JP2007024132A - 車輪用軸受装置およびその加締加工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】この車輪用軸受装置は、外方部材1と内方部材2の軌道面3,4間に複列のボール5を介在させたものであり、駆動輪を支持する。内方部材2は、車輪取付用ハブフランジ9aと貫通孔11を有するハブ輪9と、ハブ輪9のインボード側端外周の内輪嵌合面部15に嵌合した内輪10とでなる。内輪10の内周面には、内輪10の端面10aの内周縁に相当する深さの段差部16を設ける。段差部16の軸方向に向く段面16bに、ハブ輪9の加締加工による加締部9cを係合させる。大径段差部11bに5〜60°の傾斜角度を持った加締金型を押し付けることにより、ハブと加締金型との干渉を避け、かつ低い加工荷重で加締め加工が行える。
【選択図】 図4
Description
(1)ハブ輪29の加締部29bが大きいため、図5の一部を拡大して示す図6のように、内輪30のインボード側端部に形成する段部36の径方向段差を、半径差で5〜7mm程度とする必要が有る。このように段部36の段差を大きくすると、内輪30のインボード側端面30aの面積が小さくなるので、等速ジョイント外輪33の段面33bとの接触面圧が大きくなる。そのため、摩耗や異音の発生の原因となる。
(2)ハブ輪29の加締部29bを内輪30のインボード側端より内側(アウトボード側)に収めようとすると、図6のように内輪30の段部36の軸方向長さを7〜8mm程度にする必要が有る。このように内輪段部36の軸方向長さが長くなると、ボール接触角の延長線上に内輪段部36が位置する傾向があり、運転時の負荷荷重による内輪変形が大きくなって短寿命となる可能性がある。また、内輪段部36の軸方向長さが長くなると、それだけハブ輪29に対する内輪30の嵌め合い長さ(面積)が減少するので、内輪クリープが発生し、軸受寿命が低下する可能性がある。これらの問題は、内輪全体の幅寸法を長くすれば回避できるが、それでは軸方向に余分なスペースが必要になる。
(3)また、ハブ輪29の加締部29bが大きいことから、揺動加締加工において、加締工具が内輪30と干渉し、加工が困難である。
すなわち、前記内輪の内周面に、この内輪のインボード側の端面まで続き、この端面の内周縁に相当する深さの段差部を設け、前記ハブ輪の加締加工により前記内輪の前記段差部の軸方向に向く段面に係合する加締部を設け、この加締部は前記内輪の端面から突出しないものとする。前記ハブ輪の前記貫通孔は、等速自在継手のステム部の外周のスプラインと噛み合うスプライン溝を内周面に有し、前記貫通孔の内周面における前記スプライン溝が形成された一般径部分よりもインボード側の部分を、インボード側端の大径段差部と、この大径段差部よりも小径で前記一般径部分よりも大径となる中間径段差部とでなる2段の段付き形状とする。また、前記大径段差部における前記加締部の内周となる部分である加締金型押し当て部分を、開口側が広がるテーパ状部分とし、このテーパ状部分のハブ輪中心軸に対する傾斜角度を5〜60°とする。ハブ輪の前記加締金型押し当て部は、例えば、先端外周がテーパ状の押し当て面とされた加締金型を用いた場合、その加締金型の押し当て面の転写面となる。
また、貫通孔のインボード側端を2段の段付き形状としているので、中間径段差部が、等速ジョイント外輪のステム部を挿入するときの案内となり、組立性がより向上する。
特に、前記大径段差部における前記加締部の内周となる部分である加締金型押し当て部分を、開口側が広がるテーパ状部分としているので、加締金型で加締部の加締加工を行うときに、小さい加工荷重で加締加工を行うことができる。このため、軸受の軌道面や転動体に対する加締加工時の負荷を小さくでき、また能力が小さく安価な設備を用いて上記加締加工を低コストで行うことができる。
加締金型の押し当て面の傾斜角度は、小さいほど低い加工荷重での加締加工が可能であるが、傾斜角度が小さくなると、加締部の内径面となる部分よりも奥側に進入する加締金型部分である加締金型先端の導入部が長くなる。そのため、ハブ輪貫通孔の大径段差部における中間径段差部側の端面との干渉を避けることが必要となって、製品形状に制約が生じる。このため、上記干渉を避け、かつ低い加工荷重で加締加工を行える押し当て面の傾斜角度として、上記の設定範囲5〜60°が好適である。
このように、この車輪用軸受装置では、軸受機能へ悪影響を及ぼすことなく、車両への組立工程における内輪抜けを防止できる。
この車輪用軸受装置は、内周に複列の軌道面3を形成した外方部材1と、これら各軌道面3に対向する軌道面4を形成した内方部材2と、これら外方部材1および内方部材2の軌道面3,4間に介在した複列のボール5とで構成される。この車輪用軸受装置は、複列のアンギュラ玉軸受型とされていて、ボール5は各列毎に保持器6で保持されている。上記各軌道面3,4は断面円弧状であり、各軌道面3,4はボール接触角θが背面合わせとなるように形成されている。外方部材1と内方部材2との間の軸受空間の両端は、シール7,8によりそれぞれ密封されている。
内方部材2は回転側の部材となるものであって、外周に車輪取付用のハブフランジ9aを有するハブ輪9と、このハブ輪9の軸部9bのインボード側端の外周に嵌合した内輪10とでなる。これらハブ輪9および内輪10に前記各列の軌道面4が形成されている。ハブ輪9は中心に貫通孔11を有する。
車輪取付用のハブフランジ9aはハブ輪9のアウトボード側端に位置しており、このハブフランジ9aにブレーキロータを介して車輪(いずれも図示せず)がボルト17で取付けられる。
ハブ輪9の貫通孔11は、スプライン溝11aaが形成された一般径部分11aよりもインボード側の部分を、インボード側端の大径段差部11bと、この大径段差部11bよりも小径で前記一般径部分11aよりも大径となる中間径段差部11cとでなる2段の段付き形状としたため、中間径段差部11cが、等速ジョイント外輪13のステム部13aを挿入するときの案内となり、組立性がより向上する。
加締金型18の押し当て面18aの傾斜角度βは、小さいほど低い加工荷重での加締加工が可能であるが、一方、傾斜角度βが小さくなると、加締部9cの内径面である円筒状部分11bよりも奥側に進入する加締金型18の先端導入部の長さEが長くなる。そのため、ハブ輪貫通孔9の大径段差部11bにおける中間径段差部11c側の端面と加締金型18との干渉を避けるために、製品形状に制約が生じる。
このため、上記干渉を避け、かつ低い加工荷重で加締加工を行える押し当て面18aの傾斜角度βとして、上記の設定範囲5〜60°が好適である。
2…内方部材
3…外方部材の軌道面
4…内方部材の軌道面
5…ボール
9…ハブ輪
9a…ハブフランジ
9c…加締部
10…内輪
10a…内輪端面
11…貫通孔
11a…一般径部分
11aa…スプライン溝
11b…大径段差部
11c…中間径段差部
13…等速ジョイント外輪
13a…等速ジョイント外輪のステム部
13aa…ステム部のスプライン
15…内輪嵌合面部
16…内輪の段差部
16b…段面
18…加締金型
18a…押し当て面
Claims (5)
- 内周に複列の軌道面を有する外方部材と、これら軌道面に対向する軌道面を有する内方部材と、対向する軌道面間に介在した複列の転動体とを備え、上記内方部材が、車輪取付用のハブフランジを外周に有し中心に貫通孔を有するハブ輪と、このハブ輪のインボード側端の外周に設けられた内輪嵌合面部に嵌合した内輪とでなり、これらハブ輪および内輪に前記各列の軌道面を形成した駆動輪支持用の車輪用軸受装置において、
前記内輪の内周面に、この内輪のインボード側の端面まで続き、この端面の内周縁に相当する深さの段差部を設け、前記ハブ輪の加締加工により前記内輪の前記段差部の軸方向に向く段面に係合する加締部を設け、この加締部は前記内輪の端面から突出しないものとし、前記ハブ輪の前記貫通孔は、等速自在継手のステム部の外周のスプラインと噛み合うスプライン溝を内周面に有し、前記貫通孔の内周面における前記スプライン溝が形成された一般径部分よりもインボード側の部分を、インボード側端の大径段差部と、この大径段差部よりも小径で前記一般径部分よりも大径となる中間径段差部とでなる2段の段付き形状とし、前記大径段差部における前記加締部の内周となる部分である加締金型押し当て部分を、開口側が広がるテーパ状部分とし、このテーパ状部分のハブ輪中心軸に対する傾斜角度を5〜60°としたことを特徴とする車輪用軸受装置。 - 請求項1において、前記ハブ輪の前記加締部の硬度をHRC28以下とした車輪用軸受装置。
- 請求項1または請求項2に記載の車輪用軸受装置における前記加締部の加締加工方法であって、前記車輪用軸受装置における前記加締部は、加締加工前は内径面が前記大径段差部の一部となる円筒状部分とし、先端外周がテーパ状の押し当て面とされた加締金型を用い、この加締金型の上記押し当て面の軸心に対する傾斜角度を5〜60°とし、この加締金型の前記押し当て面を前記円筒状部分の内周の開口縁に押し付けることにより、前記円筒状部分を拡径状態に加締めて前記加締部とする車輪用軸受装置の加締部の加締加工方法。
- 請求項3において、前記加締金型の前記押し当て面の硬度をHRC30以上とする車輪用軸受装置の加締部の加締加工方法。
- 請求項3または請求項4において、前記加締金型の前記押し当て面の面粗さを、Ra1μm以下とした車輪用軸受装置の加締部の加締加工方法。
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