JP2007031711A - セルロースアシレートフィルム、並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】レターデーション調節剤の少なくとも1種と、700nm以上1200nm以下に極大吸収波長を少なくとも1つ有しかつ450nm以上650nm以下の波長領域の1.0g/リットル溶液換算のセル長1cmでの吸光度が30.0以下である近赤外線吸収剤の少なくとも1種とを含有することを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
【選択図】なし
Description
また特許文献1には特定構造のリン酸系可塑剤を含有するセルロースアシレートフィルムが開示されているが、セルロースアシレートフィルムの光学的異方性を低下させる効果はまだ十分とはいえない。
さらに、レターデーション調整剤あるいはレターデーション調節剤を用いることによりRthの値を十分に小さくしたセルロースアシレートフィルムや、高置換度のセルロースアシレートを用いることでレターデーションを低下させることも知られているが、Rthの波長分散を小さくする効果は十分とはいえない。
特許文献2には赤外吸収染料を含有する光学フィルムが開示され、Re、Rthの値を小さくし得る技術が提案されている。また特許文献3には二色性を示すレターデーション調整剤として赤外線吸収剤および/または紫外線吸収剤を用い、該レターデーション調整剤を屈折率異方性を有する樹脂に混合して得られるフィルムのReが広い波長域にわたり変化を小さくする技術が提案されている。しかしながら、赤外線吸収剤を用いた従来の方法では、液晶表示装置に用いる場合にはRthの波長分散調整を調整する効果が不十分であるか、または可視領域の着色が小さくなく透明性が不十分であるという問題があった。
本発明のさらなる目的は、光学的異方性が小さく、広い波長範囲での光学的異方性が小さく波長分散の小さい、優れたセルロースアシレートフィルムにより作製した偏光板などの光学材料を提供すること、及びこれらを用いた広視野角で表示品位の高い液晶表示装置を提供することにある。
また、赤外線吸収剤を添加したフィルムでは着色が生じがちであるという問題に対し、可視領域における吸光度が特定範囲内である近赤外線吸収剤を用いることで、透明性と透過性の求められる光学フィルム用途に実用上問題なく利用できることを見出した。
すなわち、以下に記載するセルロースアシレートフィルムにより、本発明の課題が達成された。
2. 前記レターデーション調節剤が下記一般式(1)〜(6)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記1.に記載のセルロースアシレートフィルム。
一般式(1):
一般式(2):
一般式(3):
一般式(4):
一般式(5):
一般式(6):
3. 前記レターデーション調節剤が、前記一般式(1)〜(3)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする上記1.または2.に記載のセルロースアシレートフィルム。
4. 前記レターデーション調節剤が、エチレン性不飽和モノマーの重合体であることを特徴とする上記1.に記載のセルロースアシレートフィルム。
6. 前記近赤外線吸収剤が、800nm以上950nm以下に極大吸収波長を少なくとも1つ有することを特徴とする上記1.〜5.のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
7. 前記セルロースアシレートフィルムの波長630nmにおけるRthとReが、それぞれ下記数式(1A)および数式(1B)の範囲を満たすことを特徴とする上記1.〜6.のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
数式(1A):−50nm≦Rth630≦25nm
数式(1B): 0nm≦Re630≦10nm
8. 400nm以上700nm以下の波長範囲において、前記セルロースアシレートフィルムのRthの変動が50nm以下であり、且つReの変動が10nm以下であることを特徴とする上記1.〜7.のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
数式(2):0.5≦|Rth630/Re630|≦50
(但しRe630≧1)
10. 前記セルロースアシレートフィルムの波長630nmにおけるRe及びRthの値が、下記数式(3A)および数式(3B)の関係を満たすことを特徴とする上記1.〜9.のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
数式(3A):|Re630(max)−Re630(min)|≦5
数式(3B):|Rth630(max)−Rth630(min)|≦10
{数式(3A)および数式(3B)中、Re630(max)およびRth630(max)は、任意に切り出した1m四方のフィルムの波長630nmにおける最大レターデーション値であり、Re630(min)およびRth630(min)は波長630nmにおける最小レターデーション値である。}
11. 前記セルロースアシレートフィルムを構成するセルロースアシレートのアシル置換度が2.50〜3.00であり、且つその平均重合度が180〜700である上記1.〜10.のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
13. 膜厚が10〜120μmであることを特徴とする上記1.〜12.のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
14. 前記セルロースアシレートフィルムが延伸されて得られたものであり、該延伸倍率が、搬送方向に対して垂直な方向(幅方向)に1%以上100%以下である上記1.〜13.のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
数式(4):|Re(n)−Re(0)|/n≦1.0
{式中、Re(n)はn(%)延伸されたフィルムの630nmにおけるRe、Re(0)は延伸していないフィルムの630nmにおけるReである。}
16. 偏光子の両側に保護フィルムが貼り合わされてなる偏光板において、該保護フィルムの少なくとも1枚が上記1.〜15.のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムであることを特徴とする偏光板。
17. 液晶セル及びその両側に配置された2枚の偏光板からなり、少なくとも1枚の偏光板が上記16.に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
18. 液晶表示装置がIPSモードであることを特徴とする上記17.に記載の液晶表示装置。
以下にレターデーションRe及びRthについて詳細に説明する。
本発明において、Reλ、Rthλ(あるいは、Re(λ)、Rth(λ)と記す)は、それぞれ、波長λにおける正面方向のレターデーション及び厚さ方向のレターデーションを表す。
本発明におけるセルロースアシレートフィルムのレターデーションの測定方法について説明する。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフイルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフイルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフイルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフイルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(1)及び式(2)よりRthを算出することもできる。
式(1)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。式(1)におけるdは、膜厚(nm)を表す。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx-nz)/(nx-ny)が更に算出される。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、下記のレターデーション調節剤を含有する。すなわち、1.0g/リットル換算の良溶媒、例えばジクロロメタン溶液のセル長1cmでのレターデーション調節剤による吸光度が、450nm以上800nm以下の波長領域で0.1以下であるレターデーション調節剤である。ジクロロメタンが良溶媒である場合は、ジクロロメタンを溶媒として使用した時の吸光度を採用する。
本発明のレターデーション調節剤とは下記数式(I)及び(II)を満たす化合物である。
(I)(Rth(A)−Rth(0))/A≦−1.0
(II)0.01≦A≦30
ここで、
Rth(A):レターデーション調節剤をA%含有したフィルムのRth(nm)
Rth(0):レターデーション調節剤含有しないフィルムのRth(nm)
A:フィルム原料ポリマーの質量を100としたときのレターデーション調節剤の質量(%)である。
(Ia)(Rth(A)−Rth(0))/A≦−2.0
(IIa)0.01≦A≦15
尚、数式(I)、(II)、(Ia)、及び(IIa)におけるレターデーション値の測定波長は630nmである。
一般式(1):
一般式(2):
なお、(A− )と付してある化合物が一般式(1)で表される化合物の具体例であり、(B− )と付してある化合物が一般式(2)で表される化合物の具体例である。
一般式(3):
一般式(3−1):R311−X311−Z311−X312−R312
一般式(3−2):
脂肪族基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素数1〜25のものが好ましく、6〜25のものがより好ましく、6〜20のものが特に好ましい。脂肪族基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、アミル基、イソアミル基、t−アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ビシクロオクチル基、アダマンチル基、n−デシル基、t−オクチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ジデシル基などが挙げられる。
芳香族基は芳香族炭化水素基でも芳香族ヘテロ環基でもよく、より好ましくは芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基としては、炭素数が6〜24のものが好ましく、6〜12のものがさらに好ましい。芳香族炭化水素基の具体例な環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、ターフェニルなどが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニルが特に好ましい。芳香族ヘテロ環基としては、酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含むものが好ましい。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環基としては、ピリジン、トリアジン、キノリンが特に好ましい。
置換基Tとしては、例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8のものであり、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル、シクロヘキシル基など)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基など)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基など)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基など)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜6であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基など)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基など)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基など)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基など)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基など)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基など)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基など)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基など)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基など)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは0〜16、特に好ましくは0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基など)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基など)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基など)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルチオ基など)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメシル基、トシル基など)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基など)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基など)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなど)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には、例えばイミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基など)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは3〜30、特に好ましくは3〜24であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基など)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が2つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
一般式(4):
一般式(6):
1つの化合物の中に含まれる2つ以上のR61及びR62は、それぞれ、同一であってもよいし、異なっていてもよい。好ましくは同一である。
一般式(6−1):
脂肪族基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素数1〜25のものが好ましく、6〜25のものがより好ましく、6〜20のものが特に好ましい。脂肪族基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、アミル基、イソアミル基、t−アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ビシクロオクチル基、アダマンチル基、n−デシル基、t−オクチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ジデシル基などが挙げられる。
一般式(6−2):
一般式(6)、(6−1)及び(6−2)のいずれか1種以上で表される化合物は、一般的には、スルホニルクロリドと多官能アミンとの縮合反応により得られる。
これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
以下に一般式(7)で表される化合物に関して具体例をあげるが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。
本発明において、芳香環を側鎖に有するアクリル系重合体というのは、必ず芳香環を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー単位を含有するアクリル系重合体である。
また本発明において、シクロヘキシル基を側鎖に有するアクリル系重合体というのは、シクロヘキシル基を有するアクリル酸またはメタクリル酸エステルモノマー単位を含有するアクリル系重合体である。
計算方法としては、Crippen’s fragmentation法{“J.Chem.Inf.comput.Sci.”,27巻、p.21(1987年)}、Viswanadhan’s fragmentation法{“J.Chem.Inf.comput.Sci.”,29巻、p.163(1989年)}、Broto’s fragmentation法{“Eur.J.Med.Chem.−Chim.Theor.”,19巻、p.71(1984年)}などが好ましく用いられるが、Crippen’s fragmentation法がより好ましい。ある化合物のlogPの値が、測定方法又は計算方法により異なる場合に、該化合物が前記の範囲内であるかどうかは、Crippen’s fragmentation法により判断するものとする。
本発明のセルロースアシレートフィルムは700nm以上1200nm以下に極大吸収波長を少なくとも1つ有する近赤外線吸収剤を少なくとも1種含有する。
本発明の近赤外線吸収剤について説明する。
光の波長と屈折率との関係については、Kramers−Kronigの関係式から、化合物の吸収極大の近傍で屈折率が大きく変化し、吸収極大の短波長側では負の屈折率が、吸収極大の長波長側では正の屈折率が発現することが知られている。
700〜1200nmに吸収極大を有する近赤外線吸収剤はセルロースアシレートフィルム中での存在状態が好適であれば、可視領域に負の屈折率異方性を発現し、Rthの値を低下することができる。
さらに400nm以上700nm以下の波長領域の吸光度が20.0以下であり、10.0以下であることがより好ましく、5.0以下であることがさらに好ましい。
KAYASORB IRG−022、KAYASORB IRG−040(日本化薬社製)、NIR−IM1、NIR−IM2、NIR−IM3、NIR−IM4(ナガセケムテックス社製)、MIR−369(山本化成社製)、IR−301(山田化学工業社製)、SDA4428、SDA4927、SDA5688、SDA6104、SDA7611、SDA7775、SDA9800、SDG7047(H.W.SANDS社製)、Projet830NP、Projet900NP(アビシア社製)、下記式化合物IR−1、IR−2及びIR−3等が挙げられる。
[セルロースアシレート原料綿]
本発明に用いられるセルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあり、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えば「プラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂」(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができ、本発明のセルロースアシレートフィルムに対しては特に限定されるものではない。
次に上述のセルロースを原料に製造される本発明において好適なセルロースアシレートについて記載する。
本発明に用いられるセルロースアシレートはセルロースの水酸基がアシル化されたもので、その置換基はアシル基の炭素数が2のアセチル基から炭素数が22のものまでいずれも用いることができる。本発明においてセルロースアシレートにおける、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基に置換する酢酸及び/又は炭素数3〜22の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって置換度を得ることができる。測定方法としては、ASTM D−817−91に準じて実施することができる。
上記のセルロースアシレートのアシル置換基が、実質的にアセチル基のみからなる場合においては、その全置換度が2.50〜2.95の場合にセルロースアシレートフィルムの光学的異方性がより好適に低下できる。
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であり、セルロースアセテートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400が更に好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度が該上限値以下であれば、セルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなりすぎることがなく流延によるフィルム作製が容易にできるので好ましい。重合度が該下限値以上であれば、作製したフィルムの強度が低下するなどの不都合が生じないので好ましい。平均重合度は、宇田らの極限粘度法{宇田和夫、斉藤秀夫、「繊維学会誌」、第18巻第1号、105〜120頁(1962年)}により測定できる。この方法は特開平9−95538号公報にも詳細に記載されている。
本発明に用いられるセルロースアシレート溶液には、各調製工程において、前記のレターデーション調節剤、近赤外線吸収剤の外に、用途に応じた種々の添加剤(例えば、紫外線吸収剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子など)を加えることができ、これらについて以下に説明する。またその添加する時期は、ドープ作製工程において何れでも添加してもよいが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、マット剤として微粒子を含有することが好ましい。本発明に使用される微粒子としては、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成珪酸カルシウム、水和珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子は珪素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。二酸化珪素の微粒子は、1次平均粒子径が20nm以下であり、かつ見かけ比重が70g/L以上であるものが好ましい。1次粒子の平均径が5〜16nmと小さいものがフィルムのヘイズを下げることができるためより好ましい。見かけ比重は90〜200g/Lが好ましく、100〜200g/Lがさらに好ましい。見かけ比重が大きい程、高濃度の分散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が低減するため好ましい。
本発明には、200〜400nmの紫外領域に吸収を持つ紫外線吸収剤を含有することもできる。本発明で用いられる紫外線吸収剤の吸収帯範囲は、200〜400nmであることが好ましく、220〜395nmがより好ましく、240〜390nmがさらに好ましい。さらに250nm以上360nm以下の波長範囲に少なくとも1つの吸収極大を有することが好ましく、300nm〜360nmの波長範囲に少なくとも1つの吸収極大を有することがより好ましい。
一般式(8):Q71−Q72−OH
式中、Q71はトリアジン環、Q72は芳香族環を表す。
上記した本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤の添加量は、セルロースアシレートの0.01〜30質量%であることが好ましく、0.1〜20質量%であることがより好ましく、0.2〜10質量%であることが特に好ましい。
またこれら紫外線吸収剤は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。さらにこれら紫外線吸収剤を添加する時期は、ドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
本発明のセルロースアシレートフィルムには、前記のレターデーション調節剤、近赤外線吸収剤及び紫外線吸収剤などの他に、各調製工程において、用途に応じた種々の添加剤(例えば、可塑剤、劣化防止剤、剥離剤など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。
すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収剤の混合や、同様に可塑剤の混合などであり、例えば特開2001−151901号公報などに記載されている。更に、各素材の添加量は、機能が発現する限りにおいて特に限定されない。またさらに、セルロースアシレートフィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよく、例えば特開2001−151902号公報などに記載されているが、これらは従来から知られている技術である。これらの詳細は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて16頁〜22頁に詳細に記載されている素材が好ましく用いられる。
本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、分子量が3000以下の化合物の総量は、セルロースアシレート質量に対して5〜45質量%であることが望ましい。より好ましくは10〜40質量%であり、さらに望ましくは15〜30質量%である。これらの化合物としては、上述したように、レターデーション調節剤、赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、剥離剤などであり、分子量としては3000以下が好ましく、2000以下がより好ましく、1000以下がさらに好ましい。これら化合物の総量が該下限値以上であれば、セルロースアシレート単体の性質が出すぎることがないので、例えば温度や湿度の変化に対して光学性能や物理的強度が変動しやすくなるなどの問題が生じない。またこれら化合物の総量が該上限値以下であれば、セルロースアシレートフィルム中に化合物が相溶する限界を超えて、フィルム表面に析出してフィルムが白濁する(フィルムからの泣き出し)などの問題が生じないので、これら化合
物は総量として該範囲内で用いることが好ましい。さらにその添加する時期は、ドープ調製工程において何れで添加してもよいが、ドープ調製工程の最終工程として、添加剤を添加し調製する工程を行ってもよい。
数式(6):平均logP=Σ(mi×logPi)
ここで、miはi番目の低分子化合物のトータル低分子化合物添加量に対する質量分率、logPiはi番目の低分子化合物のlogPを表す。
本発明では、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造することが好ましく、この方法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムは製造される。本発明において主溶媒として、好ましく用いられる有機溶媒は、炭素数が3〜12のエステル、ケトン、エーテル及び、炭素数が1〜7のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒が好ましい。エステル、ケトン及び、エーテルは、環状構造を有していてもよい。エステル、ケトン及びエーテルの官能基(すなわち、−O−、−CO−及び−COO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、主溶媒として用いることができ、例えばアルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する主溶媒の場合、その炭素数はいずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内であればよい。
[溶解工程]
本発明においてセルロースアシレート溶液(ドープ)の調製に際して、その溶解方法は特に限定されず、室温溶解でもよく、また冷却溶解法又は高温溶解方法でもよく、さらにはこれらの組み合わせで実施されてもよい。本発明におけるセルロースアシレート溶液の調製、さらには溶解工程に伴う溶液濃縮、濾過の各工程に関しては、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて22頁〜25頁に詳細に記載されている製造工程が好ましく用いられる。
本発明におけるセルロースアシレート溶液である、ドープの透明度としては、85%以上であることが望ましい。より好ましくは88%以上であり、さらに好ましくは90%以上であることが望ましい。本発明においては、セルロースアシレートドープ溶液に、各種の添加剤が十分に溶解していることを確認する。具体的なドープの透明度の算出方法としては、ドープ溶液を1cm角のガラスセルに注入し、分光光度計“UV−3150”{(株)島津製作所製}を用いて550nmの吸光度を測定した。溶媒のみを予めブランクとして測定しておき、ブランクの吸光度とドープの吸光度との比から、ドープの透明度を算出した。
次に、本発明におけるセルロースアシレート溶液(ドープ)を用いたフィルムの製造方法について述べる。本発明のセルロースアシレートフィルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供される、溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が好適に用いられる。当該方法においては、溶解機(釜)で調製されたドープ(セルロースアシレート溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調整をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、次いでドープを加圧型ダイの口金(スリット)から、エンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延し、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、幅保持しながらテンターで搬送して乾燥し、続いて得られたフィルムを、乾燥装置のロール群で機械的に搬送し乾燥を終了して、巻き取り機でロール状に所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせは、その目的により変わる。本発明のセルロースアシレートフィルムの主な用途としての、電子ディスプレイ用の光学部材である機能性保護膜やハロゲン化銀写真感光材料に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。これらについては、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて25〜30頁に詳細に記載されており、流延(共流延を含む)、金属支持体、乾燥、剥離などに分類され、本発明において好ましく用いることができる。
数式(7):(Wt−W0)×100/W0
Wt:実測ドープ膜の測定質量。
W0:乾燥終了後、さらに110℃、3時間乾燥したときのフィルム質量。
剥離点における残留溶媒含有率は5〜90質量%の範囲であることが好ましく、また該残留溶媒のうち貧溶媒の含有率が10〜95質量%の範囲であることが好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムは延伸を施してもよく、延伸は一軸延伸、二軸延伸のどちらでも可能である。二軸延伸には、同時二軸延伸法と逐次二軸延伸法があるが、連続製造の観点から逐次二軸延伸方法が好ましく、ドープを流延した後、バンドもしくはドラムよりフィルムを剥ぎ取り、幅方向に延伸した後、長手方向に延伸される。または、長手方向に延伸した後、幅方向に延伸してもよい。
[膜厚]
本発明のセルロースアシレートフィルムの厚さは10〜120μmが好ましく、20〜100μmがより好ましく、30〜90μmがさらに好ましい。また本発明のセルロースアシレートフィルムの、任意に切り出した1m四方のフィルムの厚さの最大値と最小値の差は、厚さの平均値に対し10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましい。
レターデーションの測定方法については、既に説明した通りである。
本発明において、光学的異方性(Re、Rth)が小さいセルロースアシレートフィルムとしては、波長630nmにおける正面方向のレターデーションRe及び膜厚方向のレターデーションRthが、それぞれ下記数式(1A)及び数式(1B)の範囲を満たすことが好ましい。
数式(1A):−50nm≦Rth630≦25nm
数式(1B): 0nm≦Re630≦10nm。
さらに好ましくは、レターデーションRthが下記数式(1A−1)及び数式(1B−1)の範囲を満たすことであり、特に好ましくは下記数式(1A−2)及び数式(1B−2)の範囲を満たすことである。
数式(1A−1):−30nm≦Rth630≦15nm
数式(1B−1): 0nm≦Re630≦5nm、
数式(1A−2):−10nm≦Rth630≦10nm
数式(1B−2): 0nm≦Re630≦2nm。
数式(2):0.5≦|Rth630/Re630|≦50
セルロースアシレートフィルム試料30mm×40mmを、25℃、60%RHで2時間調湿し、エリプソメーター“M−150”{日本分光(株)製}を用いて、波長700nmから400nmの光をフィルム法線方向に入射させることにより、各波長でのReをもとめ、Reの波長による変動を測定した。また、Rthの波長による変動については、このReと、面内の遅相軸を傾斜軸として、フィルム法線方向に対して+40°傾斜した方向から、700〜400nmの波長の光を入射させて測定したレターデーション値と、面内の遅相軸を傾斜軸として、フィルム法線方向に対して−40°傾斜した方向から、波長700〜400nmの光を入射させて測定したレターデーション値との、計3つの方向で測定したレターデーション値を基に、平均屈折率の仮定値1.48及び膜厚を入力して算出した。
本発明のセルロースアシレートフィルムの、環境変化による光学性能の変化については、60℃、90%RHに240時間処理したフィルムの630nmにおけるRe及びRthの変化量が15nm以下であることが好ましい。より好ましくは12nm以下であり、10nm以下であることがさらに好ましい。
また、80℃、240時間処理したフィルムの630nmにおけるRe及びRthの変化量は15nm以下であることが好ましい。より好ましくは12nm以下であり、10nm以下であることがさらに好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムの膜厚方向の630nmにおけるレターデーションRthは、湿度による変化が小さいことが好ましい。具体的には下記数式(8)で示される25℃、10%RHにおけるRth値と、25℃、80%RHにおけるRth値の差ΔRthが0〜50nmであることが好ましい。より好ましくは0〜40nmであり、さらに好ましくは0〜35nmである。
数式(8):ΔRth=Rth10%RH−Rth80%RH
セルロースアシレートフィルムの試料100×100mmを用意し、固定一軸延伸機を用いて、温度140℃の条件下で機械搬送方向(MD方向)又は、搬送方向に対して垂直方向(TD方向)に延伸を行った。延伸前後における各試料の正面レターデーション(Re)は、自動複屈折計“KOBRA 21ADH”{王子計測機器(株)製}を用いて測定した。遅相軸の検出は上記のレターデーション測定の際に得られる配向角から決定した。
延伸によってReの変化が小さいことが好ましく、具体的にはRe(n)をn(%)延伸したフィルムの630nmにおける正面方向レターデーション(nm)、Re(0)を延伸していないフィルムの630nmにおける正面方向レターデーション(nm)としたときに、下記数式(4)の関係を満足することが好ましく、下記数式(4−1)の関係を満足することがさらに好ましい。
数式(4):|Re(n)−Re(0)|/n≦1.0
数式(4−1):|Re(n)−Re(0)|/n≦0.3
本発明のセルロースアシレートフィルムは、その波長630nmにおけるRe及びRthの値が、下記数式(3A)及び数式(3B)の関係を満たすことが好ましく、下記数式(3A−1)及び数式(3B−1)の関係を満たすことがさらに好ましい。
数式(3A):|Re630(max)−Re630(min)|≦5
数式(3B):|Rth630(max)−Rth630(min)|≦10
数式(3A−1):|Re630(max)−Re630(min)|≦3
数式(3B−1):|Rth630(max)−Rth630(min)|≦5
{式中、Re630(max)及びRth630(max)は、任意に切り出した1m四方のフィルムの波長630nmにおける最大レターデーション値であり、Re630(min)及びRth630(min)は波長630nmにおける最小レターデーション値である。}
本発明のセルロースアシレートフィルムの光弾性係数は、50×10−13cm2/dyne以下であることが好ましい。30×10−13cm2/dyne以下であることがより好ましく、20×10−13cm2/dyne以下であることがさらに好ましい。具体的な測定方法としては、セルロースアシレートフィルム試料12mm×120mmの長軸方向に対して引張応力をかけ、その際のレターデーションをエリプソメーター“M150”{日本分光(株)製}で測定し、応力に対するレターデーションの変化量から光弾性係数を算出した。
本発明のセルロースアシレートフィルムのヘイズは、0.01〜2.0%であることが好ましい。より好ましくは0.05〜1.5%であり、0.1〜1.0%であることがさらに好ましい。光学フィルムとしてフィルムの透明性は重要である。ヘイズの測定は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料40mm×80mmを、25℃、60%RHでヘイズメーター“HGM−2DP”{スガ試験機(株)製}を用いJIS K−6714に従って測定した。
セルロースアシレートフィルムの試料13mm×40mmを、25℃、60%RHで分光光度計“U−3210”{(株)日立製作所}にて、波長300〜450nmにおける透過率を測定した。傾斜幅は72%の波長−5%の波長で求めた。限界波長は、(傾斜幅/2)+5%の波長で表した。吸収端は、透過率0.4%の波長で表す。これより380nm及び350nmの透過率を評価した。
本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、波長380nmにおける分光透過率が45%以上95%以下であり、かつ波長350nmにおける分光透過率が10%以下であることが好ましい。
(フィルムのガラス転移温度Tg)
本発明のセルロースアシレートフィルムのガラス転移温度(Tg)は、80〜165℃であることが好ましい。耐熱性の観点から、Tgが100〜160℃であることがより好ましく、110〜150℃であることが特に好ましい。ガラス転移温度Tgの測定は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料10mgを、常温から200℃まで昇降温速度5℃/分で示差走査熱量計“DSC2910”(T.A.インスツルメント社製)で熱量測定を行い、ガラス転移温度Tgを算出した。
本発明のセルロースアシレートフィルムの平衡含水率は、偏光板の保護膜として用いる際、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマーとの接着性を損なわないために、膜厚のいかんに関わらず、25℃、80%RHにおける平衡含水率が、0〜4%であることが好ましい。0〜3.2%であることがより好ましく、0.1〜3.2%であることがさらに
好ましく、1〜3%であることが特に好ましい。平衡含水率が4.0%以下であれば、光学補償フィルムの支持体として用いる際に、レターデーションの湿度変化による依存性が大きくなりすぎることがなく好ましい。平衡含水率が3.2%以下であれば、レターデーションの湿度変化が小さくさらに好ましい。
含水率の測定法は、本発明のセルロースアシレートフィルム試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置“CA−03”及び“VA−05”{共に三菱化学(株)製}にてカールフィッシャー法で測定した。水分量(g)を試料質量(g)で除して算出した。
フィルムの透湿度は、JIS Z−0208をもとに、60℃、95%RHの条件において測定し、膜厚80μmに換算することによって求められる。
透湿度は、セルロースアシレートフィルムの膜厚が厚ければ小さくなり、膜厚が薄ければ大きくなる。そこでどのような膜厚のサンプルでも、基準を80μmに設け換算する必要がある。膜厚の換算は、下記数式(9)に従って行うことができる。
数式(9):80μm換算の透湿度=実測の透湿度×実測の膜厚(μm)/80(μm)。
具体的には、本発明のセルロースアシレートフィルム試料70mmφを、25℃、90%RH及び60℃、95%RHでそれぞれ24時間調湿し、透湿試験装置“KK−709007”{東洋精機(株)製}にて、JIS Z−0208に従って、単位面積あたりの水分量を算出(g/m2)し、下記数式(10)に従って求めた。
数式(10):透湿度=調湿後質量−調湿前質量
本発明のセルロースアシレートフィルムの寸度安定性は、60℃、90%RHの条件下に24時間静置した場合(高湿)の寸度変化率、及び90℃、5%RHの条件下に24時間静置した場合(高温)の寸度変化率が、いずれも0.5%以下であることが好ましい。
より好ましくは0.3%以下であり、さらに好ましくは0.15%以下である。
数式(11):60℃、90%RH(高湿)の寸度変化率={|L0−L1|/L0}×100
数式(12):90℃、5%RH(高温)の寸度変化率={|L0−L2|/L0}×100
本発明のセルロースアシレートフィルムの弾性率は、200〜500kgf/mm2であることが好ましい、より好ましくは240〜470kgf/mm2であり、さらに好ましくは270〜440kgf/mm2である。具体的な測定方法としては、東洋ボールドウィン(株)製万能引っ張り試験機“STM T50BP”を用い、23℃、70RH%雰囲気中、引張速度10%/分で0.5%伸びにおける応力を測定し、弾性率を求めた。
本発明セルロースアシレートフィルムの表面は、JIS B−0601−1994に基づく表面凹凸の算術平均粗さ(Ra)が0.1μm以下、及び最大高さ(Ry)が0.5μm以下であることが好ましい。好ましくは、算術平均粗さ(Ra)が0.05μm以下、及び最大高さ(Ry)が0.2μm以下である。膜表面の凹と凸の形状は、原子間力顕微鏡(AFM)により評価することができる。
本発明のセルロースアシレートフィルムにおいては、フィルムに添加されたレターデーション調節剤、近赤外線吸収剤などの各種化合物の保留性が要求される。
本発明のセルロースアシレートフィルムに添加された、レターデーション調節剤、近赤外線吸収剤などの化合物は、80℃、240時間処理したフィルムからのそれらの揮散量が30質量%以下であることが好ましい。より好ましくは25質量%以下であり、20質量%以下であることがさらに好ましい。
なお、フィルムからの化合物の揮散量は、80℃、240時間処理したフィルム及び未処理のフィルムをそれぞれ溶媒に浸漬し、浸漬後の溶媒を液体高速クロマトグラフィーにて分析して、化合物のピーク面積をフィルム中に残存した化合物量として、下記数式(13)により算出した。
数式(13):揮散量(%)={(未処理品中の残存化合物量)−(処理品中の残存化合物量)}/(未処理品中の残存化合物量)×100
本発明のセルロースアシレートフィルムに添加された、レターデーション調節剤、近赤外吸収剤などの化合物のフィルム高温高湿処理後の保留性、具体的には、本発明のセルロースアシレートフィルムを、80℃、90%RHの条件下に48時間静置したときのフィルムの質量変化が、0〜5質量%であることが好ましい。より好ましくは0〜3質量%であり、さらに好ましくは0〜2%である。
セルロースアシレートフィルム試料を10cm×10cmのサイズに断裁し、23℃、55%RHの雰囲気下で24時間放置後の質量を測定して、次いで80±5℃、90±10%RHの条件下で48時間放置した。処理後の試料の表面を軽く拭き、23℃、55%RHで1日放置後の質量を測定して、下記数式(14)に従って高温高湿処理後の化合物の保留性を計算した。
数式(14):高温高湿処理後の化合物保留性(質量%)={(放置前の質量−放置後の質量)/放置前の質量}×100
(カール)
本発明のセルロースアシレートフィルムの幅方向のカール値は、−10/m〜+10/mであることが好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムには後述する表面処理、光学異方性層を塗設する際の、ラビング処理の実施や配向膜、光学異方性層の塗設や貼合などを長尺で行う際に、フィルムの幅方向のカール値が上記の範囲内であれば、フィルムのハンドリングに支障をきたしてフィルムの切断が起きるなどの問題が生じることがない。また、フィルムのエッジや中央部などで、フィルムが搬送ロールと強く接触して発塵し、フィルム上への異物付着が多くなって光学補償フィルムの点欠陥や塗布スジの頻度が許容値を超えるなどの問題も生じることがない。さらにカールを上記の範囲とすることで光学異方性層を設置するときに発生しやすい色斑故障を低減できるほか、偏光膜貼り合せ時に気泡が入ることを防ぐことができるので好ましい。
フィルムの引裂き強度は、JIS K−7128−2:1998の引裂き試験方法に基ずく方法(エルメンドルフ引裂き法)により測定される。本発明のセルロースアシレートフィルムの引裂き強度は、膜厚20〜80μmの範囲において2g以上であることが好ましい。より好ましくは、5〜25gであり、更には6〜25gである。また60μm換算では8g以上であることが好ましく、より好ましくは8〜15gである。具体的には、セルロースアシレートフィルム試料片50mm×64mmを、25℃、65%RHの条件下に2時間調湿した後に、軽荷重引裂き強度試験機を用いて測定できる。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、その製膜に際して、フィルムに対する残留溶媒量が、0.01〜1.5質量%の範囲となる条件で乾燥することが好ましい。より好ましくは0.01〜1.0質量%である。本発明のセルロースアシレートフィルムを、反射防止フィルムや光学補償フィルムなどの透明支持体としてもちいるとき、その残留溶媒量は、1.5%以下とすることでカールを抑制できる。1.0質量%以下であることがより好ましい。これは、前述のドープを用いた流延法(ソルベントキャスト法)による成膜時の残留溶媒量を少なくすることで、自由堆積が小さくなることが主要な効果要因になるためと思われる。
本発明のセルロースアシレートフィルムの吸湿膨張係数は、30×10−5/%RH以下とすることが好ましい。吸湿膨張係数は、15×10−5/%RH以下とすることがより好ましく、10×10−5/%RH以下であることがさらに好ましい。また、吸湿膨張係数は小さい方が好ましいが、通常は、1.0×10−5/%RH以上の値である。吸湿膨張係数は、一定温度下において相対湿度を変化させた時の試料の長さの変化量を示す。この吸湿膨張係数を調節することで、本発明のセルロースアシレートフィルムを光学補償フィルム支持体として用いた際、光学補償フィルムの光学補償機能を維持したまま、額縁状の透過率上昇すなわち歪みによる光漏れを防止することができる。
(吸湿膨張係数の測定)
作製したセルロースアシレートフィルムから幅5mm、長さ20mmの試料を切り出し、片方の端を固定して25℃、20%RHの雰囲気下にぶら下げた。他方の端に0.5gの重りをぶら下げて、一定時間放置した。次に、一定温度のまま、湿度を80%RHにして、長さの変形量を測定した。測定は同一試料につき10サンプル行い、平均値を採用した。
セルロースアシレートフィルムは、場合により表面処理を行うことによって、セルロースアシレートフィルムと各機能層(例えば、下塗層及びバック層)との接着の向上を達成することができる。セルロースアシレートフィルムの表面処理には、例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理、火炎処理、酸又はアルカリ処理を用いることができる。
本発明のセルロースアシレートフィルムを、偏光板の透明保護フィルムとして用いる場合の表面処理の有効な手段の1つとして、アルカリ鹸化処理が挙げられる。
セルロースアシレートフィルムのアルカリ鹸化処理は、フィルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの濃度は0.1〜5.0mol/Lの範囲にあることが好ましく、0.5〜4.0mol/Lの範囲にあることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温〜90℃の範囲にあることが好ましく、40〜70℃の範囲にあることがさらに好ましい。
数式(15):0.9<Cms/Cm0≦1.0
数式(15−1):0.95<Cms/Cm0≦1.0
(式中、Cm0は鹸化処理前の含量、Cmsは鹸化処理後の含量である。)
本発明のセルロースアシレートフィルムは、フィルム表面をアルカリ溶液で鹸化処理する前と後の、波長630nmにおけるRe、Rth値の変化が、下記数式(16)の関係を満たすことが好ましく、数式(16−1)の関係を満たすことがより好ましく、数式(16−2)の関係を満たすことがさらに好ましい。
数式(16):|Re630(0)−Re630(s)|≦10で、且つ|Rth630(0)−Rth630(s)|≦20、
数式(16−1):|Re630(0)−Re630(s)|≦8で、且つ|Rth630(0)−Rth630(s)|≦15、
数式(16−2):|Re630(0)−Re630(s)|≦5で、且つ|Rth630(0)−Rth630(s)|≦10。
上記式中、Re630(0)はアルカリ溶液で鹸化する前の波長630nmにおけるRe、Re630(s)はアルカリ溶液で鹸化した後の波長630nmにおけるReを表し、Rth630(0)はアルカリ溶液で鹸化する前の波長630nmにおけるRth、Rth630(s)はアルカリ溶液で鹸化した後の波長630nmにおけるRthを表す。
上記の範囲内であれば、保護フィルムの光学性能に遜色なく、偏光板、光学補償フィルム、液晶表示装置に適用した際に、光り漏れが起こらない。
本発明のセルロースアシレートフィルムの光耐久性の指標として、スーパーキセノン光を200時間照射したフィルムのRth値の変動を測定した。キセノン光照射は、セルロースアシレートフィルム単体で、スーパーキセノンウェザーメーター“SX−75”{スガ試験機(株)製、60℃、50%RH条件}にて、キセノン光を22万Lxで200時間照射した。所定時間の経過後、フィルムを恒温槽から取り出し、上記と同様に調湿を行った後、測定した。
数式(17):ΔE*a*b*=[(L0 *−L1 *)2+(a0 *−a1 *)2+(b0 *−b1 *)2]1/2。
〔光学用途〕
本発明のセルロースアシレートフィルムは、その用途として例えば光学用途と写真感光材料に適用される。特に光学用途として液晶表示装置に用いられることが好ましい。液晶表示装置は、一般に2枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された2枚の偏光板を配置した構成であり、本発明のセルロースアシレートフィルムは、偏光板の保護フィルムとして、または、後述する機能層を付与して液晶表示装置に用いることがさらに好ましい。これらの液晶表示装置としては、TN、IPS、FLC、AFLC、OCB、STN、ECB、VA及びHANが好ましい。
上記の光学用途に、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いるに際し、各種の機能層が付与される。それらは、例えば、帯電防止層、硬化樹脂層(透明ハードコート層)、反射防止層、易接着層、防眩層、光学補償層、配向層、液晶層などである。
本発明のセルロースアシレートフィルムの用途について説明する。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、特に偏光板保護フィルム用として有用である。偏光板保護フィルムとして用いる場合、偏光板の作製方法は、特に限定されず、一般的な方法で作製することができる。得られたセルロースアシレートフィルムはその表面をアルカリ処理し、ポリビニルアルコールフィルムを沃素溶液中に浸漬・延伸して作製した偏光子の両面に、完全ケン化ポリビニルアルコール水溶液などを用いて貼り合わせる方法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−94915号公報、特開平6−118232号公報に記載されているような易接着加工を施してもよい。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、様々な用途で用いることができ、液晶表示装置の光学補償フィルムとして用いると特に効果がある。なお、光学補償フィルムとは、一般に液晶表示装置に用いられ、位相差を補償する光学材料のことを指し、位相差板、光学補償シートなどと同義である。光学補償フィルムは複屈折性を有し、液晶表示装置の表示画面の着色を取り除いたり、視野角特性を改善したりする目的で用いられる。
光学異方性層として液晶性化合物を含有してなるものを用いる場合、液晶性化合物としては、ディスコティック液晶性化合物又は棒状液晶性化合物が好ましい。
本発明に使用可能なディスコティック液晶性化合物の例には、様々な文献[C.Destradeらの“Mol.Crysr.Liq.Cryst.”,71巻,p.111(1981年);日本化学会編「季刊化学総説」第22号「液晶の化学」第5章、第10章第2節(1994年);B.Kohneらの“Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.”,p.1794(1985年);J.Zhangらの“J.Am.Chem.Soc.”,116巻,p.2655(1994年)]に記載の化合物が含まれる。
本発明において、使用可能な棒状液晶性化合物の例には、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類及びアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が含まれる。以上のような低分子液晶性化合物だけではなく、高分子液晶性化合物も用いることができる。
前記した様に、本発明における光学異方性層は、ポリマーフィルムから形成してもよい。ポリマーフィルムは、光学的異方性を発現し得るポリマーから形成する。そのようなポリマーの例には、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマーなど)、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリル酸エステル及びセルロースエステル(例えば、セルローストリアセーテート、セルロースジアセテートなど)が含まれる。また、これらのポリマーの共重合体又はポリマー混合物を用いてもよい。
セルロースアシレートフィルムを光学補償フィルムとして用いる場合は、偏光素子の透過軸と、セルロースアシレートフィルムからなる光学補償フィルムの遅相軸とをどのような角度で配置しても構わない。液晶表示装置は、2枚の電極基板の間に液晶を担持してなる液晶セル、その両側に配置された2枚の偏光素子、及び該液晶セルと該偏光素子との間に少なくとも1枚の光学補償フィルムを配置した構成を有している。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、様々な表示モードの液晶セルに用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)、及びHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。また、上記表示モードを配向分割した表示モードも提案されている。本発明のセルロースアシレートフィルムは、いずれの表示モードの液晶表示装置においても有効である。また、透過型、反射型、半透過型のいずれの液晶表示装置においても有効である。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、TNモードの液晶セルを有するTN型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体又は偏光板の保護フィルムとして用いてもよい。TNモードの液晶セルとTN型液晶表示装置については、古くからよく知られている。TN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開平3−9325号、特開平6−148429号、特開平8−50206号、特開平9−26572号の各公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文(“Jpn.J.Appl.Phys.”,36巻(1997年)p.143及びp.1068)に記載がある。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、STNモードの液晶セルを有するSTN型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体又は偏光板の保護フィルムとして用いてもよい。一般的にSTN型液晶表示装置では、液晶セル中の棒状液晶性化合物の分子が90〜360゜の範囲にねじられており、棒状液晶性化合物の屈折率異方性(Δn)とセルギャップ(d)との積(Δn・d)が300〜1500nmの範囲にある。STN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開2000−105316号公報に記載がある。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、VAモードの液晶セルを有するVA型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体又は偏光板の保護フィルムとして用いてもよい。VA型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムのレターデーション値Reを0〜150nmとし、レターデーション値Rthを70〜400nmとすることが好ましい。レターデーション値Reは、20〜70nmであることが更に好ましい。VA型液晶表示装置に2枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのレターデーション値Reは70〜250nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置に一枚の光学的異方性ポリマーフィルムを使用する場合、フィルムのレターデーション値Rthは150〜400nmであることが好ましい。VA型液晶表示装置は、例えば特開平10−123576号公報に記載されているような配向分割された方式であっても構わない。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、IPSモードの液晶セルを有するIPS型液晶表示装置又はECBモードの液晶セルを有するECB型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体、又は偏光板の保護フィルムとしても特に有利に用いられる。これらのモードは、黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で、液晶分子を基板面に対して平行配向させて黒表示する。これらの態様において、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板は、色味の改善、視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。この態様においては、液晶セルの上下の前記偏光板の保護フィルムのうち、液晶セルと偏光板との間に配置された保護フィルム(セル側の保護フィルム)に、本発明のセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板を、少なくとも液晶セルの片側に用いることが好ましい。更に好ましくは、偏光板の保護フィルムと液晶セルの間に光学異方性層を配置し、配置された光学異方性層のレターデーションの値を、液晶層のΔn・dの値の2倍以下に設定するのが好ましい。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、OCBモードの液晶セルを有するOCB型液晶表示装置又はHANモードの液晶セルを有するHAN型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体又は偏光板の保護フィルムとしても用いてもよい。OCB型液晶表示装置又はHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムには、レターデーションの絶対値が最小となるような方向が、光学補償フィルムの面内にも法線方向にも存在しないことが好ましい。OCB型液晶表示装置又はHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムの光学的性質も、光学異方性層の光学的性質、支持体の光学的性質及び光学異方性層と支持体との配置により決定される。OCB型液晶表示装置又はHAN型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、特開平9−197397号公報に記載がある。また、モリ(Mori)他の論文{“Jpn.J.Appl.Phys.”,38巻(1999年)p.2837}に記載がある。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、TN型、STN型、HAN型、GH(Guest−Host)型の反射型液晶表示装置の光学補償フィルム又は偏光板の保護フィルムとして用いてもよい。これらの表示モードは古くからよく知られている。TN型反射型液晶表示装置については、特開平10−123478号公報、国際公開第98/48320号パンフレット、特許第3022477号公報に記載がある。反射型液晶表示装置に用いる光学補償フィルムについては、国際公開第00/65384号パンフレットに記載がある。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、ASM(Axially Symmetric Aligned Microcell)モードの液晶セルを有する、ASM型液晶表示装置の光学補償フィルムの支持体として用いてもよい。ASMモードの液晶セルは、セルの厚さが位置調整可能な樹脂スペーサーにより維持されているとの特徴がある。その他の性質は、TNモードの液晶セルと同様である。ASMモードの液晶セルとASM型液晶表示装置については、クメ(Kume)らの論文{Kume et al.,“SID 98 Digest 1089”,(1998年)}に記載がある。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、またハードコートフィルム、防眩フィルム、反射防止フィルムへの適用が好ましく実施できる。LCD、PDP、CRT、EL等のフラットパネルディスプレイの視認性を向上する目的で、本発明のセルロースアシレートフィルムの片面又は両面にハードコート層、防眩層、反射防止層の何れか又はそれらの全てを付与することができる。このような防眩フィルム、反射防止フィルムとしての望ましい実施態様は、発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)の54頁〜57頁に詳細に記載されており、本発明のセルロースアシレートフィルムを好ましく用いることができる。
さらに本発明のセルロースアシレートフィルムは、ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としても適用でき、該写真感光材料の特許明細書に記載されている各種の素材や処方、さらには処理方法が適用できる。それらの技術については、特開2000−105445号公報に、カラーネガティブに関する記載が詳細に挙げられており、本発明のセルロースアシレートフィルムが好ましく用いられる。またカラー反転ハロゲン化銀写真感光材料の支持体としての適用も好ましく、特開平11−282119号公報に記載されている各種の素材や処方さらには処理方法が適用できる。
本発明のセルロースアシレートフィルムは、光学的異方性がゼロに近く、優れた透明性を持っていることから、液晶表示装置の液晶セルガラス基板の代替、すなわち駆動液晶を封入する透明基板としても用いることができる。
[セルロースアシレート原液(CAL−1)の調製]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート原液を調製した。なおセルロースアシレートとしては、アシル化度(Ac:OH=2.86:0.14)、平均重合度310であるものを用いた。ここで、カッコ内のAcはアセチル置換基、OHは置換されていない水酸基を表し、比率はアシル化度の比率である。
セルロースアシレート(アシル化度Ac=2.86) 100.0質量部
メチレンクロリド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
平均粒径16nmのシリカ粒子{“AEROSIL R972”、日本アエロジル(株)製}を20質量部及びメタノール80質量部を、30分間よく攪拌混合してシリカ粒子分散液とした。この分散液を下記の組成物とともに分散機に投入し、さらに30分以上攪拌して各成分を溶解し、マット剤溶液(ML−1)を調製した。
シリカ粒子(平均粒径16nm)の分散液 10.0質量部
メチレンクロリド(第1溶媒) 76.3質量部
メタノール(第2溶媒) 3.4質量部
セルロースアセテート原液(CAL−1) 10.3質量部
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、添加剤溶液(AD−1)を調製した。
レターデーション調節剤(明細書中記載化合物SA−19)
66.3質量部
近赤外線吸収剤(SDA5688(H.W.SANDS社(製))
0.55質量部
メチレンクロリド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアシレート原液(CAL−1) 12.8質量部
前記のセルロースアシレート原液(CAL−1)を94.6質量部、マット剤溶液(ML−1)を1.3質量部及び添加剤溶液(AD−1)を、それぞれ濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。添加剤溶液(AD−1)の添加量はレターデーション調節剤(SA−19)及び近赤外線吸収剤(化合物SDA5688)のセルロースアシレートに対する質量比が、それぞれ12質量%、0.2質量%になるように調製した。残留溶媒量30質量%でフィルムをバンドから剥離し、138℃で20分間乾燥させ、セルロースアシレートフィルム試料1を作製した。でき上がったセルロースアシレートフィルム1の残留溶媒量は0.1質量%未満であり、膜厚は80μmであった。
近赤外線吸収剤およびレターデーション調節剤の種類(明細書中記載の化合物)、添加量を下表2の内容に変更した以外は同様にしてセルロースアシレートフィルム試料2〜15を作製した。尚表2中のエチルフタリルエチルグリコレートは、レターデーション調節剤ではなく、既知の可塑剤である。表2中のレターデーション調節剤は全て450nm以上800nm以下の波長領域の1.0g/リットル溶液換算セル長1cmでの吸光度が0.01以下であった(測定溶媒:ジクロロメタン)。セルロースアシレートフィルム試料14に使用した重合体P−11(本明細書記載)は重量平均分子量5000であった。
数式(I)(Rth(A)−Rth(0))/A≦−1.0
ここで、
Rth(A):レターデーション調節剤をA%含有したフィルムのRth(nm)
Rth(0):レターデーション調節剤含有しないフィルムのRth(nm)
A:フィルム原料ポリマーの質量を100としたときのレターデーション調節剤の質量(%)である。(測定波長:630nm)
数式(I)の値を以下に示す。
SA−19 −2.5
SB−5 −2.3
SC−7 −2.3
A−11 −2.4
B−3 −2.6
CA−5 −3.3
P−11 −1.5
なお、セルロースアシレートフィルム試料1〜15のRe、Rthの、1m四方のフィルム内でのばらつきは、何れの試料も|Re630(max)−Re630(min)|が3nm以下、|Rth630(max)−Rth630(min)|が5nm以下であり、好ましいものであった。
実施例1で作製したセルロースアシレートフィルム試料を、白紙の上に配置しフィルムの着色に対して官能評価を行った。
AA:着色がなく透明性は非常に良好
A:着色が小さく透明性は良好
B:着色はあるが許容できる
C:着色が目立ち許容外
実施例1で作製したセルロースアシレートフィルム試料をクロスニコルに配置した2枚の偏光板の間にはさみ込み、面状故障の頻度を確認し、以下のように評価を行った。
○:0〜2個
△:3〜10個
×:11個以上
(セルロースアシレートフィルム21の作製)
<セルロースアシレート溶液の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液CAL-2を調製した。
アセチル化度2.94のセルロースアセテート 100.0質量部
可塑剤:トリフェニルフォスフェート 4.0質量部
可塑剤:ジフェニルビフェニルフォスフェート 4.0質量部
レターデーション調節剤:CA−5 4.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
下記の組成物を分散機に投入し、撹拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液を調製した。
平均粒径20nmのシリカ粒子
(日本アエロジル(株)製アエロジルR972) 2.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
メタノール(第2溶媒) 12.7質量部
セルロースアシレート溶液(CAL−2) 10.3質量部
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら撹拌して、各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液を調製した。
近赤外線吸収剤(MIR−369(山本化成社(製)) 0.7質量部
極大吸収波長=862nm、可視領域(450〜650nm)の極大吸光度=12
レターデーション調節剤:(明細書中記載化合物CA−5) 6.0質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
セルロースアシレート溶液(CAL−2) 12.8質量部
(偏光板の作製)
実施例1で得た本発明のセルロースアセテートフィルム試料1を、1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で2分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、セルロースアシレートフィルムの表面をケン化した。
続いて、厚さ80μmのロール状ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素水溶液中で連続して5倍に延伸し、乾燥して偏光膜を得た。ポリビニルアルコール(クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、アルカリけん化処理したセルロースアシレートフィルム試料1を2枚用意して偏光膜を間にして貼り合わせ、両面がセルロースアシレートフィルム1によって保護された偏光板1を得た。
偏光板1に対して、アートンフィルム(JSR社製)を一軸延伸した光学補償フィルムを貼合して光学補償機能を持たせた。この際、光学補償フィルムの面内レターデーションの遅相軸を偏光板の透過軸と直交させることで、正面特性を何ら変えることなく視覚特性を向上させることができる。光学補償フィルムの面内レターデーションReは270nm、厚さ方向のレターデーションRthは0nmでNzファクターは0.5のものを用いた。
上記の偏光板1と光学補償フィルムの積層体を2組作製し、光学補償フィルムが各々液晶セル側となるように、「偏光板1と光学補償フィルムの積層体+IPS型の液晶セル+偏光板1と光学補償フィルムの積層体」の順番に重ね合わせて組み込んだ表示装置を作製した。この際、上下の偏光板の透過軸を直交させ、上側の偏光板の透過軸は液晶セルの分子長軸方向と平行(すなわち光学補償層の遅相軸と液晶セルの分子長軸方向は直交)とした。液晶セルや電極・基板はIPSとして従来から用いられているものがそのまま使用できる。液晶セルの配向は水平配向であり、液晶は正の誘電率異方性を有しており、IPS液晶用に開発され市販されているものを用いることができる。液晶セルの物性は、液晶のΔn:0.099、液晶層のセルギャップ:3.0μm、プレチルト角:5度、ラビング方向:基板上下とも75度とした。
以上のようにして作製した液晶表示装置において、装置正面からの方位角方向45度、極角方向70度における黒表示時の光漏れ率を測定したところ、0.1%以下であった。本発明のセルロースアシレートフィルムにより作製した光学補償フィルムおよび偏光板は、光漏れ率が十分小さく、コントラスト視野角が広く好ましいことがわかった。
Claims (18)
- (A)450nm以上800nm以下の波長領域において、1.0g/リットル溶液換算のセル長1cmでの吸光度が0.1以下であるレターデーション調節剤の少なくとも1種と、(B)700nm以上1200nm以下に極大吸収波長を少なくとも1つ有しかつ450nm以上650nm以下の波長領域の1.0g/リットル溶液換算のセル長1cmでの吸光度が30.0以下である近赤外線吸収剤の少なくとも1種と、を含有することを特徴とするセルロースアシレートフィルム。
- 前記レターデーション調節剤が下記一般式(1)〜(6)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載のセルロースアシレートフィルム。
一般式(1):
{一般式(1)中、R11はアリール基を表す。R12及びR13は、それぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表し、少なくとも一方はアリール基である。また、アルキル基及びアリール基はそれぞれ置換基を有していてもよい。}
一般式(2):
{一般式(2)中、R21、R22及びR23は、それぞれ独立にアルキル基を表す。また、アルキル基はそれぞれ置換基を有していてもよい。}
一般式(3):
{一般式(3)中、R31、R32、R33及びR34は、それぞれ、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表す。X31、X32、X33及びX34は、それぞれ、単結合、−CO−及びNR35−(R35は置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表す)からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。a、b、c及びdは0以上の整数であり、a+b+c+dは2以上である。Z31は(a+b+c+d)価の有機基(環状のものを除く)を表す。}
一般式(4):
{一般式(4)中、R41は置換もしくは無置換のアルキル基又はアリール基を表し、R42及びR43は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基又はアリール基を表す。
一般式(5):
{一般式(5)中、R51及びR52は、それぞれ独立に、置換もしくは無置換のアルキル基又はアリール基を表す。R51及びR52の炭素数の総和は10以上である。}
一般式(6):
{一般式(6)中、R61は置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表し、R62は水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表す。L61は、2価〜6価の連結基を表し、eはL61の価数に応じた2〜6の整数を表す。} - 前記レターデーション調節剤が、前記一般式(1)〜(3)で表される化合物から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載のセルロースアシレートフィルム。
- 前記レターデーション調節剤が、エチレン性不飽和モノマーの重合体であることを特徴とする請求項1に記載のセルロースアシレートフィルム。
- 前記近赤外線吸収剤が、450nm以上650nm以下の波長領域の1.0g/リットル溶液換算のセル長1cmでの吸光度が15.0以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
- 前記近赤外線吸収剤が、800nm以上950nm以下に極大吸収波長を少なくとも1つ有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
- 前記セルロースアシレートフィルムの波長630nmにおけるRthとReが、それぞれ下記数式(1A)および数式(1B)の範囲を満たすことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
数式(1A):−50nm≦Rth630≦25nm
数式(1B): 0nm≦Re630≦10nm - 400nm以上700nm以下の波長範囲において、前記セルロースアシレートフィルムのRthの変動が50nm以下であり、且つReの変動が10nm以下であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
- 前記セルロースアシレートフィルムの波長630nmにおけるRe及びRthの値が、下記数式(2)の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
数式(2):0.5≦|Rth630/Re630|≦50
(但しRe630≧1) - 前記セルロースアシレートフィルムの波長630nmにおけるRe及びRthの値が、下記数式(3A)および数式(3B)の関係を満たすことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
数式(3A):|Re630(max)−Re630(min)|≦5
数式(3B):|Rth630(max)−Rth630(min)|≦10
{数式(3A)および数式(3B)中、Re630(max)およびRth630(max)は、任意に切り出した1m四方のフィルムの波長630nmにおける最大レターデーション値であり、Re630(min)およびRth630(min)は波長630nmにおける最小レターデーション値である。} - 前記セルロースアシレートフィルムを構成するセルロースアシレートのアシル置換度が2.50〜3.00であり、且つその平均重合度が180〜700である請求項1〜10のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
- 前記セルロースアシレートフィルムを構成するセルロースアシレートのアシル置換基が実質的にアセチル基のみからなり、その全置換度が2.50〜2.95であり、その平均重合度が180〜550である請求項1〜11のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルム。
- 膜厚が10〜120μmであることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
- 前記セルロースアシレートフィルムが延伸されて得られたものであり、該延伸倍率が、搬送方向に対して垂直な方向(幅方向)に1%以上100%以下である請求項1〜13のいずれかに記載のセルロースアシレートフィルム。
- 前記延伸されて得られたセルロースアシレートフィルムにおいて、Reが下記数式(4)の関係を満足する請求項14に記載のセルロースアシレートフィルム。
数式(4):|Re(n)−Re(0)|/n≦1.0
{式中、Re(n)はn(%)延伸されたフィルムの630nmにおけるRe、Re(0)は延伸していないフィルムの630nmにおけるReである。} - 偏光子の両側に保護フィルムが貼り合わされてなる偏光板において、該保護フィルムの少なくとも1枚が請求項1〜15のいずれか1項に記載のセルロースアシレートフィルムであることを特徴とする偏光板。
- 液晶セル及びその両側に配置された2枚の偏光板からなり、少なくとも1枚の偏光板が請求項16に記載の偏光板であることを特徴とする液晶表示装置。
- 液晶表示装置がIPSモードであることを特徴とする請求項17に記載の液晶表示装置。
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