本発明では、表示パネルにおける背面基板と液晶層との間に、再帰性反射板として、MCCA形状を有する反射層を設ける。具体的には、背面基板にコーナーキューブアレイを形成し、この上に、高反射率部材からなり、コーナーキューブアレイの形状を反映した表面形状を有する反射層を形成する。高反射率部材として、金属材料、例えば生産性および再帰反射特性に優れたAg(銀)またはAg合金を用いることができる。このような金属材料は導体であるため、反射層は、再帰性反射板としてのみでなく、電極としても使用できる。
しかしながら、再帰性反射板兼電極として使用可能な反射層を形成しようとすると、MCCA形状の表面にAg層などの金属層を形成し、この金属層を画素形状や配線などの形状にパターニングすることが必要である。上述してきたように、MCCA形状などの複雑な形状を有する金属層を高精度にパターニングすることは困難である。
そこで、本発明者らは、まず、MCCA形状を有する金属層のパターニングの問題点を詳しく検証し、パターニング条件の最適化を試みたので以下に説明する。
MCCA形状を有する金属層のパターニングは、通常、金属層上にエッチングマスクを形成した後、エッチングマスクの上方から金属層をエッチングすることによって行う。エッチングマスクは、公知のフォトリソグラフィによって形成できる。すなわち、金属層上にフォトレジスト(以下、単にレジスト)からなる感光性樹脂膜(レジスト膜)を形成した後、所定の形状を有するフォトマスクを介してレジスト膜を露光する。続いて、レジスト膜の現像を行うことによりレジスト膜の一部を除去すると、所望の形状を有するエッチングマスクが得られる。
ここで、フォトレジストには、光で照射された部分が現像工程で除去されるポジ型レジストと、光で照射されなかった部分が現像工程で除去されるネガ型レジストとがある。いずれのレジストを用いてもエッチングマスクを形成できるが、ポジ型レジストはネガ型レジストよりも高い解像度を有するので、半導体装置や液晶表示装置の製造工程で主に使用される。微細な加工が必要となるプロセスにおいて、ネガ型レジストが使用されることはほとんどない。
金属層を高精度にエッチングするためには、金属層上に形成されるエッチングマスクの形状を精確に制御することが望ましいが、露光および現像工程は、レジスト膜の下地となる材料(下地材料)と形状(下地形状)の影響を受けることが良く知られている。従って、下地層、本発明においてはMCCA形状を有する金属層の影響を考慮した上で、上記露光および現像工程における種々の条件を設定することが好ましい。なかでも、露光工程は特に下地層の影響を受けやすく、露光条件の最適化は必須である。
以下、図4および図5を参照しながら、レジスト膜の露光条件と下地材料との関係を簡単なモデルを用いて説明する。
図4は、ガラス基板に形成されたレジスト膜に対する露光、現像プロセスを説明する図であり、レジスト膜の下地材料はガラスである。
図4(a)に示すように、ガラス基板31の上にポジ型のフォトレジスト(厚さ:1〜3μm程度)を塗布することにより、レジスト膜32を形成する。このレジスト膜32を、フォトマスク33を介して光(紫外線)で照射すると、照射光のうちレジスト膜32を透過した光の大部分は、そのままガラス基板31を透過する。紫外線照射後にレジスト膜32の現像を行い、レジスト膜32のうち光で照射された部分を除去する。
このとき、レジスト膜32に対する光の照射量(露光量)が最適であれば(最適露光量V4)、現像によって、図4(b)に示すように、フォトマスク33で規定されるパターンと略等しいパターンを有するエッチングマスク32bが得られる。一方、レジスト膜32に対する露光量が最適露光量V4よりも小さいと、レジスト膜32の底面まで十分に露光されないため、現像によって、図4(c)に示すように下部のサイズがフォトマスク33の規定されるパターンよりも大きいサイズを有するエッチングマスク32cが得られる。他方、露光量が最適露光量V4よりも大きいと、レジスト膜32の上部が過度に露光されてしまうため、現像によって、図4(d)に示すように上部のサイズがフォトマスク33に規定されるパターンよりも小さいエッチングマスク32dが得られる。
これに対し、図5は、抵抗が低く、かつ反射率の高い金属からなる膜(ここではAg膜)上に形成されたレジスト膜に対する露光、現像プロセスを説明する図であり、レジスト膜の下地材料はAgである。
図5(a)に示すように、ガラス基板31の上にAg膜(厚さ:例えば0.15μm)35を形成した後、Ag膜35の上にポジ型のフォトレジスト(厚さ:1〜3μm程度)を塗布することによってレジスト膜32を形成する。このレジスト膜32を、フォトマスク33を介して光(紫外線)で照射すると、照射光のうちレジスト膜32を透過した光の一部はAg膜35によって反射され、この反射光34がさらにレジスト膜32を下方から「露光」する。このモデルのように、レジスト膜32の下に高反射金属層がある場合、レジスト膜32は上方から露光されるだけでなく、レジスト膜32の反射金属層側の面からも露光される。レジスト膜32の反射金属層側の面からの露光量は、(上方からレジスト膜に入射する光の量)×(レジスト膜32の透過率)×(高反射金属層(ここではAg膜35)の反射率)となる。
従って、図4に示すモデルにおける最適露光量V4と同量の光で上方からレジスト膜32を照射すると、レジスト膜32は過度に露光されてしまう。その結果、現像によって、図5(b)に示すようにフォトマスク33で規定するパターンよりも小さいサイズのエッチングマスク32eが得られる。
そこで、下地材料であるAgの反射率などを考慮して、図5に示すモデルにおける最適露光量(上方から照射する光の量)V5を決定すると、図5(c)に示すように、フォトマスク33で規定するパターンと略等しいエッチングマスク32fが得られる。
なお、レジスト膜をパターニングしてエッチングマスクを形成する際には、上述したように、レジスト膜の下地層の材料ごとに露光条件(最適露光量Vr)を求める作業が必要となるが、このような作業は「条件だし」と呼ばれる。
上記モデルと同様に、MCCA形状を有する金属層上に形成されたレジスト膜に対して、フォトリソグラフィ法を用いてパターニングを行う場合にも、露光条件の「条件だし」を行うことが必要となる。以下、MCCA形状を有する金属層上のレジスト膜の露光条件を検討したので説明する。
図6(a)は露光プロセスを説明するための図である。図6(a)に示すように、基板50の上に、表面にコーナーキューブアレイ形状を有する層(以下、「コーナーキューブアレイ」と称する)51、金属層(ここではAg膜)52およびレジスト膜53をこの順で形成し、上方からフォトマスク54を介してレジスト膜53を光で照射する場合を考える。コーナーキューブアレイ51におけるコーナーキューブの配列ピッチを10μmとする。Ag膜52は、コーナーキューブアレイ51の表面形状を反映した凹凸形状を有している。また、レジスト膜53は、Ag膜52の上にポジ型フォトレジストを塗布することによって形成されている。
なお、レジスト膜53が薄すぎると、Ag膜52における凹部の底点付近にレジストが溜まるため、レジスト膜53は凹部の底点付近で厚く、Ag膜52における凸部の頂点付近で薄くなってしまう。その結果、Ag膜52の凸部の頂点付近がマスキングされなくなり、エッチング工程で全ての頂点がエッチングされてしまう。従って、フォトレジストは、Ag膜52の凹凸形状を十分に平坦化できる程度の厚さに塗布されることが好ましく、例えばレジスト膜53の上面のレベルがAg膜52における頂点のレベルよりも2μm程度高くなるように塗布される。
フォトマスク54の平面形状を図7(a)に示す。図示するように、複数の遮光部54sと遮光部の間に設けられる透過部54tとを有している。遮光部54sおよび透過部54tはそれぞれ、Ag膜52をパターニングすることによって形成される反射領域と反射領域間のギャップとを規定するように設計されている。ここでは、それぞれの遮光部54sのサイズを234μm×74μm、透過部54tの幅を6μmとする。
図6(a)に示す露光プロセスを行うと、フォトマスク54の透過部54tを通過してレジスト膜53に入射した光の一部はレジスト膜53を透過し、MCCA形状を有するAg膜52で再帰性反射する。すなわち、Ag膜52における凹部(コーナーキューブ)を構成する3面で1度ずつ反射し、入射方向に戻る。Ag膜52の各面における光の反射方向は、それぞれ面に対して決まる。図5(a)に示すモデルでは、レジスト膜32を透過した光は、平坦な金属層35で基板31と垂直な方向に反射されるが、図6(a)に示す場合は、Ag膜52で反射された光の方向は様々であり、一部の反射光は、レジスト膜53のうちフォトマスク54の遮光部54sで覆われた領域を露光してしまう。本明細書では、このような光を「迷光」と呼ぶ。
迷光はコーナーキューブ単位で発生しやすく、この迷光によってレジスト膜53のうち露光しようとする領域(フォトマスク54の透過部54tで覆われた領域)よりも大きい領域が露光されるので、設計値よりも小さいサイズのエッチングマスクが得られるという問題がある。
露光に用いる光に対するレジスト膜53の透過率が比較的低い場合、Ag膜52における凹部で生じる迷光はレジスト膜53の上面まで達し難いため、レジスト膜53のうちAg膜52の側の表面に近いほど迷光の影響を受ける。よって、図6(b)に示すように、現像によって形成されるエッチングマスク53bの下部には迷光に起因する抉れ56が生じる。このとき、レジスト膜53の上面は、抉れをほとんど有しておらず、比較的設計通りにパターニングされ得るため、現像工程の完了時に上方から観察することによってエッチングマスク53bに抉れが生じているかどうかの判別をすることは難しい。
このエッチングマスク53bを用いてAg膜52のエッチングを行って反射領域を形成すると、反射領域間の幅(ギャップの幅)はフォトマスク54の透過部54tで規定されるギャップの設計幅(6μm)よりも大きくなり、表示領域全体に対する反射領域の面積の割合は設計値よりも小さくなってしまう。
また、迷光による影響は、Ag膜52の凹部(コーナーキューブ)における底点に近いほど大きくなるので、レジスト膜53のうちAg膜52の凹部の底点付近に位置する部分に抉れ56が生じやすい。これは、コーナーキューブに入射した光が最初にコーナーキューブを構成する面で反射すると、反射光はコーナーキューブにおける底点の方向に向うためである。レジスト膜53のうちコーナーキューブの底点付近に位置する部分に抉れ56が生じると、その後のAg膜52に対するエッチング工程において、コーナーキューブの底点付近のAgが除去されてしまう。底点付近のAgが除去されると、そのコーナーキューブ全体が再帰反射を生じない領域となることがわかっており、表示領域に対する再帰性反射領域の面積の割合の大幅な減少を引き起こす。
迷光による抉れ56を抑制するために、レジスト膜53の上方からの露光量を最適化(条件だし)しようとすると、次のような問題が生じる。
レジスト膜53の厚さは均一でなく、Ag膜52の表面凹凸に応じて変化する。MCCA形状51はピッチの80%程度のレベル差を有することから、レジスト膜53における最も厚い部分と最も薄い部分との厚さの差(図6のモデルでは約8μm)は比較的大きい。そのため、レジスト膜53の位置によって最適露光量Vrが異なる。ここで、最適露光量Vrをレジスト膜53における最も厚い部分(Ag膜52における凹部の底点上に位置する部分)に基づいて求めると、レジスト膜53における薄い部分で露光過多となり、最適露光量Vrをレジスト膜53における最も薄い部分(Ag膜52における凸部の頂点上に位置する部分)に基づいて求めると、図6(c)に示すように、レジスト膜53のうち頂点よりも下に位置する部分が露光不足となり、残膜57が発生する。
代わりに、図6(d)に示すように、スプレーコータなどの特殊な塗布装置を用いて、略均一な厚さを有するレジスト膜をAg膜52の上に形成し、レジスト膜の厚さに基づいて最適露光量Vrを求めても、迷光の影響を避けることはできず、特にAg膜52の底点付近において迷光に起因する抉れ58ができてしまう。
以上のことから、従来のMCCA形状を有する金属層に対するパターニングでは、金属層上にフォトリソグラフィ法でエッチングマスクを形成する必要があるが、MCCA形状を有する金属層で反射した光がエッチングマスクを形成するための露光プロセスに影響を与えるため、設計通りのエッチングマスクを形成できないことがわかる。そのため、金属層から形成される反射領域の面積が設計よりも小さくなる。また、コーナーキューブの底点付近にギャップが形成されやすいため、ギャップの幅を2μm程度と小さく抑えることができたとしても、そのギャップを含むコーナーキューブ全体が再帰反射特性を示さない領域(非再帰性反射領域)となり、表示特性が低下する。
さらに、特許文献4のように、非再帰性反射領域を低減するためにMCCAの配列パターンと画素パターンとを整合させる場合でも、上述したようにフォトリソグラフィ法による加工精度が低いために、設計通りのエッチングマスクを形成できないおそれがあり、目的とする高開口率を実現することは困難である。
本発明者らは、上記迷光に注目し、レジスト膜の加工精度を低下させる原因となっていた迷光を利用することによって所望の形状を有するレジスト層を形成し、これをエッチングマスクとして金属層のパターニングを行う方法を見出した。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態における金属層のパターニング方法を説明する。本実施形態では、エッチングマスク(レジスト層)の材料としてネガ型レジストを用いる。
まず、図8(a)に示すように、基板70の上にコーナーキューブアレイ71を形成する。コーナーキューブアレイ71は、例えば樹脂層に、MCCA形状を有するマスターの表面形状を転写することによって形成できる。
次に、図8(b)に示すように、コーナーキューブアレイ71の上に金属層72を形成する。金属層72は例えばAg膜であり、コーナーキューブアレイ71の表面形状を反映した表面形状を有する。
続いて、図8(c)に示すように、金属層72の上にネガ型レジスト材料を用いて感光性樹脂膜(レジスト膜)73を形成する。
レジスト膜73に対して、図7(d)に示すように、透過部74tおよび遮光部74sを有するフォトマスク74を用いて露光を行う。
ここで、フォトマスク74の平面形状の一例を図7(b)に示す。上述したように、レジスト膜73はネガ型レジスト材料から形成されているので、レジスト膜73のうち光で照射されなかった部分が現像によって除去され、光で照射された部分は現像によって除去されずに残される。従って、フォトマスク74における透過部74tおよび遮光部74sはそれぞれ、金属層72から形成される反射領域および反射領域間のギャップを規定するように設計されている。すなわち、フォトマスク74は、従来の方法で用いられるフォトマスク54(図7(a))における透過部54tと遮光部54sとを反転させた形状を有する。なお、フォトマスク74の形状を拡大または縮小してレジスト膜73に投影し、露光を行う(拡大露光、縮小露光)こともできる。
図8(d)に示す露光工程では、フォトマスク74の透過部74tを通過してレジスト膜73に入射した光の一部は、レジスト膜73を透過し、金属層72で反射する。反射光の一部(「迷光」)は、レジスト膜73のうちフォトマスク74によって遮光された領域を露光する。
露光後、レジスト膜73を現像することにより、図8(e)に示すように、レジスト膜73のうち露光された領域以外の領域が除去されてレジスト層75が得られる。ここで、「露光された領域」は、レジスト膜73のうちフォトマスク74を透過した光で照射された領域75aと、フォトマスク74によって遮光された領域のうち迷光によって露光される領域(以下、「膜残り領域」と称する)75bとを含む。レジスト層75は、上記領域75a、75bから構成されるマスク部75mと、レジスト膜73が除去された部分(開口部)75gとを有している。
このレジスト層75をエッチングマスクとして用いて金属層72のパターニングを行うと、図8(f)に示すように、画素毎に離間された複数の反射領域78と隣接する反射領域間のギャップ79とを有する反射層77が得られる。このとき、金属層72のうちレジスト層75における開口部75gで規定される領域が除去されて、反射層77におけるギャップ79となり、金属層72のうちレジスト層75におけるマスク部75mで覆われた領域は反射領域78となる。形成された反射層77におけるギャップ79の幅は、フォトマスク74の遮光部74sで規定される領域の幅と同じか、または、レジスト層75における膜残り領域75bの幅の分だけフォトマスク74の遮光部74sで規定される領域の幅よりも小さくなる。
本実施形態によると、次のようなメリットが得られる。
ポジ型レジスト材料からなる従来のエッチングマスクを用いて金属層のパターニングを行うと、フォトマスクにおける透過部の幅(ギャップ幅の設計値)より大きいギャップ幅を有する反射層が形成される。これに対し、本実施形態では、反射層のギャップ幅は、フォトマスク74における遮光部74tの幅(ギャップ幅の設計値)以下となる。従って、従来よりもギャップ幅の小さい反射層を形成できるので、表示装置における表示領域全体に対する反射領域の面積の割合を向上できる。
なお、一般に、ネガ型レジストの主剤として用いられるアクリル系樹脂は、ポジ型レジストの主剤として用いられるノボラック樹脂に比べて、露光に使用する光に対する吸収率が低い。そのため、ネガ型レジストを用いる場合、レジスト膜を透過する光の量が増えるので、下地金属層で反射されて生じる迷光の量が多くなる。また、レジスト膜に入射した迷光はレジスト膜のより内側まで進むため、レジスト膜のうち迷光によって露光される領域が大きくなる。このように、ネガ型レジスト膜は、ポジ型レジスト膜よりも迷光の影響を受けやすい。
また、レジスト膜73のうち金属層72の凹部における底点付近に位置する領域は、特に迷光によって露光されやすいので、膜残り領域75bは金属層72の凹部における底点付近に生じやすい。金属層72の凹部における底点付近は再帰反射特性に大きく寄与する領域であり、この領域にギャップが形成されてしまうと、その凹部(コーナーキューブ)全体が再帰反射できない非再帰性反射領域となってしまい、実質的な開口率が大きくなるという問題があるが、上記膜残り領域75によって、金属層72の凹部における底点付近にギャップが形成されることを抑制できるため、実質的な開口率の増大を防止できる。
なお、本明細書では、表示領域全体に占める反射領域の面積の割合を「開口率」と呼び、表示領域全体に示す再帰性反射領域の面積の割合を「実質的な開口率」と呼ぶことがある。「再帰性反射領域」は、「反射領域」のうち再帰性反射特性を示す領域を指すものとする。
さらに、本実施形態によると、膜残り領域75によって金属層72の凹部における底点付近へのギャップの形成が抑制されるため、金属層72の稜線に沿ってギャップが形成されやすくなる。「稜線」とは、図2に示すMCCAにおいて、頂点および鞍点を結ぶ線であり、凸部を形成する互いに直交する3面による交差線を意味する。稜線に沿ってギャップが形成される場合のメリットを以下に説明する。
コーナーキューブ単位で考えると、底点付近にギャップが形成される場合、コーナーキューブ全体が非再帰性反射領域となるが、稜線に沿って(頂点や鞍点付近に)ギャップが形成されても、底点付近の再帰反射特性は保たれるので、コーナーキューブの一部のみが非再帰性反射領域となる。従って、稜線に沿ってギャップを形成することによって、表示領域に対する再帰性反射領域の面積の割合(実質的な開口率)の低下を抑制できる。なお、ギャップの幅がコーナーキューブのピッチよりも十分に小さいとき、実質的な開口率の低下をより効果的に抑制できる。また、金属層72のうち稜線上に位置する部分をエッチングによって除去すればよいため、より容易かつ正確に金属層72をパターニングできるというメリットもある。
稜線に沿ってギャップを形成する方法やその利点は特許文献4にも記載されているが、特許文献4に記載された方法では、MCCAにおけるコーナーキューブの配列パターンと反射領域の配列パターンとを厳密に整合させる必要がある。これに対し、本発明によると、コーナーキューブの配列パターンと反射領域の配列パターンとを整合させなくても、MCCAにおける稜線に沿ってギャップを形成できるので、極めて有利である。言い換えると、MCCA形状による反射特性とネガ型レジストの特性とを利用して、レジスト膜のパターニングに一種の自己補償性が発現し、これによって反射層におけるギャップの幅や形成位置を制御できる。
さらに、反射層において、一部のギャップはMCCAの稜線上に形成され、別の一部のギャップはMCCAの底点付近に形成されるというようにギャップの形成位置にばらつきがあると、各画素における非再帰性反射領域の面積の割合がばらつくという問題が生じて、表示特性が低下する。これに対し、本実施形態によると、上記自己補償性によってギャップの形成位置が制御されるので、上記ばらつきの問題を防止できる。
本実施形態では、実質的な開口率を向上させるために、コーナーキューブの配列パターンと反射領域の配列パターンとを整合させる必要がないことから、コーナーキューブの配列パターンと基板(背面基板)70におけるTFT(図示せず)とを厳密に整合させる必要がなく、製造工程を大幅に簡略化できる。特に、基板70の上に転写樹脂を塗布し、転写樹脂にマスターの表面形状を転写させることによってコーナーキューブアレイ71を形成する場合、マスターと基板70との厳密な位置合わせが不要となるので有利である。また、画素のサイズに応じてMCCAのピッチの異なる複数の原盤を用意する必要がなくなり、1種類の原盤またはその原盤から作製した転写物をマスターとして用いて、画素のサイズが異なる表示装置を製造できるので、製造コストを低減できる。
さらに、アクリル系樹脂を主剤とするネガ型レジストは、光に対して高い透過率を有するため、エッチングマスクとして用いた後のレジスト層75を除去せず、そのまま反射層の凹凸を平坦化する平坦化層として用いることができる。これにより、平坦な液晶配向表面を形成できるので、液晶層における液晶分子の配向を良好に制御できる。また、平坦化層を設ける工程を別個に行う必要がなく、製造工程を短縮できるので有利である。
本実施形態では、迷光の影響を考慮したフォトマスクの設計が必要となる。そこで、フォトマスクの好ましい形状について検討したので、図9を参照しながら説明する。図9(a)は、領域A〜Cにおける露光プロセスを説明する図であり、領域A〜Cでは、フォトマスクの形状がそれぞれ異なっている。図9(b)は、領域A〜Cにおける現像後のレジスト層75の形状を示す図である。
本実施形態では、コーナーキューブの配列パターンとフォトマスク74のパターンとの位置合わせを行わないので、MCCA形状を有する金属層72の頂点であっても底点であっても、すなわち金属層72のどの位置でも、フォトマスク74に遮光部74sで遮光される可能性がある。
領域Aでは、図9(a)に示すように、レジスト膜73のうちフォトマスク74によって遮光される領域の幅dfが、コーナーキューブアレイ71におけるコーナーキューブの配列ピッチPccの1/2よりも小さくなるようにフォトマスク74が設計されている。この場合、レジスト膜73のうちフォトマスク74によって遮光される領域にコーナーキューブアレイ71における底点が配置されて、フォトマスク74によって遮光される領域全体が迷光によって露光されてしまう可能性がある。フォトマスク74によって遮光される領域全体が露光されると、現像によって、その領域全体に膜残り領域75bが形成される(図9(b))。このような膜残り領域75bを有するレジスト層をマスクとして用いて金属層72をエッチングして反射層を形成すると、反射層における隣接する反射領域間にギャップが形成されず、画素間にリークが発生するという問題を引き起こす。
このような問題を抑制するため、レジスト膜73のうちフォトマスク74によって遮光される領域の幅は、コーナーキューブのピッチの1/2以上であることが望ましい。なお、「レジスト膜73のうちフォトマスク74によって遮光される領域の幅df」は、等倍で露光する場合には、遮光部74sの幅と等しくなる。
一方、領域Cでは、図9(a)に示すように、レジスト膜73のうちフォトマスク74によって遮光される領域の幅dfがコーナーキューブアレイ71におけるコーナーキューブのピッチPccの2倍以上となるようにフォトマスク74が設計されている。この場合、フォトマスク74とコーナーキューブの配列パターンとを変化させても、得られたレジスト層75における開口部75gの幅はコーナーキューブのピッチPccよりも確実に大きくなってしまう(図9(b))。そのため、反射層におけるギャップの幅をコーナーキューブのピッチPccよりも小さく抑えることができず、ネガ型レジストを使用する利点を十分に発揮できない。
従って、ポジ型レジストを用いた従来方法と比べて、反射層におけるギャップの幅を低減して開口率を向上させるためには、レジスト膜73のうちフォトマスク74によって遮光される領域の幅dfをコーナーキューブのピッチPccの2倍よりも小さくすることが望ましいことがわかる。
領域Bでは、図9(a)に示すように、レジスト膜73のうちフォトマスク74によって遮光される領域の幅dfがコーナーキューブのピッチPccの1/2以上かつ2倍未満(1/2×Pcc≦df<2×Pcc)となるようにフォトマスク74が設計されている。この領域では、レジスト膜73に対する露光および現像により、コーナーキューブのピッチPccよりも小さい幅を有する開口部75gを形成できる(図9(b))。よって、後に続く金属層72のエッチングによって、反射領域間に確実にギャップを形成でき、隣接する画素間のリークを防止できるとともに、反射層におけるギャップの幅をコーナーキューブのピッチPccよりも小さくできるので、従来よりも開口率を向上できる。より好ましくは、フォトマスク74によって遮光される領域の幅dfがコーナーキューブのピッチPccの1/2以上1.5倍以下となるように設計されたフォトマスク74を用いる。これにより、画素間のリークを抑えつつ、開口率をより効果的に向上できる。
なお、本発明におけるコーナーキューブのピッチPccは特に限定されないが、好ましくは200μm以下であり、例えば20μm以下である。
(実施形態1)
以下、図面を参照しながら、本発明による実施形態1を説明する。ここでは、図10(a)に示す反射型表示装置500を製造する方法について述べる。
まず、反射型表示装置500の構成を説明する。
反射型表示装置500は、図10(a)に示すように、カラーフィルタ204、透明導電膜210および液晶配向膜208が設けられた前面基板201と、前面基板201に対向する背面基板200と、これらの基板201、200の間に設けられた液晶層220および液晶層220の厚さを一定に保つためのスペーサ207とを備えている。背面基板200は、複数のスイッチング素子(薄膜トンラジスタ)91を有するアクティブマトリクス基板92の上に、コーナーキューブアレイ形状を有する樹脂層93、反射層104、平坦化層106、複数の透明画素電極112、および液晶配向膜208がこの順で形成された構成を有している。前面および背面基板201、200における液晶配向膜208は、液晶層220と接している。
背面基板200における反射層104は、樹脂層93のコーナーキューブ形状を反映した表面形状を有し、画素毎に互いに離間された複数の反射領域102と、隣接する反射領域104の間に形成されたギャップ103とを有している。ギャップ103の幅(すなわち隣接する反射領域102の間隔)の最大値は、樹脂層93におけるコーナーキューブのピッチPcc以下であることが好ましい。
図10(b)は、画素電極112の平面図を示す模式図である。画素電極112は、対応する反射領域102に整合する位置に形成されており、各画素電極112は、平坦化層106に設けられた上層コンタクトホール108と樹脂層93に設けられた下層コンタクトホール95を介して、対応する反射領域102および対応するスイッチング素子91のドレイン電極91dと接続されている。なお、本明細書では、隣接する画素電極112のギャップを画素抜き部113と呼ぶことにする。
前面基板201において、隣接するカラーフィルタ204の間にはブラックマトリクス205が形成されており、カラーフィルタ204は背面基板200における画素電極112と、ブラックマトリクス205は画素抜き部113とそれぞれ対向している。
液晶層220は、光学特性の異なる第1状態と第2状態との間で切り替えられ得る変調層であればよく、好ましくは、光を散乱する状態と光を透過する状態との間でスイッチング可能な散乱型液晶層である。
反射型表示装置500は、図示しないが、アクティブマトリクス基板92のスイッチング素子91を選択的に駆動するためのゲートドライブ回路、画素電極112に信号を与えるソースドライバ回路などをさらに備えている。ゲートドライブ回路は、ゲートラインを介して、スイッチング素子91のゲート電極と接続されている。ソースドライブ回路は、ソースラインおよびスイッチング素子91を介して、画素電極112と接続されている。
本実施形態における液晶層220に、透明導電膜210および画素電極112を介して電圧が印加されると、液晶層220は電圧に応じて散乱状態と透過状態との間でスイッチングされる。液晶層220が透明状態のとき、前面基板201の側から液晶層220に入射する光は、反射層104で再帰反射されるため、「黒」表示状態となる。一方、液晶層220が散乱状態のとき、前面基板201の側から液晶層220に入射する光は、液晶層220で散乱されるので、反射層104による再帰性が崩れる。従って、「白」表示状態が得られる。
反射型液晶表示装置500は、反射層104における再帰性反射を利用して表示を行うことができるため、拡散反射を利用する反射型液晶表示装置のように偏光板を設ける必要がない。従って、拡散反射を利用する反射型液晶表示装置と比べて、高明度な表示が得られる。また、本実施形態における反射層104は、後に詳述するように、ネガ型レジストを用いたフォトリソグラフィ法によって加工されているので、反射層104におけるギャップ103の幅を低減できる。その結果、開口率を向上でき、より明るい表示が実現される。
以下、図面を参照しながら、本実施形態における背面基板200の作製方法を説明する。
まず、図11(a)に示すように、アクティブマトリクス基板92の上に転写樹脂層93’を塗布した後、転写樹脂層93’にマスター94の表面形状を転写する。本実施形態では、アクティブマトリクス基板92は、ガラスなどの基板90の上に複数のスイッチング素子(TFT)91が配列された構造を有している。また、転写樹脂層93’として、UV硬化樹脂(MP−107;三菱レイヨン社製)を塗布する。マスター94としては、表面に10μmのピッチでコーナーキューブが配列されたNi基板を用いる。転写方法は、例えば出願人による特許出願2003−366157号に詳しく記載されている。具体的には、マスター94を転写樹脂層93’に貼付し、マスター94および転写樹脂層93’の間にプレス機等で圧力をかけながら、転写樹脂層93’に紫外線を照射して硬化させる。なお、転写樹脂層93’の材料はUV硬化樹脂に限定されず、熱硬化樹脂であってもよい。
転写樹脂層93’の硬化後、マスター94をアクティブマトリクス基板92から離型すると、図11(b)に示すように、コーナーキューブアレイ形状を有する樹脂層93が得られる。
続いて、図11(c)に示すように、ドライエッチング処理等で樹脂層93に下層コンタクトホール95を形成して、アクティブマトリクス基板92におけるスイッチング素子91のドレイン部分を露出させた後、樹脂層93の上および下層コンタクトホール95の内部に金属層(厚さ:例えば0.15μm)96を形成する。金属層96として、例えば、スパッタ装置を用いてAg膜を形成する。このとき、スイッチング素子91のドレイン電極と、金属層96とは下層コンタクトホール95を介して電気的に接続されている。
この後、図11(d)に示すように、金属層96の上にネガ型レジストを塗布することにより、レジスト膜(厚さ:例えば20μm)98を形成する。ここでは、ネガ型レジストとして、ドライフィルムレジスト(ORDYL FP315;東京応化社製)を用いる。
次いで、図11(e)に示すように、フォトマスク100を介してレジスト膜98を露光する。フォトマスク100は、65μm×225μmのサイズの透過部100tと、隣接する透過部100tの間に設けられ、幅が15μmの遮光部100sとを有している。すなわち、遮光部100sの幅はコーナーキューブの配列ピッチの1.5倍である。このとき、前述したように、レジスト膜98のうちフォトマスク100の透過部100tに対向する領域が露光されるほか、反射層96における反射光の一部(迷光)により、レジスト膜98のうちフォトマスク100の遮光部100sに対向する領域の一部も露光される。
露光後、レジスト膜98の現像を行うと、図11(f)に示すように、レジスト膜98のうち露光された部分が除去されてレジスト層101が得られる。レジスト層101は、フォトマスク100における透過部100tに規定される形状を有する領域101aと、迷光による膜残り領域101bとから構成されるマスク部を有している。隣接するマスク部は開口部101gで互いに離間されており、開口部101gの幅はフォトマスク100における遮光部100sの幅よりも小さい。
この後、図11(g)に示すように、レジスト層101をエッチングマスクとして金属層96のエッチングを行うことにより反射層104を形成する。エッチングでは、例えば燐酸、硝酸および酢酸を混合した水溶液をエッチャントとして用いることができる。得られた反射層104は、レジスト層101におけるマスク部(領域101a、101b)で規定される形状を有する反射領域102を有している。隣接する反射領域102は、ギャップ103によって互いに離間されている。ギャップ103の幅は、MCCA形状におけるギャップ103の形成位置によって異なるが、いずれもフォトマスク100の遮光部100sの幅以下である。フォトマスク100の遮光部100sの幅がコーナーキューブのピッチの1/2以上かつ2倍未満であれば、ギャップ103の幅をコーナーキューブのピッチ以下に抑えることができる。エッチング後、図11(h)に示すようにレジスト層101を剥離する。
形成された反射層104では、ポジ型レジストを使用した従来の方法で形成される反射層と比べて、反射層全体に対する反射領域102の面積の割合が高いため、より高い開口率を実現できる。
続いて、反射層104の表面凹凸を平坦化するために、反射層104の上に平坦化層()106を形成する。平坦化層106の厚さは、反射層104の凹凸形状を十分に平坦化できる程度に大きいことが好ましく、例えば平坦化層106の上面のレベルが反射層104における頂点のレベルよりも2μm程度高くなるように設定される。具体的には、図11(i)に示すように、反射層104の上に感光性樹脂(感光性アクリル樹脂、CR−700:日立化成社製)を塗布して樹脂膜106’を形成し、フォトマスク107を介して樹脂膜106を露光する。露光後、樹脂膜106’を現像することにより、樹脂膜106’に反射領域102と対応する上層コンタクトホール108を形成するとともに、樹脂膜106’のうち表示領域以外(端子領域)に位置する部分を除去する。なお、上層コンタクトホール108と下層コンタクトホール95との位置合わせを行う必要はない。この後、樹脂膜106’に対して、220℃の温度で1時間の本焼成(硬化処理)を行い、平坦化層106を得る(図11(j))。
次に、図11(k)に示すように、平坦化層106の上および上層コンタクトホール108の内部に電極膜(例えばITO膜)109を形成する。
この後、電極膜109の上にポジ型レジスト(TFR−790:東京応化社製)からなるレジスト膜110’を形成し、フォトマスク111を介して露光し(図11(l))、続いてレジスト膜110’を現像することにより、レジスト膜110’のパターニングを行う(図11(m))。これにより、エッチングマスク110が形成される。エッチングマスク110における開口部は、反射層104におけるギャップ103と略整合している。
ここで、上記露光および現像工程において、レジスト膜110’の材料としてポジ型レジストを用いている理由を説明する。
レジスト膜110’は、MCCA形状の反射層104の上に平坦化層106を介して形成されており、図5を参照しながら説明したようなレジスト膜110’の厚さがMCCA形状によって変化するという問題がないので、レジスト膜110’が迷光で露光されないように最適露光量を設定できる。さらに、電極膜109のうちエッチングで除去される部分(画素抜き部)の下には、反射層104のギャップ103(Agが除去された領域)が位置しているので、この部分を透過した光は反射層104によってほとんど反射されない。従って、反射層104のMCCA形状による迷光の影響を受けずにレジスト膜110’のパターニングを行うことができる。このように、本工程では迷光の影響を回避できるので、ポジ型レジストからなるレジスト膜110’を用いると、ネガ型レジストからなるレジスト膜よりも高精度かつ精密にパターニングされ得るので好ましい。
次いで、図11(n)に示すように、エッチングマスク110を用いて電極膜109のエッチングを行うことにより、透明画素電極112を形成する。このとき、反射領域102は平坦化層106で保護されているので、このエッチング工程で用いるエッチャントによってダメージを受けない。それぞれの画素電極112は、反射層104におけるギャップ103と整合する位置に形成された画素抜き部113によって互いに離間されている。また、それぞれの画素電極112は、上層コンタクトホール108を介して、対応する反射領域102と電気的に接続されており、かつ下層コンタクトホール95を介して、対応するスイッチング素子91と電気的に接続されている。これにより、表示装置における背面基板200が得られる。
反射型表示装置500は、上記方法で作製された背面基板200を用いて、例えば以下に説明する方法で製造され得る。
ガラス基板上にカラーフィルタ204および透明導電膜210をこの順で形成して、前面基板201を形成する。続いて、前面基板201の透明導電膜210および背面基板における画素電極112の上に、それぞれ液晶配向膜208を形成した後、それぞれの液晶配向膜208が対向するようにこれらの基板201、200を配置して接着剤で貼り合せる。このとき、前面および背面基板201、200の間に均一な空隙を形成するためのスペーサ207を配置しておく。続いて、これらの基板201、200の間における空隙に、例えば高分子分散型液晶を導入することによって、液晶層220を形成する。これによって、反射型液晶表示装置500が得られる。
液晶層220の材料は特に限定されないが、高分子分散型液晶であることが望ましい。高分子分散型液晶は、例えば低分子液晶組成物および未重合プレポリマーの混合物を相溶させて透明基板間に配置した後、プレポリマーを重合することによって得られる。プレポリマーの種類は特に限定されないが、好ましくは紫外線硬化性プレポリマーを用いる。紫外線硬化性プレポリマーを用いると、重合を行う際に上記混合物を加熱する必要がないので、他の部材への熱による悪影響を防止できる。
本実施形態では、液晶性を示す紫外線硬化性プレポリマーと液晶組成物との混合物(プレポリマー液晶混合物)を、紫外線等の活性光線の照射により光硬化させることによって高分子分散型液晶を形成する。プレポリマー液晶混合物としては、例えば、紫外線硬化材料と液晶とを20:80の重量比で混合し、少量の重合開始剤(チバ・ガイギー社製)を添加することによって得られた、常温でネマティック液晶相を示すプレポリマー液晶混合物を用いることができる。
反射型液晶表示装置500における反射層104は、ネガ型レジストを用いて加工されるため、反射層104におけるギャップ103の幅を従来よりも小さく抑えることができる。以下、本実施形態における反射層104の加工方法について、従来の反射層の加工方法と比較しながら、より詳しく説明する。
まず、図12(a)および(b)を参照しながら、従来の反射層の加工方法における問題点を説明する。図12(a)は、従来の加工方法における、ポジ型レジストからなるエッチングマスクの形状を示す平面図であり、図12(b)は、従来の加工方法で得られた反射層の再帰性反射領域を示す平面図である。
従来の方法によると、コーナーキューブ形状を有する金属層の上にポジ型レジストからなるレジスト膜を形成し、このレジスト膜に対してフォトマスクを用いてフォトリソグラフィ法でパターニングを行う。フォトマスクは、図7(a)に示すフォトマスクと同様の形状の遮光部および透過部を有している。これにより、図12(a)に示すように、マスク部310mおよび開口部310gを有するエッチングマスク310が形成される。ポジ型レジストは高い解像度を有するので、マスク部310mおよび開口部310gの上面の形状は、上記フォトマスクの遮光部および透過部に規定される形状と略等しくなる。従って、フォトマスクにおける透過部の幅がコーナーキューブのピッチ以下となるようにフォトマスクを設計すると、エッチングマスク310の上面図における開口部310gの幅をコーナーキューブのピッチ以下に抑えることができる。しかしながら、図6(b)を参照しながら説明したように、マスク部310mの下部には迷光による抉れが発生しており、マスク部310mの周縁が位置するコーナーキューブ(以下、「周縁コーナーキューブ」と称する)の底点付近の金属層表面は露出されている。
このようにして得られたエッチングマスク310を用いて金属層のエッチングを行うと、金属層のうちエッチングマスク310における開口部310gで規定される領域よりも大きい領域が除去されて、反射層におけるギャップとなる。具体的には、金属層のうち開口部310gで規定される領域に加えて、周縁コーナーキューブの底点付近に位置する部分も除去される。
よって、図12(b)に示すように、得られた反射層において、周縁コーナーキューブから構成される領域は再帰性反射しない領域(非再帰性反射領域)313となり、マスク部310gで覆われていた領域のうち周縁コーナーキューブ以外のコーナーキューブから構成される領域は完全に再帰性反射する領域(完全再帰性反射領域)312となる。ここで、コーナーキューブの底点付近を覆う金属がエッチングされると、そのコーナーキューブ全体は再帰反射特性を示さなくなる。このようなコーナーキューブからなる領域を「非再帰性反射領域」と称する。一方、コーナーキューブの底点付近以外を覆う金属の一部がエッチングされると、そのコーナーキューブの再帰反射特性は低下するものの、入射光の一部は再帰性反射され得る。このようなコーナーキューブからなる領域を「部分再帰性反射領域」と称する。また、全体が金属で覆われているコーナーキューブからなる領域は「完全再帰性反射領域」と称する。
このように従来の加工方法によると、反射層全体における非再帰性反射領域は、フォトマスクの透過部で規定される領域よりも大幅に増大してしまい、表示領域全体における再帰性反射領域の面積の割合(以下、「再帰性反射面積率」とする)が低下するという問題がある。
これに対し、本実施形態における加工方法によると、上記問題を解決できる。
図13(a)〜(d)は、本実施形態において、ネガ型レジストからなるエッチングマスクの形状を示す平面図であり、図13(e)は本実施形態における反射層の再帰性反射領域を示す平面図である。
本実施形態では、コーナーキューブ形状を有する金属層の上にネガ型レジストからなるレジスト膜を形成し、このレジスト膜に対してフォトマスクを用いてフォトリソグラフィ法でパターニングを行う。フォトマスクは、図7(b)に示すフォトマスクと同様の形状の遮光部および透過部を有している。金属層のうちフォトマスクで遮光される領域を線315で示す。ここでは、フォトマスクの遮光部で遮光される領域の幅(フォトマスクの遮光部の幅)はコーナーキューブのピッチPccと同程度とする。
これにより、図13(a)に示すように、マスク部317mおよび開口部(図示せず)有するエッチングマスクが形成される。開口部は、列方向および行方向のいずれにおいても、フォトマスクで遮光される領域(遮光領域)315の中心線が通過するコーナーキューブからなるコーナーキューブ列C1、C2の全体、またはコーナーキューブ列C1、C2の一部に形成される。
図13(b)〜(d)を参照しながら、エッチングマスクにおける開口部の形状をより具体的に説明する。
遮光領域315の中心線315cがコーナーキューブ例C1、C2を構成するコーナーキューブの底点の近傍を通過する場合(図13(b))、そのコーナーキューブ全面上のレジストが現像によって除去され、開口部317gとなる。なお、「コーナーキューブの底点の近傍」とは、コーナーキューブの底点からコーナーキューブのピッチの0.25倍以内とする。
他方、遮光領域315の中心線315cがコーナーキューブ列C1、C2を構成するコーナーキューブの底点の近傍を通過しない場合、図13(c)、(d)に示すように、そのコーナーキューブにおける中心線315cに最も近い頂点に向う稜線に沿って、そのコーナーキューブ表面上のレジストの一部が除去され、開口部317gとなる。
このようにして得られたエッチングマスクを用いて金属層のエッチングを行うと、エッチングマスクのマスク部317mによって規定される反射領域と、開口部317gによって規定されるギャップとを有する反射層を形成できる。
形成された反射層は、図13(e)に示すように、遮光領域315の中心線cが通過するコーナーキューブ列C1、C2のみが非再帰性反射領域または部分再帰性反射領域となり、部分的に遮光領域315に含まれるコーナーキューブであっても完全再帰性反射領域を構成するコーナーキューブも存在する。すなわち、反射層全体における非再帰性反射領域および部分再帰性反射領域は、フォトマスクの透過部で規定される領域よりも小さくなる。また、図12を参照しながら説明した従来の加工方法の場合と比べて、完全に再帰反射特性を示さない領域の面積を大幅に低減できる。よって、再帰性反射面積率を向上できる。
なお、従来の加工方法によると部分再帰性反射領域が形成されないが、これは、ポジ型レジストを用いると、露光および現像によって、コーナーキューブにおける頂点よりも底点付近のレジストが除去されやすくなり、その結果、再帰性反射特性に最も寄与するコーナーキューブの底点付近における金属がエッチングされて非再帰反射性領域となってしまうからである。これに対し、本実施形態によると、コーナーキューブの底点付近における、再帰性反射を生じさせるために必要なある程度の領域上に金属が残りやすい。これによって、反射領域の面積を増加させるだけでなく、再帰性反射面積率も高めることが可能になる。
図12および図13では、フォトマスクのパターンにおける一方向(ここでは列方向)が、コーナーキューブの配列方向と整合しているが、本実施形態では、フォトマスクのパターンとコーナーキューブの配列方向とが整合していなくてもよい。すなわち、フォトマスクのパターンにおける行方向や列方向とコーナーキューブの配列方向との間の角度θは、0度や90度である必要はない。この場合、フォトマスクで遮光される領域315は、コーナーキューブの配列方向と無関係にコーナーキューブアレイを横切るが、上述したように、各コーナーキューブにおいて遮光領域315の中心線315cが通過する位置に基づいて、エッチングマスク317における開口部317gが形成される。このようなエッチングマスク317を用いると、反射領域の配列方向(典型的には、行方向および列方向)はコーナーキューブの配列方向と整合しておらず、かつ、ギャップの幅がコーナーキューブのピッチ以下である反射層が得られる。このとき、ギャップを構成するコーナーキューブ列において、部分再帰性反射領域であるコーナーキューブと非再帰性反射領域であるコーナーキューブとが混在してもよい。
なお、図12および図13に示す例では、フォトマスクの遮光部で遮光される領域の幅はコーナーキューブのピッチPccと同程度としているが、フォトマスクの遮光部で遮光される領域の幅がコーナーキューブのピッチPccの1/2以上かつ2倍未満であれば、上述したような効果が得られる。
このように、本実施形態では、露光工程においてコーナーキューブの配列方向と無関係にフォトマスクを設置できるので、製造工程を簡略化できる。また、レジスト膜が形成された基板とフォトマスクとの間で高精度な位置合わせを行うことなく、確実に再帰性反射面積率の高い反射層を実現できるので有利である。
(実施形態2)
本発明における反射層はMCCA形状を有しており、その凹凸の最大レベル差はMCCAのピッチPccの約80%と大きいので、反射層における凹凸が液晶層の配向制御に与える影響を低減するために、反射層と液晶層との間に、凹凸を平坦化するための平坦化層を設けることが好ましい。平坦化層の材料としては、加工性が高く、かつ、光に対する透過率の高い樹脂が用いられ、なかでも、特定波長の光に対する吸収率が極めて小さい樹脂が好適に用いられ得る。具体的には、層間絶縁膜やカラーフィルタのオーバーコート膜として利用される高透過率のアクリル系樹脂を用いることが好ましい。
一方、本発明では、金属層のパターニングを行うために、ネガ型レジストからなるレジスト層を利用する。
本発明者らは、一般的に使用されるネガ型レジストの多くは、アクリル系の感光性樹脂を主成分としていることに注目し、レジスト層をエッチングマスクとして使用した後、さらに平坦化層として使用可能であることを見出した。これにより、平坦化層をレジスト層と別個に形成する場合と比べて、製造プロセスを大幅に短縮できる。
以下、図面を参照しながら、本発明による実施形態2を説明する。
本実施形態では、ネガ型レジストからなるレジスト層を除去せずに平坦化層として用いる点で、図11を参照しながら説明した背面基板の作製方法と異なっている。本実施形態における背面基板の作製方法を以下に詳述する。
まず、アクティブマトリクス基板92の上に樹脂層93、金属層96およびネガ型レジストからなるレジスト膜98をこの順で形成する(図示せず)。樹脂層93および金属層96の形成は、図11(a)〜(d)を参照しながら説明した方法と同様の方法で行うことができる。ただし、レジスト膜98の材料(ネガ型レジスト)として、感光性アクリル樹脂(CR−700:日立化成社製)を用いる。また、本実施形態におけるレジスト膜98の厚さは、金属層96の凹凸形状を十分に平坦化できる程度に大きいことが好ましく、例えばレジスト膜98の上面のレベルが金属層96における頂点のレベルよりも2μm程度高くなるように設定される。
次いで、図14(a)に示すように、フォトマスク120を用いてレジスト膜98の露光を行う。フォトマスク120の平面形状を図15に示す。図示するように、フォトマスク120は、反射層における反射領域を形成するための透過部(サイズ:例えば
65μm×225μm)120t、反射層におけるギャップを形成するための遮光部(幅:例えば15μm)120s、およびコンタクトホールを形成するためのコンタクト用遮光部120cを有している。また、フォトマスク120は、フォトマスク120のコンタクト用遮光部120cの位置と樹脂層93の下層コンタクトホール95の位置とが整合するように配置される必要がある。
露光後、レジスト膜98を現像し、続いて220℃の温度で1時間の焼成を行って硬化させることにより、図14(b)に示すように、所定の形状にパターニングされたレジスト層121が得られる。レジスト層121は、フォトマスク120における透過部120tに規定される形状を有する領域121aと、迷光による膜残り領域121bとから構成されるマスク部を有している。隣接するマスク部は開口部121gで互いに離間されており、開口部121gの幅はフォトマスク120における遮光部120sの幅よりも小さい。また、レジスト層121は、下層コンタクトホール95の上に位置するコンタクト用開口部121cを有している。
この後、図14(c)に示すように、レジスト層121をエッチングマスクとして金属層96のエッチングを行うことにより反射層124が形成される。同時に、下層コンタクトホール95の内部の金属も除去されるので、スイッチング素子91のドレイン電極に達するコンタクトホール126が形成される。エッチングでは、例えば燐酸、硝酸および酢酸を混合した水溶液をエッチャントとして用いることができる。得られた反射層124は、レジスト層121におけるマスク部(領域121a、121b)で規定される形状を有する反射領域122を有している。隣接する反射領域122は、ギャップ123によって互いに離間されている。ギャップ123の幅は、MCCA形状におけるギャップ123の形成位置によって異なるが、いずれもフォトマスク120の遮光部120sの幅以下である。フォトマスク120の遮光部120sの幅がコーナーキューブのピッチの1/2以上かつ2倍未満であれば、ギャップ123の幅をコーナーキューブのピッチ以下に抑えることができる。
形成された反射層124では、ポジ型レジストを使用した従来の方法で形成される反射層と比べて、反射層全体に対する反射領域122の面積の割合が高いため、より高い開口率を実現できる。
続いて、図14(d)に示すように、レジスト121の上およびコンタクトホール126の内部に電極膜(例えばITO膜)129を形成する。
この後、電極膜129の上にポジ型レジスト(TFR−790:東京応化社製)からなるレジスト膜130’を形成し、フォトマスク131を介して露光し(図14(e))、続いてレジスト膜130’を現像することにより、レジスト膜130’のパターニングを行う(図14(f))。これにより、エッチングマスク130が形成される。エッチングマスク130における開口部は、反射層124におけるギャップ123と整合している。また、エッチングマスク130における開口部の幅は、フォトマスク120における遮光部120sの幅以下である。
得られたエッチングマスク130を用いて、電極膜129をエッチングすることにより、図14(g)に示すように、複数の画素電極132が得られる。隣接する画素電極132は、反射層124におけるギャップ123と対向する位置に形成された画素抜き部133によって互いに離間されている。また、それぞれの画素電極132は、コンタクトホール126を介して、対応する反射領域122および対応するスイッチング素子91と電気的に接続されている。これにより、表示装置における背面基板300が得られる。
背面基板300では、実施形態1における背面基板200と異なり、平坦化層であるレジスト層121が画素毎に離間されたパターンを有している。また、画素電極132が、レジスト層121および樹脂層93に形成されたコンタクトホール126を介してスイッチング素子91と接している。
上記方法で作製された背面基板300を用いて、例えば実施形態1で説明した方法と同様の方法で反射型表示装置を製造することができる。背面基板300を用いて製造された反射型表示装置600の構成を図16に例示する。反射型表示装置600における液晶層220や前面基板201の構成は、図10(a)に示す反射型表示装置500における液晶層220や前面基板201の構成と同様である。
(実施形態3)
以下、図面を参照しながら、本発明による実施形態3を説明する。
本実施形態では、実施形態2と同様に、ネガ型レジストからなるレジスト層をエッチングマスクおよび平坦化層として使用する。本実施形態における背面基板の作製方法を以下に詳述する。
まず、実施形態2と同様の材料を用いて同様の方法で、アクティブマトリクス基板92の上に樹脂層93、金属層(例えばAg層)96およびネガ型レジストからなるレジスト膜98をこの順で形成する(図示せず)。
次いで、図17(a)に示すように、フォトマスク140を用いてレジスト膜98の露光を行う。フォトマスク140は、図15を参照しながら前述したように、反射層における反射領域を規定するための透過部140t、反射層におけるギャップを規定するための遮光部140s、およびコンタクトホールを形成するためのコンタクト用遮光部140cを有している。ただし、実施形態2で用いるフォトマスク120と異なり、フォトマスク140のコンタクト用遮光部140cの位置は、樹脂層93の下層コンタクトホール95の位置と整合していなくてもよい。
露光後、レジスト膜98を現像し、続いて220℃の温度で1時間の焼成を行って硬化させることにより、図17(b)に示すように、所定の形状にパターニングされたレジスト層141が得られる。レジスト層141は、フォトマスク140における透過部140tに規定される形状を有する領域141aと、迷光による膜残り領域141bとから構成されるマスク部を有している。隣接するマスク部は開口部141gで互いに離間されており、開口部141gの幅はフォトマスク140における遮光部140sの幅以下である。また、レジスト層141は、フォトマスク140におけるコンタクト用遮光部140cで規定される位置に、金属層96に達する上層コンタクトホール146を有している。
この後、図17(c)に示すように、レジスト121の上および上層コンタクトホール146の内部に電極膜129を形成する。本実施形態では、電極膜129としてIZO(indium Zinc Oxide)膜を用いる。
続いて、電極膜129の上にポジ型レジスト(TFR−790:東京応化社製)からなるレジスト膜150’を形成し、フォトマスク151を介して露光し(図17(d))、続いてレジスト膜150’を現像することにより、レジスト膜150’のパターニングを行う(図17(e))。これにより、エッチングマスク150が形成される。エッチングマスク150における開口部の幅は、フォトマスク140における遮光部140sの幅よりも小さい。なお、本実施形態では、レジスト膜150’の下地層の形状(下地形状)がレジスト層141によって平坦化されている。従って、実施形態1においてエッチングマスク110の材料としてポジ型レジストを用いる理由と同様の理由により、エッチングマスク140の材料としてポジ型レジストを用いることが好ましい。
この後、得られたエッチングマスク150を用いて、電極膜129をエッチングするとともに金属層96をエッチングする。エッチングでは、エッチャントとして燐酸、硝酸および酢酸を混合した水溶液を用いる。これにより、図17(f)に示すように、反射層144および画素電極152が得られる。また、それぞれの画素電極152は、上層コンタクトホール146を介して対応する反射領域に接続され、各反射領域は、下層コンタクトホール95を介して対応するスイッチング素子91に接続されている。これにより、表示装置における背面基板400が得られる。
なお、ここでは、ポジ型レジストからなるエッチングマスク150を用いて金属層96をエッチングしているが、エッチングマスク150における開口部の形状によっては、エッチングマスク150およびレジスト層141をエッチングマスクとして金属層96のエッチングを行う場合もある。
背面基板400では、実施形態2における背面基板300と同様に、平坦化層であるレジスト層121が画素毎に離間されたパターンを有している。一方、背面基板300と異なり、レジスト層141に形成された上層コンタクトホール146の位置と、樹脂層93に形成された下層コンタクトホール95の位置とは整合されていない。
上記方法で作製された背面基板400を用いて、例えば実施形態1で説明した方法と同様の方法で反射型表示装置を製造することができる。
本実施形態によると、電極膜129および金属層96のエッチングを同一のエッチャントを用いて同時に行うことができるので、2種類のエッチャントを使用する必要がなく、また、製造工程をさらに短縮できる。
さらに、本実施形態では、レジスト層141を形成した後、金属層96のエッチングを行う前に、金属層96の上に電極膜129を形成する。従って、金属層96のエッチング工程において、金属層96のうちレジスト層141におけるコンタクトホール146によって露出された部分は、除去されないように電極膜129で保護されている。そのため、実施形態2のように、レジスト層121に形成する上層コンタクトホール146と樹脂層93に形成する下層コンタクトホール93との位置合わせを行う必要がないので、製造工程を簡略化できる。