以下、図面に基づいて、本発明にかかる撮像装置の一実施態様であるレンズ鏡筒内蔵型のデジタルカメラを例示して、具体的実施態様につき詳細に説明する。
図1は、本実施形態にかかるデジタルカメラ1の外観を示す図であって、図1(a)はその正面図、(b)は背面図をそれぞれ示している。このレンズ鏡筒内蔵型のデジタルカメラ1は、カメラ本体ボディ10の頂面にはレリーズボタン101等が、正面側には撮影窓部102や閃光部103等が、また背面側には各種の操作ボタン104や液晶モニタ(LCD)等からなる表示部105、ファインダー106等がそれぞれ配置されている。
そして本体ボディ10の内部には、前記撮影窓部102を通して対物レンズ21から被写体像を取り入れ、本体ボディ10の内部に配置されている固体撮像素子へ導くための撮影レンズ系を構成する屈曲型のレンズ鏡筒2が内蔵されている。この屈曲型のレンズ鏡筒2は、ズーミングやフォーカシング駆動時においてもその長さが変動しない、つまり本体ボディ10から外部に突出することのない鏡筒であって、その像面側に固体撮像素子が一体的に組み付けられている。さらに、本体ボディ10の内部には、当該カメラ1に与えられる振れ量を検出する振れ検出手段としてのピッチ(P)振れ検出ジャイロ11と、ヨー(Ya)振れ検出ジャイロ12とが内蔵されている。なお、カメラ1の水平方向(幅方向)をX軸方向と、カメラ1の垂直方向(高さ方向)をY軸方向として、X軸周りの回転方向をピッチ(P)方向とし、Y軸周りの回転方向をヨー(Ya)方向と定めるものとする。
図2は前記屈曲型レンズ鏡筒2の内部構造の一例を示す断面図(広角動作状態)である。この屈曲型レンズ鏡筒2は、カメラ本体ボディ10の内部に縦型若しくは横型に内蔵される筒型を呈しており、外観的にはレンズ群が収納される筒部201と、カメラ本体ボディ10の撮影窓部102と位置合わせして配置され、被写体像を鏡筒内部へ入射させる開口部203を備えた屈曲部202とからなる。
この屈曲部202には、開口部203に固定される第1レンズ211、屈曲部202の傾斜辺に配置されるプリズム212、及び筒部201の入口側に配置される第2レンズ213からなる対物レンズ21が固定的に配置されている。また、筒部201の内部には、光軸に沿って直列的に、第1ズームレンズブロック22、固定レンズブロック23、及び第2ズームレンズブロック24が配置されている。また、筒部201の出口側には、モアレ防止のためのローパスフィルタ25を介して、CCD等の固体撮像素子26が固定されている。すなわち、レンズ鏡筒2が揺動すると、固体撮像素子26もこれと一体的に揺動する。而して、前記開口部203から入射された被写体像の光線Oinは、対物レンズ21のプリズム212で90°屈曲され、第1ズームレンズブロック22、固定レンズブロック23、第2ズームレンズブロック24、及びローパスフィルタ25を経由して固体撮像素子26の受光面へ導かれる。
この屈曲型のレンズ鏡筒2は、本体ボディ10に内蔵された状態において、後述する複数のアクチュエータにより振れ補正駆動力が与えられる構成とされている。すなわち、前記ピッチ振れ検出ジャイロ11及びヨー振れ検出ジャイロ12にて本体ボディ10の振れ振動が検出された場合に、レンズ鏡筒2は各アクチュエータからその移動軸方向の駆動力の作用を受けて、その振れを打ち消すように所定の振れ補正制御軸回りに(例えばピッチ方向及びヨー方向に)揺動駆動(回転駆動)される構成とされている。このアクチュエータの配置や移動軸、振れ補正制御軸については後記で詳述する。
図3は、本実施形態におけるデジタルカメラ1の構成を、本発明にかかわる電気的構成の要部についてのみ概略的に示したブロック図である。このデジタルカメラ1の本体ボディ10内には、レリーズボタン101、該カメラ1に与えられる手振れ等を検出する振れ検出手段としてのピッチ振れ検出ジャイロ11及びヨー振れ検出ジャイロ12、各種の回路基板ブロックからなる回路装置部13、撮像光学系を構成するレンズ鏡筒2、及び該レンズ鏡筒2を振れ補正駆動するステッピングモータからなる第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bが備えられている。第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bは、特許請求の範囲における第1、第2の駆動手段に相当する。
また、前記回路装置部13は、制御目標位置演算部14、シーケンスコントロール回路15、制御回路4、積分回路5及び駆動回路6を備えて構成されている。なお、以下に説明する実施形態では、アクチュエータが2〜4個使用される例について説明するが、ここでは2個のアクチュエータが使用される場合について例示している。
レリーズボタン101は、ユーザが撮影動作を行う際に押下する操作スイッチであり、このレリーズボタン101が半押し状態とされると撮影準備状態となる。かかる撮影準備状態では、被写体に自動的にピントを合わせるオートフォーカス(AF)、露出を自動的に決定するオートエクスポージャー(AE)及び手振れによる画像乱れを防止するための振れ補正機能が動作する。この振れ補正機能は、フレーミングを容易にするためにレリーズボタン101の押下中は連続して動作し続ける。また、レリーズボタン101がユーザによって全押し状態にされると、撮影が行われる。すなわち、AEで決定された露出状態に従って、固体撮像素子が適正露出になるように露光制御が行われる。
ピッチ振れ検出ジャイロ11は、デジタルカメラ1のピッチ方向(図1参照)の振れを検出するジャイロセンサであり、ヨー振れ検出ジャイロ12は、デジタルカメラ1のヨー方向の振れを検出するジャイロセンサである。ここで用いられるジャイロセンサは、測定対象物(本実施形態ではカメラ本体ボディ10)が振れによって回転した場合における振れの角速度を検出するものである。このようなジャイロセンサとしては、例えば圧電素子に電圧を印加して振動状態とし、該圧電素子に回転運動による角速度が加わったときに生じるコリオリ力に起因する歪みを、電気信号として取り出すことで角速度を検出するタイプのものを用いることができる。
制御目標位置演算部14は、所定のサンプリング周期で設定される制御目標情報を生成する。すなわち、ピッチ振れ検出ジャイロ11が検出したピッチ振れ角速度信号及びヨー振れ検出ジャイロ12が検出したヨー振れ角速度信号を取得し、サーボ制御における制御目標値(この場合、駆動対象物であるレンズ鏡筒2の位置情報)を設定する。この制御目標位置演算部14は、振れ検出回路141、振れ量検出回路142及び係数変換回路143を備えている。
振れ検出回路141は、ピッチ振れ検出ジャイロ11及びヨー振れ検出ジャイロ12によりそれぞれ検出された角速度信号から、ノイズ及びドリフトを低減するためのフィルタ回路(ローパスフィルタ及びハイパスフィルタ)及び角速度信号をそれぞれ増幅するための増幅回路などの処理回路を備えて構成される。これら処理回路による処理後の角速度信号は、振れ量検出回路142に入力される。
振れ量検出回路142は、検出された前記角速度信号を所定の時間間隔で取り込み、積分処理を施すことで、デジタルカメラ1のX軸方向の振れ量である角度信号θx、Y軸方向の振れ量である角度信号θyとして係数変換回路143に出力する。なお、ピッチ振れ検出ジャイロ11及びヨー振れ検出ジャイロ12による振れ検出軸と振れ補正軸(振れ補正制御軸)とが同一である場合は、前記角度信号θx、θyが用いられるが、振れ検出軸x,yに対して異なる軸方向に振れ補正制御軸xa,yaが設定される場合は、前記角度信号θx、θyを振れ補正制御軸xa,ya周りの角度信号θxa、θyaに変換して係数変換回路143に出力する。
係数変換回路143は、振れ量検出回路142から出力される各方向の振れ量(角度信号θx、θy若しくはθxa、θya)を、各方向の移動量(px,py)、つまり第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bにより、振れ補正制御軸周りにレンズ鏡筒2を移動させるべき移動量(位置決め目標値)に変換する。この位置決め目標値は、ピッチ方向及びヨー方向の振れ検出軸に対応する各振れ補正制御軸(第1制御軸、第2制御軸)回りの回転角度(θx、θy若しくはθxa、θyaが相当)に、前記第1制御軸又は第2制御軸から第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bのレンズ鏡筒2に対する作用点までの距離を乗じて求められる。係数変換回路143から出力された各方向の移動量(px、py)を示す信号は、制御回路4に入力される。
制御回路4(駆動パルス発生制御部)は、ステッピングモータからなる第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bを駆動させるための駆動パルスの発生制御を行う。制御回路4は、後述する積分回路5からの位置情報、第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bの動作特性等を考慮して、各方向の移動量(px、py)を示す信号を実際の駆動パルス信号に変換する。すなわち制御回路4は、ピッチ振れ検出ジャイロ11及びヨー振れ検出ジャイロ12からの検知信号に基づいて前記制御目標位置演算部14にて生成される制御目標値に追従する振れ補正制御(サーボ制御)を行うべく、レンズ鏡筒2を前記制御目標値に追従揺動させるために必要な駆動パルスの発生条件を演算する演算手段として機能する。この制御回路4の機能については、後記で詳述する。
積分回路5は、第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bをオープンループ制御するために設けられるもので、後記駆動回路6により発生される駆動パルス数を積分し、ステッピングモータの現在位置情報、つまりレンズ鏡筒2の揺動位置情報を生成して制御回路4へ向けて出力するものである。
駆動回路6はパルス発生回路等を備え、第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bを実際に駆動する駆動パルスを生成する。この駆動パルスは、前記制御回路4から与えられる駆動パルス発生制御信号に基づいて生成される。
以上の振れ量検出回路142、係数変換回路143及び制御回路4の動作は、シーケンスコントロール回路15によって制御される。すなわち、シーケンスコントロール回路15は、レリーズボタン101が押下されると、振れ量検出回路142を制御することによって、前述した各方向の振れ量(角度信号θx、θy若しくはθxa、θya)に関するデータ信号を取り込ませる。次に、シーケンスコントロール回路15は、係数変換回路143を制御することによって、各方向の振れ量を各方向の移動量(px、py)に変換させる。そして、制御回路4を制御することにより、各方向の移動量に基づいてレンズ鏡筒2の補正移動量を所定のサンプリング周期毎に演算させる。このような動作が、レンズ鏡筒2の防振制御(手振れを補正)のために、レリーズボタン101が全押しされ露光が終了するまでの期間中、一定の時間間隔で繰り返し行われるものである。
前記第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bを構成するステッピングモータとしては、ステータコアとロータコアを備える通常の小型ステッピングモータが適用可能であり、レンズ鏡筒2を直接的に防振駆動できるよう、前記ロータコアにスクリュー回転軸を直結し、該スクリュー回転軸上に移動片(ナット等)を取り付けた構成とすることが望ましい。なお、このような回転型のステッピングモータではなく、ロータがステータに対して直線的に移動するリニア型ステッピングモータを用いるようにしても良い。
図4は、前記制御回路4の機能を説明するための機能ブロック図である。この制御回路4は、所定のサンプリング周期毎に、第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bを駆動させる駆動パルスの発生条件の設定を行うことを主な機能としている。前記制御回路4は、サンプリング周期設定部41、振れ補正制御軸選択部42、比較部43、駆動方向判別部44及び出力パルス数算出部45を備えている。
サンプリング周期設定部41は、サーボ制御の制御目標値を前記制御目標位置演算部14から取得するサンプリング周期の設定を受け付ける。このサンプリング周期は任意に設定して良く、例えば0.1ms〜2ms程度の範囲から適宜選択することができる。一般に、サンプリング周期を短く設定すると、短い周期で制御目標値を取得することから追従性は良くなるが、制御演算能力やステッピングモータの性能を考慮して適正なサンプリング周期を設定すればよい。
振れ補正制御軸選択部42は、サンプリング周期設定部41に設定されたサンプリング周期間のサンプリング間隔を時分割し、振れ補正制御軸毎に制御目標位置演算部14からサーボ制御のための目標位置情報(移動量(px、py)を示す信号)を取得する。例えば振れ補正制御軸が第1制御軸と、この第1制御軸と異なる方向の第2制御軸に設定されている場合において、前記サンプリング間隔の前半時間に、第1制御軸周りの振れ補正駆動のための移動量信号を取り入れ、後半時間に第2制御軸周りの振れ補正駆動のための移動量信号を取り入れるスイッチング動作を行う。
比較部43は、前述の積分回路5から出力される積分値信号であるステッピングモータ(第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3B)のロータの現在位置情報、つまりレンズ鏡筒2の揺動位置情報と、取得された前記目標位置情報とを比較し、両者の位置偏差eを求める。この位置偏差eが可及的にゼロに近づくよう、第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bによりレンズ鏡筒2が各振れ補正制御軸周りに揺動駆動される。
駆動方向判別部44は、比較部43にて求められた位置偏差eがプラス方向の偏差であるか、マイナス方向の偏差であるかに基づいて、ステッピングモータの回転方向を判別する。また駆動方向判別部44は、前記回転方向の判別結果に基づいて、ステータコイルへの通電順序を変更しロータを正転又は逆転させるための制御信号を発生する。
出力パルス数算出部45は、比較部43にて求められた位置偏差eに応じて、サンプリング周期毎に、それまでの駆動パルスの発生条件をリセットすると共に、次のサンプリング周期までのサンプリング間隔内において発生させる駆動パルス発生条件(駆動パルスの数)を定める演算を行う。すなわち出力パルス数算出部45は、振れ補正制御軸選択部42で取得されたそれぞれの振れ補正制御軸回りの移動量(px、py)に基づき、各振れ補正制御軸回りの駆動をステッピングモータに実行させるための駆動パルス数を求める。
前記駆動方向判別部44により生成されるロータの正転又は逆転に関する制御信号、及び出力パルス数算出部45により生成される駆動パルス数に関する制御信号は、駆動回路6へ出力される。駆動回路6はこのような制御信号を受けて、パルス発生回路により所定の駆動パルスを生成し、これを第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bに与えて駆動させるものである。
図5は、制御回路4により発生される駆動パルスの具体例を示すタイムチャートである。図示するように、サンプリング間隔が例えば前記第1制御軸周りの振れ補正駆動のための時間taと、第2制御軸周りの振れ補正駆動のための時間tbとに時分割され、各時間ta、tbに、それぞれの制御軸周りの駆動に必要な駆動パルスが出力される。なお、サンプリング間隔内に発生させる駆動パルスの数は、要求される最高速度と位置決め分解能により決定される。但し、駆動パルスレートは、極端に小さくすると脱調が生じるので、脱調しない所定のパルスレートが選定される。
駆動パルスの発生条件は、サンプリング周期毎にリセットされ、サンプリング間隔毎に新たな駆動パルスの発生条件が求められる。すなわち、第1のサンプリング間隔S1において所定の駆動パルスP1が出力されている場合、第1サンプリング周期t1が到来すると、前記駆動パルスP1の発生条件がリセットされ、次の第2のサンプリング間隔S2において発生させる駆動パルスP2の発生条件が、制御回路4により求められる。以下同様にして、第2サンプリング周期t2で駆動パルスP2の発生条件がリセットされ、第3のサンプリング間隔S3において発生させる駆動パルスP3の発生条件が求められるものである。このような駆動パルスにより、第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bを同時駆動し、第1制御軸周り及び第2制御軸周りの振れ補正駆動を、それぞれ2つのアクチュエータで協働して実行させるものである。
以上説明した通りの基本構成を備えるデジタルカメラ1に対して搭載可能な、振れ補正機構の各種実施形態について順次説明する。
図6は、第1実施形態にかかる振れ補正機構E1の構成を簡略的に示す構成図、図7は、その分解斜視図である。この振れ補正機構E1は、上述のレンズ鏡筒2、このレンズ鏡筒2を一点で支持する支持部材としてのボールベアリング71、レンズ鏡筒2に振れ補正駆動力を異なる2つの位置から与える第1アクチュエータ31A及び第2アクチュエータ31B、運動拘束部73などを備えている。
図7に示すように、ボールベアリング71は、レンズ鏡筒2の片方の側胴部204中央に当接するように配置される。これによりレンズ鏡筒2は、ボールベアリング71を支点としてA軸(ピッチ)方向、B軸(ヨー)方向に揺動可能とされている。A軸、B軸は、特許請求の範囲における第1、第2の軸の一例である。
第1アクチュエータ31Aは、ステッピングモータからなり、レンズ鏡筒2の側胴部204の下方に位置するよう組み付けられる。第1アクチュエータ31Aは、そのスクリュー回転軸上に移動片311を有し、前記側胴部204に突設された一対の受け片205と前記移動片311とが干渉するように組み付けられる。すなわち、前記移動片311は一対の受け片205間に介装され、該受け片205は第1アクチュエータ31Aの動作に伴う移動片311の進退力の作用を受ける作用点となる。
第2アクチュエータ31Bもステッピングモータからなり、同様な移動片311を有しており、同様に前記側胴部204と反対側の側胴部に突設されている図略の受け片と干渉するように組み付けられる。この第2アクチュエータ31Bの配置位置は、前記反対側の側胴部の、上下方向中央部とされている。すなわち、ボールベアリング71による支点を通り互いに直交する軸であるA軸及びB軸上に、レンズ鏡筒2に対する作用点を有するように組み付けられている。
支点がある側胴部204と反対側の側胴部には、運動拘束部73が配置されている。運動拘束部73は、光軸方向に伸びるガイドスリット731を有し、このガイドスリット731にレンズ鏡筒2の前記反対側の側胴部に突設されているガイドピン72が嵌入されている。これにより、レンズ鏡筒2のボールベアリング71による支点を中心とする図6の上下方向の振れが規制される一方で、支点を中心とするA軸回りの回転(この場合、ガイドピン72はガイドスリット731内で回動する)、及びB軸回りの回転(この場合、ガイドピン72はガイドスリット731内をスライドする)が許容されることになる。
第1アクチュエータ31Aのレンズ鏡筒2に対する移動軸は、A軸(ピッチ)方向である。すなわち、第1アクチュエータ31Aの移動片311が進退動することで、レンズ鏡筒2には支点を中心とするA軸回りの回転力が与えられる。また、第2アクチュエータ31Bのレンズ鏡筒2に対する移動軸は、B軸(ヨー)方向である。すなわち、第2アクチュエータ31Bの移動片311が進退動することで、レンズ鏡筒2には支点を中心とするB軸回りの回転力が与えられる(図6参照)。なお、前記A軸及びB軸は、ピッチ振れ検出ジャイロ11及びヨー振れ検出ジャイロ12による振れ検出軸と一致している。
次に、本実施形態の特徴部分である、レンズ鏡筒2を基準位置に位置させるための位置決め機構の構成について説明する。図8は、位置決め機構の電気的な構成を示す図を示す図、図9は、位置決め機構のハード構成である。
本実施形態では、前述したように第1アクチュエータ3A及び第2アクチュエータ3Bを駆動する駆動パルスのパルス数に基づいてレンズ鏡筒2の揺動位置情報を算出するようにしているため、振れ補正制御を実行する前に、レンズ鏡筒2を予め定めた基準位置に位置させた上で、この基準位置に位置する状態からのパルス数に基づいてレンズ鏡筒2の位置を算出するようにしなければ、該レンズ鏡筒2の位置を正確に算出することができない。したがって、レンズ鏡筒2の基準位置(原点)を予め定めておき、振れ補正制御を行う際には、一旦、レンズ鏡筒2を予め定めた基準位置に位置させる必要がある。
図8,図9に示すように、位置決め機構400は、フォトリフレクタ401と、反射板402と、A/D変換部403と、位置決め処理部404とを備えて構成されている。なお、図8における駆動回路6は、図3、図4に示す駆動回路(ドライバ)6に相当し、第1、第2アクチュエータ3A,3Bは、図3、図6及び図7に示す第1、第2アクチュエータ3A,3Bに相当するものである。
フォトリフレクタ401は、図9に示すように、一対の発光素子405及び受光素子406とを備え、発光素子405及び受光素子406は、その発光面と受光面が同じ側(A軸側)に向けられた状態で、A軸に沿って配置されている。発光素子405は、電源Vccとグランドとの間に、LED(Light Emitting Diode)と抵抗素子R1との直列回路が接続されてなり、一方、受光素子406は、電源Vccとグランドとの間に、フォトトランジスタTrと抵抗素子R2との直列回路が接続されてなる。発光素子405及び受光素子406は、電源Vccからの電源供給を受け、一定の周期で同期して動作する。
反射板402は、ガイドピン72の先端部に取り付けられ、前記発光素子405の発光面及び受光素子406の受光面に対向する例えば鏡面等の光反射面を有する板状の部材である。反射板402は、レンズ鏡筒2の動きに連動して、図9に示すようピッチ方向(A軸周りの回転方向)及びヨー方向(B軸周りの回転方向)に回転し(ピッチ方向の回転方向を矢印Aで、ヨー方向の回転方向を矢印Bで示している)、その回転動作により、フォトリフレクタ401の設置位置近傍の所定領域に進入したときには、発光素子405からの光を受光素子406の受光面に向けて反射するように構成されている。フォトリフレクタ401及び反射板402は、特許請求の範囲における1の検出手段に相当するものである。
A/D変換部403は、受光素子406の出力を取り込み、そのアナログの出力値をデジタルの出力値に変換するものである。
位置決め処理部404は、A/D変換部403からの出力値を用い、ヨー方向及びピッチ方向の各方向についてそれぞれ予め定められたレンズ鏡筒2の基準位置に該レンズ鏡筒2を位置させるものである。
本実施形態では、反射板402がガイドピン72の先端部に取り付けられているため、ピッチ方向における反射板402の位置(以下、ピッチ位置という)と、ヨー方向における反射板402の位置(以下、ヨー位置という)とが、レンズ鏡筒2の動きに応じて変化する。そして、このように反射板402のピッチ位置及びヨー位置が変化すると、以下に説明するように受光素子406の受光量、すなわちフォトリフレクタ401の出力値が変化する。
図10は、ガイドピン72がA軸上に位置する状態における反射板402のピッチ位置の一例をA軸方向から見て表すとともに、このピッチ位置に対応する、受光素子406による光の受光態様パターンを示す図である。また、図11は、反射板402が、A軸を通りB軸に直交する平面M上に位置した状態における反射板402のヨー位置の一例をA軸方向から見て表すとともに、このヨー位置に対応する、受光素子406による光の受光態様パターンを示す図である。なお、図10、図11では、説明の簡単化のため、発光素子405から出力される光は、一定の径を有する光束であると仮定して描いている。ただし、発光素子405から出力される光は、放射状に広がる光束でもよい。
図10(a)〜(d)において、ハッチングが施された部分は、反射板402から受光素子406に反射された光を示し、図10中の点線は、発光素子405から反射板402に向かう光の外縁部を示している。
また、図10(a)は、反射板402が前記平面Mと平行になるピッチ位置を示し、図10(b)は、反射板402が図10(a)に示す状態から矢印Aの方向に回転し、前記平面Mに対して所定角度だけ傾斜したピッチ位置を示し、図10(c)は、反射板402が図10(a)に示す状態から矢印Bの方向に回転し、前記平面Mに対して所定角度だけ傾斜したピッチ位置を示し、図10(d)は、反射板402が図10(b)又は図10(c)に示す状態からさらに回転して、前記平面Mに対して直交するピッチ位置を示している。
図10(a)〜図10(d)に示すピッチ位置における受光素子406の受光量を比較した場合、図10(a)に示すピッチ位置における受光量が最大となり、図10(d)に示すピッチ位置における受光量が最小となり、図10(b),(c)に示すピッチ位置における受光量はその中間値となることが判る。
そして、このような反射板402のピッチ位置に応じた受光量の変化に基づき、反射板402のピッチ位置とフォトリフレクタ401の出力との関係を導出すると、図12(a)に示すように、先鋭上の山形波形のグラフとなる。
ここで、図10の説明においては、ガイドピン72がA軸上に位置する状態を想定したが、仮にガイドピン72がA軸上に位置していない場合であっても、反射板402を或るヨー位置で固定させた状態を想定したとき、各ピッチ位置での出力値の大きさはガイドピン72がA軸上に位置する場合と異なるものの、前記と同一のピッチ位置でピーク値を有したグラフとなる。
そこで、本実施形態では、図12(a)に示すグラフにおいて、ピーク点Q1に対応するピッチ位置(受光素子406の受光量が最大となる図10(a)に示すピッチ位置)を、ピッチ方向における基準位置(原点)として設定し、振れ補正を開始する前には、反射板402のピッチ方向における移動とフォトリフレクタ401の出力の取得とを交互に行いつつ前記ピーク点Q1を探索し、ピーク点Q1を検出すると、反射板402がピッチ方向における基準位置(原点)に位置したものと判断して、そのピッチ位置に反射板402を位置させる。これにより、レンズ鏡筒2をピッチ方向における基準位置に位置させることができる。ピーク点Q1は、特許請求の範囲における所定の点に相当するものである。
図11(a)〜(e)において、ハッチングが施された部分は、反射板402から受光素子406に反射された光を示す。また、図11(a)は、反射板402の位置がヨー方向において受光素子406と全く重畳しないヨー位置を示し、図11(b)は、図11(a)に示すヨー位置から矢印Cの方向に進行し、反射板402の位置がヨー方向において受光素子406と一部重畳するヨー位置を示し、図11(c)は、図11(b)に示すヨー位置からさらに矢印Cの方向に進行し、反射板402の位置がヨー方向において受光素子406と完全に重畳するヨー位置を示し、図11(d)は、図11(c)に示すヨー位置から矢印Cの方向に進行し、反射板402の位置がヨー方向において受光素子406と一部重畳するヨー位置を示し、図11(e)は、図11(d)に示すヨー位置から矢印Cの方向に進行し、反射板402の位置がヨー方向において受光素子406と全く重畳しないヨー位置を示している。
なお、反射板402はヨー方向の回転動作を行うため、厳密には、反射板402が発光素子405の光を受光素子406に反射するヨー位置の範囲における反射板402の軌跡は円弧状となるが、その範囲に相当する回転角度はヨー方向における回転動作の回転半径に比して非常に小さいため、この範囲での反射板402の動作は直進動作とみなすことができる。したがって、以下の説明においては、前記範囲では反射板402は直進動作を行っているものと仮定して説明を行うこととする。
図11(a)〜図11(e)に示すヨー位置における受光素子406の受光量を比較した場合、図11(c)に示すヨー位置における受光量が最大となり、図11(a),(e)に示すヨー位置における受光量が最小となり、図11(b),(d)に示すヨー位置における受光量はその中間値となることが判る。
そして、このような反射板402のヨー位置に応じた受光量の変化に基づき、反射板402のヨー位置とフォトリフレクタ401の出力との関係を導出すると、図12(b)に示すように、台形状の山形波形のグラフとなる。
ここで、図11の説明においては、反射板402が前記平面M上に位置する状態を想定したが、反射板402の位置を前記平面M上ではない或るピッチ位置で固定させた状態を想定したとき、各ヨー位置での出力値の大きさが、反射板402が前記平面M上に位置する場合と異なり、且つ図12(b)の左右方向にシフトした台形状の山形波形のグラフとなる。
このようにヨー方向においては、ピッチ方向のようにフォトリフレクタ401の1の出力値から唯一のヨー位置が決定するような特徴点が無い。そのため、例えば、フォトリフレクタ401の出力値についての最小値と最大値との間の所定値G1に対応する点(以下、エッジR1という)を、ヨー方向における基準位置(原点)として設定し、振れ補正を開始する前には、ピッチ方向における基準位置に位置させた上で、反射板402のヨー方向における移動とフォトリフレクタ401の出力の取得とを交互に行いつつ前記エッジR1を探索し、エッジR1を検出すると、反射板402がヨー方向における基準位置に位置したものと判断して、そのヨー位置に反射板402を位置させる。これにより、レンズ鏡筒2をヨー方向における基準位置に位置させることができる。なお、エッジR1は、特許請求の範囲における所定の点に相当するものである。
なお、ヨー方向においては、図12(b)に示すように、前記出力値G1に対応するヨー位置が、ヨー位置Y1からY2までの範囲内にあるヨー位置Y0と、ヨー位置Y4からY5までの範囲内にあるヨー位置Y3との2つ存在するため、出力値G1が得られたヨー位置がヨー位置Y0であるのかヨー位置Y3であるのかを区別する必要がある。そこで、これらを区別するべく、ヨー位置Y1からY2までの範囲内においては、反射板402をヨー方向正方向に移動させるとフォトリフレクタ401の出力値が増大することを利用して、反射板402の位置がヨー位置Y0に位置しているのか否かを判断すればよい。
位置決め処理部404は、前記ピーク点Q1及びエッジR1の探索動作を行うべく駆動回路6に駆動パルスを出力する駆動制御部4041と、反射板402のピッチ方向及びヨー方向の移動と並行して取得したフォトリフレクタ401の出力値が前記ピーク点Q1及びエッジR1に対応するものであるか否かを判定する判定部4042とを備える。駆動制御部4041は、特許請求の範囲における駆動制御手段に相当する。
以下、位置決め処理部404による詳細な位置決め処理を説明する。図13は、位置決め処理を示すフローチャート、図14、図15は、この位置決め処理の説明図である。なお、本位置決め処理を行う前の反射板402の初期位置は、図14(a)に示す位置とする。また、図14において、左右方向のうち右方向をヨー方向正方向とし、反時計周りの方向をピッチ方向正方向とする。
図13に示すように、位置決め処理部404は、まず、反射板402をヨー方向負方向、すなわち図14(a)に示す位置から矢印Y1で示す方向に移動させ(ステップ♯1)、フォトリフレクタ401の出力が最小値となったか否かを判断する(ステップ♯2)。
その結果、前記出力が最小値となっていない場合には(ステップ♯2でNO)、位置決め処理部404は、ステップ♯1,♯2の処理を繰り返し実行し、前記出力が最小値となると(ステップ♯2でYES)、反射板402の移動を停止する(ステップ♯3)。
ステップ♯1〜♯3では、図15(b)において、反射板402の前記初期位置と出力値との組み合わせに対応する点が点S1であったものとすると、反射板402をヨー方向負方向に移動させるに伴って、前記出力値が徐々に小さくなっていき、やがて反射板402は、図14(b)に示すように、発光素子405からの光を受けない位置に位置することとなるため、前記出力値は零となり、点S1に対応する状態から点S2に対応する状態に変化する(図15(b)の矢印(1)で示す変化)。
次に、位置決め処理部404は、反射板402をヨー方向正方向、すなわち、図14(b)に示す位置から矢印Y2で示す方向に移動させ(ステップ♯4)、フォトリフレクタ401の出力が一定値となったか否かを判断する(ステップ♯5)。前記出力が一定値となっていない場合には(ステップ♯5でNO)、位置決め処理部404は、ステップ♯4,♯5の処理を繰り返し実行し、前記出力が一定値となると(ステップ♯5でYES)、反射板402の移動を停止する(ステップ♯6)。
ステップ♯4〜♯6においては、反射板402をヨー方向正方向に移動させるに伴って、前記出力値が徐々に大きくなっていく。前記一定値は、そのピッチ位置においてとり得る最大の出力値であり、点S2に対応する状態から点S3に対応する状態に変化する(図15(b)の矢印(2)で示す変化)。図15(b)の点S3に示す状態は、図14(c)に示す状態に対応する。
次に、位置決め処理部404は、反射板402をピッチ方向正方向、すなわち、図14(c)に示す位置から矢印P1で示す方向に移動させ(ステップ♯7)、その移動直前における反射板402のピッチ位置を判定する(ステップ♯8)。
すなわち、図15(a)に示すように、反射板402の現在のピッチ位置(点S3での出力値に対応するピッチ位置)として、ピッチ位置P1とピッチ位置P2との2つが考えられ、反射板402が、点S31に対応するピッチ位置P1に位置するのか、点S32に対応するピッチ位置P2に位置するのか不明であるため、ステップ♯7の反射板402の移動直前における反射板402のピッチ位置が、ピッチ位置P1に位置するのかピッチ位置P2に位置するのかを判定する。
具体的には、まず、所定量だけピッチ方向の正方向又は負方向に移動し、その移動後における出力値と移動前の出力値とを比較し、図15から判るように、移動後における出力値が移動前の出力値より大きくなっている場合には、その移動方向はピーク値に向かう方向と判断することができる一方、移動後における出力値が移動前の出力値より小さくなっている場合には、その移動方向はピーク値に向かう方向と反対方向であると判断することができることから、これに基づき、ピーク値に向かう方向に反射板402の移動方向を設定する。
そして、位置決め処理部404は、ピーク値を検出するまで、ステップ♯8で判定されたピッチ位置(ピッチ位置P1又はピッチ位置P2)に応じて反射板402をピッチ方向に移動しつつピーク値の検出動作を実行する(ステップ♯9、♯10でNO)。
例えば、ステップ♯8において反射板402がピッチ位置P3に位置するものと判定された場合には、反射板402をピッチ方向正方向に所定量だけ移動し、その移動後及び移動直前におけるフォトリフレクタ401の出力値の大小を比較して、移動後の出力値の方が移動直前の出力値よりも大きいときには、さらに反射板402をピッチ方向正方向に所定量だけ移動する(図15(a)の矢印(3)で示す変化)。移動後の出力値の方が移動直前の出力値よりも大きい間はこの処理を繰り返し、やがて移動後の出力値の方が移動直前の出力値よりも小さくなると、その判断対象に係る移動直前の出力値をピーク値と判断する。なお、移動後の出力値と移動直前の出力値とが等しくなった場合には、移動直前におけるピッチ位置と移動後におけるピッチ位置との間、例えば、それらのピッチ位置の中間位置にピーク点が存在するものと判断する。また、ステップ♯8において反射板402がピッチ位置P2に位置するものと判定された場合には、図15(a)の矢印(3’)で方向に向かってピーク点S4の探索を行い、前述の同様の方法によりピーク点S4を検出することになる。
そして、位置決め処理部404は、ピーク値を検出すると(ステップ♯10でYES)、反射板402の移動を停止する(ステップ♯11)。ここで、前述したように、ガイドピン72がA軸上に位置するか否かに拘わらず、反射板402を或るヨー位置で固定させた状態を想定したときには、各ピッチ位置での出力値の大きさはガイドピン72がA軸上に位置する場合と異なるものの、同一のピッチ位置でピーク値を有することから、検出されたピーク値に対応するピッチ位置がピッチ方向の基準位置と判断することができる。したがって、これにより反射板402、延いては鏡筒のピッチ方向における基準位置への位置決めが完了する。
次に、位置決め処理部404は、反射板402をヨー方向負方向、すなわち、図14(d)に示す位置から矢印Y1で示す方向に移動させ(ステップ♯12)、フォトリフレクタ401の出力が最小値となったか否かを判断する(ステップ♯13)。前記出力が最小値となっていない場合には(ステップ♯13でNO)、位置決め処理部404は、ステップ♯12,♯13の処理を繰り返し実行し、前記出力が最小値となると(ステップ♯13でYES)、反射板402の移動を停止する(ステップ♯14)。
ステップ♯12〜♯14においては、反射板402をヨー方向負方向に移動させるに伴って、前記出力値が徐々に小さくなっていき、やがて反射板402は、図14(e)に示すように、発光素子405からの光を受けない位置に位置することとなるため、前記出力値は零となり、点S4に対応する状態から点S2に対応する状態に変化する(図15(b)の(4)で示す変化)。
そして、位置決め処理部404は、反射板402をヨー方向正方向、すなわち、図14(e)に示す位置から矢印Y2で示す方向に移動させ(ステップ♯15)、フォトリフレクタ401の出力が前記エッジR1に対応する出力値G1となったか否かを判断する(ステップ♯16)。前記出力が出力値G1となっていない場合には(ステップ♯16でNO)、位置決め処理部404は、ステップ♯15,♯16の処理を繰り返し実行し、前記出力が所定値G1となると(ステップ♯16でYES)、反射板402の移動を停止する(ステップ♯17)。
ステップ♯15〜♯17においては、反射板402をヨー方向正方向に移動させるに伴って、前記出力値が徐々に大きくなっていき、点S2に対応する状態から点S5に対応する状態に変化する(図15(b)の矢印(5)で示す変化)。図15(b)の点S5に示す状態は、図14(f)に示す状態に対応する。これにより、反射板402、延いてはレンズ鏡筒2のヨー方向における基準位置への位置決めも完了する。
以上のように、1組の反射板402及びフォトリフレクタ401により、レンズ鏡筒2の基準位置への位置決めを行うようにしたので、従来のように、各軸方向における回転動作に対応して、反射板402及びフォトリフレクタ401をそれぞれ設ける従来の構成に比して、撮像装置の大型化やコストアップを抑制することができる。また、前記従来の構成にして、フォトリフレクタ401の数を低減することができるため、フォトリフレクタ401に供給すべき電力を低減することができ、省電力化を達成することができる。
また、ピーク点Q1に対応するピッチ位置を、ピッチ方向における基準位置として設定するとともに、所定値G1に対応するエッジR1をヨー方向における基準位置として設定し、ピッチ方向については、フォトリフレクタ401の1の出力値から唯一のピッチ位置が決定する特徴点(ピーク点Q1)が存在することから、まず、ピッチ方向における基準位置を探索してその基準位置に反射板402を位置させた後、ヨー方向における基準位置を探索するようにしたので、1組の反射板402及びフォトリフレクタ401により、レンズ鏡筒2の基準位置への位置決めを行う構成を実現することができる。
なお、本件は、前記第1の実施形態に代えて、又はそれに加えて次の変形形態[1]〜[3]を含むものである。なお、以下の変形形態の説明において、前記第1の実施形態と同様の部材については、同一の番号を付するものとする。
[1]前記実施形態では、レンズ鏡筒2を基準位置に位置決めするための位置決め機構を、フォトリフレクタ401及び反射板402を用いて構成したが、フォトインタラプタと遮光板とを用いて構成してもよい。図16は、フォトインタラプタ501と遮光板502とを用いて構成した位置決め機構500の構成を示す図である。
図16に示すように、本実施形態の位置決め機構500は、フォトインタラプタ501の発光素子503及び受光素子504が、その発光面と受光面とがA軸を挟んで対向するように設置されているとともに、前記第1の実施形態における反射板402に代えて遮光板502が取り付けられており、該遮光板502が、発光素子503と受光素子504との間を、レンズ鏡筒2のヨー方向の回転動作に伴って通過可能に構成されている。フォトインタラプタ501及び遮光板502は、特許請求の範囲における1の検出手段に相当するものである。
この場合にも、レンズ鏡筒2のヨー位置及びピッチ位置に応じて、フォトインタラプタ501の出力値が変化するので、前記第1の実施形態と同様の方法を用いて、レンズ鏡筒2をピッチ方向及びヨー方向における基準位置に位置決めさせることができる。
そして、このような構成においても、前記第1の実施形態と同様、撮像装置の大型化やコストアップを抑制と省電力化を達成することができる。
[2]前記第1の実施形態や変形形態[1]のような位置決め機構の他にも、例えば、磁石及びホール素子を用いて構成してもよい。図17は、磁石601及びホール素子602を用いて構成した位置決め機構600の構成を示す図である。
図17に示すように、本実施形態の位置決め機構600は、前記第1の実施形態における反射板402に代えて板状の磁石601が設けられている。磁石601は、ガイドピン72がA軸上に位置する状態のとき、A軸を通りB軸に直交する平面M(図10,図11参照)に沿うように取り付けられており、その平面Mの法線方向(表裏面)にN極とS極が並ぶ構成を有している。
一方、ホール素子602は、ガイドピン72がA軸上に位置するときの磁石601の近傍適所に設置されており、周知のとおり、外部磁界Bが存在しているときに、該ホール素子602に電流Iを流すと、外部磁界Bの方向及び電流Iの流れる方向に垂直な方向に、前記電流Iの大きさに応じた電流が流れる(電圧が発生する)素子である。磁石601及びホール素子602は、特許請求の範囲における1の検出手段に相当するものである。
このような構成を有する位置決め機構600においては、ヨー位置を固定した場合の磁石601のピッチ位置に応じたホール素子602の出力値との関係、及びピッチ位置を固定した場合の磁石601のヨー位置に応じたホール素子602の出力値との関係を導出すると、図18(a),(b)に示すように、いずれも先鋭上の山形波形のグラフとなる。
したがって、ピッチ方向及びヨー方向のいずれの方向においても、1のホール素子602の出力値に対して唯一の位置が決定するような特徴点を有している。このことから、ピッチ方向における最大の出力値に対応する点をピーク点Q2,ヨー方向における最大の出力値に対応する点をピーク点Q3というものとすると、ピーク点Q2に対応するピッチ位置を、ピッチ方向における基準位置として設定するとともに、ピーク点Q3に対応するヨー位置を、ヨー方向における基準位置として設定し、いずれか一方の方向(ピッチ方向又はヨー方向)において磁石601(レンズ鏡筒2)を基準位置に位置決めした後、他方の方向において磁石601(レンズ鏡筒2)を基準位置に位置決めするとよい。
具体的には、次のような位置決め処理を行えばよい。図19は、本実施形態の位置決め処理を示すフローチャートである。なお、以下の説明では、ピッチ方向及びヨー方向の正負は、前記第1の実施形態(図11)と同様とする。
図19に示すように、位置決め処理部404は、まず、磁石601をヨー方向負方向に移動させ(ステップ♯21)、ホール素子602の出力が略最小値となったか否かを判断する(ステップ♯22)。
その結果、前記出力が略最小値となっていない場合には(ステップ♯22でNO)、位置決め処理部404は、ステップ♯21,♯22の処理を繰り返し実行し、前記出力が略最小値となると(ステップ♯22でYES)、磁石601の移動を停止する(ステップ♯23)。
ステップ♯21〜♯23では、図18(b)において、磁石601の初期位置と出力値との組み合わせに対応する点が点S11であったものとすると、磁石601をヨー方向負方向に移動させるに伴って、前記出力値が徐々に小さくなっていき、やがてその出力値は所定値で略安定することとなり、点S11に対応する状態から点S12に対応する状態に変化する(図18(b)の矢印(1)で示す変化)。
次に、位置決め処理部404は、磁石601をヨー方向正方向に移動させ(ステップ♯24)、ホール素子602の出力が略最大値となったか否かを判断する(ステップ♯25)。前記出力が略最大値となっていない場合には(ステップ♯25でNO)、位置決め処理部404は、ステップ♯24,♯25の処理を繰り返し実行し、前記出力が略最大値となると(ステップ♯25でYES)、磁石601の移動を停止する(ステップ♯26)。
ステップ♯24〜♯26においては、磁石601をヨー方向正方向に移動させるに伴って、前記出力値が徐々に大きくなっていく。前記最大値は、そのピッチ位置においてとり得る最大の出力値であり、点S12に対応する状態から点S13に対応する状態に変化する(図18(b)の矢印(2)で示す変化)。
次に、位置決め処理部404は、磁石601をピッチ方向正方向に移動させ(ステップ♯27)、その移動直前における磁石601のピッチ位置を判定する(ステップ♯28)。
すなわち、磁石601の現在のピッチ位置(点S13での出力値に対応するピッチ位置)として、点S131に対応するピッチ位置P3とS132に対応するピッチ位置P4との2つが考えられ、磁石601が、図18(a)に示すように、点S131に対応するピッチ位置P3に位置するのか、点S132に対応するピッチ位置P4に位置するのか不明であるため、ステップ♯27の磁石601の移動直前における磁石601のピッチ位置が、位置P3に位置するのか位置P4に位置するのかを判定する。
この判定方法は、図13のステップ♯8の処理と略同様であるから、その説明は省略する。
そして、位置決め処理部404は、ピーク値を検出するまで、ステップ♯28で判定されたピッチ位置(ピッチ位置P3又はピッチ位置P4)に応じて磁石601をピッチ方向所定方向に移動しつつピーク値の検出動作を実行する(ステップ♯29,♯30でNO)。
この検出動作は、図18(a)の矢印(3),(3’)で示す方向にピーク値の探索を行うものであり、図15(a)で説明した探索方法と略同様であるため、その説明は省略する。
そして、位置決め処理部404は、ピーク値を検出するまで(ステップ♯30でNO)ステップ♯28に戻って処理を実行し、ピーク値を検出すると(ステップ♯30でYES)、磁石601の移動を停止する(ステップ♯31)。ここで、前述したように、ガイドピン72がA軸上に位置するか否かに拘わらず、磁石601を或るヨー位置で固定させた状態を想定したときには、各ピッチ位置での出力値の大きさはガイドピン72がA軸上に位置する場合と異なるものの、同一のピッチ位置でピーク値を有することから、検出されたピーク値に対応するピッチ位置がピッチ方向の基準位置となる。したがって、これにより磁石601、延いてはレンズ鏡筒2のピッチ方向における基準位置への位置決めが完了する。
次に、位置決め処理部404は、磁石601をヨー方向正方向に移動させ(ステップ♯32)、その移動直前における磁石601のヨー位置を判定する(ステップ♯33)。
すなわち、磁石601の現在のヨー位置(点S14での出力値に対応するピッチ位置)として、点S141に対応するヨー位置Y1と点S142に対応するヨー位置Y2との2つが考えられ、磁石601が、図18(b)に示すように、点S141に対応するヨー位置Y1に位置するのか、点S142に対応するヨー位置Y2に位置するのか不明であるため、ステップ♯32の磁石601の移動直前における磁石601のヨー位置が、ヨー位置Y1に位置するのかヨー位置Y2に位置するのかを判定する。この判定方法は、ピッチ方向における前述の判定方法と略同様であるので、その説明は省略する。
そして、位置決め処理部404は、ステップ♯33で判定されたヨー位置(ヨー位置Y1又はY2)に応じて磁石601をヨー方向所定方向に移動しつつピーク値の検出動作を実行する(ステップ♯34)。このピーク値の探索方法についても、ステップ♯29,♯30のピッチ方向におけるピーク値の探索方法と略同様であるので、その説明も省略する(図18(b)の(4)又は(4’)で示す変化)。
そして、位置決め処理部404は、ピーク値を検出するまで(ステップ♯35でNO)ステップ♯33に戻って処理を実行し、ピーク値を検出すると(ステップ♯35でYES)、磁石601の移動を停止する(ステップ♯36)。ここで、前述したように、ピッチ位置に拘わらず、磁石601のピッチ位置を固定させた状態を想定したときには、各ヨー位置での出力値の大きさは各ピッチ位置で異なるものの、同一のヨー位置でピーク値を有することから、検出されたピーク値に対応するヨー位置がヨー方向の基準位置となる。したがって、これにより磁石601、延いては鏡筒のヨー方向における基準位置への位置決めが完了する。
このように、前述のような位置決め処理を行うことによっても、1組の磁石601及びホール素子602でレンズ鏡筒2を基準位置に正確に位置決めすることができる。
そして、このような構成においても、前記第1の実施形態と同様、撮像装置の大型化やコストアップを抑制と省電力化を達成することができる。
なお、ここでは、磁石601をガイドピン72の先端に取り付け、ホール素子602を所定位置に固定して設置したが、ホール素子602をガイドピン72の先端に取り付け、磁石601を前記所定位置に固定して設定するようにしてもよい。
[3]前記第1の実施形態及び変形形態[1],[2]においては、A軸周り及びB軸周りの鏡筒の位置決め方法について説明したが、図20に示すように、或る対象物が、軸L1周りの回転動作と、該軸L1に直交する軸L2に沿った直進動作とが可能に構成されている場合についても前記各実施形態と略同様に1の検出手段で軸L1周りの回転方向のおける位置決めと、該軸L1に直交する軸L2に沿った直進方向における位置決めとを行うことができる。
すなわち、図20に示すように、移動機構700は、支持台701と、該支持台701上を矢印Xの方向にスライド可能なスライド部材702と、スライド部材702の上面に直立姿勢で取り付けられた支持部材703と、該支持部材703の一方の面に、軸L1周りに回転可能に取り付けられた回転部材704と、回転部材704の先端に取り付けられた板部材705とを有し、図略の対象物を、軸L1周りの回転動作と、軸L2に沿う直進動作とを行わせるものである。
このような移動機構700において、板部材705の先端に、例えば前記反射板402を取り付けるとともに、支持台701の適所にフォトリフレクタ401を取り付け、前記第1の実施形態のような位置決め処理を行うことで、軸L1周りの回転方向における位置決めと、軸L2に沿う直進方向における位置決めとを行うことができる。なお、採用可能な位置きめ機構は、フォトリフレクタ401及び反射板402で構成されたものに限らず、前記変形形態[1]におけるフォトインタラプタ501と遮光版502とを用いて構成したものや、前記変形形態[2]における磁石601とホール素子602とを用いて構成したものの採用可能である。軸L1,L2は、特許請求の範囲における第1、第2の軸の一例である。