JP2007012546A - 鉛蓄電池の充電方法および鉛蓄電池用充電器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】鉛蓄電池の充電方法は、鉛蓄電池を定電流または準定電流で充電するかまたは電流の大きさが一定のパルス電流で充電する方法であって、定電流または準定電流充電の場合当該鉛蓄電池の定格容量(アンペアアワー:Ah)の1/20以上の大きさ(アンペア:A)の電流で充電を行い、パルス充電の場合パルス電流を時間に対して平坦に均した平均充電電流を当該鉛蓄電池の定格容量(アンペアアワー:Ah)の1/20以上の大きさ(アンペア:A)の電流で充電を行い、1セル当たりの充電電圧が2.34V以下、好ましくは2.26V以下の所定の電圧に達した時点で充電を停止する。
【選択図】図1
Description
本発明に係る鉛蓄電池の充電方法は、鉛蓄電池を電流の大きさが一定のパルス電流で充電し、充電電圧を時間に対して平均した平均充電電圧が予め定めた所定の電圧に達した時点で充電を停止する鉛蓄電池の充電方法であって、前記パルス電流を時間に対して平坦に均した平均充電電流値(アンペア:A)が当該鉛蓄電池の定格容量(アンペアアワー:Ah)の1/20倍以上、1/2倍以下であって、前記所定の電圧が、1セル当たり2.34V/セルを超えないことを特徴とする鉛蓄電池の充電方法である。(請求項2)
本発明に係る鉛蓄電池の充電方法は、前記所定の電圧が、1セル当たり2.26V/セルを超えないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鉛蓄電池の充電方法である。(請求項3)
本発明に係る鉛蓄電池の充電方法は、前記充電を即用式鉛蓄電池の初回充電に適用することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の鉛蓄電池の充電方法である。(請求項4)
本発明に係る鉛蓄電池用充電器は、被充電電池の定格容量(Ah)の1/20倍以上、1/2倍以下の大きさ(A)の定電流または準定電流出力回路と充電電圧検出回路と充電電圧が1セル当たりの電圧に換算して2.34Vまたは2.26Vを超えない所定の電圧に達したときに充電を停止するためのコンパレータを備えたことを特徴とする鉛蓄電池用充電器である。(請求項5)
本発明に係る鉛蓄電池用充電器は、ピーク電流、平均電流、パルス巾、パルス周期が一定の大きさのパルス電流であって、前記平均電流が被充電電池の定格容量(Ah)の1/20倍以上、1/2倍以下の大きさ(A)のパルス電流にて充電する機能と平均充電電圧が1セル当たりの電圧に換算して2.34Vまたは2.26Vを超えない所定の電圧に達したときに充電を停止する機能を備えたことを特徴とする鉛蓄電池用充電器である。(請求項6)
本発明は常温の雰囲気で充電することを前提にしている。ここでいう常温とは5〜35℃の温度範囲を指し、該温度範囲内であれば充電電圧の温度による変動が極小さいので、雰囲気温度によって充電停止時点を決定するための所定の電圧値を変える必要がない。
本発明に係る鉛蓄電池の充電においては、充電電流値(A)と当該鉛蓄電池の定格容量(Ah)の比(以下ItAと記述する)を1/20ItA以上、1/2ItA以下とする。該電流値が1/20ItA未満では充電に要する時間が長く実用に適さない。一方該電流値が1/2ItAを超えると充電電圧が上昇し、充電電圧が所定の充電電圧に到達した時点で充電を停止しようとすると充電不足を招く虞がある。充電不足になるのを避けようとして前記所定の電圧を高く設定すると電解液の電気分解を促し、水素ガスや酸素ガスの発生量が増大する虞がある。このことはパルス充電にも適用され、パルス充電においてもパルス電流を時間に対して均した電流値が1/20ItA以上、1/2ItA以下とする。
最近の電子素子の発達と応用の進展により充電器の制御にも応用され、小型化、低コスト化及び力率改善を実現させている。そのような制御方法の代表的方法の一つに、パルス幅制御(PWM)又はパルス間欠法(PIM)が適用されている。これらパルス電源による充電時の電圧や電流値もパルス状になる。充電管理はこれらのパルス波形のピーク値とパルス巾を管理することも出来るが、それらの計測が困難かつそのための付帯装備が追加になり実用的でないことから、一般に波形の時間平均値を使う。ここでいうパルス充電における平均電流、平均充電電圧とは1パルスの電流および充電電圧を1パルス周期に対して均した平均値である。
(充電を停止する所定の充電電圧の設定について)
水素を含む混合ガス(例えば水素と空気の混合ガスや水素と酸素の混合ガス)の爆発範囲は、水素濃度(水素ガスの容量百分率%)が4〜75%とされている。また、実際の電池を用いて行った実験結果によれば電池内の水素濃度が20%を超えた状況下で引火した場合には、破裂により電槽、覆い蓋が破壊され外部へ影響が及ぶことが確認された。この結果から、外部に影響を及ぼすような破裂を生じさせないためには充電中に電池内の水素濃度が20%を超えないようにするのが好ましく、外部への影響を及ぼさないような小規模な爆発をも防止できるところから電池内の水素濃度を4%未満にすることがさらに好ましい。本発明においては、充電を停止する所定の充電電圧を2.34V/セルを超えない値とするのが良く、2.26V/セルを超えない値とするのが好ましい。該所定の充電電圧を2.34V/セルを超えない値とすることによって充電時の電池内の水素濃度を20%未満に抑制することができる。さらに、2.26V/セルを超えない値とすることによって充電時の電池内の水素濃度を4%未満に抑制することができる。
充電時の電池内におけるガスの蓄積の様子を調べる目的で過充電実験を行った。
定格電圧12V、定格容量6Ah(放電レート1/10ItA)、6セルをシリーズ接続したモノブロックタイプの二輪車用即用式鉛蓄電池の初回充電を行った。該試験には新しい電池(製造後保管期間が3ヶ月以内)を充電試験に供した。開封後電解液を注液した後の電池電圧は12.6V(2.14V/セル)であって、SOCは75%であった。電解液注液後0.5時間経過した時点に充電を開始した。適用した充電器は準定電流による充電器であって、その能力は、最大で電流1.5A、電圧14.2Vである。該充電器の出力電流を最大に設定し、準定電流(定電流充電において充電電圧が充電器の最大出力電圧に接近するに従い充電電流が除除に垂下する)にて充電を行った。充電レートは1/4ItA、最大充電電圧は2.67V/セルに相当する。充電は室温(雰囲気温23℃)にて行い、充電開始後2.9時間経過した時点で手動にて充電を停止した。充電中、充電電圧、充電電流をモニターした。また、充電開始直前を含め7回に亘り電池内の水素ガス、酸素ガスの濃度(容量百分率%)を調べた。
前記実験1に用いた即用式鉛蓄電池と同一ロットの電池を用いた。ただし、シールを剥がし4日間放置した後、所定の電解液を注入して0.5時間分経過後常温にて初回充電を行った。4日間放置はこの種の電池が推奨期間を過ぎて長期保管された後またはシールが破れた状態で保管された後に使用に具した場合をシミュレーションしている。電解液を注液した後の電池電圧は12.1V(2.02V/セル)であり、SOCは57%であった。前記実験1と同じ充電器を適用し、実験1と同様、充電器の出力電流を最大に設定して準定電流にて充電を行い、充電開始後3.6時間経過した時点で手動にて充電を停止した。また、充電開始直前を含め9回に亘り電池内の水素ガス、酸素ガスの濃度(容量百分率%)を調べた。
定格電圧12V、定格容量6Ah(放電レート1/10ItA)、6セルをシリーズ接続したモノブロックタイプの二輪車用即用式鉛蓄電池の初回充電を行った。該試験には新しい電池(製造後保管期間が3ヶ月以内)を充電試験に供した。開封後電解液を注液した後の電池電圧は12.6V(2.12V/セル)であって、SOCは68%であった。電解液注液後0.5時間経過した時点に充電を開始した。適用した充電器は定電流による充電器であって、その能力は、最大で電流1.5A、電圧14.2Vである。該充電器の出力電流を最大に設定し、準定電流(定電流充電において充電電圧が充電器の最大出力電圧に接近するに従い充電電流が除除に垂下する)にて充電を行った。充電レートは1/2ItA、最大充電電圧は2.67V/セルに相当する。充電は室温(雰囲気温23℃)にて行い、充電開始後5時間経過した時点で手動にて充電を停止した。充電中、充電電圧、充電電流をモニターした。また、充電開始直前を含め12回に亘り電池内の水素ガス、酸素ガスの濃度(容量百分率%)を調べた。
前記実験3に用いた即用式鉛蓄電池と同一ロットの電池を用いた。ただし、シールを剥がし4日間放置した後、所定の電解液を注入して0.5時間分経過後常温にて初回充電を行った。4日間放置はこの種の電池が推奨期間を過ぎて長期保管された後またはシールが破れた状態で保管された後に使用に具した場合をシミュレーションしている。電解液を注液したあとの電池電圧は12.0V(2.0V/セル)であり、SOCは55%であった。前記実験1と同じ充電器を適用し、実験1と同様、充電器の出力電流を最大に設定して準定電流にて充電を行い、充電開始後5時間経過した時点で手動にて充電を停止した。また、充電開始直前を含め9回に亘り電池内の水素ガス、酸素ガスの濃度(容量百分率%)を調べた。
図5は、本発明に係る充電器の1例を示す充電器の回路構成図である。出力部より充電時の電池31の電圧を検出し、コンパレータ22により基準となる電圧と比較し、基準値を超えた場合その判定結果はフィードバック回路21に伝えられ、出力制御回路12または入力制御回路02を操作して、自動的に出力を停止する。前記基準電圧は2.34V/セル以下、好ましくは2.26V/セル以下であって、2.15V/セル、好ましくは2.20V/セル以上に設定する。なお、図5に示したこの実施例では、本発明に直接係わるこのコンパレータを使用しない普通充電も選択できるよう選択スイッチ23を設けている。ドライ式鉛蓄電池の初回充電に該充電器を適用することにより、過充電によって充電時に電池内の水素濃度が、電池の破裂等危険な濃度に至るのを確実に防ぐことができる。また、充電不足に陥らないようにすることもできる。
(パルス波形とピーク電流、平均電流、パルス巾、周期巾の大きさについて)
本発明に係るパルス充電における充電電流のパルスの波形は、特に限定されるものではなく、矩形波、サイン半波、その他の波形が適用できる。図6は、本発明に係るパルス充電における充電電流の波形、およびそのときに発生する充電電圧の波形の1例を模式的に示した図である。
充電を行う雰囲気温度、充電停止を決定するための充電電圧の設定値は、前記、定電流充電または準定電流充電の場合と同じである。ただし、前記のように、本パルス充電においてはパルス波形を示す充電電圧の平均値(平均充電電圧、図6では電圧平均値と表示)を検出し、該平均充電電圧が所定の値に達した時点に充電を停止する。
図7は、本発明に係るパルス充電用の充電器の1例を示す充電器の回路構成図である。前記図5に示した定電流または準定電流充電用の充電器の回路構成と基本的に同じであるが、出力回路部がパルス電流発生機能(整流器兼パルス幅操作部41とその出力部42)を備えている点、電圧・電流検出回路21がパルス波形を示す充電電圧・充電電流を平均充電電圧・平均充電電流で検出する機能を備えている点で図5に示した充電器の回路構成と相違する。
02 充電開始あるいは強制停止用入力断続器
03 入力過電流保護器あるいは出力過負荷保護器
04 変圧器
11 整流器
12 出力(および/あるいは運転時間)制御回路
21 フィードバック(出力検出および制御信号送信)回路
22 コンパレータ(本発明に係わる出力電圧検出付加回路)
23 選択スイッチ
31 負荷(鉛蓄電池)
41 整流 兼 パルス巾操作部
42 出力端子部
Claims (6)
- 鉛蓄電池を定電流または準定電流で充電し、充電電圧が予め定めた所定の電圧に達した時点で充電を停止する鉛蓄電池の充電方法であって、前記定電流又は準定電流の電流値(アンペア:A)が当該鉛蓄電池の定格容量(アンペアアワー:Ah)の1/20倍以上、1/2倍以下であって、前記所定の電圧が、1セル当たり2.34V/セルを超えないことを特徴とする鉛蓄電池の充電方法。
- 鉛蓄電池を電流の大きさが一定のパルス電流で充電し、充電電圧を時間に対して平均した平均充電電圧が予め定めた所定の電圧に達した時点で充電を停止する鉛蓄電池の充電方法であって、前記パルス電流を時間に対して平均した平均充電電流値(アンペア:A)が当該鉛蓄電池の定格容量(アンペアアワー:Ah)の1/20倍以上、1/2倍以下であって、前記所定の電圧が、1セル当たり2.34V/セルを超えないことを特徴とする鉛蓄電池の充電方法。
- 前記所定の電圧が、1セル当たり2.26V/セルを超えないことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鉛蓄電池の充電方法。
- 前記充電を即用式鉛蓄電池の初回充電に適用することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載の鉛蓄電池の充電方法。
- 被充電電池の定格容量(Ah)の1/20倍以上、1/2倍以下の大きさ(A)の定電流または準定電流にて充電する機能と充電電圧が1セル当たりの電圧に換算して2.34Vまたは2.26Vを超えない所定の電圧に達したときに充電を停止する機能を備えたことを特徴とする鉛蓄電池用充電器。
- ピーク電流、平均電流、パルス巾、パルス周期が一定の大きさのパルス電流であって、前記平均電流が被充電電池の定格容量(Ah)の1/20倍以上、1/2倍以下の大きさ(A)のパルス電流にて充電する機能と平均充電電圧が1セル当たりの電圧に換算して2.34または2.26Vを超えない所定の電圧に達したときに充電を停止する機能を備えたことを特徴とする鉛蓄電池用充電器。
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