JP2004333064A - 板状熱交換器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】3枚以上重ね合せた板状エレメント10a〜10dの対向する面に、厚さ方向に隔離された流通路11、12を構成する溝を形成し、上記各流通路11、12にそれぞれ流体給排用凹部13a、14a、13b、14b、15a、16a、15b、16bを形成し、重ね合わせた板状エレメントのうち、中間層の板状エレメントのそれぞれの流体給排用凹部に、厚さ方向に貫通する流体給排孔21a、22a、21b、22b、23a、24a、23b、24bを形成し、最外層の板状エレメントに、上記中間層の板状エレメントの各流体給排孔を閉塞する閉塞壁を形成し、重ね合わせた板状エレメントの外周面又は表裏面を切り欠いて、流体給排孔に連通する口金装着部18を形成可能にした。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、流体間の熱交換に用いる厚みの小さい板状熱交換器に関する。
【0002】
【従来の技術】
薄いステンレス板をプレス成形して流体の流路を形成し、隣接するステンレス板間に銅箔を挾み込んでステンレス板を所定枚積み重ね、これを加熱炉に装填し、銅箔を溶融してステンレス板を溶着した熱交換器が知られている。
【0003】
【発明の課題】
上記の熱交換器は、ステンレス板をプレス成形して流路を形成するため、これを積み重ねると全体としての厚みが大きくなり、また、構造上の制約から流体の出入口を厚み方向の前後面に設ける必要があり、口金装着部の口金がさらに厚みを付加する形態になるため、取り付けスペースを増加させる問題がある。
また、口金の装着にも手間がかかるという問題がある。
そこで、この発明の課題は、全体としての厚みをできるだけ小さくし、口金装着部を、外周面又は表裏面に簡単に設けることができる板状熱交換器を提供することである。
【0004】
【課題の解決手段】
上記の課題を解決するため、この発明においては、3枚以上重ね合せた板状エレメントの対向する面に、厚さ方向に隔離された流通路を構成する溝を形成し、上記各流通路にそれぞれ流体給排用凹部を形成し、重ね合わせた板状エレメントのうち、中間層の板状エレメントのそれぞれの流体給排用凹部に、厚さ方向に貫通する流体給排孔を形成し、最外層の板状エレメントに、上記中間層の板状エレメントの各流体給排孔を閉塞する閉塞壁を形成し、重ね合わせた板状エレメントの外周面又は表裏面に、上記流体給排孔に連通する口金装着部を形成できるようにしたのである。
【0005】
重ね合わせた板状エレメントの外周面又は表裏面を、切り欠き、あるいは切り抜くことにより、流体給排孔に連通する口金装着部を簡単に形成することができる。
重ね合わせた板状エレメントの外周面を切り欠く場合、口金の台座を気密状態に挿し入れる切り欠き溝にすると、流体を供給し、また排出する配管に接続する口金の装着作業が容易になる。
そして、重ね合わせた板状エレメントのうち、最外層の板状エレメントの一方を残して、上記切り欠き溝を形成した場合、最外層の板状エレメントの一方が口金の台座を挿し入れる際の当たり面にすることができるので、口金の位置合わせが容易になる。
【0006】
この発明によれば、以上のように、口金装着部を、重ね合わせた板状エレメントの外周面又は表裏面を切り欠き、あるいは切り抜くことにより簡単に設けることができる。
【0007】
板状エレメントの対向するそれぞれの面の溝形状を、不連続のパターンとし、重ね合せた板状エレメントの対向面において不連続のパターンが互いに交差し、交差部分によって連続する流通路を形成するようにしてもよいし、板状エレメントの対向する少なくとも一方の面に形成する溝の形状を、重ね合せた板状エレメントの対向面に形成される流通路の入口側から出口側に向かって連続するパターンにしてもよい。
【0008】
重ね合せた板状エレメントの対向面に形成される溝の形状を、流通路の入口側から出口側に向かって連続するパターンにした場合、流通路を通過する流体が、板状エレメントの板面全体に広がり、熱交換効率が向上するように、溝内に流体を分流する多数の隔壁を設けることが好ましい。
【0009】
この多数の隔壁は、流線形で、流体給排用ポートの入口側から出口側に向かってジグザクに杉綾模様を描くように配置することにより、流体の圧力損失を小さく抑えながら、高い伝熱性を得ることができる。
【0010】
また、前記板状エレメントをステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、鉄などで形成することができ、その厚みは約0.3〜5mm程度が好ましい。
【0011】
【実施の形態】
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
この発明の熱交換器は、表面にエッチングにより形成した溝を有する板状エレメントを、3枚以上重ね合せて構成され、対向する板状エレメント間に、流通路11、12が形成される。
図1〜図4に示す実施形態は、一方の面に、不連続パターンの溝を形成し、他方の面に、連続パターンの溝を形成した板状エレメント10aと板状エレメント10bを交互に重ね合わせた中間層と、片面にのみ溝を形成した、最外層の板状エレメント10cと板状エレメント10dとを組み合わせて、対向する板状エレメント間に、流通路11、12を交互に形成するようにした熱交換器を示している。
【0012】
板状エレメント10bの表面と、これに対向して重ねあわされる板状エレメント10aの裏面には、図2に示すように、鏡像関係になるように、連続するパターンで、溝11a、11bが形成されている。この溝11a、11bは、それぞれ板状体の対称隅に溝11a、11bに連続する流体の給排用凹部13a、14a、13b、14bを形成し、この給排用凹部13a、14a、13b、14bに、それぞれ厚さ方向に貫通する流体給排孔21a、22a、21b、22bを形成している。
【0013】
前記溝11a、11b内には、溝内を通過する流体が、板状エレメント10a、10bの板面全体に広がり、熱交換効率が向上するように、溝内の流体を分流する多数の隔壁17a、17bを設けている。この多数の隔壁17a、17bは、流線形で、溝内を通過する流体に対してジグザクに杉綾模様を描くように配置され、流体の圧力損失を小さく抑えながら、高い伝熱性を得ることができるようにしている。
【0014】
板状エレメント10a、板状エレメント10bの他方の面、即ち、板状エレメント10aの表面と、板状エレメント10bの裏面には、図3に示すように、互いに逆のパターンで、くの字形に曲がる多数の溝12a、12bを一端部から他端部まで等間隔に杉綾模様のように形成している。これらの一つ一つの溝12a、12bの両端は、不連続のパターン形状、即ち、板状体の辺縁まで達しないで、閉じられている。また、溝12a、12bの巾及び深さは均一にしておくのが好ましく、巾は約1.0〜10mm程度、深さは約0.3〜2.5mm程度である。
【0015】
前記板状エレメント10aの表面の対称隅に、それぞれ流体の給排用凹部15a、16aが前記溝12aと同様にエッチング手法により同じ深さで、左右の側方に突出するように形成され、この突出部分に、それぞれ厚さ方向に貫通する流体給排孔23a、24aを形成している。
板状エレメント10bの裏面にも、板状エレメント10aの表面の給排用凹部15a、16aに対応する位置に給排用凹部15b、16bが左右の側方に突出するように形成され、この突出部分に、それぞれ厚さ方向に貫通する流体給排孔23b、24bを形成している。
図1〜図4の例に示す熱交換器は、中間層が、第1の板状エレメント10aと第2の板状エレメント10bを交互に順次重ね合せて形成され、この中間層の両面、即ち、最外層に、片面のみをエッチングして溝12c、12dを形成した第3の板状エレメント10cと第4の板状エレメント10dを重ね合せて構成している。
そして、各板状エレメントを重ね合わせた状態で、中間層の板状エレメント10a、10bに形成した互いに重なる流体給排孔21aと21b、22aと22b、23aと23b、24aと24bに連通する口金装着部を、切り欠き溝25a、25b、26a、25bによって形成している。
口金19は、図4に示すように、矩形の台座20と、この台座20に設けられたノズル21とからなる。上記ノズル21には、流体を供給し、また排出するためのフレキシブルホースが接続される。
最外層の板状エレメント10c、10dのうち、下側の板状エレメント10cには、上記切り欠き溝25a、25b、26a、25bを形成せず、切り欠き溝25a、25b、26a、25bに、台座20を上面側から挿し入れる際に、下側の板状エレメント10cが台座20の当たり面になるようにしている。
上記各板状エレメント10a〜10dは、各板状エレメントの対向する面に、予めニッケルペーストなどのロウ材を塗布し、重ね合せた板状エレメントを加熱炉中に装填してロウ材を溶融させることにより、各板状エレメントを互に接合することができる。
図5〜図10には、口金装着部の位置と形状が異なるこの発明の熱交換器の第2の実施形態を示している。
この第2の実施形態では、図5に示すように、口金装着部18を、対向面に口金19の台座20の両側部を挿し入れる挿入溝を形成した一対の突壁18aと、重ね合わせた突壁18aの上下面を閉塞する、最外層の板状エレメント10c、10dに形成した閉塞板18bとによって形成している。
最外層の板状エレメント10c、10dのうち、上面側の板状エレメント10dに形成した閉塞板18bには、口金19の台座20を上面側から挿入できるように、切り欠き溝18cを形成している。
この切り欠き溝18cは、下面側の板状エレメント10cの閉塞板18bに形成することもできるが、下面側の板状エレメント10cの閉塞板18bに切り欠き溝18cを形成しない方が、口金19の台座20を上面側から挿入する際に、下面側の板状エレメント10cの閉塞板18bを台座20の当たり面として利用することができる。
図9に示すように、各板状エレメントを重ね合わせた状態で、給排用凹部13a、13b、14a、14bがそれぞれ対向する部分には、流通路11のみと連通する流体の給排用ポート13、14が形成されている。また、給排用凹部15a、15b、16a、16bがそれぞれ対向する部分には、流通路12のみと連通する流体の給排用ポート15、16が形成されている。
各板状エレメント10a〜10dの外周部には、接合の際に、上記ロウ材が、外面に流れ出ないように、流出防止溝22を全周に亘って形成している。
上記のように、隣接する第1と第2の板状エレメント10aと10bの対向面に形成された溝12aと12bは、杉綾模様のパターンが逆になっているため、斜格子状に一定間隔で連続的に交差する。従って、対向する溝12aと12bは、板状エレメント10a、10bの一端部から他端部まで連通し、対向面に流通路12が形成される。
一方、板状エレメント10aの裏面の溝11aと、板状エレメント10bの表面の溝11bは、連続パターンであり、対向面に流通路11が形成される。
この流通路11と12は互に隔離され、それぞれの流通路11と12に温度の異なる流体を流通させることによって熱交換が可能となり、熱交換器10が得られる。従って、重ね合せる板状エレメントは、3枚以上であれば何枚でもよい。なお、図10で流通路11と12は交差部での断面を表し、他の部分では図の半分、即ち各溝11a、12a、11b、12bの断面積となる。
ポート13に取り付けた上記口金19のノズル21に流体を供給するホースを接続し、この流体を排出するホースをポート14の口金19のノズル21に接続し、他の流体を供給するホースをポート15の口金19のノズル21に接続し、この流体を排出するホースをポート16の口金19のノズル21に接続すると、一つの流体と他の流体との熱交換回路が形成される。
【0016】
前記ポート13、14、15、16の位置は、前述の凹部13a、14a、15a、16a、13b、14b、15b、16bを形成する位置によって適当に選択することができる。
【0017】
前記第1と第2の板状エレメント10a、10bに設ける溝11a、12a、12b、11bのパターンは、並行円弧模様、縦縞模様(並行直線模様)、斜縞模様(斜線模様)のほか、横縞模様或はこれらの組合せなど任意に選択可能である。勿論板状エレメントの表裏のパターンを別の模様にすることができる。この模様は、エッチング方法によるため、マスクパターンを変更することにより容易に設計変更が可能である。
【0018】
前記板状エレメントの材料は、熱伝導性の良い金属が好ましく、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、アルミニウム合金など、種々選択可能である。また板状エレメントの厚みは、約0.3〜3mm程度が好ましい。板状エレメントの形状は、図示のような長方形のほか、他の多角形、楕円形、長円形などでもよい。
【0019】
上述した熱交換器10は、流体の通路を3分割以上にすることによって、3流体以上の熱交換に適用可能である。また、流体を気体、液体、気液混合体など任意の流体に用いることができ、勿論形態の異なる流体間の熱交換にも用いられる。
【0020】
【発明の効果】
この発明によれば、以上のように、薄い板状体に種々のパターンでエッチングを施した板状エレメントを重ね合せて接合し、これを熱交換器としたので、流体の流通路の設計を自由に変更・選択でき、極めて厚みが小さく、小流量であっても効率のよい熱交換器を形成することができる。
【0021】
また、エッチングによって流体の流通路と同時に給排用ポートを形成することができ、かつ任意の位置にポートを設け、特に熱交換器の側面にポートを形成できるので、取り付けスペースの点で厚みの薄い空間に設置することができる。
【0022】
また、流体を供給し、また排出する配管に接続する口金の装着作業を、板状エレメントの端面または側面に一体に形成した口金装着部に、口金の台座を気密状態に挿し入れることにより、簡単に行える。
【0023】
さらに、3流体以上の熱交換器も簡単に得られるので、適用範囲が拡がる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】口金装着部を形成する前の状態におけるこの発明に係る熱交換器の全体を示す分解斜視図
【図2】第1の板状エレメントの裏面と第2の板状エレメントの表面の重なり状態を示す分解斜視図
【図3】第1の板状エレメントの表面と第2の板状エレメントの裏面の重なり状態を示す分解斜視図
【図4】口金装着部を形成した後の状態におけるこの発明に係る熱交換器の全体を示す斜視図
【図5】この発明に係る熱交換器の他の例を示す全体斜視図
【図6】板状エレメントの重なり状態を示す分解斜視図
【図7】第1の板状エレメントの裏面と第2の板状エレメントの表面の重なり状態を示す分解斜視図
【図8】第1の板状エレメントの表面と第2の板状エレメントの裏面の重なり状態を示す分解斜視図
【図9】口金の装着部分を示す分解斜視図
【図10】図5の熱交換器を示す部分拡大縦断面図
【符号の説明】
10 熱交換器
10a 第1の板状エレメント
10b 第2の板状エレメント
10c 第3の板状エレメント
10d 第4の板状エレメント
11a、11b、12a、12b、12c、12d 溝
11、12 流通路
13、14、15、16 ポート
13a、14a、13b、14b、15a、16a、15b、16b 凹部
18 口金装着部
18a 突壁
18b 閉塞板
18c 切り欠き溝
19 口金
20 台座
21 ノズル
22 流出防止溝
21a、22a、21b、22b、23a、24a、23b、24b 流体給排孔
25a、26a、25b、26b 切り欠き溝
Claims (11)
- 3枚以上重ね合せた板状エレメントの対向する面に、厚さ方向に隔離された流通路を構成する溝を形成し、上記各流通路にそれぞれ流体給排用凹部を形成し、重ね合わせた板状エレメントのうち、中間層の板状エレメントのそれぞれの流体給排用凹部に、厚さ方向に貫通する流体給排孔を形成し、最外層の板状エレメントに、上記中間層の板状エレメントの各流体給排孔を閉塞する閉塞壁を形成し、重ね合わせた板状エレメントの外周面又は表裏面に、上記流体給排孔に連通する口金装着部を形成したことを特徴とする板状熱交換器。
- 上記口金装着部が、重ね合わせた板状エレメントの外周面を切り欠いて形成した、口金の台座を気密状態に挿し入れる切り欠き溝からなる請求項1記載の板状熱交換器。
- 重ね合わせた板状エレメントのうち、最外層の板状エレメントの一方を除いて、上記切り欠き溝を形成している請求項2記載の板状熱交換器。
- 重ね合わせた板状エレメントのうち、最外層の板状エレメントの閉塞壁を切り抜いて上記口金装着部を形成した請求項1記載の板状熱交換器。
- 板状エレメントの対向するそれぞれの面の溝形状を、不連続のパターンとし、重ね合せた板状エレメントの対向面において不連続のパターンが互いに交差し、交差部分によって連続する流通路を形成する請求項1〜4のいずれかに記載の板状熱交換器。
- 板状エレメントの対向する少なくとも一方の面に形成する溝の形状を、重ね合せた板状エレメントの対向面に形成される流通路の入口側から出口側に向かって連続するパターンにした請求項1〜4のいずれかに記載の板状熱交換器。
- 重ね合せた板状エレメントの対向する面に形成した連続するパターンの溝内に、流通路の入口側から出口側に向かって、流通路を通過する流体を分流する多数の隔壁を設けた請求項5に記載の板状熱交換器。
- 前記多数の隔壁が、流線形で、流通路の入口側から出口側に向かってジグザクに杉綾模様を描くように配置している請求項5または6に記載の板状熱交換器。
- 前記板状エレメントがステンレス、アルミニウム、アルミニウム合金、銅、鉄のいずれかより成る請求項1〜7のいずれかに記載の板状熱交換器。
- 前記板状エレメントの厚みが約0.3〜5mmである請求項1〜8のいずれかに記載の板状熱交換器。
- 厚さ方向に隔離された流通路を通過させて熱交換する流体が、気体と液体である請求項1〜9のいずれかに記載の板状熱交換器。
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- 2003-05-09 JP JP2003131920A patent/JP2004333064A/ja active Pending
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