JP2007039348A - 不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸の製造方法 - Google Patents

不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】気相接触酸化反応によって不飽和アルデヒドあるいは不飽和カルボン酸を生産する際に、装置の詰まりを抑制して連続運転を行い、生産性を向上させる。
【解決手段】多管式熱交換型反応器103によって不飽和アルデヒドあるいは不飽和カルボン酸を生産する際に、多管式熱交換型反応器103の出口から冷却塔105に至る連通管115に、重合禁止剤添加器107により重合禁止剤を注入して、ガス中に気体状または固体微粉状により分散させることによって、重合物の発生を抑えて装置の連続安定運転が可能になる。
【選択図】図1

Description

本発明は、不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸の製造方法に関する。
プロピレンからアクロレインを経てアクリル酸を得、さらにこれをエステル化して各種のアクリル酸エステルを得たり、イソブチレンあるいはターシャリブチルアルコールからメタクロレインを経てメタクリル酸を得、さらにこれをエステル化して各種のメタクリル酸エステルを取得したりして、それぞれを用いた有用な製品が工業化されている。これらの製法は一般的な名称として直酸法と呼ばれている。
いわゆる直酸法において、中間成分である不飽和アルデヒド(具体的にはアクロレインまたはメタクロレイン)および不飽和カルボン酸(具体的にはアクリル酸またはメタクリル酸)は、いずれもきわめて重合しやすい成分である。そして、直酸法においては、これらの成分の重合により、有用成分の損失、あるいは成分の重合による目詰まりなどによる装置の停止といった、経済的に大きな影響が生じ得る。そのため、直酸法においては、このような成分の重合現象を低減させることはきわめて重要な課題である。
直酸法における反応生成物は、目的成分であるアクロレインまたはメタクロレインやアクリル酸またはメタクリル酸の他に、各種の有機酸類、ケトン類などを含んでいる。さらに、直酸法における反応生成ガスには、反応器を出た後にも、なお残存する酸素などが含まれている。そのため、これらの成分との反応によっても有用な生成物が消費され得る。
こうした直酸法における重合の原因としては、副生する微量の有機過酸化物が重合の触媒として関与することや、高沸点有機酸が冷却されて固化した冷却器などの表面に、反応で生成したアクロレインまたはメタクロレインあるいはアクリル酸またはメタクリル酸が補足されて重合することも、一因と考えられる。こうした不都合な現象を解決する方法として、いくつかの提案がなされている。
例えば、特許文献1では、ビニル化合物(アクリル酸またはメタクリル酸およびそのエステル)の蒸留において、反応装置、蒸留装置および配管の内部に設けられている熱可塑性樹脂に重合抑制剤を含浸させて、ビニル化合物に接触させる方法が示されている。しかしながらこの方法では、ビニル化合物と重合抑制剤との接触の均一性の面で改善の余地がある。
また、特許文献2では、反応器出口直後の反応生成ガスに不活性ガスおよび/または反応循環ガスを供給混合する方法が示されている。しかしながらこの方法では、その後のガス処理工程の負荷が大きくなるため、経済的な面で改善の余地がある。
また、特許文献3では、アクリル酸またはメタクリル酸および/またはそのエステル類を蒸留する際に、蒸留塔底部と多管式リボイラを接続するパイプおよび多管式リボイラ入り口からその入り口管板にいたるまでの間に、酸素または酸素含有ガスを供給する方法が示されている。しかしながらこの方法では、対象となる重合性物質の状態が液体であるため、重合性物質を含むガスに対して応用することは困難である。
また、特許文献4では、アクリル酸の前駆生成物の気相接触酸化によって得られる、アクリル酸を含有する生成ガス混合物を、急冷液を用いて直接冷却した後に、取り付けた部品を装備し、粗製アクリル酸を分別凝縮し、その際に形成されるアクリル酸オリゴマーを再分解し、返送することが提案されている。さらに、その際に、アルカリ無機塩を使用して水溶液phをアルカリ性に保つことや、ヒドロキシテンポを重合抑制剤として作用させることが提案されている。しかしながらこの方法では、すでに発生したアクリル酸オリゴマーを再分解することを目的としているため、アクリル酸の重合を直接に抑制するわけではない。
また、特許文献5では、プロピレンから接触気相酸化反応によってアクリル酸を得る方法において、吸収塔で混合生成物ガスを水性流れと接触させる工程を持ち、この水性流れが水および少なくとも1つの重合禁止剤を含んでおり、酸素とともに重合禁止剤が使用され、水性流れが3%未満の酢酸を含んでいる方法が示されている。しかしながらこの方法では、重合を防ぐ対策を行う位置が、反応器を出た後の吸収塔であり、その方法も従来から行われてきたと同じように重合禁止剤を水溶液に溶解して混合生成物ガスと接触する方法であり、混合生成物ガスと重合抑制剤との接触の均一性の面で改善の余地がある。
また、特許文献6では、接触気相酸化して得られたアクリル酸またはメタクリル酸および/またはアクロレインまたはメタクロレイン含有ガスを溶剤と向流接触させる吸収塔において、溶剤を含む液体の塔内の流れの上流側に吸収効率の相対的に高い充填物を、その下流側に重合生成能の相対的に低い充填物を設ける、アクリル酸またはメタクリル酸および/またはアクロレインまたはメタクロレインの吸収方法およびその装置が提案されている。しかしながらこの方法では、反応生成ガスそのものに対する重合物の発生を抑えることを目的とするわけではないため、装置内における重合物の発生の抑制の面で改善の余地がある。
また、特許文献7では、芳香族化合物を接触気相酸化して酸無水物を製造する際、第一の多管式反応器をでたあとに、断熱された空間部に活性の低い触媒を充填して収率を良くする方法が提案されている。しかしながらこの方法では、重合抑制を目的とするわけではなく、もっぱら収率改善を目的にしているので、装置内における重合物の発生の抑制の面で改善の余地がある。
特開平11−116819号公報 特開昭64−29334号公報 特開2000−256258号公報 特許公表2002−539104号公報 特許公開2000−103761号公報 特開2001−19655号公報 特開2003−12664号公報
上述のように、プロピレン、イソブチレン、あるいはターシャリブタノール等を気相接触酸化反応によって、対応するアルデヒドを生産する工程や、さらに気相接触酸化反応させてカルボン酸を生産する工程において、これらの生産物を効果的に回収するために種々の方法が提案されているが、いまだに充分に有効な手段が確立されていない。
このため、気相接触酸化反応に使用する高価な触媒の寿命は充分に残っているにもかかわらず、生成物を回収する工程において、重合物の発生による機器装置の詰まりが発生しやすかった。そして、機器装置の詰まりにより、安定した連続運転に支障がでて、洗浄のために停止することを避けることが困難だった。その結果、反応器の運転も停止せざるをえず、外気に触れて触媒の変質を来たすこともあり、結局は触媒の入れ替えが必要になるので経済的損失が発生しやすかった。
一方、重合物の発生に備えて、予備の装置を設置して連続運転を維持すると、設備費用が多額になりやすく、設備の切り替えに際して運転手順が複雑なため、きわめて困難な操作を強いられる場合があった。
そのため、上記の気相接触酸化反応の反応生成物の回収において、こうした現状を改善し、長期に亘って安定した機器装置の連続運転ができる、重合抑制効果の高い技術が強く求められていた。
本発明によれば、プロピレン、イソブチレン、ターシャリブチルアルコール、アクロレインおよびメタクロレインよりなる群の中から選ばれる1種以上の化合物から不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸を製造する方法であって、この化合物を含む原料ガスを気相接触酸化して、この不飽和アルデヒドまたはこの不飽和カルボン酸を含む生成ガスを生成する工程と、この生成ガス中に気体状または固体微粉状の重合禁止剤を含有させる工程と、この重合禁止剤を含むこの生成ガスから、この不飽和アルデヒドまたはこの不飽和カルボン酸を回収する工程と、を含むことを特徴とする不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸の製造方法が提供される。
この方法によれば、生成ガス中に気体状または固体微粉状の重合禁止剤が含有されるため、生成ガス中で重合禁止剤が均一に分布しやすく、気体状または固体微粉状の重合禁止剤が生成ガスに作用するため、生成ガス中における不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸の重合を抑制することができる。
本発明によれば、生成ガス中に気体状または固体微粉状の重合禁止剤が含有されるため、生成ガス中における不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸の重合を抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
<一段階気相接触酸化に用いる装置>
図1は、実施の形態に係る装置の構成を示したプロセスフロー図である。
生成・冷却装置100は、原料ガスを気相接触酸化して生成ガスを生成する多管式熱交換型反応器103を備える。また、生成・冷却装置100は、生成ガス中に気体状または固体微粉状の重合禁止剤を含有させる重合禁止剤添加器107を備える。さらに、生成・冷却装置100は、重合禁止剤を含む生成ガスから、不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸を回収する前に生成ガスを冷却する冷却塔105を備える。なお、冷却塔105にて冷却された生成ガスは、回収部(不図示)で回収される。
多管式熱交換型反応器103の上部には、多管式熱交換型反応器103に反応原料ガスを導入する反応原料ガス導入管113が設けられている。さらに、多管式熱交換型反応器103の下部に設けられている出口および冷却塔105の下部に設けられている入口の間には、これらを連通させる連通管115が設けられている。そして、冷却塔105の上部には、冷却塔105から排気ガスを排出する冷却塔排気ガス排出管129が設けられている。排出された排気ガスは、その後回収部(不図示)にて回収される。
重合禁止剤添加器107および連通管115の間には、これらの間を連通する重合禁止剤注入管117が設けられている。すなわち、重合禁止剤添加器107は、連通管115内の生成ガスに重合禁止剤注入管117を介して重合禁止剤を加えるように構成されている。さらに、重合禁止剤添加器107は、重合禁止剤を、固体、液体および気体よりなる群の中から選ばれる1種以上の状態で生成ガス中に加えるように構成されている。
なお、任意の適当な生成ガスの温度調整方法により、連通管115内の生成ガスの温度は重合禁止剤の沸点または昇華点以上の温度に維持される。そのため、重合禁止剤添加器107は、生成ガスの温度以下の沸点または昇華点を有する重合禁止剤を生成ガス中に加えることができる。
また、冷却塔105の下部には、重合禁止剤を含む生成ガスを冷却する冷却塔底部スプレー123(冷却部)が設けられている。さらに、冷却塔105の下部には、冷却塔105の底部に溜まった凝縮液を抜き出す凝縮液抜出管119、凝縮液抜出管119により抜き出された凝縮液を汲み上げるポンプ109、ポンプ109により汲み上げられた凝縮液を冷却塔底部スプレー123まで還流させる凝縮液還流管121が設けられている。
このようにして、冷却塔底部スプレー123は、凝縮液還流管121から還流してきた凝縮液を冷却塔105の下部にスプレーすることにより、冷却塔105の下部の重合禁止剤を含む生成ガスに接触する面を重合禁止剤の凝縮点または凝固点以下に冷却することができる。
さらに、冷却塔105の上部には、冷却塔上部冷却水導入管127(冷却部)が設けられている。冷却塔上部冷却水導入管127から導入された冷却水は、冷却塔105の上部に充填されている冷却塔充填物125の間を通り、冷却塔105の下部に流下することにより、冷却塔105の上部の重合禁止剤を含む生成ガスに接触する面を重合禁止剤の凝縮点または凝固点以下に冷却することができる。
<二段階気相接触酸化に用いる装置>
図2は、実施の形態に係る装置の別の構成を示したプロセスフロー図である。
生成・冷却装置200は、原料ガスを気相接触酸化してこの生成ガスを生成する多管式熱交換型反応器201および多管式熱交換型反応器203を備える。また、生成・冷却装置200は、生成ガス中に気体状または固体微粉状の重合禁止剤を含有させる重合禁止剤添加器207を備える。さらに、生成・冷却装置200は、重合禁止剤を含む生成ガスから、不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸を回収する前に生成ガスを冷却する冷却塔205を備える。なお、冷却塔205にて冷却された生成ガスは、回収部(不図示)で回収される。
多管式熱交換型反応器201の下部には、多管式熱交換型反応器201に反応原料ガスを導入する反応原料ガス導入管211が設けられている。また、多管式熱交換型反応器203の上部には、多管式熱交換型反応器201から排出される中間ガスを、多管式熱交換型反応器203に導入する連通管213が設けられている。さらに、多管式熱交換型反応器203の下部に設けられている出口および冷却塔205の下部に設けられている入口の間には、これらを連通させる連通管215が設けられている。そして、冷却塔205の上部には、冷却塔205から排気ガスを排出する冷却塔排気ガス排出管229が設けられている。排出された排気ガスは、その後回収部(不図示)にて回収される。
生成・冷却装置200は、このような構成を有しているため、多管式熱交換型反応器201により、原料ガスを第一の触媒により気相接触酸化して、不飽和アルデヒド(アクロレインまたはメタクロレイン)を含有する中間ガスを生成し、中間ガスを第二の触媒により気相接触酸化して、不飽和カルボン酸を含有する生成ガスを生成することができる。
重合禁止剤添加器207および連通管215の間には、これらの間を連通する重合禁止剤注入管217が設けられている。すなわち、重合禁止剤添加器207は、連通管215内の生成ガスに重合禁止剤注入管217を介して重合禁止剤を加えるように構成されている。さらに、重合禁止剤添加器207は、重合禁止剤を、固体、液体および気体よりなる群の中から選ばれる1種以上の状態で生成ガス中に加えるように構成されている。
なお、任意の適当な生成ガスの温度調整方法により、連通管215内の生成ガスの温度は重合禁止剤の沸点または昇華点以上の温度に維持される。そのため、重合禁止剤添加器207は、生成ガスの温度以下の沸点または昇華点を有する重合禁止剤を生成ガス中に加えることができる。
また、冷却塔205の下部には、重合禁止剤を含む生成ガスを冷却する冷却塔底部スプレー223(冷却部)が設けられている。さらに、冷却塔205の下部には、冷却塔205の底部に溜まった凝縮液を抜き出す凝縮液抜出管219、凝縮液抜出管219により抜き出された凝縮液を汲み上げるポンプ209、ポンプ209により汲み上げられた凝縮液を冷却塔底部スプレー223まで還流させる凝縮液還流管221が設けられている。
このようにして、冷却塔底部スプレー223は、凝縮液還流管221から還流してきた凝縮液を冷却塔205の下部にスプレーすることにより、冷却塔205の下部の重合禁止剤を含む生成ガスに接触する面を重合禁止剤の凝縮点または凝固点以下に冷却することができる。
さらに、冷却塔205の上部には、冷却塔上部冷却水導入管227(冷却部)が設けられている。冷却塔上部冷却水導入管227から導入された冷却水は、冷却塔205の上部に充填されている冷却塔充填物225の間を通り、冷却塔205の下部に流下することにより、冷却塔205の上部の重合禁止剤を含む生成ガスに接触する面を重合禁止剤の凝縮点または凝固点以下に冷却することができる。
<直酸法によるアクリル酸の生成反応>
プロピレンの気相接触酸化反応によってアクリル酸を製造するには、まず、上述の生成・冷却装置200において、前の固定床多管式反応器(多管式熱交換型反応器201)に一般的に使用される酸化触媒を使用して、プロピレンからアクロレインを生産する。
例えば、前の固定床多管式反応器に用いる触媒として、一般式Moa−Bib−Fec−Ad―Be―Cf−Dg−Oxからなる組成の触媒を用いることができる(ここで、Moはモリブデン、Biはビスマス、Feは鉄、Oは酸素であり、A,B,C,Dはそれぞれ数種類の元素を含む集団から選ばれ、a,b,c,d,e,f,g,xは元素比を示す)。
次に、上述の生成・冷却装置200において、後の固定床多管式反応器(多管式熱交換型反応器203)に一般的に使用される酸化触媒を使用して、アクリレンからアクリル酸を生産する。
例えば、後の固定床多管式反応器に用いる触媒として、一般式Moa―Vb−Wc−Cud−Ae―Bf−Cg−Oxからなる組成の触媒を用いることができる(ここで、Moはモリブデン、Vはバナジウム、Wはタングステン、Cuは銅、Oは酸素であり、A,B,Cはそれぞれ数種類の元素を含む集団から選ばれ、a,b,c,d,e,f,g,xは元素比を示す)。
気相接触酸化反応条件は、任意の条件で行うことができる。例えば、原料ガスとしては、プロピレン濃度3〜15%、酸素/プロピレン濃度比1〜3になるような空気を主体とするガスを用いることができる。また、原料ガスは、残りの成分として、窒素、水蒸気、その他不活性成分あるいは循環使用される反応ガス成分の中の未反応成分としてのプロパンなどを含むガスであってもよい。
前の固定床多管式反応器の酸化反応においては、反応温度は例えば250〜450℃とすることができ、反応圧力は例えば常圧から5気圧程度で行ってもよい。つづいて、後の固定床多管式反応器の酸化反応においては、必要に応じて不足する酸素を追加供給してもよく、あるいは水蒸気を追加してもよく、例えば温度150〜350℃とすることができ、反応圧力は例えば常圧から5気圧程度で行ってもよい。
<直酸法によるメタクリル酸の生成反応>
一方、ブタン、イソブチレンあるいはターシャリブチルアルコールの気相接触酸化反応によってメタクロレインを製造するには、上述の生成・冷却装置200において、まず、前の固定床多管式反応器(多管式熱交換型反応器201)に一般的に使用される酸化触媒を使用して、ブタン、イソブチレンあるいはターシャリブチルアルコールからメタクロレインを生成する。
例えば、前の固定床多管式反応器に用いる触媒として、一般式、Moa―Wb−Bic−Fed−Ae―Bf−Cg−Dh−Oxからなる組成の触媒を用いることができる(ここで、Moはモリブデン、Wはタングステン、Biはビスマス、Feは鉄、Oは酸素であり、A,B,C,Dはそれぞれ数種類の元素を含む集団から選ばれ、a、b、c、d,e,fg、h、xは元素比を示す)。
次いで、上述の生成・冷却装置200において、後の固定床多管式反応器(多管式熱交換型反応器203)に一般的に使用される酸化触媒を使用して、メタクロレインからメタクリル酸を生産する。
例えば、後の固定床多管式反応器に用いる触媒として、一般式Moa―Vb−Wc−Cud−Ae―Bf−Cg−Oxからなる組成の触媒を用いることができる(ここで、Moはモリブデン、Vはバナジウム、Wはタングステン、Cuは銅、Oは酸素であり、A,B,Cはそれぞれ数種類の元素を含む集団から選ばれ、a,b,c,d,e,f,g,xは元素比を示す)。
気相接触酸化反応条件は、任意の条件で行うことができる。例えば、原料ガスとしては、イソブチレン濃度1〜10%、酸素/イソブチレン濃度比1〜3になるような空気を主体とするガスを用いることができる。また、原料ガスは、残りの成分として、窒素、水蒸気、その他不活性成分あるいは循環使用される反応ガス成分の中の未反応成分としてのブタンなどを含むガスであってもよい。
前の固定床多管式反応器の酸化反応においては、反応温度は例えば250〜450℃とすることができ、反応圧力は例えば常圧から5気圧程度で行ってもよい。つづいて、後の固定床多管式反応器の酸化反応においては、必要に応じて不足する酸素を追加供給してもよく、あるいは水蒸気を追加してもよく、例えば温度150〜350℃とすることができ、反応圧力は例えば常圧から5気圧程度で行ってもよい。
<直メタ法によるメタクリル酸メチルの生成反応>
なお、別の方法としては、上述の生成・冷却装置100において、ブタン、イソブチレンあるいはターシャリブチルアルコールの気相接触酸化反応によってメタクロレインを製造し、次いで回収されたメタクロレインを別の任意の装置を用いてメタノール中液層触媒反応で直接酸化エステル化してメタクリル酸メチルを得る方法もある。
このとき、生成・冷却装置100において、ブタン、イソブチレンあるいはターシャリブチルアルコールの気相接触酸化反応によってメタクロレインを製造するには、固定床多管式反応器(多管式熱交換型反応器103)に、一般的に使用される酸化触媒を使用する。
例えば、固定床多管式反応器に用いる触媒として、一般式、Moa―Wb−Bic−Fed−Ae―Bf−Cg−Dh−Oxからなる組成の触媒を用いることができる(ここで、Moはモリブデン、Wはタングステン、Biはビスマス、Feは鉄、Oは酸素であり、A,B,C,Dはそれぞれ数種類の元素を含む集団から選ばれ、a、b、c、d,e,fg、h、xは元素比を示す)。
固定床多管式反応器の酸化反応においては、反応温度は例えば250〜450℃とすることができ、反応圧力は例えば常圧から5気圧程度で行ってもよい。なお、メタクロレインを酸化エステル化してメタクリル酸メチルを得る場合の条件は、公知の任意の条件を用いることができる。
<重合禁止剤>
本実施形態に用いる重合禁止剤としては、一般的に用いられている重合禁止剤の中から使用条件にふさわしいものが選ばれる。使用条件にふさわしいものとは、気相接触酸化反応器から出てくる混合ガス(生成ガス)に注入する禁止剤が、混合ガス(生成ガス)雰囲気中において気化あるいは昇華するものという意味である。
このように、禁止剤が気化あるいは昇華した状態で生成ガスに作用することにより、禁止剤が均一な状態で生成ガスに作用しやすくなるからである。もっとも、注入する禁止剤が全て気化あるいは昇華する必要はなく、一部の禁止剤は、固体微粉状のままでガス中に存在し、生成ガスに作用してもよい。固体微粉状のままでも、禁止剤が均一な状態で生成ガスに作用しやすい点では気体の場合と同様であるからである。
本実施形態に用いる重合禁止剤は、具体的には、次の中から1種あるいは2種以上の組み合わせで選ばれる。ピペリジン化合物として、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1,4−ジヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等から適宜選択する。ニトロソ化合物として、ニトロソフェノール、Nーニトロソジフェニルアミン、亜硝酸イソアミル、N−ニトロソーシクロヘキシルヒドロキシルアミン、N−ニトロソ−N―フェニルヒドロキシルアミン等から適宜選択する。N−オキシル化合物として、2,2,4,4−テトラメチルアゼチジン−1−オキシル、2,2−ジメチル−4,4―ジプロピルアゼチジンー1−オキシル、2,2,5,5−テトラメチルピロリジンー1−オキシル、2,2,5,5−テトラメチル−3−オキソピロリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−アセトキシピペリジン−1−オキシル、2,2,6,6−テトラメチル−4−ベンゾイルオキシピペリジン−1−オキシル等から適宜選択する。フェノール化合物として、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、tert−ブチルハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、tert−ブチルカテコール等から適宜選択する。アミン化合物として、NーイソプロピルーN’−フェニル−パラ−フェニレンジアミン、N−(1,3―ジメチルブチル)―N’―フェニル−パラ−フェニレンジアミン、N,N’−ジフェニル−パラ−フェニレンジアミン、チオジフェニルアミン、フェノチアジン等から適宜選択する。テトラアルキルチウムジスルフィド類として、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラプロピルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等から適宜選択する。その他、メチレンブルーも使用できる。これらの重合禁止剤は、1種類のみでもあるいは相乗効果を発揮させる組み合わせも使用できる。
禁止剤の使用量は、反応生成ガス中に含まれる不飽和アルデヒド類あるいは不飽和カルボン酸100部に対して、好ましくは0.0001〜1部、さらに好ましくは0.001〜1部、最も好ましくは0.01〜1部である。重合禁止剤の使用量が上記の下限以上であると重合抑制効果が向上する。一方、重合禁止剤の使用量が上記の上限以下であると経済的な負担が軽減する。
重合禁止剤の添加方法としては、上述したように反応生成ガスに均一に分散させることができる方法であれば特に限定しない。なお、重合禁止剤によっては、使用条件においてクペロンのようにそれ自身が分解してしまう場合もあるが、そのまま効果は維持されるので、重合禁止剤の一部は分解してもよい。
上述のように混合ガス中に重合禁止剤を含ませる方法として、いくつかの手段がある。例えば、細かい粉末にして不活性ガスを用いて直接混合ガス中に吹き込むこともできる。この場合は、重合禁止剤は、微細な粉末のまま、あるいは直ちに気化して混合ガス中に均一に分散される。
あるいは、重合禁止剤を適当な溶剤に溶かしておいて混合ガス中に噴霧することもできる。この場合は、溶剤が蒸発した後、重合禁止剤も気化あるいは析出・粉体化して均一に分散される。なお、重合禁止剤を添加する際に、やむを得ず溶剤を使用する場合は、プロセスや製品品質に影響を与えない適当な溶剤を用いるとよい。溶剤選定の場合に留意すべき事柄は、高温・酸素雰囲気において安定なこと、溶解している重合禁止剤を注入する雰囲気において容易に重合禁止剤の気化・昇華できる沸点であること、プロセスあるいは製品の品質に悪影響を与えにくい事等である。すなわち、この場合に用いる溶剤としては、不活性で工程に支障の無いものが良い。例えば水である。また、不飽和アルデヒドや不飽和カルボン酸を含んだプロセス液体に溶解させることもできる。また、これらの生産物を回収する際に抽出剤を使用する場合は、その抽出剤を溶剤として用いることもできる。
また、禁止剤によっては、重合抑制効果は高いにもかかわらず水に不溶なものも多い。このような場合には、最も好ましい方法は、微細な粉末にして、不活性ガスを利用して反応生成ガス中に直接噴射することである。この際の粉体の大きさは、10ミクロン以下、さらに好ましくは1ミクロン以下である。
重合禁止剤の注入場所としては、固定床多管式反応器の出口近辺から急冷吸収塔(冷却塔)の下部空間部の間から選ぶことができるが、反応器出口に近いほうが、重合の抑制効果が大きい。また、注入個所の数は複数に分割することも可能である。特に配管の曲がり部分や、測定器の取り付け部分のようなガスの滞留が起こりやすい個所から注入すると有利である。
このようにして均一に分散した重合禁止剤を含んだ混合ガス(生成ガス)は、急冷・吸収設備(冷却塔)に入る。急冷・吸収設備においては、一般的に高温ガスを冷却するために外部冷却器を設けて循環水をスプレーする。そのあと、適当な吸収剤(冷却塔充填物)を用いて有効成分を吸収することが行われる。
<作用効果>
以下、本実施形態の装置または方法の作用効果について説明する。
本実施形態によれば、生成ガス中に気体状または固体微粉状の重合禁止剤が含有されるため、生成ガス中で重合禁止剤が均一に分布しやすく、生成ガス中における不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸の重合を抑制することができる。そのため、冷却部または回収部において、重合物の発生による詰まりを抑制することができ、長期に亘って安定して装置を運転することが可能になる。したがって、本実施形態によれば、不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸の生産性が改善できる。
一方、上述のように、従来公知の製造方法では、気相接触酸化反応で製造されるアクロレイン、アクリル酸、メタクロレイン、メタクリル酸はいずれも非常に重合しやすい性質を持っている。さらに、反応終了直後の温度は150〜450℃と高く、酸素も共存している。このため、過酸化物が生成して重合を促進させたり、高沸点有機酸あるいは高沸点有機物が生成し工程内部で固化して付着が起きたりしやすい。その結果、固化して付着した高沸点物は装置を詰めてしまいやすく、またその表面にアクロレインなどが接触すると過酸化物の作用もあって重合が起こり、装置の詰まりが加速されやすい。さらに、副生する高沸点物の量に比べて、アクロレイン等の重合しやすい成分の量は圧倒的に多いので、重合物の抑制が安定運転にとっては最大の課題であった。
しかしながら、こうした状態において、本発明者は、重合物の発生を低減して長期に安定した運転を継続するために、気相接触酸化反応を終えた混合ガス中に、気体状または固体微粉状の重合禁止剤を含ませれば、生成ガス中で重合禁止剤が均一に分布しやすくなり、重合物の発生による設備の詰まりを低減できることを見出した。よって、本実施形態によれば、不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸の生産性が改善できる。
一方、従来公知の製造方法では、回収部の手前に設けられている冷却器の循環水中に重合禁止剤を含ませてスプレーなどを行っていたが、どうしてもスプレー液の届かない場所が生じてそこが起点になって重合が始まりやすかった。
しかしながら、本実施形態によれば、生成ガス中に、重合禁止剤を、生成ガスの温度が重合禁止剤の沸点または昇華点以上である状態で加えるため、重合禁止剤が生成ガス中において容易に気化または昇華し、生成ガス中で重合禁止剤が均一に分布しやすい。そのため、本実施形態によれば、混合ガスの中に均一に分散している重合禁止剤の存在によって、装置のいたるところで満遍なく重合物の発生を抑制することができる。よって、重合禁止剤による不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸の重合の抑制効果が向上する。
また、本実施形態によれば、生成ガス中に、重合禁止剤を、固体、液体および気体よりなる群の中から選ばれる1種以上の状態で加えることができるため、重合禁止剤の種類に応じて、適当な方式で重合禁止剤を生成ガス中に添加することができる。このため、幅広い種類の重合禁止剤を用いることができ、不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸の製造プロセスのプロセス設計および装置設計の自由度を向上できる。
また、本実施形態によれば、冷却器を用いて重合禁止剤を含む前記生成ガスを冷却する際に、冷却器のうち重合禁止剤を含む生成ガスに接触する面を、重合禁止剤の凝縮点または凝固点以下に冷却するため、重合禁止剤が冷却器の表面において満遍なく凝縮しやすい。このため、冷却器表面に満遍なく分布する重合禁止剤の存在により、冷却器表面に不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸が接触または付着しても、不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸の重合が抑制される。
一方、従来公知の方法では、反応後の高温度のガスを冷却して熱回収を行うために、回収器とは別に冷却器を備えることも多い。この場合には、冷却器表面に高沸点有機酸あるいは高沸点有機物の凝固がおきてその表面に重合物の成長が見られることが多い。そのため、このような急冷設備(冷却器)においては、しばしば重合物と高沸点有機酸あるいは高沸点有機物との塊による詰まりが発生する。つまり、このプロセスにおける重合物の発生は、主に急冷部分における塔の壁面あるいは装置の表面で生じる。例えば、塔内壁面、その中でも液面との境目付近、循環水スプレーのノズル周辺、反応ガス入り口ノズル周辺、塔内装置表面(トレイ、ガスライザー、ガス液分散器、測定器類等)において重合物が発生しやすい。
しかしながら、本実施形態によれば、急冷設備(冷却器)の壁面温度は重合禁止剤の凝固あるいは液化温度よりも低いので、高沸点有機酸あるいは高沸点有機物の塊と一緒に固体化あるいは液体化する。あるいは、高沸点有機酸や高沸点有機物と関係なく機器表面で固体化する。この禁止剤の固体化あるいは液体化によって、例えば、アクロレイン等の重合しやすい成分の凝縮が機器表面とか有機酸固形物表面で生じても、固体化あるいは液体化した禁止剤の効果で重合が抑制できる。そのため、回収器とは別に冷却器が設けられている場合でも、本実施形態にしたがえば、冷却器表面に高沸点有機酸あるいは高沸点有機物の凝固がおきても禁止剤が同時に凝固物表面に存在するので、重合物の発生は抑えることができる。
また、本実施形態では、気相接触酸化反応器(反応部)の出口および冷却塔(冷却部)の入口を連通させる連通部をさらに備えており、重合禁止剤添加器(添加部)は、連通部内の生成ガスに重合禁止剤を加えるように構成されている。さらには、重合禁止剤添加器(添加部)は、連通部のうち反応部の出口の近傍に設けられているため、重合禁止剤の投入時点で生成ガスの温度が低下しにくく、生成ガスの温度が重合禁止剤の沸点または昇華点以上の状態で重合禁止剤を投入することが容易である。また、重合禁止剤添加器が連通部のうち反応部の出口の近傍に設けられているため、重合禁止剤が生成ガス中で気化または昇華して均一に分布するための時間を確保しやすく、重合禁止剤と生成ガスとの接触時間を長時間確保しやすい利点もある。よって、この構成によれば、重合禁止剤による不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸の重合の抑制効果が向上する。
また、本実施形態の技術分野は、特許文献1の技術分野とは、重合抑制剤を使用する環境が大きく異なっている。すなわち、本実施形態では、重合抑制剤を熱可塑性樹脂に含浸させることはしない点で異なっている。また、本実施形態では、重合抑制剤を作用させる雰囲気が接触気相酸化反応ガスであり、数多くの成分を含んでおり、その中には重合起因物も多数含まれている点でも異なっている。
また、本実施形態の技術分野は、特許文献3の技術分野とも、重合抑制剤を使用する環境が大きく異なっている。たとえば、本実施形態では、特許文献3の場合とは、温度条件が著しく異なっていて、本発明の条件ははるかに高温度であり、さらに対象になる重合性物質の状態が液体と気体という相違がある。よって、本実施形態の技術分野には、特許文献3の技術をそのまま適用することが困難である。
本実施形態を再度まとめると、本発明者は、上述の課題を解決するために鋭意研究した結果、(1)プロピレン、イソブチレン、ターシャリブチルアルコールおよび(メタ)アクロレインのうち少なくとも1種を含む原料を気相接触酸化して得られる不飽和アルデヒドあるいは不飽和カルボン酸含有ガスから、不飽和アルデヒドあるいは不飽和カルボン酸を取得する方法において、該不飽和アルデヒドあるいは不飽和カルボン酸含有ガスに重合禁止剤を含ませること、(2)不飽和アルデヒドあるいは不飽和カルボン酸含有ガスの温度が、重合禁止剤を気中に存在させるに十分な温度であること、(3)重合禁止剤がピペリジン化合物、ニトロソ化合物、N−オキシル化合物、フェノール化合物、アミン化合物、テトラアルキルチウラムジスルフィド類よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であること、(4)不飽和アルデヒドあるいは不飽和カルボン酸含有ガス中に存在する重合禁止剤が、固体であることあるいは気体であること、および/あるいはそれ自身の分解生成物を含む重合禁止剤であること、(5)不飽和アルデヒドあるいは不飽和カルボン酸含有ガスから不飽和アルデヒドあるいは不飽和カルボン酸を直接あるいは間接的に冷却してガス中あるいは液中に回収する際に、冷却操作を行う装置のガス相壁面温度を重合抑制剤の固化あるいは液化温度以下に保つことによって上述の課題を解決できることを見出し本実施形態の完成に至った。
すなわち、本実施形態によれば、上述の通り、気相接触酸化反応によって原料ガスから不飽和アルデヒド、不飽和カルボン酸を生産し、ついで対応する(メタ)アクリル酸あるいはエステルを生産する際に、気相接触酸化反応生産物による重合の発生を抑えて装置の詰まりを低減して長期に安定した生産を行い、生産性の向上を図ることができる。したがって、本実施形態によれば、有用な生産物である不飽和カルボン酸およびそのエステル類の生産性を高めることができ、運転の連続性が確保しやすいので装置の解体点検作業を低減でき、労働安全性も格段に向上する。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
例えば、上記の実施形態では、一段階の気相接触酸化および二段階の気相接触酸化について説明したが、三段階以上の気相接触酸化を行う化学反応プラントにおいても、得られる生成ガスが、不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸を含んでいれば、同様の作用効果を得ることができる。
以下に実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
上記の実施形態で説明した触媒を用いて、同じく上記の実施形態で説明した生成・冷却装置100と同様の反応設備を用いて反応を行った。
反応器のジャケットには熱媒を流して温度調整を行った。反応器出口に重合禁止剤の注入管を設けた。反応器出口から冷却塔入り口までの接続配管はジャケットを設けて250℃に保つようにした。
さらに反応ガスを冷却するために、直径100mm、高さ1mのステンレス製配管を冷却塔に使用した。冷却塔の上部下部に圧力計を取り付けた。冷却塔の下部には、凝縮液抜き出し用と循環用にポンプおよびスプレーを取り付けた。冷却塔の上部には、反応器圧力を0.2MPGに保つバルブおよび冷却液入り口を設け、排ガスは処理装置に送れるように接続した。
ジャケット部の熱媒温度を320℃で、イソブチレン4.5%、酸素8.4%、水蒸気4.2%および窒素82.9%の混合ガスを、290℃に加熱して反応器に空間速度900hr-1(7.1m3/hr=10.33nm3/hr)で導入した。反応開始に先立って、反応器出口から冷却塔入り口の配管にはジャケットに熱媒を流し、重合禁止剤として4−ヒドロキシ−2,2,6,6テトラメチルピペリジン−1オキシルの5%水溶液を反応器出口の注入管から毎時31.5grスプレーした。
さらに、冷却塔の上部からは水を注入し、塔底部にたまった水はポンプで循環しながら冷却器を通して塔の下部スプレーに送りながら反応ガスの受け入れを行った。この間、冷却塔下部壁面の温度は80℃以下になるように制御しながら外部から冷却した。
反応を開始して100時間後採取した反応ガス中のメタクロレイン収率は86%であった。4000時間経過しても圧力計の上昇は認められなかった。また、底部からの抜き出し液の色は、わずかに黒味を帯びていたが固形物はほとんど認められなかった。
点検のため停止して、反応管出口配管から冷却塔までを解体検査した結果、配管内には重合物は見当たらなかった。冷却塔下部スプレーにはわずかに高沸点有機物の固形物が付着していたほかは、重合物は見当たらなかった。
<実施例2>
重合禁止剤として、4−ヒドロキシ−2,2,6,6テトラメチルピペリジン−1オキシルの5%水溶液の代わりに、ハイドロキノンを1ミクロンに微細化して毎時16.5gr、1MPの窒素で噴射すること以外は実施例1と同じ条件で反応を行った。その結果、実施例1と同様に重合物の付着は見当たらなかった。
<実施例3>
重合禁止剤として、4−ヒドロキシ−2,2,6,6テトラメチルピペリジン−1オキシルの5%水溶液の代わりに、フェノチアジンをメタノールに5%溶解して、毎時31grスプレーした以外は実施例1と同じ条件で反応を行った。その結果、実施例1と同様に重合物の付着は見当たらなかった。
<実施例4>
重合禁止剤として、4−ヒドロキシ−2,2,6,6テトラメチルピペリジン−1オキシルの5%水溶液の代わりに、p−ニトロソフェノールをエチルアルコールに5%溶解して、毎時3grをスプレーした以外は、実施例1と同じ条件で反応を行った。その結果、実施例1同様に重合物の付着は見当たらなかった。
<実施例5>
重合禁止剤として、4−ヒドロキシ−2,2,6,6テトラメチルピペリジン−1オキシルの5%水溶液の代わりに、4−ヒドロキシ2,2,6,6テトラメチルピペリジンを、冷却塔底部抜き出し液に5%溶解して、毎時1grをスプレーした以外は実施例1と同じ条件で反応を行った。その結果、実施例1と同様に重合物の付着は見当たらなかった。
<実施例6>
触媒として、プロピレンの気相接触酸化反応に通常用いるものを使用して、イソブチレンの代わりにプロピレンを用いた他は、実施例1と同様の条件で反応を行った。その結果、4000時間経過しても圧力の上昇は認められなかった。
点検のため解体して検査した結果は、反応器出口から冷却器入り口までの配管には重合物の付着物は見当たらなかった。
<比較例1>
実施例1において、重合禁止剤の使用を止めたこと以外は同じ条件で反応を行った。
その結果、10時間経過後に底部抜き出し液が灰色に濁り、100時間経過後には底部圧力と上部圧力の差圧が上昇し、200時間後には充填物のフラッディングが発生したので運転を取りやめた。
解体点検した結果は、反応器出口から冷却器入り口の配管の全域に渡って白っぽい重合物と黒っぽい固形物の入り混じった固体が付着していた。冷却塔下部のスプレーノズルの上部にも黒い固形物が付着していた。白っぽい固形物を調べたところ、メタクロレイン、メタクリル酸の重合物が認められた。黒っぽい固形物は、高沸点有機酸の結晶が認められた。
<比較例2>
実施例1において、重合禁止剤の使用を止めて、代わりに冷却塔上部からハイドロキノン5%水溶液を毎時31grで供給したこと以外は同じ条件で反応を行った。
その結果、50時間経過後に底部抜き出し液が灰色に濁り、200時間経過後には底部圧力と上部圧力の差圧が上昇し、500時間経過後には充填物のフラッディングが発生したので運転を取りやめた。
解体点検した結果は、反応器出口から冷却器入り口の配管の全域に渡って白っぽい重合物と黒っぽい固形物の入り混じった固体が厚く付着していた。冷却塔下部のスプレーノズルの上部にも黒い固形物が付着していた。
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。この実施例はあくまで例示であり、種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
本発明によれば、上述の通り、気相接触酸化反応によって原料ガスから不飽和アルデヒド、不飽和カルボン酸を生産する際に、気相接触酸化反応生産物による重合の発生を抑えて装置の詰まりを低減して長期に安定した生産を行い、生産性の向上を図ることができる。したがって、本実施形態によれば、有用な生産物である不飽和カルボン酸およびそのエステル類の生産性を高めることができ、運転の連続性が確保しやすいので装置の解体点検作業を低減でき、労働安全性も格段に向上する。
実施の形態に係る装置の構成を示したプロセスフロー図である。 実施の形態に係る装置の別の構成を示したプロセスフロー図である。
符号の説明
100 生成・冷却装置
103 多管式熱交換型反応器
105 冷却塔
107 重合禁止剤添加器
109 ポンプ
113 反応原料ガス導入管
115 連通管
117 重合禁止剤注入管
119 凝縮液抜出管
121 凝縮液還流管
123 冷却塔底部スプレー
125 冷却塔充填物
127 冷却塔上部冷却水導入管
129 冷却塔排気ガス排出管
131 凝縮液
200 生成・冷却装置
201 多管式熱交換型反応器
203 多管式熱交換型反応器
205 冷却塔
207 重合禁止剤添加器
209 ポンプ
211 反応原料ガス導入管
213 連通管
215 連通管
217 重合禁止剤注入管
219 凝縮液抜出管
221 凝縮液還流管
223 冷却塔底部スプレー
225 冷却塔充填物
227 冷却塔上部冷却水導入管
229 冷却塔排気ガス排出管

Claims (8)

  1. プロピレン、イソブチレン、ターシャリブチルアルコール、アクロレインおよびメタクロレインよりなる群の中から選ばれる1種以上の化合物から不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸を製造する方法であって、
    前記化合物を含む原料ガスを気相接触酸化して、前記不飽和アルデヒドまたは前記不飽和カルボン酸を含む生成ガスを生成する工程と、
    前記生成ガス中に気体状または固体微粉状の重合禁止剤を含有させる工程と、
    前記重合禁止剤を含む前記生成ガスから、前記不飽和アルデヒドまたは前記不飽和カルボン酸を回収する工程と、
    を含む
    ことを特徴とする不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸の製造方法。
  2. 請求項1記載の不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸の製造方法において、
    前記生成ガス中に重合禁止剤を含有させる工程は、
    前記生成ガス中に、前記重合禁止剤を、前記生成ガスの温度が前記重合禁止剤の沸点または昇華点以上である状態で加える工程を含む
    ことを特徴とする不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸の製造方法。
  3. 請求項1または2記載の不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸の製造方法において、
    前記生成ガス中に重合禁止剤を含有させる工程は、
    前記生成ガス中において、前記重合禁止剤を気化または昇華する工程を含む
    ことを特徴とする不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸の製造方法。
  4. 請求項1乃至3いずれかに記載の不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸の製造方法において、
    前記生成ガス中に重合禁止剤を含有させる工程は、
    前記生成ガス中に、前記重合禁止剤を、固体微粉、液体および気体よりなる群の中から選ばれる1種以上の状態で加える工程を含む
    ことを特徴とする不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸の製造方法。
  5. 請求項1乃至4いずれかに記載の不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸の製造方法において、
    前記回収する工程の前に、冷却器を用いて前記重合禁止剤を含む前記生成ガスを冷却する工程をさらに含み、
    前記冷却する工程は、
    前記冷却器のうち前記重合禁止剤を含む前記生成ガスに接触する面を、前記重合禁止剤の凝縮点または凝固点以下に冷却する工程を含む
    ことを特徴とする不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸の製造方法。
  6. 請求項1乃至5記載の不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸の製造方法において、
    前記重合禁止剤は、
    ピペリジン化合物、ニトロソ化合物、N−オキシル化合物、フェノール化合物、アミン化合物およびテトラアルキルチウムジスルフィド類よりなる群の中から選ばれる1種以上の化合物である
    ことを特徴とする不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸の製造方法。
  7. 請求項1乃至6いずれかに記載の不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸の製造方法において、
    前記生成ガスは、
    アクロレイン、メタクロレイン、アクリル酸およびメタクリル酸よりなる群の中から選ばれる1種以上の化合物を含有する
    ことを特徴とする不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸の製造方法。
  8. 請求項7記載の不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸の製造方法において、
    前記生成ガスを生成する工程は、
    プロピレン、イソブチレンおよびターシャリブチルアルコールよりなる群から選ばれる1種以上の化合物を含む前記原料ガスを第一の触媒により気相接触酸化して、アクロレインまたはメタクロレインを含有する中間ガスを生成する工程と、
    前記中間ガスを第二の触媒により気相接触酸化して、アクリル酸またはメタクリル酸を含有する前記生成ガスを生成する工程と、
    を含むことを特徴とする不飽和アルデヒドまたは不飽和カルボン酸の製造方法。


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