JP2007037005A - 超音波センサ - Google Patents
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Abstract
【課題】従来よりも検出感度を向上した超音波センサを提供する。
【解決手段】半導体基板を加工して薄膜状に形成されるダイアフラム1と、半導体基板からなりダイアフラム1の周囲を囲み且つ支持する枠部2と、ダイアフラム1の表面に密着して設けられる薄膜状の下部電極3と、ダイアフラム1と反対側の下部電極3表面に密着して設けられる薄膜状の圧電膜4と、下部電極3と反対側の圧電膜4表面に密着して設けられる薄膜状の上部電極5とを備える。ダイアフラム1の表面において上部電極5と圧電膜4と下部電極3をダイアフラム1よりも狭い範囲に設けているので、上部電極5、圧電膜4、下部電極3の残留応力がダイアフラム1に与える影響が小さくなってダイアフラム1が撓み易くなり、その結果、従来よりも検出感度を向上させることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】半導体基板を加工して薄膜状に形成されるダイアフラム1と、半導体基板からなりダイアフラム1の周囲を囲み且つ支持する枠部2と、ダイアフラム1の表面に密着して設けられる薄膜状の下部電極3と、ダイアフラム1と反対側の下部電極3表面に密着して設けられる薄膜状の圧電膜4と、下部電極3と反対側の圧電膜4表面に密着して設けられる薄膜状の上部電極5とを備える。ダイアフラム1の表面において上部電極5と圧電膜4と下部電極3をダイアフラム1よりも狭い範囲に設けているので、上部電極5、圧電膜4、下部電極3の残留応力がダイアフラム1に与える影響が小さくなってダイアフラム1が撓み易くなり、その結果、従来よりも検出感度を向上させることができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、半導体基板を加工して形成される超音波センサに関し、特に圧電効果を利用する圧電式の超音波センサに関するものである。
従来、超音波を検出する超音波センサとして、半導体基板を加工して形成される圧電式のものが提供されている(例えば、特許文献1参照)。
図3は従来の超音波センサの一例を示す側断面図である。この従来例は、半導体基板を加工して薄膜状に形成されるダイアフラム1と、半導体基板からなりダイアフラム1の周囲を囲み且つ支持する枠部2と、ダイアフラム1の表面に密着して設けられる薄膜状の下部電極3と、ダイアフラム1と反対側の下部電極3表面に密着して設けられる薄膜状の圧電膜4と、下部電極3と反対側の圧電膜4表面に密着して設けられる薄膜状の上部電極5とを備える。なお、圧電膜4は、圧電効果を生じる材料、例えば、ジルコン酸チタン酸鉛(PZT)をゾルゲル法により下部電極3の表面に成膜することで形成される。
而して、空気などの媒体を伝搬する超音波を受けてダイアフラム1並びにダイアフラム1上に設けられている圧電膜4が撓み、その撓みに応じて圧電膜4に発生する電圧(電荷)を下部電極3並びに上部電極5を通して取り出すことで超音波の強度(音圧)を検出することができる。
特開平10−256570号公報
ところで、ダイアフラム1を構成する半導体(例えば、シリコン)とダイアフラム1上に形成される下部電極3、圧電膜4、上部電極5の各薄膜とで熱膨張率やヤング率、ポアソン比などが互いに異なっており、しかも、これらの薄膜が比較的に高温のプロセスで形成されるためにそれぞれの薄膜に固有の残留応力が発生する。かかる残留応力は薄膜形成時の温度と各薄膜の熱膨張率差や界面の面積に比例することが判っている。特に、シリコン基板に熱酸化膜を形成する工程と圧電膜4を形成する工程は、それぞれ約1100℃と600℃で行われるために残留応力発生の主な原因となっている。そして、このような残留応力によって個々の薄膜の剛性が高くなり、結果としてダイアフラム1が撓み難くなるために感度が低下するという問題があった。
本発明は上記事情に鑑みて為されたものであり、その目的は、従来よりも検出感度を向上した超音波センサを提供することにある。
請求項1の発明は、上記目的を達成するために、半導体基板を加工して薄膜状に形成されるダイアフラムと、半導体基板からなりダイアフラムの周囲を囲み且つ支持する枠部と、ダイアフラムの表面に密着して設けられる薄膜状の下部電極と、ダイアフラムと反対側の下部電極表面に密着して設けられる薄膜状の圧電膜と、下部電極と反対側の圧電膜表面に密着して設けられる薄膜状の上部電極とを備え、超音波を受けてダイアフラムが撓んだときに圧電膜に発生する電圧を下部電極並びに上部電極を通して取り出す超音波センサであって、ダイアフラムの表面においては上部電極と圧電膜と下部電極がダイアフラムよりも狭い範囲に設けられたことを特徴とする。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、圧電膜がジルコン酸チタン酸鉛(PZT)からなり、ダイアフラム表面の面積を、ダイアフラム表面における圧電膜の面積の33倍以上としたことを特徴とする。
本発明によれば、ダイアフラムの表面においては上部電極と圧電膜と下部電極がダイアフラムよりも狭い範囲に設けられているので、上部電極と圧電膜と下部電極がダイアフラムと同じ若しくは広い範囲に設けられている従来例に比較して、上部電極、圧電膜、下部電極の残留応力がダイアフラムに与える影響が小さくなってダイアフラムが撓み易くなり、その結果、従来よりも検出感度を向上させることができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、従来例と共通の構成要素については同一の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態は、図2に示すように半導体基板(SOI基板)を加工して薄膜状に形成されるダイアフラム1(図1(a)において破線で囲まれた部分)と、半導体基板からなりダイアフラム1の周囲を囲み且つ支持する枠部2と、ダイアフラム1の表面に密着して設けられる薄膜状の下部電極3と、ダイアフラム1と反対側の下部電極3の表面に密着して設けられる薄膜状の圧電膜4と、下部電極3と反対側の圧電膜4の表面に密着して設けられる薄膜状の上部電極5と、枠部2の表面とダイアフラム1の裏面を含む枠部2内に設けられる薄膜状の酸化膜6とを備える。また、枠部2の表面における圧電膜4に窓孔4aが設けられ、この窓孔4a内で下部電極3の表面に接合されたランド3aと上部電極5の表面端部に接合されたランド5aを介して圧電膜4に発生する電圧(電荷)が外部に取り出される。
次に本実施形態の製造プロセスを簡単に説明する。
まず、半導体基板表面の酸化膜6上に白金とチタンの多層薄膜をRFマグネトロンスパッタにて成膜することで下部電極3を形成する。そして、半導体基板の裏面(図2における下面)にシリコン異方性エッチング窓のフォトリソグラフィを行い、レジストをマスクにして半導体基板裏面の酸化膜をバッファードフッ酸(BHF)でエッチングした後、半導体基板をTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)水溶液(濃度25%、90℃)に浸してシリコン異方性エッチングを行うことによって薄膜状のダイアフラム1と矩形枠状の枠部2を形成する。続いて、ゾルゲル法によってPZTの薄膜を下部電極3の表面に成膜することで圧電膜4を形成する。この成膜工程においては、PZTを12層に塗布することで圧電膜4の膜厚を約0.8μmとしており、各層毎に400℃で10分間ずつ乾燥させるとともに4層ごとに600℃の酸素雰囲気下で10分間ずつ焼結させる。
そして、圧電膜4の表面に白金とチタンの多層薄膜をRFマグネトロンスパッタにて成膜した後、フォトリソグラフィとICP型RIE装置を用いたドライエッチングにより所望の大きさに加工することで上部電極5を形成する。さらに、フォトリソグラフィと希フッ硝酸を用いたウェットエッチングにより圧電膜4を所望の大きさに加工するとともに、フォトリソグラフィとICP型RIE装置を用いたドライエッチングによって下部電極3を所望の大きさに加工して本実施形態が完成する。
ここで従来技術で説明したように、上述の製造プロセスにおいて下部電極3、圧電膜4、上部電極5の各薄膜に残留応力(膜応力)が発生する。この残留応力が圧縮応力である場合はダイアフラム1の剛性が減少して機械的振動に対する抵抗が低下するが、残留応力が引張り応力である場合はダイアフラム1の剛性が増加して機械的振動に対する抵抗が増大してしまうためにダイアフラム1が撓み難くなって検出感度が低下する。また、圧電膜4に発生する残留応力が引張り応力である場合は単位格子が圧縮されて分極特性を決める単位格子内部の荷電粒子(電子あるいはイオン)が非常に動き難い状態になるが、圧電膜4に発生する残留応力が圧縮応力である場合は単位格子が膨張して単位格子内部の荷電粒子が動き易い状態になるため、分極特性が向上して残留分極Pr[C/m2]や抗電界Ec[V/m]の値が大幅に増加する。図3に示した従来例においては、ダイアフラム1の表面における下部電極3と圧電膜4と上部電極5がダイアフラム1よりも広い範囲(面積)となる大きさに形成されているため、非常に大きな引張り応力が圧電膜4に発生して分極特性を大幅に低下させていた。
これに対して本実施形態では、図1(a)に示すようにダイアフラム1の表面における下部電極3と圧電膜4と上部電極5をダイアフラム1よりも狭い範囲(面積)となる大きさ(上記所望の大きさ)に形成しているので、従来例と比較して圧電膜4に発生する引張り応力が減少するとともに圧縮応力が増大し、圧電膜4の分極特性が向上するとともにダイアフラム1の機械的振動に対する抵抗が低下するため、従来例に比較して検出感度を大幅に向上することができる。
ここで、ダイアフラム1の表面における圧電膜4の面積Apとダイアフラム1の面積Amの比Ar(=Am/Ap)が互いに異なる数種類のサンプル(サンプル番号1〜5)を作成し、これらのサンプルについて検出感度[μV/Pa]を調べる実験を本発明者らが行ったところ、下記の表1に示す結果が得られた。但し、ダイアフラム1並びに圧電膜4の外形は正方形とみなしている。
上記実験結果によれば、サンプル番号3の検出感度が50〜60[μV/Pa]と最も高く、それに次いでサンプル番号4の検出感度が30[μV/Pa]と2番目に高く、それ以外のサンプル(サンプル番号1,2,5)については検出感度が10[μV/Pa]以下とかなり低くなっている。つまり、ダイアフラム1の面積が同じであれば圧電膜4の面積が小さいサンプルの方が検出感度が高くなり、圧電膜4の面積が同じであればダイアフラム1の面積が大きいサンプルの方が検出感度が高くなることが判る。ここで、各々のサンプル番号1〜5の面積比Ar1〜Ar5を求めると、Ar1=9502/2002≒22.6、Ar2=10502/2002≒27.6、Ar3=11502/2002≒33.1、Ar4=11502/3002≒14.7、Ar5=11502/4002≒8.3となる。したがって、圧電膜4をPZTで形成した場合にはダイアフラム1表面の面積Amを、ダイアフラム1表面における圧電膜4の面積Apの33倍以上とすれば検出感度を大幅に向上させることが可能である。
なお、本実施形態ではダイアフラム1や圧電膜4の外形を正方形とみなしたが、正方形以外の多角形若しくは円形や楕円形としても構わない。また、圧電膜4をPZT以外の材料で形成してもよく、ダイアフラム1の表面における圧電膜4の面積Apとダイアフラム1の面積Amの比Arは当該他の材料で圧電膜4を形成した場合の最適値を選択すればよい。
1 ダイアフラム
2 枠部
3 下部電極
4 圧電膜
5 上部電極
2 枠部
3 下部電極
4 圧電膜
5 上部電極
Claims (2)
- 半導体基板を加工して薄膜状に形成されるダイアフラムと、半導体基板からなりダイアフラムの周囲を囲み且つ支持する枠部と、ダイアフラムの表面に密着して設けられる薄膜状の下部電極と、ダイアフラムと反対側の下部電極表面に密着して設けられる薄膜状の圧電膜と、下部電極と反対側の圧電膜表面に密着して設けられる薄膜状の上部電極とを備え、超音波を受けてダイアフラムが撓んだときに圧電膜に発生する電圧を下部電極並びに上部電極を通して取り出す超音波センサであって、
ダイアフラムの表面においては上部電極と圧電膜と下部電極がダイアフラムよりも狭い範囲に設けられたことを特徴とする超音波センサ。 - 圧電膜がジルコン酸チタン酸鉛(PZT)からなり、ダイアフラム表面の面積を、ダイアフラム表面における圧電膜の面積の33倍以上としたことを特徴とする請求項1記載の超音波センサ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005221003A JP2007037005A (ja) | 2005-07-29 | 2005-07-29 | 超音波センサ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005221003A JP2007037005A (ja) | 2005-07-29 | 2005-07-29 | 超音波センサ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2007037005A true JP2007037005A (ja) | 2007-02-08 |
Family
ID=37795660
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2005221003A Withdrawn JP2007037005A (ja) | 2005-07-29 | 2005-07-29 | 超音波センサ |
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JP (1) | JP2007037005A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101345580B1 (ko) | 2012-05-25 | 2013-12-30 | 동명대학교산학협력단 | 잔류 응력 측정용 시소타입 압전 박막 구조 |
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2005
- 2005-07-29 JP JP2005221003A patent/JP2007037005A/ja not_active Withdrawn
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101345580B1 (ko) | 2012-05-25 | 2013-12-30 | 동명대학교산학협력단 | 잔류 응력 측정용 시소타입 압전 박막 구조 |
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