JP2007012927A - リフロー炉 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】加熱された雰囲気ガスを回路基板に吹付ける吹付パネルにおいて、当該パネルに設けられた複数の吹出穴と複数の吸込穴の配置、吹出穴と吸込穴の総面積比、吹出穴からの吹出圧力、吸込穴からの吸込圧力等を所定の値、所定の比とすることにより、回路基板の熱伝達率の向上を図る。
【選択図】図3
Description
このリフロー炉は、炉内の搬送装置で回路基板を水平方向に搬送する間に、回路基板を加熱することによって半田を溶融させて、回路基板と電子部品の半田付けを行う加熱炉である。リフロー炉は通常、気密構造になっており窒素等の雰囲気ガスの中で回路基板の加熱を行って、半田付けの間に生じる酸化等を防いでいる。
雰囲気ガスは循環ファンによって、炉内を循環するようになっている。この循環する雰囲気ガスがヒータで加熱された後に吹出ノズルから吹き出され、回路基板に吹き付けられて回路基板を加熱する。その後、雰囲気ガスは循環ファンに吸引されて炉内を循環し、再びヒータで加熱されて同じサイクルを繰り返す。上記方法により、次々と搬入口から搬送されてくる回路基板が加熱される。
図12にその加熱装置での回路基板の加熱方法を示す。図12(a)の回路基板102は図示しない搬送装置によって矢印Aの方向に炉内を搬送される。図示しない熱風発生部で加熱された雰囲気ガスが吹出ノズル106から回路基板に向けて吹出される。吹出された熱風を吸い込むために排気用空間107が備えられている。吹出ノズル106と排気用空間107は、回路基板102の長さよりも短い間隔で設置されている。
図12(a)には、熱風の流れが矢印で示されている。この加熱装置では加熱された雰囲気ガスが、吹出ノズル106から吹き出されて回路基板102に当たり回路基板の加熱を行う。加熱後、跳ね返された雰囲気ガスが排気用空間107で吸引されて再び熱風発生部へ戻されて同様のサイクルを繰り返す。
特許第2682138号では、吹出ノズル106の間に排気用空間107を設けて積極的に排気することで、冷えた戻り風の巻き込みを防ぐ方法が提案されている。
よって、各加熱ゾーンごとにあらかじめ定めた加熱条件に従って、最適な温度カーブで回路基板を昇温していくことが困難となり、半田付けの品質に悪影響を与え、また回路基板を加熱する効率も低下することとなっていた。
(リフロー炉全体の説明)
図1に、本発明の加熱装置を備えたリフロー炉の1つの実施形態を示す。
図示しない電子部品を登載した回路基板は、搬送装置3によってリフロー炉1の内部を矢印Aの方向へ水平に搬送される。本リフロー炉は7ゾーンの加熱帯と、2ゾーンの冷却帯から構成されている。また、この炉はシール構造になっており内部に雰囲気ガスが充填されている。炉のシール性を保つため、リフロー炉の入側(図1の左側)と出側(同右側)にはラビリンス20と呼ばれる外気侵入防止装置が設けられている。
次に、図2を用いて加熱装置の実施形態を説明する。図2は、図1のX―X線の断面図である。その他の加熱ゾーンも同様の構造を有している。
リフロー炉1はシール構造の炉壁で覆われ、雰囲気ガスが充填されている。炉の中央に設置された搬送レール3aによって回路基板2は紙面手前側へ搬送される。この搬送装置3aの上面側と下面側に、同じ構造の加熱装置がそれぞれ設けられており回路基板2の上面及び下面を加熱する。ここでは、上側の加熱装置を例にとって説明する。
吹出パネル11の上方には雰囲気ガスの吸込み空間を構成するチャンバ5が設置されている。更に、その上方にはファンモータ9によって駆動されて炉内の雰囲気ガスを循環させる循環ファン8と、循環する雰囲気ガスを加熱する電熱ヒータ10が設置されている。
ファンモータ9は炉1の外側に取り付けられているが、シール装置12によって外気が流入しない構造になっている。
炉内の吹出パネル11の下方にある雰囲気ガスが、循環ファン8の吸引力によって矢印Cに示されるように、吸込穴7からチャンバ5内に吸い込まれる。吸い込まれた雰囲気ガスは、循環ファン8によって矢印Dに示されるように、炉の内壁に沿って左右方向に流れ、チャンバ5の両脇に吹き出される。このとき雰囲気ガスは電熱ヒータ10によって所定の温度まで加熱される。
この配置により、シール性やメンテナンス性のよい加熱装置を提供可能であり、ランニングコスト等の低減が可能となる。また、循環ファン8の吸込圧力を調整することにより、また筒状の吸込穴の長さを調節すること等により管路抵抗を変化させて、吹出パネルでの吹出圧力と吸込圧力を所定の値に制御することができる。
回路基板2の下面側の加熱装置についても、上述の上面側の加熱装置と同様の構造を有している。
次に、複数の吹出穴と複数の吸込穴を有する本発明の吹出パネル11の実施形態について図3を用いて説明する。
図3(a)は、図2の吹出パネルの底面図、すなわち加熱帯ゾーンの下側から吹出パネル11を見た図である。図3(a)において回路基板は矢印Aの方向へ搬送される。図中、6a、6bはそれぞれ吹出穴であり、7a、7b、7cはそれぞれ吸込穴である。
図3(b)図の矢印は、吹出パネル11での雰囲気ガスの流れを示している。吹出穴からの下向きの流れと、吸込穴からの上向きの流れが交互になっていることを示す。
シールラインの吹出穴6bから吹出した雰囲気ガスを、隣接する第1吸込専用ラインの吸込穴7bから吸込むことによりエアカーテンの役割を果たしている。
また、吹出穴6aと吸込穴7aが交互に配置されていること、及びシールラインと第1吸込専用ラインの配置により雰囲気ガスの乱流発生頻度が減り、炉内各ゾーンの設定温度の維持及び雰囲気ガス圧の変動も小さく抑えることができる。
すなわち、雰囲気ガスの吹出風量(吹出穴数)が多いほど熱量が多いので熱伝達率、すなわち回路基板の昇温速度が上がる。一方、吹出穴ピッチが狭すぎると、隣り合う熱風吹出しがお互いに干渉して回路基板まで熱風が届かなくなるので熱伝達率は上がらない。吹出穴ピッチを所定の値に設定することにより最大の熱伝達率が得られると考えた。
そこで、発明者等は上記現象を定量的に把握すべく各種実験を行った。以下各実験結果を、図7〜10を用いて説明する。
実際の窒素炉型リフロー炉を用いて以下の実験を行った。裏面を断熱材で断熱したプリント基板を炉内搬送装置によりゆっくり搬送させた。プリント基板上にはあらかじめ熱電対温度計を取り付けて、プリント基板の表面温度の推移を測定した。
雰囲気ガスの熱風温度を170℃に設定し、プリント基板が60℃から100℃に達するまでの時間を調べた。この昇温時間が短いほど回路基板の加熱能力が高いことを示す。
図6(b)は、複数の吹出穴がひし形の頂点を形成するように配置されている例におけるPとDの関係を示す。
図6(c)は、複数の吹出穴が正三角形の頂点を形成するように配置されている例におけるPとDの関係を示す。
上記実験1と同じ方法で、複数の吸込穴の総面積(A)と、複数の吹出穴の総面積(B)の比を変えながら、プリント基板の昇温時間がどのように変化するか実験した。
ここで、吸込穴の総面積とは図3(a)における、吸込穴7a、7b、7cの穴面積の総量であり、吹出穴の総面積とは、同じく図3(a)における、吹出穴6a、6bの穴面積の総量である。
本図から、当該比A/Bを3.0から6.0の間に設定することにより、プリント基板の昇温時間が小さく、すなわち熱風による回路基板の熱伝達効率が上がることが判明した。
(実験結果3)
本図から、当該比PA/PBを3.5から6.5の間に設定することにより、プリント基板の昇温時間が小さく、また炉内酸素濃度も低く抑えられることが判明した。
(実験結果4)
図11(b)は、吹出穴6の断面図である。矢印は加熱された雰囲気ガスの流れる方向を示す。図11(b)で示す寸法C(単位:mm)がここでいう面取り寸法である。なお、この時の吹出穴の直径Dは4mmである。
本図から見て分かるとおり、面取寸法Cが0.5mmを超えると炉内酸素濃度が上がることが分かる。すなわち、炉内の雰囲気ガスの気流の発生を抑えるためには、吹出パネルの吹出穴の面取寸法を0.5mm以下に抑える必要があることが判明した。
(1)吹出穴ピッチ(P)と吹出穴径(D)の比を、2.5から8.0の間に設定すると、回路基板への熱伝達率が向上する。すなわち回路基板の昇温時間が短くなる。
(2)吸込穴総面積(A)と吹出穴総面積(B)の比を、3.0から6.0の間に設定すると、回路基板への熱伝達率が向上する。
(3)吹出圧力(PA)と吸込圧力の絶対値(PB)の比を、3.5から6.5の間に設定すると、回路基板への熱伝達率が向上する。
(4)吹出穴の出口の面取寸法Cを0.5mm以下と設定すると、炉内の雰囲気ガスの気流の発生を抑えることが出来、炉内酸素濃度の上昇を防止できる。
2:回路基板
3:搬送装置
3a:搬送レール
5:チャンバー
6:吹出穴
6a:吹出穴
6b:吹出穴
7:吸込穴
7a:吸込穴
7b:吸込穴
7c:吸込穴
8:循環ファン
9:ファンモータ
10:ヒータ
11:吹出パネル
12:シール装置
20:ラビリンス
102:回路基板
106:吹出ノズル
107:排気用空間
Claims (11)
- 雰囲気ガスを循環させる循環ファンと、
当該雰囲気ガスを加熱するヒータと、
当該ヒータによって加熱された前記雰囲気ガスを回路基板に吹付ける所定の総面積を占める複数の吹出穴と、
前記雰囲気ガスを吸引し所定の総面積を占める複数の吸込穴であって、当該吸込穴と前記吹出穴の総面積比が3.0から6.0の間となる当該複数の吸込穴と、
からなることを特徴とする、搬送装置によって搬送される前記回路基板を加熱するリフロー炉。 - 雰囲気ガスを循環させる循環ファンと、
当該雰囲気ガスを加熱するヒータと、
当該ヒータによって加熱された前記雰囲気ガスを回路基板に吹付ける吹出穴の出口部に0.5mm以下の面取りがされている複数の当該吹出穴と、
前記雰囲気ガスを吸引する複数の吸込穴と、
からなることを特徴とする、搬送装置によって搬送される前記回路基板を加熱するリフロー炉。 - 雰囲気ガスを循環させる循環ファンと、
当該雰囲気ガスを加熱するヒータと、
当該ヒータによって加熱された前記雰囲気ガスを所定の圧力で回路基板に吹付ける複数の吹出穴と、
前記雰囲気ガスを所定の圧力で吸引する吸込穴であって、前記吹出穴における前記雰囲気ガスの吹出圧力と、当該吸込穴における前記雰囲気ガスの吸込圧力の絶対値の比が3.5から6.5の間に設定されている当該複数の吸込穴と、
からなることを特徴とする、搬送装置によって搬送される前記回路基板を加熱するリフロー炉。 - 前記吹出穴の出口部に0.5mm以下の面取りがされていることを特徴とする、請求項1に記載のリフロー炉。
- 前記吹出穴における前記雰囲気ガスの吹出圧力と、前記吸込穴における前記雰囲気ガスの吸込圧力の絶対値の比が3.5から6.5の間に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のリフロー炉。
- 前記吹出穴の出口部に0.5mm以下の面取りがされていることを特徴とする、請求項5に記載のリフロー炉。
- 前記吹出穴における前記雰囲気ガスの吹出圧力と、前記吸込穴における前記雰囲気ガスの吸込圧力の絶対値の比が3.5から6.5の間に設定されていることを特徴とする、請求項2に記載のリフロー炉。
- 前記複数の吹出穴と前記複数の吸込穴が同一平面上に並ぶように配置されたことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のリフロー炉。
- 前記複数の吹出穴が前記回路基板の搬送方向と垂直な方向に配置されたシールラインと、
前記複数の吸込穴が前記回路基板の搬送方向と垂直な方向に配置され、各ゾーンにおける前記シールラインの内側に設置された第1吸込専用ラインと、
前記複数の吹出穴と前記複数の吸込穴が交互に並ぶように、各ゾーンにおける前記第1吸込専用ラインの内側に設置された混在領域と、から構成されることを特徴とする請求項8に記載のリフロー炉。 - 前記混在領域における前記複数の吹出穴が、正方形、ひし形、または正三角形の頂点を形成するように配置されたことを特徴とする請求項9に記載のリフロー炉。
- 前記吹出穴のピッチと前記吹出穴の直径の比が2.5から8.0の間に設定されていることを特徴とする請求項10に記載のリフロー炉。
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