JP2007037635A - 歯周組織再生用ゲル化組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 歯周病などの歯科疾患により崩壊した組織の修復を可能とするだけでなく、抜歯以外の治療がないような症例に対し歯の機能を回復させることを可能とする歯周組織再生用ゲル化組成物及びその製造方法を提供すること。
【解決手段】 細胞を、薬剤的に許容される生体吸収性ゲル化材料に懸濁することによって得られる、細胞を含有する歯周組織再生用ゲル化組成物。
【選択図】 なし

Description

本発明は、歯科疾患の治療または予防のために使用することができる細胞を含有する歯周組織再生用ゲル化組成物、及びその製造方法に関する。
現代社会は高齢化社会であり、数年後には日本国民人口の約20%が65歳以上の高齢化社会になることが予想されている。これらの高齢者の大多数は、何らかの理由により一部または全部の歯牙を喪失しており、多くの人は可綴式義歯(入れ歯)を使用している。従来の義歯は、着脱が必要で装着間も良くないなど実際的問題のみならず、心理的にも老化の象徴といった印象があり、できれば義歯の使用を避けたいというのが患者の一般的な認識である。さらに、すべての歯牙を喪失した場合に、総義歯を装着すると、その咀嚼能力が通常の天然歯牙の5分の1になることが知られている。多くの高齢者にとって楽しみの一つである食事が歯の喪失のために苦痛となる場合も少なくない。さらに、脳に対する咀嚼の刺激は痴呆防止の効果があり、咀嚼力の低下は痴呆の促進になることが明らかになってきている。
これに対して、近年、人工歯根が開発され臨床に応用されている。人工歯根の応用により義歯が固定され、維持が良くなり、咀嚼力も改善される。しかし、審美性、装着感に関して未だ満足いくものではない。また、手術が必要なこと、一定量の骨が必要であり、全身状態によっても制限されること、さらに多額の費用がかかり、信頼できる医療機関も限られることなどの理由から、未だインプラント義歯は広く普及しているとは言えない。その結果、義歯に不満を感じている患者が少なくないにもかかわらず、インプラント義歯の使用者は義歯使用者のうち極わずかである。
一方、歯牙の再移植術の報告はあるが、移植できる健康な歯牙を確保するのが困難であるため、歯牙の喪失に対する一般的な治療にはなっていない。義歯に不満を感じながらインプラントに踏み込めないか、あるいは条件的にインプラント治療や、歯牙の再移植治療が困難な多数の患者が存在している。
現在までに、歯科に関する再生の研究は、歯周組織の再生に注目が置かれ、骨の再生、歯根膜の再生を中心に研究されてきた。これらの研究の成果として、GTR法(Guided tissue regeneration 法)が開発された。GTR法とは、例えばミリポアフィルター(MILLIPORE FILTER ミリポア社商品名)などの膜によって、歯根面への上皮細胞等の侵入を抑制し、歯根膜細胞の増殖に必要な空間を形成させる方法である。GTR法は、歯周病に羅患した歯牙周囲に歯槽骨と歯根膜を再生させることを目的とするものであり、軽症例では大きな成果を挙げている。また、近年、歯根膜再生を可能にするタンパク質が開発され、実用化されている。しかしながら、両方法とも歯牙喪失の原因となる高度の歯槽骨吸収には応用できず、またう蝕による歯牙の崩壊を修復できない。
また、特許文献1には歯周病治療に用いられる細胞移植治療材料において、歯小嚢組織または歯根膜組織から採取された歯周組織幹細胞を含むことを特徴とする細胞移植治療材料を用いて、細胞崩壊を伴う歯周病に対して歯周組織の修復を行うことが記載されている。特許文献1では、採取した歯周組織幹細胞にβ‐TCP(β‐リン酸三カルシウムセラミックス)を加えて培養することによって、細胞移植治療材料を作製している。しかしながら、実際に使用されている歯周組織幹細胞は、遺伝子導入により不死化された細胞であるため、人体に移植して再生医療に使用するには安全性の面で問題があった。
また、非特許文献1には、骨髄間葉系幹細胞の移植によって口腔組織の再生を促進することが記載されている。非特許文献1に記載の方法は、アテロコラーゲンに培養した間葉系幹細胞を混合し、患部に移植後、歯周組織の修復を行うことが記載されている。自己の組織を使っているが、材料が豚由来である。また、移植の結果、骨、歯根膜が形成されたと記載されているが、その形成量は少なく歯根膜は一部であった。
また、非特許文献2には、間葉系幹細胞を骨になる細胞に性質を変化させるように誘導してから、PRPと呼ばれる材料とともに、顎骨に作製した欠損部に移植することが記載されている。経時的にサンプルを取り出して組織学的に評価を行った結果では、骨の形成は確認できているが、歯根膜の形成は確認されていない。
特開2004−497号公報 J Periodontol. 2004 Sep;75(9):1281-7, Enhancement of periodontal tissue regeneration by transplantation of bone marrow mesenchymal stem cells.Kawaguchi H, Hirachi A, Hasegawa N, Iwata T, Hamaguchi H, Shiba H, Takata T, Kato Y, Kurihara H. J Biomed Mater Res A. 2005 Apr 1;73A(1):63-72, Osteogenic potential of injectable tissue-engineered bone: a comparison among autogenous bone, bone substitute (Bio-oss), platelet-rich plasma, and tissue-engineered bone with respect to their mechanical properties and histological findings. Ito K, Yamada Y, Nagasaka T, Baba S, Ueda M.
本発明は、歯周病などの歯科疾患により崩壊した組織の修復を可能とするだけでなく、抜歯以外の治療がないような症例に対し歯の機能を回復させることを可能とする歯周組織再生用ゲル化組成物及びその製造方法を提供することを解決すべき課題とした。特に本発明は、人体に移植して再生医療のために安全に使用することができる歯周組織再生用ゲル化組成物、及びその製造方法を提供することを解決すべき課題とした。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、口腔内から採取した組織から得られた細胞と生体吸収性ゲル化材料とを混合して得られる細胞含有組成物を歯周組織の欠損部に注入もしくは抜歯した歯の表面に塗布することにより歯周組織、特に歯根膜を形成できることを見出し、本発明を完成するに到った。
即ち、本発明によれば、細胞を、薬剤的に許容される生体吸収性ゲル化材料に懸濁することによって得られる、細胞を含有する歯周組織再生用ゲル化組成物が提供される。
本発明の別の態様によれば、細胞を、薬剤的に許容される生体吸収性ゲル化材料を形成できる材料に懸濁し、次いで、得られた混合物を用いて生体吸収性ゲル化材料を形成することによって得られる、細胞を含有する歯周組織再生用ゲル化組成物が提供される。
好ましくは、細胞は口腔内細胞である。
好ましくは、自己血清培地又は無血清培地により培養した口腔内細胞を用いる。
好ましくは、本発明の歯周組織再生用ゲル化組成物は、歯周欠損または抜歯した歯の周囲に注入または塗布し、長期にわたり被験者の歯の機能を維持するために使用される。
好ましくは、生体吸収性ゲル化材料はフィブリンである。
好ましくは、トロンビンとフィブリノゲンを混合することによってフィブリンが形成される。
好ましくは、フィブリンとして、被験者と同種のフィブリン又は自己血由来のフィブリンを使用する。
好ましくは、被験者と同種の血漿又は自己血漿を用いてフィブリンを形成する。
本発明の別の態様によれば、口腔内組織から口腔内細胞を採取する工程、及び採取した口腔内細胞を培養する工程、及び培養した細胞と、薬剤的に許容される生体吸収性ゲル化材料又は薬剤的に許容される生体吸収性ゲル化材料を形成できる材料とを混合する工程を含む、上記した本発明の歯周組織再生用ゲル化組成物の製造方法が提供される。
本発明によれば、組織崩壊を伴う歯周病や抜歯しなければならない歯科疾患において、歯周組織の修復を可能とする歯周組織再生用ゲル化組成物が提供される。本発明の歯周組織再生用ゲル化組成物は移植治療に用いることができ、これにより歯周病などの歯科疾患の治療及び予防に有用である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の歯周組織再生用ゲル化組成物は、細胞(好ましくは、口腔内細胞)を、薬剤的に許容される生体吸収性ゲル化材料に懸濁することによって得られるものであるか、あるいは薬剤的に許容される生体吸収性ゲル化材料を形成できる材料に懸濁し、次いで、得られた混合物を用いて生体吸収性ゲル化材料を形成することによって得られるものであることを特徴とする。
本発明で用いる細胞は、口腔内又は口腔外の組織から採取できる細胞であり、好ましくは口腔内の組織から採取できる細胞であり、特に好ましくは歯胚、歯髄、歯根膜組織から採取できる細胞である。本発明において、細胞を採取する生物の種類は特に限定されないが、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。また、細胞は、移植治療を受ける個体と同一個体から採取された細胞であり、培養には自己血由来の血清もしくは無血清培地を使用し、免疫原性タンパクを含まないようにすることが好ましく、その結果、歯周組織の再生に使用することができる。
本発明で用いる細胞は、例えば、以下の手法により採取することができる。先ず、個体より無菌的に口腔内の組織を採取し、抗生剤を含むPhosphate Buffered Saline(以下PBSと略)溶液にて保存する。採取した組織をメスにて約2mm程度の小片にし、PBS溶液にて洗浄する。次に、抗生剤を含む適当な培地にコラゲナーゼを溶解した酵素溶液を用いて、洗浄した組織を酵素処理することが好ましい。自己血清を含む培地を用いることがより好ましい。上記のようにコラゲナーゼ処理することにより、細胞を細胞単位に細分化することができる。
さらに、酵素処理された組織(細分化された細胞も含む)をピペッティングした後、遠心分離を行い、上澄みの酵素溶液を取り除いてペレットを得る。ペレットを適当な培地にて洗浄し、例えば70μm程度のフィルターにて細胞外基質を取り除き、細胞培養用の容器に播種をする。
細胞培養用の培地は、特に口腔内の細胞では、0.5%〜20%の血清を添加し、細胞の増殖を促進する。好ましくは、自己の血清を培地の10%の最終濃度になるように加える。また無血清培地においても口腔内の細胞は増殖させることができる。無血清培地としては、例えば、media-1(免疫生物研究所)などを使用することができる。
細胞は培養器内に集密の状態になったら継代を行う。増殖のため、各容器に細胞を適当量に分けて入れる。目的の細胞数を得るまで継代の作業を行う。目的の細胞数得られる時点で、容器から細胞を剥離し、遠心分離と再懸濁をして十分に洗浄する。
歯周組織の再生が達成される限り、細胞の数は限定されないが、一般的には1×104〜108個の細胞を使用することができ、1×105〜106個の細胞を使用することがより好ましい。
抜歯を行った歯は、感染部や歯髄を除去、もしくは無細胞化した後、例えば歯髄腔をセメントなどで充填し、滅菌処理等を行い、抗生剤を含んだPBSにて保存する。
上記のようにして得られる細胞を生体吸収性ゲル化材料と混合することによって、本発明の歯周組織再生用細胞含有組成物を製造することができる。あるいは、生体吸収性ゲル化材料を2種類の物質の混合により作成する場合には、細胞を何れか片方の物質と混合し、その混合物に他方の物質を添加することにより、細胞と生体吸収性ゲル化材料を含む本発明の歯周組織再生用細胞含有組成物を製造することができる。さらに、この組成物を抜歯した歯の周りに塗布することにより、天然の歯を含んだ歯周組織再生用細胞含有組成物を作成することができる。例えば、生体吸収性ゲル化材料であるフィブリンは、トロンビンとフィブリノゲンを接触させることによって作製することができる。従って、細胞を先ずトロンビン溶液に懸濁し、この懸濁液にフィブリノゲン溶液を添加することによって細胞を含有するフィブリンを作製することができる。
本発明で使用する生体吸収性ゲル化材料としては、生体親和性が高く、かつ一緒に混合した細胞により歯周組織の再生が達成できるものであれば特に限定されないが、例えば、フィブリン、コラーゲン、ゼラチン、グリコサミノグリカン、ヒアルロン酸、コンドロイチン硫酸、ケタラン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、エラスチン、キチン、キトサン、アルギン酸、デンプン、デキストラン、アルブミン、ポリヒドロキシ酪酸、ペクチン、ペクチン酸、ガラクタン、ブルラン、アガロース、グルテンまたはこれらの誘導体などが挙げられる。上記した誘導体としては、これらの部分分解物、酸化物、アルキレンオキシド付加物、カルボキシメチル化物及び架橋体等が挙げられる。上記の中でも、フィブリン、コラーゲン(酸可溶性コラーゲン、アルカリ可溶性コラーゲン、酵素可溶性コラーゲン等)を使用することが好ましく、フィブリンが特に好ましい。
本発明で用いる上記した生体吸収性材料は、ゲル化材料であることを特徴とする。ゲル化材料を使用することにより、移植される細胞はゲル中に保持されることになり、歯周組織欠損部や抜歯した歯の周囲に移植細胞を確実に保持させることが可能になる。患部や抜歯した歯の周囲に保持された移植細胞は、このゲルを足場として生育及び増殖することができ、これにより歯周組織が効率よく再生されることになる。
本発明の第一の態様では、細胞を生体吸収性ゲル化材料に懸濁し、その後、歯科患者の患部、もしくは抜歯した歯の周囲に塗布してから病変部へ移植することにより歯周組織を再生することができる。この手法によれば、従来は抜歯しか治療法がなかった症例に対して自分の歯を残すという選択肢を提供することができ、実質的に免疫原性タンパクを含まない組成物であるため、安全性も提供できる。本手法により、歯周組織が再生することにより、天然の歯と同様の機能を持たすことが可能になった。
本発明の第二の態様では、細胞を培養する際、牛血清を使用する。細胞を移植する直前に無血清培地にて培養を行い、実質的に牛血清成分が含まれないようにする。その後は上記した第一の態様と同じ手法をし、歯周組織を再生することができる。本手法では、患者本人から採血などをすることがなく、コストも安くすることができ、患者の負担を軽減することができる。
本発明の第三の態様では、予め細胞を採集しておき、冷凍保存しておく。その後、歯周組織の再生医療が必要な際に、細胞を解凍し、上記した第一又は第二の何れかの態様により、歯周組織を再生させることができる。本手法によれば、歯周組織再生の治療の度ごとに細胞を採取する必要がなく、患者の負担を軽減することができる。
本発明の第四の態様では、口腔外の細胞、例えば骨髄由来の細胞や靭帯の細胞を用いることができる。これらの細胞は、上記した第一、第二又は第三の何れかの態様により、歯周組織を再生させることができる。本手法によれば、口腔内の細胞の細胞が感染などの理由で使用できない患者に対しても歯周組織再生方法を提供することができる。
上記の通り、本発明の歯周組織再生用細胞含有組成物は、歯周病などの歯周組織の再生を必要とする歯科疾患患者の治療および/又は予防のために使用することができる。
以下の実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
実施例1:
生後3〜5ヶ月齢のミニブタより、無菌的に埋伏歯を取り出し、10%の抗生剤を含むPBS溶液にて保存した。埋伏歯を取り出す際、ミニブタを吸入麻酔下におき、疼痛管理を行った後、埋伏歯の取り出しを行った。歯胚中の石灰化した部分を取り除き、メスにて組織を約2mmの小片にした。PBS溶液にて小片にした組織を5回洗浄した。
2mg/mlコラゲナーゼを10%牛血清と2%の抗生剤を含むDulbecco's Modified Eagle Medium(以下、DMEMと略)培地に溶解した酵素溶液を用いて、洗浄した組織を50分酵素処理した。
得られた組織を10ml用のピペットにて10分間ピペッティングした後、遠心分離(1500rpm、5分)を行い、上澄みの酵素溶液を取り除いた。DMEM培地にて3回洗浄し、70μmのフィルターにて細胞外基質を取り除き、細胞を回収した。
0.5〜5×106個の回収した細胞をトロンビン溶液にて懸濁し、フィブリノゲン溶液を同量添加することにより細胞を含有するゲル化材料を作製する。細胞を含有するゲル化材料は、ミニブタの第二小臼歯近心部に作製した欠損部位に移植した。移植部は歯肉で覆い、縫合を行った。その後は経時的にX線撮影を行った(図1)。
移植物は、移植後9週にて摘出した。μCT撮影したところ、顎骨が再生され、また、再生した顎骨と歯牙の間に一定の距離があることが確認できた(図2)。
常法に従い、パラフィン包埋し切片を作製した後、ヘマトキシリン−エオジン染色(H−E染色)、アザン染色を施した(図3)。その結果、移植9週にて移植物は成熟した骨を形成するだけでなく、再生した骨と歯牙の間にコラーゲン繊維が確認でき、歯根膜も形成されていた。
実施例2:
(1)細胞の準備方法
成犬のビーグル犬より無菌的に第二小臼歯を抜歯し、10%抗生剤を含むPBS溶液にて保存した。
抜歯をする際、ビーグル犬を全身麻酔下におき、疼痛管理を行った後、抜歯を行った。抜歯を行った歯より、歯根膜組織、歯髄組織を取り出し、メスにて組織を2mmの小片にした。PBS溶液にて小片した組織を5回洗浄した。
2mg/mlコラゲナーゼをDMEM培地に溶解した酵素溶液を用いて、洗浄した組織を50分間酵素処理した。
得られた組織を10ml用のピペットにて10分間ピペッティングした後、遠心分離(1500rpm、5分)を行い、上澄みの酵素溶液を取り除いた。DMEM培地にて3回洗浄し、70μmのフィルターにて細胞外基質を取り除き、細胞を回収した。
回収した細胞は、培養用の皿に播種し、目的の細胞数(2×106個)になるまで培養を行った。
目的の細胞数を確保できたら、培養用の皿から細胞を剥離し、遠心分離(1500rpm、5分)を行い、細胞をペレット状にした。
(2)フィブリンの準備
細胞を採取した同一のビーグル犬より採血を行った。採血を行う際、シリンジには抗凝固剤であるCitrate phosphate dextroseを予め入れていた。
採血後、全血を遠心分離(327×g、15分)を行い、血球成分と血漿成分を分離した。
血漿成分のみを取り出し、トロンビン生成用血漿とフィブリノゲン生成用血漿に分注した。通常50mlの採血を行った際、血漿成分は25〜30ml採取できるので、トロンビン精製には2.5mlの血漿を使用し、残りはフィブリノゲン精製用に使用した。
(3)フィブリノゲン溶液の精製
血漿にトラネキサム酸2〜3ml添加し、その後、終濃度10%の99%エタノールを加え混合した。20〜30分氷上にて反応させ、遠心分離(0〜4℃、3000×g、8分)を行った。上澄みを取り除き、37℃にて再溶解した。
(4)トロンビン溶液の精製
血漿にクエン酸22.5ml添加し、混合した後、遠心分離(4℃、3000×g、5分)を行った。上澄みを取り除き、163μlの塩化カルシウムを添加し、沈殿物を溶解した。さらに炭酸水素ナトリウムを100μl加えた。
溶液の中にフィブリンの塊ができてくるので、それを取り除いた。
(5)フィブリンの形成、及び移植
通常、フィブリノゲン溶液は生理食塩水にて2倍に希釈し、トロンビン溶液は、塩化カルシウム溶液にて10倍に希釈し、それぞれを同量混合することによってフィブリンが完成した。
歯根膜から採取した細胞をトロンビン溶液に懸濁してから第一臼歯の周囲に塗布すると同時にフィブリノゲン溶液も塗布をし、第一臼歯の周囲に細胞の懸濁したフィブリンをコートした。
元第一臼歯存在した場所に、歯科用のバーで欠損を作製し、フィブリンをコートした第一臼歯を移植した。移植部は歯肉で覆い、縫合を行った。
移植物は、移植後6週にて摘出した。μCTを撮影したところ、顎骨と歯牙の間に一定の距離があることが確認できた(図4)。
実施例3:
実施例2と同様の手順にて歯根膜由来の細胞を得た。実験に用いた細胞は、2継代目にてバンバンカー(GENETICS)を用いて凍結保存した。
冷凍保存した細胞は、37℃にて速やかに解凍し、DMEM培地にて希釈した。遠心分離(1500rpm 5分)を行い、上澄みに含まれているバンバンカーを取り除いた。DMEM培地にて3回洗浄を行い、培養容器に細胞を播種した。実験には、凍結から起して一回継代を行ったものを使用した。
2×104個/wellの割合で細胞を12穴プレートに播種した。細胞播種後、経時的に細胞数を測定した。実験群では、10%自己血清と2%抗生剤を含むDMEM培地にて培養を行った。コントロール群として、10%牛血清と2%抗生剤を含むDMEM培地にて培養を行った群と血清の含んでいないDMEM培地にて培養を行った群を用意した。実験結果を図5に示す。
図5の結果より自己血清を使用した培養では、牛血清を用いた培養と同様、もしくはそれ以上の細胞の増殖が確認された。
図1は、移植直前の移植部位外観及びX線撮影結果(左)と移植9週での移植部位外観及びX線撮影結果(右)を示す。 図2は、μCT撮影画像を示す。左図は透視画像を示し、右図はCT画像を示す。 図3は各種染色像を示す。 図4は、μCT撮影像を示す。 図5は、経時的に細胞数を測定した結果を示す。

Claims (10)

  1. 細胞を、薬剤的に許容される生体吸収性ゲル化材料に懸濁することによって得られる、細胞を含有する歯周組織再生用ゲル化組成物。
  2. 細胞を、薬剤的に許容される生体吸収性ゲル化材料を形成できる材料に懸濁し、次いで、得られた混合物を用いて生体吸収性ゲル化材料を形成することによって得られる、細胞を含有する歯周組織再生用ゲル化組成物。
  3. 細胞が口腔内細胞である、請求項1又は2に記載の歯周組織再生用ゲル化組成物。
  4. 自己血清培地又は無血清培地により培養した口腔内細胞を用いる、請求項1から3の何れかに記載の歯周組織再生用ゲル化組成物。
  5. 歯周欠損または抜歯した歯の周囲に注入または塗布し、長期にわたり被験者の歯の機能を維持するために使用される、請求項1から4の何れかに記載の歯周組織再生用ゲル化組成物。
  6. 生体吸収性ゲル化材料がフィブリンである、請求項1から5の何れかに記載の歯周組織再生用ゲル化組成物。
  7. トロンビンとフィブリノゲンを混合することによってフィブリンが形成される、請求項6に記載の歯周組織再生用ゲル化組成物。
  8. フィブリンとして、被験者と同種のフィブリン又は自己血由来のフィブリンを使用する、請求項6又は7に記載の歯周組織再生用ゲル化組成物。
  9. 被験者と同種の血漿又は自己血漿を用いてフィブリンを形成する、請求項6から8の何れかに記載の歯周組織再生用ゲル化組成物。
  10. 口腔内組織から口腔内細胞を採取する工程、及び採取した口腔内細胞を培養する工程、及び培養した細胞と、薬剤的に許容される生体吸収性ゲル化材料又は薬剤的に許容される生体吸収性ゲル化材料を形成できる材料とを混合する工程を含む、請求項1から9の何れかに記載の歯周組織再生用ゲル化組成物の製造方法。
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