周囲光を光源として利用することによって表示を行う反射型液晶表示装置が知られている。反射型液晶表示装置は、透過型液晶表示装置とは異なりバックライトを必要としないため、光源用電力の削減が可能であり、より小型のバッテリーを用いることが可能になる。また、バックライトのスペースや重量を節約できるという利点もある。このようなことから、反射型液晶表示装置は、軽量薄型を目的とする機器において好適に用いられ得る。また、反射型液晶表示装置を用いた機器では、バックライト用のスペースが不要となるため、透過型液晶表示装置を用いた機器に比べて大型のバッテリーを用いることが可能となり、動作時間の飛躍的な拡大が期待できる。
さらに、反射型液晶表示装置は、日中の屋外などでの使用に際して、表示画像のコントラスト特性が他のタイプの表示装置に比べて良好である。例えば、発光型表示装置であるCRT等では、日中の屋外で表示のコントラスト比が大幅に低下する。また、低反射処理の施された透過型液晶表示装置においても、直射日光下などの、周囲光が表示光に比べて非常に強い環境下で、コントラスト比の大幅な低下が避けられない。これに対し、反射型液晶表示装置では、周囲光が非常に強い環境下でもコントラスト比が大幅に低下せず、周囲光量に比例した表示光が得られるため、携帯情報端末機器、デジタルカメラ、または携帯ビデオカメラなどの、屋外で使用される機会の多い機器において好適に用いられる。
しかし、このように非常に有望な応用分野を有していながら、特に暗所において十分なコントラスト比が得られないことや、フルカラー化、高精細表示、または動画表示などへの対応が不十分であったことから、現在まで、十分な実用性を有する反射型カラー液晶表示装置は得られていない。
反射型カラー液晶表示装置の表示性能を向上させることを目的として、再帰性反射板を用いる反射型液晶表示装置(再帰性反射型液晶表示装置)が、例えば本出願人による特許文献1および特許文献2に提案されている。「再帰性反射板」は、入射された光を複数の反射面で反射することによって入射方向にかかわらず光を元の方向に反射させる素子であり、例えば、微小球アレイ、マイクロレンズアレイおよびコーナーキューブアレイなどの微細な単位構造を2次元的に配列した構造を有している。
次に、図1(a)および(b)を参照しながら、再帰性反射型液晶表示装置の動作原理を説明する。図1(a)および(b)は、それぞれ、表示装置の黒表示状態および白表示状態を説明するための図である。
図1(a)に示すように、液晶層1が透過状態に制御されている場合、表示装置外部の光源5からの入射光3は、液晶層1を通過した後、再帰性反射板2により光が入射した方向に反射される(反射光4b)。このため、光源5からの光は観察者6には届かない。この時、表示装置から観察者6に届く像は観察者自身の目であるので、「黒」表示状態が得られる。
他方、図1(b)に示すように、液晶層1が散乱状態に制御されている場合、光源5からの入射光3は液晶層1において散乱される。液晶層1が前方散乱型液晶層の場合、散乱された光は再帰性反射板2で反射し、さらに散乱状態の液晶層1を経て観察方向に出射する(反射光4w)。液晶層1による散乱によって再帰性反射板2の再帰性が崩されるため、入射した光3は入射方向には戻らない。従って、「白」表示状態が得られる。
このような動作原理を用いて表示を行うことにより、偏光素子を使用せずに白黒表示が可能となる。従って、偏光素子を用いることによる光利用効率低下の影響を受けないので、高明度の反射型液晶表示装置が実現可能となる。
図2は、上記の動作原理を利用した従来の再帰性反射型液晶表示装置の構成を示す断面図である。
表示装置100は、複数のカラーフィルタ19、透明対向電極18および液晶配向膜(不図示)が設けられた前面基板10と、前面基板10に対向するように配置された背面基板12と、これらの基板10、12の間に設けられた液晶層1とを備えている。背面基板12は、複数のスイッチング素子(例えばTFT:Thin Film Transistor)14を有するTFT基板に形成された、層間絶縁層20、反射層2、および配向層(不図示)を有している。層間絶縁層20は、再帰反射性を示す表面形状を有している。表示装置100では、反射層2は、層間絶縁層20の上に形成されており、層間絶縁層20の表面形状を反映した凹凸を有するため、再帰性反射板として機能する。反射層2は、また、画像表示の一単位となる画素毎に互いに離間して配置された複数の画素電極8から構成されている。反射層2における各画素電極8は、層間絶縁層20に形成されたコンタクト部16を介して、対応するスイッチング素子14のドレイン電極15と接続されている。液晶層1は、例えば、対向電極18と各画素電極との間に印加する電圧を変化させることによって、光を透過する透過状態と光を散乱(前方散乱)する散乱状態との間でスイッチングできる散乱型液晶である。
図2に示すような従来の再帰性反射型液晶表示装置において、表示のコントラスト比をより向上させるためには、反射層2の再帰反射率を高めて、黒表示状態のときに観察者へ届く不要な光の量を低減することが重要である。そこで、最も高い再帰反射率を実現し得る再帰性反射板の1つであるコーナーキューブアレイを用いた表示装置の構成が提案されている(例えば特許文献1)。具体的には、層間絶縁層20としてコーナーキューブアレイを用い、その上にコーナーキューブアレイ形状を有する反射層2が形成された構成を有している。なお、「コーナーキューブアレイ」は、互いに直交する3面から構成されるコーナーキューブを2次元的に配列させたアレイである。コーナーキューブに入射した光は、理想的には、そのコーナーキューブを構成する3面で反射し、入射方向と同じ方向に戻される。
図3(a)および(b)は、それぞれ、コーナーキューブアレイの構成を例示する平面図および斜視図である。図示するコーナーキューブアレイは、互いに直交する正方形の3面から構成されるコーナーキューブが配列されたコーナーキューブアレイ(キュービックコーナーキューブアレイ)である。なお、本明細書では、コーナーキューブの頂点間の最短距離Pccを「コーナーキューブの配列ピッチ」とする。
また、本出願人による特許文献3には、結晶構造を有する基板表面に対して異方性エッチングを行うことにより、微細なサイズのコーナーキューブを配列させたコーナーキューブアレイ(マイクロコーナーキューブアレイ:Micro Corner Cube Array、以下、「MCCA」と略する)を作製する方法が提案されている。MCCAの配列ピッチPccは、例えば、可視光の波長以上であり、反射型液晶表示装置の画素の最大幅以下である。
図2に示すような表示装置100において、層間絶縁層20としてMCCAを用いる場合、以下のような問題点がある。
表示装置100では、各画素電極8と対応するスイッチング素子14のドレイン電極15とは、層間絶縁層20に設けられたコンタクト部16を介して電気的に接続されている。コンタクト部16は、層間絶縁層20に形成されたコンタクトホール内に形成されるが、コンタクトホールを形成すると、層間絶縁層20の表面形状が部分的に崩れるため、その上に形成される反射層2の再帰性反射特性が低下してしまう。
上記問題点について、図面を参照しながら、より具体的に説明する。
図4(a)および(b)は、反射層2の一般的な形成プロセスを説明するための断面模式図である。まず、図4(a)に示すように、MCCA形状を有する層間絶縁層20に、スイッチング素子14のドレイン電極15の上面に達するコンタクトホール17を形成する。この後、図4(b)に示すように、コンタクトホール17の内表面および層間絶縁層20上に導電膜を形成し、パターニングする。これによって、同一の導電膜から反射層2およびコンタクト部16が形成される。図4(b)からわかるように、得られた反射層2のうちコンタクト部16の上に位置する領域22では、所定の表面形状が形成されず、反射層2の他の領域と比べて再帰性反射特性が大幅に低下する。なお、本明細書では、反射層2における上記領域22を「非再帰性反射領域」と呼ぶ。このように非再帰性反射領域22が形成される結果、反射層2の再帰性反射率が低くなり、表示のコントラストを低下させる要因となる。
また、本発明者らが検討したところ、図4に示すプロセスを用いて反射層2を形成すると、各画素の非再帰性反射領域22の面積にバラツキが生じ、均一な表示特性が得られないという問題もある。図5(a)〜(d)を参照しながら、以下に詳しく説明する。
図5(a)は、層間絶縁層20におけるコーナーキューブの底点付近、頂点付近、および底点と頂点との中間付近にそれぞれ形成されたコンタクトホール17a、17bおよび17cの断面図である。図示するように、コーナーキューブにおけるコンタクトホールの形成位置によって、必要なコンタクトホールの深さが異なっている。「コンタクトホールの深さ」とは、層間絶縁層20の表面からコンタクトホールによって表出されるドレイン電極の表面までの距離をいうものとする。
各コンタクトホールの深さについて具体例を挙げて説明する。層間絶縁層20が、配列ピッチを10μmとするキュービックマイクロコーナーキューブアレイの場合、各コーナーキューブの高さ(複数の底点を含む平面と頂点との距離)は配列ピッチの約80%、すなわち約8μmとなる。また、厚さが約1μmのスイッチング素子(TFT)を保護するためには、スイッチング素子の表面を、厚さが少なくとも2μm以上である絶縁層で覆うことが好ましいことから、層間絶縁層20の底面からコーナーキューブの底点までの距離を例えば2μmとする。このような例では、コーナーキューブの底点付近に形成されたコンタクトホール17aの深さは2μm、コーナーキューブの頂点付近に形成されたコンタクトホール17bの深さは10μmとなり、コンタクトホールの深さは2〜10μmの間で変化することになる。
ここで、一般的に、層間絶縁層20のコンタクトホール17を設けて層間絶縁層20の上下に位置する電極同士を確実に電気的に接続するためには、図5(b)に示すように、コンタクトホール17の底面のサイズ(すなわち、コンタクトホール17によって露出されるドレイン電極表面の面積)Sbが一定以上であり、かつ、コンタクトホール17における基板に垂直な断面が所定のテーパ角(以下、単に「テーパ角」とする)Taを有することが重要である。従って、層間絶縁層20に形成されるそれぞれのコンタクトホール17は、略等しい底面のサイズSbおよびテーパ角Taを有するように制御されることが好ましい。
しかしながら、コンタクトホール17a、17bおよび17cにおける底面のサイズSbおよびテーパ角Taを等しくしようとすると、コーナーキューブの深さに応じて、コンタクトホールのサイズSuが異なってしまう。すなわち、図5(c)に示すように、コーナーキューブの底点付近にはサイズSuの小さいコンタクトホール17aが形成され、コーナーキューブの頂点付近には、コンタクトホール17aよりも大きいサイズSuを有するコンタクトホール17bが形成される。なお、本明細書において「コンタクトホールのサイズSu」とは、コンタクトホールの最上部における基板に平行な断面のサイズ(面積)を意味する。
サイズSuの異なる複数のコンタクトホール17が形成された層間絶縁層20の上に反射層2を形成すると、図5(d)に示すように、コンタクトホール17のサイズSuによって反射層2に形成される非再帰性反射領域22の面積にバラツキが生じる。例えば、コンタクトホール17aの上に形成された反射層2では、非再帰性反射領域22aによって、コーナーキューブ1つ分の再帰性反射形状が影響を受け、コンタクトホール17bの上に形成された反射層2では、非再帰性反射領域22bによって、コーナーキューブ2つ分の再帰性反射形状が影響を受ける。その結果、表示領域内で均一な再帰性反射特性が得られず、表示の明るさにバラツキが生じるという問題がある。さらに、表示色(R、G、B)ごとに明るさが異なってしまうので、白表示時に着色するという問題が生じ得る。
これに対し、特許文献1では、TFT基板16におけるスイッチング素子(TFT)14の配列パターンと層間絶縁層20におけるコーナーキューブの配列パターンとを整合させることにより、コーナーキューブにおけるコンタクトホール17の形成位置を底点付近に特定する構成を開示している。この構成によれば、各画素に形成されるコンタクトホール17の深さを略等しくすることができるので、表示領域に亘って均一な表示特性が得られる。また、コンタクトホール17がコーナーキューブの底点部に形成されているため、反射層2における非再帰性反射領域22の面積を小さく抑えることができるので、非再帰性反射領域22に起因する再帰性反射特性の低下を抑制できる。
しかしながら、特許文献1に開示された反射型表示装置を製造しようとすると、特に配列ピッチの小さいコーナーキューブアレイを用いる場合には、コーナーキューブの配列パターンとスイッチング素子の配列パターンとを高精度に整合させることが難しいという問題がある。さらに、特許文献1には転写型を用いて層間絶縁層20を形成する方法が提案されているが、この方法によると、表示装置に使用しようとするTFT基板に応じて異なる転写型を作製する必要があり、製造コストの増大を引き起こしてしまう。
そこで、本出願人は、特許文献2に、非再帰性反射領域による再帰性反射特性の低下を抑えた反射型表示装置の構成を提案した。この構成によると、以下に詳しく説明するように、反射層はコンタクト部の上においても所定のMCCA形状を有することができるので、コンタクト部による非再帰性反射領域の形成を大幅に抑制できる。
図6は、特許文献2に提案された反射型表示装置の構成を説明するための断面模式図である。簡単のため、図2に示す反射型表示装置と同様の構成要素には同様の参照符号を付し、説明を省略する。
表示装置200の背面基板12には、表面にMCCA形状を有する層間絶縁層40、および層間絶縁層40の表面形状を反映した形状を有する反射層46が形成されている。反射層46は複数の画素電極48から構成されている。層間絶縁層40には、画素電極48を対応するスイッチング素子15と電気的に接続するためのコンタクト部44が形成されている。コンタクト部44の表面は層間絶縁層40におけるMCCA形状の一部を構成している。従って、反射層46はコンタクト部44の上でも所定の再帰性反射形状を有する。
特許文献2には、また、上述したような層間絶縁層40および反射層46を転写によって形成する方法が開示されている。以下、図7(a)〜(d)を参照しながら、特許文献2に開示された層間絶縁層40および46の形成方法を説明する。
まず、図7(a)に示すように、複数のスイッチング素子(TFT)(不図示)を備えた基板35に被転写層30を形成する。被転写層30は、絶縁性樹脂からなる樹脂層32と、樹脂層32の中に形成され、スイッチング素子のドレイン電極と接する複数の導電部34とを有している。樹脂層32は、例えば感光性のアクリル系樹脂を塗布することによって形成できる。導電部34は、樹脂層32にドレイン電極表面に達する開口部を設けた後、導電性樹脂などの導電感光性を有する樹脂材料(例えばアクリル系樹脂)を開口部に充填することによって形成できる。
この後、図7(b)に示すように、表面に凹凸形状を有する型(例えば金型)36を用い、型押し法などによって被転写層30に型36の凹凸形状を転写する。型36の凹凸形状は、例えば図3に示すキュービックコーナーキューブアレイを規定する形状である。転写は、被転写層30の表面に型36を貼付し、次いで、基板35および型36の間に圧力をかけながら、被転写層30を紫外線で照射して硬化させることによって行うことができる。
その後、基板35から型36を剥離すると、図7(c)に示すような層間絶縁層40が得られる。層間絶縁層40は、被転写層30における導電部34から形成されたコンタクト部44と被転写層30における樹脂層32から形成された絶縁層42とから構成されている。コンタクト部44の表面および絶縁層42の表面は、型36の凹凸形状を反転させた形状(MCCA形状)を構成している。
この後、図7(d)に示すように、スパッタ法や蒸着法等を用いて、層間絶縁層40の表面にAgなどの金属からなる反射層46を形成し、必要に応じてパターニングする。
この方法では、基板35の上に形成された樹脂層32のみでなく導電部34も転写によって変形させることによって、層間絶縁層40を形成している。そのため、層間絶縁層40の上に形成された反射層46は、図示するように、コンタクト部44の上においても所定のMCCA形状を有しており、部分的に再帰反射特性の低い領域(図4(b)に示すような非再帰性反射領域22)が形成されない。よって、非再帰性反射領域に起因する再帰反射特性の低下やバラツキを抑えることができ、表示領域に亘って均一に高い再帰反射特性を有する反射層46が得られる。
特開2003−195788号公報
特開2003−255373号公報
特開2003−066211号公報
再帰性反射型液晶表示装置において、反射層の再帰性反射特性を高めて表示特性を向上させようとすると、反射層の形状精度をより高くすることが重要となる。本発明者らが検討したところ、MCCA形状を有する反射層を用いる場合、コントラストの高い表示を行うためには、反射層の表面形状(MCCA形状)を構成する隣接する面の角度は0.2°未満の精度で制御されていることが好ましい。すなわち、隣接する面の角度はそれぞれ90±0.2°の範囲内であることが好ましい。
図7を参照しながら説明した方法では、MCCAを規定する表面凹凸を有する型(マスター)36を使用する。型36として、例えば本出願人による特許文献3に記載されているように、結晶基板に対して異方性エッチングを行う方法によって作製された高精度なMCCAを用いることができる。しかし、そのような形状精度の高い型36を用いても、転写によって得られる層間絶縁層40の形状精度が低くなるおそれがある。前述したように、被転写層30の表面における樹脂層32と導電部34との境界部分における硬化収縮などの特性差によって形状精度が低下するためである。その結果、層間絶縁層40の上に、上述したような高い形状精度(隣接する面の角度90±0.2°以内)の反射層46を形成することは困難となる。
従って、転写によって得られるMCCA形状の精度を高めようとすると、転写される層(被転写層)は、被転写層のうち型によって変形させる領域(形状転写領域)に亘って流動性や剛性、硬化収縮などの特性が略等しくなるような構造を有していることが好ましく、例えば形状転写領域に亘って同一の材料で形成されていると有利である。
一方、被転写層全体を絶縁樹脂材料などで構成すると、転写によって得られた絶縁層にスイッチング素子と画素電極とを接続するためのコンタクトホールを形成する必要があり、図4(a)および(b)を参照して説明したように、転写によって形成されたMCCA形状がコンタクトホールによって崩れてしまう。
本発明者らは、上記知見に基づき、被転写層の構造に着目して検討を行った。その結果、導電部材と導電部材を覆うように形成された絶縁層とを有する被転写層を用い、転写によって導電部材の上面の一部のみを露出させることによって、スイッチング素子と画素電極との電気的な接続を確保しつつ、形状精度の高いMCCAおよび反射層を形成できることを見出し、本発明に至った。
以下、図面を参照しながら、本発明による反射型表示装置の実施形態を説明する。
(実施形態1)
図9(a)は、本発明による反射型表示装置の第1の実施形態を示す断面模式図である。
反射型表示装置は、前面基板60、前面基板60に対向する背面基板62、および前面基板60と背面基板62との間に保持された液晶層64を備えている。前面基板60の液晶層側の表面には、複数のカラーフィルタ74と、透明対向電極78とが順に形成されている。背面基板62の液晶層側の表面には、画素毎にスイッチング素子68が形成されている。ここでは、スイッチング素子68としてTFTを用いる。スイッチング素子68と液晶層64との間には、コーナーキューブアレイ66と、コーナーキューブアレイ66の上に形成され、コーナーキューブアレイの表面形状を反映した形状を有する反射層70が設けられている。コーナーキューブアレイ66の配列ピッチは、カラーフィルタ74のピッチ以下である。コーナーキューブアレイ66は、各スイッチング素子68のドレイン電極69と電気的に接続するように配置された複数の導電部材80を有している。コーナーキューブアレイ66のうち導電部材80が配置されていない領域は、例えば絶縁樹脂材料などから形成された絶縁層86である。反射層70は、画素毎に互いに離間された複数の画素電極72から構成されており、再帰性反射板としてだけでなく、画素電極としても機能する。それぞれの画素電極72は、後述するように、対応する導電部材80の上面と接しており、導電部材80を介して、対応するスイッチング素子68におけるドレイン電極69と電気的に接続されている。
図9(b)および(c)は、本実施形態におけるコーナーキューブアレイ66の構造を説明するための拡大断面図および平面図である。各導電部材80は、コーナーキューブアレイ66における底面66bと表面66uとの間に配置され、対応するスイッチング素子のドレイン電極69と電気的に接続されている。本実施形態では、導電部材80は、絶縁樹脂材料からなる樹脂層82と、樹脂層82を覆う導電層84とから構成されている。
また、図9(b)および(c)からわかるように、各導電部材80の上面の一部80sはコーナーキューブの底点部の表面を構成し、反射層70と接している。すなわち、導電部材80の上面の一部80sのみがコーナーキューブの底点部で露出して所定のコーナーキューブアレイ形状を形成し、導電部材80の表面における他の部分は絶縁層86で覆われている。
なお、本明細書において、「コーナーキューブの底点部の表面を構成する」とは、各導電部材80の表面の一部(以下、「露出部分」と呼ぶ)80sによって構成されるコーナーキューブの表面が、所定のコーナーキューブアレイ形状を有していることを意味する。好ましくは、コーナーキューブアレイ66の表面のうち導電部材80の露出部分80sによって構成される領域と他の領域(ここでは絶縁層86によって構成される領域)とは、実質的に同じ形状精度を有している。そのようなコーナーキューブアレイ66は、後述するように、転写を利用して形成され得る。また、導電部材80の露出部分80sは、コーナーキューブの底点部の表面全体を構成していてもよいし、底点部の表面のうち底点を含む少なくとも一部を構成していてもよい。
また、「コーナーキューブの底点部」とは、コーナーキューブアレイにおいて、複数のコーナーキューブの底点を含む平面からの高さがコーナーキューブの高さHの1/2以下の部分をいう。ここで、コーナーキューブの「底点」とは、コーナーキューブにおける凹形状を有する(最も深い)点を指す。また、「コーナーキューブの高さH」とは、コーナーキューブを構成する3面における最も高い点と、複数のコーナーキューブの底点を含む平面との距離をいう。なお、上述したコーナーキューブの底点部や底点の定義は、コーナーキューブアレイ66のみでなく、MCCA形状を有する反射層70、さらにはコーナーキューブアレイ66を形成するために用いる転写型に対しても適用する。
図10を参照しながらキュービックコーナーキューブアレイを例に説明する。キュービックコーナーキューブアレイでは、コーナーキューブの高さHは、コーナーキューブにおける凸形状を有する(最も高い)点(以下、「頂点」とする)94と、複数のコーナーキューブの底点92を含む平面90との距離Hとなる。従って、コーナーキューブアレイの底点部は、複数のコーナーキューブの底点92を含む平面90からの高さがコーナーキューブの高さ(すなわち頂点94の高さ)Hの1/2以下の部分96となる。言い換えると、底点92を頂点とし、高さがH/2である三角錐領域である。従って、コーナーキューブアレイ66としてキュービックコーナーキューブアレイを用いる場合、導電部材80の露出部分80sは、上記三角錐領域96における3つの側面の少なくとも一部を構成する。
本実施形態における液晶層64は、高分子または低分散乱型液晶材料、例えば高分子分散型液晶(PDLC;Polymer Dispersed Liquid Crystal)から形成された光散乱型の液晶層であり、好ましくは、高分子構造に液晶骨格(メソゲン基)を有するリバース型PLDCから形成される。本実施形態では、透明対向電極および画素電極72によって画素単位で液晶層64に電圧が印加され、これにより、液晶層64の光学的特性が透明状態(電圧無印加時)と散乱状態(電圧印加時)との間でスイッチングされる。その結果、電圧印加時には「白」、電圧無印加時には液晶層が透明となるので、再帰性反射にて「黒」が表示される。
なお、本実施形態における液晶層64は、印加される電圧によって光学的特性が変化する層であればよく、上述した散乱型液晶層に限定されない。さらに、液晶層64の代わりに、電圧によって光学的特性が変化する他の変調層を用いてもよい。
本実施形態の反射型表示装置では、反射層70のコーナーキューブアレイ形状を崩すことなく、スイッチング素子68と画素電極72との電気的な接続を確保できるので、再帰性反射特性を向上でき、高品位の表示を実現できる。具体的には、コーナーキューブアレイ66にコンタクトホールが形成されていないため、反射層70には図4(b)に示すような非再帰性反射領域22が形成されておらず、表示領域に亘って均一な再帰反射特性が得られる。
また、後述するような転写工程を用いてコーナーキューブアレイ66を形成することにより、反射層70におけるコーナーキューブアレイの形状精度を、例えば図7を参照しながら上述した方法によって形成された反射層の形状精度よりも高くできるので、再帰反射特性を従来よりも向上でき、高品位な表示が得られる。
本実施形態における導電部材80の形状は、導電部材80の表面の少なくとも一部がスイッチング素子68と接し、かつ導電部材80の上面の一部が画素電極72と接する形状であればよく、例えば柱状(円柱や角柱)であってもよい。また、導電部材80における樹脂層82および導電層84の材料は、図9(b)を参照しながら説明したそれぞれの材料に限定されない。さらに、本実施形態では、導電部材80の少なくとも一部が導電性を有し、コンタクト部として機能すればよく、導電部材80の構成も図9(b)に示す構成に限定されない。なお、導電部材80の全体が導電性を有する構成であってもよく、例えば導電部材80は導電性樹脂材料から形成された導電性樹脂層であってもよい。
本実施形態において、画素電極72とスイッチング素子68とを電気的に接続するためには、導電部材80の上面はコーナーキューブの少なくとも1つの底点と対向し、底点部の表面の一部を構成する必要がある。画素電極72とスイッチング素子68との接続をより確実に確保するためには、図9(c)に示すように、導電部材80の上面はコーナーキューブの複数の底点と対向し、複数の底点部の表面を構成することが好ましい。なお、導電部材80がコーナーキューブアレイ66のどの位置に配置されても、導電部材80の上面がコーナーキューブの底点に対向するように、導電部材80の形状およびサイズが設定されていると、TFT基板におけるスイッチング素子68の配列パターンとコーナーキューブアレイ66の配列パターンとの位置合わせを行うことなく、画素電極72とスイッチング素子69との電気的な接続を確保できるメリットがある。例えば、図9に示す反射型表示装置において、コーナーキューブアレイ66の配列ピッチを10μmとし、導電部材80の上面を正方形とすると、正方形の1辺の長さが(2/√3)×10μmより大きいことが好ましい。より好ましくは12μm以上である。
一方、導電部材80が隣接する画素に跨って配置されてしまうと、それらの画素間でリークが生じるおそれがあるため、導電部材80の上面の最大幅は画素の配列ピッチよりも小さいことが好ましい。「導電部材80の上面の最大幅」とは、例えば上面が円であればその直径、上面が長方形であればその長辺をいうものとする。
次に、図11(a)〜(e)および図12(a)〜(f)を参照しながら、図9に示す反射型表示装置を製造する方法の一例を説明する。
まず、図11(a)に示すように、表面にスイッチング素子(TFT)68が形成された基板67の上に樹脂層82aを形成する。樹脂層82aは、例えばスピンコーター、ダイコーター、キャップコーター等の塗工装置を用いて、基板67の上に感光性を有する樹脂材料を塗布することによって形成できる。感光性を有する樹脂材料は、液晶表示装置における層間絶縁膜の材料として一般的に用いられるアクリル系樹脂材料であってもよい。樹脂層82aの形成方法は塗布による方法に限定されず、ドライフィルム等の樹脂材料を含む層を基板67の上に貼り付ける方法を採用してもよい。また、樹脂層82aの材料として、感光性を有する樹脂材料の代わりに、形状を保持できる他の樹脂材料(例えば熱硬化性を有する樹脂材料)を用いてもよい。
次いで、図11(b)に示すように、フォトマスク102を用いて、フォトリソグラフィーにより樹脂層82aのパターニングを行う。これにより、図11(c)に示すように、基板上の各スイッチング素子68におけるドレイン電極69と対応する位置に樹脂層(厚さ:例えば2μm)82が形成される。本実施形態では、樹脂層82の上面は、40μm×40μmの略正方形とする。また、図示する例では、樹脂層82はドレイン電極69の表面上に形成されるが、樹脂層82が形成される位置はこの例に限定されず、後述する工程で樹脂層82の上に形成される導電層がドレイン電極69と接することができる位置であればよい。
この後、図11(d)に示すように、樹脂層82を覆う導電性薄膜84aを形成する。導電性薄膜84aの材料として、例えば被覆性(ステップカバレッジ)に優れたITO膜を用いることができる。
次いで、図11(e)に示すように、導電性薄膜84aをパターニングすることにより導電層84を形成する。導電層84は、樹脂層82の上面および側面を覆い、かつ対応するスイッチング素子68のドレイン電極69と接続されている。このようにして、樹脂層82および導電層84からなる導電部材80が得られる。
続いて、図12(a)に示すように、導電部材80が形成された基板67の上に、導電部材80を覆うように転写用の樹脂膜86aを形成する。これにより、樹脂膜86aおよび導電部材80からなる被転写層66aが得られる。樹脂膜86aは、アクリル樹脂(例えば三菱レイヨン社製:MP−107)など紫外線硬化樹脂を基板表面に塗布することによって形成できる。なお、樹脂膜86aの材料は紫外線硬化樹脂に限定されず、熱硬化性樹脂であってもよい。本実施形態では、樹脂膜86aは表示領域に亘って形成される。
この後、図12(b)に示すように、表面にコーナーキューブアレイを規定する凹凸形状を有する型(例えば金型)104を被転写層66aの表面に貼付し、型押し法などによって被転写層66aに型104の凹凸形状を転写する。ここでは、型104として、図3に示すようなキュービックコーナーキューブアレイ(配列ピッチ:10μm)を規定する凹凸形状を有するNi型を用いる。転写方法は特に限定されないが、例えば本出願人による特開2005−128421号公報に記載された方法を用いることができる。
転写の際には、Ni型104と基板67との間に所定の圧力(プレス圧)をかけて被転写層66aを変形させ、導電部材80の上面を部分的に樹脂膜86aから露出させる。続いて、Ni型104と基板67との間に圧力をかけた状態のまま、被転写層66aを紫外線で照射する。これによって、被転写層66における樹脂膜86aは硬化して絶縁層86となる。その後、型104を基板67から剥離する。なお、樹脂膜86aの材料として熱硬化樹脂を用いる場合には、樹脂膜86aを加熱することによって硬化させることができる。
ここで、上記転写工程をさらに詳しく説明する。被転写層66aにNi型104を貼付した後、加圧していくと、被転写層66aにおける樹脂膜86aはNi型の凹凸形状に応じて変形していき、ある時点で、Ni型104における凸部の先端(Ni型におけるコーナーキューブの頂点)が、導電部材80を覆う樹脂膜86aを押し退けて導電部材80の上面に接触する。この時、Ni型104における先端のみが導電部材80の上面に接触するため、この接点にプレス圧が集中的にかかり、導電部材80がNi型104の形状に応じて塑性変形する。これに伴って、Ni型104の凸部は先端から導電部材80に埋没する。
このように、Ni型104の押付によって、樹脂膜86aのみでなく導電部材80における導電層84および樹脂層82もNi型104の形状に応じて塑性変形させることができるので、樹脂膜86aおよび樹脂膜86aから露出した導電部材80の上面を所定の形状に変形させることができる。
Ni型104を押付して導電部材80に埋没させた状態の拡大断面図を図13(a)に示す。このとき、Ni型104における頂点部のみ、あるいは頂点部の一部のみを導電部材80に埋没させることが好ましい。言い換えると、導電部材80に埋没したNi型の深さDを、Ni型におけるコーナーキューブの高さHの1/2以下に制御することが好ましい。なお、「Ni型104における頂点部」とは、Ni型104において、複数の頂点を含む平面からの距離がコーナーキューブの高さHの1/2以下の部分をいう。また、「導電部材に埋没したNi型の深さD」とは、Ni型104の頂点105から導電部材80の上面(導電部材80のうちNi型104が埋没していない領域の上面)までの距離をいう。深さD(以下「埋没深さ」とする)をH/2以下に制御することが好ましい理由を次に説明する。
上記深さDがコーナーキューブの高さHの1/2を超えると、すなわち、Ni型104におけるコーナーキューブの頂点105から鞍点を越えて導電部材80に埋没させようとすると、樹脂膜86aの絶縁樹脂材料、あるいはNi型104と被転写層66aとを対向させて貼付する際にかみこんだ気泡がNi型104の底点付近に溜まり抜けなくなる。気泡が入った場合、その部分はボイドと呼ばれる欠陥となる。また、絶縁樹脂材料が抜けなくなった場合には、導電部材80の上面のうち変形させようとする領域とNi型104との間に絶縁樹脂材料が封じ込められるので、転写時にNi型104と基板67との間に印加するプレス圧は、導電部材80の変形のみでなく封じ込められた絶縁樹脂材料の圧縮にも使用されてしまい、プレス圧のうち導電部材80にかかる圧力の割合が低下する。
なお、上記深さDは、導電部材80や被転写層66aの材料や厚さ、型104の形状(コーナーキューブの配列ピッチ)、プレス圧などを調整することによって制御することができ、好ましくは1/2未満、より好ましくは1/3以下になるように制御される。
また、図13(a)に示す状態において、導電部材80に埋没したNi型104の頂点105が、基板(例えばTFT基板)67に予め配置された凹凸構成要素(例えばTFTや配線など)よりも高くなるように、導電部材80の厚さを設定することが好ましい。これにより、上記転写工程において、導電部材80がスペーサの役割を果たすことができ、その結果、基板67におけるスイッチング素子68や配線などの凹凸構成要素とNi型104とが接触することを防止できる。
従って、導電部材80の厚さdは、基板67における凹凸構成要素の高さおよびNi型104の埋没深さDを考慮すると、基板67における凹凸構成要素の最大高さhよりも大きく、かつ、基板67における凹凸構成要素の最大高さhとコーナーキューブの高さHの1/2とを加えた値よりも小さい(h<d<(h+H/2))ことが好ましい。なお、上記方法では、導電部材80の厚さdは、樹脂膜82aおよび導電膜84aの厚さによって規定される。
上記の転写工程により、図12(c)に示すようなコーナーキューブアレイ66が得られる。図13(b)は、図12(c)に示すコーナーキューブアレイ66を説明するための拡大断面図である。図13(b)に示すように、コーナーキューブアレイ66では、コーナーキューブの底点部で導電部材80の上面の一部が絶縁層86から露出している。また、コーナーキューブアレイ66の表面は、絶縁層86および絶縁層86から露出した導電部材80の上面によって構成されている。
転写によって形成されるコーナーキューブアレイ66の厚さ、すなわちコーナーキューブアレイ66における底面66bからコーナーキューブの頂点までの距離Tは、導電部材80の厚さdとコーナーキューブの高さHとを加えたものよりも埋没深さDだけ小さくなる(T=d+H−D)。つまり、導電部材80が厚くなると、それに応じてコーナーキューブアレイ66が厚くなる。従って、導電部材80が厚すぎると(例えばd>10μm)、コーナーキューブアレイ66の厚さTは、セル厚に対して部分的に極めて大きくなる。このようなコーナーキューブアレイ66が形成された背面基板62を前面基板60と貼合せようとすると、セル厚不良が生じやすくなり、生産上好ましくない。さらに、樹脂層82を導電層84でコートすることによって導電部材80を形成する場合には、導電部材80の厚さdが大きすぎると、導電層84の導通不良が生じるおそれもある。
従って、プロセス上および特性上の観点から、導電部材80の厚さdは10μm以下であることが好ましい。より好ましくは5μm以下であり、例えば2μmである。これにより、導電部材80を転写時のスペーサとして機能させるとともに、上述したようなセル厚不良や導通不良をより確実に防止できる。
なお、前述した転写工程において、導電部材80に埋没したNi型104の頂点105が基板67の凹凸構成要素よりも高くなるように導電部材80の厚さdが設定されていれば、コーナーキューブアレイ66における底点は基板67の凹凸構成要素よりも高い位置に形成される。
続いて、図12(d)に示すように、コーナーキューブアレイ66の表面に、Agなどの反射性金属からなる金属膜70aを真空蒸着法によって形成する。反射膜70aの材料は、Agに限定されず、Alなどの高反射金属や、Al、Agなどを主とする合金などを用いてもよい。また、金属膜の形成方法も真空蒸着法に限定されず、スパッタ法や、メッキなどの湿式成膜法であってもよい。あるいは、溶液状態の金属材料をコーナーキューブアレイの表面に塗布することによって金属膜70aを形成してもよい。
図12(e)に示すように、得られた金属膜70aをパターニングして画素毎に分離することにより、複数の画素電極72からなる反射層70を形成する。金属膜70aのパターニングは、例えば本出願人による特願2004−246495号に記載された方法を用いて行うことができる。反射層70における各画素電極72は、転写によって露出した導電部材80の上面と接している。この構成により、各画素電極72は、導電部材80における導電層84を介して、対応するスイッチング素子68のドレイン電極69と電気的に接続される。このようにして、表示装置の背面基板62が得られる。
一方、画素電極72のパターンに応じて配色されたカラーフィルタ74と透明対向電極(ITO)78とが形成された前面基板60を作製する。この前面基板60および上記方法で得られた背面基板62の表面に、必要に応じて液晶配向膜(図示せず)を塗布する。
この後、画素電極72と透明対向電極78とが対向するように、スペーサ(図示せず)を介して、前面基板60と背面基板62とを接着剤で貼り合わせ、次いで、これらの基板60、62の間に高分子分散型の液晶材料を注入、封止することよって液晶層64を形成する。このようにして、図12(f)に示すような反射型液晶表示装置が得られる。
本実施形態の反射型表示装置は、上記方法によって製造されるので、図7を参照しながら説明した特許文献2の方法と比べると、以下のようなメリットがある。
上述したように、特許文献2に開示された方法では、転写によって形成されるコーナーキューブアレイの形状精度が低下する場合があった。また、転写工程において、ガラス基板の破損などの問題が生じたり、導電性異物が絶縁層に混入するなどの問題が生じるおそれがあった。
これに対し、図11および図12を参照しながら説明したような方法によると、転写を利用して形状精度の高いコーナーキューブアレイを簡便に作製できる。具体的には、転写工程において、被転写層66aのうち変形させようとする領域(転写形成領域)の大部分が樹脂膜86aから形成されているので、被転写層66aにおける樹脂膜86aを構成する材料と導電部材80を構成する材料との硬化収縮などの特性が異なることによる形状精度の低下を大幅に抑えることができる。そのため、被転写層66aを略均一に変形させることができるので、コーナーキューブアレイ66の形状精度を従来よりも高くできる。その結果、コーナーキューブアレイ66の上に形状精度の高い反射層70を形成でき、再帰反射特性を向上させることができる。
また、図11および図12を参照しながら説明した方法によると、転写によって導電部材80を大きく変形させる必要がないので、転写時のプレス圧を小さく抑えることができる。例えば、図12(b)および図13(a)に示す転写工程において、型104の頂点部全体(型104の頂点から鞍点を含む平面までの三角錘領域)を導電部材80に埋没させるように加圧する場合を考える。このとき、型104のうち導電部材80に埋没させた部分の深さ(埋没深さ)Dは、型104のコーナーキューブの高さHの1/2となる。図13(c)は、単一のコーナーキューブにおいて、導電部材80の上面のうち型104によって変形する領域80sを示す平面図である。これに対し、例えば図7に示す方法のように、型104の底点までを埋没させる(すなわち、上記深さDがコーナーキューブの高さHと等しくなる)ように加圧すると、導電部材80の上面が変形してコーナーキューブ全体を構成する。この場合における、導電部材80の上面のうち型104によって変形する領域81sを図13(d)に示す。図13(c)および(d)からわかるように、埋没深さDがH/2の場合には、埋没深さDがHの場合と比べて、変形する導電部材80の上面の面積は1/2となり、導電部材80の変形に必要なプレス圧は1/2以下となる。なお、上記深さDがコーナーキューブの高さHの1/2未満、より好ましくは1/3以下になるように加圧すると、プレス圧をさらに低減させることが可能になる。
このように、転写時のプレス圧を低減できるので、プレス圧による基板67へのダメージを低減でき、基板67の破損などの問題を防止できる。さらに、転写工程に使用するプレス装置を簡素化できる。
さらに、上記の転写工程では、加圧による導電部材80の変形量が小さくてすむので、導電部材80に含まれる導電粒子がプレス圧によって破壊されてダスト(導電性の異物)が発生する可能性が極めて小さい。そのため、導電性の異物がプレス装置内部で飛散したり、コーナーキューブアレイ66における絶縁層86に混入するなどの問題を防止できる。
その上、転写の際には、導電部材80がスペーサの役割を果たすため、プレス圧によって型104が基板67のスイッチング素子68と接触してしまうことを防止できるというメリットもある。
また、導電部材80の配置されるパターンとコーナーキューブアレイ66の配列パターンとを整合させることなく、コーナーキューブの底点部、すなわち反射層70のうちスイッチング素子68のドレイン電極69との距離が最も短い部分で画素電極72とスイッチング素子68とを電気的に接続できる。従って、コーナーキューブの頂点部でこれらを接続する場合よりもコンタクト抵抗を低減できるので有利である。特に、導電部材80の材料として、樹脂バインダ中に導電性粒子を混入した導電性樹脂材料を用いる場合には、導電部材80の抵抗率は樹脂の存在により高くなる。このような場合、コーナーキューブの底点部で画素電極72と導電部材80とを接触させると、電流が導電部材80の中を流れる距離を小さく抑えることができるので、コンタクト抵抗を効果的に低減できる。
本実施形態における製造方法は、図11および図12を参照しながら上述した方法に限定されない。例えば、型104を用いた転写工程では、未硬化の樹脂材料(モノマー、オリゴマー)を用いて被転写層66aを形成し、型104を押付した状態で上記樹脂材料を硬化させる方法を用いているが、樹脂材料の種類や硬化方法、硬化条件などは適宜選択され得る。あるいは、塑性変形、熱可塑性といった圧力や温度に対する樹脂材料の変形を利用して転写を行ってもよい。また、本出願人による特開2001−75090号公報に開示されているように、フィルム状の感光性樹脂を用いて転写を行うこともできる。
本実施形態におけるコーナーキューブアレイ66の形成に用いられる型104は、例えば本出願人による特許文献3や特開2001−75090号公報に開示された方法を用いて作製できる。具体的には、結晶基板に対して異方性エッチングを行うことによって作製できる。または、その方法によって作製された型を転写することによって作製してもよい。
液晶層64の材料は特に限定されないが、高分子分散型液晶であることが望ましい。高分子分散型液晶は、例えば低分子液晶組成物および未重合プレポリマーの混合物を相溶させて透明基板間に配置した後、プレポリマーを重合することによって得られる。プレポリマーの種類は特に限定されないが、好ましくは紫外線硬化性プレポリマーを用いる。紫外線硬化性プレポリマーを用いると、重合を行う際に上記混合物を加熱する必要がないので、他の部材への熱による悪影響を防止できる。
本実施形態では、液晶性を示す紫外線硬化性プレポリマーと液晶組成物との混合物(プレポリマー液晶混合物)を、紫外線等の活性光線の照射により光硬化させることによって高分子分散型液晶を形成する。プレポリマー液晶混合物としては、例えば、紫外線硬化材料と液晶とを20:80の重量比で混合し、少量の重合開始剤(チバ・ガイギー社製)を添加することによって得られた、常温でネマティック液晶相を示すプレポリマー液晶混合物を用いることができる。
本実施形態の反射型表示装置の構成は、図9(a)〜(c)に示す構成に限定されない。例えば、反射層70の上に、反射層70の凹凸形状を平坦化するための平坦化層を設け、平坦化層上に透明な上層画素電極を形成してもよい。
本実施形態におけるコーナーキューブアレイ66は、互いに直交する略正方形の3面からなるコーナーキューブから構成されたキュービックコーナーキューブアレイであるが、他のコーナーキューブアレイであってもよい。例えば、図14に示すように、互いに直交する直角二等辺三角形の3面からなるコーナーキューブから構成されたコーナーキューブアレイであってもよい。なお、図14に示すコーナーキューブアレイを用いる場合であっても、「コーナーキューブの底点部」は、前述したように、複数のコーナーキューブの底点を含む平面からの高さがコーナーキューブの高さHの1/2以下の部分をいう。この場合の「コーナーキューブの高さH」は、コーナーキューブを構成する上記直角二等辺三角形の底辺を含む平面と複数のコーナーキューブの底点を含む平面との距離を指す。
コーナーキューブアレイ66における配列ピッチは特に限定しないが、例えば可視光の波長以上で、画素の最大幅以下である。これによって混色などの表示特性上の問題を抑制できる。なお、図11および図12を参照しながら説明した転写によるコーナーキューブアレイ66を形成する方法によると、コーナーキューブの配列ピッチが小さい場合でも高精度のコーナーキューブアレイ66を形成することが可能であり、上記方法を微細なサイズのコーナーキューブアレイ(ピッチ:例えば2.5μm以下)の形成に適用すると特に有利である。
(実施形態2)
以下、本発明による反射型表示装置の第2の実施形態を説明する。
本実施形態の反射型表示装置は、図9(a)および(b)を参照しながら説明した実施形態1の反射型表示装置と同様の構成を有している。ただし、コーナーキューブアレイ66における導電部材80の材料や構造が異なっている。具体的には、実施形態1では導電部材80の一部(導電層84)のみが導電材料から形成されているが、本実施形態では導電部材80の全体が導電性を有する材料から形成されている。
図15(a)および(b)は、それぞれ、本実施形態の反射型表示装置を示す断面模式図および本実施形態におけるコーナーキューブアレイの構造を説明するための拡大断面図である。簡単のため、図9(a)および(b)に示す反射型表示装置における構成要素と同様の構成要素には同じ参照符号を付し、説明を省略する。
本実施形態におけるコーナーキューブアレイ66は、実施形態1と同様に、複数の導電部材110を有している。各導電部材110は基板上の対応するスイッチング素子68のドレイン電極69と接するように配置されている。また、導電部材110の上面の一部110sはコーナーキューブアレイ66の底点部の表面を構成し、反射層70と電気的に接続されている。本実施形態では、各導電部材110は導電性を有する材料を用いて形成された導電体層であり、導電部材110の全体が導電性を有している。導電部材110の材料としては、例えば導電性樹脂を用いることができる。ここでいう導電性樹脂とは、絶縁性樹脂(例えばアクリル樹脂)に導電性材料(例えばAg)の微粒子を分散させた導電性材料分散樹脂や、高分子そのものが導電性を有する有機導電性化合物であってもよい。
以下、図16(a)〜(c)および図17(a)〜(f)を参照しながら、図15(a)および(b)に示す反射型表示装置を作製する方法の一例を説明する。
まず、図16(a)に示すように、表面にスイッチング素子(TFT)68が形成された基板67の上に導電性樹脂層110aを形成する。導電性樹脂層110aは、例えば感光性を有する樹脂にAg微粒子を分散させた導電性材料分散樹脂(ノリタケカンパニーリミテッド社製)をスクリーン印刷法で基板67の上に塗布することによって形成できる。なお、導電性樹脂層110aの材料や形成方法は上記材料や方法に限定されない。
次いで、図16(b)に示すように、フォトマスク112を用いて、フォトリソグラフィーにより導電性樹脂層110aのパターニングを行う。これにより、図16(c)に示すように、基板上の各スイッチング素子68におけるドレイン電極69と接する導電性樹脂層(導電部材)110を形成する。ここでは、導電部材110の厚さを2μm、導電部材110の上面を40μm×40μmの略正方形とする。
この後、図17(a)に示すように、導電部材110が形成された基板67の上に、導電部材110を覆うように転写用の樹脂膜86aを形成する。樹脂膜86aの材料は、例えば図12(a)を参照しながら前述した材料と同じであってもよい。これにより、樹脂膜86aおよび導電部材110からなる被転写層66aが得られる。
この後、図17(b)に示すように、型(例えばNi型)104を被転写層66aの表面に貼付し、型押し法により、被転写層66aに型104の凹凸形状を転写する。転写は、図12(b)および図13(a)を参照しながら説明した方法と同様の方法を用いて行う。これにより、導電部材110の上面が部分的に樹脂膜86aから露出し、樹脂膜86aおよび樹脂膜86aから露出した導電部材110の上面を型104の凹凸形状に応じた形状に変形させることができる。なお、型104の形状や作製方法も、図12(b)を参照しながら説明した形状や作製方法と同じであってもよい。
上記の転写工程により、図17(c)に示すようなコーナーキューブアレイ66が得られる。コーナーキューブアレイ66では、コーナーキューブの底点部で導電部材110の上面の一部が露出して所定のコーナーキューブアレイ形状を構成している。
続いて、図17(d)に示すように、コーナーキューブアレイ66の表面に金属膜70aを形成し、パターニングする。これにより、図17(e)に示すように、複数の画素電極72を有する反射層70を形成する。金属膜70aの材料や形成方法、金属膜70aのパターニング方法などは、図12(d)および(e)を参照しながら前述した材料や方法と同様であってもよい。このようにして、表示装置の背面基板62が得られる。
上記方法で得られた背面基板62を用いて、図12(f)を参照しながら前述した方法と同様の方法により、図17(f)に示すような反射型液晶表示装置を作製できる。
前述の実施形態では、図11を参照しながら説明したように、導電部材80を形成するためには、樹脂膜82aおよび導電膜84aをそれぞれ形成してパターニングする必要があった。これに対し、上記方法では、導電性樹脂膜110aを形成してパターニングすることによって導電部材110を形成できる。従って、成膜およびパターニング(具体的にはフォトリソおよびエッチング)のための工程数を低減でき、製造プロセスを簡略化できる。
なお、図16および図17を参照しながら上述した方法では、導電部材110の材料として導電性樹脂を用いたが、代わりに金属材料を用いてもよい。前述したように、金属の剛性率は一般的に樹脂材料に比べて高く、金属を変形させるためには高い圧力(プレス圧)が必要となるが、本実施形態では導電部材110の変形量が小さくすむので、プレス圧を増大させることなく、所定のコーナーキューブアレイ形状に塑性変形させることが可能である。従って、コーナーキューブアレイ66の形状精度を確保しつつ、コンタクト抵抗を低減できる。
以下、図18(a)〜(e)を参照しながら、金属材料を用いて導電部材を形成する方法の一例を説明する。
まず、図18(a)に示すように、スイッチング素子68が形成された基板67の上に、感光性を有する樹脂を用いてフォトレジスト膜(厚さ:例えば5μm)122を形成する。ここでは、感光性を有する樹脂として、フォトレジスト(TGMR−950BE:東京応化社製)を用いる。
次いで、図18(b)に示すように、フォトマスク124を用いてフォトレジスト膜122を露光した後、フォトレジスト膜122を現像する。これにより、図18(c)に示すように、フォトレジスト膜122に複数の開口部122aが形成される。各開口部122aは、基板67における対応するスイッチング素子68のドレイン電極69の表面を露出するように配置される。
続いて、図18(d)に示すように、フォトレジスト膜122の開口部122aにメッキ法などにより金属(例えばNi)を電析させる。このようにして、ドレイン電極69と電気的に接続された導電部材130が得られる。この後、図18(e)に示すように、フォトレジスト膜122を剥離する。
上記方法で導電部材130を形成した後、図17(a)〜(f)を参照しながら上述した方法と同様の方法で図15(a)および(b)に示すような表示装置を製造できる。
なお、上記方法ではメッキ法を用いて導電部材130を形成しているが、形成方法はこれに限定されない。また、導電部材130に用いる金属材料も上記材料に限定されない。
(実施形態3)
以下、本発明による反射型表示装置の第3の実施形態を説明する。本実施形態の反射型表示装置は、反射層の表面凹凸を平坦化するための平坦化層をさらに備え、平坦化層上に画素電極として機能する上層電極が形成されている点で、図15(a)および(b)に示す実施形態2の反射型表示装置と異なっている。
図19は、本実施形態の反射型表示装置を示す断面模式図である。簡単のため、図15(a)および(b)に示す反射型表示装置における構成要素と同様の構成要素には同じ参照符号を付し、説明を省略する。
本実施形態の反射型表示装置における背面基板62には、コーナーキューブアレイ66、反射層70、反射層70の凹凸形状を平坦化するための平坦化層140、および複数の上層画素電極144がこの順で形成されている。コーナーキューブアレイ66および反射層70は、図15(a)および(b)を参照しながら説明した構成と同様の構成を有し、同様の材料を用いて形成されている。平坦化層140は、例えば絶縁樹脂材料から形成されている。平坦化層140には、反射層70の表面に達する複数のコンタクトホール142が形成されている。各上層画素電極(例えばITO電極)144は平坦化層140の上に形成されており、平坦化層140のコンタクトホール142を介して、反射層70における対応する画素電極72と電気的に接続されている。従って、本実施形態では、各画素における上層画素電極144および画素電極(下層画素電極)72が、対応するスイッチング素子68のドレイン電極69と電気的に接続され、画素電極として機能する。
本実施形態によると、反射層70と液晶層64との間に平坦化層140が形成されているため、反射層70の表面凹凸が液晶層64に与える影響を低減できる。
なお、本実施形態における導電部材110は、図15(a)および(b)を参照しながら説明したように、導電性樹脂や金属材料などの導電性を有する材料から形成されているが、導電部材110の少なくとも一部が導電性を有し、コンタクト部としての機能できればよい。例えば、図9(a)および(b)を参照しながら説明したように、絶縁材料から形成された樹脂層を導電層で覆う構造を有していてもよい。
次に、図20(a)〜(f)を参照しながら、図19に示す反射型表示装置の製造方法の一例を説明する。
まず、図20(a)に示すように、TFT基板67の上にコーナーキューブアレイ66および反射層70を形成する。反射層70は、画素ごとに分離された画素電極72から構成されている。このようなコーナーキューブアレイ66および反射層70は、図16および図17を参照しながら前述した方法と同様の方法で、同様の材料を用いて形成できる。
次いで、図20(b)に示すように、反射層70の上に感光性樹脂膜140aを形成する。感光性樹脂膜140aは、感光性を有する樹脂(感光性樹脂)を反射層70の上に塗布することによって形成できる。ここでは、感光性樹脂としてネガ型のアクリル系感光性樹脂(CR−700;日立化成工業製)を用いる。
その後、フォトマスク(図示せず)を用いて感光性樹脂膜140aを露光した後、現像し、さらに最終硬化させることによって、図20(c)に示すように、コンタクトホール142を有する平坦化層140を形成する。各コンタクトホール142は、対応する画素電極72の表面を露出するように配置される。
続いて、図20(d)に示すように、平坦化層140およびコンタクトホール142の内表面を覆うように透明導電膜(ITO膜など)144aを形成する。透明導電膜144aは例えばスパッタ法によって形成できる。この透明導電膜144aに対してパターニングを行うことにより、図20(e)に示すように、画素ごとに離間された上層画素電極144を形成する。このようにして、背面基板62が得られる。
この後、図12(f)を参照しながら前述した方法と同様の方法で、上記方法で得られた背面基板62をカラーフィルタ74および透明対向電極78が形成された前面基板60と貼り合わせ、基板60、62の間に液晶層64を形成する。これにより、図20(f)に示すような反射型液晶表示装置が得られる。
上記方法において、感光性樹脂膜140aの材料としてネガ型の感光性樹脂を用いることが好ましい。この理由を、図面を参照しながら以下に説明する。
図21(a)および(b)は、ネガ型の感光性樹脂膜140aに対する露光工程を説明するための平面図およびI−I’断面図であり、図21(c)は現像工程を説明するための断面図である。
感光性樹脂膜140aを露光する際には、図21(a)および(b)に示すように、遮光領域146sおよび光透過領域146tを有するフォトマスク146を用いる。このとき、フォトマスク146の透過領域146tを通過して感光性樹脂膜140aに入射した光の一部150は、感光性樹脂膜140aを透過し、反射層70で反射する。反射層70はコーナーキューブアレイ形状を有しているので、上記光150は、反射層70におけるコーナーキューブの底点部に向かって反射する。この反射光の一部(「迷光」)152は、感光性樹脂膜140aのうちフォトマスク146の遮光領域146sによって遮光された領域の底点付近を露光する。
露光後、感光性樹脂膜140aの現像を行うと、図21(c)に示すように、感光性樹脂膜140aのうち光で照射された領域以外の領域が除去されて平坦化層140が得られる。このとき、感光性樹脂膜140aのうちフォトマスク146によって遮光された領域では、迷光によって露光された部分148が除去されずに残る。
このように、ネガ型の感光性樹脂を用いると、迷光152の影響によって、フォトマスク146によって規定される形状と異なる形状のコンタクトホール142が形成される。具体的には、コンタクトホール142は、反射層70におけるコーナーキューブアレイ形状の頂点付近に形成されるため、コンタクトホール142の深さ(平坦化層140の最表面から反射層70までの最大深さ)を小さくできる。また、コンタクトホール142の断面形状は、コーナーキューブを構成する平面と迷光によって露光された部分148の表面によって規定され、典型的にはなだらかな(テーパ角の大きい)テーパ形状となる。従って、平坦化層140の上にスパッタ法などにより透明導電膜144aを形成する際に、透明導電膜144aと反射層70とをより確実に接続できるので有利である。