JP2007033244A - 駆動機構の亀裂検知方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】メカニカルシステム、特に実装機(マウンター)、マシニングセンタ、又は放電加工機等の直動軸を持つ工作機械等の駆動機構において、外部センサによる検出手段を有することなく、位置決め精度に影響する亀裂を早期に検出して、ユーザに部品交換を促す。
【解決手段】 サーボモータが所定の周期の正弦波関数にしたがって変化するモータトルクで可動部を駆動するときの、モータトルクの瞬時値を計測して時系列データとするモータ状態量計測ステップ121、このモータトルクの瞬時値の時系列データに対してフーリエ変換を行うFFT演算ステップ、このフーリエ変換の結果について、正弦波関数の周期の2倍の周波数成分である2f成分の増加の有無を判定する2f成分判定ステップ、及びこの条件分岐手段で2f成分があると判定されたときは、可動部に亀裂があると判定する亀裂判定ステップを備えた。
【選択図】図6

Description

本発明は、メカニカルシステム、特に実装機(マウンター)、マシニングセンタ、又は放電加工機等の直動軸を持つ工作機械等における亀裂検知方法に関する。
従来、機械の亀裂診断においては、振動を検出する加速度センサや、機械要素の破壊に伴って発生する音響信号を検出するAE(Acoustic Emission)センサのような、外部センサ情報を用いた亀裂診断が行われていた。
例えば、回転体の亀裂診断方法及びその装置は、回転体両端の軸受部の振動センサによって軸振動を検出し、同時に回転体及び軸受部のAEセンサによってAE信号を検出することで、当該回転体の亀裂発生位置及び深さを推定し、また、振動信号の周波数分析によって、亀裂振動に伴う回転周期の整数倍成分を抽出して、それを時間管理する形態を有することを特徴としている(例えば、特許文献1参照)。
特開昭58−150859号公報(第7頁、第1図)
このように、従来の亀裂診断方法は、振動センサやAEセンサのような外部センサを用いることで実現しえるものであるため、診断対象であるメカニカルシステムにとって本来具備していない計器を持つことで、診断のための設備コストが増大する問題があった。
一方、機械要素における亀裂の発生は、たとえ微少な亀裂であっても、亀裂部に発生する局所的な応力集中によって、亀裂が急激に進展する可能性を秘めており、この場合、当該亀裂発生部位を含む部材を交換することが妥当であるため、外部センサを用いた亀裂の深さ等の付加的な情報は必ずしも必要ではない場合がある。特に、実装機(マウンター)、マシニングセンタ、又は放電加工機等の直動軸を持つ工作機械においては、亀裂によって機械系の剛性が低下し、手先の位置決め精度及び加工精度の悪化を招く問題があり、一般に、亀裂発生部位を含む部材交換により対応される。
本発明は、このような異常診断に伴う設備コストの増加を排除し、かつ、位置決め精度に影響する機械系に発生した亀裂を早期に検出して、ユーザに部品交換を促すことができる、駆動機構の亀裂検知方法を提供することを目的とする。
本発明の亀裂検知方法は、モータが所定の周期の正弦波関数にしたがって変化するモータトルクで可動部を駆動するときの、モータトルクの瞬時値を計測して時系列データとするモータ状態量計測ステップ、このモータトルクの瞬時値の時系列データに対してフーリエ変換を行うFFT演算ステップ、このフーリエ変換の結果について、正弦波関数の周期の2倍の周波数成分である2f成分の増加の有無を判定する2f成分判定ステップ、及びこの条件分岐手段で2f成分があると判定されたときは、可動部に亀裂があると判定する亀裂判定ステップを備えるものである。
本発明の亀裂検知方法は、亀裂の発生に伴うモータトルクの振幅の上下非対称性による2f成分の増加の有無を、モータ制御装置であるサーボアンプの内部状態量のみを用いた一定区間毎の時系列データのFFTのみで診断するものであり、診断のための付加的なセンサを必要としないので、低コスト化できる。
実施の形態1.
図1は、本発明の亀裂検知方法の適用対象である工作機械の位置決めを行う駆動機構の一例であって、モータの回転運動を、ボールねじを介して直動運動に変換する一軸直動リンクを有する駆動機構の構成を示す図である。
図1において、サーボモータ10には回転部20を介してリニアガイド30及び可動部40が接続され、この可動部40の先端に手先部50が接続されている。
サーボモータ10の回転運動は、図示しないボールねじによって直動運動に変換されて可動部40に伝達され、この可動部40がリニアガイド30により支持されて直線運動することで、リニアガイド30の先端の手先部50が直線動作する。また、回転部20は、土台60に固定される回転支持部80により支持されているが、手先部50の直線運動とは直交する方向にプラスマイナス30度程度回転する自由度を持っている。
なお、この亀裂検知方法では、土台60にねじ締結された負荷70に、手先部50をねじ締結した状態にして行う。
また、サーボモータ10の駆動力を決めるサーボアンプ90の出力は、パーソナルコンピュータ100により制御される。一方、サーボモータ10の回転運動はモータエンコーダ110で計測されて、モータ回転角等がサーボアンプ90及びパーソナルコンピュータ100にフィードバックされる。
図2は、図1に示した駆動機構のモータ制御系のブロック線図である。
図2において、パーソナルコンピュータ100では、位置指令部101から与えられた目標位置に対して、UP/DOWNカウンタ102から取り込んだモータの位置情報であるモータエンコーダ110の信号との差分をとり、位置偏差として位置制御器103に入力する。位置制御器103では、この位置偏差と位置ゲインとの積算に基づいて速度指令を生成する。この速度指令は、速度司令部104においてD/A変換されて、サーボアンプ90に対して出力される。
サーボアンプ90では、速度司令部104の出力する速度指令と、モータエンコーダ110の信号の微分値との差分に基づいて速度制御器91、電流制御器92、PWM発生部93及び電流検出器94を介してサーボモータ10への出力制御が行われる。なお、PWM発生部93には電源電圧が入力されており、電流検出器94から電流制御器92にモータ電流がフィードバックされる。
また、モータトルク検出部95では、このモータ電流からモータトルクを算出する。
本発明の駆動機構の亀裂検知方法では、次のような専用動作を実施する。
図1に示す構成において、土台60にねじ締結された負荷70に手先部50をねじ締結した状態にして、位置指令部101より一定振幅の正弦波位置指令を与え、可動部40を正弦波駆動させるものである。
この専用動作の間に、モータトルク検出部95からアナログ信号として取り出されるサーボアンプ90の内部状態量である、モータトルクに対して適切な信号処理を行うことによって、ボールねじ等の機械要素又は可動部の異常状態、すなわち亀裂を検知しようとするものである。
なお、以下ではモータトルクを直接計測して使用するものとして説明しているが、モータ電流等のモータトルクの変化を知ることのできる状態量であれば、モータトルクに代えて使用することが可能である。
また、この動作は駆動機構の内部、特にボールねじや可動部40等に負荷がかかるので、負荷70には弾性体を用いることが適当である。ただし、亀裂検知のための専用動作である正弦波動作とは、駆動部に一定振幅の正弦波位置指令を与えることであって、この専用動作を実施するために、リンク手先の負荷状態、すなわち重負荷なのか軽負荷なのかという状態には依存しない。
ここで、可動部40に発生した亀裂が、モータトルクに及ぼす影響について説明する。
図1に示すように、駆動機構における可動部40の可動方向はX軸方向のみである。
手先部50と土台60にねじ締結された負荷70とをねじ締結して専用動作を実施すれば、手先部50についての位置指令は振幅が一定であって、負荷中立点、すなわち反力が零の位置からの動作であるから、そのときのモータトルクの波形の振幅は一定であって、当然のことながらその実効値も経時変化としては一定である。
ところが、可動部40にいったん亀裂が生じると、この亀裂を圧縮する方向には剛性が増加し、逆に亀裂を引っ張る方向には剛性が低下する。
図3は、可動部40に亀裂が生じた場合の剛性の方向依存性について示す模式図である。図3(a)は、可動部40をX軸正方向へ駆動させた場合であって、この場合、亀裂41は閉じる為に、リンクの剛性は増加する。一方、図3(b)は、可動部40をX軸負方向へ駆動させた場合であって、この場合、亀裂41は広がる為に、リンクの剛性は低下する。
このようにして、可動部40に亀裂41が生じた場合、駆動方向によって剛性が変化する方向依存性を持つ。
次に、亀裂検知のための専用動作として駆動部を正弦波動作させて得られる亀裂発生時のデータの特徴について説明する。
図4は、亀裂発生の前後のモータトルクの実効値の経時変化を示すものである。データの採取にあたって、前述の専用動作を行わせており、また、亀裂発生を早めるために連続して専用動作を行わせている。
また、モータトルクの実効値は、モータトルク検出部95から得られた時系列データを基に算出したものであって、縦軸は、モータトルクの実効値についてサーボモータ10の定格トルクで除算して正規化した値を、横軸は、専用動作開始からの累積時間を、それぞれ示している。
この亀裂検知方法の専用動作では、一定振幅の正弦波位置指令を与えており、機械要素および部材に異常が生じていなければ、モータトルクの実効値も一定である。
図4によれば、専用動作累積時間で約80000秒までは、モータトルクの実効値はほぼ横ばいであり、機械要素および部材に異常は生じていない。
ところが、専用動作累積時間で約80000秒以降から、モータトルクの実効値に低下傾向が見られ、さらに約90000秒でモータトルクの実効値が急激に低下し、さらにそれ以降は、モータトルクの実効値が一定値に飽和する傾向が見られる。
このモータトルクの実効値の低下後に駆動機構の周辺を調査した結果、可動部40にリニアガイド30を境界とした亀裂が発見された。
図5は、図4に見られるモータトルクの瞬時値の時系列データを上段に、その時系列データに対してFFT解析した結果を下段に示しており、図5(a)は実効値の低下前のものであり、図5(b)は実効値の低下後のものである。
図5(a)によれば、モータトルクの実効値の低下前におけるモータトルクの時系列データは、振幅が上下対称で一定の三角波状の波形が得られている。なお、このような三角波状の波形が得られる理由は、前述のように手先に固定された負荷の影響を直に受けた、剛性依存の負荷トルクだからである。
このモータトルクの時系列データをFFT解析すると、可動部40の揺動周期である基本成分(これを1f成分と呼ぶ)とその3倍の周期の成分(これを3f成分と呼ぶ)を持っていることが分かる。
一方、図5(b)によれば、モータトルクの実効値の低下後におけるモータトルクの時系列データは、低下前と同様の三角波状の波形が得られているものの、振幅が上下で異なる非対称性を有していることが分かる。さらに、このモータトルクの時系列データをFFT解析すると、1f成分と3f成分の他に、基本成分の2倍の周期の成分(2f成分と呼ぶ)を新たに持つことが確認できる。
このモータトルクの振幅の上下非対称性による2f成分の増加と、モータトルクの実効値の低下は、図3で説明した、可動部40に亀裂が生じた場合の剛性の方向依存性によるものである。
本発明の亀裂検知方法は、このモータトルクの2f成分の発生とその増加が、FFT解析によって検出された場合に亀裂発生と判定する方法である。
亀裂が発生した場合、モータトルクの実効値が低下するが、この実効値による評価方法では、誤検出の恐れがある。例えば、一般的な駆動機構の駆動部に存在する摩擦は、駆動部が正常であったとしても潤滑油温度の変化によっても摩擦は変化する。一定振幅の正弦波位置指令を与えたとき、この摩擦の増加によってモータトルクの実効値が増大し、逆に摩擦の減少によってモータトルクの実効値が減少する。したがって、亀裂によるモータトルクの上下非対称性に伴う、モータトルクの2f成分の発生とその増加により亀裂を判定することが有効である。
次に、本発明の駆動機構の亀裂検知方法の内容を、図6に示したフローチャートに基づいて説明する。
まず、前述の専用動作の開始からのモータトルクの瞬時値をモータ状態量計測ステップ121によって計測し、所定の区間の計測データを時系列データ131としてハードディスク等の記憶媒体に取り込む。なお、その際のデータサンプリングは、信号のエイリアシングを防止するために、正弦波駆動の運動周期よりも十分高い設定とし、かつ観測帯域を考慮して、適切なアンチエイリアシングフィルタを組み込む。
次に、モータ状態量計測ステップ121で記録されたモータトルクの時系列データ131を用いて、FFT演算ステップ122において時系列のFFTを演算する。なお、FFT演算ステップ122の演算結果である解析データ132は、モータトルクの時系列データ131と同様、ハードディスク等の記憶媒体に格納される。
次に、モータトルクの上下非対称性に伴って生じる2f成分の検出があるか否かを、2f成分判定ステップ123において解析データ132を参照して判断し、2f成分がなければ、モータ状態量計測ステップ121に戻る。
一方、モータトルクの2f成分が検出された場合は亀裂と判断し、ユーザにアラームを発する亀裂判定ステップ124に移行して終了する。
このように、この実施の形態1の亀裂検知方法は、モータ制御装置であるサーボアンプの内部状態量のみを用いた一定区間毎の時系列データをFFT解析するのみで、機械要素の摩擦の変動による実効値の減少があっても誤検出することなく、亀裂の有無が判定できる。
なお、前述のとおり、モータトルクの実効値の減少は位置決め装置を構成する機械要素の摩擦の変動によっても発生する。駆動部の摩擦が大きくなった場合にも、2f成分が増加することが有る。ただし、恒常的な2f成分の増加が見られない範囲の変動では、2f成分が継続して増大したときに、2f成分の検出を判定するようにすれば誤検出を回避できる。
実施の形態2.
実施の形態1では、モータトルクの時系列データのFFT解析結果のみに基づいて、亀裂発生と判定した。しかし、条件によっては、亀裂以外の理由でも恒常的に摩擦が増大して2f成分の増加が継続することが有る。この実施の形態2は、このような場合にも誤検出がない亀裂検知方法であって、モータトルクの2f成分検出と増加の具合をFFTによって検出し、かつモータトルクの実効値の減少が見られた場合に亀裂発生と判定する方法である。
実施の形態2の亀裂検知方法の内容を、図7に示したフローチャートに基づいて説明する。
まず、専用動作開始からのモータトルクをモータ状態量計測ステップ121によって計測する。その内容は、実施の形態1と同様である。
次に、モータ状態量計測ステップ121で記録されたモータトルクの時系列データ131を用いて、実効値演算ステップ125において実効値を演算する。また、実施の形態1と同様、FFT演算ステップ122において時系列データ131に対してFFT演算する。なお、この実施の形態2では、双方の演算のうちどちらが早く演算されるべきかの制約はない。また、実効値演算ステップ125で演算された実効値データ133及びFFT演算ステップ122の解析データ132は、モータトルクの時系列データ131と同様、ハードディスク等の記憶媒体に格納される。
次に、モータトルクの上下非対称性に伴って生じる2f成分の検出があるか否かを、2f成分判定ステップ123で解析データ132を参照して判断し、2f成分の検出がなければ、モータ状態量計測ステップ121に戻る。
一方、モータトルクの2f成分が検出された場合、実効値判定ステップ126に移行し、ここでは、実効値データ133を参照して、過去に記憶されているモータトルクの実効値と現在のモータトルクの実効値を比較し、低下していれば亀裂と判断し、ユーザにアラームを発する亀裂判定ステップ124に移行して終了する。この判定は、直前の実効値と現在の実効値との勾配がある閾値以上になったことで判定する、又はあらかじめ定めた実効値の下限値である閾値を下回ったことで判定する、などの方法により行う。
前述のとおり、モータトルクの上下非対称性に伴う2f成分は、実効値が過去の値と比較して増加し、非対称性を生じた場合にも生じる。この症状は、位置決め装置を構成する機械要素の摩擦増加に主たる原因があるが、先に示したように、亀裂が発生した場合にはモータトルクの実効値は低下する。したがって、実効値判定ステップ126によって、亀裂の有無を判定できる。
このように、実効値又はFFT解析結果の単独評価では、駆動部が正常であっても温度によって変化する摩擦の影響で誤検知する場合があるが、この実施の形態2の亀裂検知方法は、この両者の組合せ評価、すなわち、FFTによる2f成分の発生及び増大、かつモータトルクの実効値低下を検出することで亀裂の発生を判断するので、温度によって変化する摩擦の影響があっても、誤検知することなく正確に検知できる。
以上のように、この実施の形態2によれば、駆動部の専用動作として正弦波位置指令を与える駆動機構の亀裂検知方法により、モータトルクの機械系剛性の方向依存性による上下非対称性に起因した2f成分をFFT解析により検出し、かつこの2f成分の原因をモータトルクの実効値の低下によって亀裂と判断するものであって、FFT解析又は実効値いずれかの単独評価では判定できない亀裂発生を正確に検知することができる。
なお、この実施の形態2では、実効値演算を常時行う亀裂検知方法を示した。これは、前述のように温度変化により駆動部の摩擦の変動があることを考慮すれば、実効値演算を常時行って直前の値と比較してその減少を判定する方が精度が高いことによる。しかし、事前に測定して保存しておいたデータに基づいて決定した実効値の下限値を閾値として、その閾値を下回ったことで判定することも可能である。この場合、温度等の実効値の変動要因となる条件を加味したデータの補正を事前に用意しておくか、判定時に補正を行うとさらに有効である。
このように、あらかじめ閾値を設定しておく方法をとれば、常時実効値を演算する必要は無く、図8に示したように、FFT解析により2f成分が検出されてから計算しても良い。この場合、実効値判定ステップ126aにおいて、実効値データ133の現在の実効値を、あらかじめ設定しておいた閾値データ134と比較することになる。
実施の形態3.
実施の形態1及び2では、モータトルクの時系列データのFFT解析により2f成分が検出されたときに、実効値を過去のデータと比較して判定を施す亀裂検知方法を示したが、この実施の形態2では、モータトルクの実効値を算出し、得られた実効値を過去のデータと比較し、実効値の低下と判断されたときにFFTによる判定を施す亀裂検知方法について説明する。
図9は、この実施の形態3の駆動機構の亀裂検知方法を示すフローチャートである。
この図9のフローチャートは、図7のものとは、実効値判定ステップ126を2f成分判定ステップ123より前に設けている点が異なる。この実効値判定ステップ126は、過去の実効値と現時点での実効値の変化量を条件として与えるものであり、この判定には、前述のように直前の実効値と現在の実効値との時間変化の勾配がある閾値以上になったことで判定する、又はあらかじめ定めた実効値の下限値である閾値下回ったことで判定する等の方法が考えられる。
正弦波駆動による専用動作時に、モータトルクが上下一様に減少する瞬時値の時系列データが採取されたことで、実効値判定ステップ126から2f成分判定ステップ123に移行した場合は、その時系列データには上下非対称性がないために2f成分は検出されない。したがって亀裂の発生ではなく、駆動部摩擦等の要因によるものであることが判断できる。
一方、瞬時値時の系列データに上下非対称性が生じて実効値判定ステップ126から2f成分判定ステップ123に移行した場合は、2f成分が検出されて亀裂発生と判断できる。
以上、FFT解析を常時行う亀裂検知方法を示したが、このFFT解析は必ずしも常時必要ではなく、図10に示したように、常時はモータトルクの実効値のみを演算して、そのモータトルクの実効値について、前述の条件を満たした場合にのみFFT演算を施すように構成して、演算負荷を軽減をすることもできる。
この実施の形態3の亀裂検知方法では、実施の形態2と同様に亀裂の検知ができるが、亀裂の検知以外の目的で実効値演算を常時行っているような場合に、その演算結果を利用できる利点がある。
なお、実施の形態1から3まで、専用動作として正弦波駆動を与えて亀裂検知を行う例を示したが、診断対象である実装機(マウンター)、マシニングセンタ、又は放電加工機等の直動軸を持つ工作機械への適用にあたっては、工作機械自身に亀裂検知専用のターミナルを設けておく。これは、任意直動軸の手先を固定した状態で、専用動作としての正弦波駆動を与えるためのターミナルである。
例えば、診断対象の任意の直動軸が上記専用動作を常時行っている場合は、診断対象を動作中断させることなく、本発明の亀裂検知方法をそのまま適用できる。
また、駆動軸が上記の専用動作を行っておらず、任意の駆動パターンで動作している場合でも、定期的に動作を中断し、前述の亀裂検知専用ターミナルへと手先を移動させ、専用動作を行わせてモータトルクの時系列データを採取することができれば、本発明の亀裂検知方法をそのまま適用して亀裂の有無を検知できる。
一方、診断対象が任意の駆動パターンで動作しており、かつ、動作中断もできない場合には、駆動パターンを構成する各作業工程について、その作業工程の間のモータトルクの時系列データをあらかじめ計測して実効値を求めておき、それに基づいて各作業工程での実効値の下限値を決定しておくようにすればよい。そうすれば、各作業工程においてモータトルクの実効値がこの下限値を下回った場合に、その時点で工作機械の動作を中断して、亀裂検知専用ターミナルへと手先を移動させて専用動作を実施することで、本発明の亀裂検知方法を適用して亀裂の有無を検知できる。
また、複雑な作業工程については、それを細分化して、簡単な動作で構成される作業工程について上記のような下限値を設定して検知することでも十分な効果が得られる。
また、本発明は、新規立ち上げとなる工作機械において、駆動部を組み込んだ際の簡易的な亀裂検知としても適用できる。
なお、実施の形態1から3では、本発明の亀裂検知方法は、モータトルク検出部95を有するサーボアンプ90のDSPやCPUで実施するものとして記載したが、パーソナルコンピュータ100やその他の任意の演算処理装置で実施でき、また、モータトルクの時系列データや、実効値演算結果、FFT解析結果をハードディスク等の記憶媒体に格納するものとして説明したが、たとえ揮発性メモリであっても、それらを記憶させて同様に使用可能である。
また、工作機械を例にとって説明したが、正弦波駆動による専用動作が可能な駆動機構においては、本発明の亀裂検知方法を同様に適用することが可能である。
本発明の亀裂検知方法の適用対象である工作機械の駆動機構の一例を示す子構成図である。 図1の駆動機構のモータ制御系を示すブロック図ある。 亀裂発生に伴う機械系剛性の方向依存性を示す模式図である。 亀裂発生の前後のモータトルクの実効値の経時変化を示す図である。 亀裂発生の前後のモータトルクの瞬時値の時系列データとそのFFT解析結果を示す図である。 本発明の実施の形態1による亀裂検知方法を示す図である。 本発明の実施の形態2による亀裂検知方法を示す図である。 本発明の実施の形態2による亀裂検知方法を示す図である。 本発明の実施の形態3による亀裂検知方法を示す図である。 本発明の実施の形態3による亀裂検知方法を示す図である。
符号の説明
10 モータ
40 可動部
41 亀裂
121 モータ状態量計測ステップ
122 FFT演算ステップ
123 2f成分判定ステップ
124 亀裂判定ステップ
125 実効値演算ステップ
126、126a 実効値判定ステップ

Claims (5)

  1. モータが所定の周期の正弦波関数にしたがって変化するモータトルクで可動部を駆動するときの、前記モータトルクの瞬時値を計測して時系列データとするモータ状態量計測ステップ、
    前記モータトルクの瞬時値の時系列データに対して、フーリエ変換を行うFFT演算ステップ、
    前記フーリエ変換の結果について、前記周期の2倍の周波数成分である2f成分の増加の有無を判定する2f成分判定ステップ、
    及びこの条件分岐手段で前記2f成分があると判定されたときは、前記可動部に亀裂があると判定する亀裂判定ステップを備えたことを特徴とする駆動機構の亀裂検知方法。
  2. モータが所定の周期の正弦波関数にしたがって変化するモータトルクで可動部を駆動するときの、前記モータトルクの瞬時値を計測して時系列データとするモータ状態量計測ステップ、
    前記モータトルクの瞬時値の時系列データから前記モータトルクの実効値を演算する実効値演算ステップ、
    前記モータトルクの瞬時値の時系列データに対して、フーリエ変換を行うFFT演算ステップ、
    前記フーリエ変換の結果について、前記周期の2倍の周波数成分である2f成分の増加の有無を判定する2f成分判定ステップ、
    この条件分岐手段で前記2f成分があると判定されたときは、前記モータトルクの実効値から、所定の時間さかのぼった時点の値と現在の値とを比較して、前記モータトルクの実効値の低下の有無を判定する実効値判定ステップ、
    及びこの実効値判定ステップで前記モータトルクの実効値の低下が有ると判定されたときは、前記可動部に亀裂があると判定する亀裂判定ステップを備えたことを特徴とする駆動機構の亀裂検知方法。
  3. モータが所定の周期の正弦波関数にしたがって変化するモータトルクで可動部を駆動するときの、前記モータトルクの瞬時値を計測して時系列データとするモータ状態量計測ステップ、
    前記モータトルクの瞬時値の時系列データに対して、フーリエ変換を行うFFT演算ステップ、
    前記フーリエ変換の結果について、前記周期の2倍の周波数成分である2f成分の増加の有無を判定する2f成分判定ステップ、
    この条件分岐手段で前記2f成分があると判定されたときは、前記モータトルクの瞬時値の時系列データから前記モータトルクの実効値を演算する実効値演算ステップ
    前記モータトルクの実効値について、所定の値と現在の実効値とを比較して、前記モータトルクの実効値の低下の有無を判定する実効値判定ステップ、
    及びこの実効値判定ステップで前記モータトルクの実効値の低下が有ると判定されたときは、前記可動部に亀裂があると判定する亀裂判定ステップを備えたことを特徴とする駆動機構の亀裂検知方法。
  4. モータが所定の周期の正弦波関数にしたがって変化するモータトルクで可動部を駆動するときの、前記モータトルクの瞬時値を計測して時系列データとするモータ状態量計測ステップ、
    前記モータトルクの瞬時値の時系列データから前記モータトルクの実効値を演算する実効値演算ステップ、
    前記モータトルクの瞬時値の時系列データに対して、フーリエ変換を行うFFT演算ステップ、
    前記モータトルクの実効値から、所定の時間さかのぼった時点の値と現在の値とを比較して、前記モータトルクの実効値の低下の有無を判定する実効値判定ステップ、
    この実効値判定ステップで前記モータトルクの実効値の低下が有ると判定されたときは、前記フーリエ変換の結果から、前記周期の2倍の周波数成分である2f成分の増加の有無を判定する2f成分判定ステップ、
    及びこの条件分岐手段で前記2f成分があると判定されたときは、前記可動部に亀裂があると判定する亀裂判定ステップを備えたことを特徴とする駆動機構の亀裂検知方法。
  5. モータが所定の周期の正弦波関数にしたがって変化するモータトルクで可動部を駆動するときの、前記モータトルクの瞬時値を計測して時系列データとするモータ状態量計測ステップ、
    前記モータトルクの瞬時値の時系列データから前記モータトルクの実効値を演算する実効値演算ステップ、
    前記モータトルクの実効値から、所定の時間さかのぼった時点の値と現在の値とを比較して、前記モータトルクの実効値の低下の有無を判定する実効値判定ステップ、
    この実効値判定ステップで前記モータトルクの実効値の低下が有ると判定されたときは、前記モータトルクの瞬時値の時系列データに対して、フーリエ変換を行うFFT演算ステップ、
    このフーリエ変換の結果について、前記周期の2倍の周波数成分である2f成分の増加の有無を判定する2f成分判定ステップ、
    及びこの条件分岐手段で前記2f成分があると判定されたときは、前記可動部に亀裂があると判定する亀裂判定ステップを備えたことを特徴とする駆動機構の亀裂検知方法。

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