JP2007034023A - カメラの焦点調節装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】複数有る焦点検出領域の中から、焦点調節の為に選択される焦点検出領域が、測距動作の度に、ばらつくことを最小限に抑制するカメラの焦点調節装置を提供すること。
【解決手段】焦点情報を演算する焦点演算部2と、上記焦点情報の信頼性値を演算する信頼性演算部3と、信頼性値に基づいて上記焦点検出領域において測距可能であるかを判断する判断部と、焦点検出領域を選択する焦点領域選択部6と、前回のAFで上記選択手段により選択された焦点検出領域を記憶する記憶手段と、を具備し、上記焦点領域選択部6は、最至近焦点検出領域から所定値以内の測距情報を示す焦点検出領域までの範囲内に、上記前回選択焦点検出領域が存在しているか否かを判断し、前回選択焦点検出領域が存在していると判断した場合には、前回選択焦点検出領域を選択することを特徴とするカメラの焦点調節装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、複数の焦点検出領域に対応したカメラの焦点調節装置に関する。
従来、複数の焦点検出領域を持つカメラ(いわゆるマルチAF搭載カメラ)に関する技術は数多く提案されている。一般的に、このマルチAF搭載カメラには、複数の焦点検出領域の中から、ユーザーが任意の1つの焦点検出領域を選択できるモード(ユーザー選択モード)と、焦点検出領域の選択が自動的に当該カメラにより行われるモード(自動選択モード)と、の少なくとも2つのモードが搭載されている。
そして、上記自動選択モードにおいて必要となるアルゴリズム、すなわち複数の焦点検出領域の中から1つの焦点検出領域を選択するためのアルゴリズムに関して、数多くの提案が為されている。なお、通常は複数の焦点検出領域の中から、最も被写体距離が近いと判定された焦点検出領域が選択される。しかしながら、そのような方法では必ずしも適切な焦点検出領域の選択が為されない為、例えば以下に示すような技術が提案されている。
まず、特許文献1に開示された測距装置では、測距センサ上において、最至近距離を示す測距値との間隔が、所定の値よりも小さい近距離範囲内に含まれる測距値の中から、最も信頼性の高い測距値が選択される。言い換えれば、最至近の被写体が存在する焦点検出領域と、該焦点検出領域との差異が所定値以内である焦点検出領域と、の範囲内にある焦点検出領域中から、最も信頼性が高い焦点検出領域が選択される。
次に、特許文献2に開示された多点測距装置では、ファインダー内の中央部分に対応する焦点検出領域を含む、複数の部分に対応する被写体までの距離が測距される。そして、上記中央部分の被写体と他の部分の被写体との相対距離が演算され、該相対距離の値が所定の基準値より大きい場合には、最至近の被写体の焦点検出領域が選択され、上記相対距離の値が所定の基準値より小さい場合は、上記中央部分の被写体の焦点検出領域が選択される。
そして、特許文献3に開示された自動焦点検出装置では、一度あるエリアで被写体が検出されると、その後もそのエリアで検出される可能性が高いことを利用して焦点検出領域の選択が行われる。すなわち、前回選択された焦点検出領域について焦点検出され、その検出結果に信頼性がなければ他の領域についても焦点検出される。なお、前回選択された焦点検出領域について行われた焦点検出の検出結果に信頼性があれば、その他の領域についての焦点検出動作は省略される。すなわち、前回行われた焦点検出の結果が記憶手段に記憶されており、前回選択した焦点検出領域について行った今回の焦点検出の検出結果の信頼性が高い場合には、その焦点検出領域が今回も選択され、他の焦点検出領域についての焦点検出動作は行われない。
特開2001−154083号公報 特開平4−151132号公報 特公平8−7319号公報
しかしながら、上記各特許文献に開示された技術においては、ある共通した問題がある。この問題とは、すなわち各焦点検出領域において、被写体距離差の小さい被写体に繰り返しAFを行うと、測距誤差等のばらつき要因によって、毎回選択される焦点検出領域がばらつくという問題である。以下、図13を参照して、この問題を具体的に説明する。
図13(a)は11点16ライン焦点検出領域配置(図中《1》〜《16》は各領域番号を示している)における焦点検出領域の一配置例を示す図である。同図に示すように、中央部の焦点検出領域《1》,《2》及びその上下左右の焦点検出領域を含む5点の焦点検出領域は、縦横十字のいわゆるクロスラインに構成されている。また、中央行における左右両端の焦点検出領域《15》及び《16》は縦ラインに構成されている。そして、最上行及び最下行における左右両端の焦点検出領域《11》,《12》,《13》,及び《14》は横ラインに構成されている。図13(a)に示す焦点検出領域配置は、上述したような11点16ライン焦点検出領域配置による、マルチAFの焦点検出領域配置である。
ここで、例えば図13(b)に示すように、被写体100が複数の焦点検出領域に被っている場合を考える。まず、焦点検出領域《15》及び《16》は、背景の低コントラスト部に抜けているため測距不能である。
一方、残りの14ラインの焦点検出領域については、コントラストがあり、測距可能である。それら焦点検出領域の中でも、焦点検出領域《1》,《2》,《5》,及び《6》については、被写体人物の眼付近の比較的コントラストの高い部分を捉えているので、測距の信頼性が高いと言える。一方、その他の10ライン(焦点検出領域《3》,《4》,《7》,《8》,《9》,《10》,《11》,《12》,《13》,及び《14》)の焦点検出領域は測距可能ではあるが、髪の毛等の、被写体における比較的コントラストの低い部分に対応している。
上述のような図13(b)に示す状態で、一度目のAFを行った測距結果の一例を図13(c)に示す。ここで、図13(c)においては、横軸にはデフォーカス量(右に行くほどプラスデフォーカスであり、すなわち被写体がより至近距離にあることを示している)、縦軸には測距結果の信頼性(後述する信頼性係数もしくは被写体のコントラスト値)が示されている。なお、一般的なTTL位相差AFにおいては、AF検出における出力はデフォーカス量である。
まず、測距不能である焦点検出領域《15》及び《16》は、AF不能であるため同図に示すグラフ上には乗らない。一方、上記焦点検出領域《15》及び《16》以外の各焦点検出領域が捉えている被写体は、ほぼ同一距離にあるので、測距ばらつきも含めて所定のデフォーカス量範囲内(図13(c)に示すスレッシュ範囲内)に収まる。
ここで、一度目のAF結果で信頼性とデフォーカス量が図13(c)に示すようになったとしても、信頼性とデフォーカス量は測距ばらつき等によりばらつく為、もう一度AFを行うと、例えば図13(d)に示すように一度目のAF結果から変動してしまう。
なお、上記特許文献1及び上記特許文献2に開示された技術によれば、ある程度選択する焦点検出領域のばらつきを抑えることは出来るが、最小限にまでばらつきを抑制しているとは言えない。また、上記特許文献3に開示された技術では、被写体が構図変更等により変化した場合には、誤った焦点検出領域の選択が為され得るという新たな問題が生じてしまう。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、複数有る焦点検出領域の中から、焦点調節の為に選択される焦点検出領域が、測距動作の度に、ばらつくことを最小限に抑制するカメラの焦点調節装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の第1の態様によるカメラの焦点調節装置は、複数の焦点検出領域に対応したカメラの焦点調節装置であって、上記焦点検出領域における焦点情報を演算する演算手段と、上記焦点情報の信頼性を示す信頼性値を演算し、該信頼性値に基づいて上記焦点検出領域において測距可能であるか否かを判断する判断手段と、上記焦点検出領域の中から、焦点調節を行う為の焦点検出領域として少なくとも1つの焦点検出領域を選択する選択手段と、前回の焦点調節において上記選択手段により選択された焦点検出領域である前回選択焦点検出領域を記憶する記憶手段と、を具備し、上記選択手段は、上記判断手段により測距可能であると判断された焦点検出領域のうち、最至近の焦点情報を示す最至近焦点検出領域、及び該最至近焦点検出領域とのデフォーカス量における差が所定値以内である焦点情報を示す焦点検出領域の中に、上記記憶手段が記憶した前回選択焦点検出領域が存在しているか否かを判断し、前回選択焦点検出領域が存在していると判断した場合には、前回選択焦点検出領域を今回の焦点調節に用いる焦点検出領域として選択することを特徴とする。
上記の目的を達成するために、本発明の第2の態様によるカメラの焦点調節装置は、複数の焦点検出領域に対応したカメラの焦点調節装置であって、上記焦点検出領域における焦点情報を演算する第1演算手段と、上記第1演算手段が演算した上記焦点情報の信頼性を示す信頼性値を演算し、該信頼性値に基づいて上記焦点検出領域において測距可能であるか否かを判断する判断手段と、上記第1演算手段の出力に基づいて、上記焦点検出領域の中から、少なくとも1つの焦点検出領域を選択する選択手段と、少なくとも1回以上過去の焦点調節において上記選択手段が選択した焦点検出領域及びその信頼性値を記憶する記憶手段と、上記判断手段が演算した信頼性値と、上記記憶手段が記憶している少なくとも1回以上過去の焦点調節における焦点検出領域の選択結果及び該焦点検出領域に対応する信頼性値とに基づいて重み付け演算を行って、上記選択手段における焦点検出領域の選択の際に用いられる焦点検出領域選択指数を算出する第2演算手段と、
を具備し、上記選択手段は、上記判断手段により測距可能であると判断された焦点検出領域の中で最至近の焦点情報を示す最至近焦点検出領域、及び該最至近焦点検出領域とのデフォーカス量における差が所定値以内である焦点情報を示す焦点検出領域の中に、上記焦点検出領域選択指数の値が最も大きい焦点検出領域を今回の焦点調節に用いる焦点検出領域として選択することを特徴とする。
上記の目的を達成するために、本発明の第3の態様によるカメラの焦点調節装置は、複数の焦点検出領域に対応したカメラの焦点調節装置であって、上記焦点検出領域における焦点情報を演算する第1演算手段と、上記第1演算手段が演算した上記焦点情報の信頼性を示す信頼性値を演算し、該信頼性値に基づいて上記焦点検出領域において測距可能であるか否かを判断する判断手段と、上記第1演算手段の出力に基づいて、上記焦点検出領域の中から、少なくとも1つの焦点検出領域を選択する選択手段と、少なくとも1回以上過去の焦点調節において上記選択手段が選択した焦点検出領域及びその信頼性値を記憶する記憶手段と、上記判断手段が演算した信頼性値と、上記記憶手段が記憶している少なくとも1回以上過去の焦点調節における焦点検出領域の選択結果及び該焦点検出領域に対応する信頼性値とに基づいて重み付け演算を行って、上記選択手段における焦点検出領域の選択の際に用いられる焦点検出領域選択指数を算出する第2演算手段と、を具備し、上記第2演算手段は、上記判断手段において測距可能であると判断された焦点検出領域の中で最至近の焦点情報を示す最至近焦点検出領域、及び該最至近焦点検出領域とのデフォーカス量における差が所定値以内である焦点情報を示す焦点検出領域に対して上記重み付け演算を行い、上記選択手段は、上記第2演算手段が上記演算を行った焦点検出領域の中から、最も高い上記焦点検出領域選択指数から所定範囲以内の値の焦点検出領域選択指数を示す全ての焦点検出領域を選択し、これら焦点検出領域の中に上記選択手段が前回の焦点調節において最終的に選択した前回選択焦点検出領域が存在している場合には、該前回選択焦点検出領域を今回の焦点調節に用いる焦点検出領域として選択することを特徴とする。
本発明によれば、複数有る焦点検出領域の中から、焦点調節の為に選択される焦点検出領域が、測距動作の度に、ばらつくことを最小限に抑制するカメラの焦点調節装置を提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
[第1実施形態]
以下、カメラとして、一眼レフレックスデジタルカメラ(以降、カメラと略称する)を例に、本実施形態に係るカメラの焦点調節装置を具備したカメラを説明する。図1は本実施形態に係るカメラの焦点調節装置における、焦点検出に関わるシステム構成の概念を示すブロック図である。
まず、参照符号2が付されているのは、複数の焦点検出領域の焦点情報を演算する演算手段としての焦点演算部であり、後述するボディ制御用マイクロコンピュータ(Bucom)内に配置される。この焦点演算部2では、上記Bucomのソフトフェア(ファームウェア)処理により焦点情報(本実施形態では例えばデフォーカス量とする)が演算される。
そして、上記焦点演算部2内には、信頼性演算部3が設けられている。この信頼性演算部3では、上記焦点演算部2における演算結果である焦点情報の信頼性を示す信頼性係数(以降、信頼性値と称する)が演算される。この信頼性値においては、被写体のコントラストが高いほど、高い値の信頼性値となる。したがって、この信頼性値は、焦点検出が可能か否かを判断するための指数として用いられる。そして、この判断を行う判断手段としての機能は、上記Bucomが担う。なお、この信頼性演算部3に上記判断を行う判断手段としての機能を担わせても勿論よい。
また、参照符号4が付されているのは、焦点検出部であり、後述するAFセンサユニット内に配置される。この焦点検出部4により、上記焦点演算部2における焦点情報の演算に要するセンサデータが出力される。なお、本実施形態においては、上記焦点検出部4は、複数の焦点検出領域に対応している。
そして、参照符号6が付されているのは、複数の焦点検出領域の中から焦点調節を行う領域として少なくとも1つの焦点検出領域の選択をする選択手段としての焦点領域選択部である。この焦点領域選択部6では、上記焦点演算部2からの出力に基づいて、複数の焦点検出領域の中から、後述するアルゴリズムに従って、1つの焦点検出領域が選択される。なお、この焦点領域選択部6の機能は、上記Bucomに行わせても、上記Bucomと別体で焦点領域選択部6を設けてもどちらでもよい(本実施形態では、この焦点領域選択部6の機能は上記Bucomが行うとする)。
さらに、参照符号8が付されているのは、焦点領域表示部(後述するスーパーインポーズユニット)である。この焦点領域表示部8により、上記焦点領域選択部6の出力に基づいて選択された焦点検出領域が、ファインダー内に表示される。
以下、図2を参照して、本実施形態に係るカメラの焦点調節装置を具備するカメラの主要部の構成を説明する。図2は、本実施形態に係るカメラの焦点調節装置を具備するカメラの断面図を示している。
まず、本実施形態に係るカメラは、カメラ本体10の正置時における下部に、焦点を検出するための上記焦点検出部4を具備する。
通常時には、撮影レンズ20を通過した光束(被写体像からの光束)は、メインミラー22により、ペンタプリズム24へ入射する方向へ反射される。このペンタプリズム24から射出した後、上記光束は、ファインダー光学系25へ入射し、観察者による観察が可能となる。また、撮影レンズ20を通過した上記光束の一部は、撮影レンズ20を射出後、メインミラー22を透過し、該メインミラー22と一体に取り付けられたサブミラー26で反射され、焦点検出部4に入射する。
この焦点検出部4は、撮影レンズ20を通過した光束を絞り込む視野マスク28と、該光束のうちの赤外光成分をカットする赤外カットフィルタ30と、集光するためのコンデンサレンズ32と、光束を全反射するミラーである全反射ミラー34と、光束の通過量を制限する瞳マスク36と、エリアセンサ38と、該エリアセンサ38上の光電変換素子群(不図示;図3にて参照符号40が付された部材)上に再結像させる再結像レンズ42と、を具備する。ここで、上記エリアセンサ38は、上記光電変換素子群の処理回路を含む。
また、撮影時においては、上記メインミラー22を所定のUP位置までミラーアップさせることで、該メインミラー22及びサブミラー26を退避させる。なお、メインミラー22がUP位置に移動された場合には、それに伴ってサブミラー26は折り畳まれるようになっている。さらに、シャッター部44を所定時間だけ開き、撮影レンズ20を通過した光束により撮像素子46を露光させる構成となる。
そして、カメラ本体10正置時におけるペンタプリズム24の上方には、同図に示すようにスーパーインポーズユニット8が設置される。これにより、ファインダー内に示される被写体画面に重畳して、該スーパーインポーズユニット8によりLED光を投影してファインダー内に点像を表示することができる。
以下、上記焦点検出部4における光学系を中心とした焦点検出光学系について、説明する。ここで、図3は焦点検出光学系を模式的に示す図である。なお、本実施形態における焦点検出方式は、公知のTTL(Through The Lens)位相差AF方式である。
図3に示すように、本実施形態に係るカメラにおける焦点検出光学系は、その光路中に撮影レンズ20、コンデンサレンズ32、撮影レンズ20の光軸に対して略対称に配置された開口部36a,36bを有する瞳マスク36、これら開口部36a,36bに対応した後方に設けた再結像レンズ42a,42b、及びエリアセンサ38を具備する。なお、エリアセンサ38は、多数の光電変換素子からなる光電変換素子群40が配列された領域38a、及び領域38bを有する。
なお、図3においては、焦点検出光学系の光路上に実際には存在するメインミラー22、サブミラー26、視野マスク28、赤外カットフィルタ30、及び全反射ミラー34の図示は省略されている。
このような構成の焦点検出光学系により、撮影レンズ20における射出瞳の領域Ha,Hbを通過して入射した被写体光束は、コンデンサレンズ32を介して瞳マスク36の開口部36a,36bをそれぞれ通過し、さらに再結像レンズ42a,42bをそれぞれ介してエリアセンサ38の有する領域38a,38bにおける光電変換素子群40上に、第1の像及び第2の像としてそれぞれ再結像される。
このようにして再結像した上記第1の像と上記第2の像との間隔を検出測定することにより、撮影レンズ20の合焦状態を、前ピン及び後ピンを含めて検出することができる。
具体的には、第1の像及び第2の像の光強度分布を、それぞれ開口部36a,36bに対応するエリアセンサ38における領域38a及び38bに対応する被写体像データの出力により求めて、上記第1の像と上記第2の像との間隔を測定できる構成としている。
以上、図3を参照して説明した焦点検出光学系は、理解を容易にするために1つの焦点検出領域に対応した構成の焦点検出光学系としたが、同図に示す構成の焦点検出光学系から、複数の焦点検出領域に対応した焦点検出光学系を構成することができるのは言うまでも無い。そして、本実施形態においては、実際に複数の焦点検出領域に対応した焦点検出光学系を構成する。
以下、図4を参照して、本実施形態に係るカメラの焦点調節装置を具備するカメラのシステム構成を説明する。図4は、カメラ内部の回路構成を詳細に示したブロック図である。なお、図2においては説明の焦点を絞る為に、本実施形態に係るカメラをカメラ本体10として示したが、実際には、本実施形態に係るカメラはレンズ鏡筒10aとカメラボディ部10bとから構成されるため、図4においてはそのように示した。
レンズ鏡筒10aの各部の制御はレンズ制御用マイクロコンピュータ(以下、Lucomと称する)101によって行われる。一方、カメラボディ部10bの各部の制御はボディ制御用マイクロコンピュータ(以下、Bucomと称する)201によって行われる。ここで、カメラボディ部10bにレンズ鏡筒10aが装着された際には、通信コネクタ101aを介してLucom101とBucom201とが通信可能に接続される。この場合、カメラシステムとして、Lucom101がBucom201に従属するようにして稼動するようになっている。
また、上述したように、レンズ鏡筒10aの内部には、撮影レンズ20が配設されている。ここで、図4においては、撮影レンズ20を構成する複数の光学レンズを1つの光学レンズで代表して図示している。この撮影レンズ20は、レンズ駆動機構103内に存在する図示しないDCモータにより、その光軸方向に駆動される。
また、撮影レンズ20の後方には絞り104が設けられている。この絞り104は、絞り駆動機構105内に存在する図示しないステッピングモータによって開閉駆動される。絞り104の開閉が制御されることによって、撮影レンズ20を介してカメラボディ部10bに入射する被写体からの光束の光量が制御される。
ここで、レンズ駆動機構103内のDCモータの制御及び絞り駆動機構105内のステッピングモータの制御は、Bucom201の指令を受けたLucom101によって行われる。
また、カメラボディ部10bの内部には、メインミラー22、ペンタプリズム24、ファインダー光学系25から構成されるファインダー装置が設けられている。カメラが通常状態にある場合には、上述したように、撮影レンズ20を介して入射した被写体からの光束の一部がメインミラー22で反射される。これによって、ペンタプリズム24、及びファインダー光学系25を介して観察用の像が形成される。
ここで、ペンタプリズム24の近傍には測光回路204が設けられており、ペンタプリズム24を通過した光束の一部が測光回路204内の図示しないホトセンサに入射するようになっている。測光回路204では、ホトセンサで検出された光束の光量に基づき周知の測光処理が行われる。測光回路204で処理された結果は、Bucom201に送信される。Bucom201では、測光回路204から入力された結果に基づいて撮影時の露光量が演算される。この結果は、Bucom201からLucom101に送信される。Lucom101では、Bucom201から通知された露光量に基づいて絞り104の駆動制御が行われる。
さらに、同図に示すように、ペンタプリズム24上方には、スーパーインポーズユニット8が配置され、ファインダー内の被写体画面に重畳してLED光を投影してファインダー内に点像を表示する。このスーパーインポーズユニット8により、ユーザーは現在選択されている焦点検出領域の情報等を得ることができる。
また、メインミラー22を透過してサブミラー26で反射された光束は自動焦点調節処理(AF処理)を行うためのAFセンサユニットである焦点検出部4に導かれる。焦点検出部4の内部には、上述したようにエリアセンサ(図4では不図示)が設けられており、該エリアセンサ38に入射した光束は電気信号に変換される。このエリアセンサからの出力は、AFセンサ駆動回路206を介してBucom201へ送信される。そして、Bucom201において測距処理が行われ、焦点調節に必要な撮影レンズ20の駆動量が演算される。この結果は、Bucom201からLucom101に送信される。Lucom101では、Bucom201から通知された駆動量に基づいて撮影レンズ20の駆動制御が行われる。
また、カメラが撮影動作状態にあるときには、メインミラー22が撮影レンズ20の光軸から退避する所定のアップ位置に移動される。このようなメインミラー22の駆動は、ミラー駆動機構207によって行われる。また、ミラー駆動機構207の制御は、Bucom201によって行われる。ここで、メインミラー22がアップ位置に移動された場合には、それに伴ってサブミラー26が折り畳まれるようになっている。
メインミラー22がアップ位置に移動されることによって、撮影レンズ20を透過した被写体からの光束はシャッター部44の方向に入射する。フォーカルプレーン式のシャッター部44を構成する先幕と後幕とを駆動するためのばね力は、シャッターチャージ機構209によってチャージされる。また、先幕と後幕の駆動は、シャッター制御回路210によって行われる。これらシャッターチャージ機構209及びシャッター制御回路210は、Bucom201によって制御される。
シャッター部44を通過した光束は、シャッター部44の後方に配置された撮像ユニット211内部の撮像素子46に入射する。この撮像素子46は、撮像素子46と撮影レンズ20との間に配設された防塵フィルタ213によって保護されている。防塵フィルタ213は、例えばガラス等の透明部材で構成されている。
また、防塵フィルタ213の周縁部には、該防塵フィルタ213を所定の振動周波数で振動させるための圧電素子214が取り付けられている。圧電素子214は、2つの電極を有しており、防塵フィルタ駆動回路215によって駆動される。また、防塵フィルタ駆動回路215の制御は、Bucom201によって行われる。防塵フィルタ駆動回路215によって圧電素子214を振動させることによって、防塵フィルタ213が振動する。これによって、防塵フィルタ213の表面に付着した塵埃が払い落とされる。
ここで、撮像素子46と圧電素子214とは、防塵フィルタ213を一面とするケース内に一体的に収納されている。これにより、撮像素子46への塵埃の付着を確実に防止することができる。
また、撮像ユニット211の近傍には、温度測定回路216が設けられている。通常、温度はガラス製の物材の弾性係数に影響する。つまり、温度の変化は防塵フィルタ213の固有振動数を変化させる要因の1つとなるため、防塵フィルタ213を振動させる際には、常にその周辺温度が計測されるようにしている。なお、温度測定回路216の温度測定ポイントは防塵フィルタ213の振動面の極近傍に設定することが好ましい。このように、温度の変化を考慮しながら防塵フィルタ213の振動を制御することにより、常に最適な条件で防塵フィルタ213を振動させることが可能である。
撮像素子46で得られた電気信号(画像信号)は、所定タイミング毎に撮像インターフェイス回路217を介して読み出されてデジタル化される。撮像インターフェイス回路217でデジタル化されて得られた画像データは、画像処理コントローラ218を介してSDRAMなどで構成されたバッファメモリ219に格納される。ここで、バッファメモリ219は、画像データなどのデータの一時保管用メモリであり、画像データに各種処理が施される際のワークエリアなどに利用される。
また、電子ビューファインダー(EVF)表示が行われる時には、撮像インターフェイス回路217を介して読み出され、バッファメモリ219に格納された画像データが画像処理コントローラ218によって読み出される。画像処理コントローラ218によって読み出された画像データは、EVF表示用のホワイトバランス補正などの画像処理が施された後、バッファメモリ219に格納される。その後、バッファメモリ219に格納された画像データは、フレーム単位で画像処理コントローラ218によって読み出されてビデオ信号に変換される。このビデオ信号は、表示用の所定のサイズにリサイズされた後、表示手段としての液晶モニタ222に表示される。
また、撮影終了後には、撮像インターフェイス回路217を介して読み出され、バッファメモリ219に格納された画像データが画像処理コントローラ218によって読み出される。画像処理コントローラ218によって読み出された画像データは、ホワイトバランス補正や、階調補正、色補正などの周知の画像処理が施された後、バッファメモリ219に格納される。その後、バッファメモリ219に格納された画像データが画像処理コントローラ218によって読み出されてビデオ信号に変換され、表示用の所定のサイズにリサイズされた後、液晶モニタ222に出力表示される。ユーザーは、液晶モニタ222に表示された画像により、撮影した画像を確認することができる。
また、画像記録時には、画像処理コントローラ218によって処理された画像データが、JPEG方式などの周知の圧縮方式によって圧縮される。JPEG圧縮によって得られたJPEGデータは、バッファメモリ219に格納された後、所定のヘッダ情報が付加されたJPEGファイルとしてFlashROM220や記録メディア221に記録される。ここで、FlashROM220はカメラに内蔵のメモリを想定しており、記録メディア221はカメラの外部に装着され得るものを想定している。記録メディア221としては、例えばカメラに着脱自在に構成されたメモリカードやハードディスクドライブなどが用いられる。
また、FlashROM220や記録メディア221に記録されたJPEGファイルから画像を再生する際には、FlashROM220や記録メディア221に記録されたJPEGデータが画像処理コントローラ218によって読み出されて伸長される。その後、この伸長データがビデオ信号に変換された後、表示用の所定のサイズにリサイズされ、液晶モニタ222に出力表示される。
また、Bucom201には、カメラ制御に必要な所定の制御パラメータを記憶する不揮発性メモリ223がアクセス可能に接続されている。この不揮発性メモリ223は、例えば書き換え可能なEEPROMで構成されている。
更に、Bucom201には、電源回路224を介して電源としての電池225が接続されている。電源回路224では、電池225の電圧が、当該カメラシステムの各部が必要とする電圧に変換され、当該カメラシステムの各部に供給される。
更に、Bucom201には、当該カメラの動作状態を表示出力によってユーザーに告知するための動作表示用LCD226と、当該カメラの各種操作部材の操作状態を検出するためのカメラ操作SW(カメラ操作スイッチ)227とが接続されている。
以下、図5に示すフローチャートを参照して、本実施形態に係るカメラ焦点調節装置を具備するカメラの撮影時におけるBucom201での動作制御を説明する。ここで、図5に示すフローチャートの各処理は、ユーザーによってレリーズボタン(不図示)が半押しされた時点で開始される。
なお、撮影準備動作及び露光動作を実行させるためのボタンであるレリーズボタンは、本実施形態では、2段式の押し下げボタンとなっており、レリーズボタンが半押し(第1段階)操作されることによってカメラ操作SW227の1つである第1レリーズSWがONされる。また、レリーズボタンが全押し(第2段階)操作されることによって、同じく第2レリーズSWがONされる。
まず、ユーザーによってレリーズボタンが半押しされると、カメラ操作SW227の第1レリーズSWがONされる。これに応じて、Bucom201は、測光回路204に測光処理を行わせて輝度データを生成させ、その結果を用いて露光量を演算する(ステップS1)。次に、測距及びレンズ駆動ステップを行う(ステップS2)。なお、このステップS2に関しては、後に図6を参照して詳述する。
その後、ユーザーによって第2レリーズSWがONされたか否か、即ちカメラ操作SW227のレリーズボタンが全押しされたか否かを判定する(ステップS3)。ステップS3において、第2レリーズSWがONされていないと判定した場合には、第1レリーズSWがONのままであるか否かを判定する(ステップS4)。このステップS4の判定において、第1レリーズSWがONのままであると判定した場合には、上記ステップS1に戻る。一方、上記ステップS4の判定において、第1レリーズSWがOFFされたと判定した場合には、図5に示すフローチャートの処理を終了して、図示しないメインの処理に復帰する。
ところで、上記ステップS3の判定において、カメラ操作SW227の第2レリーズSWがONされたと判定した場合には、ミラー駆動機構207によりメインミラー22をアップ位置に移動させる(ステップS5)。
続いて、上記ステップS1で演算された露光量に基づいて、Lucom101に絞り駆動機構105を介して絞り104の絞り込みを行わせる(ステップS6)。次に、撮像インターフェイス回路217及び画像処理コントローラ218を介して、撮像素子46の撮像動作を開始させる(ステップS7)。
その後、上記ステップS1で演算された露光量に基づいてシャッター部44の開閉駆動を、シャッターチャージ機構209及びシャッター制御回路210を介して行う(ステップS8)。シャッター部44が閉じられた後、撮像インターフェイス回路217及び画像処理コントローラ218を介して、撮像素子46の撮像動作を停止させる(ステップS9)。
上記撮像素子46で得られた電気信号(画像信号)は、所定タイミング毎に撮像インターフェイス回路217を介して読み出されてデジタル化されるので、Bucom201は、画像処理コントローラ218に、このデジタル化されて得られた画像データに対してホワイトバランス補正や、階調補正、色補正などの周知の画像処理を施させる(ステップS10)。
その後、上記画像処理コントローラ218に、その画像処理を施した画像データをバッファメモリ219に格納させる(ステップS11)。なお、バッファメモリ219は、高速連写によって撮影される多数の画像データを一時格納するのに十分な容量を有しているものである。
次に、絞り駆動機構105に絞り104を開放させ(ステップS12)、ミラー駆動機構207にメインミラー22をダウン位置に移動させる(ステップS13)。
続いて、上記バッファメモリ219、又はBucom201内部の不図示のメモリに保持した情報により、カメラの動作モードが連写モードに設定されているか否かを判定する(ステップS14)。ここで、連写モードであると判定した場合は、カメラ操作SW227の第2レリーズSWがONのままであるか否かを判定する(ステップS15)。
上記ステップS15において、カメラ操作SW227の第2レリーズSWがOFFされたと判定した場合は、連写撮影が終了される。すなわち、この場合には、画像処理コントローラ218にバッファメモリ219に格納された上述の撮影のコマ数だけの画像データを読み出させ、所定の圧縮処理を行わせて、そのコマ数だけの画像ファイルを作成させる(ステップS20)。つまり、連写による撮影の各々のコマに対応する画像ファイル作成を行わせる。
上記ステップS20において、カメラ操作SW227の第2レリーズSWがONのままであると判定した場合は、次の画像の撮影が実行される。即ち、再び測光回路204により測光処理を行って露光量を演算する(ステップS16)。さらに、上記ステップS2と同様の測距及びレンズ駆動ステップを行う(ステップS17)。その後、上述したステップS5に戻り、前述した処理を繰り返す。
なお、本実施形態では、コマ毎に作成された画像ファイルのヘッダ情報に、ステップS2及びステップS17で生成された焦点データとステップS1及びステップS16で生成された輝度データとを記録しておくようにする。
ところで、上記ステップS14において、連写モードではないと判定された場合は、画像処理コントローラ218に、単写撮影による画像データの画像ファイル作成を行わせる(ステップS18)。
そして、上記ステップS18及び上記ステップS20において作成された画像ファイルを、上記画像処理コントローラ218により、記録メディア221(又はFlashRom220)に記録させる(ステップS19)。
その後、ステップS21にて、カメラ操作SW227の第1レリーズSWがONのままであるか否かを判定する。ここで、第1レリーズSWがONのままであると判定した場合には、上記ステップS1に戻る。一方、このステップS21の判定において、第1レリーズSWがOFFされたと判定した場合には、図5に示すフローチャートの処理を終了して、図示しないメインの処理に復帰する。
以下、図6に示すフローチャートを参照して、図5に示すフローチャートにおけるステップS2及びステップS17の測距及びレンズ駆動ステップのサブルーチンを説明する。
まず、AFセンサ駆動回路206を介して、焦点検出部4に、AFセンサ(不図示)の電荷蓄積(積分)動作を開始させる(ステップS31)。
続いて、上記ステップS31で開始させた積分動作の終了を待つ(ステップS32)。なお、この積分動作の終了は、上記AFセンサ内の積分モニタ回路(不図示)によるハードウェア処理によってなされる。すなわち、積分動作が終了すると、上記積分モニタ回路によりその旨(積分動作の終了信号)がBucom201に通知される。
つまり、マイクロコンピュータの割り込み検知機能によって、Bucom201により、積分動作の終了信号が受信されるまでは、Bucom201はAF以外の演算処理が実行可能である。
上記ステップS32において、積分動作の終了信号を受信すると、上記AFセンサ駆動回路206に、上記AFセンサにおけるセンサデータの読出しを行わせる(ステップS33)。
なお、本実施形態において、焦点検出領域の選択モードに関しては、ユーザーによるカメラ操作SW227内のAF領域選択SW(不図示)の操作で、任意の1焦点検出領域が選択されるモード、及び後述する所定のアルゴリズムに従って、全焦点検出領域の中から自動的に1焦点検出領域が選択されるマルチAFモードに設定することが出来る。
上記ステップS33では、ユーザーにより任意の1焦点検出領域が選択されている場合には、該焦点検出領域のみのセンサデータを読出し、上記マルチAFモードに設定されている場合も同様に、まずは所定の1領域のみのセンサデータを読出す。
上記ステップS33にて読出されたセンサデータに対して、続いて公知の相関演算を行う(ステップS34)。なお、図3を参照して説明したように、上記AFセンサは左右の領域に分かれており、上記ステップS34では、左センサデータと右センサデータとの相関値が演算される。そして、この相関値の演算は、以下に示す(式1)にて行われる。
相関値F=Σ|DR(i)−DL(i)| …(式1)
(i=1〜相関ブロック内画素数)
DL(i):左センサデータの出力値、DR(i):右センサデータの出力値
続いて、上記ステップS34にて演算された相関値に基づいて、このセンサデータにおける上記信頼性値を演算する(ステップS35)。
その後、全ての焦点検出領域に対して上記相関演算及び上記信頼性演算(ユーザーが1領域のみ選択している場合にはその1領域のみ終了していればで良い)が終了したか否かを判断する(ステップS36)。このステップS36において、まだ全ての焦点検出領域に対して上記相関演算及び上記信頼性演算が終了していないと判断した場合は、ステップS33に戻って、残りの焦点検出領域に対しても、上記ステップS33から上記ステップS35における処理を行う。
そして、全ての焦点検出領域に対して、当該焦点検出領域において焦点検出不能(測距不能)であるか否かの判断を、上記信頼性値に基づいて行う(ステップS37)。なお、上述したように、信頼性値は焦点検出可能か否かを判断するための指標となる数値であり、この信頼性値に基づいて信頼性が低いと判断した場合には、後述する測距不能時の処理へ移行する。
ここで、全ての焦点検出領域において焦点検出不能であると判断した場合(例えば、全ての焦点検出領域においてローコントラストの場合)には、レンズスキャン動作が一度は行われているか否かを判断する(ステップS38)。
なお、上記レンズスキャン動作とは、焦点検出不能である場合に、撮影レンズを無限〜至近までの全域を駆動しながら同時に焦点検出動作も行い、焦点検出可能になる領域をサーチする公知の動作である。また、このレンズスキャン動作は、1コマ目に限って1回のみしか実行しない。
上記ステップS38において、レンズスキャン動作が一度行われていると判断した場合は、このサブルーチンを終了して不図示の測距不能表示のシーケンスに移行する。この測距不能表示のシーケンスでは、例えばファインダー内に示される被写体画面に重畳して、上記スーパーインポーズユニット8によりLED光を投影してファインダー内に点像を表示することで、測距不能な旨をユーザーに知らせる。
一方、上記ステップS38において、レンズスキャン動作が一度も行われていないと判断した場合は、連写2コマ目以降であるか否かを判断する(ステップS39)。このステップS39において、連写2コマ目以降であると判断した場合には、上述した不図示の測距不能表示のシーケンスに移行する。すなわち、一度でもレンズスキャン動作が行われており且つ連写モードで撮影2コマ目以降の場合には、図6に示すサブルーチンを終了して、不図示の測距不能表示のシーケンスに移行する。
他方、上記ステップS39において、連写2コマ目以降ではないと判断した場合には、このサブルーチンを終了して不図示のレンズスキャン動作のシーケンスに移行する。なお、上記レンズスキャン動作は、上述のように1コマ目に限って1回のみしか実行しない。すなわち、一度もレンズスキャン動作が行われておらず且つ撮影1コマ目の場合にのみ、図6に示すサブルーチンを終了して、不図示のレンズスキャン動作のシーケンスに移行する。
ところで、上記ステップS37にて全ての焦点検出領域が測距不能であるわけではないと判断した場合は、測距可能な焦点検出領域に対応する相関演算の結果に基づいて、公知の位相差演算を行って、左センサデータと右センサデータとの間の2像間隔値を演算する(ステップS40)。なお、この2像間隔値は以下の式で演算される。
FM>FPのとき、2像間隔値ZRは、
ZR=SFTR−SFTL+0.5×(FM−FP)/(FM−FMIN) …(式2)
FP≧FMのとき、2像間隔値ZRは、
ZR=SFTR−SFTL−0.5×(FP−FM)/(FP−FMIN) …(式3)
ここで、図7を参照して、上式における各値、上記相関演算、上記センサデータ、上記信頼性係数、及び上記2像間隔値について説明し、その後本フローチャートの説明に戻る。
図7(a)は、複数の焦点検出領域のうちの或る1つの焦点検出領域に対応したエリアセンサ38の一部を示す図である。ここで、横軸はそのエリアセンサ38の画素の配置を示している。すなわち、左(L)と右(R)のラインにそれぞれ60画素のセンサが配置されている。また、ハッチングされているブロックが、相関演算の対象となる相関ブロックであり、この相関ブロック内の出力に対して上式の相関値Fを演算する。なお、図7(a)では示していないが、一画素毎にシフトしていきながら全画素に対して相関値Fを演算する。
図7(b)は、センサ出力を画素順に示したグラフの一例を示す図である。同図に示すように、各画素の出力を結んだグラフにおいて、相関ブロック内の最大センサデータ出力と最小センサデータ出力との差を、コントラスト値CONTと定義する。なお、AFセンサの出力について、各画素の出力はアナログ電圧として上記Bucom201に出力され、上記Bucom201が、上記出力を順次A/D変換していくことで、デジタルデータとしてAFセンサのセンサ出力を取得する。
図7(c)は、縦軸に相関値F、横軸に後述する“ずれ量”を取ったグラフを示す図である。以下、信頼性係数と2像間隔値について説明する。上述した相関演算を上記全画素に渡って行った後、最小の相関値を示す相関ブロックに注目し、該相関ブロックの相関値をFMINと定義する。さらに、この相関ブロックの左右それぞれのブロックにおける先頭アドレス(先頭からの画素数:図7(a)の横軸参照)を、それぞれSFTR、SFTLと定義する。そして、このときのSFTR−SFTLの値が“ずれ量”(2像間隔)の整数値である。
さらに、最小の相関値を示す相関ブロックの隣のブロック(ずれ量が1大きいブロック及ずれ量が1小さいブロック)における相関値を、それぞれFP及びFMと定義する。このときに補間した真の最小相関を与える2像間隔値が、上記(式2)又は上記(式3)により求まる。
なお、上記ステップS35における、焦点検出可能か否かを判断するための信頼性係数である信頼性値は、以下の式から求まる。
(1)FM>FPのとき
第1信頼性値SK1=FM−FMIN …(式4)
第2信頼性値SK2=(FMIN+FP)/SK1 …(式5)
(2)FP≧FMのとき
第1信頼性値SK1=FP−FMIN …(式6)
第2信頼性値SK2=(FMIN+FM)/SK1 …(式7)
ここで、これら2種類の信頼性値SK1及びSK2に関して、信頼性値SK1については大きい値である程高い信頼性であることを示し、信頼性値SK2については小さい値であるほど高い信頼性であることを示す。
なお、上記コントラスト値CONTも信頼性の判定に使用することが可能である。ここで、上記コントラスト値CONTの値が大きい値であることは、被写体のコントラスト値が高いことを示すので、信頼性が高いことを示す。したがって、上記コントラスト値CONTを、上記信頼性値の代わりに、測距可能か否かの判定に用いてよい。
以下、図6に示すフローチャートの説明に戻る。
上記ステップS40にて演算した2像間隔値から、撮影レンズ20のデフォーカス量を演算し、このデフォーカス量に補正を行って最終的なデフォーカス量を算出する(ステップS41)。ここで、デフォーカス量DFは以下の式にて演算される。
DF=DFKB/(DFKA−(ZR−ZR0))−DFKC …(式8)
DFKA、DFKB、及びDFKC:焦点検出部4の光学系によって決まる定数
ZR0:FlashRom220に格納されている合焦時のZRであり、工場出荷時にボディ毎に調整されている
なお、デフォーカス量補正は、例えば温度、撮影レンズ20の収差情報、及び撮像素子46の光軸方向の取り付け誤差等の項目によってそれぞれ補正を行い、そのために必要な情報は前もって温度測定回路216やLucom101などから送信されている。
上記ステップS41にてデフォーカス量演算及び補正を行った後は、全ての焦点検出領域の中から、焦点調節を行う為の焦点検出領域として、所定のアルゴリズムによって1つの焦点検出領域を選択する(ステップS42)。なお、ユーザーにより1つの焦点検出領域が選択されている場合にはその焦点検出領域が選択される。また、このステップS42については、後に別の図8を参照して詳述する。
続いて、上記ステップS41にて演算したデフォーカス量の中から、上記ステップS42にて最終的に選択した焦点検出領域に対応するデフォーカス量を、Lucom101に送信する(ステップS43)。
その後、Lucom101は、上記ステップS43にて送信されて来たデフォーカス量に基づいて、撮影レンズ20の駆動量を演算し(ステップS44)、その駆動量に基づいてレンズ駆動機構103に、撮影レンズ20の位置を合焦位置に駆動させる(ステップS45)。なお、上記ステップS44及びステップS45は、Lucom101による動作制御であるので、図6のフローチャートでは破線にて示している。
一方、Bucom201は、上記ステップS43にて、最終的に選択した焦点検出領域に対応するデフォーカス量をLucom101に送信した後、上述したスーパーインポーズユニット8に、上記ステップS42において選択した焦点検出領域をファインダー内に表示させる(ステップS46)。なお、このステップS46と、上記ステップS44及び上記ステップS45とは、並行して同時に処理を行っても勿論よい。そして、ステップS46、ステップS44及びステップS45の処理が終了した後、図5に示すフローチャートに戻る。
以下、図8(a),(b)を参照して、図6に示すフローチャートにおけるステップS42であるマルチAF選択について説明する。ここで、図8(a)は、図13(a)を参照して上述した11点16ライン焦点検出領域配置の場合における、16ライン分の検出デフォーカス量を横軸に、各焦点検出領域における測距結果の信頼性を縦軸にとったグラフである。ただし、被写体は図13(b)とは異なる被写体(不図示)である。また、図8(b)は、図6に示すフローチャートにおけるステップS42であるマルチAF選択のサブルーチンを示すフローチャートである。
ここでは、前回の焦点検出領域選択の結果では、焦点調節を行う焦点検出領域として焦点検出領域《2》が最終的に選択されており、今回の測距結果では焦点検出領域《1》が最至近のデータを示しているとする。以下、このような状況設定の下、図8(b)に示すマルチAF選択のサブルーチンのフローチャートを説明する。
まず、ユーザーによるカメラ操作SW227内の不図示のAF領域選択SWの操作によって、複数の焦点検出領域うちの、非クロスラインである焦点検出領域《11》〜《16》の何れかが選択されているか否かを判断する(ステップS51)。
上記ステップS51をN分岐する場合は、クロスラインである焦点検出領域《1》〜《10》の何れかがユーザーにより選択されている場合であり、この場合は実質的に2ラインが選択されていることを意味するので、以降マルチAFの処理を行う。すなわち、まず焦点検出可能な焦点検出領域が複数あるか否かを判断する(ステップS52)。
上記ステップS51において非クロスラインである焦点検出領域《11》〜《16》の選択がなされていると判断した場合、及び上記ステップS52において焦点検出可能な焦点検出領域が複数ではないと判断した場合は、ステップS53へ進む。すなわち、焦点調節を行い得る焦点検出領域として、1領域のみしか候補の焦点検出領域が無い場合には、その焦点検出領域を最終的な選択領域と決定する(ステップS53)。
一方、上記ステップS52において、焦点検出可能な焦点検出領域が複数あると判断した場合には、それら複数の焦点検出領域の中から、図6に示すフローチャートのステップS41にて演算したデフォーカス量に基づいて、“最至近のデータを示す焦点検出領域”を選び出す(ステップS54)。なお、図8(a)に示す例において、“最至近のデータを示す焦点検出領域”は焦点検出領域《1》である。
続いて、“最至近のデータを示す焦点検出領域”から“所定デフォーカス量”範囲以内のデータを示す焦点検出領域を選択する(ステップS55)。図8(a)に示す例では焦点検出領域《5》,《1》,《3》,《2》,《6》,《13》,《8》,《16》,及び《9》である。
その後、前回のAFにて最終的に選択した焦点検出領域を、当該カメラの有する記憶手段であるメモリ(不図示)から読み出す(ステップS56)。図8(a)に示す例では焦点検出領域《2》である。
そして、上記ステップS56で読み出した前回のAFにて最終的に選択した焦点検出領域が、上記ステップS55で選択した焦点検出領域の中(図8(a)に示すスレッシュ内)に存在するか否かを判断する(ステップS57)。
上記ステップS57をY分岐する場合、すなわち前回のAFにて最終的に選択した焦点検出領域が、今回のAFでの最至近領域から所定デフォーカス量以内のデータを示す焦点検出領域の中に存在する場合、前回において最終的に選択した焦点検出領域を、今回においても焦点調節の為の焦点検出領域として最終的に選択する(ステップS58)。なお、図8(a)に示す例では焦点検出領域《2》である。
一方、上記ステップS57をN分岐する場合、すなわち前回のAFにて最終的に選択した焦点検出領域が、今回のAFでの最至近領域から所定デフォーカス量以内のデータを示す焦点検出領域の中に存在しない場合(図8(a)に示す例で焦点検出領域《2》がスレッシュ内に存在しないとした場合)、前回の選択は無視し、今回における最至近のデータを示す焦点検出領域を、焦点調節に用いる焦点検出領域として最終的に選択する(ステップS59)。なお、図8(a)に示す例では領域《1》である。
上記ステップS53、上記ステップS58、及び上記ステップS59における処理を終えた後には、上記ステップS53、上記ステップS58、及び上記ステップS59において最終的に選択した焦点検出領域を、次回のために上記メモリに記憶させる(ステップS60)。その後、図6に示すフローチャートに戻る。
以上説明したように、本実施形態によれば、複数有る焦点検出領域の中から、焦点調節の為に選択される焦点検出領域が、測距動作の度に、ばらつくことを最小限に抑制するカメラの焦点調節装置を提供することができる。
具体的には、焦点検出可能な焦点検出領域が複数ある場合には、それら複数の焦点検出領域の中で、“最至近のデータを示す焦点検出領域”との差が“所定デフォーカス量”以内である焦点検出領域の中に、前回のAFにおいて最終的に選択した焦点検出領域がある場合は、その焦点検出領域を選択する。一方、“最至近のデータを示す焦点検出領域”との差が“所定デフォーカス量”以内である焦点検出領域の中に、前回のAFにおいて最終的に選択した焦点検出領域が無い場合は、最至近のデータを示す焦点検出領域を選択する。すなわち、本実施形態に係るカメラの焦点調節装置は、上述したようなアルゴリズムにより焦点調節に用いる為の焦点検出領域を選択するため、焦点調節の為に選択される焦点検出領域が測距動作の度にばらつくことを、最小限にまで抑制することができるカメラの焦点調節装置であると言える。
[第2実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第2実施形態を説明する。
上記第1実施形態と本実施形態との大きな相違点は、焦点調節に用いる為の焦点検出領域の選択に関して“焦点検出領域選択指数”という概念を導入する点である。そして、この焦点検出領域選択指数は、後述する“重み付け指数”を用いて算出される。
上記相違点に伴い、本実施形態では、図6に示すフローチャートにおけるステップS42であるマルチAF選択のサブルーチンが、上記第1実施形態におけるそれと異なる。以下、本実施形態に特有の部分を中心に説明し、上記第1実施形態と重複する内容は基本的には省略する。
図9(a)は、図8(a)と同様に16ラインの焦点検出領域のデフォーカス量とその測距結果の信頼性の一例を示す図である。ここで、横軸にはデフォーカス量(右に行くほどプラスデフォーカス、すなわちより至近距離である)、縦軸には測距結果の信頼性(信頼性値もしくは被写体のコントラスト値)が示されている。なお、各領域の測距結果は図8(a)に示す測距結果とは異なっている。そして、本実施形態においては、上記信頼性の値を6段階に分類している。そして、信頼性が高い順に第1信頼性領域、第2信頼性領域、…、第5信頼性領域、第6信頼性領域となっている。
そして、このように6段階に分類した各信頼性領域に基づいて、各焦点検出領域に対してそれぞれ重み付け指数を割り当てる為の指数換算を示す表が図9(b)に示す表である。本実施形態では、このように重み付け指数を設定することで、信頼性の高低を焦点検出領域の選択に反映させる。なお、これ以降、信頼性領域に基づいて割り当てる重み付け指数を、信頼性重み付け指数と称する。
図9(c)は、過去3回の測距結果の来歴(当該焦点検出領域が選択されたか否かの選択実績)に基づいて、各焦点検出領域に重み付け指数を割り当てる為の指数換算(選択重み付け指数)を示す表である。第2実施形態では、このように重み付け指数を設定することで、過去における当該焦点検出領域の選択実績を、今回の焦点検出領域選択に反映させる。なお、これ以降、前回における選択実績に基づいて割り当てた重み付け指数を前回選択重み付け指数、前々回における選択実績に基づいて割り当てた重み付け指数を前々回選択重み付け指数、3回前における選択実績に基づいて割り当てた重み付け指数を3回前選択重み付け指数、と称する。
なお、本実施形態では、各回のAFにおいて、最終的に選択された焦点検出領域、及び該焦点検出領域に対応する信頼性値は、上記記憶手段(不図示)に記憶される。また、それらは、過去3回分のAFにおけるものまで上記記憶手段に保持される。
ここで、最終的に選択された焦点検出領域及びその信頼性値は、過去3回分のAFにおけるものまで上記記憶手段に保持されるとしたが、少なくとも1回以上過去のAFにおけるものが上記記憶手段に保持されておれば良く、“過去3回”に限定されるものではないことは勿論である。
以上の図9(a)〜図9(c)を参照して、本実施形態におけるマルチAF選択のサブルーチンである図9(d)に示すフローチャートを説明する。なお、同フローチャートに示すステップS51〜ステップS55は、図8(b)を参照して説明したステップと同様の処理を行うステップであるので、ここでは説明を省略する。
上記ステップS55にて“最至近のデータを示す焦点検出領域”から“所定デフォーカス量”範囲以内のデータを示す焦点検出領域を選択した後、本実施形態では過去3回の測距来歴(最終的に選択された焦点検出領域及び該焦点検出領域に対応した信頼性値)を、上記記憶手段(不図示)から読み出す(ステップS61)。
続いて、最至近のデータを示す焦点検出領域(図9(a)に示す例では焦点検出領域《1》)から“所定デフォーカス量”範囲以内のデータを示す各焦点検出領域(図9(a)の例では焦点検出領域《1》,《2》,《3》,《5》,《6》,《8》,《9》,《13》,及び《16》)に関して、図9(b)及び図9(c)に示す表に基づいて、例えば以下に示す式で焦点検出領域選択指数を演算する(ステップS62)。
焦点検出領域選択指数=今回の信頼性領域の重み付け指数+(前回の信頼性重み付け指数×前回選択重み付け指数)+(前々回の信頼性重み付け指数×前々回選択重み付け指数)+(3回前の信頼性重み付け指数×3回前選択重み付け指数) …(式9)
その後、上記ステップS62にて演算した焦点検出領域選択指数が最も高い値である焦点検出領域を、今回における最終的な焦点検出領域と決定する(ステップS63)。
そして、今回における最終的に選択した焦点検出領域及び該焦点検出領域に対応した信頼性値を、上記記憶手段に記憶させる(ステップS64)。その後、図6に示すフローチャートへ戻る。
以上説明したように、本実施形態によれば、測距動作の度に、複数有る焦点検出領域の中から選択される焦点検出領域がばらつくことを最小限に抑制するカメラの焦点調節装置を提供することができる。
具体的には、本実施形態においては“焦点検出領域選択指数”という概念を導入することで、最新の信頼性結果と共に、過去のAFにおける焦点検出領域の選択実績をも加味して今回の焦点検出領域を選択するので、測距動作の度に、複数有る焦点検出領域の中から選択される焦点検出領域がばらつくことを小さくすることができ、かつ信頼性結果のより高い測距結果を選択できるので、合焦精度も高くなると言える。
なお、焦点検出領域における焦点情報を演算する演算手段を例えば第1の演算手段とすると、この第1の演算手段は、例えば上記第1実施形態における焦点演算部2に相当し、上記Bucom内に配置される。一方、本実施形態において、重み付け演算を行って上記焦点検出領域選択指数を算出する演算手段を例えば第2の演算手段とすると、この第2の演算手段も、上記第1の演算手段と同様上記Bucom内に配置される構成としても良いし、上記Bucomとは別体として設けても勿論よい。
なお、本実施形態では、各回のAFにおいて上記記憶手段に記憶させる(上記ステップS64参照)ものとして、最終的に選択された焦点検出領域及び該焦点検出領域に対応した“信頼性値”としたが、“信頼性値”の代わりに“信頼性重み付け指数”を記憶させても勿論よい。また、この場合も、上述した本実施形態における効果と全く同様の効果を奏することができることは言うまでも無い。
[第3実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第3実施形態を説明する。
上記第2実施形態と本実施形態との大きな相違点は、マルチAF選択のサブルーチンである。上記第2実施形態においては焦点検出領域選択指数の最も高い焦点検出領域を最終的に選択したが、本第3実施形態においては、最も高い焦点検出領域選択指数から所定範囲内の値の焦点検出領域選択指数を有する焦点検出領域の中に、前回選択した焦点検出領域が存在するか否かを判断する処理を行う。そして、最も高い焦点検出領域選択指数から所定範囲内の値の焦点検出領域選択指数を有する焦点検出領域の中に、前回選択した焦点検出領域が存在した場合には、その焦点検出領域(前回選択された焦点検出領域)を選択する。一方、最も高い焦点検出領域選択指数から所定範囲内の値の焦点検出領域選択指数を有する焦点検出領域の中に、前回選択した焦点検出領域が存在しない場合には、焦点検出領域選択指数の最も高い焦点検出領域を選択する。
以下、上記第1実施形態または上記第2実施形態と重複する内容は基本的には省略し、上記相違点を中心に説明する。
図10(a)は、16ラインの焦点検出領域のデフォーカス量とその領域選択指数の一例を示す図である。ここで、横軸にはデフォーカス量(右に行くほどプラスデフォーカス、すなわちより至近距離である)、縦軸には焦点検出領域選択指数(上へ行くほど高い値となる)が示されている。なお、各領域の測距結果は図9(a)に示す例とは異なっている。また、焦点検出領域選択指数は、上記第2実施形態にて示した式を用いた演算による値である。
以下、図10(a)を参照しながら、図10(b)に示すマルチAF選択のサブルーチンを示すフローチャートを説明する。
まず、同フローチャートにおいて、ステップS51〜ステップS55及びステップS61〜ステップS62は、上記第2実施形態で説明した図9(b)に示すフローチャートにおける同名のステップと同様の処理を行うステップである。したがって、それらのステップに関しては、ここでは説明を省略する。
上記ステップS62において、最至近のデータを示す焦点検出領域(図10(a)に示す例では焦点検出領域《12》)から、“所定デフォーカス量”範囲以内のデータを示す各焦点検出領域(図10(a)の例では焦点検出領域《1》,《2》,《6》,《8》,《9》,《11》,《12》,及び《15》)に関して、図9(b)及び図9(c)に示す表に基づいて、例えば以下に示す式で焦点検出領域選択指数を演算した(ステップS62)後に、ステップS65では、最も高い焦点検出領域選択指数から所定範囲内の値の焦点検出領域選択指数を持つ焦点検出領域(図10(a)の例では、領域《1》,《2》,及び《12》)を全て選択する。
続いて、前回のAFにおいて選択した焦点検出領域が、上記ステップS65にて選択した焦点検出領域の中に存在するか否かを判断する(ステップS66)。
上記ステップS66において、前回選択した焦点検出領域が、上記ステップS65にて選択した焦点検出領域の中に存在しないと判断した場合は、最も焦点検出領域選択指数の値が高い焦点検出領域を、焦点調節の為の焦点検出領域として最終的に選択する(ステップS67)。
一方、上記ステップS66において、前回選択した焦点検出領域が、上記ステップS65にて選択した焦点検出領域の中に存在すると判断した場合は、その焦点検出領域(前回選択した焦点検出領域)を、焦点調節の為の焦点検出領域として最終的に選択する。
上記ステップS53、上記ステップS67、及び上記ステップS58のうち何れかのステップを経た後、今回における最終的な焦点検出領域及び信頼性値を、上記記憶手段に記憶させる(ステップS64)。その後、図6に示すフローチャートへ戻る。
以上説明したように、本実施形態によれば、測距動作の度に、複数有る焦点検出領域の中から選択される焦点検出領域がばらつくことを最小限に抑制するカメラの焦点調節装置を提供することができる。
具体的には、信頼性、過去の焦点検出領域選択実績、及び焦点検出領域選択指数を考慮して焦点検出領域の選択を行うことで、毎回の焦点検出領域選択結果のばらつきを小さくすることができ、且つ信頼性結果の高い測距結果が選択されるので合焦精度も高くなる。
なお、本実施形態は上述した以外にも、本実施形態の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形実施が可能である。ここでは、図10(b)に示すフローチャートにおけるステップS67を、他の処理を行うステップに変えた例を挙げる。以下、図11(a),(b)に示すフローチャートを参照して、2つの例を挙げて説明する。
まず、図11(a)に示す例では、上記ステップS67をステップS67Aとし、以下のような処理を行う。すなわち、上記ステップS66において、前回選択した焦点検出領域が上記ステップS65にて選択した焦点検出領域の中に存在しないと判断した場合は、上記ステップS65にて選択した焦点検出領域の中から、最至近のデータを示す焦点検出領域(図10(a)に示す例では、焦点検出領域《12》)を、焦点調節の為の焦点検出領域として選択する(ステップS67A)。
また、図11(b)に示す例では、上記ステップS67をステップS67Bとし、以下のような処理を行う。すなわち、上記ステップS66において、前回選択した焦点検出領域が上記ステップS65にて選択した焦点検出領域の中に存在しないと判断した場合は、上記ステップS65にて選択した焦点検出領域の中から、ファインダー内において最も中央部に近い焦点検出領域(図10(a)に示す例では、焦点検出領域《1》もしくは《2》)を、焦点調節に用いる焦点調節領域として選択する(ステップS67B)。
以上説明したように、上記第3実施形態におけるマルチAF選択のサブルーチンを図11(a),(b)に示したフローチャートによるマルチAF選択のサブルーチンに代えても、上記第3実施形態と同様の効果を奏するカメラの焦点調節装置を提供することができる。
[第4実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の第4実施形態を説明する。
上記第3実施形態と本実施形態との大きな相違点は、マルチAF選択のサブルーチンである。以下、本実施形態に特有の部分を中心に説明し、上記第1実施形態乃至上記第3実施形態と重複する内容の説明は基本的には省略する。
図12は、第4実施形態におけるマルチAF選択のサブルーチンを示すフローチャートである。なお、ここでは図10(a)に示す16ラインのデフォーカス量とその測距結果の信頼性値の一例を示すグラフを参照して、図12に示すフローチャートを説明する。
まず、ステップS51〜ステップS55、ステップS61、ステップS62、及びステップS65は、上記第3実施形態において説明した図10(b)に示すフローチャートにおける同名のステップと同様の処理を行うステップである。したがって、ここではこれらのステップについての説明は省略する。
そして、上記ステップS65において選択された、最も高い焦点検出領域選択指数から所定範囲内の値の焦点検出領域選択指数を持つ焦点検出領域の中から、ファインダー内において最も中央部に近い焦点検出領域(図10(a)に示す例では、焦点検出領域《1》もしくは焦点検出領域《2》)を、焦点調節の為の焦点検出領域として、最終的に選択する。(ステップS70)。
上記ステップS53、及び上記ステップS64のうち何れかのステップを経た後、今回における最終的な焦点検出領域及び信頼性値を、上記記憶手段に記憶させる(ステップS64)。その後、図6に示すフローチャートへ戻る。
以上説明したように、本実施形態によれば、測距動作の度に、複数有る焦点検出領域の中から選択される焦点検出領域がばらつくことを最小限に抑制するカメラの焦点調節装置を提供することができる。
具体的には、焦点検出領域選択指数に基づいた焦点検出領域の選択を行うことで、毎回の焦点検出領域選択結果のばらつきを小さくすることができ、しかもファインダー内における中央部付近を重視した焦点検出領域の選択でもあるので、上記第1実施形態乃至上記第3実施形態と同様の効果を奏する上に、上記第1実施形態乃至上記第3実施形態に係るカメラの焦点調節装置に比べて、主要被写体に対する合焦度が高いカメラの焦点調節装置を提供することができる。
以上、第1実施形態乃至第4実施形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形及び応用が可能なことは勿論である。
さらに、上述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件の適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成も発明として抽出され得る。
本発明の第1実施形態に係るカメラの焦点調節装置における焦点検出に関わるシステム構成の概念を示すブロック図。 本発明の第1実施形態に係るカメラの焦点調節装置を具備するカメラの主要部の構成を示す断面図。 本発明の第1実施形態に係るカメラの焦点調節装置を具備するカメラの焦点検出光学系を模式的に示す図。 本発明の第1実施形態に係るカメラの焦点調節装置を具備するカメラのシステム構成を示す図。 本発明の第1実施形態に係るカメラ焦点調節装置を具備するカメラの撮影時におけるBucomでの動作制御を示すフローチャート。 本発明の第1実施形態に係るカメラ焦点調節装置を具備するカメラにおける測距及びレンズ駆動ステップのサブルーチンを示すフローチャート。 (a)は、複数の焦点検出領域のうちの或る1つの焦点検出領域に対応したエリアセンサの一部を示す図。(b)は、センサデータ出力を画素順に示したグラフを示す図。(c)は、縦軸に相関値F、横軸に後述する“ずれ量”を取ったグラフを示す図。 (a)は、11点16ライン焦点検出領域配置の場合における、16ライン分の検出デフォーカス量を横軸に、測距結果の信頼性を縦軸にとったグラフ。(b)は、本発明の第1実施形態におけるマルチAF選択のサブルーチンを示すフローチャート。 (a)は、16ライン焦点検出領域配置におけるデフォーカス量とその測距結果の信頼性値の一例を示す図。(b)は、6段階に分類した各信頼性領域に基づいて、各焦点検出領域に対してそれぞれ重み付け指数を割り当てた表。(c)は、過去3回の測距結果の来歴(当該焦点検出領域が選択されたか否かの実績)に基づいて、各焦点検出領域に重み付け指数を割り当てた表。(d)は、本発明の第2実施形態におけるマルチAF選択のサブルーチンを示すフローチャート。 (a)は、16ライン焦点検出領域配置におけるデフォーカス量とその測距結果の信頼性値の一例を示す図。(b)は、本発明の第3実施形態におけるマルチAF選択のサブルーチンを示すフローチャート。 本発明の第3実施形態の変形例におけるマルチAF選択のサブルーチンを示すフローチャート。 本発明の第4実施形態におけるマルチAF選択のサブルーチンを示すフローチャート。 (a)は11点16ライン焦点検出領域配置における焦点検出領域の一配置例を示す図。(b)は、被写体が複数の焦点検出領域に掛かっている場合の焦点検出領域を示す図。(c)は、一度目のAF結果を示し、横軸にはデフォーカス量、縦軸には測距結果の信頼性が示されているグラフ。(d)は、二度目のAF結果を示すグラフ。
符号の説明
2…焦点演算部、 3…信頼性演算部、 4…焦点検出部、 6…焦点領域選択部、 8…焦点領域表示部(スーパーインポーズユニット)、 10…カメラ本体、 10a…レンズ鏡筒、 10b…カメラボディ部、 20…撮影レンズ、 22…メインミラー、 24…ペンタプリズム、 25…ファインダー光学系、 26…サブミラー、 46…撮像素子、 101…レンズ制御用マイクロコンピュータ、 201…ボディ制御用マイクロコンピュータ。

Claims (5)

  1. 複数の焦点検出領域に対応したカメラの焦点調節装置であって、
    上記焦点検出領域における焦点情報を演算する演算手段と、
    上記焦点情報の信頼性を示す信頼性値を演算し、該信頼性値に基づいて上記焦点検出領域において測距可能であるか否かを判断する判断手段と、
    上記焦点検出領域の中から、焦点調節を行う為の焦点検出領域として少なくとも1つの焦点検出領域を選択する選択手段と、
    前回の焦点調節において上記選択手段により選択された焦点検出領域である前回選択焦点検出領域を記憶する記憶手段と、
    を具備し、
    上記選択手段は、上記判断手段により測距可能であると判断された焦点検出領域のうち、最至近の焦点情報を示す最至近焦点検出領域、及び該最至近焦点検出領域とのデフォーカス量における差が所定値以内である焦点情報を示す焦点検出領域の中に、上記記憶手段が記憶した前回選択焦点検出領域が存在しているか否かを判断し、前回選択焦点検出領域が存在していると判断した場合には、前回選択焦点検出領域を今回の焦点調節に用いる焦点検出領域として選択することを特徴とするカメラの焦点調節装置。
  2. 複数の焦点検出領域に対応したカメラの焦点調節装置であって、
    上記焦点検出領域における焦点情報を演算する第1演算手段と、
    上記第1演算手段が演算した上記焦点情報の信頼性を示す信頼性値を演算し、該信頼性値に基づいて上記焦点検出領域において測距可能であるか否かを判断する判断手段と、
    上記第1演算手段の出力に基づいて、上記焦点検出領域の中から、少なくとも1つの焦点検出領域を選択する選択手段と、
    少なくとも1回以上過去の焦点調節において上記選択手段が選択した焦点検出領域及びその信頼性値を記憶する記憶手段と、
    上記判断手段が演算した信頼性値と、上記記憶手段が記憶している少なくとも1回以上過去の焦点調節における焦点検出領域の選択結果及び該焦点検出領域に対応する信頼性値とに基づいて重み付け演算を行って、上記選択手段における焦点検出領域の選択の際に用いられる焦点検出領域選択指数を算出する第2演算手段と、
    を具備し、
    上記選択手段は、上記判断手段により測距可能であると判断された焦点検出領域の中で
    最至近の焦点情報を示す最至近焦点検出領域、及び該最至近焦点検出領域とのデフォーカス量における差が所定値以内である焦点情報を示す焦点検出領域の中に、上記焦点検出領域選択指数の値が最も大きい焦点検出領域を今回の焦点調節に用いる焦点検出領域として選択することを特徴とするカメラの焦点調節装置。
  3. 複数の焦点検出領域に対応したカメラの焦点調節装置であって、
    上記焦点検出領域における焦点情報を演算する第1演算手段と、
    上記第1演算手段が演算した上記焦点情報の信頼性を示す信頼性値を演算し、該信頼性値に基づいて上記焦点検出領域において測距可能であるか否かを判断する判断手段と、
    上記第1演算手段の出力に基づいて、上記焦点検出領域の中から、少なくとも1つの焦点検出領域を選択する選択手段と、
    少なくとも1回以上過去の焦点調節において上記選択手段が選択した焦点検出領域及びその信頼性値を記憶する記憶手段と、
    上記判断手段が演算した信頼性値と、上記記憶手段が記憶している少なくとも1回以上過去の焦点調節における焦点検出領域の選択結果及び該焦点検出領域に対応する信頼性値とに基づいて重み付け演算を行って、上記選択手段における焦点検出領域の選択の際に用いられる焦点検出領域選択指数を算出する第2演算手段と、
    を具備し、
    上記第2演算手段は、上記判断手段において測距可能であると判断された焦点検出領域の中で最至近の焦点情報を示す最至近焦点検出領域、及び該最至近焦点検出領域とのデフォーカス量における差が所定値以内である焦点情報を示す焦点検出領域に対して上記重み付け演算を行い、
    上記選択手段は、上記第2演算手段が上記演算を行った焦点検出領域の中から、最も高い上記焦点検出領域選択指数から所定範囲以内の値の焦点検出領域選択指数を示す全ての焦点検出領域を選択し、これら焦点検出領域の中に上記選択手段が前回の焦点調節において最終的に選択した前回選択焦点検出領域が存在している場合には、該前回選択焦点検出領域を今回の焦点調節に用いる焦点検出領域として選択することを特徴とするカメラの焦点調節装置。
  4. 上記選択手段は、上記最も高い焦点検出領域選択指数から所定範囲以内の値の焦点検出領域選択指数を示す全ての焦点検出領域の中に上記選択手段が前回の焦点調節において最終的に選択した前回選択焦点検出領域が存在しない場合には、それら焦点検出領域の中で、ファインダー内において最も中央付近に位置する焦点検出領域を今回の焦点調節に用いる焦点検出領域として選択することを特徴とする請求項3に記載のカメラの焦点調節装置。
  5. 上記第2演算手段による重み付け演算においては、高い上記信頼性値を示す焦点検出領域ほど大きな重み付けをし、また過去の焦点検出領域の選択に基づく重み付けにおいては、最近の選択結果ほど大きな重み付けをすることを特徴とする請求項2乃至請求項4のうち何れか1つに記載のカメラの焦点調節装置。
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