JP2007016650A - V型エンジン - Google Patents

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Abstract

【課題】 高圧燃料ポンプをバンクのヘッド部に配置しつつ、遮音効果も高められるV型エンジンを提供する。
【解決手段】 一対のバンク4A、4Bの一方のヘッド部3Aに設けられた高圧燃料ポンプ9と、高圧燃料ポンプ9と接続されるパルセーションダンパ10、デリバリパイプ11A、11B等の燃料系部品と、バンク間の間隙を上方から覆う遮音部材としての吸気モジュール15とを備えたV型エンジン1において、上記の燃料系部品を吸気モジュール15とバンク4A、4Bとによって囲まれた筒状空間16に配置するとともに、高圧燃料ポンプ9と燃料系部品とを結ぶ配管13を、ヘッド部3Aの内部を貫いて筒状空間16に引き込む。
【選択図】 図1

Description

本発明は、バンクのヘッド部に高圧燃料ポンプが配置されたV型エンジンに関する。
一般的なV型エンジンでは、燃料系部品、吸気系部品等の各種の部品がバンク間の間隙に配置されている。しかし、これらの部品が発する音が問題となる場合がある。この対策としてバンク間の間隙を上方からカバーで覆って遮音効果を高めたV型エンジンが知られている(特許文献1参照)。バンク間の間隙を覆うカバーとエンジンの両バンクとによって囲まれた筒状空間内にレゾネータを設置して定在波による共鳴音の低減を図ったV型エンジンも提案されている(特許文献2参照)。バンク間の間隙を覆うカバーを中空状に形成し、その内部を吸気通路と接続してカバーの中空部分を共鳴室として機能させることにより、バンク間に配置された燃料噴射ポンプ等からの騒音を遮断するとともに、吸気脈動音を減衰させるようにしたV型エンジンも提案されている(特許文献3参照)。
実開平5−83338号公報 特開平8−144783号公報 実開平7−14156号公報
多くのV型エンジンでは高圧燃料ポンプがバンク間に配置されている。しかしながら、一方のバンクのヘッド部に高圧燃料ポンプが配置され、そのポンプが動弁系のカムシャフトに取り付けられたポンプ用のカムで駆動される構成のV型エンジンも存在する。このようなレイアウトのV型エンジンでは、高圧燃料ポンプと接続されるべきパルセーションダンパ等の燃料系部品、あるいは高圧燃料ポンプに通じる配管がヘッド部の周囲に露出しているため、これらが音源となって騒音が高まることがある。特に、高圧燃料ポンプから吐出される燃料は高圧でしかも脈動しているため、その高圧燃料が導かれる配管が露出しているとヘッド部の周りの騒音が顕著に増加する。しかも、上記の配管、あるいは関連部品がヘッド部の周囲に露出していると、ヘッド部の外表面の構成が複雑化し、従来のような遮音用のカバーではこれらの音源を十分に覆いきれず、有効な遮音対策を講じることが困難なことがある。上述した先行技術文献はこのような問題に対して解決策を提示していない。
そこで、本発明は、高圧燃料ポンプをバンクのヘッド部に配置しつつ、遮音効果も高められるV型エンジンを提供することを目的とする。
本発明のV型エンジンは、一対のバンクの少なくとも一方のヘッド部に設けられた高圧燃料ポンプと、前記高圧燃料ポンプと接続される燃料系部品と、前記バンク間の間隙を上方から覆う遮音部材とを備え、前記燃料系部品が前記遮音部材と前記バンクとによって囲まれた筒状空間に配置されるとともに、前記高圧燃料ポンプと前記燃料系部品とを結ぶ配管が、前記ヘッド部の内部を貫いて前記筒状空間に引き込まれていることにより、上述した課題を解決する(請求項1)。
本発明のV型エンジンによれば、高圧燃料ポンプと燃料系部品とを結ぶ配管、及び筒状空間に配置された燃料系部品のそれぞれが燃料の脈動に伴って発する放射音等の音の拡散をヘッド部あるいは遮音部材によって抑えることができる。これにより、配管あるいは燃料系部品をヘッド部外、あるいは筒状空間の外部に露出させた場合と比較して遮音効果を高めることができる。
本発明の一形態において、前記筒状空間の端部には、当該筒状空間を閉じる閉鎖部材が設けられてもよい(請求項2)。筒状空間の端部をさらに閉鎖部材で閉じることにより、筒状空間内に配置された燃料系部品、あるいは配管が発する音を筒状空間内に閉じ込めて遮音効果をさらに高めることができる。
本発明の一形態において、前記高圧燃料ポンプの吐出口が前記ヘッド部内に位置し、前記配管が前記吐出口と前記燃料系部品とを結ぶ高圧配管であってもよい(請求項3)。この場合には、高圧燃料ポンプの吐出口と高圧配管との接続部分がヘッド部内に隠れ、その吐出口から燃料系部品まで延ばされる高圧配管もヘッド部内を貫いて筒状空間へと引き込まれるので、高圧燃料の脈動によって高圧配管から生じる比較的大きな放射音を効果的に遮音することができる。しかも、高圧燃料ポンプの吐出口と高圧配管との接続部分がヘッド部外に露出しないので、ヘッド部の外表面の構成をそれらの接続部分が露出している場合と比較して単純化することができる。従って、ヘッド部の外表面に何らかの遮音部品を取り付ける必要がある場合にも容易に対応することができる。
本発明の一形態において、前記高圧燃料ポンプは、その全体が前記ヘッド部内に隠れるようにして前記ヘッド部に取り付けられてもよい(請求項4)。この形態によれば、ヘッド部それ自体で高圧燃料ポンプを覆い隠すことができるので、高圧燃料ポンプの作動音に対する遮音効果をさらに高めることができる。シリンダヘッドカバーといったヘッド部の構成部品を高圧燃料ポンプに対する遮音部品として機能させることができ、遮音対策で必要とされる部品の点数を削減することができる。
本発明の一形態においては、前記配管が、シリンダを備えたシリンダブロックをさらに貫いて前記筒状空間に引き込まれてもよい(請求項5)。シリンダブロックまで配管を延ばすことにより、その配管が発する音をさらに効果的に遮音することができる。
本発明において、バンク間の筒状空間に配置されるべき燃料系部品としては種々のものを選択してよいが、その好適な一形態においては、前記燃料系部品として、燃料の脈動を抑えるパルセーションダンパ、及び前記高圧燃料ポンプから吐出された燃料をシリンダ毎の燃料噴射弁に分配するためのデリバリパイプが含まれる(請求項6)。高圧燃料ポンプに関連して必要とされる燃料系部品の中でも、パルセーションダンパ及びデリバリパイプは比較的大きくかつそれらが発する音も大きいため、これらの部品を筒状空間に配置した場合には本発明による遮音効果を効果的に発揮させることができる。また、これらの燃料系部品がヘッド部の外表面から除かれることにより、ヘッド部の外表面の構成が極めて単純化され、遮音カバーの追加等によるさらなる遮音対策が必要となる場合でもその対応が容易となる。
以上に説明したように、本発明のV型エンジンによれば、高圧燃料ポンプと燃料系部品とを結ぶ配管、及び筒状空間に配置された燃料系部品のそれぞれが燃料の脈動に伴って発する放射音等の音の拡散をヘッド部あるいは遮音部材によって抑えることができるので、配管あるいは燃料系部品をヘッド部外、あるいは筒状空間の外部に露出させた場合と比較して遮音効果を高めることができる。また、配管及び燃料系部品をヘッド部内、あるいは筒状空間内に収めることにより、ヘッド部の外表面の構成を単純化することができるので、遮音カバーのような遮音部品をさらに追加する場合でも、その遮音部品を容易に設けることができ、かつ遮音効果も容易に高めることができる。
(第1の形態)
図1は、本発明の第1の形態に係るV型エンジン(以降、エンジンと略する)1の斜視図である。図2は図1のエンジンを後方から見た状態を示す図、図3は図1のエンジンを左方向から見た図である。図1〜図3において、エンジン1は、車両に走行用動力源として搭載されるもので、シリンダブロック2上に一対のヘッド部3A、3BがV字状を描くように互いに傾けて設けられることにより、一対のバンク4A、4Bが形成されたV型エンジンとして構成されている。
ヘッド部3A、3Bは、シリンダヘッド5と、カムキャリア6と、シリンダヘッドカバー7とを備えている。シリンダヘッド5は、シリンダブロック2に不図示のガスケットを介して取り付けられることにより、そのシリンダブロック2に設けられた複数のシリンダのそれぞれを閉じている。図1〜図3では図示を省略しているが、シリンダヘッド5には、シリンダに通じる吸気ポート及び排気ポートが形成されるとともに、それらのポートを開閉する吸気弁及び排気弁が取り付けられている。カムキャリア6はシリンダヘッド5上に取り付けられ、吸気弁及び排気弁のそれぞれを開閉駆動するためのカムシャフト8a、8bを回転自在に支持する。シリンダヘッドカバー7はカム8a、8bを覆うようにしてカムキャリア6に取り付けられている。なお、カムキャリア6はシリンダヘッド5と一体化されてもよい。
エンジン1は、高圧燃料ポンプ9と、パルセーションダンパ10と、バンク4A、4Bのそれぞれに対応して設けられたデリバリパイプ11A、11Bと、シリンダ毎に設けられた燃料噴射弁12とをさらに備えている。高圧燃料ポンプ9は、燃料タンク内の低圧燃料ポンプから送られる燃料を高圧(例えば数MPa)に加圧するために設けられている。高圧燃料ポンプ9は、吐出口9aを含むポンプヘッドがヘッド部3A内に収容され、ポンプハウジングの先端部がシリンダヘッドカバー7から上方に突出するようにして、一方のヘッド部3Aに取り付けられている。より具体的に言えば、高圧燃料ポンプ9はヘッド部3Aのカムキャリア6に取り付けられている。但し、高圧燃料ポンプ9は、シリンダヘッドカバー7又はシリンダヘッド5に取り付けられてもよい。高圧燃料ポンプ9は、カムシャフト8aに設けられたポンプ駆動用のカム(不図示)によって駆動される。
パルセーションダンパ10は、高圧燃料ポンプ9からデリバリパイプ11A、11Bに送られる燃料の脈動を減衰させるために設けられている。パルセーションダンパ10は、バンク4A、4B間の間隙に配置され、かつ高圧燃料ポンプ9とデリバリパイプ11Aを結ぶ高圧配管13に接続されている。デリバリパイプ11A、11Bは、高圧燃料ポンプ9から高圧配管13を介して圧送される高圧の燃料を各燃料噴射弁12に分配するために設けられている。デリバリパイプ11A、11Bは、バンク4A、4Bの間隙内において、燃料噴射弁12の上方に配置されている。デリバリパイプ11A、11Bは、それらの内部に保持される燃料圧力を等しく保つために連結配管14によって互いに接続されている。燃料噴射弁12は、デリバリパイプ11A、11Bから取り込んだ燃料を高微粒子化してシリンダ内に噴射するために設けられている。
図4により詳しく示すように、高圧燃料ポンプ9とデリバリパイプ11A、11Bとを結ぶ高圧配管13は、シリンダヘッドカバー7の内部において高圧燃料ポンプ9の吐出口9aに接続されるとともに、その接続位置からシリンダヘッドカバー7の内部を貫き、バンク4A、4B間の間隙に臨むシリンダヘッドカバー7の側面7a(図2)からそのバンク間の間隙に引き出されている。さらに、図1〜図3に示すように、エンジン1には、インテークマニホールド、サージタンク等の吸気系部品を組み合わせた吸気モジュール15がバンク4A、4B間の間隙を上方から覆う遮音部材として取り付けられる。これにより、吸気モジュール15、バンク4A、4B間に筒状空間16が形成されている。高圧配管13のシリンダヘッドカバー7からの突出位置は吸気モジュール15の下方に設定されており、従って、高圧配管13のシリンダヘッドカバー7から引き出された部分は、その全長に亘って筒状空間16内に収められている。さらに、図1及び図3に示すように、筒状空間16の両端(エンジン1の前後方向の端部)には、筒状空間16を閉じる閉鎖部材17が設けられている。閉鎖部材17は例えばウレタンのように遮音効果を有する材料にて形成されている。なお、図1は吸気モジュール15及び閉鎖部材17をそれぞれ組み付ける前の状態を示しており、図2は閉鎖部材17を省略して筒状空間16の内部を覗いた状態を示している。
以上の形態のV型エンジン1によれば、騒音の音源となり得る燃料系部品としてのパルセーションダンパ10及びデリバリパイプ11A、11Bが筒状空間16内に収容され、かつ高圧燃料ポンプ9とこれらの燃料系部品とを結ぶ高圧配管13もヘッド部3Aの内部から筒状空間16へと引き出されているので、燃料圧の脈動に伴ってこれらの燃料系部品又は高圧配管13が発する放射音の拡散を抑えて遮音効果を高めることができる。しかも、筒状空間16の両端を閉鎖部材17にて閉じることにより、放射音を筒状空間16に閉じ込めて遮音効果をさらに高めることができる。
また、ヘッド部3Aの周囲に高圧配管13、パルセーションダンパ10及びデリバリパイプ11A、11Bのいずれもが露出していないため、ヘッド部3Aの外表面の構成が単純化される。従って、吸気モジュール15に加えて、遮音カバー等のさらなる遮音部品を設ける場合でも、その遮音部品にてヘッド部3Aを容易に覆って遮音効果を容易に高めることができる。特に、高圧燃料ポンプ9の吐出口9aがヘッド部3A内に位置し、高圧配管13の接続部分もヘッド部3A内に隠れるため、高圧燃料ポンプ9のシリンダヘッドカバー7からの突出部分がポンプハウジングの端部のみとなり、その部分は比較的単純な形状であることから、高圧配管13等が露出している場合と比較して高圧燃料ポンプ9を覆うような遮音部品を容易に設けることができる。
なお、図5に示すように、高圧燃料ポンプ9をその全体がヘッド部3A内に隠れるようにしてヘッド部3A内に格納することにより、高圧燃料ポンプ9の作動音に対する遮音効果をさらに向上させてもよい。この場合には、高圧燃料ポンプ9がシリンダヘッドカバー7にて覆われるので、高圧燃料ポンプ9を覆う部品を別途用意する必要もなく、遮音対策に必要とされる部品の点数も削減される。
(第2の形態)
図6を参照して本発明の第2の形態に係るエンジンを説明する。なお、図1〜図5の形態と共通する部分には同一符号を付して説明を省略する。図6のエンジン1においては、シリンダヘッドカバー7内にて高圧燃料ポンプ9の吐出口9aに接続された高圧配管13がカムキャリア6及びシリンダヘッド5を貫いてシリンダブロック2まで延ばされ、そのシリンダブロック2を貫通して筒状空間16に引き出されている点が第1の形態と異なる。このようにシリンダブロック2まで高圧配管13を延ばすことにより、高圧配管13を音源とする放射音に対する遮音効果をさらに高めることができる。
以上の形態では、バンク間の筒状空間の両端を閉鎖部材にて覆っているが、車両のエンジンルーム内において筒状空間の両端又は一端に別の部品が存在する等の理由により、筒状空間の一端又は両端からの音漏れが問題視されない場合には、その部分の閉鎖部材を省略してもよい。バンク間の間隙を覆う遮音部材は吸気モジュールに限らず、インテークマニホールド、サージタンク、レゾネータ、エアクリーナケース等の単独の吸気系部品でもよいし、エンジンカバー、あるいは遮音専用のカバーでもよい。高圧燃料ポンプが両バンクのそれぞれのヘッド部に設けられる場合でも本発明は適用可能である。高圧燃料ポンプの吐出口と接続される高圧配管に代え、又は追加して、高圧燃料ポンプの吸込口と接続される低圧配管を本発明に従ってヘッド部内から筒状空間に引き込むことにより、その低圧配管が発する音についての遮音対策を実施してもよい。
本発明の第1の形態に係るV型エンジンの一部分解斜視図。 第1の形態に係るV型エンジンを図1のII方向から見た状態を示す図。 第1の形態に係るV型エンジンを図1のIII方向から見た状態を示す図。 第1の形態に係るV型エンジンの一方のヘッド部の拡大斜視図。 第1の形態に係るV型エンジンにおいて、高圧燃料ポンプの全体をヘッド部内に格納した変形例を示す図。 本発明の第2の形態に係るV型エンジンの一部分解斜視図。
符号の説明
1 エンジン本体
2 シリンダブロック
3A、3B ヘッド部
4A、4B バンク
5 シリンダヘッド
6 カムキャリア
7 シリンダヘッドカバー
9 高圧燃料ポンプ
9a 高圧燃料ポンプの吐出口
10 パルセーションダンパ(燃料系部品)
11A、11B デリバリパイプ(燃料系部品)
13 高圧配管
15 吸気モジュール(遮音部材)
17 閉鎖部材

Claims (6)

  1. 一対のバンクの少なくとも一方のヘッド部に設けられた高圧燃料ポンプと、前記高圧燃料ポンプと接続される燃料系部品と、前記バンク間の間隙を上方から覆う遮音部材とを備え、前記燃料系部品が前記遮音部材と前記バンクとによって囲まれた筒状空間に配置されるとともに、前記高圧燃料ポンプと前記燃料系部品とを結ぶ配管が、前記ヘッド部の内部を貫いて前記筒状空間に引き込まれていることを特徴とするV型エンジン。
  2. 前記筒状空間の端部には、当該筒状空間を閉じる閉鎖部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のV型エンジン。
  3. 前記高圧燃料ポンプの吐出口が前記ヘッド部内に位置し、前記配管が前記吐出口と前記燃料系部品とを結ぶ高圧配管であることを特徴とする請求項1又は2に記載のV型エンジン。
  4. 前記高圧燃料ポンプは、その全体が前記ヘッド部内に隠れるようにして前記ヘッド部に取り付けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のV型エンジン。
  5. 前記配管が、シリンダを備えたシリンダブロックをさらに貫いて前記筒状空間に引き込まれていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のV型エンジン。
  6. 前記燃料系部品として、燃料の脈動を抑えるパルセーションダンパ、及び前記高圧燃料ポンプから吐出された燃料をシリンダ毎の燃料噴射弁に分配するためのデリバリパイプを含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のV型エンジン。
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