<実施形態1>
本発明の実施形態1を図面を参照しつつ説明する。
図1は、実施形態1に係る遊技機を概念的に例示する正面図であり、図2はその遊技機の遊技盤構成を概念的に例示する正面図である。また、図3は、図1の遊技機の斜視図であり、図4は、実施形態1に係る遊技機の電気的構成を例示するブロック図である。
1.全体構成
本実施形態に係る遊技機の一例たるパチンコ機1は、例えば遊技ホール(遊技場)に設置されたパチンコ島台のカウンタ台の上部にて複数横方向に並べられて設けられるものである。なお、本明細書では、遊技機における高さ方向を上下方向とし、遊技盤の前面と直交する方向(即ち、遊技機奥行き方向)を前後方向とする。また、上下方向及び前後方向と直行する幅方向を左右方向とする。パチンコ機1は、図1、図3に示すように、前部には前枠2が設けられ、さらにその前枠2に扉部3(具体的にはガラス扉枠として構成される扉部3)が取付けられている。扉部3は、縦軸の回動軸を有するヒンジ部82,82により遊技機本体1aに対し開閉可能に支持され、かつガラス(透明板に相当)が嵌め込まれた樹脂あるいは金属材料等によって環状の枠体として構成されるガラス保持枠83を備えている。ここでは環状に構成された樹脂製のガラス保持枠に二枚のガラス(第2ガラス52、及びその後方に配置される第1ガラス51)が嵌め込まれてガラスユニット50が構成されており(図6、図7参照)、このガラスユニット50は、扉部3の本体部分(扉部3におけるガラスユニット50を除いた部分)に着脱可能に取り付けられている。また、前枠2(本体枠)もヒンジ81によって機枠1cに対して開閉可能に取り付けられている。本実施形態では、第2ガラス52及び第1ガラス51が透明板に相当する。また、第1ガラス51は、第1透明板に相当し、第2ガラス52は、第2透明板に相当する。また、ガラス扉枠3及び前枠2が一体的に開閉可能に構成されており、これらを総称して前面扉部1bともいう。
扉部3の後方には、図2に示す板状(例えば、木板、樹脂板等を主体として構成される板状)の遊技盤7が配置されている。図2に示すように、遊技盤7は仕切部に相当するレール22によって略環状に囲まれた略円形の遊技領域90aを有し、その遊技領域90aには第1種始動口4、中央表示装置(以下、単に表示装置ともいう)5及び大入賞口6が設けられている。なお、遊技領域90aは、遊技球が流下可能となるようにレールによって仕切られた領域として構成されている。第1種始動口4は遊技球の通路を備え、その通路入口に羽根4aが開閉可能に支持されている。表示装置5は、ここでは図柄を動的に表示する図柄表示装置として構成されている。また、この表示装置5は、遊技盤7に装着される装飾枠40に固定されている。なお、図2に示すように、遊技盤7上にはレール22に隣接して遊技球の衝突を受けるゴム製の衝突受け部65も設けられている。
図1に示すように、扉部3の下部には、賞球が払い出される上受け皿3aが装着されている。また、前枠2の窓孔より下方には下受け皿2aが装着されている。下受け皿2aは、前記上受け皿3aに入りきらない賞球や、上受け皿3aから球抜きした抜き球や、或いはファウル球等の余剰球を、余剰球出口から排出させて貯留させるものである。前枠2における下受け皿2aの右側方には遊技球を発射するための発射ハンドル17が回動操作可能に装着されている。この発射ハンドル17に応じて、後述する発射装置130が駆動されるようになっており、発射装置130は、発射ハンドル17の回動角度に応じた弾発力に調節されるようになっている。なお、発射装置130については後述する。
また、図2に示すように、表示装置5は、第1種始動口4の上方に設けられ、例えば液晶ディスプレイ(LCD)からなる画面5aを備えている。画面5aには多種類の画像が表示されるが、その1つとして、図2に概念的に示されるような上図柄列8、中図柄列9及び下図柄列10が表示される。図柄列の数は前述したもの(3列)に限られず、1列、2列、4列以上であってもよい。各図柄列8乃至10は、数字、記号等からなる複数の図柄によって構成されている。なお、各図柄列8ないし10を構成する図柄が識別図柄に相当する。
表示装置5では、図柄列8乃至10での図柄変動が、遊技球の第1種始動口4への入賞により開始される。図柄変動は上図柄列8、下図柄列10、中図柄列9の順に停止されるが、これは一例にすぎず、別の順序で停止されてもよい。全ての図柄列8乃至10での図柄変動が停止したとき、表示されている図柄(以下「停止図柄」という)の組合せが、予め定められた組合せ(特定表示結果、以下「大当りの組合せ」という)、すなわち、同一種類の図柄が大当りラインに沿って並んでいるときの同図柄の組合せ(例えば、777)、となる場合がある。この停止図柄の組合せ(図14参照:後述)を、以下「大当り図柄」という。そして、大当りの組合せが成立すると特別電動役物が作動し、遊技者にとって有利な特別遊技状態としての大当り遊技状態が到来し、より多くの賞球を獲得することが可能となる。
さらに、パチンコ機1は大当り遊技状態の発生に先立ちリーチ遊技状態(図13参照:後述)となる。ここで、リーチ遊技状態とは大当り遊技状態の直前の状態をいい、例えば、列10での図柄変動が、大当りライン上において上図柄列8での停止図柄と同一種類の図柄で停止し、かつ、その後に中図柄列9での図柄変動が上下両図柄列8,10での停止図柄と同一種類の図柄で停止されれば最終的に大当りの組合せとなる状態を含む。また、図柄変動が停止すると、大当り遊技状態となる組合せで変動し、その図柄で停止されれば最終的に大当り遊技状態となる場合において、その変動中の状態もリーチ遊技状態に含まれる。これは、通常、全回転(全図柄)リーチと呼ばれているものである。なお、このような遊技状態の発生の流れは後述する。
図2に示すように、大入賞口6は第1種始動口4の下方に設けられており、1つのVゾーン11、2つの通路12,13及びシャッタ14を備えている。シャッタ14は大入賞口用ソレノイド15(以下、単に「ソレノイド15」ともいう)により作動させられ、Vゾーン11及び通路12,13の各入口を開閉する。
図2に示すように、遊技盤7には、始動口用スイッチ18、Vゾーン用スイッチ19及びカウントスイッチ20が取付けられている。始動口用スイッチ18は、遊技球Bの第1種始動口4への入賞を検出する。Vゾーン用スイッチ19は遊技球BのVゾーン11への入賞を検出し、カウントスイッチ20は遊技球Bの大入賞口6への入賞を検出する。また、各スイッチ18乃至20の検出結果に基づき保留ランプ39(図4)、羽根駆動部4b(図4)、ソレノイド15及び表示装置5、側方表示装置110(後述)をそれぞれ制御するために、制御装置21が設けられている。
図4に示すように、制御装置21には、読出し專用メモリ(ROM32)、中央処理装置(CPU31)、ランダムアクセスメモリ(RAM33)等を備えている。また、クロック回路34、バスライン35、入出力処理回路36も設けられている。ROM32は所定の制御プログラムや初期データを予め記憶しており、CPU31はROM32の制御プログラム等に従って各種演算処理を実行する機能等を有している。RAM33はCPU31による演算結果を一時的に記憶する。
尚、より詳細には、制御装置21は、図4のように、パチンコ機1の主制御を行うメイン基板30と、当該メイン基板30からの信号によって各部を制御するための表示制御基板(表示制御装置101を構成する基板)、音量調整基板(音声用制御装置41を構成する基板)、LED基板(図示略)、払出し制御基板(図示略)等の各種のサブ基板とを備えて構成されており、不正信号がメイン基板30へ入力されることを防止するために、信号の伝送方向は、メイン基板30からサブ基板への一方向のみとなっている。
また、図4に示す表示制御装置101は、表示装置5を表示制御可能に構成されており、メイン基板30からの信号に基づく画像を表示装置5の表示部に表示させるように制御を行う。表示制御装置101には、図示しないROM、RAM、CPUなどが設けられており、メイン基板30からの制御信号に応じた画像を表示させるように構成されている。
さらに、メイン基板30には、発射ハンドル17に遊技者が触れたか否かを検出する公知のタッチセンサ142と、発射ハンドル17の回動角度を検出する変位センサとが接続されており、さらに、メイン基板30からの信号を受けて駆動可能な駆動モータMと、変位センサ144による検出角度に応じて回転するステッピングモータSPとが接続されている。
また、CPU31による制御の1つとして、大当り遊技状態の発生確率を条件に応じて変動させる、いわゆる確率変動がある。具体的には、1/300程度の低確率で大当り遊技状態を発生させる低確率モードと、その約5倍である1/60程度の高確率で大当り遊技状態を発生させる高確率モードとが用意されており、大当り図柄の種類に応じて確率モードが切替えられる。ここでは、一例として、大当り図柄が、予め定められた特別図柄(例えば奇数図柄)であると高確率モードに設定され、予め定められた通常図柄(例えば偶数図柄)であると低確率モードに設定されるようになっている。なお、低確率モードでの発生確率に対する高確率モードでの発生確率の倍数は、前述した値(約5)以外の値であってもよい。
2.遊技球導入手段
次に、遊技球を遊技領域90aに導入するための遊技球導入手段100について説明する。図1及び図3に示すように、遊技球導入手段100は、遊技球を発射する発射装置130と、発射装置130にて発射された遊技球を、遊技領域90aに向けて誘導する誘導通路110とを備えた構成をなしている。更に本実施形態に係るパチンコ機1では、発射装置130が、遊技盤7と前後に重なる位置(具体的には、遊技盤7の前面7より所定距離離れた前方位置)に設けられ、他方、誘導通路110が、パチンコ機1の下方側から上方側に遊技球を誘導するように構成されている。また、誘導通路110には、上方につれて遊技盤7の前面7dに近づくように傾斜する傾斜通路部111が設けられている。即ち、傾斜通路部111により、遊技盤7の前面7dに対して傾斜した誘導路が構成されている。
この構成では、遊技盤7の側方に発射装置130が設けられず、遊技盤7と前後に重なるように発射装置130が設けられるため、遊技領域90aに向けて遊技球を発射可能な構成を実現しつつ、遊技盤7の大型化を図りやすくなる。つまり、遊技盤7を下方に延長したとしても、従来のように発射装置が邪魔にならないため、効果的に遊技盤を拡大でき、ひいては広範囲な遊技領域を確保できることとなる。また、遊技機の下方側から上方側に遊技球を誘導し、かつ、上方につれて遊技盤7の前面に近づくように傾斜する傾斜通路部111が設けられているため、傾斜通路部111に沿って安定して遊技球を転動させることができ、導入時に適度な回転を与えることが可能となる。
上述したように、図3、図7に示すように、パチンコ機1の前面部には、開閉可能に構成される前面扉部1bが設けられており、発射装置130は、図7のように遊技盤7の前面7dから所定距離はなれた位置において、前面扉部1bに取り付けられている。従って、遊技盤7と発射装置130とが干渉しにくくなっている。
なお、発射装置130は、遊技球を発射可能な構成であれば種々のものを用いることができる。本実施形態では、発射槌によって遊技球を打球する公知の発射装置を一例として用いている。発射槌によって遊技球を打球する構成は公知であるので詳細な説明は省略し概要のみを述べる。
まず、球皿に遊技球が投入されると、先頭の遊技球が発射球供給装置の内部で止まる。この状態で図1、図3に示す操作ハンドル17に触れるとタッチセンサー(図4)がそれを検知し、発射槌駆動用のモータMが作動し、図8、図9に示すカム136が、モータMによって駆動される軸136aを中心として回転する。
そして、図8に示す回転するカム136は、発射槌本体133のカム受けローラ139に係合し、槌側カップ134内に設けられた図示しない捩りコイルばねの付勢に抗しつつ発射槌本体133を後ろに傾けさせる。発射槌本体133は、回動軸線O(図8では紙面と直交する回動軸線Oを概念的に例示する)を中心とするように軸135のまわりを回動し、所定の位置まで傾斜するとカム受けローラ139がカム136から外れて発射槌本体133がフリーになる。そうすると槌側カップ134もフリーになり、捩りコイルばねの付勢により槌側カップ134と連動する発射槌本体133が逆向きに勢いよく回動し、発射槌本体133がゴム製のストッパー(図示略)に当たって止まる。もし、この段階で誘導通路110の発射部に遊技球があれば衝突スプリング132に当たって勢いよく飛び出す。
発射槌本体133が傾動して戻ると、発射槌131の軌跡上に置かれた遊技球が発射スプリング132に当たり、遊技球は誘導通路110に沿って勢いよく飛び出す。そして、飛び出した遊技球と入れ替わるようにして次の遊技球が図示しない供給機構によって送り出される。以後、発射槌駆動用モーターのカム136が1回転する毎に上記の動作が繰り返されるから、発射槌131(発射槌本体133及び衝突スプリング132からなる槌)によって遊技球が1個ずつ発射され、それと入れ替わるタイミングで遊技球が1個ずつ供給されることとなる。
なお、発射槌131の打球力の調節は、遊技者が操作ハンドル17を回すことにより行う。本実施形態では、操作ハンドル17の回転角度が変位センサ144(図4)にて検出され、それに応じてステッピングモータSPの回転角度が設定され、駆動される。ステッピングモータSPの回転駆動は、伝達部材137に伝わり、その回転がワイヤー140を介して槌側カップ134に伝達される。この槌側カップ134の回転は内部に配置された捩りコイルばねの弾発力を強める方向(図8において時計回り)に作用するから、その分、発射槌131の打球力が強くなる。
図8等では、発射装置130の構成の概要を説明したが、本発明は当然ながらこのような発射装置130に限定されるものではなく、遊技球を発射可能な構成であればどのような発射装置130にも適用可能である。
次に、誘導通路110について説明する。
図7に示すように、本実施形態に係るパチンコ機1では、遊技領域90aにおいて遊技盤7と当該遊技盤7の前方に配置される第1ガラス51(第1透明板)とにより遊技球の流路が構成されており、誘導通路110は、その流路を構成する第1ガラス51(第1透明板)の前方側から後方側へと遊技球を導く構成をなしている。
また、上述したように、第1ガラス51の前方には、第2ガラス52(第2透明板)が配置されているが、誘導通路110は、この第2ガラス52(第2透明板)よりも前方側から後方側へと遊技球を導く構成をなしている。つまり、両ガラス51、52の前方側から後方側へと遊技球を導く構成をなしている。このように誘導通路110によってガラスよりも前方側から後方側へと遊技球を導く構成とすれば、傾斜のための前後領域をより広く確保できることとなる。
また、図1に示すように、誘導通路110は、遊技領域90aにおいて、遊技球を、幅方向(本実施形態では、遊技機の左右方向を幅方向とする)一方側に放出する構成をなしており、他方、発射装置130による発射位置は、当該遊技機の幅方向において、誘導通路110による放出側と同じ側に配置されている。このように発射位置と放出位置とが幅方向において同じ側とされているため、誘導通路110が左右にあまり及ばず、誘導通路110を幅方向に関してコンパクトに構成でき、遊技盤7の前方領域を誘導通路110以外に用いることができる好適構成となる。
より詳しくは、図1のように、当該パチンコ機1正面視した場合、誘導通路110は、当該パチンコ機1の幅方向一方側において上下に延びる構成をなしている。このように、パチンコ機1の幅方向一方側において上下に延びるように誘導通路110が構成されているため、誘導通路110を左右方向において極めてコンパクトにすることができ、従来と比較して遊技盤7の前方領域をより効果的に利用できるようになっている。
また、誘導通路110は少なくとも一部が前面扉部1bに固定される構成をなしており、遊技球を前面扉部1b側から遊技盤7側に導きつつ、誘導のための前後領域を適切に確保し、適度な傾斜をもたせやすくなっている。
また、本実施形態に係るパチンコ機1では、第2ガラス52及び第1ガラス51において、誘導通路110を前方から後方に導くための切欠部51a、52aからなる導入部150が形成されており、誘導通路110は、導入部150を介して遊技球をガラス51、52の前方側から後方側に導く構成をなしている。これにより、遊技領域90aの前方にガラス51、52を配置して当該遊技領域90aを視認可能としつつ、その遊技領域90aの所定位置に前方側から遊技球を放出できることとなる。
また、本実施形態に係る遊技球導入手段100は、誘導通路110をカバーする透明性を有するカバー部材120を備えている。このカバー部材120の後方には遊技領域90aの一部が構成されており、カバー部材120を介して遊技領域90aを流下する遊技球が視認可能とされている。この構成により、より一層遊技領域90aの拡大化が図られ、かつその拡大された遊技領域90aの様子を遊技者に見せ、遊技をより多様なものとすることができる。
また、誘導通路110も透明性を有しており、この誘導通路110の後方に、遊技球の流路が構成され、誘導通路110を介して遊技領域90aを流下する遊技球が視認可能とされている。従って、拡大された遊技領域90aの様子をより良好に遊技者に見せ、遊技をより多様なものとすることができるようになっている。
また、誘導通路110は、前面扉部1bに固定される傾斜通路部111(傾斜通路部111は第1通路部に相当する)と、遊技盤7に固定される第2通路部112とを有し、前面扉部1bの開閉に伴い、第1通路部たる傾斜通路部111と第2通路部112とが接近又は離間可能とされている。第2通路部112は、遊技盤7に固定されるレール22、23からなり、傾斜通路部111を通って導入された遊技球を、レール22、23に沿って上方に誘導するように構成されている。
上記のように、遊技球誘導手段100が構成されることにより、遊技球が遊技領域90aへと好適に導入されることとなり、以下に示すような各種遊技が実施されることとなる。
3.遊技例
次に、上記のように遊技球が導入されることにより実現される遊技例、及びその制御について説明する。図10乃至図13のフローチャートは、制御装置21によって実行される各種ルーチンを示している。これらのルーチンの各処理は、カウンタ群及びフラグFに基づいて実行される。
カウンタ群は、ラウンドカウンタR、入賞カウンタP及び確変カウンタCを含む。ラウンドカウンタRはラウンド回数をカウントするためのものであり、入賞カウンタPはカウントスイッチ20の検出結果に基づき大入賞口6への遊技球Bの入賞個数をカウントするためのものである。確変カウンタCは高確率モードの終了を判断するためのものであり、「2」,「1」,「0」の値を採る。なお、カウンタR,P,Cの初期値はいずれも「0」である。
そのほかにもカウンタ群は、大当り遊技状態発生を決定するための内部乱数カウンタと、外れリーチ等を決定するための外れリーチ乱数カウンタと、停止図柄等を決定するためのそれぞれの図柄カウンタと、リーチ動作の種類を決定するためのリーチ種別カウンタとを含む。ここで、外れリーチ乱数カウンタによる外れリーチとは、前述したリーチ遊技状態の後に最終的に大当りの組合せとならない状態をいう。フラグFは、Vゾーン11への遊技球Bの入賞の有無を判定するためのものであり、Vゾーン用スイッチ19によって入賞が検出されない場合に「0」に設定され、入賞が検出されると「1」に設定される。なお、確率モードには低確率モードと高確率モードの2種類類あることは既に説明したが、初期値には低確率モードが設定されている。
さて、遊技者による遊技が開始されると、制御装置21は、まず図10の特別電動役物制御ルーチンのステップS10において、始動口用スイッチ18の検出結果に基づき、遊技球Bの第1種始動口4への入賞があったか否かを判定する。この判定条件が満たされていないと特別電動役物制御ルーチンを終了し、満たされているとステップS20において、内部乱数カウンタ、外れリーチ乱数カウンタの各値を取得するとともに、各図柄カウンタの値に基づき図柄列8乃至10毎に外れ図柄を取得する。ここでの取得とは、各カウンタの値を読取り、その値をメモリに記憶する処理を指す。
次に、ステップS30で図柄変動開始処理を実行する。詳しくは、図12のステップS31において、図柄列8乃至10の各図柄をそれぞれ表示装置5で変動表示させる。これにより表示装置5には図11のような表示がなされ、遊技者には上・中・下の図柄列があたかも回転しているように見える。そして、ステップS32において、内部乱数カウンタの値が大当り値と同一であるか否かを判定する。大当り値としては、2種類の値(低確率用大当り値、高確率用大当り値)が用意されている。前者は大当り遊技状態を前述した低確率で発生させるための値であり、後者は高確率で発生させるための値である。
例えば、内部乱数カウンタが、「0」乃至「299」の範囲で所定時間毎に値を更新するものである場合、そのうちの「7」を低確率用大当り値とし、「7」,「17」,「27」,「37」,「47」を高確率用大当り値とする。すると、大当り遊技状態が発生する確率は、低確率用大当り値を大当り値として用いた場合には1/300となり、高確率用大当り値を大当り値として用いた場合には1/60となる。そして、前回の制御周期で低確率モードが設定されている場合には、低確率用大当り値が大当り値として選択される。高確率モードが設定されている場合には、高確率用大当り値が大当り値として選択される。
ステップS32の判定条件が満たされていると、ステップS33において、大当り値に対応する大当り図柄を停止図柄としてメモリに記憶する。一方、ステップS32の判定条件が満たされていないと、ステップS34において、外れリーチ乱数カウンタの値が予め定められた外れリーチ値と同一である否かを判定する。この判定条件が満たされていると、ステップS35において、外れリーチ値に対応する図柄(以下「外れリーチ図柄」という)を停止図柄としてメモリに記憶する。なお、ステップS34の判定条件が満たされていないと、ステップS36において、ステップS20での外れ図柄を停止図柄としてメモリに記憶する。そして、上記ステップS33,S35,S36で停止図柄を記憶した後、図柄変動開始処理ルーチンを終了する。
このようにステップS30の処理(図柄変動開始処理)を実行した後、図10のステップS40において上下両図柄列8,10における図柄を、ステップS33,S35,S36のいずれかの処理で記憶した停止図柄に差替える。差替え後の図柄によって上下両図柄列8,10での図柄変動を停止させる。図13にはこの停止例を示している。
ステップS50では、中図柄列9での図柄変動を停止させる。続いて、ステップS60において、図柄の組合せが大当りの組合せであるか否かを判定する。この判定条件が満たされていないと特別電動役物制御ルーチンを終了し、満たされていると、ステップS70において、大当り信号ONを外部出力端子(図示略)に出力する。大当りの組合せである場合には、図14のような表示がなされる。さらに、ステップS80において、大当り図柄が特別図柄(この場合、奇数図柄)であるか否かを判定し、特別図柄である場合は(ステップS80:Yes)、ステップS90において確変大当り信号ONを図示しない出力端子に出力する。続いて、ステップS100において、ラウンドカウンタRをリセットする。そして、ステップS110において入賞カウンタPをリセットするとともに、フラグFを「0」に設定する。
続いて、図11のステップS120においてソレノイド15を励磁する。すると、シャッタ14が倒れ、大入賞口6の通路入口が開放される。この開放により、遊技球BのVゾーン11及び通路12,13への入賞が可能となる。ステップS130でラウンドカウンタRを「1」インクリメントする。
次に、ステップS140において、入賞カウンタPの値が所定値Pmax以下であるか否かを判定する。この判定条件が満たされていると、ステップS150において、大入賞口6の閉鎖予定時期がまだか否かを判定する。この判定条件が満たされていると(ステップS150:Yes)、ステップS140へ戻る。その結果、大入賞口6の開放開始後にPmax個よりも多くの遊技球Bが入賞するか、閉鎖予定時期が到来するかしない限りは、大入賞口6が開放され続ける。これに対し、ステップS140,S150の判定条件のいずれか一方が満たされていないと、ステップS160においてソレノイド15を消磁する。すると、シャッタ14が起こされ、大入賞口6の通路入口が閉鎖される。
そして、ステップS170において、ラウンドカウンタRの値が所定値がRmax以下であるか否かを判定する。この判定条件が満たされていると、ステップS180においてフラグFが「1」であるか否かを判定する。ステップS180の判定条件が満たされていると(ステップS180:Yes)、図10のステップS110へ戻る。従って、一旦大当り遊技状態が発生すると、遊技球BがVゾーン11に最大Rmax回入賞するまでは、大入賞口6が開閉のサイクルを繰返す。例えば、所定値Pmaxが「10」に設定され、大入賞口6の開放時間が「約29.5」秒に設定され、所定値Rmaxが「16」に設定されている場合には、大入賞口6の開放後、(1)遊技球Bが大入賞口6へ10個入賞すること、(2)約29.5秒が経過すること、のいずれか一方の条件が満たされた時点で大入賞口6が閉鎖される。この大入賞口6の開放・閉鎖のサイクルが、遊技球BのVゾーン11への入賞を条件に最大で16回繰返されることとなる。
ステップS170,S180の判定条件のいずれか一方が満たされていないと、ステップS190で「大当り信号OFF」を図示しない出力端子に出力する。さらに、ステップS200において、大当り図柄が特別図柄(この場合、奇数図柄)であるか否かを判定し、特別図柄である場合は(ステップS200:Yes)、ステップS210において確変大当り信号OFFを図示しない出力端子に出力する。続いて、ステップS220で確率変動処理を実行し、その後、特別電動役物制御ルーチンを終了する。
図13の確率変動処理ルーチンでは、ステップS221において、大当り図柄が通常図柄(この場合偶数図柄)であるか否かを判定する。この判定条件が満たされていないと(ステップS221:No)、すなわち、大当り図柄が特別図柄(奇数図柄)であると、ステップS227において確変カウンタCが「0」であるか否か(高確率モード中であるか否か)が判定され、確変カウンタCが「0」である(高確率モード中である)場合は(S227:Yes)、ステップS228において、確変中信号ONを図示しない出力端子に出力する。続いて、ステップS229において高確率モードを設定し、確変カウンタCに「2」を設定する。ステップS229の処理を実行した後、確率変動処理ルーチンを終了する。このように、高確率中に特別図柄(奇数図柄)で大当り遊技状態が連続して発生した場合には、高確率モードが継続することとなる。
一方、ステップS221の判定条件が満たされていると、すなわち、大当り図柄が通常図柄(偶数図柄)であると、ステップS222において確変カウンタCが「0」でないか否かを判定する。この判定条件が満たされていない(C=0)と確率変動処理ルーチンを終了し、満たされている(C=2,1)とステップS223において確変カウンタCを「1」デクリメントする。ステップS224において確変カウンタCが「0」であるか否かを判定する。この判定条件が満たされていない(C=1)と確率変動処理ルーチンを終了し、満たされている(C=0)とステップS225において、確変中信号OFFを図示しない出力端子に出力し、ステップS226において、低確率モードを設定する。このように一旦高確率モードが設定されると、確変カウンタCが「0」となるまで、すなわち、高確率モード設定後、連続して偶数図柄で2回大当り遊技状態が発生するまでは高確率モードが継続する。そして、偶数図柄での大当り遊技状態が2回連続すると、高確率モードが終了し低確率モードに切替えられる。
なお、本実施形態での処理手順は一例であり、適宜変更可能である。例えば、図柄変動処理(ステップS31)を停止図柄の記憶処理(ステップS33,S35,S36)の後に行うようにしてもよい。
上述したように、本実施形態では、遊技球Bが第1種始動口4へ入賞したことが検出されると、各カウンタの値が取得されるとともに図柄列8乃至10が変動表示される。各カウンタの値に基づき停止図柄が記憶され、その停止図柄によって図柄変動が停止される。停止されたときに表示されている図柄の組合せが大当りの組合せであると、遊技者に有利な大当り遊技状態が発生し、遊技球BがVゾーン11に最大Rmax回入賞するまで、大入賞口6の開閉のサイクルが繰返される。
一方、大当り図柄が特別図柄(奇数図柄)であると高確率モードが設定され、次回と、その次の回の2回にわたり大当り遊技状態の発生確率が高められる。すなわち、一旦高確率モードが設定されると、次回以降2回の大当り遊技状態の発生確率が高められるが、その期間中に再び奇数図柄で大当り遊技状態が発生すれば高確率モードが設定される。これに対し、期間経過後に通常図柄(偶数図柄)で大当り遊技状態が発生すれば高確率モードが終了する(低確率モードに切替えられる)。
なお、このように次の回の2回にわたり大当り遊技状態の発生確率を高めるのではなく、次の回のみ大当り遊技状態の発生確率を高めるようにしてもよい。図14の例は次の回のみ大当り遊技状態の発生確率を高める場合のフローチャートを例示するものであり、図13の例の代わりに図14のような処理を用いてもよい。
<実施形態2>
次に、実施形態2について、図15ないし図19を参照して説明する。
図15は、実施形態2に係る遊技機を概念的に例示する正面図であり、図16はその遊技機の遊技盤構成を概念的に例示する正面図である。また、図17は、図15の遊技機の斜視図である。本実施形態では、図15、図17に示すように、誘導通路110が透明板の後方側にまで及び、傾斜通路部111が遊技盤7の前面にまで至っている点、及び遊技盤側に第2通路部が設けられていない点が実施形態1と異なりそれ以外の部分については同様であるので、同様の部分については詳細な説明は省略する。なお、電気的構成は実施形態1と同一の構成が用いられる。
なお、図15は、図1を変形した構成を示し、図16は、図2を変形した構成、図17は、図3を変形した構成を示している。また、図18は、図5を変形した構成を示し、図19は、図6を変形した構成を示している。さらに、図20は、図7を変形した構成を示している。発射装置については、実施形態1と同様の発射装置130(図8、図9参照)が用いられる。
本実施形態の構成では、図15、図17、図18、図20に示すように、傾斜通路部111が、発射装置130の近傍から遊技盤7の前面7d付近にまで及んでおり、前後方向において傾斜領域を効果的に確保している。また、発射装置130から遊技盤7の前面7dに至るまで連続した傾斜通路部111が構成されるため、スムーズに遊技球が誘導されることとなる。また、遊技盤側に特別な誘導通路を設ける必要がないため、遊技盤において誘導に必要な部品の点数を削減できることとなる。
<実施形態3>
次に、実施形態3について、図21、図22を参照して説明する。
図21は、実施形態3に係る遊技機を例示する正面図、図22は、その遊技機の遊技盤構成を概念的に例示する正面図である。
実施形態3では、透明板を介して視認可能となる視認可能領域が左右の長さよりも上下の長さのほうが大きくなるように構成した点、遊技領域90aを、左右の長さよりも上下の長さのほうが大きくなるように構成した点、及び、実施形態1よりも広い表示領域を有する表示装置を用いた点が実施形態1と異なり、それ以外の点はほぼ同様であるので、異なる点について説明する。このように、上下の長さのほうが長くなるようにすると遊技領域90aをより広く確保できることとなるが、その一方で、発射装置130や誘導通路と遊技盤7との干渉が懸念される。これに対し、本実施形態では、発射装置130を遊技盤7と前後に重なるように配置しているため、上記のように遊技領域90aを確保しても発射装置130及び誘導通路が遊技盤7側方において干渉しない構成となる。以下、具体的に説明する。
図21に示すように、パチンコ機1は、透明板を介して視認可能となる視認可能領域における左右の長さL1よりも上下の長さL2のほうが大きくなるように構成されており、通常の遊技機と比較して視認可能領域が上下方向に拡大されている。また、図22に示すように、遊技領域90aは、左右の長さL3よりも上下の長さL4のほうが大きくなる楕円状に構成されている。このように、上下の長さL4のほうが長くなる楕円状とすると遊技領域90aをより広く確保でき、かつ遊技球の放出から流下までの挙動をスムーズにすることができるが、その一方で、発射装置130や誘導通路と遊技盤7との干渉が懸念される。これに対し、本実施形態では、発射装置130を遊技盤7と前後に重なるように配置し、誘導通路110を遊技機幅方向において一方側に寄せて配置しているため、図21、図22のように遊技領域90aを大きく確保しても発射装置130及び誘導通路110が遊技盤7側方において干渉しない構成となる。
<実施形態4>
次に、実施形態4について図23ないし図25を参照して説明する。 図23は、実施形態4に係る遊技機を例示する正面図、図24は、その遊技機の遊技盤構成を概念的に例示する正面図である。また、図25は、図23の遊技機の要部断面を示す図である。
実施形態4でも、透明板を介して視認可能となる視認可能領域が左右の長さよりも上下の長さのほうが大きくなるように構成した点、遊技領域90aを、左右の長さよりも上下の長さのほうが大きくなるように構成した点、及び、実施形態1よりも広い表示領域を有する表示装置を用いた点が実施形態1と異なり、さらに、本実施形態では、誘導通路110を遊技盤7に固定する形態で設けている。なお、それ以外の点は実施形態1とほぼ同様であるので、異なる点について説明する。
このように、上下の長さのほうが長くなるようにすると、実施形態3と同様に、遊技領域90aをより広く確保できることとなるが、その一方で、発射装置130や誘導通路と遊技盤7との干渉が懸念される。これに対し、本実施形態では、発射装置130を遊技盤7と前後に重なるように配置しているため、上記のように遊技領域90aを確保しても発射装置130及び誘導通路が遊技盤7側方において干渉しない構成となる。以下、具体的に説明する。
図23に示すように、パチンコ機1は、透明板を介して視認可能となる視認可能領域における左右の長さL5よりも上下の長さL6のほうが大きくなるように構成されており、通常の遊技機と比較して視認可能領域が上下方向に拡大されている。また、図24に示すように、遊技領域90aは、左右の長さL7よりも上下の長さL8のほうが大きくなる楕円状に構成されている。このように、上下の長さL8のほうが長くなる楕円状とすると遊技領域90aをより広く確保でき、かつ遊技球の放出から流下までの挙動をスムーズにすることができるが、その一方で、発射装置130や誘導通路と遊技盤7との干渉が懸念される。これに対し、本実施形態では、発射装置130を遊技盤7と前後に重なるように配置し、誘導通路110を遊技機幅方向において一方側に寄せて配置しているため、図23、図24のように遊技領域90aを大きく確保しても発射装置130及び誘導通路110が遊技盤7側方において干渉しない構成となる。
さらに、本実施形態では、図26に示すように、誘導通路110及び発射装置130が遊技盤7に固定されている。発射装置130は、遊技盤7における遊技領域90aの外側位置に固定されており、誘導通路110は、遊技盤7において、遊技領域90aの外側から内側に跨るように配置されている。この構成により、複雑な構成を採ることなく、発射装置130、誘導通路110及び遊技領域90aを位置的に関連付けることができる。
また、発射装置130の少なくとも一部と遊技領域90aの一部とが左右に重なるように設けられている。一方、カバー部材120は、実施形態1と同様に前面扉部1bに設けられており、この前面扉部1bの開閉により、誘導通路110及び発射装備130と、カバー部材120とが接近又は離間する構成をなしており、前面扉部1bを開放すると、誘導通路110及び発射装置130が露出するため、これらのメンテナンスを行いやすくなっている。
なお、本実施形態の例では、遊技領域90aの前方に配置される透明板は第1ガラス51の1枚のみであるが、実施形態1等と同様に2枚の透明板を設けるようにしてもよい。逆に、実施形態1等において本実施形態と同様に1枚のガラスのみを設けるようにしてもよい。
<第5実施形態>
上記実施形態では回動式の発射装置を用いたが、下記のようなスライド式の発射装置200を用いてもよい。スライド式の発射装置を用いると、スライド方向と直交する方向に関してコンパクトに構成できるため、本発明のような遊技球導入装置に用いると、相乗的なコンパクト化が期待できる。以下、スライド式の発射装置について説明する。なお、本実施形態では、発射装置の構成のみが実施形態1と異なるので、同一の構成のものについては、実施形態1を参照して同一の符号にて説明するものとする。
図27に示すように、パチンコ機1の背面に取付けられた制御装置21には、入力インタフェイスを介して実施形態1と同様のタッチセンサ142、最上位置センサ146、および球受位置148センサが接続されている。タッチセンサ142は電位あるいは静電容量を利用したセンサ等が使用され、上述した発射ハンドル17に取付けられており、操作者が発射ハンドル17に手を触れたことを検出する。
また、制御装置21には変位センサ144としてのポテンショメータが、図示しないAD変換器を介して連結されている。ポテンショメータは発射ハンドル17に連結されており、操作者が発射ハンドル17を回動させるとその回動量に応じて抵抗値が増大し、操作者の操作量に応じた電圧を発生させる。
また、スライダ移動量設定手段たるCPU31は、この検出された変位量に基づく電気的信号を取得してスライダの移動量を設定することとなる。なお、発射ハンドル17の変位量を検出して電気的信号をCPU31に入力可能な構成であればポテンショメータ以外の回転変位センサを用いてもよい。
更に、制御装置21には出力インタフェイスを介してモータドライバ149が接続されており、更にモータドライバ149には、駆動アクチュエータに相当するリニアモータ201が接続されている。モータドライバ149が制御装置21からの駆動信号に基づき、駆動電流をリニアモータ201に印加することによって、このリニアモータ201が駆動される。ここでのリニアモータ149の駆動力の制御(即ち、通電電流の制御)は、発射ハンドルの操作に関わらず、徐々にスライダが加速するような一定の電流制御がなされるようになっており、発射速度の調整は駆動距離の調整によって行うようにしている。駆動アクチュエータによるスライダの駆動距離の制御は、駆動時間を調整することにより行うようにしてもよく、位置制御を行うようにしてもよい。
図26、図28及び図29に示すように、発射装置200は、前方が上方に傾斜された状態でパチンコ機1に固定された円筒形のチューブ206を備えている。チューブ206は、その先端部において発射レール3bに当接している(図26参照)。リニアモータ201はパチンコ機1の背面に設けられた取付板(図示略)に取付けられるとともに、チューブ206と連結されたコイル部202およびコイル部202内に挿通されたシャフト部203を備えている。シャフト部203は、チューブ206内に移動可能に嵌合している。
シャフト部203の先端には遊技球を保持するための球面状の球保持部203aが形成され、また前方部には上方に向いた柱状の係止部204が取付けられている。係止部204はその後方においてヒンジ205によってシャフト部203に取付けられており、後方への可倒性を備えるとともに前方には倒れ不能とされている。また、後方に倒れた係止部204は、図示しない弾性体によって再び起き上がるように設置されている。尚、チューブ206にはシャフト部203の移動に伴い係止部204が通過する移動溝206bが形成されている。
シャフト部203はチューブ206内を相対移動可能とされており、チューブ206の上端部に設置された最上位置UPと、下端部に設置された最下位置LPとの間をシャフト部203の球保持部203aが往復するように設置され、最上位置UPと最下位置LPとの間には、球保持部203aが遊技球の供給を受けるために停止する球受位置RPが設置されている。
更に、最上位置UPにはシャフト部203の球保持部203aが最上位置UPにあることを検出する上述の最上位置センサ146(図27)が設置され、球受位置RPには球保持部203aが球受位置RPにあることを検出する球受位置センサ148(図27)が設置されており、各々球保持部203aがその位置にあることを検出したときに検出信号を制御装置21に送信する。最上位置センサ146および球受位置センサ148には、赤外線センサあるいは超音波センサ等が用いられ、例えば、シャフト部203の係止部204を検出することによって、球保持部203aを検出することに代用してもよい。
図26、図28、図29に基づいてフィーダ210について説明する。フィーダ210は遊技球供給機構に該当し、シャフト部203の球保持部203aが球受位置RPにあるときに、球保持部203aに遊技球を供給できるように設置されている。フィーダ210の遊技球供給路211は、パチンコ機1の作動時に複数の遊技球を待機させる直線路211aと、その下方に連続したディレイ211bとによって構成されている。
ディレイ211bは遊技球がチューブ206内に落下するタイミングを調整するために落下を遅らせるものであり、クランク状あるいは、螺旋状等の形状に形成されている。ディレイ211bの下端部はチューブ206の上方部に形成された遊技球孔206aに接続されている。
遊技球供給路211の近傍には、枢支体212が枢支軸212aにおいてパチンコ機1に回動可能に取付けられている。枢支体212の上部にある球係止部212bには一端がパチンコ機1に固定された付勢スプリング213の他端が連結されるとともに、枢支体212の右方にはストッパ214がパチンコ機1に固定されており、枢支体212は付勢スプリング213によって、常に図26において時計回転方向に付勢され、ストッパ214に当接している。
更に枢支体212にはその左方に延びて遊技球供給路211内に突出する球受部212cが形成され、また枢支体212の下端部には上述したシャフト部203の係止部204に係合する係合部212dが形成されている。枢支体212はシャフト部203から何ら荷重が加わらない場合、図26に示すように落下しないように球受部212cによって遊技球供給路211にある遊技球を保持している。
図30に基づいてリニアモータ201について説明する。リニアモータ201は従前のリニアモータであって、上述したようにコイル部202およびコイル部202内に挿通され、軸方向に移動可能なシャフト部203を備えている。コイル部202のコイルハウジング202a内には、モータドライバ149に接続された3相のコイル巻線202bが複数個収容されており、シャフト部203は並設された複数個の磁石によって構成されている。
上述した構成によって、制御装置21からの駆動信号に基づいて、モータドライバ149からコイル巻線202bに印加される駆動電流の大きさおよび向きに応じてシャフト部203とコイル部202との間に吸引力あるいは反発力が発生し、シャフト部203の移動が制御される。本実施形態では、駆動信号がモータドライバ149に入力されると、ハンドル操作量に関係無く所定の大きさ及び所定周波数の駆動電流が供給されるようになっており、この供給時間を調整することにより駆動距離を調整するようにしている。
遊技球発射装置10の制御開始状態において、シャフト部203の球保持部203aは最下位置LPにて停止しており(図26の右端の2点鎖線においてその位置を概念的に示す)、チューブ206内には遊技球は載置されていない。タッチセンサ142によって、操作者が発射ハンドルに手を触れたことを検出すると、検出信号が入力インタフェイスを介して制御装置21に送信され、制御装置21はパチンコ機1に電源電圧を印加してスタンバイ状態とする。
その後、発射ハンドル17の操作量(操作者による発射ハンドル5の回動量)を、発射ハンドル17に連結されたポテンショメータによって検出して、操作量信号をAD変換器を介して制御装置21に送信する。制御装置21はポテンショメータからの操作量信号に基づいて、ハンドル操作量に対応したシャフト部203の駆動量を求め、それに応じてシャフト部203を前方に移動させる時のリニアモータ201の駆動量を演算する。この構成においては、原点位置からスライダが徐々に加速するように構成されており、スライダの移動量が大きくなるにつれ発射速度が大となるように構成されている。
ハンドル操作量とシャフト部の駆動量の関係は、所定の演算式にて定義してもよく、それらを対応付けたテーブル(例えば、ハンドル操作量の値に対応してシャフト部の駆動量が定められるような構成をなすテーブル)を用意してもよい。ここでは、例えばハンドル操作量に応じてコイル巻線202bへの通電時間を制御することによりシャフト部203の移動距離を制御するようにしている。
その後、制御装置21が出力インタフェイスを介してモータドライバ149へ送信した駆動信号に基づいて、モータドライバ149からリニアモータ201のコイル巻線202bに所定時間(ハンドル操作量に基づいて定まる駆動時間)の間駆動電流が印加され、球保持部203aが遊技球6を保持しないまま最下位置LPから、シャフト部203の駆動量によって定まる発射位置に移動するように、シャフト部203を前進させる。
シャフト部203の前進を開始させた後、発射位置に到達したか否かを判断する。ここでは、駆動時間が経過したか否かを判断している。駆動時間が経過した場合には、シャフト部203を停止させ、その停止位置が発射位置とする。一方、駆動時間が経過していない場合、制御装置21は最上位置UPに設置された最上位置センサ146が球保持部203aの到達を検出したか否かを判定する。最上位置UPまで到達していない場合(即ち、駆動時間も経過しておらず、最上位置にも達していない場合)は戻り前進を継続し、一方、最上位置UPまで到達したと判定した場合は、移動可能な最大位置まで到達したとしてシャフト部203を停止させる(図28にその位置を示す)。
上述したように、最初に最下位置LPから発射位置に移動する場合に、シャフト部203の球保持部203aは遊技球6を保持していないため、発射位置においてシャフト部203を停止させた時、遊技球は誘導通路の間へ向けて発射されることはない。尚、シャフト部203が最下位置LPから前進する場合に、シャフト部203の係止部204が枢支体212の係合部212dに当接するが、図26に示すように、係止部204が後方に倒れることにより、枢支体212の姿勢に影響を与えることはない。
その後、制御装置21はシャフト部203の球保持部203aが、発射位置から球受位置RPに移動するようにシャフト部203を後退させる(図29)。シャフト部203の後退開始後、制御装置21は球受位置RPに設置された球受位置センサ15が球保持部203aの到達を検出したか否かを判定する。球受位置RPまで到達していない場合は再び戻り後退を継続し、球受位置RPまで到達したと判定した場合はシャフト部203を停止させる。
球保持部203aの球受位置RPへの後退によって、係止部204が枢支体212の係合部212dに係合し、付勢スプリング213の付勢力に抗して枢支体212を枢支軸212aを中心に反時計回転方向に回動させる(図29に二点鎖線にて示す)。枢支体212の反時計回転方向への回動によって、球受部212cによって保持されていた最下位置にある1個の遊技球がディレイ211bに落下すると同時に、枢支体212の球係止部212bが遊技球供給路211内に突出して、2番目以降の遊技球を落下しないように保持する。
ディレイ211bに落下した遊技球は、ディレィ211bを通過することによって所定時間だけ遅れ、チューブ206の遊技球孔206aを介して、チューブ206内のシャフト部203の球保持部203aの前方に落下する。
なお、ここでは、スライド方式による発射装置の構成を例示したが、スライド方式によって遊技球を発射可能な構成であればこの構成に限定されないことはいうまでもない。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
(1)上記実施形態では、透明板の周縁部に切欠部を設け、この切欠部を介して誘導通路を透明板の前方側から後方側へと跨るように配置し、透明板の側方において、遊技球を透明板の前方側から後方側に導く構成としたが、透明板の側方に誘導通路を配置する構成はこれに限られない。例えば、切欠部を設けずに、透明板の側方において誘導通路を配置し、遊技球を透明板の前方側から後方側に導くように構成してもよい。
(2)上記実施形態では、透明板の側方に誘導通路を設け、透明板の側方において、遊技球を透明板の前方側から後方側に導く構成としたが、透明板を貫通するように遊技球を導いてもよい。この構成は、透明板に貫通孔を設け、この貫通孔を介して誘導通路を透明板の前方側から後方側へと跨るように配置することで実現できる。