JP2007031573A - 架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体、その架橋体ならびにそれを用いたプロトン伝導膜および燃料電池 - Google Patents

架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体、その架橋体ならびにそれを用いたプロトン伝導膜および燃料電池 Download PDF

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Abstract

【課題】
耐水性、低吸水性、低メタノール透過性と高プロトン伝導性を長期にわたり両立する、燃料電池、特に直接メタノール型燃料電池に用いる、架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体、その架橋体並びにそれらを用いたプロトン伝導膜及び燃料電池を提供する。
【解決手段】
疎水性ブロックと、芳香環に直接結合したプロトン酸基を含有し且つアルキル基を有さない親水性ブロックとからなり、疎水性ブロックにのみ架橋基を有し、かつその架橋基がプロトン酸基から誘導されず、且つ脱離成分の生成なしに架橋し得る架橋基である架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体及びその架橋体である。またそれらを用いたプロトン伝導膜及び燃料電池である。
【選択図】なし

Description

本発明は、水素、アルコールなどを燃料に用いる燃料電池などにおいて用いられるイオン伝導性の架橋型プロトン伝導性ブロック共重合芳香族樹脂、それを用いて得られる高分子膜および燃料電池に関する。
高分子電解質型燃料電池とは電解質としてプロトン伝導性高分子を用いる燃料電池で、水素やメタノールなどの燃料を酸素または空気を用いて電気化学的に酸化することにより、燃料の化学エネルギーを電気エネルギーに変換して取り出すものである。高分子電解質型燃料電池には、燃料として、ボンベ、配管などから供給される純水素を用いるタイプのほか、改質器によりガソリンやメタノールから水素を発生させて用いるタイプなどがある。また、燃料としてメタノール水溶液を用いて直接発電を行う直接メタノール型燃料電池(DMFC:Direct Methanol Fuel Cell)も開発されている。このDMFCは、水素を発生させるための改質器が不要なためシンプルでコンパクトなシステムが構成でき、特に携帯機器用電源として注目されている。
高分子電解質型燃料電池は、高分子電解質膜とこの両側に接触して配置される正極および負極から構成される。燃料の水素あるいはメタノールは負極において電気化学的に酸化されてプロトンと電子を生成する。このプロトンは高分子電解質膜内を、酸素が供給される正極に移動する。一方、負極で生成した電子は電池に接続された負荷を通り、正極に流れ、正極においてプロトンと電子が反応して水を生成する。そのため、電解質膜には高いプロトン伝導性が求められる。
高いプロトン伝導性を有する高分子電解質膜としては、非フッ素系の高分子化合物の開発進められたが、主鎖構造が有する3級炭素がラジカルの攻撃を受けやすく、電池内で容易にα位の水素を放出してしまうため、電池特性が経時的に悪化する問題がある。そのため、主鎖に脂肪族鎖を有さない、すなわち芳香族炭化水素系のプロトン酸基含有高分子が数多く開発されている。なかでも、スルホン化したポリエーテルエーテルケトンから成る膜は、耐熱性と化学的耐久性に優れ、高分子電解質として長時間の使用に耐えうることが報告されている(例えば、非特許文献1)。
これらプロトン酸基含有芳香族炭化水素高分子膜のプロトン伝導性を高めるためには、プロトン酸基の導入量を増やす、すなわちイオン交換基当量を小さくすることが必要であるが、プロトン酸基の導入量を増やすと、同時に親水性が増し、吸水率が増加したり水溶性になることが知られている(例えば、特許文献1)。燃料電池は、燃料と酸素の反応により水を副生することから、水溶性の樹脂は燃料電池用の高分子電解質膜として用いることはできない。また、水溶性とならなくても、吸水性が高い場合には、膜の膨潤や強度の低下、吸水した水を介してのメタノールの負極から正極への透過などの問題を生じる。
そこで、高分子電解質膜に架橋構造を導入することで、耐水性を向上、低吸水化する方法も開発されている。
例えば、ポリエーテルエーテルケトンの膜中のスルホン酸同士を脱硫酸縮合させたスルホネート結合による架橋方法が報告されている(例えば、特許文献2)が、硫酸などの脱離を伴う架橋機構であり、膜表面と膜内部あるいは膜の裏面で架橋密度が異なる、厚膜化が困難である、膜にボイドができる、脱離した酸性ガスにより製造装置が腐食するといった問題を有していた。さらに、これらプロトン酸基を用いた架橋機構により得られる膜は、架橋密度を向上させるとプロトン酸基が減少(イオン交換基当量が増加)し、イオン伝導性が低下するといった問題があった。
硫酸や塩酸などの脱離を伴わない架橋機構としては、クロロスルホン化ポリエーテルケトンのクロロスルホン酸基とアリルアミンを反応させて、スルホンアミド基で結合したアリル基とし、製膜後付加反応により架橋させる機構が報告されている(例えば、特許文献3)が、架橋密度を向上させるためにはプロトン酸基を減少(イオン交換基当量を増加)させる必要がある。また、架橋基を結合するスルホンアミド結合は加水分解を受けやすいといった問題も有していた。
プロトン酸基から誘導されず、脱離成分も伴わない架橋機構を有するものとしては、カルボニル基と芳香環に直結したアルキル基との架橋方法が開示されている(例えば、特許文献4)が架橋基を導入する部分を特定していないため、プロトン酸基の存在する部分で架橋が進み過ぎるとポリマー鎖の動きが架橋により制限されたり、プロトン伝導に必要な水分の吸水が低下するため、プロトン伝導性低減の原因になる場合があった。
しかしながら、いずれの方法においても耐水性、低吸水性、低メタノール透過性と高プロトン伝導性を充分に両立した高分子電解質膜は得られておらず、さらなる性能向上が求められていた。
特開平10−45913号公報 特表2000−501223号公報 特開平6−93114号公報 特開2003−217342号公報 本間格、第3回セパレーションズサイエンス&テクノロジー研究会講座講演要旨集「高分子膜燃料電池の基礎と応用」p17 (1999)
本発明の目的は、耐水性、低吸水性、低メタノール透過性と高プロトン伝導性を長期にわたり両立する、燃料電池、特に直接メタノール型燃料電池に用いる、架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体、その架橋体並びにそれらを用いたプロトン伝導膜及び燃料電池を提供することにある。
本発明者らは、特定のブロック構造を有する架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体から得られる高分子電解質膜が、耐水性、低吸水性、低メタノール透過性と高プロトン伝導性を長期にわたり両立することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[9]に記載した事項により特定される。
[1] 一般式(1)で表される構造単位を繰り返し有するブロック(A)と、芳香環に直接結合したプロトン酸基を含み且つ芳香環に直接結合したアルキル基を含まない構造単位を繰り返し有するブロック(B)とからなることを特徴とする架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体。


[式(1)中、Rは−C2m+1(mは1〜10の整数)。A、Aはそれぞれ独立して直接結合,−CH−、−C(CH−、−C(CF−、−O−、−SO−または−CO−であり、gおよびhはそれぞれ独立して0または1を示す。式(1)中の芳香環の水素原子は、−C2m+1(mは1〜10の整数)、−F、−CF、−Si(CH、−OSi(CHまたは−CNに置換されていても良い。]

[2] ブロック(B)が一般式(2)あるいは(3)で表わされる繰り返し構造単位からなることを特徴とする、上記[1]に記載の架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体。


[式(2)および(3)中、R2、R、RおよびR5はそれぞれ独立してHまたはプロトン酸基であり、少なくとも1つはプロトン酸基である。式(2)および(3)中、A、A、AおよびAはそれぞれ独立して直接結合,−CH−、−C(CH−、−C(CF−、−O−、−SO−または−CO−であり、i、j、kおよびmはそれぞれ独立して0または1を示す。式(2)および(3)の芳香環の水素原子は、プロトン酸基、−F、−CF、−Si(CH、−OSi(CHまたは−CNに置換されていても良い。]
[3] ブロック(A)が一般式(4)、ブロック(B)が一般式(5)でであることを特徴とする、上記[1]又は[2]記載の架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体。


[式(4)中、Rは−C2m+1(mは1〜10の整数)。Aは直接結合,−CH−、−C(CH−、−C(CF−、−O−、−SO−または−CO−である。式(4)中の芳香環のH原子は、−C2m+1(mは1〜10の整数)、−F、−CFに置換されていても良い。]




[式(5)中、RとRの少なくとも1つはプロトン酸基であり、それ以外はH原子である。式Y中のAは直接結合、−CH−、−C(CH−、−C(CF−、−O−、−SO−または−CO−であり、芳香環の水素原子は他の原子に置換されない。]
[4] プロトン酸基が、−C2n−SOZ、−C2n−PO、−C2n−COOZ(nは0〜10の整数、ZはH、NaまたはKである)のいずれか一つでであることを特徴とする上記[1]〜[3]記載の架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体。
[5] 上記 [1]〜[4]記載のいずれか一つの架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体の架橋基が架橋してなるプロトン伝導性ブロック共重合架橋体。
[6] 上記 [1]〜[5]記載の架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体あるいはプロトン伝導性ブロック共重合架橋体を含んでなる燃料電池用プロトン伝導膜。
[7] 上記 [6]記載のプロトン伝導膜を用いてなる燃料電池。
[8] アルコールを直接燃料に用いることを特徴とする上記[7]記載の燃料電池。
本発明の架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体及びその架橋体は、プロトン酸基から誘導されず且つ脱離成分の生成なしに架橋し得る架橋基を疎水性ブロックのみに有するので、耐水性、低吸水性、低メタノール透過性と高プロトン伝導性を長期にわたり両立し得る電解質膜の材料として好適である。本発明の架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体を用いた電解質膜は、プロトン伝導を担うプロトン酸基を有する親水性のブロックからなる相と、耐水性に優れ吸水膨張が小さく架橋構造を有する疎水性ブロックとが適度に相分離しながら、その相界面が同一分子で結合されているため、プロトン伝導を担うブロックの水への溶解や吸水膨張が抑制され、さらには相界面の剥離がない。そのため、該プロトン伝導膜はプロトン酸基の含有量が高く、高プロトン伝導性を有しながら、耐水性、低吸水性に優れ、水とともに伝搬するメタノールの透過量も低く抑えることができる。また、疎水性ブロック部分のみを架橋することにより、疎水性ブロック相の吸水膨張をより小さく耐溶剤性を向上させることができる。一方、親水性ブロック部分は架橋構造を有さないため、架橋形成に伴う親水性の低下、すなわちプロトン伝導度の低下を心配する必要がない。さらに、ブロック化および一部を架橋することにより燃料電池の発電と停止に伴う温度や湿度の変化によるプロトン酸基の脱離や膨張収縮によるクラックの発生が抑制される。従って、本発明の架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体をプロトン伝導膜に用いることにより、プロトン伝導性の低下やメタノール透過量の増加による発電効率の低下が起こりにくく、高効率で信頼性に優れた燃料電池を得ることができる。特に、アルコールを直接燃料に用いた燃料電池が好適に得られる。
以下、本発明に係る架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体、その架橋体、ならびにそれらを用いた燃料電池用プロトン伝導膜及び燃料電池について具体的に説明する。
本発明に係るプロトン伝導性ブロック共重合体は、耐水性に優れ吸水膨張が小さい特定の構造単位を繰り返し有するブロック(A)と、プロトン酸基を有するブロック(B)とからなることを特徴とする。
ブロック(A)
本発明に係るブロック(A)は、以下の一般式(1)で表される構造単位を繰り返し有する。

[式(1)中、Rは−C2m+1(mは1〜10の整数)。A、Aはそれぞれ独立して直接結合,−CH−、−C(CH−、−C(CF−、−O−、−SO−または−CO−であり、gおよびhはそれぞれ独立して0または1を示す。式(1)中の芳香環の水素原子は、−C2m+1(mは1〜10の整数)、−F、−CF、−Si(CH、−OSi(CHまたは−CNに置換されていても良い。]
該構造単位は、カルボニル基及び、芳香環に直接結合したアルキル基を有し、この部分で架橋基を形成することが可能である。架橋基があれば、樹脂の耐水性に優れ、吸水膨張が小さいので、プロトン伝導膜として使用する際に膜の膨潤したり強度が低下することが無いので好ましい。ブロック(B)には架橋基を形成しうるアルキル基を有さないためブロック(A)は、ブロック(B)に比べて疎水性をしめす。更には、下記一般式(4)で表される構造単位を繰り返し有することが、耐水性が高く及び吸水膨張が小さいので好ましい。

[式(4)中、Rは−C2m+1(mは1〜10の整数)。Aは直接結合,−CH−、−C(CH−、−C(CF−、−O−、−SO−または−CO−である。式(4)中の芳香環のH原子は、−C2m+1(mは1〜10の整数)、−F、−CFに置換されていても良い。]
本発明に係るブロック(A)は、架橋基を形成することが可能であり、高分子鎖同士が共有結合により結合する。本発明において架橋とは解離や再結合を繰り返すイオン結合や水素結合などによる高分子鎖同士の相互作用は含まない。
本発明における架橋基とは、プロトン酸基から誘導されず、かつ脱離成分の生成なしに架橋し得る基であり、中でもカルボニル基と芳香環に直接結合した炭素原子数1〜10のアルキル基であることが望ましい。架橋方法には種々の方法が知られているが、本発明に係るカルボニル基とアルキル基からなる架橋は、プロトン酸基から誘導されない架橋であり、高分子鎖同士を結合させるためにプロトン酸基を用いない架橋、言い換えれば、架橋後に高分子鎖同士を結合する基または鎖がプロトン酸基から誘導された基または鎖ではない架橋である。すなわち、本発明のプロトン酸基から誘導されない架橋には、架橋反応時にプロトン酸基が化学的に反応する架橋はもちろん、事前にプロトン酸基を介して架橋基を導入し、その後に架橋する架橋も含まれない。本発明のような架橋であれば、樹脂のプロトン酸基量を減少(イオン交換基当量を増大)させることなく、樹脂の架橋密度を制御することができるので好ましい。一方、プロトン酸基から誘導される架橋は、架橋密度を増大させるためには、より多くのプロトン酸基を用いる必要があり、その結果、得られる架橋樹脂のイオン伝導性が低下するため好ましくない。
また、本発明の架橋は、脱離成分を生成しない反応により、高分子鎖同士を結合する。ここで、脱離成分とは、例えば、フリーデルクラフト反応におけるハロゲン化炭化水素または塩、縮合反応における、水、ハロゲン化水素または塩といった、反応において生成し、樹脂鎖と結合していない副生物を示す。本発明のような脱離成分を生成しない架橋は、脱離成分による電極材料の変性、劣化がなく、膜厚方向での架橋密度が均一であり、厚膜化が容易で、製造装置を腐食するガスも発生しないため好ましい。一方、脱離成分を生成する架橋は、脱離成分の除去操作が必要である、脱離成分の除去効率の異なる膜表面と膜内部あるいは膜裏面で架橋密度が異なる、厚膜化が困難である、膜にボイドができる、脱離した酸性ガスにより電極材料や製造装置が腐食するなどの問題を有し、好ましくない。
架橋基は、カルボニル基及び、芳香環に直接結合した炭素原子数1〜10のアルキル基からなり、樹脂を構成する繰り返し単位1単位中にプロトン酸基、カルボニル基、アルキル基をそれぞれ同時に1つ以上含有することができ、著しく高い架橋密度を得ることができるため、特に好ましい。また、この架橋機構は架橋により生成する結合中にラジカルの攻撃を受けやすい3級炭素のα位の水素を含まないため、特に好ましい。
本発明に係るカルボニル基と芳香環に直接結合した炭素原子数1〜10のアルキル基との架橋機構について説明する。ポリマー中のカルボニル基、および、ポリマー中の芳香環に直接結合した炭素原子数1〜10のアルキル基は次のような形で架橋反応に関与していると推定される。下記反応式はアルキル基がメチル基の場合について示した。



上記反応式に示すように、紫外線照射や加熱処理などによるエネルギー供給により、ベンゾフェノン上にラジカルが発生し、これがメチル基から水素を引き抜く。引き続き、ベンジルラジカルの二量化、ベンジルラジカルとアルコール性炭素ラジカルカップリング反応、アルコール性炭素ラジカルの二量化のような反応が起こることで、ポリマー同士の架橋が起こっていると推定される。
また、本発明の架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体において、これらの架橋基はブロック(A)にのみ存在するため、プロトン酸基を含有するブロック(B)におけるプロトンの伝導を阻害することがなく好ましい。すなわち、架橋に伴いプロトン酸基の存在する部分のポリマー鎖の動きが制限されたり、プロトン伝導に必要な水分の吸水が低下するため、プロトン伝導性低減の原因になると考えられる。したがって、本発明にかかる架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体は、プロトン伝導度の低減を招くことなく、架橋により膜の膨潤や強度の低下、アルコールなどの燃料の負極から正極への透過を抑制することができる。そのため、本発明にかかる架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体は、アルコールなどを直接燃料として用いる燃料電池、例えば直接メタノール型燃料電池に用いるとより好ましい。
本発明に係るブロック(A)の分子量は、特に制限はなく、任意の分子量とすることができる。
本発明にかかる疎水性ブロックは、前記ブロック(A)以外の複数種類の繰り返し構造単位からなっていても良いが、疎水性ブロックが加水分解や吸水による膨張を受けやすいエステル結合、アミド結合、イミド結合やプロトン酸基を含む場合には、ブロック共重合体の水への溶解性、吸水性が高くなるおそれがあるため、好ましくない。
ブロック(B)
本発明に係るブロック(B)は、芳香環に直接結合したプロトン酸基を含み、且つ、芳香環に直接結合したアルキル基を含まない構造単位を繰り返し有する。ブロック(B)は、芳香環に直接結合したアルキル基を含まない構造単位からなるので、ブロック(B)においては、カルボニル基とアルキル基とからなる架橋構造を生成しない。そのため、ブロック(B)は、プロトン伝導に必要な水分の吸収を行い、このブロック(B)においては高分子鎖の動きが制限されない。従って、ブロック(B)はブロック(A)に比べて親水性を示す。本発明に係る親水性ブロックを構成する繰り返し構造単位(B)は、好ましくは下記一般式(2)又は(3)の構造をとる。


[式(2)および(3)中、R2、R、RおよびRはそれぞれ独立してHまたはプロトン酸基であり、少なくとも1つはプロトン酸基である。式(2)および(3)中、A、A、AおよびAはそれぞれ独立して直接結合,−CH−、−C(CH−、−C(CF−、−O−、−SO−または−CO−であり、i、j、kおよびmはそれぞれ独立して0または1を示す。式(2)および(3)の芳香環の水素原子は、プロトン酸基、−F、−CF、−Si(CH、−OSi(CHまたは−CNに置換されていても良い。]
前記一般式(2)及び(3)のプロトン酸基は、電子吸引基である−SO−または−CO−に直接結合した芳香環に結合しており、他の芳香環に結合したプロトン酸基に比べ結合力が強く、分解、解離を受けにくいため、特に好ましい。
なお、既存の芳香族ポリエーテルを発煙硫酸などでスルホン化した場合には、電子吸引基である−SO−または−CO−が直接結合していない芳香環にスルホン酸基が導入されることが知られている。
本発明に係るプロトン酸基とは、具体的には、下記式(6)〜(8)で示されるスルホン酸基、カルボン酸基、ホスホン酸基などが挙げられる。中でも下記式(6)で示されるスルホン酸基が好ましく、下記式(6)においてZ=Hで示されるスルホン酸基が特に好ましい。
−C2n−SOZ(nは0〜10の整数、ZはH,NaまたはK) (6)
−C2n−COOZ(nは0〜10の整数、ZはH,NaまたはK) (7)
−C2n−PO(nは0〜10の整数、ZはH,NaまたはK) (8)
本発明に係るブロック(B)の分子量は、還元粘度(濃度0.5g/dl、35℃で測定)にして0.05〜0.4dl/gが好ましく、0.1〜0.3dl/gがより好ましく、0.15〜0.25dl/gが特に好ましい。該ブロックの分子量が小さすぎる場合には、ブロック(B)と前記ブロック(A)とが相分離せず単一相を形成し、耐水性が低下したり吸水性が増加する虞があるため好ましくない。該ブロックの分子量が大きすぎる場合には、疎水性ブロックと親水性ブロックとが微細な相分離構造を形成しがたく、一部の分子鎖がプロトン酸基を有するブロックのみから形成され、該分子鎖が水に溶出する等の問題がある虞があり好ましくない。
本発明に係るブロック(B)は、前記構造単位以外に複数種類の繰り返し構造単位を有していても良く、それらはプロトン酸基を含まなくても構わない。この場合、プロトン酸基を有する繰り返し構造単位の含有量は、ブロック(B)全体に対し100〜30モル%であることが好ましく、100〜50モル%であることが特に好ましい。プロトン酸基を有する繰り返し構造単位(B)の含有量が少ない場合には、プロトン伝導性が低すぎるため好ましくない。
架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体
本発明の架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体は、プロトン酸基を有するプロトン伝導を担うブロック(B)と、耐水性に優れ吸水膨張が小さく、架橋基を有するブロック(A)とからなる。プロトン伝導を担うブロック(B)は水へ溶解あるいは吸水膨張をしやすく、ブロック(A)は耐水性に優れ吸水膨張が小さいので、ブロック(B)で水への溶解あるいは吸水膨張をしようとしても、ブロック(A)がこれを抑制する。本発明の架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体は、例えばプロトン伝導膜に使用した場合には、ブロック(A)とブロック(B)とが適度に相分離する。2つの相の界面は同一分子で結合されているため、ブロック(B)からなる相が水へ溶解あるいは吸水膨張しようとしても、耐水性に優れ吸水膨張が小さく架橋されたブロック(A)からなる相がこれを抑制する。その結果、該プロトン伝導膜はプロトン酸基の含有量が高く、高プロトン伝導性を有しながら、耐水性、低吸水性に優れ、水とともに伝搬するメタノールの透過量も低く抑えることができる。また、2つの相界面が同一分子で結合されているため、温度や湿度の変化による2つの相の膨張収縮の差が抑制され、膨張収縮の差によるクラックの発生が抑制される。
架橋型プロトン伝導性共重合体が、ランダム共重合体の場合は、親水性部分と疎水性部分が相分離せず単一相を形成するため、プロトン伝導を担う繰り返し構造単位の組成が多くなると水への溶解や吸水膨張が起こり、高プロトン伝導性と耐水性、低吸水性を両立できない。
また、架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体と耐水性に優れ吸水膨張の小さい樹脂とからなる複合膜は、2つの樹脂の極性が極端に異なるため微細な相分離構造を形成しがたい、相間が分子鎖で結合されていないためプロトン伝導性樹脂の水への溶解や吸水膨張を抑制できない、温度や湿度の変化による2つの相の膨張収縮の差により相界面にクラックが入る等の問題があり、好ましくない。
本発明の架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体の分子量に特に制限はないが、還元粘度(濃度0.5g/dl、35℃で測定)にして0.5〜2.0dl/gの範囲が好ましく、0.7〜1.5dl/gの範囲が特に好ましい。分子量が低すぎると樹脂強度が低く、得られる膜が乾燥・吸湿時の収縮・膨張により割れる場合がある。また、分子量が高すぎると樹脂の溶剤溶解性が不十分となり、製膜等に支障を生じる場合がある。
本発明の架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体において、プロトン酸基を有するブロック(B)と架橋基を有するブロック(A)の割合に特に制限はないが、該架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体のイオン交換基当量にして200〜1500g/molであることが好ましく、300〜1000g/molであることが特に好ましい。ここで、イオン交換基当量とは、プロトン酸基1モル当たりの樹脂重量で定義され、樹脂単位重量当たりのプロトン酸基のモル数の逆数を意味する。すなわち、イオン交換基当量が小さいほどプロトン基を有するブロック(B)の組成が高く、イオン交換基当量が大きいほどプロトン酸基を有するブロック(B)の組成が低いことを示す。イオン交換基当量が小さすぎる場合には、ブロック(A)の割合が少なすぎるため、架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体の耐水性、低吸水性が不十分となる場合がある。イオン交換基当量が大きすぎる場合には、プロトン基を有するブロックの組成が少なすぎるため、十分なプロトン伝導性を得ることができない場合がある。
本発明の架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体の吸水率は3〜30wt%である。ここで、吸水率は、乾燥した該樹脂の、25℃24時間純水浸漬前後の重量比から求めることができる。本発明にかかる架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体は、同等のイオン交換基当量を有するランダム共重合体や架橋基を持たないブロック共重合体にくらべ、吸水膨張が小さく、吸水率が低い。
本発明の架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体は、前記ブロック(A)とブロック(B)とからなり、これらのブロックは、芳香族ポリエーテル構造により構成されるのが好ましい。芳香族ポリエーテル構造は熱水、酸、アルカリ、アルコールなどの加水分解を受けやすい連結基や耐熱性、耐ラジカル性が低い基を有さないため、燃料電池内で用いた際に劣化や変性がほとんどない。一方、熱水、酸、アルカリ、アルコールなどの加水分解を受けやすいエステル結合、カーボネート結合、アミド結合、イミド結合や、耐熱性が低くラジカルの攻撃を受けやすいα水素を持つアルキレン結合、脂肪族エーテル結合などを有する樹脂は、燃料電池内で用いた際に劣化を受けるため好ましくない。
本発明の架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体の形態に特に制限はなく、粉体、溶剤に溶解あるいは分散したワニス、該ワニスを塗布、乾燥して得られる膜などの形態を有することができる。なお、該架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体を溶剤に溶解あるいは分散したワニスとする場合には、その溶剤に特に制限はなく、例えば、水、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、トルエン、キシレンなどの炭化水素類、塩化メチル、塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素類、ジクロロエチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチルなどの脂肪酸エステル類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類のほか、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、炭酸ジメチルなどの非プロトン性極性溶剤類などを単独で、あるいは混合して使用できる。
架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体の製法
本発明の架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体の製造方法に特に制限はないが、具体的な製造方法を芳香族ポリエーテル構造を例として以下に例示する。
1.芳香族ジヒドロキシ化合物とプロトン酸基を有する芳香族ジハライド化合物、芳香族ジハライド化合物とプロトン酸基を有する芳香族ジヒドロキシ化合物、あるいは、プロトン酸基を有する芳香族ジハライド化合物とプロトン酸基を有する芳香族ジヒドロキシ化合物を縮合重合し、35℃における還元粘度が0.05〜0.4dl/gの繰り返し構造単位を有するプロトン酸基含有オリゴマーを合成する。これに芳香族ジヒドロキシ化合物と架橋基を有する芳香族ジハライド化合物芳香族ジハライド化合物と架橋基を有する芳香族ジヒドロキシ化合物、または架橋基を有する芳香族ジハライド化合物と架橋基を有する芳香族ジヒドロキシ化合物を、それぞれ添加して縮合重合することによりブロック共重合体とする。
2.芳香族ジヒドロキシ化合物とプロトン酸基を有する芳香族ジハライド化合物、芳香族ジハライド化合物とプロトン酸基を有する芳香族ジヒドロキシ化合物、あるいは、プロトン酸基を有する芳香族ジハライド化合物とプロトン酸基を有する芳香族ジヒドロキシ化合物を、それぞれ縮合重合し、35℃における還元粘度が0.05〜0.4dl/gの繰り返し構造単位を有するプロトン酸基含有オリゴマーを合成する。別途、芳香族ジヒドロキシ化合物と架橋基を有する芳香族ジハライド化合物、芳香族ジハライド化合物と架橋基を有する芳香族ジヒドロキシ化合物、または架橋基を有する芳香族ジハライド化合物と架橋基を有する芳香族ジヒドロキシ化合物を、それぞれ重縮合して疎水性オリゴマーを得る。
前記プロトン酸基含有オリゴマーに前記疎水性オリゴマーを添加して縮合重合することによりブロック共重合体とする。
ここで、本発明にかかる架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体の製造において用いるモノマー類に特に制限はないが、代表的な具体例を以下に例示する。但し、本発明のブロック(B)の繰り返し構造単位を形成する化合物としては、芳香環に直接結合したアルキル基を含むものは除かれる。
芳香族ジハライド化合物としては、例えば、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、3,3’−ジフルオロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、1,4−ジフルオロベンゼン、1,3−ジフルオロベンゼン、2,6−ジクロロベンゾニトリル、4,4’−ジフルオロビフェニル、3,3’−ジブロモ−4,4’−ジフルオロビフェニル、4,4’−ジフルオロジフェニルメタン、4,4’−ジクロロジフェニルメタン、4,4’−ジフルオロジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−フルオロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−クロロフェニル)プロパン、α,α’−ビス(4−フルオロフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジフルオロベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジクロロベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラメチル−5,5’−ジクロロベンゾフェノン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフルオロジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジクロロジフェニルスルホン、2,5−ジフルオロトルエン、2,5−ジフルオロエチルベンゼン、2,5−ジフルオロ−p−キシレンなどを挙げられ、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、カテコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジメチルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、1,4−ビス(4−ヒドロキシベンゾイル)ベンゼン、3,3−ジフルオロ−4,4’−ジヒドロキビフェニル、2−メチルハイドロキノン、2−エチルハイドロキノン、2−イソプロピルハイドロキノン、2−オクチルハイドロキノン、2,3−ジメチルハイドロキノン、2,3−ジエチルハイドロキノン、2,5−ジメチルハイドロキノン、2,5−ジエチルハイドロキノン、2,5−ジイソプロピルハイドロキノン、2,6−ジメチルハイドロキノン、2,3,5−トリメチルハイドロキノン、2,3,5,6−テトラメチルハイドロキノン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3’,5,5’−テトラエチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、3,3’−ジメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、α,α’−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼン、α,α’−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)−1,3−ジイソプロピルベンゼンなどを挙げられ、単独あるいは2種以上を混合して用いることができる。
プロトン酸基を有する芳香族ジハライド化合物としては、前記の芳香族ジハライド化合物のスルホン化物、アルキルスルホン化物のほか、2,5−ジクロロ安息香酸、2,5−ジフルオロ安息香酸、5,5’−カルボニルビス(2−フルオロ安息香酸)、5,5’−スルホニルビス(2−フルオロ安息香酸)、2,5−ジクロロフェニルホスホン酸、5,5’−カルボニルビス(2−フルオロベンゼンホスホン酸)およびそのアルカリ金属塩などを挙げることができる。
プロトン酸基を有する芳香族ジヒドロキシ化合物としては、前記の芳香族ジヒドロキシ化合物のスルホン化物、アルキルスルホン化物のほか、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシテレフタル酸、5,5’−メチレンジサリチル酸、5,5’−チオジサリチル酸、2,5−ジヒドロキシフェニルホスホン酸などのリン酸基を有する芳香族ジヒドロキシ化合物およびそのアルカリ金属塩などを挙げることができる。
なお、芳香族ジハライド化合物及び芳香族ジヒドロキシ化合物のスルホン化物、アルキルスルホン化物は、前記芳香族ジハライド化合物及び前記芳香族ジヒドロキシ化合物を、発煙硫酸などの公知のスルホン化剤でスルホン化(Macromol. Chem. Phys., 199, 1421(1998))する等の方法により得ることができる。
プロトン伝導膜
本発明のプロトン伝導膜は、本発明の架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体を含んでなるプロトン伝導膜である。ここで、本発明のプロトン伝導膜には、自立膜のみならず、基材、電極膜や他のプロトン伝導膜等に密着した塗膜も含む。ここで、本発明にかかるプロトン伝導膜の厚みに特に制限はないが、自立膜である場合には10〜200μm、塗膜である場合には1〜100μmであることが好ましい。
本発明のプロトン伝導膜は、本発明の架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体を含んでいればよく、電気導電性を有する導電材、水素の酸化反応、酸素の還元反応を促進する触媒などと複合化されていても良い。
導電材としては、電気伝導性物質であればいずれのものでもよく、各種金属や炭素材料
などが上げられる。例えば、アセチレンブラック等のカーボンブラック、活性炭および黒鉛等が挙げられ、これらは単独あるいは混合して、粉末状あるいはシート状で使用される。
触媒としては、水素の酸化反応および酸素の還元反応を促進する金属であれば特に限定されないが、例えば鉛、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ガリウム、バナジウム、タングステン、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、白金、ロジウムまたはそれらの合金が挙げられる。
燃料電池
本発明のプロトン伝導膜は、種々公知の燃料電池の電解質膜として使用することができ、燃料電池の燃料源としては、例えば、天然ガス、水素、メタノール等のアルコールを用いることができる。その中でもアルコールを直接燃料として用いるものが好ましい。本発明のプロトン伝導膜を用いた燃料電池は、膜の溶解、樹脂の溶出やプロトン酸基の脱離、燃料のクロスオーバーによる出力低下が生じにくく、発電効率と信頼性に優れる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれにより何ら制限されるものではない。
実施例中の各種試験の試験方法は次に示すとおりである。
(i)還元粘度(ηinh)
プロトン伝導性ブロック共重合体またはそのオリゴマー0.50gをジメチルスルホキシド100mlに加熱溶解したのち、35℃において、ウベローデ粘度計で測定した。
(ii)イオン交換基当量(EW)
プロトン伝導性ブロック共重合体またはプロトン伝導膜を密閉できるガラス容器中に精秤し、そこに過剰量の塩化カルシウム水溶液を添加して一晩攪拌した。系内に発生した塩化水素を0.1N水酸化ナトリウム標準水溶液にてフェノールフタレイン指示薬を用いて滴定し、計算した。
(iii)吸水率
窒素通風下120℃12時間乾燥したプロトン伝導性ブロック共重合体またはプロトン伝導膜を、23℃純水に24時間浸漬し、その重量変化より算出した。
(iv)プロトン伝導度(25℃、膜厚方向)
1M硫酸で湿潤したサンプルフィルムを、1cm2の空孔を有する100μm厚PETフィルムの片面に白金電極を貼った測定用セル2個で挟み、空孔を1M硫酸水で満たした。これを25℃の恒温槽内に設置してその抵抗値を測定した。サンプルフィルムを挟まなかった場合の抵抗値との差から、サンプルフィルム単体の抵抗値を求め、イオン伝導度(25℃、膜厚方向)を算出した。なお、プロトン伝導度の計算に必要な膜厚は乾燥状態でマイクロメータを用いて測定した。
(v)メタノール透過性
室温にて蒸留水と、1mol/L メタノール水溶液を、直径23mmφのプロトン伝導膜を介して接し、3時間までの蒸留水側のメタノール濃度変化をガスクロにて測定した。得られたメタノール濃度増加直線の傾きより、膜厚50μmでのメタノール透過速度を計算し、これをメタノール透過性とした。
(実施例1)
窒素導入管、温度計、トルエンで満たした分液器を備えた冷却器、及び撹拌装置を備えたフラスコに、3,3’−カルボニルビス(6−フルオロベンゼンスルホン酸ナトリウム)14.7802g(0.035mol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン9.9877g(0.043mol)および無水炭酸カリウム5.80g(0.042mol)を精秤した。これにジメチルスルホキシド(以下、DMSOと略す)99.0gおよびトルエン40.0gを加え、窒素ガスを通じ撹拌しながら、140℃まで昇温した後、5時間反応を行った。反応はトルエン還留下に行い、留出する水は分液器により分液回収した。冷却後、反応マスの一部をサンプリングし、DMSOで希釈、その上澄みをメタノールに排出してオリゴマーを析出させ、アセトンで洗浄したのち、窒素通風下150℃4時間乾燥してオリゴマーを得た。得られたオリゴマーは、芳香環に直接結合したプロトン酸基(スルホン酸ナトリウム基)を含み且つ芳香族環に直接結合したアルキル基を含まない化合物であり、その還元粘度は0.20dl/g(DMSO)であった。
前記反応マスに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン14.1830g(0.065mol)、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン14.4197g(0.05625mol)、無水炭酸カリウム10.76g(0.12mol)、DMSO114.0gおよびトルエン46.0gを添加し、窒素ガスを通じ撹拌しながら、140℃まで昇温した後4時間、さらにトルエンを留去しながら160℃まで昇温し、4時間反応を行った。
得られた粘稠な反応マス(110℃)を、ホモミキサーを用いてアセトン3Lに排出し、析出したポリマーを濾集、蒸留水4Lで2回、アセトン4Lで1回、それぞれ1時間ずつスラッジした後、濾集した。50℃で8時間、150℃で4時間(いずれも窒素雰囲気下)乾燥してプロトン酸基(スルホン酸ナトリウム基)を有する架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体46.2g(収率93.5%)で、還元粘度は1.45dl/g(N−メチルピロリドン)であった。
得られたブロック共重合体4gを18.2gのN−メチルピロリドンに溶解し、ポリマー濃度18%のワニスを得た。得られたワニスをスペーサーを有するブレードを用いてガラス基板上にキャストし、窒素通風下室温から200℃まで2時間かけて昇温乾燥し、厚さ50μmのフィルムを得た。
得られたフィルムはガラス基板上からはがし、メタルハライドランプを用いて両面に各7000mJ/cmの光照射を行い架橋させ、フィルム状のプロトン伝導性ブロック共重合架橋体を得た。
架橋したフィルムを2N硫酸水溶液および蒸留水に1日づつ浸漬してスルホン酸ナトリウム基のプロトン交換を行い、フリーのスルホン酸基を有するフィルムを得た。
得られたフィルムのイオン交換基当量は770g/mol、吸水率は11%、プロトン伝導度は0.011S/cm、メタノール透過性は0.54μmol/cm・minであった。
(実施例2)
窒素導入管、温度計、トルエンで満たした分液器を備えた冷却器、及び撹拌装置を備えたフラスコに、3,3’−カルボニルビス(6−フルオロベンゼンスルホン酸ナトリウム)14.7802g(0.035mol)、4,4’−ジヒドロキシフェニルメタン8.7606g(0.043mol)および無水炭酸カリウム5.80g(0.042mol)を精秤した。これにジメチルスルホキシド94.0gおよびトルエン38.0gを加え、窒素ガスを通じ撹拌しながら、140℃まで昇温した後、4時間40分反応を行った。反応はトルエン還留下に行い、留出する水は分液器により分液回収した。冷却後、反応マスの一部をサンプリングし、DMSOで希釈、その上澄みをメタノールに排出してオリゴマーを析出させ、アセトンで洗浄したのち、窒素通風下150℃4時間乾燥してオリゴマーを得た。得られたオリゴマーは、芳香環に直接結合したプロトン酸基(スルホン酸ナトリウム基)を含み且つ芳香族環に直接結合したアルキル基を含まない化合物であり、オリゴマーの還元粘度は0.20dl/g(DMSO)であった。
前記反応マスに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン14.1830g(0.065mol)、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン14.4197g(0.05625mol)、無水炭酸カリウム10.76g(0.12mol)、DMSO114.0gおよびトルエン46.0gを添加し、窒素ガスを通じ撹拌しながら、140℃まで昇温した後5時間30分、さらにトルエンを留去しながら160℃まで昇温し、4時間反応を行った。
得られた粘稠な反応マス(110℃)を、ホモミキサーを用いてアセトン3Lに排出し、析出したポリマーを濾集、蒸留水4Lで2回、アセトン4Lで1回、それぞれ1時間ずつスラッジした後、濾集した。50℃で8時間、150℃で4時間(いずれも窒素雰囲気下)乾燥してプロトン酸基(スルホン酸ナトリウム基)を有する架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体は42.2g(収率87.7%)、還元粘度は1.50dl/g(N−メチルピロリドン)であった。
得られたブロック共重合体4gを19.5gのN−メチルピロリドンに加熱溶解し、ポリマー濃度17%のワニスを得た。得られたワニスをスペーサーを有するブレードを用いてガラス基板上にキャストし、窒素通風下室温から200℃まで2時間かけて昇温乾燥し、厚さ50μmのフィルムを得た。
得られたフィルムはガラス基板上からはがし、メタルハライドランプを用いて両面に各7000mJ/cmの光照射を行い架橋させ、フィルム状のプロトン伝導性ブロック共重合架橋体を得た。
架橋したフィルムを2N硫酸水溶液および蒸留水に1日づつ浸漬してスルホン酸ナトリウム基のプロトン交換を行い、フリーのスルホン酸基を有するフィルムを得た。
得られたフィルムのイオン交換基当量は733g/mol、吸水率は10%、プロトン伝導度は0.013S/cm、メタノール透過性は0.48μmol/cm・minであった。
(実施例3)
窒素導入管、温度計、トルエンで満たした分液器を備えた冷却器、及び撹拌装置を備えたフラスコに、3,3’−カルボニルビス(6−フルオロベンゼンスルホン酸ナトリウム)14.7802g(0.035mol)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン14.7802g(0.043mol)および無水炭酸カリウム5.80g(0.042mol)を精秤した。これにDMSO118.0gおよびトルエン47.0gを加え、窒素ガスを通じ撹拌しながら、140℃まで昇温した後、9間反応を行った。反応はトルエン還留下に行い、留出する水は分液器により分液回収した。冷却後、反応マスの一部をサンプリングし、DMSOで希釈、その上澄みをメタノールに排出してオリゴマーを析出させ、アセトンで洗浄したのち、窒素通風下150℃4時間乾燥してオリゴマーを得た。得られたオリゴマーは、芳香環に直接結合したプロトン酸基(スルホン酸ナトリウム基)を含み且つ芳香環に直接結合したアルキル基を含まない化合物であり、オリゴマーの還元粘度は0.17dl/g(DMSO)であった。
前記反応マスに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン14.1830g(0.065mol)、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン14.4197g(0.05625mol)、無水炭酸カリウム10.76g(0.12mol)、DMSO114.0gおよびトルエン46.0gを添加し、窒素ガスを通じ撹拌しながら、140℃まで昇温した後6時間30分、さらにトルエンを留去しながら160℃まで昇温し、6時間30分反応を行った。
得られた粘稠な反応マス(110℃)を、ホモミキサーを用いてアセトン3Lに排出し、析出したポリマーを濾集、蒸留水4Lで2回、アセトン4Lで1回、それぞれ1時間ずつスラッジした後、濾集した。50℃で8時間、150℃で4時間(いずれも窒素雰囲気下)乾燥してプロトン酸基(スルホン酸ナトリウム基)を有する架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体を得た。得られたブロック共重合体は45.8g(収率84.7%)、還元粘度は0.99dl/g(N−メチルピロリドン)であった。
得られたブロック共重合体4gを14.2gのN−メチルピロリドンに加熱溶解し、ポリマー濃度22%のワニスを得た。得られたワニスをスペーサーを有するブレードを用いてガラス基板上にキャストし、窒素通風下室温から200℃まで2時間かけて昇温乾燥し、厚さ50μmのフィルムを得た。
得られたフィルムはガラス基板上からはがし、メタルハライドランプを用いて両面に各7000mJ/cmの光照射を行い架橋させ、フィルム状のプロトン伝導性ブロック共重合架橋体を得た。
架橋したフィルムを2N硫酸水溶液および蒸留水に1日づつ浸漬してスルホン酸ナトリウム基のプロトン交換を行い、フリーのスルホン酸基を有するフィルムを得た。
得られたフィルムのイオン交換基当量は791g/mol、吸水率は9%、プロトン伝導度は0.012S/cm、メタノール透過性は0.64μmol/cm・minであった。
(比較例1)
窒素導入管、温度計、トルエンで満たした分液器を備えた冷却器、及び撹拌装置を備え
たフラスコに、3,3’−カルボニルビス(6−フルオロベンゼンスルホン酸ナトリウム)14.7802g(0.035mol)、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン11.2153g(0.043mol)および無水炭酸カリウム5.80g(0.042mol)を精秤した。これにジメチルスルホキシド104.0gおよびトルエン42.0gを加え、窒素ガスを通じ撹拌しながら、140℃まで昇温した後、8間反応を行った。反応はトルエン還留下に行い、留出する水は分液器により分液回収した。冷却後、反応マスの一部をサンプリングし、DMSOで希釈、その上澄みをメタノールに排出してオリゴマーを析出させ、アセトンで洗浄したのち、窒素通風下150℃4時間乾燥してオリゴマーを得た。得られたオリゴマーは、芳香環にプロトン酸基及びアルキル基が直接結合した化合物であり、還元粘度は0.20dl/g(DMSO)であった。
前記反応マスに、4,4’−ジフルオロベンゾフェノン14.1830g(0.065mol)、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシジフェニルメタン14.4197g(0.05625mol)、無水炭酸カリウム10.76g(0.12mol)、DMSO114.0gおよびトルエン46.0gを添加し、窒素ガスを通じ撹拌しながら、140℃まで昇温した後8時間、さらにトルエンを留去しながら160℃まで昇温し、8時間反応を行った。
得られた粘稠な反応マス(110℃)を、ホモミキサーを用いてアセトン3Lに排出し、析出したポリマーを濾集、蒸留水4Lで2回、アセトン4Lで1回、それぞれ1時間ずつスラッジした後、濾集した。50℃で8時間、150℃で4時間(いずれも窒素雰囲気下)乾燥してプロトン酸基(スルホン酸ナトリウム基)を有するブロック共重合体46.1g(収率91.1%)を得た。
得られたブロック共重合体の還元粘度は1.10dl/g(N−メチルピロリドン)であった。
得られたブロック共重合体4gを14.2gのN−メチルピロリドンに加熱溶解し、ポリマー濃度22%のワニスを得た。得られたワニスをスペーサーを有するブレードを用いてガラス基板上にキャストし、窒素通風下室温から200℃まで2時間かけて昇温乾燥し、厚さ50μmのフィルムを得た。
得られたフィルムはガラス基板上からはがし、メタルハライドランプを用いて両面に各7000mJ/cmの光照射を行い架橋させた。
架橋したフィルムを2N硫酸水溶液および蒸留水に1日づつ浸漬してスルホン酸ナトリウム基のプロトン交換を行い、フリーのスルホン酸基を有するフィルムを得た。
得られたフィルムのイオン交換基当量は761g/mol、吸水率は19%、プロトン伝導度は0.013S/cm、メタノール透過性は0.85μmol/cm・minであった。
表1より、実施例1〜3と比較例1を比較すると、実施例ではいずれも吸水率とメタノール透過性は低下しているにも関わらず、プロトン伝導度が維持されているのが判る。このことから、疎水性ブロックのみに架橋基を導入することによりプロトン伝導度の低下を招くことなく、メタノール透過性を低減できると考えられる。

Claims (8)

  1. 一般式(1)で表される構造単位を繰り返し有するブロック(A)と、芳香環に直接結合したプロトン酸基を含み且つ芳香環に直接結合したアルキル基を含まない構造単位を繰り返し有するブロック(B)とからなることを特徴とする架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体。


    [式(1)中、Rは−C2m+1(mは1〜10の整数)。A、Aはそれぞれ独立して直接結合,−CH−、−C(CH−、−C(CF−、−O−、−SO−または−CO−であり、gおよびhはそれぞれ独立して0または1を示す。式(1)中の芳香環の水素原子は、−C2m+1(mは1〜10の整数)、−F、−CF、−Si(CH、−OSi(CHまたは−CNに置換されていても良い。]
  2. ブロック(B)が一般式(2)あるいは(3)で表わされる繰り返し構造単位からなることを特徴とする、請求項1に記載の架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体。


    [式(2)および(3)中、R2、R3、RおよびRはそれぞれ独立してHまたはプロトン酸基であり、少なくとも1つはプロトン酸基である。式(2)および(3)中、A、A、AおよびAはそれぞれ独立して直接結合,−CH−、−C(CH−、−C(CF−、−O−、−SO−または−CO−であり、i、j、kおよびmはそれぞれ独立して0または1を示す。式(2)および(3)の芳香環の水素原子は、プロトン酸基、−F、−CF、−Si(CH、−OSi(CHまたは−CNに置換されていても良い。]
  3. ブロック(A)が一般式(4)、ブロック(B)が一般式(5)でであることを特徴とする、請求項1又は2記載の架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体。


    [式(4)中、Rは−C2m+1(mは1〜10の整数)。Aは直接結合,−CH−、−C(CH−、−C(CF−、−O−、−SO−または−CO−である。式(4)中の芳香環のH原子は、−C2m+1(mは1〜10の整数)、−F、−CFに置換されていても良い。]




    [式(5)中、RとRの少なくとも1つはプロトン酸基であり、それ以外はH原子である。式Y中のAは直接結合、−CH−、−C(CH−、−C(CF−、−O−、−SO−または−CO−であり、芳香環の水素原子は他の原子に置換されない。]
  4. プロトン酸基が、−C2n−SOZ、−C2n−PO、−C2n−COOZ(nは0〜10の整数、ZはH、NaまたはKである)のいずれか一つでであることを特徴とする請求項1〜3記載の架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体。
  5. 請求項1〜4記載のいずれか一つの架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体の架橋基が架橋してなるプロトン伝導性ブロック共重合架橋体。
  6. 請求項1〜5記載の架橋型プロトン伝導性ブロック共重合体あるいはプロトン伝導性ブロック共重合架橋体を含んでなるプロトン伝導膜。
  7. 請求項6記載のプロトン伝導膜を用いてなる燃料電池。
  8. アルコールを直接燃料に用いることを特徴とする請求項7記載の燃料電池。
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