JP2007009299A - 準結晶含有チタン合金及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】準結晶含有チタン合金、その製造方法及び用途を提供する。
【解決手段】一般式:(TiZr100−a−b100−c(式中、Mは遷移金属から選ばれる元素を示し、aは40≦a≦50at%、bは30≦b≦45at%を満たす数であり、NはZrよりも酸化物形成エンタルピーの絶対値が大きい金属から選ばれる元素を示し、cは0.1≦c≦10at%を満たす数である)で表される組成を有する準結晶含有チタン合金、上記チタン合金の製造方法、及び水素吸蔵部材としての用途。
【効果】準結晶相を体積率で50%以上含有するチタン合金、及び該チタン合金を成形焼成して得られる、高効率の水素吸蔵能を有し、水素の吸放出に伴う微粉化が生じにくい構造を有する新規水素吸蔵合金部材を提供することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、高い水素吸蔵能を有する準結晶含有チタン合金及びその製造方法に関するものであり、更に詳しくは、Zrよりも酸化物形成エンタルピーの絶対値が大きい金属元素を添加して、高い準結晶体積率を有するチタン合金を、溶解凝固、機械的粉砕あるいは合金化等により製造する方法、及び新規水素吸蔵部材に関するものである。本発明の準結晶含有チタン合金は、従来型の水素吸蔵合金である、LaNiやTiFe等に比して、水素をトラップできるサイト数が多く、また、水素の吸放出によって水素化物を形成しないという特徴を有するため、高い水素吸蔵能を有し、微粉化しにくい水素吸蔵合金としてその実用化が高く期待できるものである。本発明は、化石エネルギーからの脱却、地球環境問題の改善の観点から脚光を浴びている水素エネルギーに係る技術分野において、優れた水素吸蔵能を有する新規な水素吸蔵合金を提供するものである。
近年、二酸化炭素の排出による地球の温暖化等の環境問題や、石油資源の枯渇等のエネルギー問題から、クリーンな代替エネルギーとして水素エネルギーが注目されている。水素エネルギーの実用化に向けて、水素を安全に貯蔵・輸送する技術の開発が重要となる。水素を貯蔵できる水素貯蔵材料として、活性炭、フラーレン、ナノチューブ等の炭素材料や、水素吸蔵合金等の開発が進められている。なかでも、水素吸蔵合金は、水素を金属水素化物という安全な固体の形で大量に貯蔵できることから、輸送可能な新しい貯蔵媒体として期待されている。
水素貯蔵能を有する合金として、多くの組成の合金が開発されている。例えば、MgZn型結晶構造を持ったNi−Zr系合金(特許文献1参照)、Ti−Cr−V系合金(特許文献2参照)、Zr−Ti−(V、Ni)系合金の水素吸蔵合金(特許文献3参照)等が、溶融鋳造法等により製造されているが、これらの合金の水素吸蔵能は十分実用に耐えるものであるとはいえない。
また、5回対称軸、正20面体構造を有するTi、Zr、Ni等の遷移金属で構成される合金は、Icosahedral型準結晶合金(I相)として知られており、先行文献において、Kelton et.al.が水素吸蔵合金としての有効性を公表している(非特許文献1参照)。準結晶は、一般的に準安定相であり、単ロール法等の急冷凝固による合成が行われている。しかし、この種の急冷凝固による合金の製造では、活性なチタンを溶解するために、溶解坩堝との反応による不純物の混入により品質が安定化しないという問題があった。
一方、高崎らは、Ti、Zr及びNiからなる素粉末を、メカニカルアロイングにより合成し、500℃に熱処理することにより準結晶を含む合金粉末を合成できることを示した(非特許文献2参照)。しかし、合成した合金粉末には水素吸蔵能の低いTiNi型金属間化合物(T相)が多量共存しており、I相の体積率が低いため、急冷凝固材ほどの水素吸蔵量は得られなかった。このように、これまで準結晶含有チタン合金は主として溶解急冷法によって作製されてきたが、活性金属を溶解する技術的困難さのため、近年は、機械的合金化法を用いた粉末冶金法が検討されている。ただし、高い準結晶体積率を有する合金粉末は得られておらず、水素吸蔵合金として用いるためには準結晶体積率を高くする必要があると考えられるが、それを効率的に達成するための簡便な手法がないのが実情であった。
特公平6−39646号公報 特許第3626298号公報 特開平2−220355号公報 A. M. Viano, R. M.Stroud, P. C. Gibbsons, A. F. McDowell, M. S. Conradi and K. F. Kelton :Physical Review B, Vol.51 (1995) 12026-12029. Akito Takasaki, V.T. Huett and K. F. Kelton : MaterialsTransactions, Vol.43 (2002) 2165-2168.
このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、上記従来技術の諸問題を解決することを可能とすると共に、準結晶含有チタン合金を効率的に製造することを可能とする新しい技術を開発することを目標として鋭意研究を重ねた結果、高い準結晶含有率を有するチタン合金を製造することに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、水素を吸蔵するための媒体、すなわち水素吸蔵合金として、優れた水素吸蔵能を有する新しいチタン合金を提供することを目的とするものである。また、本発明は、チタン合金中に、Zrよりも酸化物形成エンタルピーの絶対値が大きい金属(Dy、Er、Hf、Ho、Lu、Sc、Tb、Th、Tm、Y)から選ばれる少なくとも1種の元素を添加して粉末を非平衡化することにより均質な合金粉末を作製し、その後の熱処理あるいは焼結過程において、微小酸化物を生成させることにより、マトリックスの酸素をトラップし、安定な準結晶相を高体積率で含有するチタン合金を製造し、提供することを目的とするものである。また、本発明は、機械的粉砕あるいは合金化法によりひずみを導入しながら非平衡状態の合金粉末を合成し、これを300〜650℃で熱処理あるいは焼結することによって準結晶を高体積率で含有する合金を製造する方法を提供することを目的とするものである。更に、本発明は、水素貯蔵量が従来合金よりも大きく、高効率の水素吸蔵能を有し、水素の吸放出に伴う微粉化が生じにくい新規水素吸蔵部材を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)一般式:(TiZr100−a−b100−c(式中、Mは遷移金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、aは40≦a≦50at%、bは30≦b≦45at%を満たす数であり、NはZrよりも酸化物形成エンタルピーの絶対値が大きい金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、cは0.1≦c≦10at%を満たす数である。)で表される組成を有し、その構成相に準結晶を含有することを特徴とするチタン合金。
(2)体積率で50%以上の準結晶相を有する上記(1)に記載のチタン合金。
(3)遷移金属が、Ni、Fe、Co、Mn、Crから選ばれる少なくとも1種の元素である上記(1)に記載のチタン合金。
(4)Zrよりも酸化物形成エンタルピーの絶対値が大きい金属が、Dy、Er、Hf、Ho、Lu、Sc、Tb、Th、Tm、Yから選ばれる少なくとも1種の元素である上記(1)に記載のチタン合金。
(5)上記(1)から(4)のいずれか1項に記載されたチタン合金からなることを特徴とする水素吸蔵合金。
(6)上記(1)から(4)のいずれか1項に記載されたチタン合金の成形焼結体からなることを特徴とする水素吸蔵合金部材。
(7)上記(1)に記載の一般式で表される組成を有するチタン合金を製造する方法であって、所定の組成になるように配合した原料金属素粉末あるいは合金粉末を、機械的粉砕あるいは合金化により非平衡状態の合金にした後、熱処理により準結晶相を形成することを特徴とする準結晶含有チタン合金の製造方法。
(8)300〜650℃で熱処理することにより準結晶を形成する上記(7)に記載の準結晶含有チタン合金の製造方法。
(9)上記(7)又は(8)に記載の方法で作製したチタン合金を、成形、焼結することを特徴とする準結晶を含有する水素吸蔵合金部材の製造方法。
次に、本発明について更に詳細に説明する。
本発明は、一般式:(TiZr100−a−b100−c(式中、Mは遷移金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、aは40≦a≦50at%、bは30≦b≦45at%を満たす数であり、NはZrよりも酸化物形成エンタルピーの絶対値が大きい金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、cは0.1≦c≦10at%を満たす数である)で表される組成を有する準結晶相(I相)含有チタン合金の点に特徴を有するものである。また、本発明は、所定の組成になるように配合した原料金属素粉末あるいは合金粉末を、機械的粉砕あるいは合金化により非平衡状態の合金にした後、300〜650℃の温度で熱処理することにより準結晶相を形成する上記準結晶含有チタン合金の製造方法の点に特徴を有するものである。
本発明の、上記一般式:(TiZr100−a−b100−cで表されるチタン合金において、Mは、遷移金属からから選ばれる少なくとも1種の金属であり、例えば、Ni、Fe、Co、Mn、Crから選ばれる少なくとも1種の元素が例示される。また、Nは、Zrよりも酸化物形成エンタルピーの絶対値が大きい金属から選ばれる少なくとも1種の元素であり、例えば、Dy、Er、Hf、Ho、Lu、Sc、Tb、Th、Tm、Yから選ばれる少なくとも1種の元素が例示される。これらの元素は、合金のマトリックス中に存在する酸素をトラップして、安定なI相を形成するために寄与するものと考えられる。
合金組成については、a≧50あるいはb≧45では、粉末が粉砕容器あるいはボールに固着して回収できず、a≦40あるいはb≦30では、非平衡状態の粉末を得ることができない。また、c≦0.1では、I相の増加が見られず、c≧10ではI相以外の金属間化合物が生成するため、目的とする粉末を得ることができない。本発明のチタン合金では、更に、a、b、及びcの値の範囲としては、aが43≦a≦47at%、bが35≦b≦42at%、cが3≦c≦5at%であることが好適である。また、本発明のチタン合金は、準結晶相を50体積%以上、更に、75体積%以上含有することが好適である。
本発明のチタン合金を製造するには、例えば、所定の組成になるように配合した原料粉末を、機械的粉砕あるいは合金化法により処理して、歪が大量に導入された非平衡状態の合金粉末を合成し、これを300〜650℃で熱処理することにより、準結晶相状態となす工程により行われる。本発明に用いる出発原料の、Ti、Zr、M(Mは遷移金属から選ばれる少なくとも1種の元素、例えば、Ni、Fe、Co、Mn、Cr等)、及びN(NはZrよりも酸化物形成エンタルピーの絶対値が大きい金属から選ばれる少なくとも1種の元素、例えば、Dy、Er、Hf、Ho、Lu、Sc、Tb、Th、Tm、Y等)は粉末状のものが用いられる。また、それぞれの粉末は、純金属から構成される必要性はなく、例えば、TiとNiの合金粉末等を利用することも可能である。これは、本発明において、機械的粉砕あるいは合金化法により非平衡状態の合金を形成するため、その合金化が効率的に行われるために必要なものである。
純金属を機械的合金化法の出発原料として用いた場合には、合金化条件によっては、粉砕ボールや容器への付着が増加することが一般に知られており、このために、目的組成からずれやすい。これに対して、合金粉末を用いることにより、粉砕ボールや容器への付着が減少し、目的組成が得られやすい。本発明の機械的粉砕あるいは合金化処理で得られた準結晶組成の粉末は、合金を構成する各元素が微細で均質に混合された状態であり、ひずみも大量に導入された非平衡状態であるため、X線回折パターンは、アモルファスを示すブロードな形となる(図1参照)。
機械的粉砕あるいは合金化処理に用いる容器やボールの材質は特に限定されないが、一般的には、ステンレス鋼や、超硬合金、セラミックス等が用いられる。また、機械的粉砕あるいは合金化処理時に、粉末が容器やボールへ付着することを防止するために、アルコール系あるいは油脂系等の潤滑剤を適量添加することがあるが、これらは、構成元素として酸素を含んでいるため、添加は好ましくない。ただし、酸素を含まない潤滑剤であれば適量添加しても問題はない。
機械的粉砕あるいは合金化処理の雰囲気は、金属粉末の酸化等を防止するため、不活性ガス雰囲気や減圧雰囲気が望ましい。ただ、真空度が高い状態で機械的粉砕あるいは合金化処理を行うと、粉末の混合が均一にならず、長時間の処理が必要となるので好ましくない。また、長時間の機械的粉砕あるいは合金化処理を行うと、雰囲気から混入する酸素量が増加するため、できるだけ短時間処理することが望ましい。
機械的粉砕あるいは合金化処理には、遊星型ボールミルや振動型ボールミル、転動型ボールミル等の一般的な粉砕器を利用することができる。処理時間は、機械的合金化処理を行う装置のメカニズムに依存するが、例えば、遊星型ボールミルにおいては、50時間から400時間程度で本発明の合金粉末を作製することができる。
機械的粉砕あるいは合金化処理で合成された合金は、アモルファス構造を有する粉末であり、工業的な利用に供するためには、粉末を熱処理する必要がある。熱処理の雰囲気については、金属粉末の酸化を防止するという観点から真空あるいは不活性ガス雰囲気が望ましい。機械的粉砕あるいは合金化法で合成された粉末は、ひずみが大量に導入された非平衡状態の粉末であり、加熱により準結晶相を経て、安定状態の結晶相へと変化する。機械的粉砕あるいは合金化処理で合成した粉末が加熱時に準結晶相へと遷移し、準結晶として安定に存在する温度域は、300〜650℃、好適には400〜550℃であると推定され、その温度以上に加熱すれば安定状態の結晶相(TiNi型化合物)となる。
粉末の成形には一般的な焼結方法が利用できる。焼結の雰囲気については、金属粉末の酸化を防止するという観点から、真空あるいは不活性ガス雰囲気が望ましい。また、焼結時に使用する型やジグについては特に限定されないが、黒鉛やセラミックス、超硬合金等の材料が利用できる。更に、焼結時に加圧する際の加圧力発生機構についても特に限定されないが、一般には、油圧や空圧、機械的な加圧等が利用できる。
本発明は、従来品と比較して、高い水素吸蔵能を有する新規なチタン合金を提供するものであり、本発明において、チタン合金に添加されるZrよりも酸化物形成エンタルピーの絶対値が大きい金属は、合金マトリックス中に存在する酸素をトラップして、準結晶相の形成を容易とすること、図3に示すように、Tb、Er、及びYが存在することにより、I相が合金中に高率で生成すること、また、図4に示すように、これらの金属は、合金中で微細な酸化物の状態で存在していること、また、水素の吸放出に伴う微粉化が生じにくい構造を有すること、が実証された。本発明は、機械的な合金化等により原料粉末を非平衡状態の合金となし、次いで、300〜650℃で熱処理することにより、I相の含有量が体積率で50%以上に達するチタン合金の製造を可能とするものであり、また、該チタン合金は、水素の吸放出に伴う微粉化が生じにくい特定構造を有することから、高い水素の吸放出性能を有する水素吸蔵合金として、従来品では達成することができなかった、優れた水素吸蔵特性を達成することを可能とするものである。
本発明により、(1)上記一般式で表される新規チタン系準結晶合金、及びそれを用いた、水素を貯蔵するための媒体、すなわち水素吸蔵合金を提供することができる、(2)これまで、準結晶含有チタン合金は主として溶解急冷法によって作製されてきたが、活性金属を溶解する技術的困難さのため、近年は機械的合金化法を用いた粉末冶金法が検討されているものの、高い準結晶体積率を有する合金粉末は得られていないという従来技術を改善して、準結晶体積率が高いチタン合金を製造し、提供することができる、(3)Zrよりも酸化物形成エンタルピーの絶対値が大きい金属から選ばれる少なくとも1種の元素を添加して、粉末を非平衡化することにより、均質な合金粉末を作製し、その後の熱処理あるいは焼結過程において、微小酸化物を生成させることによりマトリックス中の酸素をトラップし、安定なI相を合成することができる、(4)準結晶含有チタン合金におけるI相の水素貯蔵量は、従来合金よりも格段に大きいため、高効率の水素吸蔵合金として期待され、また、水素の吸放出に伴う微粉化が生じにくいため、水素吸蔵合金部材としての応用も期待される新しい水素吸蔵部材を提供できる、という効果が奏される。
次に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
本実施例では、Tb、Er、Y、又はCeを含有するチタン合金、及び金属元素無添加のチタン合金を合成した。出発原料として、Ti粉末(レアメタリック(株)製、純度99.9重量%)、Zr粉末(レアメタリック(株)製、純度99重量%)、Ni粉末(レアメタリック(株)製、純度99.9重量%)、Ce粉末(高純度化学研究所(株)製、純度99.9重量%)、Tb粉末(高純度化学研究所(株)製、純度99.9重量%)、Y粉末(レアメタリック製、純度99.9重量%)、及びEr(高純度化学研究所(株)製、純度99.9重量%)を使用した。
これらの原料を所定量秤量し、遊星型ボールミルによる200時間の機械的合金化処理により、Ti45Zr38Ni17、Ti44Zr37Ni16Ce、Ti44Zr37Ni16Tb、Ti44Zr37Ni16、及びTi44Zr37Ni16Erからなる組成の合金粉末を合成した。これらは、図1に示すように、いずれもブロードなX線回折パターンを示す非平衡状態の粒径100ミクロン程度の粉末であった。ここで、各金属元素の酸化物形成エンタルピー(ΔH)は、それぞれ、ΔH(Zr)=−366(kJ/mol)、ΔH(Ce)=−364(kJ/mol)、ΔH(Tb)=−373(kJ/mol)、ΔH(Y)=−381(kJ/mol)、ΔH(Er)=−380(kJ/mol)である。
得られたTi45Zr38Ni17粉末を示差走査型熱量分析計にて熱分析を行ったところ、図2に示すように、300〜650℃の範囲で、準結晶への相転移と思われる発熱ピークが観察された。
得られた合金粉末50mgを、直径6mmのアルミナセル中に充填し、流量20ml/分のアルゴンを流しながら520℃まで加熱処理した。生成した準結晶中のI相とT相の判定及び量比の推定は、図3における、矢印の101000I(I相)及び660T(T相)のピークの存在、及びそのピーク高さにて行った。金属元素無添加粉、及びCe添加粉については、T相のピークが明瞭に観察されたが、Tb、Er、及びY添加粉についてはI相のみが観察された。このように、Zrより酸化物形成エンタルピーの絶対値が大きいTb、Er及びYを添加した試料については、ほぼI相のみが観察された。
得られたTi44Zr37Ni16粉末は、図4に示すように、100nm程度の結晶粒径をもつI相と、10〜20nm程度の結晶粒径を持つ極微量の酸化物から構成されていた。
本実施例では、Ti粉末(レアメタリック(株)製、純度99.9重量%)、Zr粉末(レアメタリック(株)製、純度99重量%)、Ni粉末(レアメタリック(株)製、純度99.9重量%)、及びY粉末(レアメタリック製、純度99.9重量%)を出発原料として遊星型ボールミルによる400時間の機械的合金化処理により、Ti44Zr37Ni16組成の合金粉末を合成した。
得られた合金粉末0.5gを、外径20mm、内径6mm、高さ20mmの超硬合金製の型に充填し、500MPaの加圧力にてパルス状の電流を流しながら通電加熱を行った。焼結の雰囲気は10Pa程度の真空中にて行い、520℃まで加熱して固化成形した。得られた焼結体の形状は、直径6mm×高さ3mmの円板状であり、そのX線回折パターンは、図5に示すように、I相特有の回折パターンを示した。
以上詳述したように、本発明は、準結晶含有チタン合金及びその製造方法に係るものであり、本発明により、一般式:(TiZr100−a−b100−c(式中、Mは遷移金属、NはZrよりも酸化物形成エンタルピーの絶対値が大きい金属)で表される組成を有し、準結晶体積率が50%以上であるチタン合金を提供することができる。これまで、機械的合金化法を用いて作製された準結晶含有チタン合金には、少量のI型準結晶合金(I相)と、多量のTiNi型金属間化合物(T相)が含まれていたが、本発明の準結晶含有チタン合金は、I相が多量に含まれているため、また、水素の吸放出による微粉化が起こりにくい特定構造を有するものであるため、これまでにない高効率の水素吸蔵合金部材として利用することを可能とするものである。
また、本発明は、I相を高体積率で含有するチタン合金を合成することを可能とするものであって、近年、クリーンな代替エネルギーとして注目されている水素の貯蔵、輸送手段等として有用な、新規水素吸蔵能を有するチタン合金を提供することを可能とするものである。本発明は、例えば、ニッケル水素二次電池、燃料電池、水素自動車用の燃料用タンク等をはじめ、様々な用途に適用することが可能な新規水素吸蔵合金部材を提供するものとして高い将来性を有するものである。
機械的合金化処理したTi45Zr38Ni17(N=Ce、Tb、Er、Y)合金粉末のX線回折パターンを示す。 機械的合金化処理したTi45Zr38Ni17合金粉末の示差走査型熱量分析の結果を示す。 機械的合金化処理したTi44Zr37Ni16(N=Ce、Tb、Er、Y)合金粉末を、520℃で熱処理したX線回折パターンを示す。 機械的合金化処理したTi44Zr37Ni16合金粉末を、520℃で熱処理した試料の透過電子顕微鏡による明視野像と電子線回折像を示す。 機械的合金化処理したTi44Zr37Ni16合金粉末を、520℃で焼結した試料のX線回折パターンを示す。

Claims (9)

  1. 一般式:(TiZr100−a−b100−c(式中、Mは遷移金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、aは40≦a≦50at%、bは30≦b≦45at%を満たす数であり、NはZrよりも酸化物形成エンタルピーの絶対値が大きい金属から選ばれる少なくとも1種の元素を示し、cは0.1≦c≦10at%を満たす数である。)で表される組成を有し、その構成相に準結晶を含有することを特徴とするチタン合金。
  2. 体積率で50%以上の準結晶相を有する請求項1に記載のチタン合金。
  3. 遷移金属が、Ni、Fe、Co、Mn、Crから選ばれる少なくとも1種の元素である請求項1に記載のチタン合金。
  4. Zrよりも酸化物形成エンタルピーの絶対値が大きい金属が、Dy、Er、Hf、Ho、Lu、Sc、Tb、Th、Tm、Yから選ばれる少なくとも1種の元素である請求項1に記載のチタン合金。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載されたチタン合金からなることを特徴とする水素吸蔵合金。
  6. 請求項1から4のいずれか1項に記載されたチタン合金の成形焼結体からなることを特徴とする水素吸蔵合金部材。
  7. 請求項1に記載の一般式で表される組成を有するチタン合金を製造する方法であって、所定の組成になるように配合した原料金属素粉末あるいは合金粉末を、機械的粉砕あるいは合金化により非平衡状態の合金にした後、熱処理により準結晶相を形成することを特徴とする準結晶含有チタン合金の製造方法。
  8. 300〜650℃で熱処理することにより準結晶を形成する請求項7に記載の準結晶含有チタン合金の製造方法。
  9. 請求項7又は8に記載の方法で作製したチタン合金を、成形、焼結することを特徴とする準結晶を含有する水素吸蔵合金部材の製造方法。
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