JP2007033831A - フレキシブル光導波路 - Google Patents

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俊彦 鈴木
Shigemi Otsu
茂実 大津
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敬司 清水
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和敏 谷田
Toru Fujii
徹 藤居
Hidekazu Akutsu
英一 圷
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    • G02B6/00Light guides; Structural details of arrangements comprising light guides and other optical elements, e.g. couplings
    • G02B6/10Light guides; Structural details of arrangements comprising light guides and other optical elements, e.g. couplings of the optical waveguide type

Abstract

【課題】 フレキシブル性能を確保しつつ、接合部におけるコアの位置ずれを防いで、高精度で実装できることを課題とする。
【解決手段】 架橋部材18を埋設することによって、高分子光導波路フィルム10の伝播方向の端部が補強される。これにより、高分子光導波路フィルム10をサブマウント72に実装する際に、高分子光導波路フィルム10の端部をピックアップしたり、サブマウント72に向けて加圧しても、高分子光導波路フィルム10の端部が変形しない。したがって、高分子光導波路フィルム10の端部に形成されたアライメントマークがずれたり、端部のコア14間の位置関係がずれたりするのを防止でき、コア14が変形して軸ずれを起こす恐れがないことから、接続損失の低減に繋がる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、折り曲げやねじりに追従性を持ったフレキシブル光導波路に関する。
従来、高分子光導波路の製造方法としては、(1)フィルムにモノマーを含浸させてコア部を選択的に露光して屈折率を変化させフィルムを張り合わせる方法(選択重合法)、(2)コア層及びクラッド層を塗布後、反応性イオンエチングを用いてクラッド部を形成する方法(RIE法)、(3)高分子材料中に感光性の材料を添加した紫外線硬化樹脂を用いて、露光・現像するフォトリソグラフィー法を用いる方法(直接露光法)、(4)射出成形を利用する方法、(5)コア層及びクラッド層を塗布後、コア部を露光してコア部の屈折率を変化させる方法(フォトブリーチング法)等が提案されている。
しかし、(1)の選択重合法はフィルムの張り合わせに問題があり、(2)や(3)の方法は、フォトリソグラフィー法を使うためコスト高になり、(4)の方法は、得られるコア径の精度に課題がある。また、(5)の方法はコア層とクラッド層との十分な屈折率差がとれないという問題がある。
性能的に優れた実用的な方法は、(2)や(3)の方法だけであるが前記のごときコストの問題がある。そして(1)ないし(5)のいずれの方法も、大面積でフレキシブルなプラスチック基材に高分子光導波路を形成するのに適用しうるものではない。
これに対し、本発明者等は、前記のような従来の高分子光導波路の製造方法とは全く異なる方法として、マイクロモールド法と称する鋳型を用いた高分子光導波路の製造方法を発明し出願した(以下の特許文献1から3までを参照)。この方法によれば、極めて簡便に低コストで高分子光導波路を量産することが可能である。また、簡便な方法であるにもかかわらず、導波損失が小さい高分子光導波路を作製することが可能で、鋳型作製が可能であればどのようなパターン形状を有するものでも簡易に作製可能である。更に、従来作製が困難であったフレキシブルなプラスチック基材の上にも光導波路を作製することが可能となった。
ところで、近年においてコンピュータの処理能力の向上に伴い、コンピュータや各種装置間の電気配線がシステム全体の性能を制限する「配線ボトルネック」という問題が生じている。そこで、光インターコネクション(光配線)は、電気配線のようにインピーダンスによる信号遅延がないことや、配線間干渉が生じないことから、この配線ボトルネックを解消する有力な手段として注目されている。
光配線では、光送受信モジュールが重要な構成要素となる。光送受信モジュールは、発光素子から射出された光を光導波路を介して伝搬し、光導波路を伝搬してきた光を受光素子で検出することで、光信号の送受信を行うモジュールである。
この光送受信モジュールに用いられる光導波路として、高分子材料で形成された高分子光導波路においては、アレイ化された受発光素子と整合した光配線を形成することで、複数の受発光素子とそれに対応する高分子光導波路のコア部とを一括して光結合することができる。また、ダイシングソー等により、45度マイクロミラー面を容易に作製することができるので、コンパクトな90度の光路変換(導光方向をフィルム面に垂直な方向に変換すること)が可能となる。これにより、表面実装された面型受発光素子に接続された光路を、実装面に平行に変換できることから、低コストの光送受信モジュールが実現できる。
一方で、ノート型パソコンや折り畳み型携帯電話のヒンジに代表される稼働部に、光配線を適応することも検討されており、電気配線に用いられるフレキシブルプリント基板のような、ねじれや折り曲げに対する追従性を有するフレキシブルタイプの高分子光導波路が検討されている(特許文献4参照)。このフレキシブルタイプの高分子光導波路(フレキシブル光導波路)は、光が伝播されるコアと、このコアの周囲に設けられるクラッドが、共にゲル状材などの曲げ弾性率が低く伸張性が高い材料で作製されており、全体的に柔軟性を有している。
しかし、高分子光導波路全体に高い柔軟性を持たせた場合、実装工程のピックアップやボンディング等の外力により、容易に変形を起こしてしまう。このため、発光素子及び受光素子と光結合させる際に、コア間の距離や、コアとアライメントマークとの位置関係が保持されず、十分な精度で実装することが困難となる。
特開2004−29507号公報 特開2004−86144号公報 特開2004−109927号公報 特開2003−207659号公報
本発明は上記事実を考慮し、フレキシブル性能を確保しつつ、接合部におけるコアの位置ずれを防いで、高精度で実装できることを目的とする。
請求項1に記載の発明は、光が伝播するコアと、前記コアを包囲し、該コアより屈折率の小さいクラッド部と、を有するフレキシブル光導波路において、前記クラッド部には、光の伝播方向の少なくとも一方の端部に、該クラッド部又は前記コアを補強する補強部材が埋設されていることを特徴としている。
請求項1に記載の発明によれば、補強部材を埋設することによって、光の伝播方向の少なくとも一方の端部のクラッド部又はコアが補強される。これにより、補強部材が埋設された一方の端部を実装対象物に実装する工程において、ピックアップする際の変形や、接合時における加圧によって、クラッド部又はコアが変形することがない。したがって、発光素子及び受光素子等の実装対象物と光結合させる際に、高精度で実装することができる。また、コアが変形して軸ずれを起こす恐れがないことから、接続損失の低減に繋がる。
請求項2に記載の発明は、前記補強部材は、前記コアを形成する材料で形成されていることを特徴としている。
請求項2に記載の発明によれば、コアを形成する材料を用いて補強部材を形成することで、補強部材を設けるために別途特別な材料を使用する必要がない。
請求項3に記載の発明は、前記補強部材は、前記コアから幅方向へ張り出す張出部であることを特徴としている。
請求項3に記載の発明によれば、補強部材としての張出部が、コアから幅方向へ張り出している。つまり、コアの断面積が大きくなるので、曲げ強度が大きくなる。また、張出部はコアと同一平面上に設けられているので、コアを形成する工程で補強部材を同時に形成することができるので、製造工程が複雑にならない。
請求項4に記載の発明は、前記コアは並列して配設され、前記補強部材は前記コア間を連結する架橋部であることを特徴としている。
請求項4に記載の発明によれば、コアが並列して配設されているとき、架橋部によってコア間が連結される。これにより、コアを包囲するクラッド部が加圧されても、コア間の距離が架橋部によって常に一定に保持されるので、コア間の位置関係がずれることがない。したがって、コア間の距離の精度が保障される。
請求項5に記載の発明は、前記補強部材は、前記コアと、該コアに並設して前記クラッド部に埋設されたアライメントマークとを連結していることを特徴としている。
請求項5に記載の発明によれば、実装対象物に実装する際の位置決めとしてのアライメントマークが、コアに並設してクラッド部に埋設されているとき、補強部材でアライメントマークとコアを連結する。これにより、クラッド部が加圧されてもアライメントマークとコアの位置関係がずれないので、位置精度が保障される。
請求項6に記載の発明は、前記架橋部と前記コアの交差部の幅は、前記コアの幅の0.3倍以上3倍以下であることを特徴としている。
請求項6に記載の発明によれば、架橋部とコアの交差部の幅が、コアの幅の0.3倍より小さいと、コア間を連結する連結力が小さくなり、十分な補強効果が得られない。また、3倍より大きくすると、コア内を伝播する光が補強部材内を伝播してしまうため、光の過剰損失が増大する。そこで、架橋部とコアの交差部の幅を、コアの幅の0.3倍以上3倍以下とすることで、十分な補強効果を有すると共に光の過剰損失の低いフレキシブル光導波路を得ることができる。
請求項7に記載の発明は、前記補強部材は、前記クラッド部の光の伝播方向の両端に設けられていることを特徴としている。
請求項7に記載の発明によれば、クラッド部の両端に補強部材を設けることで、実装対象物にフレキシブル光導波路の両端を高精度で実装できる。
請求項8に記載の発明は、前記コア、および/または前記補強部材を形成する材料は、曲げ弾性率が1.0GPa以上であることを特徴としている。
請求項8に記載の発明によれば、曲げ弾性率が1.0GPa以上の材料でコアおよび/
または補強部材を形成することで、加圧によるコア及び補強されたクラッド部の変形が抑制されるため、コアの位置関係が保持される。
請求項9に記載の発明は、前記クラッド部は、許容曲げ半径が10mm以下の可撓性を有することを特徴としている。
請求項9に記載の発明によれば、クラッド部を、許容曲げ半径を10mm以下の可撓性を有する部材で形成することで、補強部材が配置されていないクラッド部を折り曲げたりねじったりした際に、これらの変形に対してクラッド部が追従するので、クラッド部に包囲されたコアが破損する恐れがない。
請求項10に記載の発明は、前記クラッド部の厚み方向のサイズが、50μm〜500μmとされていることを特徴としている。
請求項10に記載の発明によれば、クラッド部の厚み方向のサイズを50μmより小さくすると、クラッド部の端部で十分な強度を得ることができず、クラッド部の厚み方向のサイズを500μmより大きくすると、クラッド部の柔軟性が得られないので、クラッド部の厚み方向のサイズを50μm〜500μmとすることで、クラッド部の柔軟性を確保し、且つ、端部に十分な強度を得ることができる。
請求項11に記載の発明は、前記コアは、シリコン樹脂製の鋳型を用いて複製されたことを特徴としている。
請求項11に記載の発明によれば、シリコン樹脂製の鋳型を用いてコアを複製することで、鋳型に流し込んだ材料の密着性及び剥離性が良くなる。これにより、鋳型に形成された凹凸が鋳型に流しこんだ材料に正確に写され、この材料を剥離する際に離型不良が発生することがない。したがって、高い精度のコアが作製される。
本発明は上記構成としたので、フレキシブル性能を確保しつつ、接合部におけるコアの位置ずれを防いで、高精度で実装できる。
次に、本発明の実施形態に係る高分子光導波路フィルム10(フレキシブル光導波路)について説明する。
<高分子光導波路>
まず、高分子光導波路フィルム10の構造について説明する。
図1及び図2に示すように、高分子光導波路フィルム10は、長尺状のクラッド用フィルム基材12を有しており、このクラッド用フィルム基材12の上には、2本のコア14が、クラッド用フィルム基材12の幅方向に並列に配置されている。
また、クラッド用フィルム基材12上には、コア14を包囲するようにして、クラッド部16が設けられている。このクラッド部16は、曲率半径10mm以下の可撓性を有している。これにより、高分子光導波路フィルム10を、図3(A)に示すように折り曲げたり、図3(B)に示すようにねじったりした場合に、これらの変形に対して高分子光導波路フィルム10が追従するようになっている。したがって、図3に示すように、高分子光導波路フィルム10が変形した状態でも、高分子光導波路フィルム10に接続された光送信部(図示省略)から送信された光信号が、高分子光導波路フィルム10に形成された光導波路を導波して、光受信部に受信される。なお、曲率半径は、フィルムを折り曲げたときにフィルムの内側に形成される曲線の微小な部分を円と近似したとき、その円の半径の長さを表す値であり、MIT耐折試験(ASTM D2176)に従いその許容値が測定される。
クラッド部16の長手方向の端部には、架橋部材18が設けられている。架橋部材18は、断面形状が略正方形状の角柱状とされ、2本のコア14の間を連結するようにして設けられている。これにより、クラッド部16の端部は、補強された構造となっている。
また、架橋部材18は、コア14を形成する材料を用いて形成されており、架橋部材18を設けても別途特別な材料を使用する必要がない。なお、本実施形態では、5本の架橋部材18が設けられている。
コア14を形成する材料は、曲げ弾性率が1.0GPa以上とされている。つまり、架橋部材18を形成する材料の曲げ弾性率が1.0GPa以上とされている。これにより、架橋部材18によって、ピックアップ時や実装の際の加圧時に高分子光導波路フィルム10が変形しても、コア14間の位置関係のずれが抑制される。なお、ここでは、曲げ弾性率はASTM D790にしたがって測定される。
以上の構成により、図4に示すように、高分子光導波路フィルム10を光送受信部70のサブマウント72に実装する際に、高分子光導波路フィルム10の端部をピックアップしたり、サブマウント72に向けて加圧しても、高分子光導波路フィルム10の端部が変形しない。したがって、高分子光導波路フィルム10の端部に形成されたアライメントマークがずれたり、端部のコア14間の位置関係がずれたりするのを防止でき、コア14が変形して軸ずれを起こす恐れがないことから、接続損失の低減に繋がる。
また、架橋部材18でコア14間を連結することで、コア14の断面積が大きくなり、曲げ強度が大きくなる。また、架橋部材18とコア14が同一平面上に設けられた構成となっているので、コア14を形成する工程で架橋部材18を形成することができるので、高分子光導波路フィルム10の製造工程が複雑とならない。
ところで、架橋部材18はコア14と連結しているため、架橋部材18とコア14とが交差する部分(交差部18A)で、コア14内を伝播する光が、架橋部材18を伝播してしまうことがある。このとき、交差部18Aの幅をコア14の幅の3倍より大きくすると、コア14内を伝播する光が架橋部材18へ伝播しやすくなり、過剰損失が増大する。一方、交差部18Aの幅をコア14の幅の0.3倍より小さくすると、コア14間を連結する連結力が小さくなり、十分な補強効果(剛性)が得られない。そこで、本実施形態では、架橋部材18とコア14の交差部18Aの幅が、コア14の幅の0.3倍以上3倍以下となるように構成している。これにより、十分な補強効果を有すると共に過剰損失のない高分子光導波路フィルム10が得られる。
なお、高分子光導波路フィルム10に用いる樹脂材料については後述する。
ところで、高分子光導波路フィルム10の厚さを50μmより小さくすると、クラッド部16の端部で十分な強度を得ることができず、500μmより大きくすると、クラッド部16の柔軟性が得られない。そこで、高分子光導波路フィルム10の厚み方向のサイズを50μm〜500μmとすることで、高分子光導波路フィルム10の柔軟性を確保し、且つ、端部に十分な強度を得ることができる。また、高分子光導波路フィルム10の幅は、0.5mm〜10mmの範囲とされている。これにより、高分子光導波路フィルム10の変形に対する追従性が高まる。なお、高分子光導波路フィルム10の厚さを100μm〜200μmの範囲とし、幅を1mm〜5mmの範囲とすることがより好ましい。
なお、本実施形態では、図2に示すように、2本のコア14の間に架橋部材18を掛け渡す構成としたが、図5に示すように、2本のコア14を連結するようにして設けた架橋部材40の端部を、クラッド部16の端部から露出させるようにしてもよい。また、図6に示すように、端部コア14と平行にクラッド部16内にアライメントマーク42を設け、架橋部材44で2本のコアとアライメントマーク42を連結してもよい。さらに、図7に示すように、2本のコア14の間と、コア14とクラッド部16の側壁の間にそれぞれ平板状の架橋部材46を配設して、この架橋部材46とコア14を、高分子光導波路フィルム10の長手方向と直交する方向で、架橋部材48で連結させてもよい。また、図示は省略するが、コア14と連結されない状態で、高分子光導波路フィルム10の端部に補強部材を埋設することで、高分子光導波路フィルム10の端部を補強する構成としてもよい。
次に、図8を用いて本発明の高分子光導波路フィルム10(フレキシブル光導波路)の製造工程について、工程順に説明する。
1)鋳型形成用硬化性樹脂の硬化樹脂層から形成され、コアの凸部及び架橋部材の凸部に対応する凹部と、この凹部の一端及び他端にそれぞれ連通する貫通孔を有する鋳型を準備する工程
鋳型の作製は、光導波路コア(以下「コア」とする)に対応する凸部及び架橋部材に対応する凸部を形成した原盤を用いて行うのが好ましいが、これに限定されるものではない。以下では、原盤を用いる方法について説明する。
<原盤の作製>
コア14に対応する凸部22及び架橋部材18に対応する凸部23を形成した原盤20(図8(A)に示す)の作製には、従来の方法、たとえばフォトリソグラフィー法やRIE法を特に制限なく用いることができる。また、本出願人が先に出願した電着法又は光電着法により光導波路を作製する方法(特願2002−10240号)も、原盤20を作製するのに適用できる。
原盤20に形成されるコア14に対応する凸部22の大きさは、一般的に5〜500μm角程度、好ましくは40〜200μm角程度であり、高分子光導波路フィルム10の用途等に応じて適宜決められる。例えばシングルモード用の高分子光導波路フィルムの場合には、10μm角程度のコアを、マルチモード用の高分子光導波路フィルムの場合には、50〜100μm角程度のコアが一般的に用いられるが、用途によっては数百μm角程度と更に大きなコアを持つ高分子光導波路フィルムも利用される。
<鋳型の作製>
次に、鋳型30の作製の工程について説明する。
上記のようにして作製した原盤20のコア14に対応する凸部22及び架橋部材18に対応する凸部23が形成された面に、図8(B)に示すように、鋳型形成用硬化性樹脂を塗布又は注型して硬化性樹脂層30aを形成し、必要に応じ乾燥処理をして硬化性樹脂層30aを硬化させる。そして、この硬化した硬化性樹脂層30aを原盤20から剥離することで、凸部22に対応する凹部32及び凸部23に対応する凹部33が形成された鋳型30が作製される。
次に、図8(C)に示すように、鋳型30に、凹部32、33にコア形成用硬化性樹脂を充填するための進入口36、及び凹部32から樹脂を排出させるための排出口38を、打ち抜きによって形成する。このように、排出口38を打ち抜きによって形成した場合でも、鋳型30と後述するクラッド用フィルム基材12とは密着性がよいため、鋳型30とクラッド用フィルム基材12の間には凹部32、33以外の空隙が形成されない。これにより、凹部32、33以外の部分に、コア形成用硬化性樹脂が浸透する恐れがない。
なお、進入口36及び排出口38は、鋳型30に打ち抜きによって予め設ける構成以外にも、種々の方法を用いることができる。その他の方法として、例えば、原盤に鋳型形成用硬化性樹脂の硬化樹脂層を形成した後、硬化性樹脂層を原盤から剥離して鋳型を作製し、その後、鋳型の両端を凹部が露出するように切断することにより進入口及び排出口を形成する方法が挙げられる。このように、進入口36及び排出口38の形成方法は特に制限されない。
鋳型30の凹部32に連通する進入口36及び排出口38を、凹部32の両端に設けることによって、進入口36は液(樹脂)溜まりとして利用でき、排出口38は減圧吸引管をその中に挿入して凹部32内部を減圧吸引装置に接続することができる。また、進入口36に注入管を連結して、進入口36から樹脂を凹部32に加圧注入することも可能である。進入口36の形状や大きさは凹部32に連通し、且つ、液溜まりとしての機能を有していれば特に制限はない。また、排出口38の形状や大きさは、凹部32に連通し、且つ、減圧吸引用に用いることができれば特に制限はない。
さらに、進入口36は液溜まりの機能を有しているため、その断面積が、鋳型30を後述するクラッド用フィルム基材12に密着させたときに、クラッド用フィルム基材12に接する側を大きくし、クラッド用フィルム基材12から離れるにしたがって小さくなるようにする。つまり、進入口36に抜きテーパーを設ける。これにより、進入口36から凹部32に充填させたコア形成用硬化性樹脂を硬化させた後、このコア形成用硬化性樹脂を鋳型30から剥離しやすくなる。
コア形成用硬化樹脂層の厚さは、鋳型30の取り扱い性を考慮して適宜決められるが、一般的に0.1〜50mm程度が適切である。また、原盤20にはあらかじめ離型剤塗布などの離型処理を行うことで、コア形成用硬化樹脂層が原盤20から剥離しやすくなり、原盤20と鋳型30の剥離が促進される。
鋳型形成用硬化性樹脂としては、その硬化物が原盤20から容易に剥離できること、鋳型30(繰り返し用いる)として一定以上の機械的強度・寸法安定性を有すること、凹部32の形状を維持する硬さ(硬度)を有すること、後述するクラッド用フィルム基材12との密着性が良好であることが好ましい。鋳型形成用硬化性樹脂には、必要に応じて各種添加剤を加えることができる。
鋳型形成用硬化性樹脂は、原盤20の表面に塗布や注型等することが可能で、また、原盤20に形成された個々のコアに対応する凸部22を正確に転写しなければならない。従って、ある限度以下の粘度、たとえば、500〜7000mPa・s程度を有することが好ましい。(なお、本発明において用いる「鋳型形成用硬化性樹脂」の中には、硬化後、弾性を有するゴム状体となるものも含まれる。)また、粘度調節のために溶剤を、溶剤の悪影響が出ない程度に鋳型形成用硬化性樹脂に加えることができる。
鋳型形成用硬化性樹脂としては、剥離性、機械強度・寸法安定性、硬度、クラッド用フィルム基材との密着性の点から、硬化後、シリコンゴム(シリコンエラストマー)又はシリコン樹脂となる硬化性オルガノポリシロキサンが好ましく用いられる。硬化性オルガノポリシロキサンは、分子中にメチルシロキサン基、エチルシロキサン基、フェニルシロキサン基を含むものが好ましい。また、硬化性オルガノポリシロキサンは、一液型のものでも硬化剤と組み合わせて用いる二液型のものでもよく、また、熱硬化型のものでも室温硬化型(例えば空気中の水分で硬化するもの)のものでもよく、更に他の硬化(紫外線硬化等)を利用するものであってもよい。
硬化性オルガノポリシロキサンとしては、硬化後シリコンゴムとなるものが好ましい。硬化後シリコンゴムとなるものには、通常液状シリコンゴム(「液状」の中にはペースト状のように粘度の高いものも含まれる)と称されているものが用いられている。液状シリコンゴムは、硬化剤と組み合わせて用いる二液型のものが好ましい。中でも付加型の液状シリコンゴムは、表面と内部が均一にかつ短時間に硬化し、またその際、副生成物が無く、あるいは少なく、かつ離型性に優れ収縮率も小さいので好ましく用いられる。
液状シリコンゴムの中でも特に液状ジメチルシロキサンゴムが密着性、剥離性、強度及び硬度の制御性の点から好ましい。また、液状ジメチルシロキサンゴムの硬化物は、一般に屈折率が1.43程度と低いため、これを用いて形成された鋳型は、クラッド用フィルム基材12から剥離させずに、そのままクラッド部16として利用することができる。この場合には、鋳型30と、充填したコア形成用硬化性樹脂及びクラッド用フィルム基材12とが剥がれないような工夫が必要になる。
液状シリコンゴムの粘度は、コア14に対応する凸部22を正確に転写し、かつ気泡の混入を少なくして脱泡し易くする観点と、数ミリの厚さの鋳型を形成する点から、500〜7000mPa・s程度のものが好ましく、さらには、2000〜5000mPa・s程度のものがより好ましい。
さらに、鋳型30の表面エネルギーは、10dyn/cm〜30dyn/cm、特に、15dyn/cm〜24dyn/cmの範囲にあることが、クラッド用フィルム基材12との密着性とコア形成用硬化性樹脂の浸透速度の点からみて好ましい。
鋳型30のシェア(Share)ゴム硬度は、15〜80であればよく、特に20〜60であることが、型取り性能、凹部形状の維持、剥離性の点からみて好ましい。なお、シェアゴム硬度は、デュロメータを用いてJIS K 6253にしたがって測定することができる。
鋳型30の表面粗さ(算術平均粗さRa)は、0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下にすることで、型取り性能の点から見て好ましい。なお、算術平均粗さRaはJIS B 0601に従い測定することができる。
また、鋳型30は、紫外領域及び/又は可視領域において光透過性であることが好ましい。鋳型30が可視領域において光透過性であることによって、後述する2)の工程において鋳型30をクラッド用フィルム基材12(図8(D)参照)に密着させる際、位置決めが容易に行える。また、後述する3)の工程においてコア形成用硬化性樹脂が鋳型30の凹部32、33に充填される様子が観察でき、充填完了等が容易に確認することができる。
さらに、鋳型30が紫外領域において光透過性であることが好ましいのは、コア形成用硬化性樹脂として紫外線硬化性樹脂を用いる場合に、鋳型30を透して紫外線硬化を行うためである。従って、鋳型30の、紫外領域(250nm〜400nm)における透過率が80%以上であることが好ましい。
硬化性オルガノポリシロキサン、中でも硬化後シリコンゴムとなる液状シリコンゴムは、クラッド用フィルム基材12との密着性と剥離性という相反した特性に優れ、ナノ構造を転写する能力を持ち、シリコンゴムとクラッド用フィルム基材12とを密着させたとき、液体の進入を防ぐことができる。このようなシリコンゴムを用いた鋳型30は高精度に原盤20の形状を転写し、クラッド用フィルム基材12にしっかりと密着する。このため、鋳型30とクラッド用フィルム基材12の間の凹部32、33のみに、コア形成用硬化性樹脂を効率良く充填することが可能となる。また、クラッド用フィルム基材12と鋳型30の剥離も容易である。従って、この鋳型30からは高精度に形状を維持した高分子光導波路フィルム10を、極めて簡便に作製することができる。
さらに、硬化樹脂層、とりわけ硬化樹脂層がゴム弾性を有する場合、硬化樹脂層の一部すなわち原盤20の凸部22、23を転写する部分以外の部分を他の剛性材料に置き換えることができ、この場合、鋳型30のハンドリング性が向上する。
なお、鋳型の作製の他の例として、原盤にコアに対応する凸部だけでなく、貫通孔(進入口及び排出口)を形成するための凸部を設け、貫通孔を形成するための凸部が突き抜けるようにして、原盤に鋳型形成用硬化性樹脂を塗布して、この鋳型形成用硬化性樹脂を硬化させた後、硬化樹脂層を原盤から剥離する方法などがある。このとき、凸部の高さは、鋳型形成用硬化性樹脂の厚さよりも高くする必要がある。
2)鋳型30にクラッド用フィルム基材12を密着させる工程
鋳型30にクラッド用フィルム基材12を密着させる。なお、高分子光導波路フィルム10は種々の階層における光配線に用いられるので、クラッド用フィルム基材12としての材料は、屈折率、光透過性等の光学的特性、機械的強度、耐熱性、鋳型との密着性、フレキシビリティー等を考慮して選択される。
そこで、クラッド用フィルム基材12として用いられる材料は、脂環式アクリル樹脂フィルム、脂環式オレフィン樹脂フィルム、三酢酸セルロースフィルム、含フッ素樹脂フィルム等が挙げられる。
また、クラッド用フィルム基材12としては、鋳型30との密着性に優れ、両者を密着させた場合、鋳型30の凹部32、33以外に空隙が生じないものが好ましい。
脂環式アクリル樹脂フィルムとしてはトリシクロデカン等の脂肪族環状炭化水素をエステル置換基に導入した、OZ−1000、OZ−1100、また、脂環式オレフィン樹脂フィルムとしては、主鎖にノルボルネン構造を有するもの、及び主鎖にノルボルネン構造を有しかつ側鎖にアルキルオキシカルボニル基(アルキル基としては炭素数1から6のものやシクロアルキル基)等の極性基をもつものが挙げられる。中でも前記のごとき主鎖にノルボルネン構造を有し、且つ側鎖にアルキルオキシカルボニル基等の極性基をもつ脂環式オレフィン樹脂は、低屈折率(屈折率が1.50近辺であり、コア14、クラッド用フィルム基材12の屈折率の差を確保できる)及び高い光透過性等の優れた光学的特性を有するので、鋳型30との密着性に優れ、また耐熱性に優れているので特に本発明の高分子光導波路フィルム10の作製に適している。
クラッド用フィルム基材12の屈折率は、コア14との屈折率差を確保するため、1.55より小さく、好ましくは1.53より小さくすることが望ましい。
また、クラッド用フィルム基材12の厚さは、フレキシビリティーと剛性や取り扱いの容易さ等を考慮して適切に選ばれ、一般的には0.05mm〜0.5mm程度が好ましい。
3)クラッド用フィルム基材12を密着させた鋳型30の凹部32、33にコア形成用硬化性樹脂を充填する工程
図8(D)に示すように、凹部32の一端に形成された進入口36にコア形成用硬化性樹脂を注入し、凹部32の他端に形成された排出口38から減圧吸引して、凹部32、33にコア形成用硬化性樹脂を充填する。このように、減圧吸引することで、鋳型30とクラッド用フィルム基材12との密着性が向上し、気泡の混合を避けることができる。減圧吸引は、例えば、吸引管を排出口38に挿入し、吸引管をポンプに繋げて行われる。
なお、凹部32、33にコア形成用硬化性樹脂を充填する方法は、上記方法に限定されない。例えば、進入口36にコア形成用硬化性樹脂を少量垂らし毛細管現象を利用して充填したり、進入口36から凹部32、33にコア形成用硬化性樹脂を加圧充填したり、排出口38から凹部32、33内を減圧吸引したり、あるいは加圧充填と減圧吸引の両方を行うなどにより、凹部32、33にコア形成用硬化性樹脂を充填する方法がある。加圧充填と減圧吸引を併用する場合はこれらを同期して行うことが好ましい。これにより、鋳型30が安定して固定された状態で、加圧充填において圧力を段階的に増加させ、減圧吸引において圧力を段階的に減少させることで、コア形成用硬化性樹脂をより高速に注入する相反則を両立させることができる。また、毛細管現象を利用して、凹部32、33にコア形成用硬化性樹脂を充填する場合には、充填を促進するために凹部32、33内を0.1〜100kPa程度に減圧することが好ましい。さらに、充填を促進するために、凹部32、33内の減圧に加えて、鋳型30の進入口36から充填するコア形成用硬化性樹脂を加熱することで、より低粘度化することも有効な手段である。
コア形成用硬化性樹脂としては、紫外線硬化性、放射線硬化性、電子線硬化性、熱硬化性等の樹脂を用いることができ、中でも紫外線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂が好ましく用いられる。コア形成用の紫外線硬化性樹脂又は熱硬化性樹脂としては、紫外線硬化性又は熱硬化性のモノマー、オリゴマー若しくはモノマーとオリゴマーの混合物が好ましく用いられる。また、紫外線硬化性樹脂としてエポキシ系、ポリイミド系、アクリル系紫外線硬化性樹脂が好ましく用いられる。このように、コアをシリコン基板やガラス基板等で形成せずに高分子化合物で形成することで、材料費を低く抑えることができ、製造コスト削減に繋がる。また、コアを紫外線硬化性、放射線硬化性、電子線硬化性、熱硬化性等の樹脂などの高分子化合物で成形することで、任意の形状を得ることが容易となる。
コア形成用硬化性樹脂は、鋳型30とクラッド用フィルム基材12との間に形成された空隙(凹部32、33)に充填させるため、低粘度であることが必要である。コア形成用硬化性樹脂の粘度は、10〜2000mPa・s好ましくは20〜1000mPa・s、更に好ましくは30〜500mPa・sにすることで、充填速度が速くなり、精度の良い形状のコアが得られ、光損失を少なくすることができる。
このほかに、原盤20に形成されたコア14に対応する凸部22及び架橋部材18に対応する凸部23が有する元の形状を高精度に再現するため、硬化性樹脂の硬化前後の体積変化が小さいことが必要である。例えば、体積が減少すると導波損失の原因になる。従って、硬化性樹脂は、体積変化ができるだけ小さいものが望ましく、体積変化が10%以下のものが用いられる。好ましくは体積変化が6%以下のものが用いられる。溶剤を用いて硬化性樹脂を低粘度化することは、硬化前後の体積変化が大きいのでできれば避ける方が好ましい。体積収縮が0.01%以下の材料や体積膨張する材料では、鋳型30からの剥離効率が下がり、鋳型30からの剥離時に表面の破断等の表面劣化が生じるため、形成されるコア14の表面の平滑性が低下して光導波損失が上昇するので好ましくない。
コア形成用硬化性樹脂の硬化後の体積変化(収縮)を小さくするため、樹脂にポリマーを添加することができる。ポリマーはコア形成用硬化性樹脂との相溶性を有し、かつ樹脂の屈折率、弾性率、透過特性に悪影響を及ぼさないものが好ましい。またポリマーを添加することにより体積変化を小さくする他、粘度や硬化樹脂のガラス転移点を高度に制御できる。ポリマーとしては例えばアクリル系、メタクリル酸系、エポキシ系のものが用いられるが、これらに限定されるものではない。
コア形成用硬化性樹脂の硬化物の屈折率は、クラッド用フィルム基材12となるフィルム基材(以下の5)の工程におけるクラッド部16を含む)より大きいことが必要であり、1.50以上、好ましくは1.53以上である。コア14とクラッド(クラッド用フィルム基材及びクラッド部16)との屈折率の差は、0.01以上、好ましくは0.03以上である。
4)充填したコア形成用硬化性樹脂を硬化させ、鋳型30をクラッド用フィルム基材12から剥離する工程
前記3)の工程において、凹部32に充填したコア形成用硬化性樹脂を硬化させる。紫外線硬化性樹脂を硬化させるには、紫外線ランプ、紫外線LED、UV照射装置等が用いられ、熱硬化性樹脂を硬化させるには、オーブン中での加熱等が用いられる。
この後、鋳型30をクラッド用フィルム基材12から剥離する。図8(E)に示すように、剥離したクラッド用フィルム基材12の上には、コア14、架橋部材18、進入口36及び排出口38内において硬化した樹脂部分36a、38aが形成される。そして、図8(F)に示すように、進入口36及び排出口38内において硬化した樹脂部分を、研削等によって除去する。
なお、前記1)〜3)の工程で用いる鋳型30は、屈折率等の条件を満たせばそのままクラッド部に用いることも可能で、この場合は、鋳型を剥離する必要はなくそのままクラッド部として利用する。この場合、鋳型とコア材料の接着性を向上させるために鋳型をオゾン処理することが好ましい。
5)コア14及び架橋部材18が形成されたクラッド用フィルム基材12の上にクラッド部16を形成する工程
図8(F)に示すように、コア14及び架橋部材18が形成されたクラッド用フィルム基材12の上にクラッド部16を形成する。クラッド部16としては、クラッド用硬化性樹脂を塗布して硬化させた層、高分子材料の溶剤溶液を塗布して乾燥して得られる高分子膜等が挙げられる。クラッド用硬化性樹脂としては紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂が好ましく用いられ、例えば、紫外線硬化性又は熱硬化性のモノマー、オリゴマー若しくはモノマーとオリゴマーの混合物が用いられる。
また、クラッド形成用硬化性樹脂の硬化後の体積変化(収縮)を小さくするために、樹脂と相溶性を有し、また樹脂の屈折率、曲げ弾性率、透過特性に悪影響を及ぼさないポリマー(例えばメタクリル酸系、エポキシ系)を、クラッド用硬化性樹脂(紫外線硬化性樹脂や熱硬化性樹脂)に添加することができる。
クラッド部16の屈折率は、コア14との屈折率差を確保するため、1.55以下、好ましくは1.53以下にすることが望ましい。また、クラッド部16の屈折率をクラッド用フィルム基材12の屈折率と同じにすることが、光の閉じ込めの点からみて好ましい。
このような高分子光導波路フィルム10の製造方法は、鋳型30に鋳型30との密着性が良好なクラッド用フィルム基材12を密着させることで、両者を特別な手段を用いて固着させなくても、鋳型30に形成された凹部32、33以外には、鋳型30とクラッド用フィルム基材12の間に空隙が生ずることなくコア形成用硬化性樹脂を凹部32、33のみに進入させることができることを見出したことに基づくものである。これにより、製造工程が極めて単純化され、容易に高分子光導波路フィルム10を作製することができる。したがって、従来の高分子光導波路フィルムの製造方法と比較し、極めて低コストで高分子光導波路フィルム10を作製することが可能となる。
また、この製造方法では、鋳型30に貫通孔(進入口36及び排出口38)を設け、進入口36から凹部32、33にコア形成用硬化性樹脂を充填して、排出口38から減圧吸引するので、鋳型30とクラッド用フィルム基材12との密着性が更に向上し、気泡の混合を避けることができる。さらに、簡便な方法でありながら、得られる高分子光導波路フィルム10は、導波損失が少なく高精度であり、かつ、各種機器への自由な装填が可能である。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
<原盤の作製>
シリコン基板に厚膜レジスト(マイクロケミカル(株)製、SU−8)をスピンコート法で塗布した後、80℃でプリベークし、フォトマスクを通して露光し、現像した。これにより、断面が正方形の2本のコア用の凸部(幅:50μm、高さ:50μm、長さ:80mm)と、この凸部の長手方向の両端を連結する架橋部材の凸部(幅:50μm、高さ:50μm)が5本形成された。なお、2本の凸部の間の間隔は250μmとし、5本の架橋部材の凸部の間隔は500μmとした。これを120℃でポストベークして、コア作製用の原盤を作製した。
<鋳型の作製>
次に、原盤に離形材を塗布した後、鋳型の材料として熱硬化性液状ジメチルシロキサンゴム(ダウ・コウニングアジア社製:SYLGARD184、粘度5000mPa・s)及びその硬化剤を混合したものを流し込み、120℃で30分間加熱して硬化させた。そして、原盤から鋳型材を剥離して、コア用の凹部(コア用の凸部に対応する凹部)が形成された鋳型(型の厚さ5mm)を作製した。次に、平面視において円形で、断面形状がテーパー状とされた紫外線硬化性樹脂を充填するための進入口及び、この樹脂(紫外線硬化性樹脂)を排出させるための排出口を、凹部の両端に凹部と連通するようにして打ち抜きにより形成した。
<クラッド用フィルム基材及びコアの作製>
鋳型より一回り大きい膜厚100μmのクラッド用フィルム基材(アートンフィルム、JSR(株)社製、屈折率1.510)を、鋳型に密着させた。
次に、鋳型の一端にある進入口に、硬化後の屈折率が1.570であり、曲げ弾性率が2.1GPaである粘度500mPa・sの紫外線硬化樹脂を数滴落とし、排出口から減圧吸引したところ、10分で凹部に紫外線硬化樹脂が充填された。そして、50mW/cm2のUV光を鋳型の上部から5分間照射し、紫外線硬化性樹脂を硬化させ、鋳型をクラッド用フィルム基材から剥離した。
これにより、図2に示すように、クラッド用フィルム基材12上に原盤の凸部と同じ形状のコア14が形成された。
<クラッド部の作製>
次に、クラッド用フィルム基材12のコア14が形成された面に、硬化後の屈折率がクラッド用フィルム基材12と同じ1.510であり、曲げ弾性率が30MPa、引張伸度が190%である紫外線硬化性樹脂を塗布し、50mW/cm2のUV光を5分間照射して紫外線硬化させた。
次に、ダイシングソーを用いて、長さ70mm、幅1.5mm、厚さ300μmに成形し、長手方向両端に架橋部材18が設けられたベルト状の高分子光導波路フィルムを作製した。
ここで、LED光源(アドバンテスト社製)、受光器(安藤電気製)を使用して、作製した高分子導波路フィルムの挿入損失の測定を行った。このときの挿入損失は、2本のコア14のいずれも1.6dBであった。
また、幅5μmの十字型アライメントマークが形成された長さ5mm、幅5mmのシリコン基板を用意し、作製した高分子光導波路フィルムの実装精度確認を行った。無負荷状態での実装精度が±1μmであるダイボンダを用い、画像認識によるパッシブアライメントにて高分子光導波路フィルムをシリコン基板上に実装した。ボンディング荷重は6Nとし、予め塗布しておいた紫外線硬化樹脂を紫外線照射により硬化させ、高分子光導波路フィルムをシリコン基板上に接着した。
上記の実装精度確認を10回行ったところ、コアの理想的な実装位置からのずれの最大値は3.5μmであった。また、高分子光導波路フィルムの接合面の端部のコアの位置、及びコア間距離は、実装前後で変化はみられなかった。
まず、実施例1と同様にして、高分子光導波路フィルムを作製した。ここでは、架橋部材40の幅を150μmとした。
この高分子光導波路フィルムの挿入損失を、実施例1と同様にして測定したところ、挿入損失は2本のコアのいずれも2.7dBであった。
また、実施例1と同様にして、実装精度確認を10回行ったところ、コアの理想的な実装位置からのずれの最大値は2.0μmであった。また、高分子光導波路フィルムの接合面の端部のコアの位置、及びコア間距離は、実装前後で変化はみられなかった。
まず、実施例1と同様にして、高分子光導波路フィルムを作製した。このとき、図7に示すように、2本のコア間と、コアとクラッド部の端面との間に、長さ5mm、幅400μmの平板状の架橋部材46を形成し、架橋部材46とコア14を、幅50μmの架橋部材48で連結して一体化させた。
この高分子光導波路フィルムの挿入損失を、実施例1と同様にして測定したところ、挿入損失は2本のコアのいずれも1.5dBであった。
また、実施例1と同様にして、実装精度確認を10回行ったところ、コアの理想的な実装位置からのずれの最大値は2.0μmであった。また、高分子光導波路フィルムの接合面の端部のコアの位置、及びコア間距離は、実装前後で変化はみられなかった。
本発明の実施形態に係る高分子光導波路フィルムを示す三面図である。 本発明の実施形態に係る高分子光導波路フィルムを示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る高分子光導波路フィルムを示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る高分子光導波路フィルムを光送受信部に実装した状態を示す斜視図である。 その他の実施形態の高分子光導波路フィルムを示す斜視図である。 その他の実施形態の高分子光導波路フィルムを示す斜視図である。 その他の実施形態の高分子光導波路フィルムを示す斜視図である。 本発明の実施形態に係る高分子光導波路フィルムの製造工程を示す斜視図である。
符号の説明
10 高分子光導波路フィルム(フレキシブル光導波路)
12 クラッド用フィルム基材
14 コア
16 クラッド部
18 架橋部材(補強部材、張出部)
40 架橋部材(補強部材、張出部)
42 アライメントマーク
44 架橋部材(補強部材、張出部)
46 架橋部材(補強部材、張出部)
48 架橋部材(補強部材、張出部)

Claims (11)

  1. 光が伝播するコアと、前記コアを包囲し、該コアより屈折率の小さいクラッド部と、を有するフレキシブル光導波路において、
    前記クラッド部には、光の伝播方向の少なくとも一方の端部に、該クラッド部又は前記コアを補強する補強部材が埋設されていることを特徴とするフレキシブル光導波路。
  2. 前記補強部材は、前記コアを形成する材料で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル光導波路。
  3. 前記補強部材は、前記コアから幅方向へ張り出す張出部であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のフレキシブル光導波路。
  4. 前記コアは並列して配設され、前記補強部材は前記コア間を連結する架橋部であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のフレキシブル光導波路。
  5. 前記補強部材は、前記コアと、該コアに並設して前記クラッド部に埋設されたアライメントマークとを連結していることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のフレキシブル光導波路。
  6. 前記架橋部と前記コアの交差部の幅は、前記コアの幅の0.3倍以上3倍以下であることを特徴とする請求項4に記載のフレキシブル光導波路。
  7. 前記補強部材は、前記クラッド部の光の伝播方向の両端に設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のフレキシブル光導波路。
  8. 前記コア、および/または前記補強部材を形成する材料は、曲げ弾性率が1.0GPa以上であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のフレキシブル光導波路。
  9. 前記クラッド部は、許容曲げ半径が10mm以下の可撓性を有することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のフレキシブル光導波路。
  10. 前記クラッド部の厚み方向のサイズが、50μm〜500μmとされていることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のフレキシブル光導波路。
  11. 前記コアは、シリコン樹脂製の鋳型を用いて複製されたことを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のフレキシブル光導波路。
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