JP2007028609A - 補聴器及びその調節方法 - Google Patents

Abstract

【課題】補聴器を補聴器使用者自らが快適にかつ目的に合致するように調節することを可能にする。
【解決手段】 信号データを記憶するための記憶装置SEと、記憶装置SEの信号データを出力するための信号処理装置SVと、信号処理装置SVを調節するための操作装置BE、FBとを有する補聴器HGにおいて、補聴器使用者自身による調節手順のため記憶装置SE内に現実の聴取例を保存し、この聴取例を補聴器HGに再生し調節を行う。
【選択図】図１

Description

本発明は、信号データを記憶するための記憶装置と、記憶装置の信号データを出力するための信号処理装置と、信号処理装置を調節するための操作装置とを有する補聴器に関する。さらに本発明は、補聴器と遠隔操作部とを有する補聴器システム及びさらに補聴器を調節するための方法に関する。

これまで補聴器使用者はその補聴器の伝送特性を補聴器使用者の希望及び必要に応じて自ら且ついつでも、即ち特に音響に関する専門家に診てもらうことなく、調節することは不可能か、又は極めて制限的にしかできない。その理由は、相応に訓練された専門家によってしか把握できないパラメータの多量さと複雑性にある。特に、補聴器使用者は、どの聴取状況が存在し、その結果使用者がその補聴器を相応して調節し得るかを客観的に決定することができない

たいていの補聴器においてはこれまで、補聴器使用者はその補聴器の音量を自ら調節し得ることだけが行われているにすぎない。場合によっては、類別器によって現実の聴取状況が確認され、現実の聴取状況に調節された音量が記憶される。

補聴器を調節するため、補聴器に制御信号を伝送することは文献から知られている(例えば、特許文献１、特許文献２、特許文献３及び特許文献４参照)。特に相応する制御パラメータが遠隔操作によって補聴器に伝えられる。

さらに耳鳴り補給のための方法が知られており、その方法においては、耳鳴り信号のスペクトル成分を有する音響学的マスキング信号が選択されるか発生せしめられ、耳鳴り患者に耳鳴りの発生中に与えられる。マスキング信号としては、自然の、時間的に変化する音響パターンが用いられる（例えば特許文献５参照）。

さらに、補聴器の調節のために人工のテスト信号を使用することが文献から知られている。それによれば、補聴器使用者は通常の音聴力測定を自ら実施することができる（例えば特許文献６、特許文献７参照）。

しかしながら、これらの調節可能性には、自然の聴取状況は人工のテスト信号と相違し、その結果調節は近似的にしか実施できないという不都合がある。
米国特許第5202927号明細書 米国特許第5710819号明細書 米国特許第4947432号明細書 米国特許第5303306号明細書 独国特許出願公開第4427216 A1号明細書 オーストラリヤ特許出願公開第199858308 A1号明細書 独国特許第3205685 C2号明細書

本発明の課題は、補聴器使用者自らのための調節可能性を改善することにある。

本発明によればこの課題は、信号データを記憶するための記憶装置と、記憶装置の信号データを出力するための信号処理装置と、信号処理装置を調節するための操作装置とを有する補聴器において、信号データが、特有の聴取状況の複数のクラスについてのテスト音響データを含み、所望のクラスのテスト音響データが操作装置の操作により信号処理装置を介して少なくとも部分的に出力可能であり、信号処理装置は音響データの出力中調節可能であり、所望のクラスに対する信号処理装置の調節が保存可能であることによって解決される。

さらに本発明によれば、補聴器と遠隔操作部とを有する補聴器システムにおいて、遠隔操作部が、特有の聴取状況の複数のクラスに対するテスト音響データを記憶するため、及び所望のクラスのテスト音響データを補聴器へ伝達するための記憶装置を有し、補聴器はテスト音響データの再生中に補聴器使用者によって調節可能であり、所望のクラスに対する補聴器の調節が補聴器内に保存可能である。

同じように、本発明によれば、特有の聴取状況の複数のクラスを表わすテスト音響データの記憶、調節すべき補聴器を用いて所望のクラスの記憶されたテスト音響データの再生、再生されたテスト音響データに基づいて補聴器使用者による使用者の個人的要求に従う補聴器の調節及び所望のクラスに対する補聴器の調節の補聴器内への記憶によって補聴器を調節するための方法が準備される。

従って本発明によれば、補聴器使用者に、特有の聴取状況に相応する調節のためのいわゆる実生活のテスト信号を提供することが可能である。それによって補聴器使用者は、調節をより目的に合致させより正確に行うことができる。その際、音響信号ないしテスト信号の連続が、すべての類別器クラスからなる、即ち補聴器類別器によって識別できる聴取状況からなる、それぞれ異なるレベルを持った信号を含むと有利である。それによって補聴器使用者は、従来通常のように、使用者の自然環境において例えば聴取状況“静かな音楽”が生じ、そこで初めて補聴器を調節することを開始し得るといったことを待つ必要はもはやない。むしろ補聴器使用者は、そのような自然の状況になる前に、調節手順を本発明に従い使用者が欲するときはいつでも、そしてとりわけ再生可能に実施することができる。使用者は従って自然の聴取状況に基づいて補聴器パラメータをクラス及びレベルに依存して修正することができる。この修正は補聴器内に記憶され、即刻有効である。例えばそうして補聴器使用者は、客観的に静かな音楽の提供のときには響きを以下のように選択することができる。即ち、より際立たせ、わずかながらまん中、及びより低さである。補聴器は遠隔操作部によって有利に操作される。それによって、補聴器使用者は補聴器の調節を遠隔操作部によって快適に実施することができる。

テスト音響データは、内容のアナウンス及びそれに続く聴取例を含むのが有利である。それによって、補聴器使用者が次に再生された聴取例を正しく判断し類別することが保証され得る。

同様に有利な別の実施形態に従えば、テスト音響データの再生は、補聴器使用者が相応する操作ボタンを押すまで繰り返される。それによって、補聴器使用者は補聴器の調節の際独特の聴取状況に対して任意に長い時間そのままにしておくことができる。

さらに補聴器の調節範囲は、再生される音響データに依存してあらかじめ定められ得る。このことは特に、補聴器使用者が提供された音響信号を誤って判断し、例えば聴取状況“静かな音楽”に対する音量を高過ぎる調節をするような場合に有利である。

次に本発明を図面に示す実施例に基づき詳細に説明する。

以下に詳細に説明する実施例は、本発明の有利な実施形態を示すものである。

本発明によれば、補聴器使用者は、その補聴器又は遠隔操作部への行動によって補聴器の信号処理を自ら調節し得るようになっている。そのため本質的に２つの要素が使用される。
１．実際の聴取状況に相応するテスト信号
２．補聴器使用者による補聴器の調節のための補聴器又は遠隔操作部における操作要素

テスト信号ないし聴取例は、補聴器使用者が特徴的に置かれているすべての基本的な周囲状況に相応する。そうして例えば聴取状況の落ち着いた話、静かな音楽などに対する聴取例がテスト信号として準備される。これらのテスト信号は図に示される実施例に従えば、遠隔操作部FBの記憶ユニットSEに記憶される。遠隔操作部FBはテスト信号を無線式に補聴器HGに送り、補聴器はそのため相応の受信器EMを有する。それに代わる実施形態では、テスト信号を記憶するための記憶ユニットは直接補聴器内に設けることもできる。

補聴器HG内の受信器EMは受信したテスト信号を信号処理部SVに送り、信号処理部は受話器Hを操作する。補聴器HGの操作要素BEによって信号処理部SVは調節され得る。さらに、遠隔操作部FBを用いて信号処理部SVを調節する可能性も存在する。遠隔操作部における相応の調節ボタンによって、例えば“音量”/“高音”/“低音”又は“音量”のみを調節することができる。

調節過程の開始は、例えば遠隔操作部FB上のボタンＳを押すことによって行うことができる。ボタンＭによって選択された調節を保存することができる。

以下に調節過程を詳細に説明する。その際、補聴器使用者が遠隔操作部FBのスタートボタンＳを押すや否や、補聴器使用者には有利なやり方でテスト信号ないし聴取例の連続が演奏して見せられる。その連続中に含まれる各聴取例内容のアナウンスによって予告される。この内容のアナウンスは例えば“静かな音楽が続く”という内容である。内容のアナウンスを含む聴取例は、補聴器使用者が別のボタンないし記憶ボタンＭを押すまで繰り返される。その時まで、補聴器使用者は特有の信号に対する音量を使用者にとって快適なように所定の範囲内に調節する可能性を持つ。内容のアナウンス及び音量の調節可能性の制限は、補聴器使用者が例えば静かな信号をうっかりして通常の音量と高く見ないようにするため絶対的に必要である。

補聴器使用者が別の又は記憶ボタンＭを押した後、別の聴取状況を表わすすぐ次の聴取例が再生される。提供すべき聴取例の連続は次のようなものであり得る。
・落ち着いた話（通常、静か、騒々しい）
・雑音中の話（通常、静か、騒々しい）
・交通騒音（通常、静か、騒々しい）
・自然騒音（通常、静か、騒々しい）
・音楽（通常、静か、騒々しい）
・静寂（マイクロホンザワザワ音）
・電話

聴取例のそのような連続の過程の後、そうして補聴器内に増幅パラメータ及び圧縮パラメータのクラス及びレベルに依存した修正が生じ、この修正は例えばさらに続く学習及び訓練アルゴリズムのための予調節として使用することができる。調節手順は任意にしばしば繰り返され、新たに始められ、また予定より早く打ち切られることも可能である。

さらに、「リセット」の可能性が与えられ、この可能性によって、例えば初めになお生じる誤操作を取り消すためにパラメータが再び音響専門家によって調節された予調節の元のところに戻されることが可能である。

本発明によれば、任意の時点に再生され得るほとんど現実の聴取例が調節手続きに対し使用される。従って、調節可能性が現実の、目下の聴取状況の間のみ与えられている既知の方法に対し、次の利点が生じる。
・ほとんど現実の聴取例を持つ本発明による訓練手順は、最適でない従って煩わしい面倒な調節の持続的な修正と把握されるのではなく、補聴器使用者が完全に精神を集中して、いつでも、且つ使用者の望む環境において実施し得る意識的に選択される行動と把握される。
・テスト信号は再生可能であるから、そのテスト信号は短時間後に刻み込まれ、そのことは現実の信号ではもちろんそういうことはない。補聴器使用者が訓練手順を幾度も通れば通るほど、使用者はその補聴器の音についての所望の修正をより目標に合致するように叉より安全に行うことができる。

本発明の実施例の原理説明図である。

符号の説明

HG 補聴器
Ｈ 受話器
EM 受信器
SV 信号処理部
BE 操作要素
FB 遠隔操作部
SE 記憶装置
Ｓ ボタン
Ｍ ボタン

Claims (12)

1. 信号データを記憶するための記憶装置（SE）と、記憶装置（SE）の信号データを出力するための信号処理装置（SV）と、信号処理装置（SV）を調節するための操作装置（BE、FB）とを有する補聴器において、
   信号データが、特有の聴取状況の複数のクラスについてのテスト音響データを含み、
   所望のクラスのテスト音響データが操作装置（BE、FB）の操作によって信号処理装置（SV）を介して少なくとも部分的に出力可能であり、
   信号処理装置は音響データの出力中調節可能であり、
   所望のクラスに対する信号処理装置の調節が保存可能である
   ことを特徴とする補聴器。
2. 操作装置（FB）が遠隔操作部を含むことを特徴とする請求項１記載の補聴器。
3. 補聴器（HG）と遠隔操作部（FB）とを有する補聴器システムにおいて、
   遠隔操作部（FB）が、特有の聴取状況の複数のクラスに対するテスト音響データを記憶するため、及び所望のクラスのテスト音響データを補聴器（HG）へ伝達するための記憶装置（SE）を有し、
   補聴器（HG）はテスト音響データの再生中に補聴器使用者によって調節可能であり、
   所望のクラスに対する補聴器の調節が補聴器内に保存可能である
   ことを特徴とする補聴器システム。
4. 補聴器（HG）が遠隔操作部（FB）を用いて調節可能であることを特徴とする請求項３記載の補聴器システム。
5. テスト音響データが内容のアナウンス及びそれに続く音の例を含むことを特徴とする請求項１又は２記載の補聴器又は請求項３又は４記載の補聴器システム。
6. テスト音響データの再生が、補聴器使用者が相応する操作ボタン（Ｍ）を押すまで繰り返されることを特徴とする請求項５記載の補聴器又は補聴器システム。
7. 補聴器（HG）の調節範囲が再生されるテスト音響データに依存して予め定められていることを特徴とする請求項５又は６記載の補聴器又は補聴器システム。
8. 特有の聴取状況の複数のクラスを表わすテスト音響データの記憶、
   調節すべき補聴器（HG）を用いて所望のクラスの記憶されたテスト音響データの再生、
   再生されるテスト音響データに基づいて補聴器使用者による補聴器使用者の個人的要求に従う補聴器（HG）の調節
   所望のクラスに対する補聴器の調節の補聴器への記憶
   を特徴とする補聴器の調節方法。
9. 補聴器（HG）の調節が遠隔操作部（FB）を介して行われることを特徴とする請求項８記載の方法。
10. テスト音響データが内容のアナウンス及びそれに続く音の例を含むことを特徴とする請求項８又は９記載の方法。
11. テスト音響データの再生が、補聴器使用者が対応する操作ボタン（Ｍ）を押すまで繰り返されることを特徴とする請求項８〜１０のいずれか１つに記載の方法。
12. 補聴器（HG）の調節範囲が再生されるテスト音響データに依存して予め定められることを特徴とする請求項８〜１１のいずれか１つに記載の方法。

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