサから順次出力される、3成分を有する複数の磁気データを順次入力する入力手段と、
2つの前記磁気データに対応する2点の垂直二等分面を、2つ1組の前記磁気データ毎に算出する垂直二等分面算出手段と、
複数の前記垂直二等分面を記憶する記憶手段と、
既に記憶されている前記垂直二等分面と新たに算出された前記垂直二等分面とのなす角が予め決められた所定の角度以上である場合、新たに算出された前記垂直二等分面を前記記憶手段に記憶させる管理手段と、
前記記憶手段によって記憶されている複数の前記垂直二等分面が集合している領域を統計的手法により1つの点で近似し、前記1つの点に基づいて前記磁気データのオフセットを設定する設定手段と、
を備える磁気センサ制御装置。 - 前記設定手段は、前記記憶手段によって記憶された複数の前記垂直二等分面を用いた最小二乗法により前記1つの点を算出する、
請求項1に記載の磁気センサ制御装置。 - 予め決められた所定距離以上離れた2点に対応する2つ1組の前記磁気データを入力順に組み合わせて選抜する選抜手段をさらに備え、
前記垂直二等分面算出手段は、選抜された各組の前記磁気データからそれぞれ前記垂直二等分面を算出する、
請求項1又は2に記載の磁気センサ制御装置。 - 前記記憶手段を管理する管理手段をさらに備え、
前記管理手段は、既に記憶されている前記垂直二等分面の1つと新たに算出された前記垂直二等分面とのなす角が予め決められた所定の角度以上である場合、新たに算出された前記垂直二等分面を前記記憶手段に記憶させる、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁気センサ制御装置。 - 前記記憶手段を管理する管理手段をさらに備え、
前記管理手段は、既に記憶されている全ての前記垂直二等分面と新たに算出された前記垂直二等分面とのなす全ての角が予め決められた所定の角度以上である場合、新たに算出された前記垂直二等分面を前記記憶手段に記憶させる、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁気センサ制御装置。 - 前記記憶手段を管理する管理手段をさらに備え、
前記管理手段は、特定の点を中心とする単位球の球面を略同一面積に区分する区画毎に、前記垂直二等分面と垂直でかつ前記特定の点を始点とする単位ベクトルの終点が前記区画に包含される一定数以下の前記垂直二等分面を、前記記憶手段に記憶させる、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁気センサ制御装置。 - 請求項1〜4のいずれか一項に記載の磁気センサ制御装置と、
前記3次元磁気センサと、
を備える磁気測定装置。 - 3次元磁気センサから順次出力される、3成分を有する複数の磁気データを順次入力し、
2つの前記磁気データに対応する2点の垂直二等分面を、2つ1組の前記磁気データ毎に算出し、
既に記憶されている前記垂直二等分面と新たに算出された前記垂直二等分面とのなす角が予め決められた所定の角度以上である場合、新たに算出された前記垂直二等分面を記憶し、
記憶されている複数の前記垂直二等分面が集合している領域を統計的手法により1つの点で近似し、前記1つの点に基づいて前記磁気データのオフセットを設定する、
ことを含むオフセット設定方法。 - 3次元磁気センサから順次出力される、3成分を有する複数の磁気データを順次入力する入力手段と、
2つの前記磁気データに対応する2点の垂直二等分面を、2つ1組の前記磁気データ毎に算出する垂直二等分面算出手段と、
複数の前記垂直二等分面を記憶する記憶手段と、
既に記憶されている前記垂直二等分面と新たに算出された前記垂直二等分面とのなす角が予め決められた所定の角度以上である場合、新たに算出された前記垂直二等分面を前記記憶手段に記憶させる管理手段と、
前記記憶手段によって記憶されている複数の前記垂直二等分面が集合している領域を統計的手法により1つの点で近似し、前記1つの点に基づいて前記磁気データのオフセットを設定する設定手段と、
してコンピュータを機能させるオフセット設定プログラム。 - 請求項9に記載のオフセット設定プログラムが格納されたコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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