JP2007040687A - 板状熱交換器 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱交換の効率のよい形状の流体通路を有する熱交換器を提供する。
【解決手段】流体に対して直角になるようなリブを有する板状エレメント30、40と板状エレメント50、60及び熱交換膜となる隔離板70を積み重ね、その両側を側板10及び他の側板で挟持し、これらを気密に接合したのである。
【選択図】図10

Description

この発明は、板状熱交換器及びその製造方法に関する。
金属薄板から成る板状エレメントに流体通路を形成し、この板状エレメントを複数枚積み重ねて厚みの薄い熱交換器を形成する技術が特許文献1等に開示されており、この技術により、従来に比べて熱交換器を飛躍的に小型化することが可能となった。
しかし、空調機の室外機、パーソナルコンピュータ、ヒートポンプなど熱交換器を用いた機器の更なる小型化が求められている昨今では、熱交換の効率をさらに向上させることが必要であり、そのためには、流体通路の形状を種々工夫することが必要となる。
特開2004−108690号公報
そこで、この発明の課題は、熱交換の効率のよい形状の流体通路を有する熱交換器を提供することである。
上記の課題を解決するために、この発明は、一対の側板によって、複数の流体がそれぞれ別個に流通可能な流体通路を形成する複数の板状エレメントを重ね合せて気密に挟持した板状熱交換器において、少なくとも一対の板状エレメントの流体通路を区画する多数のリブを、流体の流れ方向に対してほぼ直角になる階段状に形成したのである。
このようにリブを流体の流れ方向に対してほぼ直角となる階段状に形成することにより、リブが直進しようとする流体の障壁となって流れが分散し、流体が熱交換器内に満遍なく広がり、熱交換の効率が向上する。
前記多数のリブを全体としてほぼ波形に配列すると、流体直進の障害となる波型リブが平行に配されるため、流れの分散を一層促進することができる。
このような熱交換器に流通させる流体は、高温高圧の、いわゆる超臨界の状態とするのが熱交換の効率等の点から望ましい。かかる超臨界の状態を維持するには、熱交換器へ流体が流入した際に圧力を下げないことが必要であるため、流体通路は小さいことが好ましいが、その一方であまりに小さすぎると流通が阻害される問題がある。そこで、上記多数のリブにより区画される複数の流体流通路の各々の高さ(h)および幅(w)を以下の寸法を満足するように形成するのが好ましい。
0.2mm≦h≦0.8mm、0.2mm≦w≦2.0mm
上記多数のリブの流体入口側のそれぞれの端部を、前記端部相互を結ぶ想像線が、外側に凸の円弧を描くように形成すると、通常は流通路中央に偏りがちな流体が、流通路の隅部に案内されやすくなることにより、流通路全体に満遍なく広がる結果、熱交換の効率が向上する。
上記リブは、その周囲を取り囲むフレームによって支持され、このフレームの対向する側桁の内面に流体の流れ方向に延びる液体収集溝を設けておくと、熱交換器内の液体を効率よく収集でき、外部へ排出が容易となるため、液体の滞留による熱交換器の性能低下を防止することができる。
前記板状エレメントのフレームの側桁の幅よりもスペーサのフレームの側桁の幅を狭くして一対の板状エレメントにスペーサを挟み込むと、溝を穿つことによらず、簡易に液体収集溝を形成することができる。
前記スペーサの対向する側桁間を液体誘導リブで連結しておくと、液体の収集および排出がさらに容易となる。
この発明の板状熱交換器は、一対の側板の一方に複数のガイド片をほぼ直角に起ち上げ、前記ガイド片に沿って複数の板状エレメントとスペーサ及び液体通路を隔離する隔離板を積み重ね、他方の側板をその上に載置して前記一方の側板と共に前記板状エレメントとスペーサ及び隔離板を互に密着させ、気密に接合して製造するのが簡易である。
以上のように、特殊なパターンの板状エレメントを用いることにより、流体流通路の形状を熱交換の効率が優れたものとした。
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。図1から図17に第一の実施形態を示し、図18から図23に第二の実施形態を示す。まず、第一の実施形態について説明するところ、図1に示すような第1と第2の側板10と20を用意する。
図示のように、第1の側板10は、平坦で気密なほぼ長方形の板状体11から成り、対角線上の隅角部に、板状体11の各辺に平行な辺を有する膨出部11a、11bが設けられ、この膨出部11a、11bの隣接する外側縁からそれぞれガイド片12、14及びガイド片13、15が突出している。このガイド片12、14及びガイド片13、15には、流体の給排用ポート12a、14a及びポート13a、15aとなる円形貫通穴が設けられている。
また、ガイド片12、14及びガイド片13、15は、後述するように板状体11とほぼ直角に折り曲げられる。この折り曲げを容易にするため、膨出部11a及び膨出部11bの外側縁の内側に沿って、ハーフカット線12b、14b及びハーフカット線13b、15bが設けられている。なお位置合せの確認のため、膨出部11a、11bにそれぞれ貫通孔11c、11dを設けておくのがよい。勿論、この貫通孔は、後述の流体通路と連通してはならない。
前記第2の側板20は、第1の側板10と同様に平坦で気密なほぼ長方形の板状体21から成るが、第1の側板10からガイド片12、14及びガイド片13、15を取り除いた形状で、長方形板状体21の対角線上の隅角部に、膨出部21a、21bが設けられている。また、前記貫通孔11c、11dと同じ位置に貫通孔21c、21dが設けられている。
図2に流体通路を形成する板状エレメントを示す。図示のように、一つの流体通路を形成するため、全体として平坦な第1の板状エレメント30と第2の板状エレメント40が用いられる。
前記第1の板状エレメント30は、図2(イ)に示すように、前記第2の側板20と実質的に同じ輪郭をした同サイズのフレーム31にほぼ全周がとり囲まれ、このフレーム31内で一定のパターンの流体通路を形成するための区画リブ32がフレーム31に支持され、リブ32以外のパターン部分は空隙になっている。これらのリブ32は、表面裏面共に平坦になっており、フレーム31と同一平面を形成している。
また、側板10の膨出部11a、11bに対応するフレーム31の両端には、流体の出入口32a、33bが形成され、パターンが途切れる出入口32a、33aに臨むリブ32の末端は、図3から明らかなように、フレーム32より薄い支持板33で支えられ、浮動しないように固定されている。このように支持板33の厚みを薄くしてあるため、流体の流出入には支障がない。勿論リブ32がフレーム31でしっかり支えられている場合には、支持板33を省略することができる。また、他の出入口34a、35aは、リブ32によって区画される流体通路に対して閉鎖されている。これらのリブ32は、板状エレメント30の長さ方向に全体としてほぼ波形模様を画くように配列され、かつ各リブ32は階段状に屈曲され、流体に対してほぼ直角な障壁を形成している。
図2(ロ)に示すように、第2の板状エレメント40は、前記第1の板状エレメント30とほぼ同形同サイズであるが、リブ42によるパターンが異なり、幅方向にほぼ反転したようなパターンになっている。そして出入口42a、43a近辺では、リブ42と前記リブ32が重なり合うようになっている。また、支持板43は、図の裏面で前記支持板33と同様の構造でリブ42を支持している。なお、図2中、符号31e、31f、41e、41fは、位置確認用貫通孔である。また、符号44a、44a、45a、45bは、リブ32、42に対して閉鎖された出入口である。
前記第1及び第2板状エレメント30、40の出入口32a、42aには、図4に示されるように、開口端から内側方向に突出するガイド突起36a、36b及びガイド突起46a、46bが設けられている。これらのガイド突起は、前記第1の側板10の膨出部11aに設けられたガイド片12の厚み分(ガイド片12は、前述のように板状体11に対して直角に折り曲げられる)だけ、膨出部11aの外側縁に対して内側方向(図の右方向)にオフセットされ、図の鎖線で示すように、丁度ガイド片12の両側にスライド可能に係合する幅及び深さのガイド部を形成している。同様のガイド突起37a、37b及び47a、47bが閉鎖された出入口34a、44aの開口端に設けられ、ガイド片14の両側とスライド可能に係合するようになっている。
前記出入口32a、42aに対応する出入口33a、43aにも、前記と同様のガイド突起38a、38b及び48a、48bが設けられ、閉鎖された出入口35a、45aにも同様に、ガイド突起の39a、39b及び49a、49bが設けられている(図2)。
図5に別のパターンを有する一対の板状エレメントを示す。図5(イ)に示すように、第1の板状エレメント50は、前記板状エレメント30、40と同形同サイズのフレーム51を有し、流体通路を区画するリブ52は、く字形をほぼ平行に配置した縞模様になっている。そして出入口52a、53aは、流体通路に対して閉鎖され、出入口54a、55aは開放されている。また、開放された出入口54a、55aに臨むリブ52の末端は、自由端の状態になっている。その他の構造は、前記第1の板状エレメント30と全く同じである。図中、符号56a、56b、57a、57b、58a、58b、59a、59bはガイド突起である。また、符号51c、51dは位置決め確認用貫通孔である。
図5(ロ)に示す第2の板状エレメント60は、フレーム61に囲まれたリブ62が形成するパターンを第1の板状エレメント50と長さ方向に逆にしたものである。その他の構造は、第1の板状エレメント50と同様である。図中、符号62a、63aは閉鎖された出入口、64a、65aは開放された出入口、66a、66b、67a、67b、68a、68b、69a、69bはガイド突起である。また、符号61c、61dは位置決め確認用貫通孔である。
図6に、異なった流体の流体通路を互に隔離して熱交換膜となる隔離板70を示す。図示のように、隔離板70は、板状エレメント30、40、50、60と輪郭が同じで同サイズの一枚の平坦な板状体71より成り、板状エレメント30、40に設けられた閉鎖出入口34a、35a及び44a、45aに対応する出入口74a、75aと、板状エレメント50、60に設けられた閉鎖出入口52a、53a及び62a、63aに対応する出入口72a、73aが設けられている。また、これらの出入口72a、73a、74a、75aの開口端にはガイド突起76a、76b、77a、77b、78a、78b、79a、79bがそれぞれ設けられている。
いま、図2(イ)に示す第1の板状エレメント30の上に、図2(ロ)に示す第2の板状エレメント40を重ね合せて密着させると、図7に示すようなパターンが出来上る。そして、第1、第2の板状エレメント30、40単独では、図2から明らかなように、リブ32、42で区画されるほとんどの流体通路は、出入口32a、42aから行き留まりになっているが、エレメント30と40を重ね合せると、流体通路が交差することによって、例えば矢印で示す通路A1は、フレーム41の上辺の行き留まり部Bで下部のリブ32が一部分欠除しているため、この欠除部分Cから隣接する通路Aに連通し、流体が流通可能になって、結局出入口33aまで到達することができる。
即ち、リブ32、42が重なり合っている個所では、リブ32と42の合計厚みがフレーム31と41の合計厚みに等しいから、流体の流通が阻止されるが、リブ32と42のいずれか一方のみしか存在しない個所では、フレーム31と41の合計厚みの半分しかないから空隙が生じ、流体の流通が許容される。従って、このような空隙が出入口32a、42aから出入口33a、43aまで連通するようなパターンを選択すれば、一方の出入口32a、42aから流体を供給すると、その流体は、図7のA、Aで示すように、他方の出入口33a、43aから排出されることになる。特に図7に示すパターンの場合、リブ32、42が流体の流れに対してほぼ直角になるリブが多いので乱流を生じさせるのに有効である。
図5に示す板状エレメント50、60は、リブ52、62で区画される流体通路がエレメント単独では全て行き留まりになっているが、図8に示すように第1の板状エレメント50の上に第2の板状エレメント60を密着して重ね合せると、出入口54a、64aから出入口55a、65aまで流体の連通路が形成され、出入口54a、64aに流体を供給すると、その流体は出入口55a、65aから排出される。
上記のようにして重ね合せた一対の板状エレメントを利用して板状熱交換器を作製する。まず、図1(イ)に示す側板10のガイド片12、13、14、15を、図9に示すように、板状体11に対してほぼ直角に折り曲げる。次に、これらのガイド片12、13、14、15をガイドとしながら、図10に示す(ロ)(ハ)(ニ)の順序で側板10に板状エレメント30と40、隔離板70、板状エレメント50と60を重ね合せてゆく。ガイド片12、14等とガイド突起36a、46a及び36b、46bを嵌め込む方法は、図4に基づいて説明した通りである。そして、図11に示すように、最後に第2の側板20をガイド片12、13、14、15の端面(最上端面)の上に載せる。また、各ガイド片に設けられたポート12a、13a、14a、15aには、短いパイプ82、83、84、85の一端部を圧入しておく。
このようなアセンブリを形成し、各側板10と20で板状エレメント30、40、50、60及び隔離板70が互に圧着するように強固に挟持し、高温加熱炉中で加熱して拡散接合すると板状熱交換器が得られる。勿論、側板や板状エレメント及び隔離板の接合面にろう材ペーストを塗工しておいて加熱炉に装填し、接合することもできる。
図12にポート12aと板状エレメント30、40、50、60及び隔離板70のそれぞれの出入口32a、42a、52a、62a及び72aの関係を示す。図2について前述したように、出入口32a、42aは、フレーム31、41の内部に開放されているが、図5について前述したように、出入口52a、62a、及び出入口72a(図6参照)は閉鎖されている。図示しないが、ポート13aでは、同様に出入口33a、43aはフレーム31、41の内部に開放され、出入口53a、63a及び出入口73aは閉じられている(図5、図6参照)。従ってポート12aから流体を供給すると、その流体はフレーム31、41の内部を流通してポート13aから排出される。
一方ポート14aでは、図2及び図5から理解されるように、出入口34a、44aは閉鎖され、出入口54a、64aは開放されている。対応するポート15aでも、出入口35a、45aは閉鎖され、出入口55a、65aは開放されている。そのためポート14aから供給された流体はフレーム51、61の内部を流通して出入口15aから排出される。従って前記ポート12aとポート14aから、温度の異なる別の流体をそれぞれ供給すると、隔離板70を介して熱交換が可能となる。
このとき、ポート12aから例えば液化ガスの燃焼ガスのような水蒸気を含む排ガスを供給し、ポート14aから常温水を供給すると、燃焼ガスが冷却されると共に水蒸気が相変換して水となり、同時に大きな潜熱を放出して常温水に伝熱するため、排ガスからエネルギを回収することができる。この回収効率を高めるため、図7に示したようなパターンを用いると排ガスの流れに対してほぼ直角なリブが排ガスに乱流を生じさせ、他方の流体例えば常温水との熱交換効率を高めることができる。
上記のような熱交換の際に排ガスから分離された水が熱交換器内に滞留すると熱交換効率を低下させる。そこで、図13に示すようなスペーサを用いて水の排出を促進させるのが好ましい。図示のように、スペーサ90は、板状エレメント30、40と輪郭が同一でフレーム91に取り囲まれた中央部分に長方形の開口92が設けられている。この開口92を幅方向に横断するように、狭い間隔で一対の直線的誘導リブ91a、91b及び誘導リブ91c、91dがフレーム91の側桁を連結している。なお、この誘導リブは必要に応じて設ければよく、その数も図の二対に限らず一本またはそれ以上であればいずれでもよい。また、フレーム91の両端部分は比較的幅広にしてあるが、この幅も任意に選択可能である。図中、符号96a、96b、97a、97b、98a、98b、99a、99bは、側板10のガイド片12、13、14、15にそれぞれ係合するガイド突起である。
上記スペーサ90のフレーム91の側桁の幅Wは、前記板状エレメント30、40のフレーム31、41の側桁の幅Wよりも狭くしてある。そして、板状エレメント30、40のフレーム31、41の側桁には、前記スペーサ90の誘導リブ91a、91b及び91c、91dの両端に対応して、切欠き31a、31b及び31c、31dと、切欠き41a、41b及び41c、41dが設けられている。これらの切欠きの深さは、丁度スペーサ90のフレーム91の側桁の幅Wに達するようにしてある。即ち切欠き部分のフレーム31、41の幅は、フレーム91の幅Wと同一幅にしてある。
このような、スペーサ90を板状エレメント30と40との間に挟み込む。その状態が図14及び図15に示されている。図示のように、板状エレメント30と40に挟み込まれたスペーサ90のフレーム91の側桁は、その幅Wが板状エレメントのフレーム31と41の側桁の幅Wよりも狭いため、収集溝100が形成される。そして一対の誘導リブ91a、91bを設けた個所では、前記収集溝100が塞がれてしまうため、切欠き31b、41bを設けて流通可能にしている。即ち切欠き31b、41bの長さを誘導リブ91aと91bの外側縁間の距離Wよりも長くすることによって、収集溝100との間に隙間が生じ、図15の矢印で示すように、その隙間から誘導リブ91a、91bの側面を通って隣接する収集溝100に流通する。
図16に示すように、上記のようなスペーサ90を挟み込んだ板状エレメント30、40と、図5の板状エレメント50、60を隔離板70を介して積層し、側板10と20で挟持して接合し熱交換器を形成する。この熱交換器のエレメント30、40に例えば水蒸気を含む排ガスを供給し、エレメント50、60に例えば常温水を供給すると、排ガスと常温水との熱交換の結果、排ガスから水が分離される。この水は、ガス圧によりリブ32、42を伝って両側の収集溝100に集められる。また、誘導リブ91a、91b及び91c、91dを伝って収集溝100に集められる。このため分離された水が滞留することがなく、速やかに排出される。
図17は、前記ポート12a、13a、14a、15aにそれぞれパイプ82、83、84、85を接続した熱交換器の完成状態を示している。勿論、いずれのパイプを供給用とし、いずれのパイプを排出用としてもよい。但し、パイプ82と83、パイプ84と85は対応させなければならない。
図11及び図16には、一対の板状エレメント30、40及び板状エレメント50、60を、隔離板70を介在させて積み重ねた状態が示されているが、勿論板状エレメント50、60の上にさらに隔離板70を介在させて板状エレメント30、40を積み重ねてもよく、またさらにその上に隔離板70を介して板状エレメント50、60を積み重ねていくことができる。即ち図11及び図16は、別の流体を流通させる一対の板状エレメントを二段重ねにしたものであるが、二段以上重ねることができる。
また、隔離板70とそれぞれの板状エレメントを一体にしておくことができる。その場合には、流体通路のパターンは溝の形態となり、リブ32等はそれらの溝を区別する畝となる。そして、溝を形成した面を対向させて積み重ねていくことになる。勿論、板状エレメントの両面に溝を形成することができる。
つぎに第二の実施形態について説明する。この場合において、側板(図示省略)は第一の実施形態とほぼ同じであるから説明を省略する。
図18に流体通路を形成する板状エレメントを示す。図示のように、一つの流体通路を形成するため、全体として平坦な第1の板状エレメント110と第2の板状エレメント120が用いられる。
前記第1の板状エレメント110は、図18(イ)に示すように、前記側板(図示省略)と実質的に同じ輪郭をした同サイズのフレーム111にほぼ全周がとり囲まれ、このフレーム111内で一定のパターンの流体通路を形成するための区画リブ112がフレーム111に支持され、リブ112以外のパターン部分は空隙になっている。これらのリブ112は、表面裏面共に平坦になっており、フレーム111と同一平面を形成している。図示のように、これらのリブ112は、板状エレメント110の長さ方向に全体としてほぼ波形模様を画くように配列され、かつ各リブ112は階段状に屈曲され、流体に対してほぼ直角な障壁を形成している。
図18(ロ)に示すように、第2の板状エレメント120は、前記第1の板状エレメント110とほぼ同形同サイズであるが、リブ122によるパターンが異なり、幅方向に正反転したパターンになっている。そして出入口124a、124b近辺では、リブ122と前記リブ112が重なり合うようになっている。なお、図18中、符号111a、111bは、位置確認用貫通孔である。また、符号113a、113b、123a、123bは、リブ112、122に対して閉鎖された出入口である。
前記第1及び第2板状エレメント110、120の開放された出入口114a、114b、124a、124bに臨むリブ112,122の端部は図示のように、端部相互を結ぶ想像線が、外側に凸の円弧を描くように形成されている。
また、開放された出入口114a、114b、124a、124bおよび閉鎖された出入口113a、113b、123a、123bには、図18に示されるように、開口端から内側方向に突出するガイド突起およびガイド段115a、115b、116a、116b、125a、125b、126a、126bが設けられている。これらは第一の実施形態と同様、側板のガイド片の両側にスライド係合させるためのものである。
図19に、異なった流体の流体通路を互に隔離して熱交換膜となる隔離板130を示す。図示のように、隔離板130は、板状エレメント110,120と輪郭が同じで同サイズの一枚の平坦な板状体131より成り、閉鎖された出入口132a、132b、133a、133bが設けられている。この内、出入口133a、133bは図示のように、外側に凸の円弧を描くように形成されている。また、これらの出入口132a、132b、133a、133bの開口端にはガイド突起およびガイド段134a、134b,135a、135bがそれぞれ設けられている。131a、131bは位置確認用貫通孔である。
図20に別の流体通路を形成する板状エレメントを示す。図示のように、一つの流体通路を形成するため、全体として平坦な第1の板状エレメント140と第2の板状エレメント150が用いられる。
前記第1の板状エレメント140は、図20(イ)に示すように、前記板状エレメント110、120と同形同サイズのフレーム141を有し、流体通路を区画するリブ142は、く字形をほぼ平行に配置した縞模様になっている。そして出入口144a、144bは、流体通路に対して閉鎖され、出入口143a、143bは開放されている。閉鎖された出入口144a、144bの端部は図示のように、外側に凸の円弧を描くように形成されている。その他の構造は、前記板状エレメント110,120と全く同じである。図中、符号145a、145b,146a、146bはガイド突起およびガイド段である。また、符号141a、141bは位置決め確認用貫通孔である。
図20(ロ)に示す第2の板状エレメント150は、フレーム151に囲まれたリブ152が形成するパターンを第1の板状エレメント140と長さ方向に逆にしたものである。その他の構造は、第1の板状エレメント140と同様である。図中、符号154a、154bは端部が円弧状の閉鎖された出入口、153a、153bは開放された出入口、155a、155b,156a、156bはガイド突起およびガイド段である。また、符号151a、151bは位置決め確認用貫通孔である。
いま、図18(イ)に示す第1の板状エレメント110の上に、図18(ロ)に示す第2の板状エレメント120を重ね合せて密着させると、図21(イ)に示すようなパターンが出来上る。そして、第1、第2の板状エレメント110,120単独では、図18から明らかなように、リブ112、122で区画されるほとんどの流体通路は、出入口114a、114b,124a、124bから行き留まりになっているが、エレメント110と120を重ね合せると、流体通路が交差することによって一端から他端までの流体の流通が可能となる。
即ち、リブ112、122が重なり合っている個所では、リブ112と122の合計厚みがフレーム111と121の合計厚みに等しいから、流体の流通が阻止されるが、リブ112と122のいずれか一方のみしか存在しない個所では、フレーム111と121の合計厚みの半分しかないから空隙が生じ、流体の流通が許容される。従って、このような空隙が出入口114a、124aから出入口114b、124bまで連通するようなパターンを選択すれば、一方の出入口114a、124aから流体を供給すると、他方の出入口114b、124bから排出されることになる。
特に図21に示すパターンの場合、リブ112、122が、流体の流れに対してほぼ直角になる部分が多いため、乱流を生じさせるのに有効である。この場合、図示のように枝分かれした流体流通路のそれぞれのサイズは、非常に小さいが、このようにすれば、高温高圧の超臨界状態の流体が、この流通路に流入した場合にも、圧力が下がらず、超臨界状態を一定程度保つことができるため、熱交換の効率が非常によいものとなる。なお、特に高い熱交換効率が要請される流体の例としては、ヒートポンプに用いる二酸化炭素冷媒が挙げられる。このような枝分かれした流通路の断面形状は、図20(ロ)に示すごとくであるが、流通路は、おおよそ幅dが0.7mm、高さdが0.6mm位のサイズである。
図20に示す板状エレメント140,150は、くの字型リブ142、152で区画される流体通路がエレメント単独では全て行き留まりになっているが、図22に示すように第2の板状エレメント150の上に第1の板状エレメント140を密着して重ね合せると、出入口143a,153aから出入口143b、153bまで流体の連通路が形成され、出入口143a、153aに流体を供給すると、その流体は出入口143b、153bから排出される。
上記のようにして重ね合せた一対の板状エレメントを利用して板状熱交換器を作製する。まず、ガイド片を折り曲げた側板の、これらガイド片をガイドとしながら、図21、図19、図22の順序で側板に板状エレメント110と120、隔離板130、板状エレメント140と150を重ね合せてゆく。そして、最後にガイド片のない側板をガイド片の端面(最上端面)の上に載せる。また、各ガイド片に設けられたポートには、短いパイプ160の一端部を圧入しておく。
このようなアセンブリを形成し、各側板で板状エレメント110、120、140、150及び隔離板130が互に圧着するように強固に挟持し、高温加熱炉中で加熱して拡散接合すると板状熱交換器が得られる。勿論、側板や板状エレメント及び隔離板の接合面にろう材ペーストを塗工しておいて加熱炉に装填し、接合することもできる。
いま、図23のように、板状エレメント110,120により形成される流体流通路に、その出入口114a、124aに圧入されたパイプ160から流体を流入させると、流体流通路の入口付近においては、リブ112,122の端部が、その端部同士を結ぶ想像線が、外側に凸の円弧を描くように形成されているため、図示の矢印のごとく、流体が流通路の隅部にスムーズに流れ込み、流通路全体に満遍なく広がる。その結果、熱交換の効率が非常によいものとなる。
上記側板、板状エレメント、隔離板及びスペーサの材料は、流体の温度に応じた耐熱性を有すればよく、スチール、ステンレススチール、アルミニウム、銅などの金属、セラミックス、合成樹脂などを用いることができる。特に、隔離板は、熱伝導率の良好な材料が好ましく、その点では金属薄膜が好適である。なお、これらの板状体の形状は、図示のほぼ長方形ばかりでなく、楕円形、長円形、多角形など種々選択可能である。また、流体は、2種類以上を供給可能にすることができる。その場合には、流体を供給・排出するポートを付加すればよい。そして、そのポートに対して流体を流通させるべき板状エレメントの出入口を開放し、他の板状エレメントの出入口を閉鎖しておけばよい。さらに、ポートを有するガイド片を両側板に形成することもできる。
熱交換器の側板を示す平面図 図1の熱交換器の板状エレメントを示す平面図 板状エレメントの流体の出入口を示す正面図 板状エレメントの出入口の開口部と側板のガイド片との関係を示す部分拡大平面図 他の板状エレメントを示す平面図 熱交換膜となる隔離板を示す平面図 図2の板状エレメントを重ね合せた状態を示す平面図 図5の板状エレメントを重ね合せた状態を示す平面図 側板のガイド片を起ち上がらせた状態を示す正面図 熱交換器を形成する順序を示す平面図 熱交換器の板状体を積み重ねた状態を示す正面図 熱交換器のポートの一つを示す部分拡大正面図 スペーサを示す平面図 板状エレメントでスペーサを挟み込んだ状態を示す平面図 板状エレメントでスペーサの誘導リブの部分を挟み込んだ状態を示す部分拡大斜視図 熱交換器の板状体を積み重ねた状態を示す正面図 熱交換器の完成平面図 他の熱交換器の板状エレメントを示す平面図 熱交換膜となる隔離板を示す平面図 他の板状エレメントを示す平面図 (イ)は図18の板状エレメントを重ね合せた状態を示す平面図、(ロ)はそのA−A断面図 図20の板状エレメントを重ね合せた状態を示す平面図 入口付近における流体の流通を示す図
符号の説明
10 第1の側板
11 板状体
11a、11b 膨出部
11c、11d 貫通孔
12、13、14、15 ガイド片
12a、13a、14a、15a ポート
12b、13b、14b、15b ハーフカット線
20 第2の側板
21 板状体
21a、21b 膨出部
21c、21d 貫通孔
30 第1の板状エレメント
31 フレーム
31a、31b、31c、31d 切欠き
31e、31f 貫通孔
32 リブ
33 支持板
32a、33a 開放された出入口
34a、35a 閉鎖された出入口
36a、36b、37a、37b、38a、38b、39a、39b ガイド突起
40 第2の板状エレメント
41 フレーム
41a、41b、41c、41d 切欠き
41e、41f 貫通孔
42 リブ
43 支持板
42a、43a 開放された出入口
44a、45a 閉鎖された出入口
46a、46b、47a、47b、48a、48b、49a、49b ガイド突起
50 第1の板状エレメント
51 フレーム
51c、51d 貫通孔
52 リブ
52a、53a 閉鎖された出入口
54a、55a 開放された出入口
56a、56b、57a、57b、58a、58b、59a、59b ガイド突起
60 第2の板状エレメント
61 フレーム
61c、61d 貫通孔
62 リブ
62a、63a 閉鎖された出入口
64a、65a 開放された出入口
66a、66b、67a、67b、68a、68b、69a、69b ガイド突起
70 隔離板
71 板状体
72a、73a、74a、75a 閉鎖された出入口
76a、76b、77a、77b、78a、78b、79a、79b ガイド突起
82、83、84、85 パイプ
90 スペーサ
91 フレーム
91a、91b、91c、91d 誘導リブ
92 開口
96a、96b、97a、97b、98a、98b、99a、99b ガイド突起
100 収集溝
110 第一の板状エレメント
111 フレーム
111a、111b 位置確認用貫通孔
112 リブ
113a、113b 閉鎖された出入口
114a、114b 開放された出入口
115a、115b、116a、116b ガイド突起およびガイド段
120 第二の板状エレメント
121 フレーム
121a、121b 位置確認用貫通孔
122 リブ
123a、123b 閉鎖された出入口
124a、124b 開放された出入口
125a、125b、126a、126b ガイド突起およびガイド段
130 隔離板
131 板状体
131a、131b 位置確認用貫通孔
132a、132b、133a、133b 閉鎖された出入口
134a、134b、135a、135b ガイド突起およびガイド段
140 第一の板状エレメント
141 フレーム
141a、141b 位置確認用貫通孔
142 リブ
143a、143b 開放された出入口
144a、144b 閉鎖された出入口
145a、145b、146a、146b ガイド突起およびガイド段
150 第二の板状エレメント
151 フレーム
151a、151b 位置確認用貫通孔
152 リブ
153a、153b 開放された出入口
154a、154b 閉鎖された出入口
155a、155b、156a、156b ガイド突起およびガイド段
160 パイプ
、A 流体通路
B 行き留まり
C リブの欠除部分
、W フレームの側桁の幅
一対の誘導リブの外面間の距離
流通路の幅
流通路の高さ

Claims (8)

  1. 一対の側板によって、複数の流体がそれぞれ別個に流通可能な流体通路を形成する複数の板状エレメントを重ね合せて気密に挟持した板状熱交換器において、少なくとも一対の板状エレメントの流体通路を区画する多数のリブが流体の流れ方向に対してほぼ直角になる階段状に形成されていることを特徴とする板状熱交換器。
  2. 上記多数のリブが全体としてほぼ波形に配列されている請求項1に記載の板状熱交換器。
  3. 上記少なくとも一対の板状エレメントを重ね合わせることにより形成される、上記多数のリブにより区画された複数の流体通路の各々の高さ(h)および幅(w)が以下の寸法を満足する請求項1または2に記載の板状熱交換器。
    ・ 2mm≦h≦0.8mm、0.2mm≦w≦2.0mm
  4. 上記多数のリブの流体入口側のそれぞれの端部を、前記端部相互を結ぶ想像線が、外側に凸の円弧を描くように形成した請求項1から3のいずれかに記載の板状熱交換器。
  5. 上記リブは周囲を取り囲むフレームによって支持され、このフレームの対向する側桁の内面に流体の流れ方向に延びる液体収集溝が形成された請求項1から4のいずれかに記載の板状熱交換器。
  6. 上記板状エレメントのフレームの側桁の幅よりもスペーサのフレームの側桁の幅を狭くした一対の板状エレメントにスペーサを挟み込むことにより前記収集溝を形成した請求項5に記載の板状熱交換器。
  7. 上記スペーサの対向する側桁間を液体誘導リブで連結した請求項6に記載の板状熱交換器。
  8. 一対の側板の一方にガイド片をほぼ直角に起ち上げ、前記ガイド片に沿って複数の板状エレメントとスペーサ及び流体通路を隔離する隔離板を積み重ね、他方の側板をその上に載置して前記一方の側板と共に前記板状エレメントとスペーサ及び隔離板を互に密着させ、気密に接合する請求項1から7のいずれかに記載の板状熱交換器の製造方法。
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KR20220029349A (ko) * 2020-08-31 2022-03-08 주식회사 경동나비엔 열교환기 조립체 및 이를 구비한 온수기

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