JP2005055452A - マイクロレンズアレイ及び電気光学装置並びにそれらの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マイクロレンズアレイは、例えば石英ガラスからなるベースガラス(300´)と、これに対して負の膨張係数を有するアルミナシリケイトガラスからなる基板(300)、更には、該基板にその外形形状が作り込まれたマイクロレンズ(501)と、前記ベースガラス及び基板の間に介在させた接着剤(B)とを備えている。そして、前記基板は研磨されており、前記ベースガラスに比べて非常に薄化されている。これにより、当該マイクロレンズアレイの熱的変形は、主に、ベースガラスの挙動に支配され、基板の挙動は無視しえることになるので、セル厚(CG)のむらが発生し難くなる。
【選択図】 図11
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばアクティブマトリクス駆動の液晶装置、電子ペーパなどの電気泳動装置、EL(Electro−Luminescence)表示装置等の電気光学装置、及び、該電気光学装置に使用されて好適なマイクロレンズアレイの技術分野に属する。また、本発明は、これら電気光学装置及びマイクロレンズアレイそれぞれの製造方法の技術分野にも属する。
【0002】
【背景技術】
マイクロレンズないしマイクロレンズアレイは、各種の光学機器に使用されている。このような光学機器としては例えば、代表的には、マトリクス状に配列された複数の電荷結合素子(CCD;Charge Coupled Device)を利用して外界の景色ないし風景を撮像することの可能なCCDカメラを挙げることができる。また、素子基板及び対向基板間に液晶等の電気光学物質を備えるとともに、そのうちの素子基板上にマトリクス状に配列された複数の電極及びTFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング用素子を備えた構成を具備し、前記電極及びスイッチング用素子を利用して前記電気光学物質に対する電圧の印加制御を行うことで画像を表示することの可能な液晶表示装置等の電気光学装置等がある。
【0003】
いずれにしても、マイクロレンズアレイを構成する一つ一つのマイクロレンズが、マトリクス状に配列された複数のCCD、あるいは複数の電極の一を単位とする画素に対応するように設けられることで、当該複数の画素、あるいは複数の電極に対して入射すべき光を集光することが可能となり、光の利用効率を高めることができることになる。このようなことにより、CCDカメラ等においては、取得される画像の画質向上に貢献し、液晶表示装置等においては、表示すべき画像の画質向上に貢献することになる。下記の特許文献1においては、マイクロレンズアレイを電気光学装置に適用した例が開示されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−122709号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来におけるこのようなマイクロレンズアレイについては、次のような問題点がある。すなわち、上述のように、マイクロレンズアレイは電気光学装置の一例たる液晶表示装置に用いられるが、この場合、該液晶表示装置は、例えば前記素子基板及び対向基板間に液晶が挟持された構造を有するため、一般的には、前記マイクロレンズアレイを構成するガラス基板は、前記対向基板と対向するように接着剤を介して貼り合わされる構造が採用される。かかる構造では、マイクロレンズアレイは、前記ガラス基板及び対向基板並びに前記接着剤から構成されることになる(典型的には、ガラス基板及び対向基板のうち一方又は双方にマイクロレンズの外形形状が形作られる。)。また、この場合、対向基板は、マイクロレンズアレイを構成する基板として利用される他、電気光学装置を構成する基板としても利用され、両者の兼用となっている。
【0006】
そして、このような場合、前記素子基板の熱膨張率と前記ガラス基板の熱膨張率が異なると、パネルとして組み立てた場合に、セル厚むらを発生させるおそれがあったのである。特に、マイクロレンズアレイを構成する2つの基板(即ち、ガラス基板と対向基板)の厚さに着目した場合、単に、ガラス基板と素子基板の熱膨張率の差を合わしても、完全には解消することができない。このようなセル厚むらは、液晶表示装置を投射型表示装置(液晶プロジェクタ)のライトバルブとして用いる場合には、画像上に色むらを発生させる原因となり、画質を劣化させてしまうおそれが多分にあった。
【0007】
また、前記マイクロレンズアレイにおいて、よりよい集光特性を得るためには、前記のガラス基板の屈折率と前記接着剤の屈折率との差を大きく保つことが好ましい。具体的には例えば、前記ガラス基板として、屈折率の比較的大きいアルミナシリケイトガラスを使用するとよい。しかし、他方で、前記素子基板としては、液晶表示装置の製造工程中の高温プロセスに耐えるための材料、例えば石英ガラスが使用されることが好ましいのである。しかしながら、このような場合、アルミナシリケイトガラスは石英ガラスとは逆の負の膨張係数をもっている、換言すると、石英ガラスが熱的に膨張するときに、アルミナシリケイトガラスは収縮するということが生じうるため、これらを組み合わせる結果、マイクロレンズアレイを含む電気光学装置全体の熱的な変形が不自然になり、それが影響して前記セル厚むらを発生させる可能性が高まるおそれがあったのである。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、好適な集光特性を備えたマイクロレンズアレイを提供することを課題とし、特に、当該マイクロレンズアレイが液晶表示装置等の電気光学装置において適用される場合において、該電気光学装置の熱的変形に原因するセル厚むらを発生させず、また該セル厚むらに原因する画像上の色むらを発生させずに、高品質な画像を表示することの可能なマイクロレンズアレイ、及び、これを具備してなる電気光学装置を提供することを課題とする。また、本発明は、これらマイクロレンズアレイ及び電気光学装置それぞれの製造方法を提供することをも課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明のマイクロレンズアレイは、上記課題を解決するため、第1基板と、該第1基板とは異なる熱膨張係数を有するとともに前記第1基板に比べて厚さの小さい第2基板と、前記第1基板及び前記第2基板の少なくとも一方に、その外形形状が作り込まれたマイクロレンズと、前記第1基板及び前記第2基板の間に介在させた接着剤とを備えてなり、前記第2基板の厚さは、前記第1基板の厚さの1/10以下である。
【0010】
本発明のマイクロレンズアレイによれば、第2基板の厚さは第1基板のそれよりも小さく、即ち具体的には前者が後者の1/10以下とされている。したがって、前述のような第1基板及び第2基板間で熱的環境に応じた挙動の差異が生じたとしても、より厚さの大きい第1基板の挙動に、第2基板の挙動が支配されることになり、該第2基板の挙動は、マイクロレンズアレイ全体からみて大きな影響を及ぼさないことになる。比喩的にいうと、第2基板の挙動は、第1基板の挙動にいわば引っぱられるようなかたちでのみ観察されるだけということになる。
【0011】
したがって、本発明によれば、第1基板及び第2基板間の挙動の差異に原因して、集光態様に乱れが生じたり、或いは前述したセル厚むらが発生することはなく、また、常に、好適な集光性能を発揮するマイクロレンズアレイを提供することができる。
【0012】
なお、本発明にいう「マイクロレンズ」は、基本的に、どのような形態となるものを採用してもよく、具体的には、後述する発明の実施の形態においてマイクロレンズアレイの製造方法によって得られるようなものを利用することができる。また、「マイクロレンズの外形形状」とは、例えば、第2基板の表面に形成された凸状の突起部又は凹状の窪み部等の具体的な形状をいい、マイクロレンズは、かかるマイクロレンズの外形形状に加えて、該第2基板とは屈折率の異なる樹脂(例えば、本発明にいう「接着剤」でよい。)を併せもつことなどで構成されることになる。この場合、前記の突起部又は窪み部の輪郭部分で光は屈折することになり、所定の集光特性が発揮されることになる。
【0013】
本発明のマイクロレンズアレイの一態様では、前記第2基板の厚さは、10〜100〔μm〕である。
【0014】
この態様によれば、第2基板が非常に薄いため、前記の作用効果はより効果的に享受されることになる。すなわち、この態様では、第2基板の熱的挙動は殆ど無視することができるから、前記セル厚むらを発生させるようなことがない。ちなみに、この場合において、第1基板の厚さが例えば1000〔μm〕程度であれば、前記の作用効果はより効果的に享受し得る。
【0015】
本発明のマイクロレンズアレイの他の態様では、前記第1基板は石英ガラスからなり、前記第2基板はアルミナシリケイトガラスからなる。
【0016】
この態様によれば、第1基板が石英ガラスからなり、第2基板がアルミナシリケイトガラスからなるから、両者間の挙動の差異が現れやすい状況になっている。特に、この場合、第1基板が膨張しているのに、第2基板が収縮するという現象が現れる可能性がある。
【0017】
しかるに、本発明においては、既に述べたように、マイクロレンズアレイ全体の挙動は、第1基板の挙動に支配されており、第2基板の挙動は無視しえるから、前記セル厚むらが発生する可能性は著しく低減されている。したがって、第1基板及び第2基板が前記のような好ましくない関係にある場合であっても、セル厚むら発生という不具合を被るおそれは殆どない。逆にいうと、かかる場合において、本発明に係る作用効果は、最も効果的に享受され得るということができる。
【0018】
本発明のマイクロレンズアレイの他の態様では、当該マイクロレンズアレイにより集光されるべき光は、前記第1基板の側に入射し、前記第2基板の側から抜ける。
【0019】
この態様によれば、例えば、液晶表示装置等の電気光学装置等に好適に利用することができる。
【0020】
まず、マイクロレンズアレイといっても、一般的にはマイクロレンズの配列ピッチの相違等に応じて、具体的形状は種々のものが提案されている。ここで、マイクロレンズの配列ピッチは、該マイクロレンズアレイが設けられる装置の性質如何に左右される。例えば、液晶表示装置にマイクロレンズアレイを設置する場合には、前記配列ピッチは、当該液晶表示装置における画素ピッチにほぼ一致させる必要がある。
【0021】
ところで、ここにいう画素ピッチは、例えば前記液晶表示装置が投射型表示装置に使用される場合等においては、一般に非常に小さい。具体的には、10〜30〔μm〕程度である。したがって、マイクロレンズアレイの配列ピッチもこれと同程度にする必要があるが、この場合、当該マイクロレンズにより結ばれる焦点は浅くならざるを得ない。そうすると、当該マイクロレンズの形成されている基板が厚いと、その焦点は、当該基板内で結ばれるということになり、該マイクロレンズの性能を十分に利用しているとはいえない状況が生じることになる。
【0022】
しかるに、本態様においては、より薄い第2基板の側から光が出射するようになっているから、一般的に、前記のような不具合は生じにくい。つまり、マイクロレンズによって集光された光は、第2基板を抜けたところで焦点を結びやすくなるのである。これにより、当該マイクロレンズアレイの設置対象となる装置、例えば前記液晶表示装置でいえば、その液晶層内等において、前記の焦点が結ばれるということになるから、マイクロレンズの性能を如何なく享受することができるのである。
【0023】
このように、本態様によれば、最も一般的にいえば、より小型な装置に好適に対応することが可能であり、具体的には、画素ピッチの小さい液晶表示装置等の電気光学装置に好適に対応することができるのである。
【0024】
本発明の電気光学装置は、上記課題を解決するために、第1基板、該第1基板とは異なる熱膨張係数を有するとともに前記第1基板に比べて厚さの小さい第2基板、前記第1基板及び前記第2基板の少なくとも一方に、その外形形状が作り込まれたマイクロレンズ、並びに、前記第1基板及び前記第2基板の間に介在させた接着剤を備えてなり、前記第2基板の厚さは、前記第1基板の厚さの1/10以下であるマイクロレンズアレイと、前記第2基板に対向配置された第3基板と、前記第2基板及び前記第3基板間に封入された電気光学物質とを備えている。
【0025】
本発明の電気光学装置によれば、前述の本発明のマイクロレンズアレイを具備してなるから、セル厚むらを原因とした色むら等の発生のない高品質な画像を表示することの可能な電気光学装置を提供することができる。なお、本態様にいう「第3基板」上には、例えば、走査線、データ線、画素スイッチング用素子及び画素電極等々を形成し、第2基板上には前記画素電極との間で所定の電界を生じさせるための対向電極等々を形成することが可能である。
【0026】
本発明の電気光学装置の一態様では、第1基板と第3基板の熱膨張係数が同じである。この態様によれば、第1基板及び第3基板の熱膨張係数が同じであるから、一定の熱的環境下において、第1基板及び第3基板は同じ熱的変形挙動を示すこととなり、前記セル厚むらの発生を抑制することができる。
【0027】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記第1基板と前記第3基板は、石英ガラスからなり、前記第2基板はアルミナシリケイトガラスからなる。
【0028】
この態様によれば、第1基板及び前記第3基板が石英ガラスからなり、第2基板がアルミナシリケイトガラスからなるから、両者間の挙動の差異が現れやすい状況になっている。特に、この場合、第1基板及び前記第3基板が膨張しているのに、第2基板が収縮するという現象が現れる可能性がある。
【0029】
しかるに、本発明においては、既に述べたように、マイクロレンズアレイを含む電気光学装置全体の挙動は、第1基板の挙動に支配されており、第2基板の挙動は無視しえるから、前記セル厚むらが発生する可能性は著しく低減されている。したがって、第1基板及び第2基板が前記のような好ましくない関係にある場合であっても、セル厚むら発生という不具合を被るおそれは殆どない。逆にいうと、かかる場合において、本発明に係る作用効果は、最も効果的に享受され得るということができる。
【0030】
また、本態様では、第1基板及び第3基板は同じ石英ガラスからなるから、同じ熱的変形挙動を示すこととなり、これによっても、前記セル厚むらの発生を抑制することができる。
【0031】
本発明のマイクロレンズアレイの製造方法は、上記課題を解決するために、一方の基板及び該一方の基板とは異なる熱膨張係数を有する他方の基板を貼り合わせてなるマイクロレンズアレイの製造方法であって、前記一方の基板にマイクロレンズの外形形状を形作る工程と、該工程の後に、前記一方の基板及び前記他方の基板間に接着剤を介在させて対向させ、これらを貼り合せる貼合工程と、前記一方の基板及び前記他方の基板の一方である研磨基板を研磨する研磨工程とを含む。
【0032】
本発明のマイクロレンズアレイの製造方法によれば、一方の基板の熱膨張係数と他方の基板のそれとは異なっている。したがって、まず、本発明に係る製造方法により製造されたマイクロレンズアレイでは、一定の熱的環境の下においても、一方の基板及び他方の基板間で異なる挙動がみられるおそれがある。これによると、悪い場合には、背景技術の項で述べたようなセル厚むらの発生するおそれが大きい。
【0033】
しかるに、本発明においては、一方の基板及び他方の基板の一方である研磨基板が研磨されるようになっているのである。したがって、一方の基板及び他方の基板間で熱的環境に応じた挙動の差異が生じたとしても、十分に厚みが大きい、研磨基板でない基板(以下、「ベース基板」という。)の挙動に、研磨基板の挙動が支配されることになり、該研磨基板の挙動は、マイクロレンズアレイ全体からみて大きな影響を及ぼさないことになる。比喩的にいうと、研磨基板の挙動は、ベース基板の挙動にいわば引っぱられるようなかたちでのみ観察されるだけということになる。
【0034】
したがって、本発明によれば、一方の基板及び他方の基板間の挙動の差異に原因して、集光態様に乱れが生じたり、或いは前述したセル厚むらが発生することはなく、常に、好適な集光性能を発揮するマイクロレンズアレイを製造することができる。
【0035】
なお、上記においては、「一方の基板にマイクロレンズの外形形状を形作る工程」が必須とされているが、本発明では、これに加えて、「他方の基板」にもマイクロレンズの外形形状を形作る工程を加えてもよい。
【0036】
本発明のマイクロレンズアレイの製造方法の一態様では、前記研磨基板と貼り合わされる基板の表面を研磨しても良い。すなわち、ベース基板の表面を研磨しても良い。
【0037】
本発明のマイクロレンズアレイの製造方法の一態様では、前記研磨工程では、前記研磨基板の厚さが10〜100〔μm〕に至るまで研磨が行われる。
【0038】
この態様によれば、研磨基板が非常に薄くなるまで研磨されるため、前記の作用効果はより効果的に享受されることになる。すなわち、この態様では、研磨基板の熱的挙動は殆ど無視することができるから、前記セル厚むらを発生させるようなことがない。ちなみに、この場合において、ベース基板の厚さが例えば1000〔μm〕程度であれば、前記の作用効果はより効果的に享受し得る。
【0039】
本発明のマイクロレンズアレイの製造方法の他の態様では、前記研磨工程では、前記研磨基板の厚さが、前記一方の基板及び前記他方の基板のうち前記研磨基板でないベース基板の厚さの1/10以下に至るまで研磨が行われる。
【0040】
この態様によれば、研磨基板が、ベース基板に比べて非常に薄くなるまで研磨されるため、前記の作用効果はより効果的に享受されることになる。すなわち、この態様では、研磨基板の熱的挙動は殆ど無視することができるから、前記セル厚むらを発生させるようなことがない。
【0041】
本発明のマイクロレンズアレイの製造方法の他の態様では、前記一方の基板及び前記他方の基板は一定の熱的環境の下において、一方が膨張し他方が収縮する関係にある。
【0042】
この態様によれば、前述したような一方の基板及び他方の基板間の挙動の差異が最も好ましくない態様で現れるということができる。換言すれば、本態様においては、前記セル厚むらが非常に発生しやすい状況にあるということができる。
【0043】
しかるに、本発明においては、既に述べたように、マイクロレンズアレイ全体の挙動は、ベース基板の挙動に支配されており、研磨基板の挙動は無視しえるから、セル厚むらが発生する可能性は著しく低減されている。したがって、研磨基板及びベース基板が前記のような好ましくない関係にある場合であっても、セル厚むら発生という不具合を被るおそれは殆どないのである。逆にいうと、かかる場合において、本発明に係る作用効果は、最も効果的に享受され得るということができる。
【0044】
本発明のマイクロレンズアレイの製造方法の他の態様では、前記一方の基板及び前記他方の基板のうち前記研磨基板はアルミナシリケイトガラスからなり、そうでない基板は石英ガラスからなる。
【0045】
この態様によれば、研磨基板がアルミナシリケイトガラスからなり、そうでない基板、即ちベース基板が石英ガラスからなる。つまり、前記研磨工程において研磨の対象とされ、且つ、薄化されるのは、アルミナシリケイトガラスというということになる。この事情に関連して、本態様では次のような作用効果が得られる。
【0046】
まず、アルミナシリケイトガラスは粘りやすい性質を有しており、一般的に研磨しにくい材料であるが、本態様によれば、そのような性質にもかかわらず研磨を好適に実施することができる。というのも、この研磨基板に対向配置されるのが、石英ガラスからなるベース基板だからである。まず第一に、研磨工程では、通常、研磨基板の表面と適当なパッド等とが当接され、両者は互いに回転しあう関係に置かれるから、熱が発生する。ここで、石英ガラスは、一般的に熱的に変化し難い材料であることから、前記の研磨時に発生する熱によって変形するということが殆どない。したがって、研磨基板たるアルミナシリケイトガラスからなる基板の研磨中に、これに対向配置されている石英ガラスからなる基板が熱的に変形するということがないから、研磨基板の位置ずれが引き起こされるなどという悪影響が出る可能性が小さい。
【0047】
また第二に、石英ガラスは、一般的に硬度等の機械的強度の点でも優れている。具体的には、石英ガラスのヌープ硬度(荷重100g)は590〜620〔kg/mm2〕及びヤング率は0.74〔×106kgf/cm2〕であるのに対して、アルミナシリケイトガラスのヌープ硬度(荷重100g)は500〔kg/mm2〕、ヤング率は0.9〔×106kgf/cm2〕となっている。この点からも、石英ガラスを用いれば、研磨時における研磨面の面精度変化等が生じにくく、一度作られた研磨面の変化は起き難いということがいえる。
【0048】
要するに、本態様によれば、石英ガラスからなるベース基板が、アルミナシリケイトガラスからなる研磨基板に対する、いわば「土台」ないし「治具」等として有効に機能することになるのである。したがって、本態様によれば、一般に研磨しにくい材料であるアルミナシリケイトガラスを研磨するにも関わらず、その研磨精度を比較的高レベルに維持する(具体的には、面内における厚み分布等の見当をとりやすい等)ことができる。
【0049】
また、研磨基板とベース基板とが、それぞれ、アルミナシリケイトガラス及び石英ガラスからなる場合においては、マイクロレンズアレイの完成後、両者間の挙動の差異が現れやすい状況になっている。特に、この場合、ベース基板が膨張しているのに、研磨基板が収縮するという現象が現れる可能性がある。
【0050】
しかるに、本発明においては、既に述べたように、マイクロレンズアレイ全体の挙動は、ベース基板の挙動に支配されており、研磨基板の挙動は無視しえるから、前記セル厚むらが発生する可能性は著しく低減されている。したがって、研磨基板及びベース基板が前記のような好ましくない関係にある場合であっても、セル厚むら発生という不具合を被るおそれは殆どないのである。逆にいうと、かかる場合において、本発明に係る作用効果は、最も効果的に享受され得るということができる。
【0051】
なお、本態様の記載から逆に明らかとなるように、本発明にいう「一方の基板」及び「他方の基板」としては、石英ガラス及びアルミナシリケイトガラス以外の材料を利用しても構わないが、背景技術の項で述べたように、集光特性等の観点から、マイクロレンズの外形形状が形作られる基板と接着剤との屈折率の差を大きくする方が好ましいから、研磨基板にマイクロレンズの外形形状を形作るのであれば、少なくとも当該研磨基板は、本態様のように、比較的屈折率の大きいアルミナシリケイトガラス(屈折率nd=約1.54)からなるものとするのが好ましい。
【0052】
この態様では、前記接着剤は光硬化性樹脂を含み、当該マイクロレンズアレイの製造方法は、前記光硬化性樹脂を含む前記接着剤を硬化させるため、当該接着剤に対し、前記一方の基板及び前記他方の基板のうち前記石英ガラスからなる方から光を照射する工程を更に含む。
【0053】
このような構成によれば、比較的強力な接着力を有する光硬化性樹脂を利用するため、一方の基板及び他方の基板を比較的強固に接着することが可能となる。
【0054】
具体的には、次のような作用効果が得られる。
【0055】
まず、光硬化性樹脂の中でも特に、取り扱い容易性等の観点から紫外線硬化樹脂が好ましく使用されている。この場合、当該接着剤を硬化させるために使用される光は、紫外線、具体的には好ましくは波長350〔nm〕程度の紫外線ということになる。しかしながら、アルミナシリケイトガラスは、概ね400〔nm〕以下の波長の光は殆ど透過しない性質を有している。そうすると、アルミナシリケイトガラスを用いたマイクロレンズアレイでは、紫外線硬化樹脂をうまく硬化させることができず、一方の基板及び他方の基板間の接着を好ましく実施することができない。
【0056】
しかるに、本態様によれば、アルミナシリケイトガラスに加えて、石英ガラスが用いられていることにより、前記紫外線をこの石英ガラスからなる基板の方から導入するようにすれば、紫外線硬化樹脂を用いたとしても、これに好適に硬化させることが可能となる。ちなみに、石英ガラスは、紫外線の透過に関し、特に障害となるような性質を有していない。
【0057】
このように、本態様によれば、接着剤の好適な硬化を通じて、マイクロレンズアレイの製造を好適に実施することができるのである。
【0058】
本発明の電気光学装置の製造方法は、上記課題を解決するために、前述の本発明のマイクロレンズアレイの製造方法(但し、その各種態様を含む。)を含み、前記研磨工程の後に、前記研磨基板と第3基板との間に接着剤を介在させて対向させ、これら研磨基板及び第3基板を貼り合せる工程と、前記接着剤を硬化させる工程と、前記研磨基板と第3基板との間に電気光学物質を封入する工程とを含む。
【0059】
本発明の電気光学装置の製造方法によれば、前述の本発明のマイクロレンズアレイの製造方法を含んで当該マイクロレンズアレイ付きの電気光学装置を製造することができるから、セル厚むらを原因とした色むら等の発生のない高品質な画像を表示することの可能な電気光学装置を製造することができる。なお、本態様にいう「第3基板」上には、例えば、走査線、データ線、画素スイッチング用素子及び画素電極等々を形成し、研磨基板には前記画素電極との間で所定の電界を生じさせるための対向電極等々を形成することが可能である。
【0060】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0061】
【発明の実施の形態】
以下では、本発明の実施の形態について図を参照しつつ説明する。
【0062】
(第1実施形態)
以下では、本発明の第1実施形態におけるマイクロレンズの製造方法について、図1ないし図3を参照して説明する。ここに図1及び図2は、第1実施形態に係るマイクロレンズアレイの製造方法を、その順を追って示す製造工程断面図である。また、図3は、図1の工程(2)及び工程(3)において成膜されるレジスト膜に形成される開口部の態様を示す平面図である。なお、以下で参照する図面においては、各要素(例えば、図1の工程(3)における各レジスト膜(の配置間隔)と基板(の厚さ)等々)が各図面上で認識可能となるように、あるいはよりわかり易くなるように等ということを目的として、該各要素ごとに縮尺を異ならしめているため、各図面間で要素の大きさ、あるいは要素間の相対的な大きさが異なっている場合がある。
【0063】
まず、図1の工程(1)に示すように、アルミナシリケイトガラスの透明材料からなる基板300(本発明にいう「第2基板」の一例に該当する。)上に、レジスト膜302を形成する。ここで基板300を構成するアルミナシリケイトガラスとしては、具体的にはリチウムアルミシリケート結晶化ガラスなどを使用するとよい。また、レジスト膜302としては、例えば、有機樹脂材料等からなる等熱変形性を有するものを利用するとよい。
【0064】
次に、図1の工程(2)に示すように、このレジスト膜302の一部をパターニング処理(フォトリソグラフィ及びエッチング工程)により除去する(符号302a参照)。この除去は、図3に示すように、残存するレジスト膜300Zが最終的に形成されるべきマイクロレンズの形成位置に合致するように行う(図1の工程(3)から工程(4)も参照)。第1実施形態では、レジスト膜300Zは、略四辺形状のレジスト膜が縦横・マトリクス状に配列された状態で残存させられることになる。第1実施形態においては、このレジスト膜300Zが、後の説明から明らかとなるように、マイクロレンズ形成の上で重要な役割を果たす。
【0065】
次に、図1の工程(3)に示すように、前記レジスト膜300Zの外形形状を凸状部300Zbに成形する。より具体的には、該レジスト膜300Zに対する加熱を実施することによりこれを溶融させることで、その表面張力によって自然に略半球状、ないしは略ドーム状を含む凸状部300Zbを成形する、等の手段を採用すると有効である。これにより、図3に示すように、前述までにおいて略四辺形状であったレジスト膜300Zは、略円形状のレジスト膜300Zbとして、縦横・マトリクス状に配列された状態になる。
【0066】
次に、図1の工程(4)に示すように、前記凸状部300Zb及び基板300をともにエッチングする。これにより、基板300は、該凸状部300Zbの外形形状が転写されつつエッチングされることになり、図1の工程(3)に示したような略半球状を有する凸状部300Zbが形成されている第1実施形態では、図1の工程(4)に示すように、基板300の表面上に、やはり略半球状を有するマイクロレンズ外形形状501Pが形成されることになる。このマイクロレンズ外形形状501Pの配列は、図3に示したレジスト膜300Zbの配列に一致する。
【0067】
次に、図2の工程(5)に示すように、マイクロレンズ外形形状501Pの上に、紫外線硬化性の接着剤Bを塗布した上で、石英ガラスからなるベースガラス300´(本発明にいう「第1基板」の一例に該当する。)を押し付けて接着する。この際、紫外線硬化性樹脂を硬化させるために、該接着剤Bに対して、紫外線、好ましくは波長350〔nm〕程度の紫外線を照射する必要があるが、第1実施形態では、該紫外線は、基板300の方からではなく、ベースガラス300´の方から入射させるようにする。これによると、接着剤Bに対する紫外線照射を好適に実施することができる。
【0068】
以上の工程を経ることで、基板300をレンズ媒質とし、接着剤B及び基板300間の屈折率差に基づいて機能するマイクロレンズ501が形成されることになる。そして、第1実施形態においては特に、基板300が屈折率nd=1.54程度と比較的大きな屈折率を有するアルミナシリケイトガラスからなることにより、該基板300及び接着剤B間において両者の屈折率差を比較的大きくとることができ、集光特性の優れたマイクロレンズ501を形成することができる。
【0069】
他方、基板300をアルミナシリケイトガラスからなるものとすると、該アルミナシリケイトガラスは概ね400〔nm〕以下の波長の光は殆ど透過しない性質を有していることから、前記接着剤Bに対する紫外線照射をうまく行うことができず、基板300及びベースガラス300´間の接着を好ましく実施できないという欠点を抱えることになる。しかしながら、第1実施形態では、基板300に対向させるベースガラス300´を石英ガラスからなるものとすることにより、既に述べたように、接着剤Bを硬化するための紫外線は当該ベースガラス300´の方から入射させるようにすればよく、上述の不具合を被らなくて済むのである。
【0070】
以上のように、第1実施形態では、比較的容易にマイクロレンズアレイの製造を行うことができるにもかかわらず、完成後のマイクロレンズの集光特性は比較的優れているという二つの作用効果を同時に享受することができる。
【0071】
さて、以上のように接着剤Bの硬化が完了したら次に、図2の工程(6)に示すように、前記の基板300の裏面(図中下面)を研磨することにより、該基板300の薄化工程を実施する。この薄化工程ないしは研磨工程は、好ましくは当該基板300の厚さが10〜100〔μm〕程度に至るまで、或いは当該基板300の厚さが、ベースガラス300´の厚さとの対比において1/10以下程度に至るまで実行することが好ましい。
【0072】
これにより、マイクロレンズ501の焦点距離調整が行えることになる(後述の「電気光学装置の実施形態」参照。)。
【0073】
この際、第1実施形態においては次のような作用効果を得ることができる。すなわち、第1実施形態では、上述のように、ベースガラス300´の方ではなく基板300の方を研磨する(これにより、ベースガラス300´は、本発明にいう「ベース基板」でもあり、基板300は、本発明にいう「研磨基板」でもある。)。しかしながら、基板300はアルミナシリケイトガラスからなり、該アルミナシリケイトガラスは粘りやすい性質を有している。したがって、第1実施形態において、基板300は一般的に研磨しにくいということがいえるのである。
【0074】
しかるに、第1実施形態によれば、そのような性質にもかかわらず前記の研磨工程を好適に実施することができるのである。というのも、基板300に対向配置されるのが、石英ガラスからなるベースガラス300´だからである。すなわち、第一に、第1実施形態に係る研磨工程では、基板300の裏面(図中下面)と適当なパッド等とが当接され、両者は互いに回転しあう関係に置かれるから、熱が発生する。ここで、石英ガラスは、一般的に熱的に変化し難い材料であることから、前記の研磨時に発生する熱によって変形するということが殆どない。したがって、アルミナシリケイトガラスからなる基板300の研磨中に、これに対向配置されている石英ガラスからなるベースガラス300´が熱的に変形するということがないから、基板300の位置ずれが引き起こされるなどという悪影響が出る可能性が小さい。
【0075】
また第二に、石英ガラスは、一般的に硬度等の機械的強度の点でも優れている。具体的には、石英ガラスのヌープ硬度(荷重100g)は590〜620〔kg/mm2〕及びヤング率は0.74〔×106kgf/cm2〕であるのに対して、アルミナシリケイトガラスのヌープ硬度(荷重100g)は500〔kg/mm2〕、ヤング率は0.9〔×106kgf/cm2〕となっている。この点からも、石英ガラスを用いれば、研磨時における研磨面の面精度変化等が生じにくく、一度作られた研磨面の変化は起き難いということがいえる。
【0076】
要するに、第1実施形態によれば、石英ガラスからなるベースガラス300´が、アルミナシリケイトガラスからなる基板300に対する、いわば「土台」ないし「治具」等として有効に機能することになるのである。したがって、第1実施形態によれば、一般に研磨しにくい材料であるアルミナシリケイトガラスを研磨するにも関わらず、その研磨精度を比較的高レベルに維持する(具体的には、面内における厚み分布等の見当をとりやすい等)ことができる。
【0077】
以上のようにして、第1実施形態に係るマイクロレンズアレイは完成する(なお、図2の工程(7)に関してはすぐ後に述べる。)。そして、このマイクロレンズアレイにおけるマイクロレンズ501は、前述のように、基板300と接着剤Bとの比較的大きな屈折率差により、優れた集光特性を発揮することになる。
【0078】
また、第1実施形態に係るマイクロレンズアレイおいては特に、基板300について薄化が行われていることから、次のような作用効果が得られることになる。すなわち、第1実施形態においては、上述のように、マイクロレンズアレイを構成する基板300及びベースガラス300´がそれぞれアルミナシリケイトガラス及び石英ガラスからなるため、両者間の熱膨張係数に無視し難い相違が存在する。具体的には、一定の熱的環境の下において、石英ガラスは膨張するのに対して、アルミナシリケイトガラスは収縮する関係にあるのである(即ち、アルミナシリケイトガラスは負の線膨張係数を有する。)。そうすると、第1実施形態におけるマイクロレンズアレイにおいては、ベースガラス300´が膨張しているのに、基板300が収縮するなどということが生じうることになる。このようになると、基板300の向こう側(図2でいえば、該基板300の更に下側)に存在し、マイクロレンズ501によって集光された光を利用すべき何らかの装置(例えば、後述する液晶表示装置等の電気光学装置。図11参照)と、個々のマイクロレンズ501との配置関係にずれが生じたり、或いは該マイクロレンズ501の集光性能自体に悪影響を及ぼす可能性が生じることになる。
【0079】
しかるに、第1実施形態においては、前述のようにアルミナシリケイトガラスからなる基板300の方は薄化されているのである。しかも、この薄化は、基板300の厚さが10〜100〔μm〕に至るまで、或いは該基板300の厚さが、ベースガラス300´の厚さの1/10以下に至るまで実施される。このようであれば、図2の工程(6)からもわかるように、当該マイクロレンズアレイが、一定の熱的環境下に曝される結果、前述のような基板300及びベースガラス300´間の挙動の差異が生じたとしても、より厚さの大きいベースガラス300´の挙動に、基板300の挙動が支配されることになり、該基板300の挙動は、マイクロレンズアレイ全体からみて大きな影響を及ぼさないことになる。比喩的にいうと、基板300の挙動は、ベースガラス300´の挙動にいわば引っぱられるようなかたちでのみ観察されるだけということになる。
【0080】
したがって、第1実施形態によれば、基板300及びベースガラス300´間の挙動の差異に原因して、集光性能に悪影響が及ぶなどといった不具合を被らなくて済むのである。
【0081】
以上、各所で述べた作用効果をまとめると、第1実施形態に係るマイクロレンズアレイの製造方法、或いはこれにより製造されたマイクロレンズアレイによれば、まず、接着剤Bとの比較的大きな屈折率差を享受することが可能なアルミナシリケイトガラスからなる基板300を用いることにより、集光特性を向上させることができるという主要な効果が得られることに加えて、該基板300に対向する基板として石英ガラスからなるベースガラス300´を利用すること、或いは該基板300を研磨基板とすること(図2の工程(6)参照)によって、アルミナシリケイトガラスを用いることにより被り得る欠点(紫外線透過性に劣る、研磨しにくい、負の線膨張係数を有する等)を巧みに回避することが可能となり、全体として、極めて優れた特性を有するマイクロレンズを製造すること、或いは提供することが可能となるのである。
【0082】
なお、上記第1実施形態においては、マイクロレンズ外形形状501Pが形成された基板300に対して研磨工程が実施されていたが、本発明は、このような形態に限定されるものではない。例えば、図4に示すような形態を採用してもよい。この図におけるマイクロレンズアレイは、図2の工程(6)とちょうど逆の関係にあるかのような態様となっている。すなわち、該マイクロレンズアレイは、マイクロレンズ外形形状501´Pが作り込まれた、石英ガラスからなるレンズ形成基板301と、研磨工程を受けたアルミナシリケイトガラスからなるカバーガラス301´とからなる。このような形態であっても、前記の第1実施形態と略同様な作用効果が得られるのは明白である。ちなみに、この場合にいうレンズ形成基板301は、本発明にいう「第1基板」ないしは「ベース基板」の一例に該当するとともに、カバーガラス301´は、本発明にいう「第2基板」ないしは「研磨基板」の一例に該当する。
【0083】
また、図1の工程(1)から図2の工程(6)を経て製造されたマイクロレンズアレイは、例えば、液晶装置等の電気光学装置で使用されて好適である。この場合においては、図2の工程(6)に続く図2の工程(7)として示すように、基板300の裏面(図中下面)に対して、例えばクロム又は黒色の樹脂材料等からなる遮光膜23を形成した後、該遮光膜23上に例えばITO(Indium Tin Oxide)等の透明導電性材料からなる対向電極21を形成することにより、該基板300を電気光学装置を構成する一対の基板のうちの一方たる対向基板として兼用可能に構成することが可能である。
【0084】
このうち上記の遮光膜23は、マイクロレンズ501が縦横に整列されたマトリクス状に形成されることに対応して、該マイクロレンズ501間の隙間を埋めるように、平面的にみて格子状に形成される(図3参照)。これにより、ベースガラス300´側から入射した光は、マイクロレンズ501で集光されて、図2の工程(7)中矢印で示すように遮光膜23間を抜けるように出射することになる。また、対向電極21は、基板300に対向する素子基板の構成如何にもよるが、該素子基板が走査線、データ線、TFT及び画素電極等を備える場合等においては、基板300の全面にベタ状に形成される。なお、この点については、後述する「電気光学装置の実施形態」において、改めて触れる。
【0085】
(第2実施形態)
以下では、本発明の第2の実施の形態について、図5及び図6を参照しながら説明する。ここに、図5及び図6は、第2実施形態に係るマイクロレンズアレイの製造方法を、順を追って示す製造工程断面図である。また、図7は、図5の工程(2)において成膜されるレジスト膜に形成される開口部の態様を示す平面図である。なお、第2実施形態において参照する図面において、上記第1実施形態において参照した図面中に使用した符号が指示する要素と、実質的に同一の要素を指示する場合においては、その符号と同じ符号を用いて説明を行うこととする。
【0086】
まず、図5の工程(1)に示すように、石英ガラスの透明材料からなる基板200(本発明にいう「第1基板」の一例に該当する。)上に、レジスト膜202を形成する。ここでレジスト膜202としては、例えば、クロム又は金の少なくとも一方を含む合金膜、アモルファスシリコン膜、ポリシリコン膜及び窒化シリコン膜の少なくとも一つからなるものを利用するとよい。これらの材料を用いれば、該レジスト膜202と基板200との密着性等が優れていることにより、該レジスト膜202を介する後述のエッチング工程は、好適に実施されることになる。また、これにより、後述で説明する凹状部208の形状制御、すなわちマイクロレンズの外形形状制御等を正確に行うことができる。
【0087】
次に、図5の工程(2)に示すように、前記のレジスト膜202に、所定パターンの開口部202aをパターニング処理(フォトリソグラフィ及びエッチング工程)により形成する。この所定パターンは、例えば図7に示すように一つ一つの開口部202aが縦横に整列して配列されるマトリクス状などとすればよい。
【0088】
次に、図5の工程(3)に示すように、レジスト膜202の開口部202aから基板200の表面をエッチング処理し、凹状部208を形成する。このエッチング処理は、例えば、フッ酸を主体とするエッチング液を用いたウェットエッチングで行う。ここで、このウェットエッチングを採用することにより、基板200に対する侵食は等方的に進行することになる。したがって、この開口部202aを通じたウェットエッチングによれば、前記凹状部208は、該開口部202aの周囲に位置するレジスト膜202及び基板200間の界面を抉るようにしつつ、該開口部202a中心に同心の略半球状となるように形作られることになる。そして、このような形状は、レンズの形状としては好適であるから、第2実施形態によれば、当該マイクロレンズの外形形状を自然且つ容易に、そして好適に製造することができる。
【0089】
次に、図5の工程(4)に示すように、レジスト膜202をエッチング処理によって除去する。この段階において、基板200上には、凹状部208としてのマイクロレンズの外形形状が形作られることとなる。
【0090】
次に、図6の工程(5)に示すように、前記の基板200とは別に、アルミナシリケイトガラスからなる透明なカバーガラス200´を用意し、凹状部208の上に、紫外線硬化性の接着剤Bを塗布した上で、前記カバーガラス200´(本発明にいう「第2基板」の一例に該当する。)を押し付けて接着する。この際、紫外線硬化性樹脂を硬化させるために、該接着剤Bに対して、紫外線、好ましくは波長350〔nm〕程度の紫外線を照射する必要があるが、第2実施形態では、該紫外線は、カバーガラス200´の方からではなく、基板200の方から入射させるようにする。これによると、接着剤Bに対する紫外線照射を好適に実施することができる。以上の工程を経ることで、接着剤Bをレンズ媒質とし、接着剤B及び基板200間の屈折率差に基づいて機能するマイクロレンズ500が形成されることになる。
【0091】
最後に、図6の工程(6)に示すように、カバーガラス200´の裏面(図中上面)を研磨することにより、マイクロレンズアレイの完成をみる。ちなみに、この研磨の程度は、上記第1実施形態と同様、該カバーガラス200´の厚さが、10〜100〔μm〕程度に至るまで、或いは当該カバーガラス200´の厚さが、基板200の厚さとの対比において1/10以下程度に至るまで実行することが好ましい。
【0092】
このようなマイクロレンズアレイの製造方法によっても、前記の第1実施形態と略同様な作用効果が得られることが明白である。すなわち、第2実施形態において、研磨の対象とされる基板は、図5及び図6におけるカバーガラス200´の方であり、該カバーガラス200´はアルミナシリケイトガラスからなるから、その研磨は一般的に困難を伴うが、第2実施形態では、「土台」として有効に機能する基板200が存在するから、前記研磨を容易に行うことができる、或いはカバーガラス200´の熱的な変形が、より厚い基板200に支配されることから、両者の挙動の齟齬が生じることによって集光特性等に影響が与えられるということを極力防止可能である。
【0093】
なお、第2実施形態においても、基板200及びカバーガラス200´からなるマイクロレンズアレイを、電気光学装置に使用する形態としてもよい。したがって、この場合においては、上記第1実施形態において図2の工程(7)として説明したのと略同様な工程を経ること、すなわち、カバーガラス200´上(図中上面側)に遮光膜及び対向電極を形成し、該カバーガラス200´を電気光学装置を構成する一対の基板の一方たる対向基板と兼用可能に構成するようにしてよい。
【0094】
また、上記第2実施形態においては、基板200に対してのみマイクロレンズ外形形状501Pが形成されていたが、本発明は、このような形態に限定されるものでもない。例えば、上述の基板200に加えて、マイクロレンズ外形形状を、前記にいうカバーガラス200´に対しても同様に形成するような形態を採用してもよい。この場合には、最終的に、図8に示すような、両側に凸部を含むマイクロレンズアレイが製造されることになる(なお、マイクロレンズ外形形状が形成されたカバーガラスについて符号「200A」を付した。)。
【0095】
(第3実施形態)
以下では、本発明の第3の実施の形態について、図9及び図10を参照しながら説明する。ここに、図9及び図10は、第3実施形態に係るマイクロレンズアレイの製造方法を、順を追って示す製造工程断面図である。なお、第3実施形態において参照する図面において、上記第1及び第2実施形態において参照した図面中に使用した符号が指示する要素と、実質的に同一の要素を指示する場合においては、その符号と同じ符号を用いて説明を行うこととする。
【0096】
第3実施形態では、まず、図9の工程(1)に示すように、石英ガラスからなる基板400(本発明にいう「第1基板」の一例に該当する。)上に光硬化性樹脂Cを塗布する。次に、図9の工程(2)に示すように、光硬化性樹脂Cを凹状部が形成された型M内に埋め込む。なお、型Mとしては、これを電鋳により成型しておくとよい。
【0097】
次に、図9の工程(3)に示すように、光硬化性樹脂Cが型M内に埋め込まれた状態で、該光硬化性樹脂Cに対して光照射を実施することで、これを硬化させる。なお、この際には、基板400と光硬化性樹脂Cとの接合も図られる。また、光硬化性樹脂としては、具体的には紫外線硬化性樹脂を用いることが好ましく、その場合には、図9の工程(3)において照射すべきは紫外線(UV光)ということになる。
【0098】
次に、図10の工程(4)に示すように離型する。すなわち、光硬化性樹脂Cが型Mから剥離されるように基板400を移動させる。これにより、第3実施形態では、前記型Mの凹状部が光硬化性樹脂Cに転写されることで、該光硬化性樹脂Cに凸状部が付与されることになる。
【0099】
次に、図10の工程(5)に示すように、前記凸状部の上に、光硬化性樹脂Cとは異なる屈折率を有する光硬化性の接着剤B1を塗布してアルミナシリケイトガラスからなるカバーガラス400´(本発明にいう「第2基板」の一例に該当する。)を押し付けて接着する。これにより、光硬化性樹脂Cをレンズ媒質とし、該光硬化性樹脂C及び接着剤B1間の屈折率差に基づいて機能するマイクロレンズ502が形成されることになる。
【0100】
最後に、図10の工程(6)に示すように、前記のカバーガラス400´の裏面(図中上面)を研磨することにより、該カバーガラス400´の薄化工程を実施する。これにより、マイクロレンズ502の焦点距離調整が行えることになる。以上のようにして、第3実施形態に係るマイクロレンズアレイは完成する。ちなみに、この研磨の程度は、上記第1実施形態と同様、該カバーガラス400´の厚さが、10〜100〔μm〕程度に至るまで、或いは当該カバーガラス400´の厚さが、基板400の厚さとの対比において1/10以下程度に至るまで実行することが好ましい。
【0101】
そして、このような第3実施形態に係るマイクロレンズアレイの製造方法によっても、上記の第1及び第2実施形態に係るマイクロレンズアレイの製造方法で得られた効果と略同様な効果が得られることは明白である。すなわち、第3実施形態において、研磨の対象とされる基板は、図9及び図10におけるカバーガラス400´の方であり、該カバーガラス400´はアルミナシリケイトガラスからなるから、その研磨は一般的に困難を伴うが、第3実施形態では、「土台」として有効に機能する基板400が存在するから、前記研磨を容易に行うことができる、或いはカバーガラス400´の熱的な変形が、より厚い基板400に支配されることから、両者の挙動の齟齬が生じることによって集光特性等に影響が与えられるということを極力防止可能である。
【0102】
なお、上記第3実施形態では、凹状部が形成された型Mを利用して、マイクロレンズ502を形成するようになっていたが、本発明においては、これとは逆に、凸状部が形成された型(不図示)を利用して、光硬化性樹脂Cに凹状部を形成することでマイクロレンズを形成するような態様を採用してもよい。
【0103】
また、第3実施形態においても、基板400及びカバーガラス400´からなるマイクロレンズアレイを、電気光学装置に使用する形態としてもよい。したがって、この場合においては、上記第1実施形態において図2の工程(7)として説明したのと略同様な工程を経ること、すなわち、カバーガラス400´上(図中上面側)に遮光膜及び対向電極を形成し、該カバーガラス400´を電気光学装置を構成する一対の基板の一方たる対向基板と兼用可能に構成するようにしてよい。
【0104】
(電気光学装置の実施形態)
以下では、上記第1実施形態のマイクロレンズアレイ(図2参照)を、液晶装置等の電気光学装置を構成する一対の基板の一方たる対向基板に兼用可能に構成した例について、図11を参照しながら説明する。ここに図11は、本実施形態に係る電気光学装置におけるデータ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板(本発明にいう「第3基板」の一例に該当する。)を含む電気光学装置の全体的な構成を概略的に示す斜視図である。
【0105】
図11において、電気光学装置は、マトリクス状に配列された画素電極9a、該画素電極9aに接続されたTFT30、並びに、該TFT30に接続された走査線3a及びデータ線6aが形成されたTFTアレイ基板10を備えている。なお、画素電極9a及びTFT30は、走査線3a及びデータ線6aの交差領域に対向するように形成されている。
【0106】
より具体的に、図11に示す電気光学装置では、TFTアレイ基板10上に、層間絶縁膜42を備えることにより、前記の画素電極9a、TFT30、走査線3a及びデータ線6a等は積層構造をなして構築されている。
【0107】
まず第一に、TFTアレイ基板10上には、TFT30の半導体層1aが形成されており、該半導体層1aのチャネル領域1a´に対向する部分には、例えば導電性のポリシリコン等からなる走査線3aが形成されている。この走査線3aは、TFT30におけるゲート電極として機能する。第二に、走査線3a上には、層間絶縁膜42を挟んで適当な金属材料からなるデータ線6aが形成されている。このデータ線6aは、コンタクトホールC1を介して前記半導体層1aのソース領域と電気的に接続されている。以上のように、走査線3a及びデータ線6aは互いに異なる層として形成されているものの、走査線3aは図中横方向、データ線6aは図中奥行き方向に形成されることにより、両者は全体的に格子状を形作ることになる。
【0108】
第三に、前記層間絶縁膜42上には、例えばITO等の画素電極9aがマトリクス状に配列されるように形成されている。この画素電極9aは、コンタクトホールC2を介して半導体層1aのドレイン領域に電気的に接続されている。これにより、データ線6aに供給される画像信号は、TFT30のスイッチング動作に応じて(即ち、該TFT30のON・OFFに応じて)、画素電極9aに供給される。
【0109】
以上のような構成の他、TFTアレイ基板10上には、走査線3aに接続される図走査線駆動回路(不図示)が設けられ、データ線6aに接続されるデータ線駆動回路(不図示)が設けられる。走査線駆動回路は、走査線3aに対して、例えば線順次に走査信号を供給し、データ線駆動回路は、データ線6aに対して前記走査信号の供給タイミング等を計った上で、所定のタイミングで画像信号を供給する。
【0110】
他方、この電気光学装置には、図11に示すように、TFTアレイ基板10に対向配置されその全面に例えばITO等の透明導電性材料からなる対向電極21が形成された対向基板が備えられている。そして、本実施形態では特に、この対向基板が、前述の第1実施形態として説明したマイクロレンズアレイを構成する薄化された基板、すなわちアルミナシリケイトガラスからなる基板300で兼用されている。すなわち、図11では、図2の工程(7)を参照して説明したように、薄化された基板300上に格子状に形成された遮光膜23及び該遮光膜23上に形成された対向電極21が形成されたものが、対向基板として使用されているのである(但し、図11では遮光膜23は図示していない。)。
【0111】
以上のような構成となるTFTアレイ基板10及び対向基板間には、電気光学物質の一例たる液晶層50が挟持されている。この液晶層50は、例えば、TN(Twisted Nematic)型の液晶等からなる。また、この液晶層50内の液晶分子を所定の配向状態に維持するための配向膜(不図示)が、画素電極9a上及び対向電極21上それぞれに形成される。
【0112】
このような電気光学装置においては、走査線3aを通じた走査信号の供給により、TFT30のON・OFFを制御するとともに、該TFT30がONとされている状態において、データ線6aを通じて供給されてくる画像信号を画素電極9aに印加することが可能である(アクティブマトリクス駆動)。このように画像信号が画素電極9aに印加されると、当該画像信号に対応した所定の電位差が、該画素電極9aと対向電極21間に生じる(つまり、画素毎に所定の電位差が生じる)こととなり、これによって、前記液晶層50中の液晶の配向状態の変化、それに起因する光透過率の変化が生じることとなるので、画像を表示することが可能となる。ここで、液晶に対する光の入射は、例えば、当該電気光学装置の内部に設けられた光源や、当該電気光学装置の外部に存在する蛍光灯等の光源等を考えることができる。なお、本実施形態においては、画素電極9a及び対向電極21のいずれも、透明導電性材料からなるから、いわゆる「透過型」として使用可能である。図に即して言えば、例えば、図11中上側に図示しない内部光源を設置することにより、該上側から図中下側に抜けるように光を進行させることが可能である。
【0113】
そして、本実施形態に係る電気光学装置では特に、上述のように、対向基板を兼ねるマイクロレンズアレイが備えられている。したがって、このマイクロレンズアレイによれば、図11に示すように、入射光を集光することによって、光の利用効率をより高めることが可能となる。これにより、従来に比べて、より明るい画像の表示等が可能となる。
【0114】
また、本実施形態においては、マイクロレンズアレイが、前述のように、アルミナシリケイトガラスからなる基板300と、石英ガラスからなるベースガラス300´とから構成されているため、一定の熱的環境下においては、後者が膨張すると前者が収縮するという現象が現れ得る。この場合、当該マイクロレンズアレイを含む電気光学装置が全体的に不自然に変形することによって、それが液晶層50の厚さ、即ちセル厚(図11における符号CG参照)に影響を及ぼす可能性があり、例えば場所場所に応じてセル厚が異なる(即ち、セル厚むらが発生する)などということが生じることになる。こうなると、画像上に色むらを生じさせるおそれが出てくることになる。
【0115】
しかるに、本実施形態においては、前述のように、アルミナシリケイトガラスからなる基板300は、図2の工程(7)を参照して説明したように研磨され且つ薄化されているから、当該マイクロレンズアレイを含む電気光学装置全体としての熱的な変形は、研磨されていないベースガラス300´に支配されるようなかたちとなり、前記のような不具合が生じないのである。したがって、本実施形態に係る電気光学装置によれば、より高品質な画像を表示することが可能である。
【0116】
さらに、本実施形態では、マイクロレンズアレイを構成する一方の基板300が薄化されていることから、マイクロレンズアレイ501の焦点距離が好適に設定されている。すなわち、図11に示すように、電気光学装置にマイクロレンズアレイを装着する場合には、そのマイクロレンズ501の配列ピッチは、画素電極9aの配列ピッチ、即ち画素ピッチ(図11における符号PP参照)にほぼ一致させる必要がある。ここに画素ピッチは、具体的には例えば10〜30〔μm〕程度である。したがって、マイクロレンズ501の配列ピッチもこれと同程度にする必要があるが、この場合、当該マイクロレンズにより結ばれる焦点は浅くならざるを得ない。そうすると、当該マイクロレンズの形成されている基板が厚いと、その焦点は、当該基板内で結ばれるということになり、該マイクロレンズ501の性能を十分に利用しているとはいえない状況が生じることになる。
【0117】
しかるに、本実施形態においては、薄化された基板300の側から光が出射するようになっているから、一般的に、前記のような不具合は生じにくい。つまり、マイクロレンズ501によって集光された光は、基板300を抜けたところで焦点を結びやすくなるのである。図11では特に、TFTアレイ基板10下で、焦点Fが結ばれていることが示されている。このように、本実施形態によれば、マイクロレンズ501の性能を如何なく享受することができるのである。
【0118】
なお、前記の焦点Fの位置は、単なる一例に過ぎない。本発明においては、上記の他、画素電極9a上、あるいはTFTアレイ基板10ないしは層間絶縁膜42内で、焦点が結ばれるように構成してもよい。これは、図2の工程(7)における研磨工程において、基板300をどの程度の厚さ(図11中の符号T参照)とするかを主要因として決まることになる。
【0119】
なお、上述においては、画素スイッチング用素子としてTFTが用いられたアクティブ・マトリクス駆動可能な電気光学装置が例示されていたが、本発明は、このような形態に限定されるものではない。例えば、画素スイッチング用素子としてTFDを用いる電気光学装置や、また場合により、パッシブ・マトリクス駆動可能な電気光学装置に対しても、本発明は適用可能である。更に言えば、本発明に係るマイクロレンズアレイは、CCD装置等に対しても適用することが可能である。
【0120】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うマイクロレンズアレイ及び電気光学装置並びにそれらの製造方法もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のマイクロレンズアレイの製造方法を、順を追って示す製造工程断面図(その1)である。
【図2】本発明の第1実施形態のマイクロレンズアレイの製造方法を、順を追って示す製造工程断面図(その2)である。
【図3】図1の工程(2)及び工程(3)において成膜されるレジスト膜に形成される開口部の態様を示す平面図である。
【図4】第1実施形態の変形形態に係るマイクロレンズアレイの断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態のマイクロレンズアレイの製造方法を、順を追って示す製造工程断面図(その1)である。
【図6】本発明の第2実施形態のマイクロレンズアレイの製造方法を、順を追って示す製造工程断面図(その2)である。
【図7】図5の工程(2)において成膜されるレジスト膜に形成される開口部の態様を示す平面図である。
【図8】第2実施形態の変形形態に係るマイクロレンズアレイの断面図である。
【図9】本発明の第3実施形態のマイクロレンズアレイの製造方法を、順を追って示す製造工程断面図(その1)である。
【図10】本発明の第3実施形態のマイクロレンズアレイの製造方法を、順を追って示す製造工程断面図(その2)である。
【図11】本実施形態に係る電気光学装置におけるデータ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板を含む電気光学装置の全体的な構成を概略的に示す斜視図である。
【符号の説明】
300、200、400…基板
300´…ベースガラス 200´、400´…カバーガラス
B…接着剤
501、500、502…マイクロレンズ
10…TFTアレイ基板
Claims (16)
- 付箋
- 第1基板と、
該第1基板とは異なる熱膨張係数を有するとともに前記第1基板に比べて厚さの小さい第2基板と、
前記第1基板及び前記第2基板の少なくとも一方に、その外形形状が作り込まれたマイクロレンズと、
前記第1基板及び前記第2基板の間に介在させた接着剤と、
を備えてなり、
前記第2基板の厚さは、前記第1基板の厚さの1/10以下であることを特徴とするマイクロレンズアレイ。 - 前記第2基板の厚さは、10〜100〔μm〕であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロレンズアレイ。
- 前記第1基板は石英ガラスからなり、
前記第2基板はアルミナシリケイトガラスからなることを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロレンズアレイ。 - 当該マイクロレンズアレイにより集光されるべき光は、
前記第1基板の側に入射し、前記第2基板の側から抜けることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のマイクロレンズアレイ。 - 第1基板、該第1基板とは異なる熱膨張係数を有するとともに前記第1基板に比べて厚さの小さい第2基板、前記第1基板及び前記第2基板の少なくとも一方に、その外形形状が作り込まれたマイクロレンズ、並びに、前記第1基板及び前記第2基板の間に介在させた接着剤を備えてなり、前記第2基板の厚さは、前記第1基板の厚さの1/10以下であるマイクロレンズアレイと、
前記第2基板に対向配置された第3基板と、
前記第2基板及び前記第3基板間に封入された電気光学物質と
を備えたこと特徴とする電気光学装置。 - 前記第1基板と前記第3基板の熱膨張係数が同じであることを特徴とする請求項5に記載の電気光学装置。
- 前記第1基板と前記第3基板は、石英ガラスからなり、前記第2基板はアルミナシリケイトガラスからなることを特徴とする請求項6に記載の電気光学装置。
- 一方の基板及び該一方の基板とは異なる熱膨張係数を有する他方の基板を貼り合わせてなるマイクロレンズアレイの製造方法であって、
前記一方の基板にマイクロレンズの外形形状を形作る工程と、
該工程の後に、前記一方の基板及び前記他方の基板間に接着剤を介在させて対向させ、これらを貼り合せる貼合工程と、
前記一方の基板及び前記他方の基板の一方である研磨基板を研磨する研磨工程と
を含むことを特徴とするマイクロレンズアレイの製造方法。 - 前記研磨基板と貼り合わされる基板の表面を研磨することを特徴とする請求項8に記載のマイクロレンズアレイの製造方法。
- 前記研磨工程では、前記研磨基板の厚さが10〜100〔μm〕に至るまで研磨が行われることを特徴とする請求項8又は9に記載のマイクロレンズアレイの製造方法。
- 前記研磨工程では、前記研磨基板の厚さが、前記一方の基板及び前記他方の基板のうち前記研磨基板でないベース基板の厚さの1/10以下に至るまで研磨が行われることを特徴とする請求項8乃至10に記載のマイクロレンズアレイの製造方法。
- 前記一方の基板及び前記他方の基板は一定の熱的環境の下において、一方が膨張し他方が収縮する関係にあることを特徴とする請求項8乃至11のいずれか一項に記載のマイクロレンズアレイの製造方法。
- 前記一方の基板及び前記他方の基板のうち前記研磨基板はアルミナシリケイトガラスからなり、
そうでない基板は石英ガラスからなることを特徴とする請求項8乃至12のいずれか一項に記載のマイクロレンズアレイの製造方法。 - 前記接着剤は光硬化性樹脂を含み、
当該マイクロレンズアレイの製造方法は、
前記光硬化性樹脂を含む前記接着剤を硬化させるため、当該接着剤に対し、前記一方の基板及び前記他方の基板のうち前記石英ガラスからなる方から光を照射する工程
を更に含むことを特徴とする請求項13に記載のマイクロレンズアレイの製造方法。 - 請求項8乃至14のいずれか一項に記載のマイクロレンズアレイの製造方法を含み、
前記研磨工程の後に、
前記研磨基板と第3基板との間に接着剤を介在させて対向させ、これら研磨基板及び第3基板を貼り合せる工程と、
前記接着剤を硬化させる工程と、
前記研磨基板と第3基板との間に電気光学物質を封入する工程と
を含むことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
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-
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