JP2007010529A - 計測方法、計測装置、干渉計システム及び露光装置 - Google Patents

計測方法、計測装置、干渉計システム及び露光装置 Download PDF

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Abstract

【課題】測定ビームの反射面に対する入射角を計測する。
【解決手段】コーナーキューブ53を第1測定パスに挿入した状態で、分離光学素子49aを含む干渉計本体部49でビームLBをP偏光成分(測定ビーム)とS偏光成分(参照ビーム)とに分離し、測定ビームの反射面26aからの戻り光束と、参照ビームの参照鏡49eからの戻り光束の合成光束を、遮光機構52の非遮光領域を介してFOP51の一部領域を介して受光部で受光する。反射光板52の遮光領域の設定を変更して、上記と同様にして前記合成光束をFOP51の別の一部領域を介して受光部で受光する。そして、受光部からそれぞれ出力される、受光した合成光束に含まれる前記測定ビームと前記参照ビームとの干渉光に応じた干渉信号の絶対位相に関する情報に基づいて前記測定ビームの前記反射面に対する入射角を算出する。
【選択図】図7

Description

本発明は、計測方法、計測装置、干渉計システム及び露光装置に係り、計測対象物に設けられた反射面に対する測定ビームの入射角を計測する計測方法、該計測方法の実施に好適な計測装置、該計測装置を備える干渉計システム及び該干渉計システムを備える露光装置に関する。
従来より、半導体素子(集積回路等)、液晶表示素子等の電子デバイスを製造するリソグラフィ工程では、マスク又はレチクルのパターンを投影光学系を介して、レジスト(感光剤)が塗布されたウエハ又はガラスプレート等(以下、「ウエハ」と呼ぶ)上の複数のショット領域の各々に転写するステップ・アンド・リピート方式の縮小投影露光装置(いわゆるステッパ)や、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))などが、主として用いられている。
この種の投影露光装置として、近年では、半導体素子の高集積化、レチクル及びウエハの大型化に伴い、ウエハが載置されるウエハステージの移動に伴う反力に起因するステージ定盤等の振動が投影光学系を保持するメインフレーム側に与える影響を低減できる構造として、ステージ定盤がメインフレームとは、物理的に分離して投影光学系の下方に設置されるタイプ(以下、便宜上「ステージ定盤別置きタイプ」と呼ぶ)の投影露光装置が比較的多く用いられている。このステージ定盤別置きタイプの投影露光装置では、メインフレームは、床面に設置されたフレームキャスタと呼ばれる支持部材によって第1防振機構を介して支持される。また、ウエハステージを支持するステージ定盤は、フレームキャスタ上又は床面に第2防振機構を介して支持される。
また、ウエハステージは、投影光学系の光軸に直交する移動面、すなわちステージ定盤の上面に沿って前記光軸に直交する2次元平面内で自在に移動可能であるとともに、ウエハステージは、その少なくとも一部のウエハが載置される部分(以下、「ウエハ載置部」と呼ぶ)が、ウエハの表面を投影光学系の像面(最良結像面)に合わせ込むために、前記光軸の方向及び前記2次元平面に対する傾斜方向にも移動可能になっている。
このステージ定盤別置きタイプの露光装置では、光軸の方向以外の5自由度方向に関するウエハ載置部の位置情報が、そのウエハ載置部に対して2次元平面に平行な測定ビームを照射する干渉計によって計測されている。また、この場合、前記光軸の方向に関するウエハの位置情報は、そのウエハ表面の面位置情報を計測する、干渉計とは別の面位置検出装置(例えば、焦点位置検出系)によって計測されている(例えば、特許文献1、2等参照)。
投影露光装置では、ウエハ載置部が前記2次元平面に対して傾斜すると、その傾斜角に応じたパターンの像の横ずれが発生するため、その傾斜角を正確に計測して管理することが重要である。
これに加えて、移動鏡に垂直にビームが当たっている状態からミラーが所定角度θ傾いたときの光路長の変化と、初期状態でビームの入射角がθ0である状態からミラーが所定角度θ傾いたときの光路長の変化とが異なることから明らかなように、初期状態のビームの入射角を再現できることが重要である。
しかしながら、干渉計は、原理的に、リセット時の基準位置からの測定対象物の変位は計測できるが、絶対的な位置情報を計測できない相対位置情報の計測装置である。ここで、測定対象物の上記2次元平面内の位置情報は、例えばウエハステージ上の基準マークをマーク検出系によって検出し、対応する干渉計のリセットを行うことで容易にその原点位置を再現できるが、これと異なり、前記傾斜方向に関してはその原点を正確に設定、再現すること、すなわち前記ウエハ載置部材の表面を前記2次元平面に平行に設定できるような干渉計の原点設定及び再現が困難であった。さらに、干渉計は、反射面に対するビームの入射角を計測することが困難であることから、初期状態の入射角を再現することは困難であった。
特開2001−291663号公報 米国特許第6,690,450号明細書
本発明は、上記事情の下でなされたもので、第1の観点からすると、計測対象物(WT)に設けられた反射面(26a,26b)に対する測定ビームの入射角を計測する計測方法であって、光源(47A,47B)からの光を分離光学素子(49)を用いて偏光方向が相互に直交する2成分に分離し、一方を前記反射面に照射される測定ビームとし、他方を参照鏡に照射される参照ビームとする工程と;前記測定ビームの前記反射面からの戻り光束と前記参照ビームの前記参照鏡からの戻り光束とを前記分離光学素子を介して干渉させ干渉光を生成する工程と;前記干渉光に応じた干渉信号の絶対位相に関する情報に基づいて前記入射角を算出する工程と;を含む計測方法である。
これによれば、光源からの光を分離光学素子を用いて偏光方向が相互に直交する2成分である測定ビームと参照ビームとに分離し、測定ビームの反射面からの戻り光束と、参照ビームの参照鏡からの戻り光束とを前記分離光学素子を介して干渉させて干渉光を生成する。そして、その干渉光に応じた干渉信号の絶対位相に関する情報に基づいて計測対象物に設けられた反射面に対する測定ビームの入射角を算出する。従って、測定ビームの反射面に対する入射角を容易に計測することが可能となり、この計測結果に基づいて、測定ビームに対する反射面(該反射面が設けられた計測対象物)の傾きを調整することで、初期状態の入射角を容易に再現することが可能となる。
本発明は、第2の観点からすると、移動体の基準平面に対する傾斜を計測する傾斜計測方法であって、前記移動体を計測対象物とし、該移動体に設けられた反射面に対する前記基準平面に平行な測定ビームの入射角を、本発明の計測方法を用いて計測する工程と;入射角の計測結果に基づいて、前記移動体の前記基準平面に対する傾斜情報を算出する工程と;を含む傾斜計測方法である。
これによれば、計測対象物としての移動体に設けられた反射面に対する基準平面に平行な測定ビームの入射角を、本発明の計測方法を用いて計測し、この入射角の計測結果に基づいて、移動体の基準平面に対する傾斜情報を算出する。従って、移動体の基準平面に対する傾斜情報を高精度かつ短時間で取得することが可能になる。
本発明は、第3の観点からすると、計測対象物(WT)に設けられた反射面(26a,26b)に測定ビームを照射し、前記反射面からの前記測定ビームの反射光を受光して前記計測対象物の位置情報を計測する計測装置であって、光源(47A,47B)からの光を偏光方向が相互に直交する2成分に分離し、前記2成分のうちの一方を前記測定ビームとして前記反射面に照射し、他方を参照ビームとして参照鏡に照射し、前記測定ビームの前記反射面からの戻り光束と前記参照ビームの前記参照鏡からの戻り光束との合成光束を生成する分離光学素子(49)を含む干渉計本体部(48A,62)と;前記合成光束を受光し、該合成光束に含まれる前記測定ビームと前記参照ビームとの干渉光に応じた干渉信号を出力する受光部(55A,55B)と;前記受光部から出力される前記干渉信号に関する絶対位相に関する情報に基づいて前記測定ビームの前記反射面に対する入射角を算出する算出装置(59A,59B)と;を備える計測装置である。
これによれば、分離光学素子を含む干渉計本体部により、光源からの光が偏光方向が相互に直交する2成分に分離され、そのうちの一方が測定ビームとして反射面に照射され、他方が参照ビームとして参照鏡に照射され、前記測定ビームの前記反射面からの戻り光束と前記参照ビームの前記参照鏡からの戻り光束との合成光束が生成され、その合成光束が受光部で受光され、該合成光束に含まれる前記測定ビームと前記参照ビームとの干渉光に応じた干渉信号が出力される。そして、算出装置により、前記受光部から出力される前記干渉信号の絶対位相に関する情報に基づいて前記測定ビームの前記反射面に対する入射角が算出される。従って、測定ビームの反射面に対する入射角を容易に計測することが可能となり、この計測結果に基づいて、測定ビームに対する反射面(該反射面が設けられた計測対象物)の傾きを調整することで、初期状態の入射角を容易に再現することが可能となる。
本発明は、第4の観点からすると、計測対象物(WT)の位置情報を計測する本発明の計測装置(48X,62Y)と;前記計測対象物に設けられた反射面に測定ビームを照射し、該測定ビームの前記反射面からの反射光を受光して前記計測対象物の位置情報を計測する少なくとも1つの干渉計(44,46,60,69)と;を備える干渉計システムである。
これによれば、本発明の計測装置により、測定ビームの反射面に対する入射角、ひいては測定ビームに対する反射面(該反射面が設けられた計測対象物)の傾きが少なくとも計測され、少なくとも1つの干渉計で計測対象物の位置情報が計測される。従って、前記干渉計で計測された計測対象物の位置情報を前記計測装置で計測された測定ビームに対する反射面の傾きを考慮して補正する、あるいは計測された測定ビームに対する反射面の傾きに基づいて計測対象物の傾きを補正し、その補正後に干渉計で計測対象物の位置情報を計測することで、精度良く計測対象物の位置情報を計測することが可能となる。
本発明は、第5の観点からすると、所定方向に移動可能であるとともに、一部に反射面が設けられたステージ(WS)と;前記ステージを計測対象物とする本発明の干渉計システム(18)と;を備えるステージ装置である。
これによれば、本発明の干渉計システムによりステージの位置情報が精度良く計測され、結果的にステージの位置制御性を高精度に確保することが可能になる。
本発明は、第6の観点からすると、感光物体(W)を露光して前記感光物体上に所定のパターンを形成する露光装置であって、前記ステージ(WS)上に感光物体が載置される本発明のステージ装置(30)と;前記ステージ上の感光物体を露光する露光システム(10,PU)と;を備える露光装置である。
これによれば、本発明のステージ装置により位置制御性が高精度に確保され、ステージの位置を精度良く制御した状態で、ステージ上の感光物体が露光システムにより露光されるので、感光物体上にパターンを精度良く形成することが可能となる。
以下、本発明の一実施形態について、図1〜図12に基づいて説明する。
図1には、本発明の計測方法及び傾斜計測方法が適用される一実施形態の露光装置100の概略構成が示されている。この露光装置100は、ステップ・アンド・スキャン方式の投影露光装置(いわゆるスキャニング・ステッパ(スキャナとも呼ばれる))である。
この露光装置100は、光源及び照明光学系を含み、照明光(露光光)ILによりマスクとしてのレチクルRを照明する照明系10、レチクルRを保持するレチクルステージRS、投影光学系PLを含む投影ユニットPU、感光物体としてのウエハWが載置されるステージとしてのウエハステージWS、前記レチクルステージRS及び前記投影ユニットPUなどが搭載されたボディBD、及びこれらの制御系等を備えている。
前記照明系10は、例えば特開2001−313250号公報(対応する米国特許出願公開第2003/0025890号公報)などに開示されるように、光源、オプティカルインテグレータ等を含む照度均一化光学系、ビームスプリッタ、リレーレンズ、可変NDフィルタ、レチクルブラインド等(いずれも不図示)を含んで構成されている。この照明系10では、レチクルブラインドで規定されたレチクルR上のスリット状の照明領域を照明光ILによりほぼ均一な照度で照明する。ここで、照明光ILとしては、一例としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)が用いられている。また、オプティカルインテグレータとしては、フライアイレンズ、ロッドインテグレータ(内面反射型インテグレータ)あるいは回折光学素子などを用いることができる。
前記レチクルステージRSは、後述する第2コラム34の天板を構成するレチクルベース36上に、その底面に設けられた不図示のエアベアリングによって例えば数μm程度のクリアランスを介して浮上支持されている。このレチクルステージRS上には、レチクルRが、例えば真空吸着(又は静電吸着)され、保持されている。レチクルステージRSは、ここでは、リニアモータ等を含むレチクルステージ駆動系12により、投影光学系PLの光軸AXに垂直なXY平面内で2次元的に(X軸方向、Y軸方向及びXY平面に直交するZ軸回りの回転方向(θz方向)に)微少駆動可能であるとともに、レチクルベース36上を所定の走査方向(ここでは、図1における紙面直交方向であるY軸方向とする)に指定された走査速度で駆動可能となっている。
本実施形態では、レチクルステージRSの駆動時(特に走査駆動時)のリニアモータの固定子に作用する反力に起因する振動の影響を極力低減するための対策が講じられている。具体的には、例えば特開平8−63231号公報(対応する米国特許第6,246,204号)などに開示される運動量保存則を利用した反力キャンセル機構をレチクルステージRSの反力キャンセル機構として採用している。この他、例えば特開平8−330224号公報(対応する米国特許第5,874,820号)などに開示されるように、前述のリニアモータの固定子を、ボディBDとは別に設けられた不図示の支持部材(リアクションフレーム)によってそれぞれ支持し、レチクルステージRSの駆動の際にリニアモータの固定子に作用する反力は、それらのリアクションフレームを介してクリーンルームの床面Fに伝達される(逃がされる)ようにしても良い。
なお、レチクルステージRSを、リニアモータによりレチクルベース36上をY軸方向に所定ストローク範囲で駆動可能なレチクル粗動ステージと、該レチクル粗動ステージに対して少なくとも3つのアクチュエータ(例えばボイスコイルモータなど)によりX軸方向、Y軸方向及びθz方向に微小駆動可能なレチクル微動ステージとから成る粗微動構造のステージとしても勿論構わない。
レチクルステージRSのステージ移動面内の位置は、レチクルベース36に取り付けられたレチクルレーザ干渉計(以下、「レチクル干渉計」という)16によって、移動鏡15を介して、例えば0.5〜1nm程度の分解能で常時検出されている。この場合、投影ユニットPUの鏡筒40の側面に固定された固定鏡14を基準として位置計測が行われる。ここで、実際には、レチクルステージRS上にはY軸方向に直交する反射面を有するY移動鏡とX軸方向に直交する反射面を有するX移動鏡とが設けられ、これらの移動鏡に対応してレチクルY干渉計とレチクルX干渉計とが設けられ、更に、これに対応して、X軸方向位置計測用の固定鏡と、Y軸方向位置計測用の固定鏡とが設けられているが、図1ではこれらが代表的に移動鏡15、レチクル干渉計16、固定鏡14として示されている。なお、例えば、レチクルステージRSの端面を鏡面加工して反射面(移動鏡15の反射面に相当)を形成しても良い。また、レチクルステージRSの走査方向(本実施形態ではY軸方向)の位置検出に用いられるX軸方向に伸びた反射面の代わりに、少なくとも1つのコーナーキューブ型ミラー(例えばレトロリフレクタ)を用いても良い。ここで、レチクルY干渉計とレチクルX干渉計の一方、例えばレチクルY干渉計は、光軸を2軸有する2軸干渉計であり、このレチクルY干渉計の計測値に基づきレチクルステージRSのY位置に加え、θz方向の回転も計測できるようになっている。
レチクル干渉計16の計測値は、ステージ制御装置20及びこれを介して主制御装置50に送られている。ステージ制御装置20では、主制御装置50からの指示に応じ、レチクル干渉計16の計測値に基づいてレチクルステージ駆動系12を介してレチクルステージRSを駆動制御する。
レチクルRの上方には、投影光学系PLを介してウエハステージWS上の一対の基準マークとこれに対応するレチクルR上の一対のレチクルマークとを同時に観察するための露光波長の光を用いたTTR(Through The Reticle)アライメント系から成る一対のレチクルアライメント系13A,13B(図1では不図示、図12参照)がX軸方向に所定距離隔てて設けられている。この一対のレチクルアライメント系13A,13Bとしては、例えば特開平7−176468号公報(対応する米国特許第5,646,413号)などに開示されるものと同様の構成のものが用いられている。
前記投影ユニットPUは、レチクルステージRSの図1における下方でボディBDの一部に保持されている。このボディBDは、クリーンルームの床面F上に設置されたフレームキャスタFC上に設けられた第1コラム(メインフレーム)32と、この第1コラム32の上に固定された第2コラム34とを備えている。
前記フレームキャスタFCは、床面F上に水平に置かれたベースプレートBSと、該ベースプレートBS上に固定された複数本、例えば3本(又は4本)の脚部39(但し、図1における紙面奥側の脚部は図示省略)とを備えている。
前記第1コラム32は、上記フレームキャスタFCを構成する複数本、例えば3本(又は4本)の脚部39それぞれの上端に個別に固定された複数、ここでは3つの第1防振機構56A,56B,56C(但し、図1では紙面奥側の第1防振機構56Cは図示省略、図12参照)によって、ほぼ水平に支持されている。
前記第1防振機構56A〜56Cのそれぞれは、支持対象物としての第1コラム32を支持するエアマウントと、第1コラム32をZ軸方向(図1における紙面内上下方向(重力方向に一致))に高応答で微小駆動可能な微小駆動部とを、それぞれ備えている。各エアマウントは、ハウジングを有し、該ハウジングに形成された開口を塞ぐ状態でダイヤフラムを介して保持部材が取り付けられ、これによりハウジング内部にほぼ気密状態の気体室が形成されている。この場合、気体室内部の空気の圧力により保持部材を介して第1コラム32が保持されている。前記各微小駆動部は、第1コラム32に直接取り付けられた可動子をZ軸方向にそれぞれ駆動するボイスコイルモータを含んで構成されている。
このように構成される第1防振機構56A〜56Cのそれぞれでは、ステージ制御装置20により不図示の圧力センサの計測値に基づいて気体室内の気体、例えば空気の圧力制御が行われる。但し、気体室内の気体の内圧は高いため、制御応答が20Hz程度しか確保できないので、高応答の制御が必要な場合には、ステージ制御装置20は、第1コラム32に取り付けられた不図示の加速度計などの出力に応じて各ボイスコイルモータを制御する。勿論、床振動などの微振動は、エアマウントの空気ばねによって除振される(マイクロGレベルで絶縁される)。
前記第1コラム32は、例えば鋳物から成り、そのほぼ中央部に不図示の円形開口が形成されている。この円形開口内に、投影ユニットPUが、上方から挿入され、次のようにして保持されている。すなわち、投影ユニットPUは、円筒状でその外周部の下端部近傍にフランジFLGが設けられた鏡筒40と、該鏡筒40に保持された複数の光学素子から成る露光光学系としての投影光学系PLとを含む。この場合、第1コラム32上面の前記円形開口の外側とフランジFLGとの間には、レンズワッシャIVが介装され、このレンズワッシャIVの上面がフランジFLGの下面に下方から当接することで、投影ユニットPUが第1コラム32に保持されている。レンズワッシャIVは、鏡筒40のZ軸方向の位置及び投影光学系PLの像面とフランジFLGの下面(及び上面)との平行度を調整するなどの役目を有する。本実施形態では、レンズワッシャIVの材料として、フランジFLGと同一の低熱膨張の材料、例えばインバー(Inver:ニッケル36%、マンガン0.25%、及び微量の炭素と他の元素を含む鉄からなる低膨張の合金)が用いられている。
前記第1コラム32の上面には、投影ユニットPUを取り囲む位置に、複数本、例えば3本の脚41(但し、図1における紙面奥側の脚は図示省略)の一端(下端)が固定されている。これらの脚41それぞれの他端(上端)面は、ほぼ同一の水平面上にあり、これらの脚41それぞれの上端面に前述のレチクルベース36の下面が固定されている。このようにして、複数本の脚41によってレチクルベース36が水平に支持されている。すなわち、レチクルベース36とこれを支持する3本の脚41とによって第2コラム34が構成されている。レチクルベース36には、その中央部に照明光ILの通路となる開口36aが形成されている。
前記投影光学系PLとしては、例えばZ軸方向の共通の光軸AXを有する複数のレンズ(レンズエレメント)から成る屈折光学系が用いられている。この投影光学系PLは、例えば両側テレセントリックで所定の投影倍率(例えば1/4倍又は1/5倍)を有する。このため、照明系10からの照明光ILによってレチクルRの照明領域が照明されると、このレチクルRを通過した照明光ILにより、投影光学系PLを介してその照明領域内のレチクルRの回路パターンの縮小像(回路パターンの一部の縮小像)が表面にレジスト(感光剤)が塗布されたウエハW上に形成される。すなわち、照明系10と投影光学系PLとを含んで、ウエハステージWS上のウエハWを露光する露光システムが構成されている。
前記ウエハステージWSは、投影ユニットPUの下方に水平に配置されたステージベース(ステージ定盤)71の上面に、その底面に設けられた複数のエアベアリングを介して非接触で浮上支持されている。
前記ステージベース71は、前述のベースプレートBS上にそれぞれ配置された、複数(ここでは3つ)の第2防振機構66A〜66C(但し、図1では紙面奥側の第2防振機構66Cは図示省略、図12参照)によってほぼ水平に支持されている。
第2防振機構66A〜66Cのそれぞれは、前述の第1防振機構56A〜56Cと同様に構成されている。これらの第2防振機構66A〜66Cでは、ステージ制御装置20によって、不図示の圧力センサの計測値に基づいてエアマウントの気体室内の気体、例えば空気の圧力制御が行われる。この場合も、高応答の制御が必要な場合には、ステージ制御装置20は、不図示の加速度計などの出力に応じてボイスコイルモータを制御する。また、ベースプレートBSなどを介して伝達される床振動などの微振動は、エアマウントの空気ばねによって除振される(マイクロGレベルで絶縁される)。
前記ステージベース71の+Z側の面(上面)は、その平坦度が非常に高くなるように加工されており、ウエハステージWSの移動の際のガイド面とされている。
前記ウエハステージWSは、投影光学系PLの図1における下方で、次に説明するXY駆動系31によって上記ガイド面に沿ってXY面内で駆動されるXYステージ28と、該XYステージ28上にZ・チルト駆動系29(図12参照)を介して搭載され、該Z・チルト駆動系29によってZ軸方向、θx方向(X軸回りの回転方向)、θy方向(Y軸回りの回転方向)の3自由度方向に微小駆動される計測対象物(及び移動体)としてのウエハテーブルWTとを含んで構成されている。
前記XY駆動系31は、図1に示されるように、XYステージ28(ウエハステージWS)をX軸方向に駆動するX軸リニアモータ21Xと、該X軸リニアモータ21Xと一体的にウエハステージWSをY軸方向に駆動する一対のY軸リニアモータ21Y1、21Y2とを備えている。これを更に詳述すると、Y軸リニアモータ21Y1、21Y2は、ステージベース71の−X側、+X側にそれぞれ配置され、図2に示されるようにY軸方向に延設された断面U字状の電機子ユニットから成るY軸固定子22a、22bを、それぞれ有している。Y軸固定子22a、22bは、図1に示されるように、それぞれの長手方向の一端と他端とが各一対の支持部材23の上端面に固定され、その各一対の支持部材23によって、水平に支持されている。各支持部材23の下端は、ベースプレートBSに形成された開口を介して床面Fに固定されている。
前記X軸リニアモータ21Xは、XYステージ28に形成された開口内に挿入されたX軸方向を長手方向とする電機子ユニットから成るX軸固定子を備えている。なお、以下の説明においては、説明の便宜上から、このX軸固定子をX軸リニアモータ21Xと同一の符号を用いてX軸固定子21Xと記述するものとする。
X軸固定子21Xを取り囲むXYステージ28の開口の上下の対向面には、複数の永久磁石がX軸方向に沿って所定間隔で配置され、その開口内にX軸方向に沿って交番磁界が形成されている。
X軸固定子21Xの長手方向の一端と他端には、磁極ユニットから成るY軸可動子25a、25bが、それぞれ固定され、これらのY軸可動子25a、25bは、それぞれのX軸方向の外側半部が、前述のY軸固定子22a、22bの上下の対向面に非接触で挟持された状態となっている。Y軸可動子25a、25bには、複数のN極永久磁石とS極永久磁石がY軸方向に沿って交互にかつ所定間隔で配置されている。
この場合、XYステージ28の開口内に形成された交番磁界とX軸固定子21Xを構成する各電機子コイルに供給される電流との電磁相互作用により発生するローレンツ力によって、XYステージ28(ウエハステージWS)が、X軸固定子21Xに対してX軸方向に駆動される。ここで、XYステージ28(ウエハステージWS)のX軸方向に関する駆動力の大きさとその向きは、X軸固定子21Xを構成する各電機子コイルに供給される電流の大きさ及び向きによって自在に制御可能である。
また、一対のY軸固定子22a、22bを構成する各電機子コイルに供給される電流と、Y軸可動子25a、25bにそれぞれ設けられた複数のN極永久磁石とS極永久磁石とがY軸固定子22a、22bの内部空間に形成するY軸方向に関する交番磁界との電磁相互作用により発生するローレンツ力によって、X軸固定子21Xと一体的にXYステージ28(ウエハステージWS)が、Y軸方向に沿って駆動される。この場合、X軸固定子21X及びXYステージ28(ウエハステージWS)のY軸方向に関する駆動力の大きさとその向きとは、Y軸固定子22a、22bを構成する各電機子コイルに供給される電流の大きさ及び向きによって自在に制御可能である。
このように、本実施形態では、X軸固定子21Xと、XYステージ28の開口の上下の対向面に設けられた複数の永久磁石とによって、XYステージ28をX軸方向に駆動するムービングマグネット型の電磁力駆動方式のX軸リニアモータ21Xが構成されている。また、Y軸固定子22a、22bのそれぞれと個別に対応するY軸可動子25a、25bとによって、X軸リニアモータ21Xと一体でXYステージ28をY軸方向に駆動する電磁力駆動方式のY軸リニアモータ21Y1、21Y2が、それぞれ構成されている。また、一対のY軸リニアモータ21Y1、21Y2が同一大きさ、同一方向の電磁力を発生する場合には、X軸リニアモータ21Xと一体でXYステージ28がY軸方向に駆動されるが、一対のY軸リニアモータ21Y1、21Y2が発生する電磁力を異ならせることにより、X軸リニアモータ21Xと一体でXYステージ28をθz方向に微小駆動することが可能である。
上記X軸リニアモータ21X、Y軸リニアモータ21Y1、21Y2に供給される電流の向き及び大きさが、ステージ制御装置20によって制御されるようになっている。
本実施形態では、X軸固定子21Xと一対のY軸可動子25a,25bとから成る構造物(Yステージとも呼ばれる)は、ウエハステージWSのX軸方向の駆動の際に、その駆動力の反力を受けてウエハステージWSと反対側に運動量保存の法則に従う距離だけ移動してその反力を吸収するローカルカウンタマスとしても機能する。このため、Y軸固定子22a,22bの少なくとも一方には、Y軸方向に細長い長方形枠状の不図示のコイルが設けられ、前記Y軸固定子22a,22bの少なくとも一方に対応するY軸可動子には、Y軸方向に細長く伸びる永久磁石が設けられ、これら永久磁石と前記コイルとによって、前記YステージをX軸方向に微小駆動するX軸トリムモータが構成されている。そして、ステージ制御装置20が、主制御装置50からの指示に応じ、所定のタイミングで、Yステージを所定の原位置に復帰させるべく上記X軸トリムモータを駆動するようになっている。
前記Z・チルト駆動系29は、例えば、XYステージ28上でウエハテーブルWTを3点で支持する3つのアクチュエータ(例えば、ボイスコイルモータ又は電磁石)と、各アクチュエータによるウエハテーブルWTの支持点のZ軸方向の駆動量を個別に計測する3つのリニアエンコーダとを含む。
前記ウエハテーブルWTは、Z・チルト駆動系29を介してXYステージ28上に搭載されたテーブル本体部TBと、該テーブル本体部TBの上面に固定されたプレート部PTとを備えている。プレート部PTの上面に、ウエハホルダWHを介してウエハWが真空吸着(又は静電吸着)等により固定されている。
前記ウエハホルダWHの上面には、外周縁に沿ってリング状のリム部が形成され、このリム部内部の円形領域には、多数のピンが配置されている。そして、ウエハWがその多数のピンによって支持された状態で真空吸着されている。
前記プレート部PT上には、基準マーク板FMがその表面が、ウエハWとほぼ同一高さとなる状態で設けられている。この基準マーク板FMの表面には、少なくとも一対のレチクルアライメント用の第1基準マークと、これらの第1基準マークに対して既知の位置関係にある、後述するアライメント系ALGのベースライン計測用の第2基準マークなどが形成されている。
前記ウエハテーブルWTのX、Y、Z、θx、θy及びθzの6自由度方向の位置情報は、図1に示される干渉計システム18によって計測されている。この干渉計システム18からのウエハテーブルWTの位置情報(又は速度情報)は、ステージ制御装置20及びこれを介して主制御装置50に送られ、ステージ制御装置20では、主制御装置50からの指示に応じて、ウエハテーブルWTのX、Y、θx、θy及びθzの5自由度方向の位置情報(又は速度情報)に基づいて、XY駆動系31を介してウエハステージWS(ウエハテーブルWT)のXY面内の位置を制御する。なお、干渉計システム18の構成等については、後に詳述する。
第1コラム32の下面には、照射系42a及び受光系42bから成る、例えば特開平6−283403号公報(対応米国特許第5,448,332号)等に開示されるものと同様の斜入射方式の多点焦点位置検出系(以下、適宜「多点AF系」とも呼ぶ)が設けられている。このように、照射系42a及び受光系42bと、投影光学系PLとが、同一の部材(第1コラム32)に取り付けられており、両者の位置関係が一定に維持されている。
照射系42aは、主制御装置50によってオンオフが制御される光源を有し、多数のピンホール又はスリットの像を形成するための光束を投影光学系の結像面に向け、かつ光軸AXに対して斜め方向からウエハ表面に対して照射する。一方、ウエハ表面で反射されたそれらの光束の反射光束は、受光系42b内の受光素子によって受光され、電気信号(焦点ずれ信号)に変換される。この焦点ずれ信号(デフォーカス信号)は、ステージ制御装置20及びこれを介して主制御装置50に供給されている。ステージ制御装置20は、走査露光時などに、主制御装置50からの指示に応じ、焦点ずれ信号(デフォーカス信号)、例えばSカーブ信号に基づいてウエハW表面のZ位置、θx方向の回転,θy方向回転を算出し、その算出結果にもとづいて、ウエハテーブルWTに対する3つの支持点のそれぞれをZ軸方向に駆動する各アクチュエータの駆動量を算出し、各アクチュエータによって駆動される対応する支持点のZ軸方向の位置を検出するリニアエンコーダの出力をモニタしつつ、各アクチュエータを駆動する。このようにして、ウエハテーブルWTのZ軸方向への移動、及び2次元方向の傾斜(すなわち、θx,θy方向の回転)が制御され、照明光ILの照射領域(前述の照明領域と共役な照明光ILの照射領域)内で投影光学系PLの結像面にウエハWの表面を実質的に合致させる、ウエハWのフォーカス・レベリング動作が実行される。
さらに、本実施形態の露光装置100では、図1では図示が省略されているが、第1コラム32の投影ユニットPUの−Y側には、図2、図4等に示されるように、オフアクシス・アライメント系ALGが設けられている。このアライメント系ALGとしては、例えば、ウエハ上のレジストを感光させないブロードバンドな検出光束を対象マークに照射し、その対象マークからの反射光により受光面に結像された対象マークの像と不図示の指標の像とを撮像素子(CCD)等を用いて撮像し、それらの撮像信号を出力する画像処理方式のFIA(Field Image Alignment)系のセンサ(以下、「FIA系」とも記述する)が用いられている。このFIA系ALGは、指標中心を基準とするマークの位置情報を主制御装置50に供給する。主制御装置50は、この供給された情報と、干渉計システム18の計測値とに基づいて、検出対象のマーク、具体的には前述した基準マーク板FM上の第2基準マーク又はウエハ上のアライメントマークのアライメント座標系(後述するX軸干渉計46の測長軸と、Y軸干渉計60の測長軸とによって規定される座標系)上における位置情報を計測するようになっている。
次に、干渉計システム18の構成等について、図2〜図12に基づいて詳述する。
図2には、ウエハステージWS、XY駆動系31及び干渉計システム18を含んで構成されるステージ装置30の平面図が示されている。また、図3には、図2の干渉計システム18を構成するX干渉計、Y干渉計の測長軸(測定ビームの光軸)の配置が示され、図4には、それらX干渉計、Y干渉計の参照ビームの光軸の配置が示され、図5には、Z干渉計システムの各ビームの光軸の配置が平面図にて示されている。なお、図5では、テーブル本体TBからプレートPTが外された状態のウエハテーブルWTが示されている。
干渉計システム18は、図2に示されるように、X軸干渉計44,46、X軸干渉計ユニット48、Y軸干渉計60及びY軸干渉計ユニット62、並びにZ干渉計システム69(図12参照)等を含んで構成されている。X軸干渉計44,46、X軸干渉計ユニット48、Y軸干渉計60及びY軸干渉計ユニット62は、第1コラム32に吊り下げ状態で固定されている。また、Z干渉計システム69は、その構成部分の一部が第1コラム32に吊り下げ状態で固定され、残りの一部がウエハテーブルWTに設けられている。干渉計システム18を構成する各干渉計としては、実際に最も広く使用されているマイケルソン型のヘテロダイン・レーザ干渉計が用いられている。
前記X軸干渉計44は、図4に示されるように、投影光学系PLの鏡筒に固定された固定鏡57Xに対してX軸に平行な参照ビームRBX1を照射するとともに、図3に示されるように、プレートPTの−X側の端面26aにX軸に平行な測定ビームMBX1を照射する。この場合、参照ビームRBX1、測定ビームMBX1は、ともに投影光学系PLの光軸と垂直に交差する。すなわち、参照ビームRBX1、測定ビームMBX1は、同一のXZ面内でZ軸方向に所定距離離れた光路を通る。上記端面26aには、鏡面加工が施されて反射面が形成されている。以下この反射面を、反射面26aと記述する。X軸干渉計44は、参照ビームRBX1の固定鏡57Xからの反射光と測定ビームMBX1の反射面26aからの反射光とを受光し、それらの反射光同士の干渉光に対応する信号を、ステージ制御装置20に出力する。ステージ制御装置20では、X軸干渉計44からの出力信号に基づいて、固定鏡57Xの反射面を基準とする反射面26aのX軸方向の位置情報を算出するとともに、その算出した位置情報を主制御装置50に出力する(図12参照)。
前記X軸干渉計46は、図4に示されるように、前述したアライメント系ALGの鏡筒に固定された固定鏡58Xに対してX軸に平行な参照ビームRBX2を照射するとともに、プレートPTの反射面26aに図3に示されるX軸に平行な測定ビームMBX2を照射する。この場合、参照ビームRBX2、測定ビームMBX2は、ともにアライメント系ALGの検出中心と垂直に交差する。すなわち、参照ビームRBX2、測定ビームMBX2は、同一のXZ面内でZ軸方向に所定距離離れた光路を通る。X軸干渉計46は、参照ビームRBX2の固定鏡58Xからの反射光と測定ビームMBX2の反射面26aからの反射光との干渉光に対応する信号を、ステージ制御装置20に出力する。ステージ制御装置20では、X軸干渉計46からの出力信号に基づいて、固定鏡58Xの反射面を基準とする反射面26aのX軸方向の位置情報を算出するとともに、その算出した位置情報を主制御装置50に出力する(図12参照)。
ステージ制御装置20は、アライメント系ALGを用いてウエハW上のアライメントマーク(ウエハマーク)を検出するウエハアライメントの際には、X軸干渉計46の計測値に基づいて、ウエハテーブルWTのX位置情報を計測するが、露光時などには、X軸干渉計44の計測値に基づいて、ウエハテーブルWTのX位置情報を計測する。従って、露光時、ウエハアライメント時のいずれにおいても、いわゆるアッベ誤差なく、ウエハテーブルWTのX位置情報を計測することが可能である。
前記X軸干渉計ユニット48は、図3に示されるように、測長軸を2軸有し、X軸方向に平行な測定ビームMBX3、MBX4を反射面26aに対して照射し、それらの反射光を受光して、内部の参照鏡を基準とする、反射面26aのX軸方向に関する位置(X位置)情報を含む信号を、測長軸毎にステージ制御装置20に出力する。なお、X軸干渉計ユニット48の構成等については、後にさらに説明する)。
ステージ制御装置20は、2本の測長軸の計測値の平均値に基づいてウエハテーブルWTのX位置を算出し、2本の測長軸の計測値の差に基づいてθz回転を算出するとともに、その算出結果を主制御装置50に出力する(図12参照)。このX軸干渉計ユニット48は、図3、図4等に示されるウエハ交換位置(ローディングポジション)LPにウエハステージWSを移動させる際にそのX位置及びθz回転を管理するために主として用いられる。
前記Y軸干渉計60は、図4に示されるように、アライメント系ALGの近傍で不図示の固定部材を介して第1コラム32に固定された固定鏡57Yに対してY軸に平行な参照ビームRBY1を照射するとともに、プレートPTの−Y側の端面26bに図3に示されるY軸に平行な2軸の測定ビームMBY1、MBY2を照射する。上記端面26bには、鏡面加工が施されて反射面が形成されている。以下この反射面を、反射面26bと記述する。なお、反射面26a,26bを形成する代わりに、ウエハテーブルWTに平面鏡から成る移動鏡を固定しても良い。
前記参照ビームRBYは、アライメント系ALGの検出中心、投影光学系PLの光軸AXで、参照ビームRBX2、RBX1とそれぞれ垂直に交差する。また、測定ビームMBY1、MBY2は、平面視で(上方から見て)参照ビームRBY1に対して対称な配置となっており、測定ビームMBX1、MBX2と同一のXY平面上を通る。このY軸干渉計60の各測長軸(測定ビームの光軸)の計測値は、ステージ制御装置20に出力されている。ステージ制御装置20は、2本の測長軸の計測値の平均値に基づいてウエハテーブルWTのY位置を算出し、2本の測長軸の計測値の差に基づいてウエハテーブルWTのθz回転を算出するとともに、その算出結果を主制御装置50に出力する(図12参照)。
前記Y軸干渉計ユニット62は、図3に示されるように、Y軸に平行な測定ビームMBY3を反射面26bに対して照射し、その反射光を受光して、内部の参照鏡を基準とする、反射面26bのY軸方向に関する位置(Y位置)情報を含む信号を、ステージ制御装置20に出力する。ステージ制御装置20は、ウエハテーブルWTのY位置を算出するとともに、その算出結果を主制御装置50に出力する(図12参照)。このY軸干渉計ユニット62は、ウエハ交換位置(ローディングポジション)LPにウエハステージWSを移動させる際にそのY位置を管理するために主として用いられる。
ここで、前述のX軸干渉計ユニット48について、さらに詳述する。このX軸干渉計ユニット48は、図12に示されるように、光源47A、受光部としての検出部55A及び算出装置としての信号処理系59Aとともに、測長軸を2軸有する計測装置としてのX軸干渉計48Xを構成するものである。このX軸干渉計ユニット48は、測定ビームMBX3を反射面26aに照射する干渉計本体部としての干渉計ユニット48Aと、測定ビームMBX4を反射面26aに照射する干渉計ユニット48Bとを有している。
上記光源47Aとしては、例えばゼーマン効果を利用した2周波レーザが用いられている。この光源47Aは、周波数安定化されたもので、ゼーマン効果を用いて2〜3MHzだけ振動数が異なり(従って波長が異なり)、かつ、偏光方向が互いに直交する2つの偏向成分を含むガウス分布の円形ビームから成るレーザビームを出力する。
前記干渉計ユニット48Aは、図7(A)に示されるように、光学ユニット49、ミラーM1,M2、FOP(fiber optic pickup)51及び遮光部材としての遮光機構52、並びにコーナーキューブ53等を備えている。
前記光学ユニット49は、図7(A)に−Y側から見た側面図で示されるように、分離光学素子としての立方体状の偏光ビームスプリッタ(PBS)49aと、該偏光ビームスプリッタ49aの上面(+Z側面)に固定されたコーナーキューブ49bと、偏光ビームスプリッタ49aの+X側、−Z側にそれぞれ配置された四分の一波長板(λ/4板)49c,49dと、λ/4板49dの−Z側に配置された参照鏡(固定鏡)としてのミラー49eとが、一体化されて構成されている。
前記FOP51の出力端には、所定長さの光ファイバ54の一端が接続され、その光ファイバの他端は検出部55A(図12参照)に接続されている。
前記遮光機構52は、FOP51の受光面の近傍に配置され、図8(B)の平面図に示されるように、正方形の枠体52aと、該枠体52aの内部開口の半分を塞ぐ状態で設けられた遮光板52bとを有し、全体が駆動部としての第1駆動機構63A(図8(B)では不図示、図12参照)によって軸52cを中心として矢印Cで示されるように+Z方向から見て時計回りに回転駆動されるようになっている。すなわち、遮光機構52と第1駆動機構63Aによって干渉計ユニット48Aから出力される前記合成光束の光路の一部を遮光可能で、その遮光領域を切り換え可能な遮光装置が構成されている。
前記コーナーキューブ53は、図7(A)中に矢印A,A’で示されるように、実線で示される第1位置と二点鎖線で示される第2位置との間で、駆動機構としての第2駆動機構64A(図12参照)によって往復駆動されるようになっている。すなわち、コーナーキューブ53と第2駆動機構64Aとによって、後述する第1測定パスを開閉する光路開閉機構が構成されている。
前記干渉計ユニット48Bは、全体的には上述した干渉計ユニット48Aと同様に構成されているが、遮光機構52、コーナーキューブ53(及びこれらを駆動する第1、第2の駆動機構63A、64A)は設けられていない。
前記検出部55A(図12参照)は、干渉計ユニット48A,48Bそれぞれを構成する2本の光ファイバ54の他端側に個別に配置された2つの検出ユニットを含む。各検出ユニットは、検光子及び光電変化素子を含んで構成されている。
前記信号処理系59Aは、マイクロプロセッサ等を含んで構成されている。
次に、干渉計ユニット48Aの作用について説明する。ここでは、コーナーキューブ53が、光学ユニット49からの測定ビームMBX3の光路(測定パス)から退避した第1位置にある、図7(A)に示される通常時の状態について説明する。
前述の光源47Aから出力されたレーザビームLBは、図7(A)に示されるように、干渉計ユニット48Aの内部に−Z方向から+Z方向に向かって入射し、ミラーM1によってその光軸が90°折り曲げられ、光学ユニット49を構成する偏光ビームスプリッタ49aに−X側から+X側に向かって入射する。そして、この偏光ビームスプリッタ49aに入射したレーザビームLBは、その内部の多層膜等からなる分離面を透過して第1測定パスを+X方向にそのまま進行するP偏光成分から成る測定ビーム(MBX3)と、上記多層膜等からなる分離面で反射され第1参照パスを+Z方向から−Z方向に進行するS偏光成分から成る参照ビームとに分離される。
そして、第1測定パスを−X側から+X側に進行中の測定ビームは、λ/4板49cを透過して円偏光に変換され、プレートPTの反射面26aに至る。この反射面26aで反射された測定ビームは、前とは逆向きの円偏光となって、第1測定パスを+X側から−X側に進行してλ/4板49cを再度透過して、入射時とは90°偏光方向が異なる直線偏光(S偏光)となって、偏光ビームスプリッタ49aに戻る。そして、この測定ビームは、偏光ビームスプリッタ49aの多層膜等からなる分離面で反射されてその進行方向が+Z側に折り曲げられ、コーナーキューブ49bの反射面で順次反射されて反対方向に折り返される。そして、この折り返された測定ビームは、+Z方向から−Z方向に向かって進んで偏光ビームスプリッタ49aに再度入射し、多層膜等からなる分離面で反射されてその進行方向が+X方向に折り曲げられ、前述の第1測定パスより所定距離下方に位置する第2測定パスを−X側から+X側に進行してλ/4板49cを透過して円偏光に変換され、反射面26aに至る。この反射面26aで反射された測定ビームは、前とは逆向きの円偏光となって、第2測定パスを+X側から−X側に進行してλ/4板49cを再度透過して、先にλ/4板49cを−X方向から+X方向に透過した時とは90°偏光方向が異なる直線偏光(P偏光)となって、偏光ビームスプリッタ49aに戻る。そして、この測定ビーム(P偏光)は、第2測定パスと同軸の戻り光路に沿ってミラーM2に向かって戻り、そのミラーM2で反射されて進行方向が90°折り曲げられて遮光機構52の開口を介してFOP51に入射する。
この一方、上述の如く、第1参照パスを+Z方向から−Z方向に進行している参照ビーム(S偏光成分)は、λ/4板49dを透過して円偏光となり、ミラー49eの反射面で反射されてλ/4板49dを前と逆向きに再度透過し、先にλ/4板49dを+Z方向から−Z方向に透過した入射時とは偏光方向が90°異なる直線偏光(P偏光成分)となって第1参照パスに沿って進行し、偏光ビームスプリッタ49aの多層膜等からなる分離面を透過して、コーナーキューブ49の反射面で順次反射されて反対方向に折り返される。そして、この折り返された参照ビームは、+Z方向から−Z方向に向かって進んで偏光ビームスプリッタ49aの多層膜等からなる分離面を再度透過し、第1参照パスより所定距離+X側の第2参照パスに沿って+Z方向から−Z方向に向かって進み、λ/4板49dを透過する。そして、このλ/4板49dを透過した参照ビームは、円偏光となってミラー49eの反射面で反射されてλ/4板49dを前と逆向きに再度透過し、先に第2参照パスに沿ってλ/4板49dを+Z方向から−Z方向に透過したときとは偏光方向が90°異なる直線偏光(S偏光成分)となって第2参照パスを前と逆向きに進んで偏光ビームスプリッタ49aの多層膜等からなる分離面で反射され、前述の測定ビームの戻り光(P偏光)と同軸に合成されて、前述の戻り光路に沿ってミラーM2に向かって戻り、該ミラーM2で反射されて遮光機構52の開口を介してFOP51に入射する。
このようにしてFOP51に入射した測定ビームMBX3と対応する参照ビーム(RBX3とする)の合成光束は、光ファイバ54を介して検出部55A内の1つの検出ユニットの検光子を通過する。これにより、その検光子から測定ビームMBX3と参照ビームRBX3との干渉光が出力され、該干渉光が光電変換素子で受光され、干渉光に応じた干渉信号が信号処理系59Aに送られる。なお、コーナーキューブ53が、測定ビームMBX3の光路(第1測定パス)上の位置(第2位置)にあるとき(図7(B)参照)の、作用については後述する。
前記干渉計ユニット48Bは、上述した干渉計ユニット48Aと同様にして測定ビームMBX4と参照ビーム(RBX4とする)との合成光束を、対応する検出ユニットに対して出力する。この検出ユニットから測定ビームMBX4と参照ビームRBX4との干渉光に応じた干渉信号が信号処理系59Aに送られる。
信号処理系59Aでは、前記各検出ユニットを構成する光電変換素子からの干渉信号に基づいて、測定ビームの位相が参照ビームの位相に対してドップラーシフトし、位相変化が生じることを利用して、その位相変化で生じた干渉信号の変化をヘテロダイン検出し、その干渉信号の変化から、測定ビームMBX3,MBX4が照射された反射面26a上の点それぞれにおける、基準位置(ミラー49eによって規定される)からの反射面26aのX軸方向の位置情報(X位置情報)をそれぞれ算出する。そして、信号処理系59Aでは、その算出結果に基づいてウエハテーブルWTのX位置及びθz回転を前述の如くして求め、その算出結果の情報をステージ制御装置20及びこれを介して主制御装置50に供給するようになっている。
また、前記Y軸干渉計ユニット62は、測定ビームMBY3の光軸方向がY軸方向である点を除き、前述した干渉計ユニット48Aと全く同様に構成されている。このY軸干渉計ユニット62は、図12に示されるように、光源47B、受光部としての検出部55B及び算出装置としての信号処理系59Bとともに、計測装置としてのY軸干渉計62Yを構成する(図12参照)。Y軸干渉計ユニット62は、図12に示される駆動部としての第3駆動機構63Bによって駆動される前述の遮光機構52と同様の構成の遮光機構を備えている。また、このY軸干渉計ユニット62を構成する前述のコーナーキューブ53と同様のコーナーキューブは、図12に示される駆動機構としての第4駆動機構64Bによって駆動されるようになっている。
前記X軸干渉計44、46及びY軸干渉計60は、光源、干渉計ユニット及び検出部を含んでそれぞれ構成された通常のマイケルソン型のヘテロダイン・レーザ干渉計であるので詳細説明は省略する。
次に、Z干渉計システム69について説明する。このZ干渉計システム69は、図2に示されるセンサヘッド68、Y軸可動子25aに設けられた第1、第2の折り曲げミラー部72、73及びウエハステージWSのテーブル本体TBに取り付けられた3つの光学ユニット74、75、76、並びにVミラー70等を備えている。センサヘッド68及びVミラー70は、第1コラム32の下面に吊り下げ状態で固定されている。
センサヘッド68は、その内部に光源、光学系、並びに複数の検光子(偏光子)及び複数の光電変換素子等を内蔵している。光源としては、前述の光源47Aと同様のゼーマン効果を利用した2周波レーザが用いられている。この光源からのレーザ光束が光学系により断面形状が水平方向に拡大され、図2に示されるように、その断面形状が拡大されたビームBMがセンサヘッド68から出力される。また、このセンサヘッド68には、光学ユニット74、75、76からの戻り光(後述する参照ビームと測定ビームとの合成光)を光学系及び個別の検光子を順次経由させ、各検光子から出力される干渉光を複数の光電変換素子で個別に受光し、各干渉光に応じた干渉信号をステージ制御装置20内部の不図示の信号処理系に送る。この信号処理系では、各光電変換素子からの干渉信号に基づいて、測定ビームの位相が参照ビームの位相に対してドップラーシフトし、位相変化が生じることを利用して、その位相変化で生じた干渉信号の変化をヘテロダイン検出し、その干渉信号の変化から後述するΔZを算出する。なお、上記の幅広に拡大したビームBMを用いることとした理由については後述する。
第1の折り曲げミラー部72は、アパーチャと2つのプリズム(又はミラー)を有している。2つのプリズム(又はミラー)は、それそれの反射面がXY平面に直交してかつX軸に対して45°の角度を成す面上で、僅かに離間した状態となるように配置されている。第1の折り曲げミラー部72では、センサヘッド68から出力されたビームBMの一部をアパーチャで切り出すとともに、その切り出したビームを、Y軸方向に所定距離離間したX軸に平行な2つのビームBM1、BM2に分離する。ビームBM1は前述の光学ユニット74に入射し、BM2は、前述の光学ユニット75に入射する。ビームBMの残部は、第2の折り曲げミラー部73に向かって進行する(図2及び図5参照)。
第2の折り曲げミラー部73は、前記ビーム3Mの残部を反射してその進行方向を+X方向に折り曲げてビームBM3として前述の光学ユニット76に入射させる(図2及び図5参照)。
本実施形態では、第1、第2の折り曲げミラー部72,73が設けられたY軸可動子25a、X軸固定子21X及びY軸可動子25bから成るYステージは、ウエハステージWSのX軸方向の駆動時のローカルカウンタマスとしても機能するため、X軸方向に数mm程度の移動ストロークを有する。そのため、単にミラーで光源からのビームを折り曲げるだけだと、その折り曲げられたビームの光路がY軸方向にずれ、結果的にテーブル本体TBに固定された光学ユニット74、75、76へビームが入射しなくなるおそれがある。そこで、Yステージに向かうビームBMは、水平方向に拡大したビームとし、そこから第1の折り曲げミラー部72のアパーチャでビームを切り出して用いることで、Yステージの全ストローク範囲で、ビームBM1、BM2、BM3がそれぞれ光学ユニット74、75、76に確実に入射するようにしているのである。これが幅広に拡大したビームBMを用いる理由である。
図6は、ウエハテーブル本体TBの概略構成を示す平面図である。この図6に示されるように、ウエハテーブル本体TBには、このテーブル本体TBのZ変位(及びヒツチング量、ローリング量)を計測するためのZ干渉計システム69を構成する3つの光学ユニット74、75、76が設けられている。
図9は、テーブル本体TB(ウエハテーブルWT)を−Y方向から+Y方向に見た状態の側面図であり、光学ユニット74、75の配置を示している。
図9に示されるように、光学ユニット74は、ウエハテーブル本体TBの−Y側の側面に、ビームBM1の光路上で且つウエハテーブル本体TBの−X側寄りに配置されており、第1の折り曲げミラー部72と光学的に結合された折り曲げミラー(第1光学部材)81、ビームスプリツタ(偏光ビームスプリッタ等の分岐光学部材)82、折り曲げミラー83、プリズム(第2光学部材)84とから構成されている。
折り曲げミラー81は、入射したビームBM1を−Z方向へ祈り曲げてビームスプリッタ82に入射させるものである。ビームスプリッタ82は、折り曲げミラー81で折り曲げられたビームBM1を、当該ビームスプリッタ82を透過する計測ビームMB1と、X軸方向に平行な参照ビームRB1とに分岐する。本実施形態では、Z干渉計システム69が、光源として前述のゼーマン効果を利用した2周波レーザを用い、偏光方向が互いに直交する2つの偏光成分を含むレーザビームを出力するとともに、ビームスプリッタ82として偏光ビームスプリッタを用いている。この場合、ビームBM1のP偏光成分は、ビームスプリッタ82を透過する計測ビームMB1となり、ビームBM1のS偏光成分は、ビームスプリッタ82で反射する参照ビームRB1となる。折り曲げミラー83は、ビームスプリッタ82を透過した計測ビームMB1を+X方向へ折り曲げてプリズム84に入射させるものである。プリズム84は、折り曲げミラー83によって折り曲げられた計測ビームMB1を、Vミラー70の第2部分反射面70bと直交する方向に跳ね上げて射出する。
一方、ビームスプリッタ82で分岐された参照ビームRB1は、Vミラー70の第1部分反射面70aに向けて射出され、この反射面70aで当該ビームスプリッタ82に向けて反射される。
第1部分反射面70aで反射した参照ビームRB1及び第2部分反射面70bで反射した計測ビームMB1は元の光路を辿り、第1の折り曲げミラー部72を介してZ干渉計システム69のセンサヘッド68に入射する。
そして、主制御装置50においては、Z干渉計システム69のセンサヘッド68に入射した計測ビームMB1及び参照ビームRB1の光路長の差に基づいて、ウエハテーブル本体TBのZ変位を検出する。具体的には、第2部分反射面70bに向けて射出される計測ビームMB1の跳ね上げ角(XY平面に対して交差する角度)をθ、ウエハテーブル本体TBのZ位置が変動した際の計測ビームMB1の光路長の変化量を△Lとすると、ウエハテーブル本体TBのZ変位である△Zは、次式(1)により求まる。この場合、次式(1)で検出されるZ変位、すなわち光学ブロック74を用いて検出されるZ変位は、計測ビームMB1と、参照ビームRB1とが交差する計測点P1におけるZ変位となる(平面的な配置については図6参照)。
△Z=△L/sinθ ……(1)
同様に、光学ユニット75は、図9に示されるように、ウエハテーブル本体TBの−Y側の側面に、ビームBM2の光路上で且つウエハテーブル本体TBの+X側寄りに配置されており、第1の折り曲げミラー部72と光学的に結合されたビームスプリッタ(第1光学部材、偏光ビームスプリッタ等の分岐光学部材)91、折り曲げミラー92、プリズム(第2光学部材)93とから構成されている。
ビームスプリッタ91は、入射したビームBM2を、当該ビームスプリッタ91を透過してVミラー70の第1部分反射面70aに向かう参照ビームRB2と、−Z方向へ向かう計測ビームMB2とに分岐する。本実施形態では、Z干渉計システム69が、光源として前述のゼーマン効果を利用した2周波レーザを用い、偏光方向が互いに直交する2つの偏光成分を含むレーザビームを出力するとともに、ビームスプリッタ91として偏光ビームスプリッタを用いている。この場合、ビームBM2のP偏光成分は、ビームスプリッタ91を透過する参照ビームRB2となり、ビームBM2のS偏光成分は、ビームスプリッタ91で反射する測定ビームMB2となる。折り曲げミラー92は、ビームスプリッタ91から出射する計測ビームMB2を+X方向へ折り曲げてプリズム93に入射させるものである。プリズム93は、折り曲げミラー92により折り曲げられた計潮ビームMB2をVミラー70の第2部分反射面70bと直交する方向に跳ね上げて射出する。
第1部分反射面70aで反射した参照ビームRB2及び第2部分反射面70bで反射した測定ビームMB2は元の光路を辿り、第1の折り曲げミラー部72を介してZ干渉計システム69のセンサヘッド68に入射する。
そして、主制御装置50においては、Z干渉計システム69のセンサヘッド68に入射した計測ビームMB2及び参照ビームRB2の光路長の差に基づいて、上述した式(1)を用いてウエハテーブル本体TBのZ変位を検出する。この場合、上述の式(1)で検出されるZ変位、すなわち光学ブロック75を用いて検出されるZ変位は、計測ビームMB2と、参照ビームRB2とが交差する計測点P2におけるZ変位となる(平面的な配置については図6参照)。
また、光学ユニット76は、図10に示されるように、ウエハテーブル本体TBの+Y側の側面に、ビームBM3の光路上で且つウエハテーブル本体TBの+X側寄りに配置されており、第2の折り曲げミラー部73と光学的に結合された折り曲げミラー(第1光学部材)101、折り曲げミラー102、ビームスプリッタ(偏光ビームスプリッタ等の分岐光学部材)103、折り曲げミラー104、プリズム(第2光学部材)105とから構成されている。
なお、光学ユニット群74〜76におけるプリズム84、93、105の入射側には、実際には計測ビームの角度を変更するための光学素子群が配設されているが、ここでは図示を省略している。
折り曲げミラー101は、入射したビームBM3を−Z方向へ折り曲げるものであり、折り曲げミラー102は折り曲げミラー101で折り曲げられたビームBM3を+X方向へ折り曲げてビームスプリッタ103に入射させるものである。ビームスプリッタ103は、折り曲げミラー102で折り曲げられたビームBM3を、当該ビームスプリッタ103を透過してVミラー70の第1部分反射面70aに向かう参照ビームRB3と、+Z方向に向かう計測ビームMB3とに分岐する。本実施形態では、Z干渉計システム69が、光源として前述のゼーマン効果を利用した2周波レーザを用い、偏光方向が互いに直交する2つの偏光成分を含むレーザビームを出力するとともに、ビームスプリッタ103として偏光ビームスプリッタを用いている。この場合、ビームBM3のP偏光成分は、ビームスプリッタ103を透過する参照ビームRB3となり、ビームBM3のS偏光成分は、ビームスプリッタ103で反射する測定ビームMB3となる。折り曲げミラー104は、ビームスプリッタ103で+Z側へ折り曲げられた計測ビームMB3を+X方向へ折り曲げてプリズム105に入射させるものである。プリズム105は、折り曲げミラー104により折り曲げられた測定ビームMB3をVミラー70の第2部分反射面70bと直交する方向に跳ね上げて射出する。
第1部分反射面70aで反射した参照ビームRB3及び第2部分反射面70bで反射した計測ビームMB3は、元の光路を辿り、第2の折り曲げミラー部73を介してZ干渉計システム69のセンサヘッド68に入射する。
そして、主制御装置50においては、Z干渉計システム69のセンサヘッド68に入射した計測ビームMB3及び参照ビームRB3の光路長の差に基づいて、上述の式(1)を用いてウエハテーブル本体TBのZ変位を検出する。この場合、上述の式(1)で検出されるZ変位、すなわち光学ユニット76を用いて検出されるZ変位は、計測ビームMB3と、参照ビームRB3とが交差する計測点P3におけるZ変位となる(平面的な配置については図6参照)。なお、この光学ユニット76においては、計測点P3が光学ユニット76(折り曲げミラー101)に対してビームBM3の入射側(−X側)に位置するように、各光学素子の位置が設定される。
前記Vミラー70は、図10に示されるように、YZ面に平行な第1部分反射面70aと、該第1部分反射面70aの上端に連続して設けられ、XZ面内でZ軸に対して図10における時計回りに角度θだけ傾斜した第2部分反射面70bとを有するV字型反射面が形成されたミラーである。このVミラー70の材質は、低熱膨張素材、例えばクリアセラム(登録商標)とし、その支持方法としては、いわゆるセミキネマティックマウントを用いることができる。なお、Vミラーを、平面鏡2枚で構成する分割方式としても構わない。また、Vミラー70が、装置の+X側からのメンテナンスを阻害する場合には、Vミラー70の上下機構などを設けても良い。
Vミラー70は、図2〜図5に示されるようにステージベース71のY軸方向と同じ長さを有する。
主制御装置50は、各光学ユニット74〜76を介して受光した参照ビームRB1〜RB3及び計測ビームMB1〜MB3に基づいて、光学ユニット74〜76の位置毎にウエハテーブル本体TB(ウエハW)のZ位置情報(Z変位)を上述した式(1)を用いて検出する。そして、得られた3ヶ所のZ変位からピッチング量、ローリング量等のウエハテーブル本体TBの傾斜量を検出する。
図11に示されるように、便宜上、光学ユニット74、75がX軸方向に沿って配置され、各光学ユニット74〜76に対応する計測点P1〜P3がX軸方向に距離Lx離間し、Y軸方向に距離Ly離間した三角形の頂点に配置された場合を考える。なお、図11では、△Z1、△Z2、△Z3の位置をウエハテーブル本体TBの右側にずらして表示したが、実際には図6に示されるように(P1〜P3が△Z1〜△Z3に対応する)、ウエハテーブル本体TBの一部を囲むように位置する。このとき、各計測点P1、P2、P3のZ変位をそれぞれ△Z1、△Z2、△Z3とすると、ウエハテーブル本体TBのローリング量θyとピッチング量θxとは、以下の式で求められる。
θy=(△Z1−△Z2)/Lx ……(2)
θx=(△Z3−(△Z1+△Z2)/2)/Ly ……(3)
また、例えばウエハテーブル本体TB内の位置等、任意の位置におけるZ変位は、その位置と、各計測点P1、P2、P3との幾何学的な位置関係に基づく計算(内挿又は外挿による補間演算)により、求めることができる。
本実施形態の露光装置100では、ウエハテーブルWTのZ軸方向位置のみならず、θx方向の回転角(ピッチング角)、θy方向の回転角(ローリング角)なども、ウエハステージWSの移動範囲の全域に渡って、上述のZ干渉計システム69によって計測される。
しかるに、上述したような構成のZ干渉計システム69を採用していることから、そのZ干渉計システム69の各軸の原点の安定性が構成上期待できないとともに、測長軸の光路長が長いため、Z干渉計システム69の各軸の絶対位相の計測結果を利用して、ウエハテーブルWTのθx方向の回転角(ピッチング角)、θy方向の回転角(ローリング角)、すなわちウエハテーブルWTの姿勢のリセットを行うことが困難である。
また、ウエハテーブルWTのXY面内の位置を正確に管理するためには、X軸干渉計44,46及びX軸干渉計ユニット48のそれぞれからの反射面26aに対する測定ビームの入射角、並びにY軸干渉計60及びY軸干渉計ユニット62のそれぞれからの反射面26bに対する測定ビームの入射角を、初期状態と同一に再現する必要もある。
本実施形態では、かかる点に鑑みて、ウエハテーブルWTの姿勢のリセットの際に、前述した干渉計ユニット48A、Y軸干渉計ユニット60が用いられる。
次に、このリセット動作を説明するのに先立って、前述のコーナーキューブ53が、光学ユニット49からの測定ビームMBX3の光路(第1測定パス)上の位置(第2位置)にある、図7(B)の状態での光学ユニット48Aの作用について説明する。前提として、遮光機構52は、図8(B)の状態に設定されているものとする。
この場合、前述の光源47AからレーザビームLBが出力されると、このレーザビームLBは干渉計ユニット48Aの内部に−Z方向から+Z方向に向かって入射し、ミラーM1を介して光学ユニット49を構成する偏光ビームスプリッタ49aに−X側から+X側に向かって入射する。そして、この偏光ビームスプリッタ49aに入射したレーザビームLBは、その内部の多層膜等からなる分離面を透過して第1測定パスを+X方向にそのまま進行するP偏光成分から成る測定ビームMBX3と、上記多層膜等からなる分離面で反射され第1参照パスを+Z方向から−Z方向に進行するS偏光成分から成る参照ビームRBX3とに分離される。
そして、第1測定パスを−X側から+X側に進行中の測定ビームは、λ/4板49cを透過して円偏光に変換され、+X方向に向かって進むが、コーナーキューブ53で反射され、前とは逆向きの円偏光となって、第1測定パスを逆向きに戻る。すなわち、コーナーキューブ53によって第1測定パスがカットされている。
上記の第1測定パスを逆向きに戻る測定ビームは、+X側から−X側に進行してλ/4板49cを再度透過して、入射時とは90°偏光方向が異なる直線偏光(S偏光)となって、偏光ビームスプリッタ49aに戻る。そして、この測定ビームは、偏光ビームスプリッタ49aの多層膜等からなる分離面で反射されてその進行方向が+Z側に折り曲げられ、コーナーキューブ49bの反射面で順次反射されて反対方向に折り返される。そして、この折り返された測定ビームMBX3は、+Z方向から−Z方向に向かって進んで偏光ビームスプリッタ49aに再度入射し、多層膜等からなる分離面で反射されてその進行方向が+X方向に折り曲げられ、前述の第2測定パスを−X側から+X側に進行してλ/4板49cを透過して円偏光に変換され、反射面26aに至る。この反射面26aで反射された測定ビームは、前とは逆向きの円偏光となって、第2測定パスを+X側から−X側に進行してλ/4板49cを再度透過し、入射時とは90°偏光方向が異なる直線偏光(P偏光)となって、偏光ビームスプリッタ49aに戻る。そして、この測定ビーム(P偏光)は、第2測定パスと同軸の戻り光路に沿ってミラーM2に向かって戻り、そのミラーM2で反射されて進行方向が90°折り曲げられて遮光機構52の開口を介してFOP51の−X側半部に入射する。
この一方、第1参照パスを+Z方向から−Z方向に進行中の参照ビーム(S偏光成分)は、前述の図7(A)の場合と同様の経路を経て最終的に、前述の測定ビームの戻り光(P偏光)と同軸に合成されて、前述の戻り光路に沿ってミラーM2に向かって戻り、該ミラーM2で反射されて遮光機構52の開口を介してFOP51の−X側半部に入射する。
このようにしてFOP51の−X側半部に入射した測定ビームMBX3と対応する参照ビームRBX3の合成光束は、光ファイバ54を介して検出部55A内の干渉計ユニット48Aに対応する検出ユニットに入射し、その検出ユニット内の検光子から測定ビームMBX3と参照ビームRBX3との干渉光が出力され、該干渉光に応じた干渉信号が光電変換素子から信号処理系59Aに送られる。この信号処理系59Aでは、光電変換素子からの干渉信号に基づいて、前述と同様に位相変化で生じた干渉信号の変化をヘテロダイン検出し、その干渉信号の変化からミラー49eによって規定される基準位置に対する反射面26aのX軸方向の位置情報(X位置情報)を算出する。
但し、この図7(B)の場合には、コーナーキューブ53によって第1測定パスがカットされているので、シングルパス方式の干渉計として機能する。従って、測定ビームMBX3の反射面26aに対する入射角(γとする)が零でない場合には、その影響を受けて、図8(A)に示されるように、FOP51に入射する戻り光束中の参照ビームRBX3の光軸に対して測定ビームMBX3の光軸が、入射角γに応じた角度だけ傾斜する。この場合、参照ビームRBX3の−X側半部(白抜き両矢印部分)では、測定ビームの位相が参照ビームに対して遅れているのに対し、参照ビームRBX3の+X側半部(黒色両矢印部分)では、測定ビームの位相が参照ビームに対して進んだ状態となっている。
なお、図8(A)に示されるように測定ビームが+X側に傾くか、あるいはこの反対に−X側に傾くかは、反射面26a(ウエハテーブルWT)のθy方向の回転角がプラスになるか、マイナスになるかによって定まることは言うまでもない。
いずれにしても、ミラーM2を介した戻り光束の波面をX軸方向に関して2分割して受光し、それぞれの分割領域に関して前記干渉信号に関する絶対位相を求め、両者の差を取れば、測定ビームMBX3の反射面26aに対する入射角γを求めることができる。
ここで、絶対位相とは、干渉計(例えば、干渉計システム18)において、参照信号を基準にした測定信号の位相差を、0〜2πの間で定義した値とする。また、前記参照信号は、測定ビームの光源直下で直接、P偏光とS偏光とを干渉させて得られる信号であって、各測定軸が共通の光源を有する場合はその各測定軸に対して位相計測の共通の基準となるものとする。さらに、前記測定信号は、各測定ビームとそれに対応する参照ビームとの干渉光を受信して得られる信号とする。但し、前記参照信号は、必ずしも干渉によって得られる信号に限定されるものではなく、例えば、電気的に得られる信号としても良い。前記参照信号は、干渉計システムで使用される光源から発する偏光や周波数等が互いに異なる2つの光を用い、それら2つの光の位相差に基づいて生成されるようにしている。従って、例えば、干渉計システムが、2つの光の間に周波数差を生じさせるための駆動装置(例えば、AOM等の音響光学効果を用いた変調器)を有している場合、その駆動装置を駆動する駆動信号が前記位相差に相当するようなものであれば、その駆動信号を参照信号として用いるようにしても良い。
本実施形態では、次のa.〜h.のような手順で、ウエハテーブルWTの姿勢のリセット動作が行われる。
a. まず、絶対位相の計測を行う前に、図8(B)の状態に遮光機構52が設定された状態で、上述のようにして、FOP51の−X側半分の領域を介して戻り光束(測定ビームMBX3と対応する参照ビームRBX3の合成光束)が検出部55Aに取り込まれるようにする。そして、ステージ制御装置20を介して、反射面26a(ウエハテーブルWT)をθz方向に所定範囲内で駆動する(以下、スキャン動作という)。このスキャン動作の間、検出部55Aで取り込まれた前記戻り光束における測定ビームMBX3と参照ビームRBX3との干渉信号と、反射面26aのθz方向に関する位置とをモニタしておき、前記干渉信号の値がピークとなる反射面26aのθz方向に関する位置を特定する。そして、特定された位置に反射面26a(ウエハテーブルWT)を位置決めする。このようにウエハテーブルWTの姿勢を予め基準となる位置に追い込んでおくことで、前述の測定信号(例えば、参照ビームと測定ビームとの干渉光を受光して得られる信号)の位相差が0〜2πの間に収まるようにしている。なお、この手順a.においては、前記戻り光束がFOP51の全額域から入射できるように遮光機構52を設定しておいても良い。
b.次に、上記a.で特定された位置に反射面26a(ウエハテーブルWT)を維持したまま、同様にして、FOP51の−X側半分の領域を介して前記戻り光束が検出部55Aに取り込まれるようにする。そして、信号処理系59Aによって、検出部55Aからの干渉光に基づき前記戻り光束の波面を2分割した一方の分割領域における絶対位相(φ1とする)が求められる。
c. 次に、ステージ制御装置20により、第1の駆動機構63Aを介して遮光機構52が矢印C方向に180°回転駆動され、図8(C)の状態に設定される。そして、この状態で、前述と同様にして、FOP51の+X側半部の領域を介して戻り光束(測定ビームMBX3と対応する参照ビームRBX3の合成光束)が検出部55Aに取り込まれ、信号処理系59Aによって、前記戻り光束の波面を2分割した他方の分割領域における絶対位相(φ2とする)が求められる。
d. 次に、信号処理系59Aによって、上記b.、c.でそれぞれ求めた絶対位相(φ1)と絶対位相(φ2)とに基づいて、入射角γ、すなわちウエハテーブルWTのローリング角γが算出される。
e. 次いで、上記b.、c.と同様の手順の動作が、Y軸干渉計ユニット60側で実行され、戻り光束(測定ビームMBY3と対応する参照ビーム(RBY3とする)の合成光束)の波面を2分割した一方の分割領域における絶対位相(ψ1とする)と他方の分割領域における絶対位相(ψ2とする)とが、信号処理系59Bによって求められる。
f. 次に、信号処理系59Bによって、求めた絶対位相ψ1と絶対位相ψ2との差に基づいて、測定ビームMBY3の反射面26aに対する入射角(δとする)、すなわちウエハテーブルWTのピッチング角δが求められる。
g. そして、ステージ制御装置20によって、信号処理系59A、59Bでそれぞれ求められたウエハテーブルWTのローリング角γ、ピッチング角δに基づいて、ウエハテーブルWTのローリング角γ、ピッチング角δが可能な限り零に近づくような、前述したZ・チルト駆動系29を構成する3つのアクチュエータの駆動量が算出され、その算出結果に従ってZ・チルト駆動系29を構成する3つのアクチュエータをそれぞれ駆動してウエハテーブルWTの姿勢調整が実行される。
h. そして、このウエハテーブルWTの姿勢調整後に、前述のb.、c.及びe.の動作が再度行われ、その姿勢調整後の絶対位相φ1、φ2、ψ1、ψ2が再度計測される。そして、ステージ制御装置20により、その計測結果が不図示のメモリに記憶される。
本実施形態では、上記a.〜h.のような動作が、干渉計システム18の各干渉計の光軸調整時(例えば、装置の製造時、立上げ時など)などに予め行われる。このため、何らかの理由によりウエハテーブルWTの姿勢のリセットが必要になったときであっても、ステージ制御装置20が、上記g.でメモリに記憶された姿勢調整後の絶対位相φ1、φ2、ψ1、ψ2に基づいてウエハテーブルWTの姿勢を調整することで、調整段階におけるウエハテーブルWTの姿勢及び干渉計システム18を構成する各干渉計のビームの対応する反射面26a、26bに対する入射角を、所望の状態に再現又は設定することが可能になっている。
図12には、本実施形態の露光装置100における、制御系の主要な構成がブロック図にて示されている。この図12の制御系は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)、RAM(ランダム・アクセス・メモリ)等から成るいわゆるマイクロコンピュータ(又はワークステーション)を含んで構成され装置全体を統括して制御する主制御装置50及びこの主制御装置50の配下にあるステージ制御装置20を中心として構成されている。
本実施形態の露光装置100では、通常のスキャニング・ステッパと同様の手順で、レチクル交換、レチクルアライメント、アライメント系ALGのベースライン計測、ウエハ交換、ウエハアライメントなどの準備作業、及びこれに続くステップ・アンド・スキャン方式の露光動作が行われる。これらの動作に関する詳細説明は省略する。
以上説明したように、本実施形態に係る干渉計ユニット48A(又はY軸干渉計ユニット62)を用いて行われる、計測方法によると、図7(B)に示されるように、光源47AからのレーザビームLBが偏光ビームスプリッタ49aを用いて測定ビーム(P偏光成分)と参照ビーム(S偏光成分)とに分離し、測定ビームの反射面26aからの戻り光束と、参照ビームの参照鏡49eからの戻り光束とを偏光ビームスプリッタ49aを介して同軸に合成し、その合成光束を遮光機構52の非遮光領域を介してFOP51に入射させ、さらに光ファイバ54を介して検出部55Aで受光する。そして、前記測定ビームと参照ビームとの干渉光に応じた干渉信号の絶対位相を信号処理系59Aで算出する。このような絶対位相の取得を、遮光機構52の遮光領域の設定を切り換えて行う。そして、このようにして取得した絶対位相に関する情報に基づいて、信号処理系59AでウエハテーブルWTの反射面26aに対する測定ビームの入射角を算出する。従って、測定ビームの反射面に対する入射角を容易に計測することが可能となる。
また、本実施形態に係る傾斜計測方法によると、計測対象物としてのウエハテーブルWTに設けられた反射面26a(又は26b)に対する基準平面(XY平面)に平行な測定ビームMBX3(又はMBY3)の入射角γ(又はδ)を、上記の計測方法を用いて計測される。そして、上記の入射角の計測結果に基づいて、信号処理系59A(又は59B)によってウエハテーブルWTの基準平面に対する傾斜情報が算出される。従って、ウエハテーブルWTの基準平面に対する傾斜情報を高精度かつ短時間で取得することが可能になる。
また、本実施形態に係る干渉計システム18を構成する計測装置、すなわちX軸干渉計48X(又はY軸干渉計62Y)によると、一例として図7(B)に示されるように、偏光ビームスプリッタ49aを含む光学ユニット49を備える干渉計ユニット48Aにより、光源47からのレーザビームLBが偏光方向が相互に直交する2成分、すなわちP偏光成分とS偏光成分とに分離され、P偏光成分が測定ビームMBX3として反射面26aに照射され、S偏光成分が参照ビームRBX3として参照鏡としてのミラー49eに照射され、測定ビームMBX3の反射面26aからの戻り光束と参照ビームRBX3のミラー49eからの戻り光束との合成光束が生成される。そして、その合成光束が検出部55Aで受光され、該合成光束に含まれる測定ビームMBX3と参照ビームRBX3との干渉光に応じた干渉信号が検出部55Aから信号処理系59Aに出力される。そして、前述の如く、信号処理系59Aにより、検出部55Aから出力される前記干渉信号の絶対位相に関する情報に基づいて測定ビームの反射面に対する入射角が算出される。従って、測定ビームの反射面に対する入射角を容易に計測することが可能となる。
そして、ステージ制御装置20により、上記の計測結果に基づいて、測定ビームに対する反射面(該反射面が設けられたウエハテーブルWT)の傾きを調整することで、初期状態における、各測定ビームの対応する反射面に対する入射角及びウエハテーブルWTの姿勢を容易に再現することが可能になっている。従って、ウエハテーブルWTの姿勢のリセットのための複雑なシーケンスが不要となる。
また、本実施形態に係る遮光装置は、遮光機構52とこれを回転駆動する第1駆動機構63Aとから成り、遮光領域を任意の回転角度で設定可能である。そして、信号処理系59Aは、前記遮光装置による遮光領域の設定に応じて検出部55Aから出力される測定ビーム及び参照ビームそれぞれの波面を2分割したそれぞれの一方の分割領域での測定ビームと参照ビームとの干渉光に応じた干渉信号の絶対位相と、それぞれの他方の分割領域での測定ビームと参照ビームとの干渉光に応じた干渉信号の絶対位相との差に基づいて、前記入射角を算出することができる。従って、遮光領域の回転角度を徐々に変えながら、その回転角に対して前記絶対位相を記録することで、方位角と入射角の両方を求めることが可能である。
また、干渉計システム18によると、上述の如く、X軸干渉計48X、Y軸干渉計62Yにより、測定ビームの反射面26a,26bに対する入射角、ひいては測定ビームに対する反射面(該反射面が設けられたウエハテーブルWT)の傾きが計測される。このとき、計測対象物であるウエハテーブルWTの位置によっては、干渉計システム18を構成する別の少なくとも1つのX軸干渉計又はY軸干渉計(便宜上「特定干渉計」と呼ぶ)でウエハテーブルWTの位置情報を計測することが可能である。
従って、その特定干渉計で計測されたウエハテーブルWTの位置情報を、前記X軸干渉計48X、Y軸干渉計62Yで計測された測定ビームに対する反射面の傾きを考慮して補正することで、精度良くウエハテーブルWTの位置情報を計測することが可能となる。勿論、前述のウエハテーブルWTの姿勢リセット動作のように、計測された測定ビームに対する反射面の傾きに基づいてウエハテーブルWTの傾きを補正し、その補正後に特定干渉計でウエハテーブルWTの位置情報を計測することとしても良く、かかる場合にも精度良くウエハテーブルWTの位置情報を計測することが可能となる。
また、本実施形態に係るステージ装置30では、干渉計システム18によりウエハステージWS(ウエハテーブルWT)の位置情報が精度良く計測され、結果的にウエハステージWSの位置制御性を高精度に確保することが可能になる。
さらに、本実施形態の露光装置100では、ステージ装置30によりウエハステージWSの位置制御性が高精度に確保され、ウエハステージWSの位置を精度良く制御した状態で、ウエハステージWS上のウエハWが照明系10及び投影光学系PLを介して照明光ILにより露光される。従って、ウエハ上にレチクルRのパターンを精度良く転写することが可能となる。
なお、上記実施形態では、測定ビーム及び参照ビームそれぞれの波面をほぼ正確に2分割したうちの一方の分割領域での測定ビームと参照ビームとの干渉光に応じた干渉信号の絶対位相と、他方の分割領域での測定ビームと参照ビームとの干渉光に応じた干渉信号の絶対位相との差を、干渉信号の絶対位相に関する情報として用いて、反射面に対する計測ビームの入射角γ又はδを算出するものとした。このために、図8(B)、図8(C)に示されるような、FOP51の受光領域の半分の領域を遮光する遮光板52bを有する遮光機構52を用いるものとした。しかしながら、本発明に係る計測装置を構成する遮光装置がこれに限定されるものではないことは勿論である。すなわち、上記実施形態と同様に、測定ビーム及び参照ビームそれぞれの波面を2分割する場合であっても、遮光機構52は、FOP51の受光領域を不等分に分割した一方の分割領域を遮光する遮光板52bを有していても良い。かかる場合であっても、遮光機構52を例えばスライドさせることで、一方の分割領域と他方の分割領域とを交互に遮光するように構成することができる。この場合には、前述の入射角の算出に際して、FOP51の受光領域の分割面積比を考慮する。
あるいは、測定ビーム及び参照ビームそれぞれの波面を3つ以上に分割し、そのうちの任意の1つの分割領域と、他の1つの分割領域とに、それぞれ対応する干渉信号の絶対位相の差を、干渉信号の絶対位相に関する情報として用いて、反射面に対する計測ビームの入射角γ又はδを算出することとし、これに応じて遮光機構の構成を変更しても良い。例えば、測定ビーム及び参照ビームそれぞれの波面を3つに分割する場合、FOP51の受光面の3分の2(中心角240°の範囲)を遮光する遮光膜を有する遮光機構を、前記軸52cを中心に回転可能に構成すれば良い。この場合、遮光機構がある状態(第1の状態とする)にあるときに、干渉信号の絶対位相計測を行い、その第1の状態から遮光機構を120°以上360°未満の角度範囲内で回転させた第2の状態で、干渉信号の絶対位相計測を行い、第1の状態で計測した絶対位相と第2の状態で計測した絶対位相と差を、干渉信号の絶対位相に関する情報として用いて、反射面に対する計測ビームの入射角γ又はδを算出すれば良い。測定ビーム及び参照ビームそれぞれの波面を4つ以上に分割する場合も、同様である。
勿論、測定ビーム及び参照ビームそれぞれの波面を3つ以上に分割する場合であっても、各分割領域を不等分に分割しても良い。かかる場合には、FOP51の受光面の任意面積の領域を遮光する必要があるので、遮光板を有する遮光機構に代えて、任意のセル領域を遮光、非遮光状態に切り換え可能な液晶シャッタを用いることとすれば良い。
また、上記実施形態において、コーナーキューブ53を測定パスから離脱状態として干渉計ユニット48Aを、干渉計として用いる場合、光学ユニット49からの戻り光束を遮光する部材はその光路上に無い方が望ましいので、干渉計として用いる場合には遮光機構52をFOP51の前面から退避させ、コーナーキューブ53を測定パスに挿入して干渉計ユニット48Aを、測定ビームの入射角計測用の計測装置として用いる場合には遮光機構52をFOP51の前面に位置させるような機構を、更に設けても良い。かかる機構と同様の機能を達成するために、上述の液晶シャッタを遮光機構52に代えて用いても良い。
なお、上記実施形態の干渉計ユニット48Aに代えて、図13に示されるような、干渉計ユニット48A’と光路開閉ユニット65とを設けても良い。光路開閉ユニット65は、ミラーM3、コーナーキューブ53’及び遮光機構52’等が図13に示されるような位置関係で配置されて成るユニットである。この光路開閉ユニット65は、その全体が不図示の駆動機構によって上下動され、図13に示される移動上限位置と移動下限位置とに切り換え設定される。この場合、遮光機構52’としては、例えば図13における紙面直交方向にスライド可能で、干渉計ユニット48A’からの測定ビームの遮光領域を、紙面直交方向の2つの分割領域のそれぞれについて切り替え設定可能な半遮光板を用いることができる。勿論、遮光機構52’として前述の遮光機構52と同様の回転可能な半遮光板を用いても良い。いずれにしても、前述の信号処理系59Aにより、前記遮光機構52’による遮光領域の切り換えに応じて検出部55Aから出力される測定ビーム及び参照ビームそれぞれの波面を2分割した一方の分割領域での測定ビームと参照ビームとの干渉光に応じた干渉信号の絶対位相と、それぞれの他方の分割領域での測定ビームと参照ビームとの干渉光に応じた干渉信号の絶対位相との差に基づいて、測定ビームの反射面26aに対する入射角を算出する。勿論、遮光機構52’として液晶シャッタを用いることもできる。
いずれにしても、図13のような光路開閉ユニット65を採用する場合、遮光機構52’の駆動機構と、光路開閉ユニット65の駆動機構とを、一箇所に集中させることができる。
なお、図13において、遮光機構52’として回転可能な半遮光板や液晶シャッタなどが用いられ、遮光装置が、遮光領域を任意の回転角度で設定可能な場合、前述と同様、遮光領域の回転角度を徐々に変えながら、その回転角に対して前記絶対位相を記録することで、方位角と入射角の両方を求めることが可能である。
なお、上記実施形態では、計測装置を構成する干渉計ユニット48A(又は62)が、測定ビームの入射角の計測、計測対象物の位置情報の計測のいずれにも用いられる場合について説明したが、これに限らず、測定ビームの入射角の計測専用の干渉計本体部を有する計測装置を設けても良く、この場合、干渉計システムが、その干渉計本体部とは別の干渉計をX軸方向、Y軸方向の少なくとも一方について、少なくとも1つ備えていることとしても良い。
なお、上記実施形態では、説明の便宜上から、干渉計システムを構成する複数の干渉計のそれぞれが、個別の光源を有しているものとした。しかしながら、本発明がこれに限定されるものではなく、単一の、又は少数の光源からの光束を、分岐光学素子で適宜分岐した分岐光束のそれぞれを、各干渉計で用いることとしても良い。いずれにしても、発熱源となる、光源や、光電変換素子を含む受光部(検出部)は、干渉計本体部の光学ユニットとは物理的に離れた位置に設置することが望ましい。勿論、図13の変形例の場合にも、測定ビーム及び参照ビームそれぞれの波面を3つ以上に分割し、そのうちの任意の1つの分割領域と、他の1つの分割領域とに、それぞれ対応する干渉信号の絶対位相の差を、干渉信号の絶対位相に関する情報として用いて、反射面に対する計測ビームの入射角を算出することとしても良い。この場合も、測定ビーム及び参照ビームそれぞれの波面を不等分に分割しても良い。
なお、前述の光学ユニット49などの他、いずれかのX軸干渉計、Y軸干渉計からの測定ビームの反射面26a(又は26b)からの反射光束を、λ板/2を介してサバール板に入射させても良い。そして、そのサバール板で分離されるP偏光成分とS偏光成分とを、FOPを介して受光部(検出部)で受光し、その受光部からの信号に基づいて信号処理系により、P偏光成分と、S偏光成分との位相差を検出し、この検出結果に基づいて、計測ビームの反射面に対する入射角を計測することも可能である。これは、サバール板が、入射ビームを、その入射角に応じた位相差を有するP偏光成分とS偏光成分とに分離力する性質を有するからである。なお、この場合に、入射角の他に方位角を求める場合は、λ板/2を回転させて、0度、90度の2方向で測定すればよい。
なお、上記実施形態では、ウエハステージWSが、XY面内で移動するXYステージ28と、該XYステージ28上にZ・チルト駆動系を介して搭載されたZ、θx、θy方向に移動可能なウエハテーブルWTとを含んで構成される場合について説明したが、これに限らず、6自由度方向に移動可能な単一のステージにより反射面が設けられた移動体を構成しても良い。
また、上記実施形態では、本発明がスキャナに適用された場合について説明したが、これに限らず、ステップ・アンド・リピート方式の露光装置(ステッパ)などの静止露光型の露光装置にも本発明は適用が可能である。
また、上記実施形態の露光装置100における投影光学系の倍率は縮小系のみならず等倍および拡大系のいずれでも良いし、投影光学系PLは屈折系のみならず、反射系及び反射屈折系のいずれでも良いし、その投影像は倒立像及び正立像のいずれでも良い。
なお、上記実施形態では、露光装置100が、照明光ILとしてArFエキシマレーザ光を用いる場合について説明したが、これに限らず、KrFエキシマレーザ光(波長248nm)は勿論、超高圧水銀ランプからの紫外域の輝線(例えばg線、i線など)や、波長が170nm以下の光、例えばF2レーザ光(波長157nm)、Kr2レーザ光(波長146nm)等の他の真空紫外光を用いても良い。
また、例えば、真空紫外光として上記各光源から出力されるレーザ光に限らず、DFB半導体レーザ又はファイバーレーザから発振される赤外域、又は可視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(Er)(又はエルビウムとイッテルビウム(Yb)の両方)がドープされたファイバーアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光に波長変換した高調波を用いても良い。
また、本発明が適用される、露光装置では、照明光として波長100nm以上の光に限らず、波長100nm未満の光を用いても良いことはいうまでもない。例えば、近年、70nm以下のパターンを露光するために、SORやプラズマレーザを光源として、軟X線領域(例えば5〜15nmの波長域)のEUV(Extreme Ultraviolet)光を発生させるとともに、その露光波長(例えば13.5nm)の下で設計されたオール反射縮小光学系、及び反射型マスクを用いたEUV露光装置の開発が行われている。この装置においては、円弧照明を用いてマスクとウエハを同期走査してスキャン露光する構成が考えられるので、かかる装置にも本発明を好適に適用できる。さらに、例えば特開平10−154659号公報などに開示される、投影光学系PLとウエハとの間に液体(例えば純水など)が満たされる液浸型露光装置、あるいはステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置、又はプロキシミティ方式の露光装置なども、本発明を好適に適用できる。さらに、照明光ILとして紫外光などだけでなく、電子線やイオンビームなどの荷電粒子線を用いる露光装置、X線露光装置などにも本発明を好適に適用できる。
本発明は、例えば、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報及びこれらに対応する米国特許6,400,441号と、特表2000−505958号公報及びこれに対応する米国特許5,969,441号及び米国特許6,262,796号に記載されているツインステージ型の露光装置にも適用できる。
また、本発明は、特開平11−135400号に開示されているように、ウエハ等の被処理基板を保持して移動可能な露光ステージと、各種の計測部材やセンサを備えた計測ステージとを備えた露光装置にも適用することができる。
また、上述の実施形態においては、光透過性の基板上に所定の遮光パターン(または位相パターン・減光パターン)を形成した光透過型マスク、あるいは光反射性の基板上に所定の反射パターンを形成した光反射型マスクを用いたが、それらに限定されるものではない。例えば、そのようなマスクに代えて、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターンまたは反射パターン、あるいは発光パターンを形成する電子マスク(光学系の一種とする)を用いるようにしても良い。このような電子マスクは、例えば米国特許第6,778,257号公報に開示されている。なお、上述の電子マスクとは、非発光型画像表示素子と自発光型画像表示素子との双方を含む概念である。
また、例えば、2光束干渉露光と呼ばれているような、複数の光束の干渉によって生じる干渉縞を基板に露光するような露光装置にも適用することができる。そのような露光方法及び露光装置は、例えば、国際公開第01/35168号パンフレットに開示されている。
また、前記液浸型の露光装置においては、例えば、投影光学系と基板との間を局所的に液体で満たす方式として、国際公開第2004/053958号パンフレットに開示されているものが知られており、本発明に適用可能である。また、露光対象の基板を保持したステージを液槽の中で移動させる液浸露光装置や、ステージ上に所定厚の液体層を形成しその中で基板を保持する液浸露光装置にも本発明を適用可能である。例えば、特開平6−124873号公報、特開平10−303114号公報及び米国特許第5,825,043号にそれらの構成が開示されている。また、国際公開第2004/019128号パンフレットに開示されているように、投影光学系の終端光学部材の出射側と入射側のそれぞれの光路空間を液体で満たすような液浸露光装置に適用してもよい。
なお、本発明は、半導体製造用の露光装置に限らず、液晶表示素子などを含むディスプレイの製造に用いられる、デバイスパターンをガラスプレート上に転写する露光装置、薄膜磁気ヘッドの製造に用いられるデバイスパターンをセラミックウエハ上に転写する露光装置、及び撮像素子(CCDなど)、マイクロマシン、有機EL、DNAチップなどの製造に用いられる露光装置などにも適用することができる。また、半導体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装置などで使用されるレチクル又はマスクを製造するために、ガラス基板又はシリコンウエハなどに回路パターンを転写する露光装置にも本発明の製造方法及び調整方法を適用できる。ここで、DUV(遠紫外)光やVUV(真空紫外)光などを用いる露光装置では一般的に透過型レチクルが用いられ、レチクル基板としては石英ガラス、フッ素がドープされた石英ガラス、螢石、フッ化マグネシウム、又は水晶などが用いられる。また、プロキシミティ方式のX線露光装置、又は電子線露光装置などでは透過型マスク(ステンシルマスク、メンブレンマスク)が用いられ、マスク基板としてはシリコンウエハなどが用いられる。
以上説明したように、本発明の計測方法は、計測対象物に設けられた反射面に対する測定ビームの入射角を計測するのに適している。また、本発明の傾斜計測方法は、移動体の基準平面に対する傾斜を計測するのに適している。また、本発明の計測装置及び干渉計システムは、計測対象物の位置情報を計測するのに適している。また、本発明のステージ装置は、ステージの位置を管理するのに適している。また、本発明の露光装置は、感光物体の露光に適している。
一実施形態の露光装置の概略構成を示す図である。 図1の露光装置を構成するステージ装置を示す平面図である。 図2の干渉計システムを構成するX軸干渉計、Y軸干渉計の測長軸の配置を示す図である。 上記X軸干渉計、Y軸干渉計の参照ビームの光軸の配置を示す図である。 Z干渉計システムの各ビームの光軸の配置を示す平面図である。 ウエハテーブル本体TBの概略構成を示す平面図である。 図7(A)は、干渉計システムを構成する干渉計ユニット48Aの構成を説明するための図、図7(B)は、図7(A)の干渉計ユニットを構成するコーナーキューブが第1測定パスをカットした状態を示す図である。 図8(A)は、FOPに入射する戻り光束中の参照ビームRBX3の光軸に対して測定ビームMBX3の光軸が所定角度傾斜した状態を示す概念図、図8(B)は、遮光膜がFOPの受光領域の+X側半部を遮光した第1の状態の遮光機構を示す図、図8(C)は、遮光膜がFOPの受光領域の−X側半部を遮光した第2の状態の遮光機構を示す図である。 ウエハテーブル本体TB(ウエハテーブルWT)を−Y方向から+Y方向に見た状態の側面図であって、光学ユニット74、75の配置を示す図である。 ウエハテーブル本体TB(ウエハテーブルWT)を+Y方向から−Y方向に見た状態の側面図であって、光学ユニット76の配置を示す図である。 ウエハテーブル本体における光学ユニットと、その計測点との関係を示す図である。 一実施形態の露光装置における、制御系の主要な構成を示すブロック図である。 計測装置の変形例を説明するための図である。
符号の説明
10…照明系(露光システムの一部)、18…干渉計システム、26a,26b…反射面、30…ステージ装置、47A,47B…光源、48A…干渉計ユニット(干渉計本体部)、48X…X軸干渉計(計測装置)、49a…偏光ビームスプリッタ(分離光学素子)、49e…ミラー(参照鏡)、55…検出部(受光部)、62Y…Y軸干渉計(計測装置)、52…遮光機構(遮光装置の一部、遮光部材)、53…コーナーキューブ(反射光学素子、光路開閉機構の一部)、63A…第1駆動機構(駆動機構、遮光装置の一部)、64A…第2駆動機構(駆動機構、光路開閉機構の一部)、100…露光装置、W…ウエハ(感光物体)、WT…ウエハテーブル(計測対象物、移動体)、PL…投影光学系(露光システムの一部)。

Claims (14)

  1. 計測対象物に設けられた反射面に対する測定ビームの入射角を計測する計測方法であって、
    光源からの光を分離光学素子を用いて偏光方向が相互に直交する2成分に分離し、一方を前記反射面に照射される測定ビームとし、他方を参照鏡に照射される参照ビームとする工程と;
    前記測定ビームの前記反射面からの戻り光束と前記参照ビームの前記参照鏡からの戻り光束とを前記分離光学素子を介して干渉させ干渉光を生成する工程と;
    前記干渉光に応じた干渉信号の絶対位相に関する情報に基づいて前記入射角を算出する工程と;を含む計測方法。
  2. 前記干渉信号の絶対位相に関する情報は、前記測定ビーム及び前記参照ビームそれぞれの波面を少なくとも2つに分割したうちのそれぞれの任意の1つの分割領域での測定ビームと参照ビームとの干渉光に応じた干渉信号の絶対位相と、それぞれの他の1つの分割領域での測定ビームと参照ビームとの干渉光に応じた干渉信号の絶対位相との差であることを特徴とする請求項1に記載の計測方法。
  3. 移動体の基準平面に対する傾斜を計測する傾斜計測方法であって、
    前記移動体を計測対象物とし、該移動体に設けられた反射面に対する前記基準平面に平行な測定ビームの入射角を、請求項1又は2に記載の計測方法を用いて計測する工程と;
    入射角の計測結果に基づいて、前記移動体の前記基準平面に対する傾斜情報を算出する工程と;を含む傾斜計測方法。
  4. 計測対象物に設けられた反射面に測定ビームを照射し、前記反射面からの前記測定ビームの反射光を受光して前記計測対象物の位置情報を計測する計測装置であって、
    光源からの光を偏光方向が相互に直交する2成分に分離し、前記2成分のうちの一方を前記測定ビームとして前記反射面に照射し、他方を参照ビームとして参照鏡に照射し、前記測定ビームの前記反射面からの戻り光束と前記参照ビームの前記参照鏡からの戻り光束との合成光束を生成する分離光学素子を含む干渉計本体部と;
    前記合成光束を受光し、該合成光束に含まれる前記測定ビームと前記参照ビームとの干渉光に応じた干渉信号を出力する受光部と;
    前記受光部から出力される前記干渉信号に関する絶対位相に関する情報に基づいて前記測定ビームの前記反射面に対する入射角を算出する算出装置と;を備える計測装置。
  5. 前記干渉計本体部から出力される前記合成光束の光路の一部を遮光可能で、その遮光領域を切り換え可能な遮光装置を更に備え、
    前記算出装置は、前記遮光装置による前記遮光領域の切り換えに応じて前記受光部から出力される、前記測定ビーム及び前記参照ビームそれぞれの波面を複数に分割したそれぞれの任意の1つの分割領域での測定ビームと参照ビームとの干渉光に応じた干渉信号の絶対位相と、それぞれの他の1つの分割領域での測定ビームと参照ビームとの干渉光に応じた干渉信号の絶対位相との差に基づいて、前記入射角を算出することを特徴とする請求項4に記載の計測装置。
  6. 前記遮光装置は、前記遮光領域を任意の回転角度で設定可能であり、
    前記算出装置は、前記遮光装置による前記遮光領域の設定に応じて前記受光部から出力される前記測定ビーム及び前記参照ビームそれぞれの波面を複数に分割したそれぞれの任意の1つの分割領域での測定ビームと参照ビームとの干渉光に応じた干渉信号の絶対位相と、それぞれの他の1つの分割領域での測定ビームと参照ビームとの干渉光に応じた干渉信号の絶対位相との差に基づいて、前記入射角を算出することを特徴とする請求項5に記載の計測装置。
  7. 前記干渉計本体部の前記測定ビームの光路の一部を遮光可能で、その遮光領域を切り換え可能な遮光装置を更に備え、
    前記算出装置は、前記遮光装置による遮光領域の切り換えに応じて前記受光部から出力される前記測定ビーム及び前記参照ビームそれぞれの波面を複数に分割したそれぞれの任意の1つの分割領域での測定ビームと参照ビームとの干渉光に応じた干渉信号の絶対位相と、それぞれの他の1つの分割領域での測定ビームと参照ビームとの干渉光に応じた干渉信号の絶対位相との差に基づいて、前記入射角を算出することを特徴とする請求項4に記載の計測装置。
  8. 前記遮光装置は、前記遮光領域を任意の回転角度で設定可能であり、
    前記算出装置は、前記遮光装置による前記遮光領域の設定に応じて前記受光部から出力される前記測定ビーム及び前記参照ビームそれぞれの波面を複数に分割したそれぞれの任意の1つの分割領域での測定ビームと参照ビームとの干渉光に応じた干渉信号の絶対位相と、それぞれの他の1つの分割領域での測定ビームと参照ビームとの干渉光に応じた干渉信号の絶対位相との差に基づいて、前記入射角を算出することを特徴とする請求項7に記載の計測装置。
  9. 前記干渉計本体部は、相互に平行な第1の光路、第2の光路に沿って前記測定ビームが順次前記反射面に照射されるダブルパスタイプであり、
    前記第1の光路に対して挿入・離脱可能で、その挿入時には前記第1の光路を遮光するとともに、その第1の光路に沿って前記測定ビームを反射する反射光学素子と、該反射光学素子を駆動する駆動機構とを有する光路開閉機構を更に備える請求項4〜8のいずれか一項に記載の計測装置。
  10. 前記遮光装置は、遮光部材と該遮光部材を駆動して前記遮光領域を設定する駆動部とを有することを特徴とする請求項5〜9のいずれか一項に記載の計測装置。
  11. 前記遮光装置は、前記遮光領域を設定する液晶シャッタを含むことを特徴とする請求項5〜9のいずれか一項に記載の計測装置。
  12. 計測対象物の位置情報を計測する請求項4〜11のいずれか一項に記載の計測装置と;
    前記計測対象物に設けられた反射面に測定ビームを照射し、該測定ビームの前記反射面からの反射光を受光して前記計測対象物の位置情報を計測する少なくとも1つの干渉計と;を備える干渉計システム。
  13. 所定方向に移動可能であるとともに、一部に反射面が設けられたステージと;
    前記ステージを計測対象物とする請求項12に記載の干渉計システムと;を備えるステージ装置。
  14. 感光物体を露光して前記感光物体上に所定のパターンを形成する露光装置であって、
    前記ステージ上に感光物体が載置される請求項13に記載のステージ装置と;
    前記ステージ上の感光物体を露光する露光システムと;を備える露光装置。
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