JP2007023886A - 燃料噴射ポンプ - Google Patents
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Abstract
【課題】カム軸のポンプケースに対するスラストギャップを最小限にすることにより、トルク変動に対するガバナの不要な挙動を抑制し、エンジンの回転変動を防止するとともに、エンジンのトルク特性の安定化を図ることができる燃料噴射ポンプを提供する。
【解決手段】ケース体1を構成するポンプケース3に軸受5を介して支持されるカム軸6の一側端部にガバナウェイト21を装備した燃料噴射ポンプにおいて、カム軸6のガバナウェイト21側と反対側の軸端と、ケース体1を構成するギヤケース2との間に、カム軸6をガバナウェイト21側に押圧するバネ40を設けた。
【選択図】図1
【解決手段】ケース体1を構成するポンプケース3に軸受5を介して支持されるカム軸6の一側端部にガバナウェイト21を装備した燃料噴射ポンプにおいて、カム軸6のガバナウェイト21側と反対側の軸端と、ケース体1を構成するギヤケース2との間に、カム軸6をガバナウェイト21側に押圧するバネ40を設けた。
【選択図】図1
Description
本発明は、ディーゼルエンジンに備えられる燃料噴射ポンプの技術に関し、詳細には、燃料噴射ポンプのカム軸に関する。
従来から、ディーゼルエンジンに備えられる燃料噴射ポンプにおいては、次のような構成のものがある。すなわち、ポンプケース内に軸受などを介してカム軸を支持し、ポンプケースのカム軸方向一側が、エンジンのシリンダブロックに組み付けられるギヤケースに装着され、ポンプケースのカム軸方向他側に、ガバナ機構を収容するガバナケースを取り付けたものである。前記カム軸においては、そのギヤケース内への延設部には、エンジンのクランク軸からの動力が伝達されるポンプ駆動ギヤ(入力ギヤ)が固設され、ガバナケース内への延設部には、ガバナ機構を構成するガバナウェイト等が装着される(例えば、特許文献1参照。)。
そして、エンジンのクランク軸の回転が、該クランク軸に設けられるクランクギヤ及びアイドルギヤ等を介してカム軸のポンプ駆動ギヤに伝達されてカム軸が回転する。これにより、燃料噴射ポンプのプランジャや分配軸が駆動し、燃料供給部から圧送される燃料がデリベリバルブ等へと圧送され、エンジンのシリンダヘッド部に設けられる燃料噴射弁を介して燃焼室内に噴射される構成となっている。
特開2000−104592号公報
そして、エンジンのクランク軸の回転が、該クランク軸に設けられるクランクギヤ及びアイドルギヤ等を介してカム軸のポンプ駆動ギヤに伝達されてカム軸が回転する。これにより、燃料噴射ポンプのプランジャや分配軸が駆動し、燃料供給部から圧送される燃料がデリベリバルブ等へと圧送され、エンジンのシリンダヘッド部に設けられる燃料噴射弁を介して燃焼室内に噴射される構成となっている。
前述したような構成の燃料噴射ポンプにおいては、ギヤの噛合い率を高めて騒音を低減するなどの理由から、カム軸に設けられるポンプ駆動ギヤとして斜歯歯車(ヘリカルギヤ)を用いることが一般的となっている。このため、ポンプ駆動ギヤを介して回転するカム軸にはスラスト力が作用することとなる。このカム軸に作用するスラスト力は、ポンプケースに対するカム軸の軸方向の動きを生じさせ、このカム軸の動きは、カム軸がポンプケースに対して有するスラストギャップ(カム軸方向の隙間)に起因する。つまり、カム軸にスラスト力が作用すると、カム軸がポンプケースに対して有するスラストギャップ分、軸方向に変動することとなる。
例えば、特許文献1にも示されているように、カム軸がポンプケースに対して玉軸受を介して支持される構成の場合、玉軸受はポンプケースに圧入された状態ないしは部材間に挟まれた状態で設けられ、玉軸受の外輪はポンプケース側に位置決めされて該ポンプケース側と一体的となり、玉軸受の内輪はカム軸側と一体的となる。このため、玉軸受自体が外輪と内輪との間で有するスラストギャップが、カム軸がポンプケースに対して有するスラストギャップとなり、このスラストギャップがあるため、カム軸がスラスト力によりポンプケースに対して軸方向に変動する。つまりこの場合、玉軸受の精度により、カム軸のポンプケースに対するスラストギャップが決まることとなる。具体的には、0.2mm程度のスラストギャップが生じる場合がある。
このようなスラストギャップによるカム軸の軸方向の変動は、燃料の供給量を自動的に調整してトルク変動により増減する回転速度を維持するガバナの不要な挙動の原因となり、エンジンの回転変動やトルク特性の不安定化を招く。
一方、カム軸がポンプケースに対して板状の軸受メタル等を介して支持される場合は、シム調整によりカム軸のポンプケースに対するスラストギャップの調整を行っていた。
しかし、シム調整によりスラストギャップの調整を行うこととすると、スラストギャップは燃料噴射ポンプごとに個体差があり、また、経時的に変化することも考えられるため、その調整作業が困難であった。
しかし、シム調整によりスラストギャップの調整を行うこととすると、スラストギャップは燃料噴射ポンプごとに個体差があり、また、経時的に変化することも考えられるため、その調整作業が困難であった。
そこで、本発明が解決しようとする課題は、カム軸のポンプケースに対するスラストギャップを最小限にすることにより、トルク変動に対するガバナの不要な挙動を抑制し、エンジンの回転変動を防止するとともに、エンジンのトルク特性の安定化を図ることができる燃料噴射ポンプを提供することにある。また、容易な作業により、カム軸のポンプケースに対するスラストギャップを調整することができる燃料噴射ポンプを提供することにある。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1においては、ケース体に軸受を介して支持されるカム軸の一側端部にガバナウェイトを装備した燃料噴射ポンプにおいて、前記カム軸のガバナウェイト側と反対側の軸端と、前記ケース体との間に、前記カム軸をガバナウェイト側に押圧する弾性部材を設けたものである。
請求項2においては、請求項1記載の燃料噴射ポンプにおいて、前記弾性部材と前記カム軸の軸端との間に、相対滑り可能な受機構を設けたものである。
請求項3においては、請求項2記載の燃料噴射ポンプにおいて、前記受機構を、前記弾性部材を受ける受部材と、前記カム軸の前記弾性体側の端面中央部に形成される凹部に嵌合された状態で該カム軸の軸端及び前記受部材間に介装される球体と、から構成したものである。
請求項4においては、ケース体に軸受を介して支持されるカム軸の一側端部にガバナウェイトを装備した燃料噴射ポンプにおいて、前記ケース体に、該ケース体の外部から前記カム軸のスラストギャップの調整を行うギャップ調整機構を設けたものである。
請求項5においては、請求項4記載の燃料噴射ポンプにおいて、前記ギャップ調整機構を、前記ケース体にて前記カム軸と同軸方向に螺挿され、一端が前記カム軸のガバナウェイト側と反対側の端面に当接するとともに、他端側が前記ケース体の外部に突出するボルトにより構成したものである。
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
請求項1においては、カム軸がケース体に対して有するスラストギャップを最小限にすることができる。これにより、カム軸にスラスト力が作用することによって生じるカム軸の軸方向の変動を防止することができ、トルク変動に対するガバナの不要な挙動が抑制され、エンジンの回転変動を防止できるとともに、エンジンのトルク特性の安定化を図ることができる。
請求項2においては、弾性部材の摩耗を減少させることができ、弾性部材の長寿命化を図ることができる。
請求項3においては、簡単な構成で、カム軸の回転による該カム軸の端部と弾性部材との間の摩擦抵抗を低減する受機構を構成することができ、弾性部材の摩耗を効果的に減少させることができる。
請求項4においては、燃料噴射ポンプごとに個体差があるカム軸のスラストギャップを、容易な作業によって調整することができ、カム軸がケース体に対して有するスラストギャップを最小限にすることができる。これにより、カム軸にスラスト力が作用することによって生じるカム軸の軸方向の変動を防止することができ、トルク変動に対するガバナの不要な挙動が抑制され、エンジンの回転変動を防止できるとともに、エンジンのトルク特性の安定化を図ることができる。
請求項5においては、簡単な構成でギャップ調整機構を構成することができる。また、ケース体の外側から容易な作業によりカム軸のスラストギャップを調整することができるので、燃料噴射ポンプごとに個体差のあるカム軸のスラストギャップに容易に対応することが可能となり、燃料噴射ポンプにおけるカム軸のスラストギャップを最小限にすることができる。
次に、発明の実施の形態を説明する。
まず、本発明に係る燃料噴射ポンプの概略構成について、図1を用いて説明する。なお、本実施の形態では、プランジャと分配軸とを並設する二軸式構造の分配型燃料噴射ポンプを用いて説明するが、本発明に係る燃料噴射ポンプはこの構造に限定されるものではない。また、以下の説明においては図1の紙面右側を前側とする。
まず、本発明に係る燃料噴射ポンプの概略構成について、図1を用いて説明する。なお、本実施の形態では、プランジャと分配軸とを並設する二軸式構造の分配型燃料噴射ポンプを用いて説明するが、本発明に係る燃料噴射ポンプはこの構造に限定されるものではない。また、以下の説明においては図1の紙面右側を前側とする。
本発明に係る燃料噴射ポンプは、ディーゼルエンジンに備えられるものであり、シリンダ内に形成される燃焼室内に臨ませて設けられる燃料噴射弁から噴射される燃料を、所定のタイミングで所定量圧送するためのものである。
燃料噴射ポンプは、ケース体1に軸受5を介してカム軸6を支持している。ケース体1は、エンジンのシリンダブロックの一側に組み付けられるギヤケース2と、該ギヤケース2に組み付けられるとともに前記カム軸6を支持するポンプケース3と、ガバナ機構20を収容するガバナケース4とを備える。
燃料噴射ポンプは、ケース体1に軸受5を介してカム軸6を支持している。ケース体1は、エンジンのシリンダブロックの一側に組み付けられるギヤケース2と、該ギヤケース2に組み付けられるとともに前記カム軸6を支持するポンプケース3と、ガバナ機構20を収容するガバナケース4とを備える。
ギヤケース2は、前記のとおりシリンダブロックの一側に組み付けられ、シリンダブロック内にて前後方向に支承されるクランク軸に設けられるクランクギヤ等を収容するとともに、シリンダブロックの側壁よりも横方向に突出する。このギヤケース2の突設部分にポンプケース3が組み付けられる。
ポンプケース3内には、カム軸6が前後方向を軸方向として支持されており、カム軸6の前側はポンプケース3の前壁3aに支承され、カム軸6の後側は、ポンプケース3の後部に位置決めされた状態で設けられる軸受5を介して支持されている。そして、ポンプケース3の後側にガバナケース4が組み付けられている。つまり、ポンプケース3は、その前側がギヤケース2に装着されるとともに後側にガバナケース4が装着されている。
ポンプケース3内には、カム軸6が前後方向を軸方向として支持されており、カム軸6の前側はポンプケース3の前壁3aに支承され、カム軸6の後側は、ポンプケース3の後部に位置決めされた状態で設けられる軸受5を介して支持されている。そして、ポンプケース3の後側にガバナケース4が組み付けられている。つまり、ポンプケース3は、その前側がギヤケース2に装着されるとともに後側にガバナケース4が装着されている。
ポンプケース3に支承されるカム軸6は、ポンプケース3からギヤケース2内へ延設されており、この延設部に、エンジンのクランク軸からの動力が伝達されるポンプ駆動ギヤ(入力ギヤ)7が固設されている。これにより、エンジンのクランク軸の回転が、前記クランクギヤ及び該クランクギヤに噛合するアイドルギヤ等を介してポンプ駆動ギヤ7に伝達され、カム軸6が回転する構成となっている。
ポンプケース3の上側には、ハイドロリックヘッド8が接合されており、このハイドロリックヘッド8にプランジャ9を上下摺動自在に内装するプランジャバレル10が挿嵌されている。プランジャ9は、該プランジャ9の下端に付設されるタペット11が、カム軸6に形成されるカム6aに当接するようにスプリング等の付勢手段により下方へ付勢されており、カム軸6の回転にともなうカム6aの回転により上下摺動する構成となっている。
また、カム軸6にはベベルギヤ12が固設されており、該ベベルギヤ12と噛合するベベルギヤ13を有する駆動軸14が、カム軸6の上方において垂直方向に回転自在にポンプケース3に支持されている。この駆動軸14の上端部には、分配軸15の下端部が係合されている。つまり、カム軸6の回転にともないベベルギヤ12・13を介して駆動軸14が回転し、これにより分配軸15が回転する構成となっている。
このような構成により、プランジャ9が上下動範囲の下端部に位置すると、図示せぬフィードポンプ等から供給経路を介して圧送される燃料は、プランジャバレル10内に形成される燃料圧室16内へ圧送される。そして、プランジャ9がカム6aにより押し上げられて上昇することにともない、燃料圧室16内の燃料は、プランジャバレル10に形成される分配ポート10aから、ハイドロリックヘッド8に形成される油路を介して分配軸15へと送られ、該分配軸15を介し、ハイドロリックヘッド8において分配軸15の近傍に挿嵌されるデリベリバルブ18へと圧送され、エンジンのシリンダヘッド部に設けられる燃料噴射弁から燃焼室内に噴射される構成となっている。
また、プランジャ9の外周部には、該プランジャ9と一体的に回動する制御スリーブ17が設けられており、該制御スリーブ17が後述するガバナ機構20により回動されることで、プランジャ9がプランジャバレル10に対して回動する。また、プランジャ9にはプランジャリード9aが形成されており、制御スリーブ17が回動されることでプランジャリード9aのプランジャバレル10に対する角度が変更され、燃料の噴射量が調整される構成となっている。
また、ハイドロリックヘッド8におけるプランジャバレル10の近傍には、低温始動進角機構(以下、「CSD」)19が設けられている。CSD19においては、燃料圧室16内の燃料が、プランジャバレル10に形成される油路からハイドロリックヘッド8に形成される一連のサブポートを介して同じくハイドロリックヘッド8に形成される低圧室19a側に溢流されるように構成されている。つまり、CSD19は、低温始動時において、前記サブポートを閉じ、燃料圧室16内の燃料の溢流をなくすことによって燃料圧室16から高圧の燃料を供給し、燃料の噴射タイミングを早める進角制御を行うものである。
一方、ガバナケース4内のガバナ機構20は、次のような構成となっている。すなわち、ポンプケース3内に支持されるカム軸6は、ポンプケース3からガバナケース4内へ延設されており、この延設部にガバナウェイト21及びガバナスリーブ22が装着されている。ガバナスリーブ22は、カム軸6の回転により生じる遠心力によるガバナウェイト21の動きにともなってカム軸6の軸方向に移動する。また、ガバナケース4内に架設されるガバナ軸23には、第一ガバナレバー24、第二ガバナレバー25及びテンションレバー26が回動自在に支持されている。第一ガバナレバー24と第二ガバナレバー25は、スプリング27により連結されている。第二ガバナレバー25の上端部は、リンク28を介して図示せぬコントロールラックに連結されている。
すなわち、ガバナ機構20においては、カム軸6の回転によってガバナスリーブ22が第一ガバナレバー24の下端部を押すことにより、第一ガバナレバー24がガバナ軸23を中心に回動し、これに連動して第二ガバナレバー25が回動する。この第二ガバナレバー25の回動により、リンク28を介して前記コントロールラックが移動し、燃料噴射ポンプの燃料噴射量が変化する構成となっている。
また、テンションレバー26の近傍にはコントロールレバー29が設けられており、該コントロールレバー29はテンションレバー26に連結されている。コントロールレバー29が外部から回動操作されることにより、テンションレバー26が回動され、このテンションレバー26の回動が第二ガバナレバー25に伝達され、前記コントロールラックが移動して、燃料の噴射タイミングが変化する構成となっている。
なお、図1中30は、噴射量減量用アクチュエータであり、その電子制御されるピストン31を作動させることで第二ガバナレバー25に作用し、燃料噴射量を減量する。
また、テンションレバー26の近傍にはコントロールレバー29が設けられており、該コントロールレバー29はテンションレバー26に連結されている。コントロールレバー29が外部から回動操作されることにより、テンションレバー26が回動され、このテンションレバー26の回動が第二ガバナレバー25に伝達され、前記コントロールラックが移動して、燃料の噴射タイミングが変化する構成となっている。
なお、図1中30は、噴射量減量用アクチュエータであり、その電子制御されるピストン31を作動させることで第二ガバナレバー25に作用し、燃料噴射量を減量する。
以上のように構成される燃料噴射ポンプにおいて、カム軸6に設けられるポンプ駆動ギヤ7は、ギヤの噛合い率を高めて騒音を低減するなどの理由から、斜歯歯車(ヘリカルギヤ)により構成されている。このため、エンジンのクランク軸の回転がアイドルギヤ等を介してポンプ駆動ギヤ7に伝達される際、カム軸6にはスラスト力(軸方向の力)が作用する。このカム軸6に作用するスラスト力は、ポンプケース3に対するカム軸6の軸方向の動きを生じさせ、このカム軸6の動きは、カム軸6がポンプケース3に対して有するスラストギャップ(カム軸6方向の隙間)に起因する。つまり、カム軸6にスラスト力が作用すると、カム軸6がポンプケース3に対して有するスラストギャップ分、その軸方向に変動することとなる。
このようなスラストギャップによるカム軸6の軸方向の変動は、燃料の供給量を自動的に調整してトルク変動により増減する回転速度を維持するガバナ機構20の不要な挙動、具体的には、カム軸6に装着されるガバナスリーブ22の本来位置すべき場所からの変動の原因となり、エンジンの回転変動やトルク特性の不安定化を招く。
そこで、本発明においては、前述のようなカム軸6がポンプケース3に対して有するスラストギャップを最小限にするため、次のような構成を備えている。すなわち、ケース体1を構成するポンプケース3に軸受5を介して支持されるカム軸6の一側端部にガバナウェイト21を装備した燃料噴射ポンプにおいて、カム軸6のガバナウェイト21側と反対側(ポンプ駆動ギヤ7側)の軸端と、ケース体1を構成するギヤケース2との間に、カム軸6をガバナウェイト21側に押圧する弾性部材としてのバネ40を設けている。
本実施形態においては、カム軸6はポンプケース3に対して軸受5により支持されており、該軸受5は玉軸受により構成されているため、カム軸6がポンプケース3に対して有するスラストギャップは、軸受5が有するスラストギャップとなる。
すなわち、外輪5aと内輪5bとこれらの間に介装される複数の玉5cとから構成される軸受5は、ポンプケース3後部に形成される開口部に圧入ないしは嵌入された状態で、その外輪5aが、前記開口部の外縁を覆うとともにボルト33で固定される蓋体32により位置決めされる一方、内輪5bが、軸受5に挿通されるカム軸6に外嵌されている。このため、ポンプケース3側に対して一体的となる軸受5の外輪5aに対し、カム軸6と一体的となる内輪5bが有するスラストギャップが、カム軸6がポンプケース3に対して有するスラストギャップとなる。なお、軸受5の内輪5bの後側に接する支持板34は、カム軸6と一体的に回転可能に設けられている。
すなわち、外輪5aと内輪5bとこれらの間に介装される複数の玉5cとから構成される軸受5は、ポンプケース3後部に形成される開口部に圧入ないしは嵌入された状態で、その外輪5aが、前記開口部の外縁を覆うとともにボルト33で固定される蓋体32により位置決めされる一方、内輪5bが、軸受5に挿通されるカム軸6に外嵌されている。このため、ポンプケース3側に対して一体的となる軸受5の外輪5aに対し、カム軸6と一体的となる内輪5bが有するスラストギャップが、カム軸6がポンプケース3に対して有するスラストギャップとなる。なお、軸受5の内輪5bの後側に接する支持板34は、カム軸6と一体的に回転可能に設けられている。
そこで、前記のとおり、カム軸6の軸端とギヤケース2との間にバネ40を設けることにより、カム軸6をガバナウェイト21側(後側)に押圧する構成としている。
このような構成とすることにより、カム軸6に外嵌される軸受5の内輪5bを、ポンプケース3側に位置決めされる外輪5aに対して玉5cを介して押圧することができ、軸受5において内輪5bが外輪5aに対して有するスラストギャップを埋めることができるので、カム軸6がポンプケース3に対して有するスラストギャップを最小限にすることができる。これにより、カム軸6にスラスト力が作用することによって生じるカム軸6の軸方向の変動を防止することができ、トルク変動に対するガバナ機構20の不要な挙動が抑制され、エンジンの回転変動を防止できるとともに、エンジンのトルク特性の安定化を図ることができる。
なお、弾性部材としては、本実施形態におけるバネ40に限定されず、例えばゴム状の部材などでもよく、カム軸6の軸端とギヤケース2との間に設けられた状態で、カム軸6をガバナウェイト21側に押圧可能なものであればよい。
このような構成とすることにより、カム軸6に外嵌される軸受5の内輪5bを、ポンプケース3側に位置決めされる外輪5aに対して玉5cを介して押圧することができ、軸受5において内輪5bが外輪5aに対して有するスラストギャップを埋めることができるので、カム軸6がポンプケース3に対して有するスラストギャップを最小限にすることができる。これにより、カム軸6にスラスト力が作用することによって生じるカム軸6の軸方向の変動を防止することができ、トルク変動に対するガバナ機構20の不要な挙動が抑制され、エンジンの回転変動を防止できるとともに、エンジンのトルク特性の安定化を図ることができる。
なお、弾性部材としては、本実施形態におけるバネ40に限定されず、例えばゴム状の部材などでもよく、カム軸6の軸端とギヤケース2との間に設けられた状態で、カム軸6をガバナウェイト21側に押圧可能なものであればよい。
カム軸6の軸端とギヤケース2との間にバネ40を設けるに際しての具体的な構造について、図2を用いて説明する。
ギヤケース2の前側面には、カム軸6の軸心位置を略中央とする開口部2aが形成されており、この開口部2aをギヤケース2の外側から覆う蓋体35が、ボルト36によりギヤケース2に固着されている。この蓋体35の略中央部、即ちカム軸6の軸心線の延長線上近傍には、開口部35aが形成されており、この開口部35aに、筒状のキャップ体41がその開口側をギヤケース2内側(後側)に向けるとともに蓋体35からギヤケース2の外側(前側)に突出した状態で嵌設され溶接などにより固定されている。このキャップ体41内に、前記バネ40がその伸縮方向をカム軸6の軸方向として内装されている。なお、キャップ体41は、蓋体35を介することなくギヤケース2に直接設ける構成とすることもできる。
ギヤケース2の前側面には、カム軸6の軸心位置を略中央とする開口部2aが形成されており、この開口部2aをギヤケース2の外側から覆う蓋体35が、ボルト36によりギヤケース2に固着されている。この蓋体35の略中央部、即ちカム軸6の軸心線の延長線上近傍には、開口部35aが形成されており、この開口部35aに、筒状のキャップ体41がその開口側をギヤケース2内側(後側)に向けるとともに蓋体35からギヤケース2の外側(前側)に突出した状態で嵌設され溶接などにより固定されている。このキャップ体41内に、前記バネ40がその伸縮方向をカム軸6の軸方向として内装されている。なお、キャップ体41は、蓋体35を介することなくギヤケース2に直接設ける構成とすることもできる。
そして、カム軸6の軸端とバネ40との間には、相対滑り可能な受機構45が設けられている。つまり、カム軸6の軸端とバネ40との間に、バネ40を受けて該バネ40の弾性力によってカム軸6を押圧することができるとともに、カム軸6側及びバネ40側に対して滑り可能な受機構45が設けられている。
この受機構45を設けることにより、弾性部材としてのバネ40を、カム軸6の端面に直接当接させた状態で設ける場合と比べ、バネ40の摩耗を減少させることができるので、バネ40の長寿命化を図ることができる。
受機構45は、具体的には次のような構成とすることが好ましい。すなわち、受機構45を、バネ40を受ける受部材としてのバネ受け46と、該バネ受け46及びカム軸6の軸端間に介装される球体としての鋼球47とにより構成する。
バネ受け46は、鍔部46aを有するハット状の形状を有しており、その鍔部46aと、前記キャップ体41の内側底面41aとの間にバネ40を介装して該バネ40を受ける。
鋼球47は、カム軸6のバネ40側(前側)の端面中央部に形成される凹部6bに嵌合された状態でカム軸6の軸端及びバネ受け46間に介装される。つまり、カム軸6に形成される凹部6bは、鋼球47の大きさに合わせた球面の一部となる形状を有し、この凹部6bに鋼球47の一部が埋没する。そして、鋼球47は、その中心がカム軸6の軸心線の延長線上に位置するように設けられる。
鋼球47は、カム軸6のバネ40側(前側)の端面中央部に形成される凹部6bに嵌合された状態でカム軸6の軸端及びバネ受け46間に介装される。つまり、カム軸6に形成される凹部6bは、鋼球47の大きさに合わせた球面の一部となる形状を有し、この凹部6bに鋼球47の一部が埋没する。そして、鋼球47は、その中心がカム軸6の軸心線の延長線上に位置するように設けられる。
また、バネ受け46には、略円錐状の窪みである球受部46bが形成されており、該球受部46bに鋼球47が嵌まり込むようになっている。つまり、カム軸6の軸端とバネ受け46との間に介装される鋼球47は、カム軸6の凹部6bとバネ受け46の球受部46bとの間で位置決めされた状態で、カム軸6及びバネ受け46それぞれに対して滑り可能となっている。
なお、バネ受け46は、本実施形態のように、ハット状の形状に限らず、バネ40を受けることができるとともに、鋼球47を介してバネ40の弾性力によってカム軸6を押圧することができる形状であればよい。
なお、バネ受け46は、本実施形態のように、ハット状の形状に限らず、バネ40を受けることができるとともに、鋼球47を介してバネ40の弾性力によってカム軸6を押圧することができる形状であればよい。
このようにして受機構45を構成することにより、簡単な構成で、カム軸6の回転による該カム軸6の端部とバネ40との間の摩擦抵抗を低減する受機構45を構成することができ、バネ40の摩耗を効果的に減少させることができる。
次に、カム軸6のポンプケース3に対するスラストギャップを、容易な作業によって調整することができる構成を有する燃料噴射ポンプについて図3及び図4を用いて説明する。なお、図1及び図2を用いて説明した燃料噴射ポンプと重複する部分については、同一の符号を付してその説明を省略する。
以下に説明する燃料噴射ポンプは、次のような構成を備えている。すなわち、図3に示すように、ケース体1を構成するポンプケース3に軸受5を介して支持されるカム軸6の一側端部にガバナウェイト21を装備した燃料噴射ポンプにおいて、ケース体1を構成するギヤケース2に、ケース体1の外部からカム軸6のスラストギャップの調整を行うギャップ調整機構50を設けている。
このように、ギャップ調整機構50を設けることにより、燃料噴射ポンプごとに個体差があるカム軸6のスラストギャップを、容易な作業によって調整することができ、カム軸6がポンプケース3に対して有するスラストギャップを最小限にすることができる。これにより、カム軸6にスラスト力が作用することによって生じるカム軸6の軸方向の変動を防止することができ、トルク変動に対するガバナ機構20の不要な挙動が抑制され、エンジンの回転変動を防止できるとともに、エンジンのトルク特性の安定化を図ることができる。
以下、ギャップ調整機構50の具体的な構成について、図4を用いて説明する。
以下、ギャップ調整機構50の具体的な構成について、図4を用いて説明する。
ギャップ調整機構50は、ケース体1を構成するギヤケース2にてカム軸6と同軸方向に螺挿され、一端がカム軸6のガバナウェイト21側と反対側(ポンプ駆動ギヤ7側)の端面に当接するとともに、他端側がギヤケース2の外部に突出するボルト51により構成されている。
ボルト51は、前述したようにギヤケース2に固着される蓋体35の略中央部、即ちカム軸6の軸心線の延長線上近傍に設けられるネジ孔部52に螺挿される。ネジ孔部52は、蓋体35の略中央部に形成される開口部35aに固設されるナット体53により構成される。すなわち、ナット体53は、内周面にネジ部が形成されている略筒状の部材であり、蓋体35の開口部35aに嵌設され溶接などにより固定される。
このナット体53に、ボルト51が、カム軸6と同軸方向に螺挿される。なお、ボルト51が螺挿されるネジ孔部52は、蓋体35を介することなくギヤケース2に直接設ける構成とすることもできる。
このナット体53に、ボルト51が、カム軸6と同軸方向に螺挿される。なお、ボルト51が螺挿されるネジ孔部52は、蓋体35を介することなくギヤケース2に直接設ける構成とすることもできる。
ボルト51のギヤケース2内側の端部には、カム軸6に当接する当接部51aが形成されている。当接部51aは、カム軸6の回転による該カム軸6とボルト51との間の摩擦抵抗を低減すべく、図示のように、カム軸6の軸心位置を頂点としてカム軸6側に膨出する曲面により構成される。
また、ボルト51には、そのギヤケース2外への突出部において、ボルト51を位置決めするためのロックナット54が螺合されるとともに、該ボルト51の端部には、ギヤケース2内の潤滑油漏れを防止するための袋ナット55が螺合されている。つまり、ギヤケース2に対してナット体53を介して螺挿されるボルト51のギヤケース2外への突出部には、ナット体53から順にロックナット54及び袋ナット55が螺合されており、これらナット体53、ロックナット54及び袋ナット55によりボルト51のギヤケース2外への突出部が覆われている。そして、これらボルト51に螺合する各部材間には、ギヤケース2内の潤滑油が外部に漏出することを防止するためのシール部材56が介装される。
ボルト51を操作してカム軸6のポンプケース3に対するスラストギャップを調整する際は、次のような手順により行う。すなわち、まず、ボルト51の端部に螺合している袋ナット55を取り外す。次に、ボルト51に螺合しているロックナット54を回転して緩めてボルト51のロックを解除し、ボルト51を回動可能な状態とする。この状態で、ボルト51を回動操作することにより、ナット体53を介して該ボルト51をカム軸6に対して移動させる。つまり、ボルト51を移動させることにより、該ボルト51のカム軸6に対する押圧度合いを調整し、前述したような軸受5を介するカム軸6のポンプケース3に対するスラストギャップを調整する。ここで、ボルト51の回動操作は、該ボルト51のギヤケース2側端部に形成される溝部51bを用いて、ドライバ等の操作具により行う。
ボルト51を移動してカム軸6のスラストギャップの調整を行った後は、ロックナット54を締めることによりボルト51の位置決めをし、ボルト51の端部から袋ナット55を螺合してギヤケース2内の潤滑油漏れを防止する。
ボルト51を移動してカム軸6のスラストギャップの調整を行った後は、ロックナット54を締めることによりボルト51の位置決めをし、ボルト51の端部から袋ナット55を螺合してギヤケース2内の潤滑油漏れを防止する。
このようにしてギャップ調整機構50を構成することにより、簡単な構成でギャップ調整機構50を構成することができる。また、ケース体1の外側から容易な作業によりカム軸6のスラストギャップを調整することができるので、燃料噴射ポンプごとに個体差のあるカム軸6のスラストギャップに容易に対応することが可能となり、燃料噴射ポンプにおけるカム軸6のスラストギャップを最小限にすることができる。
1 ケース体
2 ギヤケース
3 ポンプケース
4 ガバナケース
5 軸受
6 カム軸
6b 凹部
21 ガバナウェイト
40 バネ
45 受機構
46 受部材
47 鋼球
50 ギャップ調整機構
51 ボルト
2 ギヤケース
3 ポンプケース
4 ガバナケース
5 軸受
6 カム軸
6b 凹部
21 ガバナウェイト
40 バネ
45 受機構
46 受部材
47 鋼球
50 ギャップ調整機構
51 ボルト
Claims (5)
- ケース体に軸受を介して支持されるカム軸の一側端部にガバナウェイトを装備した燃料噴射ポンプにおいて、
前記カム軸のガバナウェイト側と反対側の軸端と、前記ケース体との間に、前記カム軸をガバナウェイト側に押圧する弾性部材を設けたことを特徴とする燃料噴射ポンプ。 - 請求項1記載の燃料噴射ポンプにおいて、
前記弾性部材と前記カム軸の軸端との間に、相対滑り可能な受機構を設けたことを特徴とする燃料噴射ポンプ。 - 請求項2記載の燃料噴射ポンプにおいて、
前記受機構を、前記弾性部材を受ける受部材と、前記カム軸の前記弾性体側の端面中央部に形成される凹部に嵌合された状態で該カム軸の軸端及び前記受部材間に介装される球体と、から構成したことを特徴とする燃料噴射ポンプ。 - ケース体に軸受を介して支持されるカム軸の一側端部にガバナウェイトを装備した燃料噴射ポンプにおいて、
前記ケース体に、該ケース体の外部から前記カム軸のスラストギャップの調整を行うギャップ調整機構を設けたことを特徴とする燃料噴射ポンプ。 - 請求項4記載の燃料噴射ポンプにおいて、
前記ギャップ調整機構を、前記ケース体にて前記カム軸と同軸方向に螺挿され、一端が前記カム軸のガバナウェイト側と反対側の端面に当接するとともに、他端側が前記ケース体の外部に突出するボルトにより構成したことを特徴とする燃料噴射ポンプ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005207028A JP2007023886A (ja) | 2005-07-15 | 2005-07-15 | 燃料噴射ポンプ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005207028A JP2007023886A (ja) | 2005-07-15 | 2005-07-15 | 燃料噴射ポンプ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007023886A true JP2007023886A (ja) | 2007-02-01 |
Family
ID=37784982
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005207028A Pending JP2007023886A (ja) | 2005-07-15 | 2005-07-15 | 燃料噴射ポンプ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2007023886A (ja) |
-
2005
- 2005-07-15 JP JP2005207028A patent/JP2007023886A/ja active Pending
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