JP2007031570A - 光触媒層または光酸化層を有する基体用の接合材料 - Google Patents

光触媒層または光酸化層を有する基体用の接合材料 Download PDF

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Abstract

【課題】光触媒層または光酸化層を表面に備える複数の建材等の基体を、接合材料を用いて接合するにあたって、当該接合材料表面に特殊なコーティングを施さずとも、当該光触媒層または当該光酸化層の汚染防止または低減機能を損なうことのない接合材料を提供すること。
【解決手段】光触媒層または光酸化層を表面に有する基体用の接合材料として、揮発性シリコーンオリゴマーを実質的に含有しないものを使用する。
【選択図】 図2

Description

本発明は、光触媒層または光酸化層を有する基体間の接合に使用される接合材料に関し、また、当該接合材料と基体からなる建築物または土木構造物、並びに、当該接合材料による基体表面の汚染防止または低減方法に関する。
煤煙・排気ガス・風雨等に晒される各種の建築物及び土木構造物の表面は、大気または雨水中の汚染物質、コケやカビの胞子、並びに、微生物等によって経時的に汚染される傾向がある。
そこで、従来より、建築物及び土木構造物の汚染防止または低減を目的として、当該建築物及び土木構造物を構成する建材の表面に親水性塗料を塗布して汚染物質を雨水で流去し易くしたり、あるいは、撥水性塗料を建材の表面に塗布して汚染物質の付着を回避することが試みられている。しかし、親水性塗料を例えばシリコーン系物質からなる表面に塗布すると親水性が速やかに失われ、前記流去機能が十分に発揮されない。また、撥水性塗料の場合は、塗膜表面に残存する水滴が原因となって水玉状の汚れが発生する。
一方、特開平7−51646号公報、特許第2943768号公報、特許第2756474号公報、特開平9−59041号公報、特開平9−227161号公報等に代表されるように、建材表面の簡便な汚染防止方法として、建材表面に光触媒層を形成することが行なわれている。光触媒層は日光等の作用により表面に付着した汚染物質を分解し、また、当該表面を親水化する。したがって、建材表面に付着した汚染物質は分解されて雨水により流去される。
また、国際公開第2004/041723号パンフレットに代表されるように、光触媒活性を有さない酸化チタンを主成分とする非光触媒層を建材表面に形成することが提案されている。前記非光触媒層は表面を親水化すると共に、日光等による光酸化反応により、表面の汚染を防止または低減するものであり、光酸化層とも称される。光酸化層は光触媒作用を有しないので、光酸化層と接触する建材等を分解するおそれがない。
特開平7−51646号公報 特許第2943768号公報 特許第2756474号公報 特開平9−59041号公報 特開平9−227161号公報 国際公開第2004/041723号パンフレット
光触媒層を表面に有するパネル、タイル、ガラス等の建材の目地をシーリング材によって充填する場合に、経時的に、目地に沿って当該シーリング材から撥水性液状成分が建材表面に拡散する。撥水性液状成分は煤煙等に多く含まれるカーボンブラック等の親油性汚染物質を吸着し、帯状のうす黒い汚れの原因となる。したがって、建材表面における撥水性液状成分は完全に分解されることが望ましい。しかしながら、光触媒層が当該撥水性液状成分を十分に分解することができず、その結果、建材表面の一部が親水性を失い、汚染防止または低減機能を十分に発揮できない場合がある。
光酸化層を表面に有する建材の目地をシーリング材によって充填する場合も、同様に、目地周辺の建材表面の経時的な汚染を十分に防止または低減することができない場合がある。
上記の場合に、目地を占めるシーリング材の表面に光酸化層を形成することにより、目地周辺の建材表面の汚染を回避することも提案されているが、シーリング材の施工後に光酸化層をシーリング材表面にコーティングさせる必要があり、作業効率上の問題を抱えている。
本発明は上記の問題点を解決するためのものであり、光触媒層または光酸化層を表面に備える複数の建材等の基体を接合材料を用いて接合するにあたって、表面に特殊なコーティングを施さずとも、当該光触媒層または当該光酸化層の汚染防止または低減機能を損なうことのない接合材料を提供することをその第1の目的とする。
また、本発明は、前記接合材料を用いて基体表面の汚染を防止または低減する方法を提供すると共に、表面の汚染が特に防止または低減された建築物及び土木構造物を提供することをその第2の目的とする。
本発明の第1の目的は、揮発性シリコーンオリゴマーを実質的に含有しないことを特徴とする、光触媒層または光酸化層を表面に有する基体用の接合材料によって達成される。本発明の接合材料は、好適には、シーリング材、接着材、または、ガスケットを構成する。
前記揮発性シリコーンオリゴマーは、環状4量体から環状20量体のいずれかでありうる。前記揮発性シリコーンオリゴマーの含有量は接合材料の総重量の0.1重量以下であることが好ましい。
前記接合材料は室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物であることが好ましい。
前記基体は、建築物または土木構造物の構成要素であることが好ましい。
本発明の第2の目的は、光触媒層または光酸化層を表面に有する複数の基体を上記の接合材料を用いて接合すること、並びに、当該接合により建築物または土木構造物を得ることによって達成される。
本発明の接合材料を用いて光触媒層または光酸化層を表面に有する複数の基体を接合すると、接合部位周辺が経時的に汚染されることはない。すなわち、本発明の接合材料を用いて得られた建築物及び土木構造物は光触媒層または光酸化層の汚染防止または低減機能を十分に発揮することができる。
また、本発明では、前記接合部位周辺の汚染を回避するために接合材料の表面に特殊なコーティング層を設ける必要がないので、防汚処理の作業効率が改善される。
〔基体〕
本発明において使用される基体は特に限定されるものではなく、各種の無機系基体及び有機系基体、或いは、それらの組み合わせを使用することができる。
無機系基体としては、例えば、ガラス、金属、金属酸化物、セラミックス、コンクリート、モルタル、石材等の物質からなる基体が挙げられる。また、有機系基体としては、例えば、有機樹脂、木材、紙等の物質からなる基体が挙げられる。有機樹脂をより具体的に例示すると、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ボリカーボネート、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ABS樹脂、ポリ塩化ビニル、シリコーン等が挙げられる。基体の形状も特に限定されるものではなく、立方体、直方体、球形、シート形等の任意の形状をとることができる。なお、基体は多孔質であってもよい。
基体の表面は塗装されていてもよく、塗装材としては、アルキド樹脂、アクリル樹脂、アミノ樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、アクリルシリコン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、紫外線硬化樹脂、フェノール樹脂、塩化ビニル樹脂、含成樹脂エマルジョン等の合成樹脂と着色剤とを含有するいわゆるペンキ塗料を好適に使用することができる。
上記塗装膜の厚みは0.01〜100μmが好ましく、0.1〜50μmがより好ましく、特に、0.5μm〜10μmが好ましい。
また、塗装手段としては、例えば、スプレーコーティング法、ディップコーティング法、フローコーティング法、スピンコーティング法、ロールコーティング法、刷毛塗り、スポンジ塗り等が適用できる。なお、塗装膜の硬度、基体との密着性等の物理的性能を向上させるために、現場常温塗装の場合を除いて、基体及び塗装膜の許容範囲内で加熱することが望ましい。
前記基体表面には光触媒層または光酸化層を設けることができる。
〔光触媒層〕
光触媒層は、特定の金属化合物が光励起により当該層表面の汚染物質を分解する機能を有する層である。光触媒の原理は、特定の金属化合物が光励起により、空気中の水又は酸素から・OHや・O のラジカル種を発生させ、このラジカル種が汚染物質を有機及び/又は無機化合物へと酸化還元分解することであると一般的に理解されている。
光触媒作用により光触媒層表面には水がOHの形で化学吸着されるので、当該表面には負電荷が発生し、親水性化する。親水性化された基体表面は水との親和性のために水膜を形成し易くなるので、前記ラジカル種との反応により分解された汚染物質は、水膜により基体から分離されて、流水・風雨等の外力により除去される。
前記金属化合物としては、代表的な酸化チタン(TiO)の他、ZnO、SnO、Bi、SrTiOP、CdS、CdO、CaP、InP、In、CaAs、BaTiO、KNbO、Fe、Ta、WO、NiO、CuO、SiC、SiO、MoS、InSb、RuO、CeO等が知られている。
光触媒層は、当該分野で知られている任意の方法を用いて形成することができるが、例えば、必要に応じて各種の添加剤と共に、これらの金属化合物の微粒子(2nm〜20nm程度)を含有する分散液を、基体上に塗布し、更に乾燥することによって形成することができる。光触媒層の厚みは、典型的には0.01μm〜2.0μm、より好ましくは0.1μm〜1.0μmである。光触媒層形成用分散液としては水性分散液が好ましいが、アルコールを溶媒とすることも可能である。
光触媒層形成用水性分散液の製造方法は特に限定されるものではないが、例えば、以下の方法によって製造することができる。なお、水性分散液中の過酸化チタンは高温または常温での乾燥により酸化チタンに変化しうる。
[第1の製造方法]
四価チタン化合物とアンモニア等の塩基とを反応させて、水酸化チタンを形成する。次に、この水酸化チタンを過酸化水素等の酸化剤でペルオキソ化し、超微細粒子のアモルファス型過酸化チタンを形成する。更に加熱処理することによりアナターゼ型過酸化チタンに転移させる。
[第2の製造方法]
四価チタン化合物を過酸化水素等の酸化剤でペルオキソ化し、次にアンモニア等の塩基と反応させて超微細粒子のアモルファス型過酸化チタンを形成する。更に加熱処理することによりアナターゼ型過酸化チタンに転移させる。
[第3の製造方法]
四価チタン化合物と過酸化水素等の酸化剤及びアンモニア等の塩基とを反応させ、水酸化チタン形成及びペルオキソ化とを同時に行い、超微細粒子のアモルファス型過酸化チタンを形成する。更に加熱処理することによりアナターゼ型過酸化チタンに転移させる。
光触媒層には光触媒性能が向上する金属(Ag、Pt)を添加してもよい。また、表面への汚染物質の付着を低減するために、金属塩等の各種物質を、光触媒機能を失活させない程度の範囲で添加することもできる。前記金属塩としては、例えば、アルミニウム、錫、クロム、ニッケル、アンチモン、鉄、銀、セシウム、インジウム、セリウム、セレン、銅、マンガン、カルシウム、白金、タングステン、ジルコニウム、亜鉛等の金属塩があり、それ以外にも一部の金属或いは非金属等については水酸化物又は酸化物も使用可能である。具体的には、塩化アルミニウム、塩化第一及び第二錫、塩化クロム、塩化ニッケル、塩化第一及び第二アンチモン、塩化第一及び第二鉄、硝酸銀、塩化セシウム、三塩化インジウム、塩化第一セリウム、四塩化セレン、塩化第二銅、塩化マンガン、塩化カルシウム、塩化第二白金、四塩化タングステン、オキシ二塩化タングステン、タングステン酸カリウム、塩化第二金、オキシ塩化ジルコニウム、塩化亜鉛等の各種金属塩が例示できる。また、金属塩以外の化合物としては、水酸化インジウム、ケイタングステン酸、シリカゾル、水酸化カルシウム等が例示できる。なお、光触媒層の固着性を向上させるためにアモルファス型酸化チタンを配合することも可能である。
なお、光触媒層を基体表面に直接形成すると、光触媒作用により、基体の種類によってはその表面が分解劣化するおそれがあるので、基体表面にプライマー層を形成して、光触媒層と直接の接触を回避することが好ましい。前記プライマー層としては後述する光酸化層を使用することができる。
〔光酸化層〕
光酸化層は、銅、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄及び亜鉛からなる群から選択された金属元素の少なくとも1つがドープされたチタン酸化物を含む金属ドープチタン酸化物含有層である。チタン酸化物とはTiO、TiO、TiO、TiO/nHO等の各種の酸化物、過酸化物を含むものであり、アモルファス型、アナターゼ型、ブルッカイト型、ルチル型のいずれでもよい。
前記金属ドープチタン酸化物は、銅、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄及び亜鉛からなる群から選択された金属元素の1つ又は複数を含む、好ましくはペルオキソ基を有する、チタン酸化物からなり、その性状は、微粒子又は粉末である。ペルオキソ基を有するチタン酸化物はアモルファス型、アナターゼ型、ブルッカイト型、ルチル型のいずれでもよいし、これらが混在するものでもよい。
アモルファス型酸化チタンは光触媒機能を有さない。一方、アナターゼ型、ブルッカイト型及びルチル型の酸化チタンは光触媒機能を有するが、銅、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄又は亜鉛を一定濃度以上に複合させると光触媒機能を喪失する。したがって、本発明で使用される金属ドープチタン酸化物は光触媒機能を有さないものである。なお、アモルファス型酸化チタンは太陽光による加熱等により経時的にアナターゼ型酸化チタンに変換されるが、既述したとおり、銅、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄又は亜鉛と複合させるとアナターゼ型酸化チタンは光触媒機能を失うので、結局のところ、前記金属ドープチタン酸化物は経時的に光触媒機能を示さないものである。
前記金属ドープチタン酸化物は、非光触媒型の独特の防汚作用を発揮する。これにより、光酸化層表面の劣化・汚染が防止又は低減される。この作用機序は不明ではあるが、紫外線(太陽光)等の短波長電磁波に起因する光酸化反応に基づく複合的な作用によるものと考えられる。
ここでの光酸化反応は、短波長電磁波により空気中や有機物中の酸素及び/又は水分から水酸基ラジカル(・OH)、(一重項酸素)等の活性酸素が生成され、これらが層表面に付着した汚染物質と反応することを含む概念であり、当該反応により、汚染物質には正の電荷が発生すると考えられる。
光酸化層はドープされた金属が正の電荷を有しているので、全体として正に荷電している。したがって、正電荷を有する汚染物質と同じく正電荷を有する光酸化層は電気的に反発し、前記汚染物質は流水・風雨等の外力の作用により、比較的容易に光酸化層表面から除去されることとなる。これにより、光酸化層表面の汚染を抑制乃至低減することができると考えられる。
光酸化層を構成する金属ドープチタン酸化物の製造方法としては、一般的な二酸化チタン粉末の製造方法である塩酸法又は硫酸法をベースとする製造方法を採用してもよいし、各種の液体分散チタニア溶液の製造方法を採用してもよい。そして、上記金属は、製造段階の如何を問わずチタン酸化物と複合化することができる。
例えば、前記金属ドープチタン酸化物の具体的な製造方法としては、以下の第1〜第3の製造方法、並びに、従来から知られているゾル−ゲル法が挙げられる。
[第1の製造方法]
まず、四塩化チタン等の四価チタンの化合物とアンモニア等の塩基とを反応させて、水酸化チタンを形成する。次に、この水酸化チタンを酸化剤でペルオキソ化し、超微細粒子のアモルファス型過酸化チタンを形成する。この反応は好ましくは水性媒体中で行なわれる。さらに、任意に加熱処理することによりアナターゼ型過酸化チタンに転移させることも可能である。上記の各工程のいずれかにおいて銅、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛又はそれらの化合物の少なくともいずれか1つが混合される。
ペルオキソ化用酸化剤は特に限定されるものではなく、チタンのペルオキソ化物、すなわち過酸化チタンが形成できるものであれば各種のものが使用できるが、過酸化水素が好ましい。酸化剤として過酸化水素水を使用する場合は、過酸化水素の濃度は特に制限されることはないが、30〜40%のものが好適である。ペルオキソ化前には水酸化チタンを冷却することが好ましい。その際の冷却温度は1〜5℃が好ましい。
図1に上記第1の製造方法の一例を示す。図示される製造方法では、四塩化チタン水溶液とアンモニア水とを、銅、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛の化合物の少なくとも1つの存在下で混合し、当該金属の水酸化物及びチタンの水酸化物の混合物を生成させる。その際の反応混合液の濃度及び温度については、特に限定されるわけではないが、希薄且つ常温とすることが好ましい。この反応は中和反応であり、反応混合液のpHは最終的に7前後に調整されることが好ましい。
このようにして得られた金属及びチタンの水酸化物は純水で洗浄した後、5℃前後に冷却され、次に、過酸化水素水でペルオキソ化される。これにより、金属がドープされた、アモルファス型のペルオキソ基を有するチタン酸化物微細粒子を含有する水性分散液、すなわち金属ドープチタン酸化物を含有する水性分散液を製造することができる。
[第2の製造方法]
四塩化チタン等の四価チタンの化合物を酸化剤でペルオキソ化し、これとアンモニア等の塩基とを反応させて超微細粒子のアモルファス型過酸化チタンを形成する。この反応は好ましくは水性媒体中で行なわれる。さらに、任意に加熱処埋することによりアナターゼ型過酸化チタンに転移させることも可能である。上記の各工程のいずれかにおいて銅、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛又はそれらの化合物の少なくともいずれか1つが混合される。
[第3の製造方法]
四塩化チタン等の四価チタンの化合物を、酸化剤及び塩基と同時に反応させて、水酸化チタン形成とそのペルオキソ化とを同時に行い、超微細粒子のアモルファス型過酸化チタンを形成する。この反応は好ましくは水性媒体中で行なわれる。さらに、任意に加熱処埋することによりアナターゼ型過酸化チタンに転移させることも可能である。上記の各工程のいずれかにおいて銅、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛又はそれらの化合物の少なくともいずれか1つが混合される。
なお、第1乃至第3の製造方法において、アモルファス型過酸化チタンと、これを加熱して得られるアナターゼ型過酸化チタンとの混合物を金属ドープチタン酸化物として使用できることは言うまでもない。
[ゾル−ゲル法による製造方法]
チタンアルコキシドに、水、アルコール等の溶媒、酸又は塩基触媒を混合撹拌し、チタンアルコキシドを加水分解させ、超微粒子のチタン酸化物のゾル溶液を生成する。この加水分解の前後のいずれかに、銅、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛又はそれらの化合物の少なくともいずれか1つが混合される。なお、このようにして得られるチタン酸化物は、ペルオキソ基を有するアモルファス型である。
上記チタンアルコキシドとしては、一般式:Ti(OR´)(ただし、R´はアルキル基)で表示される化合物、又は上記一般式中の1つ或いは2つのアルコキシド基(OR´)がカルボキシル基或いはβ−ジカルボニル基で置換された化合物、或いは、それらの混合物が好ましい。
上記チタンアルコキシドの具体例としては、Ti(O−isoC、Ti(O−nC、Ti(O−CHCH(C)C、Ti(O−C1735、Ti(O−isoC[CO(CH)CHCOCH、Ti(O−nC[OCN(COH)、Ti(OH)[OCH(CH)COOH]、Ti(OCHCH(C)CH(OH)C、Ti(O−nC(OCOC1735)等が挙げられる。
金属ドープチタン酸化物の製造に使用する四価チタンの化合物としては、塩基と反応させた際に、オルトチタン酸(HTiO)とも呼称される水酸化チタンを形成できるものであれば各種のチタン化合物が使用でき、例えば四塩化チタン、硫酸チタン、硝酸チタン、燐酸チタン等のチタンの水溶性無機酸塩がある。それ以外にも蓚酸チタン等のチタンの水溶性有機酸塩も使用できる。なお、これらの各種チタン化合物の中では、水溶性に特に優れ、かつ金属ドープチタン酸化物の分散液中にチタン以外の成分が残留しない点で、四塩化チタンが好ましい。
また、四価チタンの化合物の溶液を使用する場合は、当該溶液の濃度は、水酸化チタンのゲルが形成できる範囲であれば特に制限されるものではないが、比較的希薄な溶液が好ましい。具体的には、四価チタンの化合物の溶液濃度は、5〜0.01wt%が好ましく、0.9〜0.3wt%がより好ましい。
上記四価チタンの化合物と反応させる塩基は、四価チタンの化合物と反応して水酸化チタンを形成できるものであれば、各種のものが使用可能であり、それにはアンモニア、苛性ソーダ、炭酸ソーダ、苛性カリ等が例示できるが、アンモニアが好ましい。
また、上記の塩基の溶液を使用する場合は、当該溶液の濃度は、水酸化チタンのゲルが形成できる範囲であれば特に制限されるものではないが、比較的希薄な溶液が好ましい。具体的には、塩基溶液の濃度は、10〜0.01wt%が好ましく、1.0〜0.1wt%がより好ましい。特に、塩基溶液としてアンモニア水を使用した場合のアンモニアの濃度は、10〜0.01wt%が好ましく、1.0〜0.1wt%がより好ましい。
銅、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄又は亜鉛の化合物としては、それぞれ以下のものが例示できる。
Ni化合物:Ni(OH)、NiCl
Co化合物:Co(OH)NO、Co(OH)、CoSO、CoCl
Cu化合物:Cu(OH)、Cu(NO、CuSO、CuCl、Cu(CHCOO)
Mn化合物:MnNO、MnSO、MnCl
Fe化合物:Fe(OH)、Fe(OH)、FeCl
Zn化合物:Zn(NO、ZnSO、ZnCl
第1乃至第3の製造方法で得られる水性分散液中の過酸化チタン濃度(共存する銅、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄又は亜鉛を含む合計量)は、0.05〜15wt%が好ましく、0.1〜5wt%がより好ましい。また、銅、マンガン、ニッケル、コバルト、鉄、亜鉛の配合量については、チタンと金属成分とのモル比で、1:0.01〜1:0.5が好ましく、1:0.03〜1:0.1がより好ましい。
第1乃至第3の製造方法によって得られる本発明に係る金属ドープチタン酸化物の水性分散液には、層形成を容易にするレベリング剤または分散剤等の添加剤を配合することが好ましい。
レベリング剤としてはシリコーンオイルが好ましく、各種のものを使用することができる。なかでも、ポリエーテル変性シリコーンオイルが好ましい。具体的には、分子鎖末端あるいは側鎖に、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド共重合ブロック、ポリエチレンオキサイド−ポリブチレンオキサイド共重合ブロック、ポリプロピレンオキサイド−ポリブチレンオキサイド共重合ブロック等の構造を有するオルガノポリシロキサンが挙げられる。その中でも、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドまたはポリエチレンオキサイド−ポリプロピレンオキサイド共重合ブロックがアルキレン基を介してケイ素原子に結合したオルガノポリシロキサンが好ましい。このようなポリエーテル変性シリコーンオイルは公知の方法で製造することができ、例えば、特開平9−165318号公報に記載の方法により製造することができる。このようなポリエーテル変性シリコーンオイルとしては、例えば、TSF4445、TSF4446(以上、GE東芝シリコーン株式会社製)、KF―352、KF-353(以上、信越化学工業株式会社製)、SH3746(東レ・ダウコーニング株式会社製)が挙げられる。
また、アニオン系界面活性剤を主成分とする分散剤と、トリポリリン酸ソーダの混合物を配合することが、水性分散液の安定性向上に有効である。
また、アミノ基、エポキシ基、メタクリロキシ基を有するシラン化合物、いわゆるシランカップリング剤を配合することも可能である。このカップリング剤は、金属ドープチタン酸化物含有層の硬度や隣接する層との密着性を向上させることを可能とする。他にも、シリコーンゴム、シリコーンパウダー、シリコーンレジン等を配合してもよい。
金属ドープチタン酸化物とレベリング剤および分散剤等の添加剤との混合比(wt%)は、1:0.02〜1:20が好ましく、1:0.05〜1:10がより好ましい。
金属ドープチタン酸化物含有層は、金属ドープチタン酸化物を含有する水性分散液を基体上に塗布後、乾燥させることによって製造することができる。金属ドープチタン酸化物含有層の厚みは、好ましくは0.01μm〜2.0μm、より好ましくは0.1μm〜1.0μmである。前記塗布方法としては、刷毛塗り、ローラーコート、スプレーコート等の汎用の膜形成方法が使用できる。
なお、金属ドープチタン酸化物含有層がレベリング剤としてシリコーンオイルを含む場合は、金属ドープチタン酸化物とシリコーンオイルとの混合比は、1:0.002〜1:20となることが好ましく、1:0.05〜1:10がより好ましい。また、この場合は、金属ドープチタン酸化物含有層の厚みは、0.01〜1.0μmが好ましく、0.05〜0.3μmがより好ましい。
光酸化層は光触媒機能を有さないため、紫外線等の光エネルギーを受けても隣接する層(基体)の構成材料、特に有機物質、を光触媒機能により劣化させることがない。また、光酸化層自体にも必要に応じてアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の有機樹脂を混合することもできる。
また、光酸化層がシリコーンオイル、特に、ポリエーテル変性シリコーンオイル、を含む場合は、光酸化層の劣化、或いは、層表面の汚染の抑制乃至低減効果が特に高まるので好ましい。
〔接合材料〕
本発明の接合材料は、光触媒層または光酸化層を表面に有する複数の基体を接合可能なものである限り特に限定されるものではない。ここで「接合」とは、例えば図2に示すように、光触媒層または光酸化層に隣接する面の間に接合材料を充填して複数の基体を一体化することを意味しており、必ずしも基体同士の接着を意味するものではない。接合材料は、例えば、シーリング材、接着剤、ガスケット等として基体の接合に用いられる。
本発明の接合材料は揮発性シリコーンオリゴマーを実質的に含有しない。ここで、「実質的」とは、接合材料を用いて光触媒層または光酸化層を表面に有する2つの基体を接合した場合に、6ヶ月経過時点で、接合部位周辺に汚染物質を吸着する撥水ゾーンの形成が認められない程度を意味しており、典型的には、接合材料の全重量を基準として1重量%未満、好ましくは0.8重量%未満、より好ましくは0.6重量%未満、更に好ましくは0.4重量%未満、更により好ましくは0.2重量%未満を意味する。揮発性シリコーンオリゴマーの含有量は特に0.1重量%以下が好ましく、更には0.05重量%以下、特に0.03重量%以下が好適である。なお、「揮発性」とは、室温及び大気圧において、0.13Pa〜40,000Pa(10-3〜300mmHg)の範囲、特に1.3Pa〜13,000Pa (0.01〜100mmHg)の範囲、より特に1.3Pa〜1,300Pa(0.01〜10mmHg)の範囲の蒸気圧を有することを意味する。
揮発性シリコーンオリゴマーは、揮発性の直鎖または環状ポリシロキサン、あるいは、これらの混合物である。 揮発性の直鎖ポリシロキサンとしては、例えば、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、テトラデカメチルヘキサシロキサン等が挙げられる。しかしながら、揮発性シリコーンオリゴマーは、典型的には環状ポリシロキサンであり、特に環状4量体から環状20量体のいずれかであることが好ましい。特に、本発明の接合材料はオクタメチルシクロテトラシロキサン(4量体)、デカメチルシクロペンタシロキサン(5量体)、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン(6量体)を実質的に含有しないことが好ましい。
本発明の接合材料としては、ポリウレタン系組成物、変成シリコーン系組成物、オルガノポリシロキサン組成物が例示される。好適には、本発明の接合材料は、1成分型または2成分型の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物からなる。
前記室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の組成は特に限定されるものではないが、下記組成:
(A)分子鎖末端がシラノール基もしくはケイ素原子結合加水分解性基で封鎖されたオルガノポリシロキサン 100重量部、
(B)架橋剤 0.1〜40重量部、
(C)触媒 0〜10重量部、
(D)充填剤 0〜200重量部
を有するオルガノポリシロキサン組成物が好適に使用できる。
(A)成分としては、例えば、一般式:
Figure 2007031570
(式中、R4は同種または異種の非置換もしくは置換の一価炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基、メタアリル基、ブテニル基、ペンテニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;ベンジル基、フェネチル基等のアラルキル基;トリフルオロプロピル基、ノナフルオロヘキシル基、クロロプロピル基、クロロメチルフェネチル基等のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。lは10以上の整数である)で示されるジオルガノポリシロキサンが例示される。
また、上記一般式のジオルガノポリシロキサン以外にも、(A)成分のオルガノポリシロキサンとしては、例えば、上記一般式中の両末端シラノール基のうちの片一方が、式:R4 3SiO−で表されるシロキシ基で置換されたジオルガノポリシロキサンや、部分的に分岐した構造を有し、末端がシラノール基で封鎖されたオルガノポリシロキサン、両末端がトリアルコキシシリルエチレン基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン、両末端がメチルジアルコキシシロキシ基で封鎖されたジオルガノポリシロキサン、両末端がビニルジ(メチルエチルケトキシム)基で封鎖されたジオルガノポリシロキサンを使用することができる。
(A)成分のオルガノポリシロキサンの25℃における粘度は、硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物に優れた物理的性質、特に柔軟性と高い伸びを与えると同時に施工時の作業性を維持するために、25〜500,000mm2/sの範囲内であることが好ましく、より好ましくは1,000〜100,000mm2/sの範囲内である。
(B)成分の架橋剤は(A)成分を室温下で架橋させるための成分であり、代表例としては、一分子中にケイ素原子結合加水分解性基を2個以上有するシラン、オリゴシロキサンが挙げられる。ケイ素原子結合加水分解性基としては、アルコキシシリル基、アシロキシシリル基、N,N−ジアルキルアミノシリル基、N−アルキルアミドシリル基、N,N−ジアルキルアミノキシシリル基、ケトキシムシリル基、アルケノキシシリル基が例示される。
このような(B)成分の具体例としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、エチルトリス(N,N−ジエチルアミノ)シラン、ビニルトリス(N−メチル−N−シクロヘキシルアミノ)シラン、ジメチルビス(N,N−ジブチルアミノ)シラン、メチルトリス(N−メチルアセトアミド)シラン、メチルビニルビス(N−エチルアセトアミド)シラン、メチルトリス(N,N−ジエチルアミノキシ)シラン、フェニルトリス(N,N−ジエチルアミノキシ)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリス(メチルエチルケトキシム)シラン、メチルトリス(イソプロペノキシ)シラン、ビニルトリス(イソプロペノキシ)シラン、エチルポリシリケート、N−プロピルオルソシリケート、ジメチルテトラアセトキシジシロキサン、テトラメチル−モノエチル−トリス(N,N−ジエチルアミノキシ)シクロテトラシロキサン、ペンタメチルトリス(N,N−ジエチルアミノキシ)シクロテトラシロキサン、ヘキサメチルビス(N,N−ジエチルアミノキシ)シクロテトラシロキサンが例示される。(B)成分としては、このような2個、3個あるいは4個以上のケイ素原子結合加水分解性基を有するシランもしくはオリゴシロキサンを単独で使用しても2種類以上混合して用いてもよい。
(B)成分の配合量は、(B)成分中のケイ素原子結合加水分解性基のモル数が(A)成分中のシラノール基のモル数と当量以上になるような量であればよく、具体的には(A)成分100重量部に対して0.1〜40重量部の範囲であり、好ましくは1〜20重量部の範囲である。これは、0.1重量部未満では組成物の製造時や保存時にゲル化し易く、さらに硬化後に目的とする物性を有する硬化物が得られないためであり、また40重量部を超えると、硬化時の収縮率が大きくなるだけでなく硬化が遅くなったり、得られた硬化物の弾性が低下したりするためである。
(C)成分の触媒は、組成物の硬化を促進するために必要に応じて使用されるものである。この種の触媒としては、例えば、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、コバルトナフトエート、錫オクトエート、鉄オクトエート、マンガンオクトエート等のカルボン酸金属塩;テトラブチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、ビス(アセチルアセトナト)−ジイソプロピルチタネート、テトラブチルジルコネート等の金属アルコラート;グアニジン等のアミン化合物が例示される。
成分(C)の添加量は、(A)成分100重量部に対して0〜10重量部であり、好ましくは0.001〜5重量部の範囲である。
成分(D)の充填剤は、組成物の各種の物理特性を向上させるために必要に応じて使用されるものである。このような充填剤としては、例えば、煙霧状シリカ、疎水処理した煙霧状シリカ、沈降法シリカ、疎水処理した沈降法シリカ、微粉砕石英、珪藻土、炭酸カルシウム、カーボンブラック、クレー、タルク、酸化チタン、アルミナ、ベントナイト、酸化亜鉛、酸化第二鉄、活性亜鉛華、シラスバルーン、石綿、ガラス繊維等が挙げられる。
成分(D)の添加量は、(A)成分100重量部に対して0〜200重量部であり、好ましくは0.001〜100重量部の範囲である。
前記硬化性オルガノポリシロキサン組成物には、上記(A)〜(D)成分以外に、ベンガラ、群青、鉄黒等の顔料;ノンサグ化剤、防黴剤、有機溶剤、界面活性剤、抗菌剤、乾性油等のその他の成分を必要に応じて添加することができる。
前記硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、上記(A)成分〜(D)成分、必要に応じてその他の成分をミキサー中で混合することにより容易に製造することができる。このとき、混合中あるいは混合後に脱泡してから使用することが好ましい。
本発明の接合材料を用いて基体を接合することにより、任意の構造物を得ることができる。構造物としては、例えば、家屋(外壁、浴室、台所、洗面所を含む)、ビルディング、水路、ダム、道路、トンネル、鉄道、橋梁、空調屋外機、厨房機器、衛生機器、照明器具、自動車、自転車、自動二輪車、航空機、列車、船舶等が挙げられる。
特に、本発明は、屋外に建設される、家屋、ビルディング等の建築物、並びに、道路、トンネル、橋梁等の土木構造物に好適である。したがって、基体としては、建築物または土木構造物の構成要素(例えば、透明ガラス、結晶化ガラス、熱線反射ガラス等のガラス;金属;セラミックス;コンクリート;木材;石材;塗装鋼板;アクリル板、ポリカーボネート板などの樹脂板等、または、これらの組み合わせからなる、外壁材、パネル、タイル、窓枠サッシ等の建材)であることが好ましい。本発明を利用する建築物および土木建造物は経時的に高い汚染防止または低減効果を発揮することができる。
以下、実施例により本発明をより詳細に例証するが、本発明は実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の粘度は25℃における値を示し、4量体〜20量体の環状ジオルガノシロキサンオリゴマーは、ガスクロマトグラフィー(島津製作所製、GC−9、FID仕様)を用いて定量した。
[参考例1] ジメチルポリシロキサン(I)の調製
4量体〜20量体の環状ジオルガノシロキサンオリゴマーを1.3重量%含有していた粘度15,000mPa・sの分子鎖両末端ジメチルヒドロキシシリル基封鎖ジメチルポリシロキサンを薄膜蒸留装置を用いて、圧力10mmHg、温度180℃で5時間処理してジメチルポリシロキサン(I)を得た。ジメチルポリシロキサン(I)は、4量体〜20量体の環状ジオルガノシロキサンオリゴマーを0.02重量%含有していた。
[参考例2] 1液型室温硬化性シーラント組成物(I)の調製
上記ジメチルポリシロキサン(I)とBET比表面積が20m/gの脂肪酸表面処理沈降炭酸カルシウムを1:1の比率で均一に混合し、得られた混合物に、硬化剤としてメチルトリメトキシシラン1重量%および硬化触媒としてジイソプロポキシジ(エチルアセトアセテート)チタン1重量%を湿気遮断雰囲気下で配合して、1液型室温硬化性シーラント組成物(I)を調製した。1液型室温硬化性シーラント組成物(I)は、4量体〜20量体の環状ジオルガノシロキサンオリゴマーを0.03重量%含有していた。
[実施例1]
光触媒液(アナターゼ型過酸化チタン水分散液:サスティナブル・テクノロジー(株)製B56)を塗布後に高温処理を施した2枚の透明ガラス(縦30cm×横20cm)を突き合わせて、縦目地(目地幅1cm)として、参考例2で調製した1液型室温硬化性シーラント組成物(I)を用いて、透明ガラスを接合した。
6ヶ月間、屋外曝露試験を行ったところ、試験開始2ヶ月経過後並びに6ヶ月経過後において、透明ガラスは全面が親水性を示し、目地周辺の汚れの付着は確認されなかった。
[実施例2]
光酸化液(銅ドープアモルファス型過酸化チタン分散液)を塗布後に高温処理を施した2枚の透明ガラス(縦30cm×横20cm)を突き合わせて、縦目地(目地幅1cm)として、参考例2で調製した1液型室温硬化性シーラント組成物(I)を用いて、透明ガラスを接合した。
6ヶ月間、屋外曝露試験を行ったところ、試験開始2ヶ月経過後並びに6ヶ月経過後において、透明ガラスは全面が親水性を示し、目地周辺の汚れの付着は確認されなかった。
[実施例3]
光酸化液(アナターゼ型過酸化チタン水分散液:サスティナブル・テクノロジー(株)製B56)を塗布後に常温乾燥を施した2枚の結晶化ガラス(ネオパリエ(登録商標):縦30cm×横20cm)を突き合わせて、横目地(目地幅1.5cm)として、参考例2で調製した1液型室温硬化性シーラント組成物(I)を用いて、結晶化ガラスを接合した。
6ヶ月間、屋外曝露試験を行ったところ、6ヶ月経過後において、ガラスは全面が親水性を示し、目地周辺の汚れの付着は確認されなかった。
[実施例4]
光酸化液(銅ドープアモルファス型過酸化チタン水分散液)を塗布後に常温乾燥を施した2枚の結晶化ガラス(ネオパリエ(登録商標):縦30cm×横20cm)を突き合わせて、横目地(目地幅1.5cm)として、参考例2で調製した1液型室温硬化性シーラント組成物(I)を用いて、結晶化ガラスを接合した。
6ヶ月間、屋外曝露試験を行ったところ、試験開始2ヶ月経過後並びに6ヶ月経過後において、結晶化ガラスは全面が親水性を示し、目地周辺の汚れの付着は確認されなかった。
[実施例5]
光酸化液(銅ドープアモルファス型過酸化チタン分散液)を塗布後に常温乾燥を施した2枚の熱線反射ガラス(縦1.5m×横0.9m)を突き合わせて、横目地(ガラスの上下をアルミ製枠で挟んで取り付け目地を打った)として、参考例2で調製した1液型室温硬化性シーラント組成物(I)を用いて、熱線反射ガラスを接合した。
6ヶ月間、屋外曝露試験を行ったところ、6ヶ月経過後において、ガラスは全面が親水性を示し、目地周辺の汚れの付着は確認されなかった。
[実施例6]
光触媒液(アナターゼ型過酸化チタン水分散液:サスティナブル・テクノロジー(株)製B56)を塗布後に常温乾燥を施した2枚の熱線反射ガラス(縦1.5m×横0.9m)を突き合わせて、横目地(ガラスの上下をアルミ製枠で挟んで取り付け目地を打った)として、参考例2で調製した1液型室温硬化性シーラント組成物(I)を用いて、熱線反射ガラスを接合した。
6ヶ月間、屋外曝露試験を行ったところ、6ヶ月経過後において、ガラスは全面が親水性を示し、目地周辺の汚れの付着は確認されなかった。
[比較例1]
未処理の2枚の透明ガラス(縦30cm×横20cm)を突き合わせて、縦目地(目地幅1cm)として、参考例2で調製した1液型室温硬化性シーラント組成物(I)を用いて、透明ガラスを接合した。
2ヶ月間、屋外曝露試験を行ったところ、試験開始2ヶ月経過後において、目地の両側2cmの範囲に撥水ゾーンが形成された。
[比較例2]
光触媒液(アナターゼ型過酸化チタン水分散液:サスティナブル・テクノロジー(株)製B56)を塗布後に高温処理を施した2枚の透明ガラス(縦30cm×横20cm)を突き合わせて、縦目地(目地幅1cm)として、環状シリコーンオリゴマー含有量が1重量%以上である1液型室温硬化性シーラント(東レ・ダウコーニング社製SH780)を用いて、透明ガラスを接合した。
2ヶ月間、屋外曝露試験を行ったところ、試験開始2ヶ月経過後において、目地の両側3cmの範囲に撥水ゾーンが形成された。
[比較例3]
光酸化液(銅ドープアモルファス型過酸化チタン分散液)を塗布後に高温処理を施した2枚の透明ガラス(縦20cm×横30cm)を突き合わせて、横目地(目地幅1.5cm)として、環状シリコーンオリゴマー含有量が0.8重量%以上である1液型室温硬化性シーラント(東レ・ダウコーニング社製SE960)を用いて、透明ガラスを接合した。
6ヶ月間、屋外曝露試験を行ったところ、試験開始2ヶ月経過後において、目地の上側2cm、下側1cmの範囲に撥水ゾーンが形成された。そして、6ヶ月経過後において、目地の上側7cm、下側2cmの範囲に撥水ゾーンが形成された。
[比較例4]
光触媒液(アナターゼ型過酸化チタン水分散液:サスティナブル・テクノロジー(株)製B56)を塗布後に常温乾燥を施した2枚の結晶化ガラス(縦20cm×横30cm)を突き合わせて、横目地(目地幅1.5cm)として、環状シリコーンオリゴマー含有量が0.8重量%以上である1液型室温硬化性シーラント(東レ・ダウコーニング社製SE960)を用いて、結晶化ガラスを接合した。
6ヶ月間、屋外曝露試験を行ったところ、試験開始2ヶ月経過後において、目地の上側4cm、下側2cmの範囲に撥水ゾーンが形成された。そして、6ヶ月経過後において、目地の上側8cm、下側2cmの範囲に撥水ゾーンが形成された。
なお、1液型室温硬化性シーラントに代えて環状シリコーンオリゴマー含有量が0.8重量%以上である2液型室温硬化性シーラント(東レ・ダウコーニング社製SE792)を用いても同様の結果が得られた。
[比較例5]
光酸化液(銅ドープアモルファス型過酸化チタン分散液)を塗布後に常温乾燥を施した2枚の結晶化ガラス(縦20cm×横30cm)を突き合わせて、横目地(目地幅1.5cm)として、環状シリコーンオリゴマー含有量が1.0重量%以上である1液型室温硬化性シーラント(東レ・ダウコーニング社製SH780)および環状シリコーンオリゴマー含有量が0.8重量%以上である1液型室温硬化性シーラント(東レ・ダウコーニング社製SE960)を用いて、結晶化ガラスを接合した。
6ヶ月間、屋外曝露試験を行ったところ、いずれの場合においても、試験開始2ヶ月経過後において、目地の上側2cm、下側1cmの範囲に撥水ゾーンが形成された。そして、6ヶ月経過後において、目地の上側7cm、下側2cmの範囲に撥水ゾーンが形成された。
なお、1液型硬化性シーラントに代えて環状シリコーンオリゴマー含有量が0.8重量%以上である2液型室温硬化性シーラント(東レ・ダウコーニング社製SE792、SE930)を用いても同様の結果が得られた。
[比較例6]
表面に清浄化処理のみを施した2枚の熱線反射ガラス(縦1.5m×横0.9m)を突き合わせて、上下目地として、環状シリコーンオリゴマー含有量が0.8重量%以上である1液型室温硬化性シーラント(東レ・ダウコーニング社製SE960)を用いて、熱線反射ガラスを接合した。
2ヶ月間、屋外曝露試験を行ったところ、下目地の上側2cmの範囲に撥水ゾーンが形成された。
[実施例7]
市販の焼付け塗布光触媒ガラスを(縦20cm×横30cm)2枚突き合わせて、横目地(目地幅1.5cm)として、参考例2で調製した1液型室温硬化性シーラント組成物(I)を用いて、当該ガラスを接合した。
6ヶ月間、屋外曝露試験を行ったところ、6ヶ月経過後においてもガラスは全面が親水性を示し、目地周辺の汚れの付着は確認されなかった。
[比較例7]
実施例7において参考例2で調製した1液型室温硬化性シーラント組成物(I)に替えて、環状シリコーンオリゴマー含有量が1.0重量%以上である1液型室温硬化性シーラント(東レ・ダウコーニング社製SH780)および環状シリコーンオリゴマー含有量が0.8重量%以上である1液型室温硬化性シーラント(東レ・ダウコーニング社製SE960)を用いた以外は同様にして、当該ガラスを接合した。
2ヶ月間、屋外曝露試験を行ったところ、下目地の上側2cmの範囲に撥水ゾーンが形成された。
金属ドープ酸化チタンの第1の製造方法の一例の概略を示す図 本発明の接合材料の使用状態を示す概念図

Claims (10)

  1. 揮発性シリコーンオリゴマーを実質的に含有しないことを特徴とする、光触媒層または光酸化層を表面に有する基体用の接合材料。
  2. 前記揮発性シリコーンオリゴマーの含有量が接合材料の総重量の0.1重量以下であることを特徴とする、請求項1記載の接合材料。
  3. 前記揮発性シリコーンオリゴマーが、環状4量体から環状20量体のいずれかであることを特徴とする、請求項1または2記載の接合材料。
  4. 前記接合材料が室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物からなることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の接合材料。
  5. 前記基体が建築物または土木構造物の構成要素であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の接合材料。
  6. 光触媒層または光酸化層を表面に有する複数の基体を請求項1乃至5のいずれかに記載の接合材料を用いて接合して得られた建築物または土木構造物。
  7. 光触媒層または光酸化層を表面に有する複数の基体を請求項1乃至5のいずれかに記載の接合材料を用いて接合することを特徴とする、前記基体表面の汚染防止または低減方法。
  8. 請求項1乃至5のいずれかの接合材料からなるシーリング材。
  9. 請求項1乃至5のいずれかの接合材料からなる接着材。
  10. 請求項1乃至5のいずれかの接合材料からなるガスケット。

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