JP2007031543A - 水性スラリー塗料 - Google Patents

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Abstract

【課題】 部分的にもしくは不均一にポリマー粒子を含む塗膜の形成を可能とする。
【解決手段】 平均粒子径が0.5〜3μmである低Tgポリマー粒子1と高Tgポリマー粒子2とを不均一に分散含有されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は、水性スラリー塗料に関し、詳しくは、水性媒体中に樹脂粒子を粒子状に分散して含む水性スラリー塗料に関する。
従来より、塗料には溶剤系および水系の塗料があり、いずれの系においても樹脂成分は均一に溶解させるか、エマルション等の形態にして均一に分散させる形態が一般的である。
具体的には、溶剤系では例えば、有機溶剤の中に樹脂成分および硬化剤が溶解されると共に、顔料が必要な場合には顔料が分散されており、さらに各種添加剤が溶解もしくは分散されている。そして、樹脂成分および硬化剤、顔料その他各種添加剤などは、基本的には均一に存在するように調製される。そのため、SP値(Solubility Parameter;溶解性パラメーター)の違いを利用して塗膜の上下方向で組成を変える技術は知られているが、左右の横方向に変化を持たせることは不可能である。
また、エマルションタイプの塗料では、樹脂は必ずしも溶解状態にはないが、エマルション粒子の径がサブミクロン以下のオーダーであるために、上記の溶剤系と同様に均一に塗膜形成される。エマルションの一部を組成の異なるエマルションに代えて塗膜性能に変化を与える塗料もあるが、上記のように粒子径が小さいため、系としてはやや不均一な系となっているものの、その効果は小さい。
上記のように、従来より用いられている塗料の多くは均一系であるために、広範な複数の色を発現させることは可能であるが、斑模様や深み感のある模様、あるいは見る角度によって色相が変化する等の特殊な意匠的効果を発現する図柄を得ることは困難である。
上記に関連して、イエロー、シアン、マゼンタ、ホワイト、ブラックの5色の原色スラリー塗料とクリア塗料とを任意に組み合わせて調色し、広範囲の色を発現させる方法に関する開示がある(例えば、特許文献1参照)。
特開平11−279444号公報
しかしながら、上記の方法は、いずれの塗料も均一系に調製され均一の色を発現させることを目的としたものであるため、各色の軟化温度等の諸性能はおよそ同様に構成されており、したがって被塗物に塗料を付与して焼付を行なう際は各色とも同様に溶融してしまう。そのため、斑模様や深み感のある立体的な模様、見る角度によって色変化する図柄などのような意匠的な模様を形成することには適さない。
斑模様や深み感のある模様、見る角度によって色変化する図柄などのような意匠的な効果を実現させるためには、焼付時に複数色の塗料全てが同時に溶融等して変化してしまわずに部分的に粒子の形状が残るように構成することが重要である。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、海島構造や分布構造などが形成されるように、被塗物に部分的にもしくは不均一にポリマー粒子を含む塗膜を形成することができる水性スラリー塗料を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
本発明は、塗料中の樹脂成分を、ガラス転移温度や平均分子量、架橋性を示す架橋化度(例えば水酸基価)の異なる2種以上のポリマー粒子で構成することが、斑模様や深み感のある模様、あるいは見る角度によって色が変化する図柄を形成できるほか、耐傷性などの塗膜耐性を向上させ得るとの知見を得、かかる知見に基づいて達成されたものである。
前記目的を達成するために、本発明の水性スラリー塗料は、平均粒子径が0.5〜3μmであって、ガラス転移温度(以下、「Tg」と略記することがある。)、平均分子量、および架橋化度の少なくとも一つが異なる2種以上のポリマー粒子を分散含有して構成したものである。
本発明の水性スラリー塗料においては、樹脂成分としてポリマー粒子を含むと共に、該ポリマー粒子として、ガラス転移温度(Tg)、平均分子量、および架橋化度(特に水酸基価)の少なくとも一つが異なる、すなわち熱特性の異なる2種以上を用いることで、被塗物への付与後に加熱して焼付を行なう段階で、ポリマー粒子の一部を溶融させ、低溶融粘度にし、または低硬度に硬化させると共に、他の部分を溶融させず、高溶融粘度にし、または高硬度に硬化させる、換言すれば、所定の平均粒子径の範囲(0.5〜3μm)では複数種のポリマー粒子が不均一に存在し得るように構成することで、焼付後にも部分的にポリマー粒子の一部が塗膜中に粒子状の形態で取り残されるので、塗膜中に海島構造や粒子の存在率が変化する分布構造など、斑模様、深み感、見る角度によって色相が変化する等の効果を生じさせたり、耐傷性や耐チッピング性等の塗膜耐性を向上させ得る構造を形成することができる。
具体的には、Tgもしくは平均分子量を変えて各ポリマー粒子の軟化温度もしくは溶融粘度を色相毎に変えることで、被塗物に付与した後の加熱時に、軟化温度もしくは溶融粘度の高いポリマー粒子については粒子形状を保持し、軟化温度もしくは溶融粘度の低いポリマー粒子については溶融を起こして粒子形状が保てなくなる構成とし、0.5〜3μmの平均粒子径の粒径範囲において、低Tgポリマー粒子と高Tgポリマー粒子とを分けて、あるいは低分子量ポリマー粒子と高分子量ポリマー粒子とを分けて存在させて不均一をつくるようにするので、加熱後の塗膜中に海島構造や分布構造の形成が可能となり、斑模様、深み感、見る角度によって色相が変化する等の意匠的効果を得るのに有効である。
Tgによる場合は、さらに塗膜の耐傷性等の塗膜耐性を向上させる機能的効果を得ることもできる。
特に平均分子量を複数種のポリマー粒子間で変える態様では、例えば海島構造の海部と島部とで樹脂組成を変える必要がなく、色以外均一な塗膜形成が可能となるので、塗膜の耐久性向上の点でも有利である。
また、架橋化度(特に水酸基価)を変え、被塗物に付与した後の加熱による各ポリマー粒子の架橋密度を色相毎に変えることで、加熱時に部分的に高硬度もしくは変形可能な低硬度の領域が形成されるように、0.5〜3μmの平均粒子径の粒径範囲において低架橋性ポリマー粒子と高架橋性ポリマー粒子とを分けて存在させ不均一をつくるようにするので、上記同様に加熱後の塗膜中に海島構造や分布構造の形成が可能となり、耐傷性、耐チッピング性等の塗膜耐性を効果的に向上させることができる。
ポリマー粒子の平均粒子径の範囲が0.5〜3μmであると、塗料はスラリー状に構成されており、不均一な分散状態を好適に形成し得ることから、この範囲よりも1桁小さい均一な従来の溶解塗液やエマルション等では得られない、斑模様、立体感、見る角度に起因して生ずる色相変化などの意匠的効果が得られる。
ガラス転移温度の異なる2種以上のポリマー粒子で構成する場合、ポリマー粒子の少なくとも1種を、ガラス転移温度(Tg)が30℃以上50℃未満の低Tgポリマー粒子とし、該少なくとも1種を除いた他の少なくとも1種を、ガラス転移温度が50℃以上の高Tgポリマー粒子とすると共に、低Tgポリマー粒子と高Tgポリマー粒子とのTg差を30℃以上とすることが効果的である。
この場合、塗膜中に溶融温度の異なるポリマー粒子を不均一に存在させたことに由来して海島構造や分布構造の形成をより容易に行なえ、斑模様、深み感、見る角度によって色相が変化する等の意匠的効果を得るのに効果的である。
また、同様の理由から、低Tgポリマー粒子の含有量が90〜70質量%であって、高Tgポリマー粒子の含有量が10〜30質量%である場合が特に望ましい。
平均分子量の異なる2種以上のポリマー粒子で構成する場合、ポリマー粒子の少なくとも1種を、平均分子量が10,000未満の低分子量ポリマー粒子とし、該少なくとも1種以外の他の少なくとも1種を、平均分子量が30,000以上の高分子量ポリマー粒子とすることが効果的である。
この場合、塗膜中に溶融粘度の異なるポリマー粒子を不均一に存在させたことに由来して海島構造や分布構造の形成をより容易に行なえ、斑模様、深み感、見る角度によって色相が変化する等の意匠的効果を得るのに効果的である。
また、同様の理由から、低分子量ポリマー粒子の含有量が99.9〜70質量%であって、高分子量ポリマー粒子の含有量が0.1〜30質量%である場合が特に望ましい。
架橋化度の異なる2種以上のポリマー粒子で構成する場合、ポリマー粒子の少なくとも1種を水酸基価が90以下の低架橋性ポリマー粒子とし、該少なくとも1種以外の他の少なくとも1種を水酸基価が120以上の高架橋性ポリマー粒子とすることが効果的である。
この場合、塗膜中に架橋密度(架橋後の硬度)の異なるポリマー粒子が不均一に存在させたときに、島部が高硬度に架橋された海島構造や、膜表面部がより高硬度に架橋してなる構造などの形成がより容易となり、耐傷性、耐チッピング性等の塗膜耐性を向上させるのに効果的である。
ここで、架橋化基については、ポリマー粒子が水酸基を有する場合を中心に説明したが、架橋に関する官能基としては水酸基以外に、カルボキシル基、グリシジル基などが含まれている場合についても同様の効果が得られる。
また、同様の理由から、低架橋性ポリマー粒子の含有量が90〜40質量%であって、高架橋性ポリマー粒子の含有量が10〜60質量%である場合がより望ましい。
本発明の水性スラリー塗料は、前記ポリマー粒子と共に、着色剤を更に用いて有色の塗料に構成することができる。2種以上のポリマー粒子として、例えばある色相に着色されたポリマー粒子と、該色相と異なる色相に着色された若しくは無着色の(クリアな)ポリマー粒子とを含む塗料に構成することができる。
本発明によれば、海島構造や分布構造などが形成されるように、被塗物に部分的にもしくは不均一にポリマー粒子を含む塗膜を形成することができる水性スラリー塗料を提供することができる。
以下、本発明の水性スラリー塗料について詳細に説明する。
本発明の水性スラリー塗料は、2種以上のポリマー粒子を分散状態にして含んでなり、好ましくは着色剤を含んでなり、必要に応じて更に他の成分を含んでいてもよい。
−ポリマー粒子−
本発明の水性スラリー塗料は、少なくとも2種のポリマー粒子を含有し、具体的にはガラス転移温度(Tg)、平均分子量、および架橋化度の少なくとも一つが異なるポリマー粒子を少なくとも2種混合してなるものである。
前記ポリマー粒子としては、特に粒状の樹脂であればいずれでもよく、例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、若しくはこれらの混合物等の樹脂成分を粒子状にして好適に使用することができる。また、必要に応じて、ポリイソシアネート等の架橋成分も含まれる。
粒子状のポリマーは、例えば、有機溶剤にモノマーを溶解し、有機溶剤中で重合反応を行なってポリマー化させて得た樹脂溶液(油相)を水相中に添加して分散機を用いて分散、懸濁することにより好適に調製することができる。前記分散機には、ホモジナイザー等が挙げられる。上記方法以外に、転相乳化等によっても調製が可能である。
前記有機溶剤には、特に制限はなく、例えば、キシレン、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等が使用可能である。また、前記モノマーには、合成しようとするポリマーを構成する単量体を適宜選択すればよい。
前記水相としては、水または、水に相溶性のアルコール等の溶剤を合成に支障のない範囲で加えた水溶液などが好適であり、さらに界面活性剤等を加えてもよい。
前記ポリマー粒子の平均粒子径は、0.5〜3μmの範囲とする。平均粒子径が、0.5μm未満であると塗膜の均一性が低下し、3μmを超えると塗膜外観の平滑性が低下する。この平均粒子径は、フロー式粒子像解析装置FPIA−2100(シスメックス(株)製)を用いて測定されるものである。
前記平均粒子径のうち、好ましくは1〜3μmであり、より好ましくは1〜2μmである。
Tgの異なるポリマー粒子の混合による場合は、塗膜中に軟化温度の違う粒子を任意に存在させる、つまり熱で軟化して粒子形状を維持できる領域とできない領域とを存在させることができる。
したがって、粒子形状を維持できない領域(海部)中に粒子形状が維持された領域(島部)が残って海島構造や粒子の存在する領域に分布のある分布構造が形成され、斑模様や深み感のある図柄、見る角度により色が変化する意匠的効果が得られる。
具体的には、例えば図1に示すように、軟化温度の低い赤色の低Tg(または低分子量)ポリマー粒子1および軟化温度の高い青色の高Tg(または高分子量)ポリマー粒子2の2種を、分散して不均一に含むスラリー塗料を用いた場合、被塗物に塗布し加熱した後、図2に示すように、低Tg(または低分子量)ポリマー粒子1が溶融して粒子形状を失った赤色中に青色の高Tg(または高分子量)ポリマー粒子2が粒子状に残った石目調の斑模様が得られる。
なお、本発明において、ガラス転移温度(Tg)は、示差走査熱量測定法(DSC:Differential Scanning Calorimetry)により容易に求めることができる。
また、図3に示すように、軟化温度の低いクリアな低Tg(または低分子量)ポリマー粒子3および軟化温度の高い青色の高Tg(または高分子量)ポリマー粒子4の2種を分散して不均一に含むスラリー塗料を、図4に示すように赤色板5上に塗布して塗膜形成した場合、加熱後低Tg(または低分子量)ポリマー粒子3が溶融して粒子形状を失った中に青色の高Tg(または高分子量)ポリマー粒子4が粒子状に残って見る角度により色が変化する塗膜が得られる。
この場合、図4に示すように、塗膜面の法線方向(正面)から見た場合は下地の赤色と青色とが混ざって紫調に見え、塗膜面の斜め方向から見た場合は下地の赤色が見えなくなって青色のみが見えるようになる。
上記とは別に、高Tgポリマー粒子と低Tgポリマー粒子とを混合した塗料では、図5に示すように、高Tgポリマー粒子6中に埋もれるようにして低Tgポリマー粒子7が不均一に存在するときには、塗膜全体は基本的には高Tg側のポリマー粒子の物性を示し強固な塗膜となるが、例えば石などの衝突(チッピング)を受けた場合には、高Tgポリマー粒子からなる部分が破壊されても低Tgポリマー粒子からなる部分で衝撃を吸収、緩和し得るように機能し、塗膜自体の破壊が回避される。
逆に、図6−(a)に示すように、低Tgポリマー粒子8が溶融した中に高Tgポリマー粒子9が不均一に分散されて存在するときには、塗膜全体は基本的には低Tg側のポリマー粒子の物性を示し、耐傷性が向上する。つまり、図6−(b)に示すように、塗膜表面に存在する高Tgポリマー粒子に負荷が加わっても低Tgポリマー粒子からなる部分で負荷が吸収、緩和され、塗膜の破壊が回避でき、耐傷性は向上する。また、低Tgのポリマーを用いた場合に劣化しやすい耐汚れ性、耐酸性(酸性雨に対する耐性を含む。)は高Tgポリマー粒子によって劣化が抑えられる。
複数種のうち少なくとも2種のポリマー粒子のガラス転移温度(Tg)を変える場合、Tgが30℃以上50℃未満である低Tgポリマー粒子の少なくとも1種と、Tgが50℃以上である高Tgポリマー粒子の少なくとも1種とを、低Tgポリマー粒子と高Tgポリマー粒子とのTg差が30℃以上となるように混合することが好適である。50℃を閾値とすると塗膜の耐久性の点で有効であり、Tg差を30℃以上とすると、斑模様とし、深み感のある模様とし、あるいは見る角度により色が変化する図柄とするのに効果的である。
上記のうち、低Tgポリマー粒子のTgは、30℃以上40℃未満であって、高Tgポリマー粒子のTgは、60℃以上80℃以下である態様がより好ましく、更にはこれに加えて前記Tg差が40℃以上である態様が特に好ましい。
Tgを変えるには、樹脂の種類を適宜所望のTgの組合せとなるように選択する以外に、架橋剤などの硬化剤を添加して調整することも可能である。硬化剤には、メラミン、ポリイソシアネート等を好適に用いることができる。
Tgの異なるポリマー粒子の混合による場合、特に斑模様や深み感あるいは見る方向によって色が変化する等の意匠的効果を目的とするときには、低Tgポリマー粒子の含有量が99.9〜70質量%であって、高Tgポリマー粒子の含有量が0.1〜30質量%であるのが好ましく、また、耐傷性等の塗膜耐性を向上させる機能的効果を目的とするときには、低Tgポリマー粒子の含有量が90〜40質量%であって、高Tgポリマー粒子の含有量が10〜60質量%であるのが好ましい。更に前記意匠的効果と機能的効果の双方をともに満足する観点からは、低Tgポリマー粒子の含有量が90〜70質量%であって、高Tgポリマー粒子の含有量が10〜30質量%であるのが好ましく、更には低Tgポリマー粒子の含有量が90〜80質量%であって、高Tgポリマー粒子の含有量が10〜20質量%であるのがより好ましい。
平均分子量の異なるポリマー粒子の混合による場合は、塗膜中で溶融した際の粘度が違う粒子を任意に存在させる、つまり熱で溶融したときに流動する若しくは流動しやすい領域と流動しない若しくは流動しにくい領域とを存在させることができる。
この場合も、上記のようにTgの異なるポリマー粒子で構成する場合と同様に、粒子の部分を維持できず流動性を示す領域(海部)中に、溶融しつつも流動せずに粒子の部分が維持された領域(島部)が残って海島構造や分布構造が形成され、斑模様や深み感のある図柄、見る角度により色が変化する意匠的効果が得られる。具体的な例についても同様である。
ここで、平均分子量とは、重量平均分子量をいい、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(東ソー(株)製)を用いて容易に測定されるものである。
複数種のうち少なくとも2種のポリマー粒子の平均分子量を変える場合、平均分子量が10,000未満の低分子量ポリマー粒子の少なくとも1種と、平均分子量が30,000以上の高分子量ポリマー粒子の少なくとも1種とを混合することが好適である。10,000、30,000を閾値とすると塗膜物性及び塗膜外観の点で有効であり、平均分子量が10,000より大きい低分子量ポリマー粒子と30,000未満の高分子量ポリマー粒子との混合では、斑模様とし、深み感のある模様とし、あるいは見る角度により色が変化する図柄とする効果が小さくなることがある。
上記のうち、低分子量ポリマー粒子の平均分子量が、5,000以上10,000未満であって、高分子量ポリマー粒子の平均分子量が、30,000以上40,000以下である態様がより好ましい。
平均分子量の異なるポリマー粒子の混合による場合、低分子量ポリマー粒子の含有量が99.9〜70質量%であって、高分子量ポリマー粒子の含有量が0.1〜30質量%であるのが好ましく、更には低分子量ポリマー粒子の含有量が90〜80質量%であって、高分子量ポリマー粒子の含有量が10〜20質量%であるのがより好ましい。
架橋化度の異なるポリマー粒子の混合による場合は、塗膜中に加熱により架橋密度が異なる粒子を任意に存在させる、つまり熱で架橋して高硬度に硬化する領域(高架橋密度域)と変形可能な程度に固まる領域(低架橋密度域)とを存在させることができる。
架橋化度は、被塗物に付与された後の加熱(焼付)で得られるポリマー粒子部分の架橋密度をいい、ポリマー粒子中の架橋性官能基数、水酸基価を変える方法、塗膜中の触媒量を変える方法、塗膜への架橋剤の量を変える方法、架橋系を変える方法、等によって調整することができる。
架橋性官能基には、水酸基、カルボキシル基、グリシジル基などが含まれ、中でも水酸基が好ましい。
この場合、架橋化度の異なるポリマー粒子の混合による場合も前記Tgによる場合と同様に、図5に示すように、高硬度に硬化した高架橋密度域(海部)6に埋もれるように変形可能な低架橋密度域(島部)7ができて海島構造や分布構造が形成され、表面強固でありながら耐チッピング性に優れた塗膜が得られ、また逆に、図6に示すように、変形可能な低架橋密度域(海部)8中に高硬度に硬化した高架橋密度域(島部)9が残って海島構造や分布構造が形成され、耐汚れ性、耐酸性を備えつつ耐傷性に優れた塗膜が得られる。
水酸基価を変える方法は好適であり、具体的な例として、アクリルポリマー中のヒドロキシ(メタ)アクリレートの量を変えることにより行なえる。
前記水酸基価は、モノマー組成から計算により求めることができる。
上記のうち、水酸基価が90以下の低架橋性ポリマー粒子の少なくとも一種と、水酸基価が120以上の高架橋性ポリマー粒子の少なくとも1種とを混合することが好適である。水酸基価が90より大きい低架橋性ポリマー粒子と120未満の高架橋性ポリマー粒子との混合では、耐傷性、耐チッピング性等の塗膜耐性に対する向上効果が小さくなることがある。
上記のうち、低架橋性ポリマー粒子の水酸基価が、70以上90以下であって、高架橋性ポリマー粒子の水酸基価が、150以上180以下である態様がより好ましい。
架橋化度(好ましくは水酸基価)の異なるポリマー粒子の混合による場合、低架橋性ポリマー粒子の含有量が90〜40質量%であって、高架橋性ポリマー粒子の含有量が10〜60質量%であるのが好ましく、低架橋性ポリマー粒子の含有量が90〜70質量%であって、高架橋性ポリマー粒子の含有量が10〜30質量%であるのがより好ましい。
本発明の水性スラリー塗料は、水等に少なくともポリマー粒子が0.5〜3μmの平均粒子径にて分散されてなるスラリーであり、ポリマー粒子の水性スラリー塗料中における質量としては、該塗料の全質量に対して、30〜60質量%が好ましく、40〜50質量%がより好ましい。
−着色剤−
本発明の水性スラリー塗料は、前記ポリマー粒子と共に、着色剤を用いて好適に構成することができる。前記2種以上のポリマー粒子の1種もしくは2種、あるいは3種以上を着色して構成することにより、種々の斑模様や深み感のある模様、見る角度により色が複数色に変化する意匠的効果を得ることができる。
着色剤には、顔料、染料等が含まれ、適宜選択することができる。顔料としては、特に制限はないが、例えば、フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、カーボンブラックなどが好適である。
前記染料としては、特に制限はないが、例えば、フタロシアニン、ペリレン、キナクリドンなどが好適である。
着色剤の水性スラリー塗料中における質量としては、前記ポリマー粒子1種の質量に対して、0.1〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がより好ましい。着色剤の量が前記範囲内であると、着色濃度が良好であり、意匠的効果の点でも有効である。
本発明の水性スラリー塗料には、前記ポリマー粒子および着色剤以外に、界面活性剤、増粘剤、湿潤剤、表面調整剤、紫外線吸収剤などの添加剤を加えることができる。
前記界面活性剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル等が挙げられ、前記増粘剤としては、例えばアルカリ増粘型増粘剤、ウレタン変性ポリエーテル系増粘剤等が挙げられる。
本発明の水性スラリー塗料は、例えば、既述のように有機溶剤にモノマーを溶解してポリマー化させて得た樹脂溶液(油相)を水相中に添加して分散機を用いて懸濁液とし、この懸濁液中の有機溶剤の量が所望の範囲となるように必要に応じて加熱等して脱溶剤を行ない、必要に応じ前記添加剤を加えることにより好適に調製できる。着色剤を加える場合、着色剤は懸濁前に予め前記樹脂溶液に加えるか、または懸濁液中に、もしくは脱溶剤後に他の添加剤を加える段階で加えることができる。
以下、実施例によって本発明をより具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(水系スラリー塗料の調製)
−ポリマー溶液の調製−
攪拌装置、温度調節器、還流管を備えた反応装置にキシレン72部を仕込み、120℃に昇温した。滴下槽にメチルメタクリレート45部と2−エチルヘキシルアクリレート5部とスチレン30部と2−ヒドロキシエチルメタクリレート20部とを仕込み、その後この混合液にアゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業(株)製;重合開始剤)3部を溶解させて、仕込んであるキシレン中に滴下した。滴下後、1時間保温した後、予めキシレン10部に溶解させておいた重合開始剤0.5部を1時間かけて滴下し、さらに1時間保温してポリマー溶液を得た。このとき、ポリマーは、重量平均分子量が15,000であり、ガラス転移温度(Tg)が79℃であった。
続いて、得られたポリマー溶液に、ブロックイソシアネート硬化剤(MEKオキシムHDIイソシアヌレート;旭化成ケミカルズ(株)製;以下同様。)40部とジブチル錫ジラウレート0.5部とを加え、下記表1に示す組成よりなるポリマー溶液1を調製した。
また、上記のポリマー溶液1の調製と同様の操作を行なって、下記表1に示す組成よりなるポリマー溶液2〜5を調製した。
Figure 2007031543
なお、SP値は、溶剤等への溶けやすさを表す溶解性パラメーター(Solubility Parameter)であり、モノマー組成より計算にて求めることが可能である(SP値の計算方法は、Polymer Engineering and Science, February, 1974 Vol.14 No.2 147〜154に基づく。)。SP値が大きいほど極性は大きい。重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(東ソー(株)製)により測定したものであり、Tgは計算により求めたものである。測定については、以下同様である。
−クリアスラリー塗料の調製−
水98部とエマルゲン123P(花王(株)製;ノニオン系界面活性剤)2部とからなる水溶液に、上記より得たポリマー溶液1を100部加え、ホモジナイザー(特殊機化工業(株)製)を用いて回転数12,000r.p.m.で攪拌し、懸濁液を得た。得られた懸濁液を加熱残分が40%になるように脱溶剤を行なった後、会合性ウレタン系増粘剤RM−8W(ロームアンドハース社製)1部を添加し、クリアスラリー塗料(1)を調製した。
また、クリアスラリー塗料(1)の調製において、ポリマー溶液1をポリマー溶液2〜4に代えたこと以外、前記ポリマー溶液1の場合と同様の操作を行なって、クリアスラリー塗料(2)〜(4)を調製した。
上記より得たクリアスラリー塗料のフロー式粒子像解析装置FPIA−2100(シスメックス(株)製)を用いて測定した平均粒子径は、いずれも2μmであった。
−ブルースラリー塗料の調製−
94部のポリマー溶液1に対して、青色顔料(フタロシアニンブルー)6部を加えて均一に混合した。この混合液100部を、水98部とエマルゲン123P(花王(株)製;ノニオン系界面活性剤)2部とからなる水溶液に加え、ホモジナイザー(特殊機化工業(株)製)を用いて回転数12,000r.p.m.で攪拌し、懸濁液を得た。得られた懸濁液を加熱残分が40%になるように脱溶剤を行なった後、会合性ウレタン系増粘剤RM−8W(ロームアンドハース社製)1部を添加し、ブルースラリー塗料(1)を調製した。
また、ブルースラリー塗料(1)の調製において、ポリマー溶液1をポリマー溶液2〜5に代えたこと以外、前記ブルースラリー塗料(1)の場合と同様の操作を行なって、ブルースラリー塗料(2)〜(5)を調製した。
上記より得たブルースラリー塗料の前記と同様にして測定した平均粒子径は、いずれも2μmであった。
(実施例1)
上記より得たクリアスラリー塗料(2)80部とブルースラリー塗料(1)20部とを混合し、得られたスラリー塗料を、予め赤色塗料で塗装された銅板上にエアスプレーで吹き付け、乾燥層厚が30μmとなるように塗装した。塗装後、150℃で30分間焼付けて乾燥塗膜を得た。
(実施例2〜5、比較例1)
実施例1において、クリアスラリー塗料とブルースラリー塗料との混合種類、混合割合を下記表2に示すように変更したこと以外、実施例1と同様にして、乾燥塗膜を得た。
Figure 2007031543
(評価1)
実施例1〜5及び比較例1で得た塗膜を目視により観察すると共に、下記の評価基準にしたがって評価した。評価結果を下記表3に示す。
[評価基準]
○:塗膜面が斑模様に見え、あるいは見る角度により色が変化した。
×:塗膜面は全体的に均一色であり、見る角度による色の変化も認められなかった。
Figure 2007031543
前記表3に示すように、実施例では、斑模様に見え、あるいは見る角度により色が変化する意匠性効果のある塗膜が得られたのに対し、比較例では、均一な単一色しか得られず、見る角度を変えても色の変化は得られなかった。
(実施例6)
−アクリル樹脂1の調製−
攪拌装置、温度調節器、還流管を備えた反応装置にキシレン72部を仕込み、120℃に昇温した。滴下槽にメチルメタクリレート36部と2−エチルヘキシルアクリレート13部とスチレン31部と2−ヒドロキシエチルメタクリレート20部とを仕込み、その後この混合液にアゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業(株)製;重合開始剤)3部を溶解させて、仕込んであるキシレン中に滴下した。滴下後、1時間保温した後、予めキシレン10部に溶解させておいた重合開始剤0.5部を1時間かけて滴下し、さらに1時間保温してアクリル樹脂1の樹脂溶液を得た。このアクリル樹脂1のガラス転移温度(Tg)は58℃であった。
−アクリル樹脂2の調製−
攪拌装置、温度調節器、還流管を備えた反応装置にキシレン72部を仕込み、120℃に昇温した。滴下槽にメチルメタクリレート13部と2−エチルヘキシルアクリレート46部とスチレン21部と2−ヒドロキシエチルメタクリレート20部とを仕込み、その後この混合液にアゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業(株)製;重合開始剤)3部を溶解させて、仕込んであるキシレン中に滴下した。滴下後、1時間保温した後、予めキシレン10部に溶解させておいた重合開始剤0.5部を1時間かけて滴下し、さらに1時間保温してアクリル樹脂2の樹脂溶液を得た。このアクリル樹脂2のガラス転移温度(Tg)は−5℃であった。
−スラリー塗料の調製−
上記より得たアクリル樹脂1の樹脂溶液100部に、MEKオキシムでブロックしたHDIイソシアヌレート硬化剤40部とジブチル錫ジラウレート0.5部とを加え、ポリマー溶液を得た。水98部とエマルゲン123P(花王(株)製;ノニオン系界面活性剤)2部とからなる水溶液に、上記のポリマー溶液100部を加え、ホモジナイザー(特殊機化工業(株)製)を用いて回転数15,000r.p.m.で攪拌し、懸濁液を得た。得られた懸濁液を加熱残分が40%になるように脱溶剤を行なった後、会合性ウレタン系増粘剤RM−8W(ロームアンドハース社製)1部を添加し、アクリル樹脂1のスラリー溶液を調製した。このスラリー溶液の実施例1と同様の方法で測定した平均粒子径は1μmであった。
次いで、アクリル樹脂1のスラリー溶液の調製において、アクリル樹脂1をアクリル樹脂2に代えたこと以外は前記同様にして、アクリル樹脂2のスラリー溶液を調製した。また、同様にして測定した平均粒子径は2μmであった。
次に、アクリル樹脂1のスラリー溶液30部とアクリル樹脂2のスラリー溶液70部とを混合し、Tgの異なる2種の樹脂粒子を含むスラリー塗料を得た。
そして、得られたスラリー塗料を、予め電着塗料、中塗り塗料、ベース塗料を塗装した銅板に、エアスプレーで吹きつけ、乾燥層厚が30μmとなるように塗装した。塗装後、150℃で30分間焼付けて乾燥塗膜を得た。
(実施例7)
実施例6で得たアクリル樹脂2の樹脂溶液100部に、MEKオキシムでブロックしたHDIイソシアヌレート硬化剤40部とジブチル錫ジラウレート0.5部とを加え、ポリマー溶液を得た。水98部とエマルゲン123P(花王(株)製;ノニオン系界面活性剤)2部とからなる水溶液に、上記のポリマー溶液100部を加え、ホモジナイザー(特殊機化工業(株)製)を用いて回転数12,000r.p.m.で攪拌し、懸濁液を得た。得られた懸濁液を加熱残分が40%になるように脱溶剤を行なった後、会合性ウレタン系増粘剤RM−8W(ロームアンドハース社製)1部を添加し、HDIイソシアヌレート硬化剤のスラリー溶液を調製した。このスラリー溶液の実施例1と同様の方法で測定した平均粒子径は2μmであった。
次いで、HDIイソシアヌレート硬化剤のスラリー溶液の調製において、MEKオキシムでブロックしたHDIイソシアヌレート硬化剤を、MEKオキシムでブロックしたIPDIイソシアヌレート硬化剤(旭化成ケミカルズ(株)製;以下同様。)に代えたこと以外は前記同様にして、IPDIイソシアヌレート硬化剤のスラリー溶液を調製した。また、同様にして測定した平均粒子径は1μmであった。
次に、HDIイソシアヌレート硬化剤のスラリー溶液80部とIPDIイソシアヌレート硬化剤のスラリー溶液20部とを混合し、硬化剤の異なる2種の樹脂粒子を含むスラリー塗料を得た。
得られたスラリー塗料を実施例6と同様の方法により吹きつけ、塗装、焼付を行なって乾燥塗膜を得た。
(比較例2)
実施例6で得たアクリル樹脂1の樹脂溶液30部とアクリル樹脂2の樹脂溶液70部とを混合したものに、MEKオキシムでブロックしたHDIイソシアヌレート硬化剤40部とジブチル錫ジラウレート0.5部とを加え、ポリマー混合溶液を得た。水98部とエマルゲン123P(花王(株)製;ノニオン系界面活性剤)2部とからなる水溶液に、上記のポリマー混合溶液100部を加え、ホモジナイザー(特殊機化工業(株)製)を用いて回転数12,000r.p.m.で攪拌し、懸濁液を得た。得られた懸濁液を加熱残分が40%になるように脱溶剤を行なった後、会合性ウレタン系増粘剤RM−8W(ロームアンドハース社製)1部を添加し、アクリル樹脂1およびアクリル樹脂2の混合樹脂のスラリー溶液を調製した。このスラリー溶液の実施例1と同様の方法で測定した平均粒子径は2μmであった。
得られたスラリー塗料を実施例6と同様の方法により吹きつけ、塗装、焼付を行なって乾燥塗膜を得た。
(比較例3)
実施例6で得たアクリル樹脂2の樹脂溶液100部に、MEKオキシムでブロックしたHDIイソシアヌレート硬化剤32部とMEKオキシムでブロックしたIPDIイソシアヌレート硬化剤8部とジブチル錫ジラウレート0.5部とを加え、ポリマー溶液を得た。水98部とエマルゲン123P(花王(株)製;ノニオン系界面活性剤)2部とからなる水溶液に、上記のポリマー溶液100部を加え、ホモジナイザー(特殊機化工業(株)製)を用いて回転数12,000r.p.m.で攪拌し、懸濁液を得た。得られた懸濁液を加熱残分が40%になるように脱溶剤を行なった後、会合性ウレタン系増粘剤RM−8W(ロームアンドハース社製)1部を添加し、HDIイソシアヌレート硬化剤およびIPDIイソシアヌレート硬化剤の混合硬化剤のスラリー溶液を調製した。このスラリー溶液の実施例1と同様の方法で測定した平均粒子径は2μmであった。
得られたスラリー塗料を実施例6と同様の方法により吹きつけ、塗装、焼付を行なって乾燥塗膜を得た。
(比較例4)
実施例6で得たアクリル樹脂1の樹脂溶液100部に、MEKオキシムでブロックしたHDIイソシアヌレート硬化剤40部とジブチル錫ジラウレート0.5部とを加え、ポリマー溶液を得た。水98部とエマルゲン123P(花王(株)製;ノニオン系界面活性剤)2部とからなる水溶液に、上記のポリマー溶液100部を加え、ホモジナイザー(特殊機化工業(株)製)を用いて回転数12,000r.p.m.で攪拌し、懸濁液を得た。得られた懸濁液を加熱残分が40%になるように脱溶剤を行なった後、会合性ウレタン系増粘剤RM−8W(ロームアンドハース社製)1部を添加し、アクリル樹脂1のスラリー溶液を調製した。このスラリー溶液の実施例1と同様の方法で測定した平均粒子径は2μmであった。
得られたスラリー塗料を実施例6と同様の方法により吹きつけ、塗装、焼付を行なって乾燥塗膜を得た。
(比較例5)
実施例6で得たアクリル樹脂2の樹脂溶液100部に、MEKオキシムでブロックしたHDIイソシアヌレート硬化剤40部とジブチル錫ジラウレート0.5部とを加え、ポリマー溶液を得た。水98部とエマルゲン123P(花王(株)製;ノニオン系界面活性剤)2部とからなる水溶液に、上記のポリマー溶液100部を加え、ホモジナイザー(特殊機化工業(株)製)を用いて回転数12,000r.p.m.で攪拌し、懸濁液を得た。得られた懸濁液を加熱残分が40%になるように脱溶剤を行なった後、会合性ウレタン系増粘剤RM−8W(ロームアンドハース社製)1部を添加し、アクリル樹脂2のスラリー溶液を調製した。このスラリー溶液の実施例1と同様の方法で測定した平均粒子径は2μmであった。
得られたスラリー塗料を実施例6と同様の方法により吹きつけ、塗装、焼付を行なって乾燥塗膜を得た。
(評価2)
実施例6〜7及び比較例2〜5で得た塗膜について下記評価を行なった。評価結果を下記表4に示す。
1.耐傷性
各塗膜を自動洗車試験機(特注品)にて洗浄し、洗浄後の塗膜の耐傷性を、光沢計(スガ試験機(株)製)により測定した20°の光沢保持率をみて評価した。光沢保持率は、値が高いほど耐傷性に優れることを示す。
2.耐汚れ性
各塗膜について、屋外での水平バクロ試験を3ヶ月間(8月〜10月)実施し、期間経過後水洗した後、試験前後での色差(△E)を測定して耐光性を評価する指標とし、試験後の塗膜表面の汚れの程度を評価した。△Eab値は、値の小さい方が耐汚れ性が良好なことを示す。
Figure 2007031543
前記表4に示すように、実施例では、一般に背反する関係にある耐傷性と耐汚れ性との双方がともに良好な塗膜を得ることができた。これに対し、比較例ではいずれも、耐傷性および耐汚れ性の双方をともに満足する塗膜を形成することはできなかった。
(実施例8)
−アクリル樹脂3の調製−
攪拌装置、温度調節器、還流管を備えた反応装置にキシレン72部を仕込み、120℃に昇温した。滴下槽にメチルメタクリレート46部と2−エチルヘキシルアクリレート24部とスチレン20部と2−ヒドロキシエチルメタクリレート10部とを仕込み、その後この混合液にアゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業(株)製;重合開始剤)3部を溶解させて、仕込んであるキシレン中に滴下した。滴下後、1時間保温した後、予めキシレン10部に溶解させておいた重合開始剤0.5部を1時間かけて滴下し、さらに1時間保温してアクリル樹脂3の樹脂溶液を得た。このアクリル樹脂3のガラス転移温度(Tg)は38℃、水酸基価は43であった。なお、水酸基価は計算により求めた。
−アクリル樹脂4の調製−
攪拌装置、温度調節器、還流管を備えた反応装置にキシレン72部を仕込み、120℃に昇温した。滴下槽にメチルメタクリレート27部と2−エチルヘキシルアクリレート21部とスチレン22部と2−ヒドロキシエチルメタクリレート30部とを仕込み、その後この混合液にアゾビスイソブチロニトリル(和光純薬工業(株)製;重合開始剤)3部を溶解させて、仕込んであるキシレン中に滴下した。滴下後、1時間保温した後、予めキシレン10部に溶解させておいた重合開始剤0.5部を1時間かけて滴下し、さらに1時間保温してアクリル樹脂4の樹脂溶液を得た。このアクリル樹脂4のガラス転移温度(Tg)は37℃、前記同様に求めた水酸基価は129であった。
−スラリー塗料の調製−
上記より得たアクリル樹脂3の樹脂溶液100部に、MEKオキシムでブロックしたHDIイソシアヌレート硬化剤20部とジブチル錫ジラウレート0.5部とを加え、ポリマー溶液を得た。水98部とエマルゲン123P(花王(株)製;ノニオン系界面活性剤)2部とからなる水溶液に、上記のポリマー溶液100部を加え、ホモジナイザー(特殊機化工業(株)製)を用いて回転数12,000r.p.m.で攪拌し、懸濁液を得た。得られた懸濁液を加熱残分が40%になるように脱溶剤を行なった後、会合性ウレタン系増粘剤RM−8W(ロームアンドハース社製)1部を添加し、アクリル樹脂3のスラリー溶液を調製した。このスラリー溶液の実施例1と同様の方法で測定した平均粒子径は2μmであった。
次いで、アクリル樹脂3のスラリー溶液の調製において、アクリル樹脂3をアクリル樹脂4に代え、HDIイソシアヌレート硬化剤の量を20部から60部に代え、更にホモジナイザーの回転数を12,000r.p.m.から15,000r.p.m.に変えたこと以外は前記同様にして、アクリル樹脂4のスラリー溶液を調製した。また、同様にして測定した平均粒子径は1μmであった。
次に、アクリル樹脂3のスラリー溶液70部とアクリル樹脂4のスラリー溶液30部とを混合し、架橋性(得られる架橋密度)の異なる、すなわち官能基量の異なる2種の樹脂粒子を含むスラリー塗料を得た。
そして、得られたスラリー塗料を、予め電着塗料、中塗り塗料、ベース塗料を塗装した銅板に、エアスプレーで吹きつけ、乾燥層厚が30μmとなるように塗装した。塗装後、150℃で30分間焼付けて乾燥塗膜を得た。
(比較例6)
実施例8で得たアクリル樹脂3の樹脂溶液70部とアクリル樹脂4の樹脂溶液30部とを混合したものに、MEKオキシムでブロックしたHDIイソシアヌレート硬化剤32部とジブチル錫ジラウレート0.5部とを加え、ポリマー溶液を得た。水98部とエマルゲン123P(花王(株)製;ノニオン系界面活性剤)2部とからなる水溶液に、上記のポリマー溶液100部を加え、ホモジナイザー(特殊機化工業(株)製)を用いて回転数12,000r.p.m.で攪拌し、懸濁液を得た。得られた懸濁液を加熱残分が40%になるように脱溶剤を行なった後、会合性ウレタン系増粘剤RM−8W(ロームアンドハース社製)1部を添加し、アクリル樹脂3およびアクリル樹脂4の混合樹脂のスラリー溶液を調製した。このスラリー溶液の実施例1と同様の方法で測定した平均粒子径は2μmであった。
得られたスラリー塗料を実施例8と同様の方法により吹きつけ、塗装、焼付を行なって乾燥塗膜を得た。
(比較例7)
実施例8で得たアクリル樹脂3の樹脂溶液100部に、MEKオキシムでブロックしたHDIイソシアヌレート硬化剤20部とジブチル錫ジラウレート0.5部とを加え、ポリマー溶液を得た。水98部とエマルゲン123P(花王(株)製;ノニオン系界面活性剤)2部とからなる水溶液に、上記のポリマー溶液100部を加え、ホモジナイザー(特殊機化工業(株)製)を用いて回転数12,000r.p.m.で攪拌し、懸濁液を得た。得られた懸濁液を加熱残分が40%になるように脱溶剤を行なった後、会合性ウレタン系増粘剤RM−8W(ロームアンドハース社製)1部を添加し、アクリル樹脂3のスラリー溶液を調製した。このスラリー溶液の実施例1と同様の方法で測定した平均粒子径は2μmであった。
得られたスラリー塗料を実施例8と同様の方法により吹きつけ、塗装、焼付を行なって乾燥塗膜を得た。
(評価3)
実施例8及び比較例6〜7で得た塗膜について、前記評価2と同様の方法により耐傷性および耐汚れ性の評価を行なった。評価結果を下記表5に示す。
Figure 2007031543
前記表5に示すように、実施例8では、一般に背反する関係にある耐傷性と耐汚れ性との双方がともに良好な塗膜を得ることができた。これに対し、比較例ではいずれも、耐傷性および耐汚れ性の双方をともに満足する塗膜を形成することはできなかった。
赤色の低Tgポリマー粒子と青色の高Tgポリマー粒子とが水中に分散された水性スラリー塗料を示す模式図である。 図1の水性スラリー塗料からなる塗膜面を模式的に表した表面図である。 クリアな低Tgポリマー粒子と青色の高Tgポリマー粒子とが水中に分散された水性スラリー塗料を示す模式図である。 赤色板上に設けた図3の水性スラリー塗料からなる塗膜断面を模式的に表した断面図である 高Tgポリマー粒子中に低Tgポリマー粒子が不均一に分散された塗膜の断面を模式的に表した断面図である。 (a)は低Tgポリマー粒子が溶融した中に高Tgポリマー粒子が不均一に分散した塗膜面を模式的に表した表面図であり、(b)は(a)の塗膜の断面を模式的に表した断面図である
符号の説明
1,3…低Tgポリマー粒子、低分子量ポリマー粒子
2,4…高Tgポリマー粒子、高分子量ポリマー粒子
5…赤色板
7,8…低Tgポリマー粒子
6,9…高Tgポリマー粒子

Claims (8)

  1. 平均粒子径が0.5〜3μmであって、ガラス転移温度(Tg)、平均分子量、および架橋化度の少なくとも一つが異なる2種以上のポリマー粒子を分散して含む水性スラリー塗料。
  2. 前記ポリマー粒子の少なくとも1種は、前記ガラス転移温度が30℃以上50℃未満の低Tgポリマー粒子であり、他の少なくとも1種は、前記ガラス転移温度が50℃以上の高Tgポリマー粒子であって、前記低Tgポリマー粒子と前記高Tgポリマー粒子とのTg差が30℃以上である請求項1に記載の水性スラリー塗料。
  3. 前記ポリマー粒子の少なくとも1種は、前記平均分子量が10,000未満の低分子量ポリマー粒子であり、他の少なくとも1種は、前記平均分子量が30,000以上の高分子量ポリマー粒子である請求項1又は2に記載の水性スラリー塗料。
  4. 前記架橋化度は水酸基価であり、前記ポリマー粒子の少なくとも1種は、前記水酸基価が90以下の低架橋性ポリマー粒子であり、他の少なくとも1種は、前記水酸基価が120以上の高架橋性ポリマー粒子である請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性スラリー塗料。
  5. 前記低Tgポリマー粒子の含有量が90〜70質量%であって、前記高Tgポリマー粒子の含有量が10〜30質量%である請求項2に記載の水性スラリー塗料。
  6. 前記低分子量ポリマー粒子の含有量が99.9〜70質量%であって、前記高分子量ポリマー粒子の含有量が0.1〜30質量%である請求項3に記載の水性スラリー塗料。
  7. 前記低架橋性ポリマー粒子の含有量が90〜40質量%であって、前記高架橋性ポリマー粒子の含有量が10〜60質量%である請求項4に記載の水性スラリー塗料。
  8. 着色剤を更に含む請求項1〜7のいずれか1項に記載の水性スラリー塗料。
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JP2019081827A (ja) * 2017-10-30 2019-05-30 大日本塗料株式会社 水系塗料組成物

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