JP2007022113A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】 カーカスの折返し終端からのセパレーションを有効に防止しつつ、ビード部耐久性と軽量化の双方を高いレベルで両立した空気入りタイヤを提供する。
【解決手段】 空気入りタイヤは、第1のビードコア2と第2のビードコア3を埋設したビード部1と、カーカスプライ4とを有する。第1ビードコア2のタイヤ幅方向最外端5が第2ビードコア3のタイヤ幅方向最外端6よりもタイヤ幅方向外側に位置する。第1ビードコア2のタイヤ径方向最内端7が第2ビードコア3のタイヤ径方向最外端8よりもタイヤ径方向外側及び/又はタイヤ幅方向内側に位置する。カーカスプライ4は、第1ビードコア2と第2ビードコア3の間を通り、第2ビードコア3のタイヤ幅方向内側に至る本体部9と、第2ビードコア3の周りにタイヤ幅方向内側から外側に向かって折り返され、第2ビードコア3のタイヤ幅方向最外端6の近傍で終端する折返し部10とを具える。
【選択図】図1
【解決手段】 空気入りタイヤは、第1のビードコア2と第2のビードコア3を埋設したビード部1と、カーカスプライ4とを有する。第1ビードコア2のタイヤ幅方向最外端5が第2ビードコア3のタイヤ幅方向最外端6よりもタイヤ幅方向外側に位置する。第1ビードコア2のタイヤ径方向最内端7が第2ビードコア3のタイヤ径方向最外端8よりもタイヤ径方向外側及び/又はタイヤ幅方向内側に位置する。カーカスプライ4は、第1ビードコア2と第2ビードコア3の間を通り、第2ビードコア3のタイヤ幅方向内側に至る本体部9と、第2ビードコア3の周りにタイヤ幅方向内側から外側に向かって折り返され、第2ビードコア3のタイヤ幅方向最外端6の近傍で終端する折返し部10とを具える。
【選択図】図1
Description
この発明は、複数のビードコアを埋設した一対のビード部と、プライコードをゴム被覆してなり、一対のビード部間にわたってトロイド状に延びるカーカスプライとを有する空気入りタイヤに関するものである。より詳細には、この発明は、製品タイヤの内面形状と近似した外面形状を有する剛体コアの上にタイヤ構成部材を直接積層して生タイヤを形成し、この生タイヤを剛体コアと共に加硫成型することによってタイヤを製造する、いわゆるコア成型法への適用に好適な空気入りタイヤのビード部構造の改良に関する。
一般的な空気入りタイヤにあっては、タイヤの負荷転動にカーカスの引き抜けを防止するために、十分な周方向剛性を有するビードコアの周りに、タイヤ幅方向内側から外側に向かってカーカスを折り返し、カーカスの折返し終端を、リムラインのタイヤ径方向外側にあるゴム部材中に埋込むことで、ビードコアにカーカスを強固に固定している。このような従来技術にあっては、カーカスの折返し終端が、ビード部のリムへの接触域よりもタイヤ径方向外側に位置することになり、その折返し終端が位置するビード部又はサイドウォール部は、リムによって強固に保持され、ビードコア、ビードフィラー等によって強固に補強されるビード部の半径方向内端部分とは異なり、タイヤの負荷転動に際して、リムフランジよりもタイヤ径方向外側に位置する部分がタイヤ幅方向外側に向かって倒れ込み変形を繰り返す。この結果、特にカーカスの折返し終端に応力が集中しやすく、ここからセパレーションを生じ、カーカスの折返し部に沿って進行するおそれがあった。また、かかるタイヤにおいては、ビードコアを包み込むようにカーカスを配設するため、内面側のケース形状の自由度が低く、ビード部でのケース厚さが大きくならざるを得なかった。
カーカスの係留力を維持しつつ、カーカス折返し終端への応力の集中を防ぐため、従来より種々の提案がされている。例えば特許文献1には、断面積の大きなビードコアと断面積の小さなビードコアとを配設し、これらビードコアにカーカス折返し終端を二回にわたって折り返すように係止したタイヤが記載されている。このタイヤは、カーカスを2つのビードコアに巻き付けることで、ビード部耐久性が向上するとともに、カーカスの折返し終端部を、歪が最も小さくなるビードコアの径方向内側に配置することで、カーカス折返し終端部からのセパレーションが防止できる。
特許文献2には、カーカスの折返し終端を、タイヤ径方向で、ビード部の、リムへの接触域内に位置させるとともに、カーカスの折返し部を巻回ワイヤで挟み込んだタイヤが記載されている。このタイヤは、カーカスの折返し終端への応力の集中、応力の繰り返しの作用等を阻止しつつ、折返し部を挟み込む巻回ワイヤの拘束力によってカーカスの引き抜けが防止できる。
特許文献3には、ビードコアの下部の側面にゴム塊を設け、このゴム塊に、上面部、側面部、下面部の順でカーカスを巻き付けたタイヤが記載されている。このタイヤは、カーカスが引き抜かれる方向に外力が作用すると、カーカスがビードコアをゴム塊に押し付け、ゴム塊がカーカスをリムに押し付ける結果、引き抜けが防止され、ビード耐久性が向上する。
特許文献4には、カーカスが、ビード部内の第1のビードワイヤの周りを巻き上げられた後、ビード部内の第2のビードワイヤの周りを巻き下げられたタイヤが記載されている。このタイヤは、ビード耐久性を損なうことなく、ビードを薄型化することができる。
特許文献5には、第1のビードコアと、重心位置が第1のビードコアの重心位置よりもタイヤ幅方向外側かつタイヤ径方向外側に位置する第2のビードコアとを有し、カーカスが、トレッド部からサイドウォール部を経て第2のビードコアのタイヤ幅方向外側に至る本体部と、この本体部に連なりかつ第2のビードコアに沿ってこの第2のビードコアのタイヤ径方向内側から第1のビードコアのタイヤ径方向外側に至り、しかも第1のビードコアのタイヤ幅方向内側をへてビード底部を軸方向外方にのび第2のビードコアのタイヤ径方向内側に至る巻き込み部と、この巻き込み部に連なりかつ本体部のタイヤ幅方向外側でしかもこの本体部に沿って折り返されて終端する折り返し部とを具える15°テーパリム用重荷重用タイヤが記載されている。このタイヤは、ビードエーペックスを省略することができるのでタイヤ重量の軽量化を達成することができる上、カーカス本体部と折返し部とをほぼ平行に配列したことでプライ間のせん断歪を少なくしてビード部耐久性を向上することができる。
ところで、近年、タイヤ成型工程での拡径変形をできるだけ小さくしてユニフォミティ等のタイヤの品質を安定させるため、インナーライナー、ビードフィラー、サイドゴムおよびトレッドゴム等のタイヤ構成部材を個別に準備することなく、製品タイヤの内面形状と近似した外面形状を有する剛体コアの上にリボン状ストリップをらせん状に複数条巻回し、所定のタイヤ構成部材の形状が得られるまで積層して生タイヤを形成し、この生タイヤを剛体コアと共に加硫成型することによってタイヤを製造する、いわゆるコア成型法が提案されている(例えば特許文献6参照)。コア成型法では、まず剛体コア又は成型ドラム等の成型台上のビード部を形成すべき位置に第1のビードコアを配置し、この上にカーカスを貼り付け、さらに第2のビードコアを載置することによって、第1ビードコアと第2ビードコアでカーカス端部を挟持する構造、いわゆる挟み込みビード構造を構成することが多い。かかる挟み込みビード構造では、特に重荷重用タイヤにおいて、カーカスを係止する力が不十分であり、空気圧の充填下でのタイヤの負荷転動距離の増加につれて、カーカスの、ビードコア間からの引き抜けを有効に抑制することができず、十分なビード部耐久性を確保することが困難となる場合がある。
しかし、これら特許文献1〜3に記載されたタイヤは、従来と同様の構成のビードコアに加えて補助ビードコア、巻回ワイヤ、ゴム塊といった補助部材をビード部内に埋設するため、これら補助部材の分だけ重量が増加する。また、特許文献1〜4に記載されたタイヤは、タイヤ幅方向断面内におけるカーカスプライの通り道である、いわゆるカーカスラインがタイヤ内面に沿っているため、ビード部でのケース厚さが厚くならざるを得ず、軽量化が困難であった。さらに、特許文献5に記載されたタイヤは、カーカスの折返し終端を、リムラインのタイヤ径方向外側にあるゴム部材中に埋込んだ従来のタイヤに比較すれば減少しているものの、依然としてカーカスの折返し終端からのセパレーションが発生していた。これらに加え、特許文献1〜5に記載されたタイヤは、従来の成型ドラム上でブラダ等により拡縮させながら製造することを前提としており、特許文献6に記載されたコア成型法では製造が困難であるか、あるいは全く不可能であった。
したがって、この発明は、従来技術が抱えるこのような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、カーカス折返し終端からのセパレーションを有効に防止することを前提に、ビード部耐久性と軽量化の双方を高いレベルで両立した、コア成型法でも製造が可能な空気入りタイヤを提供することにある。
前記の目的を達成するため、この発明は、複数のビードコアを埋設した一対のビード部と、プライコードをゴム被覆してなり、前記一対のビード部間にわたってトロイド状に延びるカーカスプライとを有する空気入りタイヤにおいて、タイヤ幅方向断面にて、各ビード部は、少なくとも第1のビードコアと第2のビードコアとを具え、これらビードコアを、第1ビードコアのタイヤ幅方向最外端が第2ビードコアのタイヤ幅方向最外端よりもタイヤ幅方向外側に位置し、かつ第1ビードコアのタイヤ径方向最内端が第2ビードコアのタイヤ径方向最外端よりもタイヤ径方向外側及び/又はタイヤ幅方向内側に位置するように配置してなり、前記カーカスプライは、両ビード部間をトロイド状に延び、第1ビードコアのタイヤ幅方向外側、第1ビードコアのタイヤ径方向内側、第2ビードコアのタイヤ径方向外側を順次通り、第2ビードコアのタイヤ幅方向内側に至る本体部と、該本体部に連なり、第2ビードコアの周りにタイヤ幅方向内側から外側に向かって折り返され、第2ビードコアのタイヤ幅方向最外端近傍で終端する折返し部とを具えることを特徴とする空気入りタイヤである。このような構成を採用することにより、タイヤ内に充填した内圧及びタイヤの負荷転動時のトレッド部の変形に起因してカーカスプライに張力が加わった際にも、カーカスプライのビードコアからの引き抜けを有効に抑制できる上、カーカスラインへの制約が少なく、ビード部のケース厚さを容易に薄くすることができる。
なお、ここでいう「第2ビードコアのタイヤ幅方向最外端近傍」とは、ビードコアのタイヤ幅方向最外端から、タイヤ幅方向内側に向かってビードコア幅の1/3以内の範囲及びタイヤ幅方向外側に向かって10mm以内の範囲を意味するものとし、好ましくは第2ビードコアのタイヤ幅方向最外端を中心として5mm以内の範囲である。
また、カーカスプライの本体部は、第1ビードコアのタイヤ径方向内側で第2ビードコアのタイヤ径方向外側に位置する部分が略直線状に延びることが好ましい。なお、ここでいう「略直線状」とは、加硫成型などにおける変形を許容するもので、直線の他、曲率半径100mm以上の円弧を含むことができる。
さらに、第1ビードコアのタイヤ幅方向最内端は前記第2ビードコアのタイヤ幅方向最外端よりもタイヤ幅方向外側に位置することが好ましい。
さらにまた、第2ビードコアは、タイヤ幅方向長さがタイヤ径方向長さに比べて大きい断面形状を有する細長ビードコアであることが好ましく、タイヤ幅方向長さがタイヤ径方向長さの1.5倍以上であることがさらに好ましく、2倍以上であることがより好ましい。
このように第2ビードコアが細長ビードコアである場合には、カーカスプライの折返し部は、第2ビードコアの長手方向に平行に延びる直線状部分を有することが好ましく、この直線状部分の延在長さは第2ビードコアのタイヤ幅方向長さの1/3以上であることがさらに好ましく、直線状部分の延在長さは10mm以上であることがより好ましい。
また、カーカスプライの折返し部のタイヤ径方向内側に補助ビードコアをさらに具えることが好ましい。
さらに、平行配列された複数本のコードをゴム被覆してなる補強層を、その少なくとも一部がカーカスプライに沿うように配設することが好ましい。
この発明によれば、ビード部構造の適正化を図ることにより、カーカスの折返し終端からのセパレーションを有効に防止しつつ、ビード部耐久性と軽量化の双方を高いレベルで両立した、コア成型法でも製造が可能な空気入りタイヤを提供することが可能となる。
次に、図面を参照しつつ、この発明の実施の形態を説明する。図1は、この発明に従う代表的な空気入りタイヤ(以下「タイヤ」という)のビード部のタイヤ幅方向断面を示している。
この発明の空気入りタイヤは、ビード部1に、第1のビードコア2と第2のビードコア3の少なくとも2個のビードコアを埋設している。このビード部1と図示しない他方のビード部との間には、プライコードをゴム被覆したカーカスプライ4がトロイド状に延びる。
そして、この発明の構成上の主な特徴は、第1ビードコア2のタイヤ幅方向最外端5が第2ビードコア3のタイヤ幅方向最外端6よりもタイヤ幅方向外側に位置すること、第1ビードコア2のタイヤ径方向最内端7が第2ビードコア3のタイヤ径方向最外端8よりもタイヤ径方向外側及び/又はタイヤ幅方向内側に位置すること(図示の例ではタイヤ径方向外側に位置している)、カーカスプライ4は、両ビード部間をトロイド状に延び、第1ビードコア2のタイヤ幅方向外側、第1ビードコア2のタイヤ径方向内側、第2ビードコア3のタイヤ径方向外側を順次通り、第2ビードコア3のタイヤ幅方向内側に至る本体部9と、この本体部9に連なり、第2ビードコア3の周りにタイヤ幅方向内側から外側に向かって折り返され、第2ビードコア3のタイヤ幅方向最外端6の近傍で終端する折返し部10とを具えることにある。
図10に示すように、走行中のタイヤには、充填した内圧及びトレッド部の屈曲変形に起因して、カーカスプライ4には張力Tが作用する。かかる張力Tは、リムベースに沿う方向の分力tαとこれに直交する方向の分力tβとに分解できる。また、走行中のタイヤには、充填した内圧及び負荷転動に起因して、カーカスプライの端部に応力が集中し、ここからセパレーションが発生しやすく、このような応力集中を回避するためには、カーカスプライの端部をビードコア周辺に配置することが有効である。しかし、カーカスプライ端部をビード部内に配置すると、張力Tの分力tαはビードコアが負担するが、分力tβを負担する部材がなく、ビードコアの外方で、カーカスプライ4が径方向外側に引っ張られ、カーカスラインが破線で示したようになる。このようなカーカスラインの変形は、カーカスプライによるタイヤの形状保持性を低下させる上、ビードコアとカーカスプライとの間の亀裂の発生を招くことから好ましくない。
これに対し、この発明では、カーカスプライ4のタイヤ径方向外側に、第1ビードコア2を配設し、第2ビードコア3の周りにカーカスプライ4を折り返し、カーカスプライ4を第2ビードコア3の周辺で終端させることによって、第1ビードコア2に張力Tの分力tβを分担させ、第2ビードコア3に張力Tの分力tαを分担させて、前記のようなカーカスラインの変形を防ぎつつ、カーカスプライ4を強固にビード部に係留することができる。さらに、カーカスプライ4の端部11を第2ビードコア3のタイヤ幅方向最外端6の近傍に配置したことで、サイドウォール部の倒れ込み変形の影響を排除し、端部11への応力集中を回避することができる。さらに、カーカスラインがタイヤの外側輪郭面に近づくので、ビード部でのケース厚さが薄くなり、ケース厚さの減少分だけ軽量化を図ることができる。
次に、この発明に従うタイヤの製造方法について説明する。この発明に従うタイヤは、成型ドラム上に所定のタイヤ構成部材を貼り付けた後にブラダ等を用いて拡径変形させて生タイヤを形成する従来のタイヤ製造方法によっても製造することができるが、製品タイヤの内面形状と近似した外面形状を有する剛体コアの上にタイヤ構成部材を直接積層して生タイヤを形成するコア成型法に特に好適であり、以下ではコア成型法による製造方法を例として説明を行う。
図2〜5は、図1に示すタイヤの製造工程を示す。まず、図2に示すように、剛体コア12の上に第1ビードコア2を配設する。次に、剛体コア12を周方向に割出し作動させながら、その外周面に所定長さに切断したプライコード13を貼着すると、図3に示すような状態となる。さらに、図4に示すように、プライコード13の上に第2ビードコア3を配設する。第2ビードコア3の下方にはプライコード13の折返し部分が突出しているので、これを、図示しないブラダ、プッシャー等の折返し手段を用いて第2ビードコア3の周りに巻き付けると、図5に示すように、図1に示すタイヤのビード部構造が得られる。これに、未加硫のゴムストリップを巻回積層し、補強ベルト層、トレッド部等の他のタイヤ構成要素を取り付け、成型金型内で加硫成型を行えば、この発明のタイヤが得られる。
このように、コア成型法では、第1ビードコアを先に配設し、第2ビードコアを後から配設する。この際、第1ビードコア2のタイヤ径方向最内端が第2ビードコア3のタイヤ径方向最外端よりもタイヤ径方向内側かつタイヤ幅方向外側に位置する場合には、図11に示すように、第1ビードコア2を配設した後に、第2ビードコア3を第1ビードコア2の幅方向内側に押し込む必要があるが、第1ビードコア2は高い周方向剛性を有しているため、第2ビードコア3をセットするために第1ビードコア2を径方向に引き伸ばすことはできず、結局、コア成型法ではかかるビード構造をタイヤの製造は非常に困難である、あるいは全く不可能である。一方、この発明のタイヤでは、第1ビードコア2のタイヤ径方向最内端7を、第2ビードコア3のタイヤ径方向最外端8よりもタイヤ径方向外側及び/又はタイヤ幅方向内側に配置しているので、コア成型法でも無理なく両ビードコアを剛体コア上にセットすることができる。
なお、図示の態様では、予め所定の長さに切断したプライコード13を用いているが、長尺のプライコードを剛体コア上に貼り付けた後、所定の長さに切断してもよく、あるいは、1本の長尺のプライコードを剛体コア上に折り返しながら往復させて貼り付けることもできる。
また、カーカスプライ4の本体部9は、第1ビードコア2のタイヤ径方向内側かつ第2ビードコア3のタイヤ径方向外側に位置する部分14が略直線状に延びることが好ましい。この部分14が屈曲しており、張力Tが作用した際に第1ビードコア2と第2ビードコア3の間に挟持されると、張力Tが繰り返して作用した場合に、部分14にフレッティングが発生して、ビード部耐久性が低下するおそれがあるからである。また、部分14が略直線状であると、コア成型法への適用が容易になるからである。フレッティングを防止する観点からは、特に第1ビードコア2の重心G1からカーカスラインに下ろした垂線と、第2ビードコア3の重心G2からカーカスラインに下ろした垂線との間に位置する部分を略直線状とする。
図6は、この発明に従うタイヤの他の実施態様を示す。このように、第1ビードコア2のタイヤ幅方向最内端15は第2ビードコア3のタイヤ幅方向最外端6よりもタイヤ幅方向外側に位置することもできる。すなわちタイヤ幅方向で第1ビードコア2と第2ビードコア3がオーバーラップしないように配置することができる。このように第1ビードコア2と第2ビードコア3をオーバーラップさせないで配置すると、軽量化の点で有利である。
また、第2ビードコア2は、タイヤ幅方向長さWがタイヤ径方向長さHに比べて大きい断面形状を有する細長ビードコアであることが好ましい。第2ビードコアを細長ビードコアとすることで、ビード部のケース厚さをより一層薄くすることができ、軽量化が促進されるからである。より好ましくはW/Hが1.5以上、さらにこの好ましくはW/Hが2.0以上である。
さらに、カーカスプライの折返し部10は、第2ビードコア3の長手方向に平行に延びる直線状部分16を有することが好ましい。かかる直線状部分16を有することにより、カーカスプライの折返し部10が第2ビードコア3によって効率的にリムに押圧され、カーカスプライの係止力が一層向上するからである。係止力をより一層向上させる観点からは、この直線状部分16の延在長さは第2ビードコア3の長手方向長さの1/3以上であること、及び/又は直線状部分16の延在長さは10mm以上であることがさらに好ましい。直線状部分16がこれよりも短いと、直線状部分16を設けたことによる係止力向上の効果が十分に得られない場合があるからである。係止力向上の観点からは、直線状部分16の少なくとも一部が第2ビードコア3の重心G2よりもタイヤ幅方向外側に位置することが好ましい。
このように、この発明のタイヤは高いカーカス係止効果を奏するが、重荷重用タイヤのように、使用条件が過酷であり、さらに高いカーカス係止効果が望まれる場合には、図7に示すように、カーカスプライの折返し部10のタイヤ径方向内側に補助ビードコア17を配設することができる。このような補助ビードコア17を用いると、上述したカーカス係止効果に加えて、十分な周方向剛性を有するビードコア3、17の間にカーカスプライの折返し部10を挟むことにより生ずる、カーカスプライの折返し部10に直交する向きの圧着力が発生するので、カーカス係止効果が一層向上する。補助ビードコア17による圧着力を高める観点からは、補助ビードコア17と第2ビードコア3の対向する面が互いに平行となるように配置し、これらビードコアのタイヤ幅方向長さを略同一とすることがさらに好ましい。また、補助ビードコア17は、主としてカーカスプライの折返し部10を圧着するためのものであり、ビード部1をリムに固定する機能は主として第2ビードコア3が果たしているので、補助ビードコア17は高さ(長手方向に直交する向きの最大長さ)が比較的小さくてもよく、軽量化の観点からは、高さを1.0〜1.5mmの範囲とすることが好ましい。
また、図8に示すように、平行配列された複数本のコードをゴム被覆してなる補強層18を、その少なくとも一部がカーカスプライ4に沿うように配設することが好ましい。かかる補強層18は、カーカスプライ4に加わる張力Tを分散して負担するので、カーカスプライ4の引き抜けが一層有効に防止されるからである。したがって、補強層18を構成するコードは、その延在方向と張力Tの作用する方向とのなす角が小さいほど好ましい。補強層18の配設位置は、図示の態様のように、カーカスプライの本体部9及び折返し部10の双方に沿ったものに限定されず、カーカスプライの本体部9及び折返し部10の何れか一方のみに沿っていてもよい。しかし、カーカスプライの端部11からのセパレーションを一層有効に防止する観点からは、図8のように、カーカスプライ端部11を覆うように配設することが好ましい。かかる補強層18としては、タイヤ周方向に対して比較的小さな角度で延在するスチールコード又は有機繊維コードをゴム被覆したものが特に好適であり、例えば3+8の撚りスチールコードや1260d/2の66ナイロンコードのゴム引き層、又はこれらの複数層をコードの延在方向が互いに交差するように積層したもの等を挙げることができるが、これに限定されない。
なお、上述したところは、この発明の実施形態の一部を示したにすぎず、この発明の趣旨を逸脱しない限り、これらの構成を相互に組み合わせたり、種々の変更を加えたりすることができる。例えば、第1及び第2ビードコアは、種々の断面形状とすることができ、四角形状、六角形状、八角形状、楕円形状等とすることができる。また、カーカスプライの端部11は、図1のように第2ビードコア3のタイヤ幅方向最外端6と略同一、図6のように第2ビードコア3のタイヤ幅方向最外端6のタイヤ幅方向内側、図7のように第2ビードコア3のタイヤ幅方向最外端6のタイヤ幅方向外側とすることができ、さらに図9に示すように、カーカスプライの端部11を第2ビードコア3に沿って折り曲げることもできる。加えて、特に高い係止効果が要求される場合には、図示は省略するが、補助ビードコア17と補強層18を併用することもできる。
次に、この発明に従う空気入りタイヤを試作し性能評価を行ったので、以下に説明する。
実施例のタイヤは、タイヤサイズが11R22.5のトラック及びバス用15°テーパーラジアルタイヤであり、図1に示すようなビード部構造を有しており、第2ビードコアのタイヤ幅方向長さが20mmであり、タイヤ径方向長さが15mmであり、ビードベースに対する細長ビードコアの長手方向の傾斜角が15°であり、カーカスプライの折返し部の直線状部分の延在長さが15mmである。
比較のため、タイヤサイズが実施例のタイヤと同じであり、ビード部を除いて実施例のタイヤと同一のタイヤ構造を有するものの、断面形状が六角形のビードコアの周りにカーカスを巻き付け、折返し終端をリムラインのタイヤ径方向外側30mmとした従来例のタイヤについても併せて試作した。
実施例及び従来例の各タイヤの質量を測定したところ、従来例のタイヤに比べて、実施例のタイヤは2%軽かった。
前記各供試タイヤを、サイズ8.25×22.5のリムに装着してタイヤ車輪とし、このタイヤ車輪に空気圧700kPa(相対圧)を適用し、走行速度60km/h、タイヤ負荷荷重29.4kNの条件下でドラム試験機上を10万km走行させた後、各タイヤを解体してカーカスの引き抜け及びカーカス折返し終端からのセパレーションの発生の有無を目視で確認した。その結果、実施例のタイヤでは引き抜け及びセパレーションは全く観察されなかったが、従来例のタイヤでは折返し終端に長さ1mmのセパレーションが観察された。
以上の説明から明らかなように、この発明によって、カーカス折返し終端からのセパレーションを有効に防止するとともに、ビード部耐久性と軽量化の双方を高いレベルで両立した、コア成型法でも製造が可能な空気入りタイヤを提供することが可能となった。
1 ビード部
2 第1ビードコア
3 第2ビードコア
4 カーカスプライ
5 第1ビードコアのタイヤ幅方向最外端
6 第2ビードコアのタイヤ幅方向最外端
7 第1ビードコアのタイヤ径方向最内端
8 第2ビードコアのタイヤ径方向最外端
9 カーカスプライの本体部
10 カーカスプライの折返し部
11 カーカスプライの端部
12 剛体コア
13 プライコード
14 カーカスプライの、第1ビードコアのタイヤ径方向内側かつ第2ビードコアのタイヤ径方向外側に位置する部分
15 第1ビードコアのタイヤ幅方向最内端
16 カーカスプライの折返し部の直線状部分
17 補助ビードコア
18 補強層
2 第1ビードコア
3 第2ビードコア
4 カーカスプライ
5 第1ビードコアのタイヤ幅方向最外端
6 第2ビードコアのタイヤ幅方向最外端
7 第1ビードコアのタイヤ径方向最内端
8 第2ビードコアのタイヤ径方向最外端
9 カーカスプライの本体部
10 カーカスプライの折返し部
11 カーカスプライの端部
12 剛体コア
13 プライコード
14 カーカスプライの、第1ビードコアのタイヤ径方向内側かつ第2ビードコアのタイヤ径方向外側に位置する部分
15 第1ビードコアのタイヤ幅方向最内端
16 カーカスプライの折返し部の直線状部分
17 補助ビードコア
18 補強層
Claims (9)
- 複数のビードコアを埋設した一対のビード部と、プライコードをゴム被覆してなり、前記一対のビード部間にわたってトロイド状に延びるカーカスプライとを有する空気入りタイヤにおいて、
タイヤ幅方向断面にて、
各ビード部は、少なくとも第1のビードコアと第2のビードコアとを具え、これらビードコアを、第1ビードコアのタイヤ幅方向最外端が第2ビードコアのタイヤ幅方向最外端よりもタイヤ幅方向外側に位置し、かつ第1ビードコアのタイヤ径方向最内端が第2ビードコアのタイヤ径方向最外端よりもタイヤ径方向外側及び/又はタイヤ幅方向内側に位置するように配置してなり、
前記カーカスプライは、両ビード部間をトロイド状に延び、第1ビードコアのタイヤ幅方向外側、第1ビードコアのタイヤ径方向内側、第2ビードコアのタイヤ径方向外側を順次通り、第2ビードコアのタイヤ幅方向内側に至る本体部と、該本体部に連なり、第2ビードコアの周りにタイヤ幅方向内側から外側に向かって折り返され、第2ビードコアのタイヤ幅方向最外端近傍で終端する折返し部とを具えることを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記カーカスプライの本体部は、第1ビードコアのタイヤ径方向内側で第2ビードコアのタイヤ径方向外側に位置する部分が略直線状に延びる、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記第1ビードコアのタイヤ幅方向最内端は前記第2ビードコアのタイヤ幅方向最外端よりもタイヤ幅方向外側に位置する、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記第2ビードコアは、タイヤ幅方向長さがタイヤ径方向長さに比べて大きい断面形状を有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記カーカスプライの折返し部は、第2ビードコアの長手方向に平行に延びる直線状部分を有する、請求項4に記載の空気入りタイヤ。
- 前記直線状部分の延在長さは第2ビードコアの長手方向長さの1/3以上である、請求項5に記載の空気入りタイヤ。
- 前記直線状部分の延在長さは10mm以上である、請求項5又は6に記載の空気入りタイヤ。
- 前記カーカスプライの折返し部のタイヤ径方向内側に補助ビードコアをさらに具える、請求項1〜7のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
- 平行配列された複数本のコードをゴム被覆してなる補強層を、その少なくとも一部がカーカスプライに沿うように配設してなる、請求項1〜8のいずれか一項に記載の空気入りタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2005202640A JP2007022113A (ja) | 2005-07-12 | 2005-07-12 | 空気入りタイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2005202640A JP2007022113A (ja) | 2005-07-12 | 2005-07-12 | 空気入りタイヤ |
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ID=37783465
Family Applications (1)
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JP (1) | JP2007022113A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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US8151849B2 (en) | 2008-06-12 | 2012-04-10 | The Goodyear Tire & Rubber Company | Radial aircraft tire with flipper reinforcement |
-
2005
- 2005-07-12 JP JP2005202640A patent/JP2007022113A/ja not_active Withdrawn
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