JP2007009053A - 耐衝撃性ポリエステル樹脂組成物およびポリエステル樹脂構造体 - Google Patents

耐衝撃性ポリエステル樹脂組成物およびポリエステル樹脂構造体 Download PDF

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Abstract

【課題】生分解性を保持すると共に、耐衝撃性等の機械的特性に優れ、成形材料として好適なポリエステル樹脂組成物を提供する。
【解決手段】芳香族ポリエステル樹脂100重量部に対し、脂肪族ポリエステル共重合体0.1重量部以上100重量部未満を含有して成る組成物であって、脂肪族ポリエステル共重合体が、下記(I)式で表される脂肪族オキシカルボン酸単位0〜30モル%、下記(II)式で表される脂肪族または脂環式ジオール単位35〜50モル%及び下記(III)式で表される脂肪族ジカルボン酸単位35〜50モル%から成り、且つ、数平均分子量が1万〜20万である耐衝撃性ポリエステル樹脂組成物。
【化1】
Figure 2007009053

【選択図】 なし

Description

本発明は、耐衝撃性ポリエステル樹脂組成物およびポリエステル樹脂構造体に関し、詳しくは、機械的強度が改良され、且つ、生分解性を有し、自動車、電気・電子機器、機械などの部品の材料として好適な耐衝撃性ポリエステル樹脂組成物、および、当該耐衝撃性ポリエステル樹脂組成物を成形して成るポリエステル樹脂構造体に関する。
エンジニアリングプラスチックスとしての芳香族ポリエステル樹脂、特にポリブチレンテレフタレートは、成形加工の容易さ、機械的強度、耐熱性、耐薬品性、その他の物理的、化学的特性に優れていることから、自動車、電気・電子機器、精密機器などの分野における各種部品の材料として汎用されている。そして、芳香族ポリエステル樹脂の用途分野が広がると共に、靭性や耐衝撃性の更なる向上が求められる様になってきた。また、近年の環境保全の観点から、成形品の廃棄時における減容化および細粒化の容易さや、生分解性などの性能も要望される様になってきた。
生分解性ポリマーとしては、環境保全の観点から、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステルが注目を集めているが、脂肪族ポリエステルは、一般に力学特性が悪く、また、一般に融点が低いという欠点がある。そのため、他の樹脂に生分解性ポリマーを配合することにより生分解性と力学特性を改良した樹脂材料の開発が試みられている。例えば、脂肪族ポリエステルに、ジオール成分の炭素数が6以上の芳香族ポリエステル又は炭素数が6以上のジオール成分および/またはジカルボン酸成分が共重合された芳香族ポリエステルを5〜40重量%ブレンドしたポリエステル樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。
上記の提案は次の様な背景に基づくものである。すなわち、芳香族ポリエステル樹脂として汎用されているホモポリエチレンテレフタレート(PET)やホモポリブチレンテレフタレート(PBT)は、一般に脂肪族ポリエステルとの相溶性が低いため、実質的に脂肪族ポリエステルとのブレンドは不可能であるとし、芳香族ポリエステルと脂肪族ポリエステルの相溶性を高めるために、芳香族ポリエステルの主鎖または側鎖に脂肪族基を導入することが重要であるとの観点から、上記の様な特殊な芳香族ポリエステル共重合体を使用せんとするものである。
特開2003−171536号公報
しかしながら、上記の様な特殊な芳香族ポリエステルの使用はコスト高を招くという問題がある。本発明は、斯かる実情に鑑みなされたものであって、その目的は、生分解性を保持すると共に、耐衝撃性などの機械的特性に優れ、成形材料として好適な、安価な耐衝撃性ポリエステル樹脂組成物、および、当該耐衝撃性ポリエステル樹脂組成物を成形して成るポリエステル樹脂構造体を提供することにある。
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、例えばエンジニアリングプラスチックとして有用な芳香族ポリエステル樹脂と特定の脂肪族ポリエステル共重合体とのブレンドにより、上記の目的を達成し得ることを知り、本発明に到達した。
すなわち、本発明の第1の要旨は、芳香族ポリエステル樹脂100重量部に対し、脂肪族ポリエステル共重合体0.1重量部以上100重量部未満を含有して成る組成物であって、脂肪族ポリエステル共重合体が、下記(I)式で表される脂肪族オキシカルボン酸単位0〜30モル%、下記(II)式で表される脂肪族または脂環式ジオール単位35〜50モル%及び下記(III)式で表される脂肪族ジカルボン酸単位35〜50モル%から成り、且つ、数平均分子量が1万〜20万であることを特徴とする耐衝撃性ポリエステル樹脂組成物に存する。
Figure 2007009053
そして、本発明の第2の要旨は、上記の耐衝撃性ポリエステル樹脂組成物を成形して成ることを特徴とするポリエステル樹脂構造体に存する。
本発明の耐衝撃性ポリエステル樹脂組成物は、生分解性を保持すると共に芳香族ポリエステル樹脂の有する機械的特性、特に耐衝撃性が向上しているため、環境に対応し得るエンジニアリングプラスチック材料として、特に耐衝撃性が要求される各種構造体の材料として期待される。
以下、本発明を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の代表例であり、これらの内容に本発明は限定されるものではない。
先ず、本発明に使用される芳香族ポリエステル樹脂について説明する。芳香族ポリエステル樹脂は、芳香族ジカルボン酸またはその誘導体とジオールとの重縮合体である。原料の芳香族ジカルボン酸またはその誘導体としては、テレフタル酸またはその低級アルキルエステルが主であるが、その他、フタル酸、イソフタル酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4'−ベンゾフェノンジカルボン酸、4,4'−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸またはその低級アルキルエステル等の1種または2種以上を併用してもよい。
芳香族ジカルボン酸またはその誘導体と反応させるジオールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ポリエチレングリコール、ジエチレグリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ジブチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール等の脂肪族ジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−シクロヘキサンジメチロール、1,4−シクロヘキサンジメチロール等の脂環式ジオール、キシリレングリコール、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン等の芳香族ジオールが挙げられ、好ましくは、エチレングリコール又は1,4−ブタンジオールである。
更に、上記ジカルボン酸およびジオールの一部として、乳酸、グリコール酸、m−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタレンカルボン酸、p−β−ヒドロキシエトキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸、アルコキシカルボン酸、ステアリルアルコール、ベンジルアルコール、ステアリン酸、安息香酸、t−ブチル安息香酸、ベンゾイル安息香酸などの単官能成分、トリカルバリル酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、没食子酸、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセロール、ペンタエリスリトール等の三官能以上の多官能成分などを使用することが出来る。
上記ジカルボン酸またはその誘導体とジオールからポリエステルを製造する方法は公知の任意の方法を採用することが出来る。
本発明に使用される芳香族ポリエステル樹脂としては、PET又はPBTが好ましく、中でも、適度の機械強度を有するPBTが最も好ましい。ここで、PBTは、全ジカルボン酸成分の50重量%以上がテレフタル酸またはその誘導体に由来する成分(テレフタル酸成分)であり、全ジオール成分の50重量%以上が1,4−ブタンジオールに由来する成分から成るポリエステルである。全ジカルボン酸成分に対するテレフタル酸成分の割合は、80モル%以上が好ましく、95モル%以上が更に好ましい。また、全ジオール成分に対する1,4−ブタンジオール成分の割合は、80%以上が好ましく、95モル%以上が更に好ましい。
PBTの固有粘度は、1,1,2,2−テトラクロロエタン/フェノール=1/1(重量費)の混合溶媒を使用し、30℃で測定した値として、通常0.5〜3の範囲である。固有粘度が0.5より小さい場合は機械的強度が不十分な場合が多く、一方、固有粘度が3より大きい場合は成形加工が困難になる惧れがある。固有粘度の異なる2種以上のPBTを併用して固有粘度が上記範囲となる様に調節してもよい。また、末端カルボキシル基濃度が90eq/ton以下であるPBTを使用すると、脂肪族ポリエステルと適度の相溶性を持つために好ましい。PBTの末端カルボキシル基濃度は好ましくは30eq/ton以下である。
上述の固有粘度および末端カルボキシル基濃度を有するPBTの製法は、特に限定されるものではなく、例えば、テレフタル酸またはその低級エステルと1,4−ブタンジオールを溶融重合して、末端カルボキシル基濃度が90eq/ton以下の低固有粘度のPBTを得た後、固相重合により所望の固有粘度となるまで重合する方法が挙げられる。
また、上述の固有粘度と末端カルボキシル基濃度を有するPBTは、テレフタル酸と1,4−ブタンジオールを原料とし、チタン触媒を使用し、原料の供給、エステル化反応、それに引き続く重縮合反応を連続的に行う連続重合法の反応条件を制御する方法によっても製造することが出来る。連続重合法は、生産性や製品品質の安定性が優れているので好ましい。
次に、本発明に使用される脂肪族ポリエステル共重合体について説明する。肪族ポリエステル共重合体は、前記(I)、(II)、(III)で示される単位を所定のモル%で含有し、数平均分子量が1万〜20万の共重合体であり、各単位に対応するオキシカルボン酸、ジオール及びジカルボン酸の所定量を共重合させることにより製造することが出来る。
(I)式のオキシカルボン酸単位は、HO−R−COOH(Rは(I)式と同じ意味を有す。)で示される分子中に1個の水酸基とカルボキシル基を有する脂肪族オキシカルボン酸またはその誘導体(環状単量体、環状二量体、無水物、エステル等)を使用することにより得られる。脂肪族オキシカルボン酸としては、好ましくは、下式(I−1)で示されるα−オキシカルボン酸である。式(I−1)において、nは好ましくは0又は1〜5の整数である。
Figure 2007009053
式(I−1)のオキシカルボン酸の具体例としては、乳酸、グリコール酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシカプロン酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、2−ヒドロキシイソカプロン酸などが挙げられ、これらは、2種以上混合して使用することも出来る。これらオキシカルボン酸に光学異性体が存在する場合には、D体、L体、ラセミ体の何れでもよい。これらのオキシカルボン酸の中で好ましいのは乳酸またはグリコール酸であり、特に好ましいのは乳酸である。乳酸は、ポリエステル共重合体製造時の重合速度の増大が特に顕著であり、また、入手が容易である。乳酸は、通常30〜95重量%の水溶液の形状が入手し得る。
前記式(II)の脂肪族ジオール単位に対応する脂肪族または脂環式ジオールは、HO−R−OH(Rは2価の脂肪族または脂環式炭化水素を示す。)で示されるジオールである。式中、Rで示される2価の脂肪族炭化水素基としては、好ましくは直鎖アルキレン基であり、その炭素数は、通常2〜10、好ましくは3〜10、更にましくは4〜6である。また、Rで示される脂環式炭化水素基としては、好ましくはシクロアルキレン基であり、その炭素数は通常3〜10、好ましくは4〜6である。
上記の様なジオールの具体例としては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられ、これらは2種以上の混合物として使用することも出来る。上記のジオールの中では、ポリエステル共重合体の物性の面から、特に1,4−ブタンジオールが好ましい。
前記式(III)の脂肪族ジカルボン酸単位に対応する脂肪族ジカルボン酸またはその誘導体は、HOOC−R−COOH(Rは直接結合または2価の脂肪族炭化水素基を示す。)で示されるジカルボン酸、その低級アルコールエステル又は酸無水物である。式中、Rとしては、直接結合または直鎖アルキレン基が好ましく、直鎖アルキレンの炭素数は通常1〜10、好ましくは1〜6である。シカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などが挙げられ、ジカルボン酸の低級アルコールエステルとしては、例えば、ジメチルエステル、ジエチルエステル、ジブチルエステル等の炭素数1〜4程度の脂肪族アルコールのエステルが挙げられ、酸無水物としては、無水コハク酸、無水アジピン酸などが挙げられる。これらは2種以上の混合物として使用することも出来る。これらの中では、ポリエステル共重合体の物性の面から、コハク酸、無水コハク酸またはこれらの混合物が好ましい。
本発明に使用される脂肪族ポリエステル共重合体中の各単位の割合は次の通りである。すなわち、式(I)の単位は0〜30モル%であり、式(II)及び(III)の単位は、夫々35〜50モル%の範囲(好ましくは40〜49.75モル%、更に好ましくは45〜49.5モル%の範囲)から選ばれるが、式(II)及び(III)の単位は実質的に等しいことが好ましい。また、式(I)の単位は任意の単位であるが、必須単位として含むのが好ましく、その場合の割合は、通常0.02〜30モル%、好ましくは0.5〜20モル%、更に好ましくは1〜10モル%の範囲である。式(I)の単位が少なすぎる場合は得られる共重合体の生分解性の効果が小さくなり、多すぎる場合は得られる共重合体の結晶性が失われて成形上好ましくない。
本発明における脂肪族ポリエステル共重合体は、例えば特開平8−239461号公報に記載される様に、前記(II)及び(III)の単位に対応するジオール及びジカルボン酸またはその誘導体を反応させて脂肪族ポリエステルを製造するに際し、式(I)の単位に対応するオキシカルボン酸を夫々の単位が所定量となる量で共重合させる方法により製造することが出来る。
式(II)に対応するジオールの使用量は、式(III)に対応するジカルボン酸またはその誘導体(ジカルボン酸量基準の値)100モルに対して、実質的に等モルであるが、エステル化反応中に留出することを考慮し、通常1〜20モル%過剰に使用される。式(I)に対応するオキシカルボン酸の使用量は、式(II)に対応するジカルボン酸またはその誘導体100モルに対して、通常0〜60モル%、好ましくは0.04〜60%、更に好ましくは1〜40モル%、特に好ましくは2〜20モル%である。
オキシカルボン酸の添加時期は、重縮合反応以前であれば特に限定されず、原料仕込み時に触媒と同時に添加する方法、オキシカルボン酸溶液に予め触媒を溶解させて添加する方法などを採用することが出来る。
脂肪族ポリエステル共重合体の製造においては重合触媒を使用することが好ましい。重合触媒としては、特に限定されないが、ゲルマニウム化合物、例えば、酸化ゲルマニウムが好適である。重合触媒の使用量は、使用するモノマー量に対し、通常0.001〜3重量%、好ましくは0.005〜1.5重量%である。
重合反応温度は、通常150〜260℃、好ましくは180〜230℃、反応時間は、通常2時間以上、好ましくは4〜15時間、反応圧力は、通常10mmHg以下、好ましくは2mmHg以下である。
脂肪族ポリエステル共重合体の数平均分子量は、1〜20万、好ましくは3万〜20万である。
また、脂肪族ポリエステル共重合体には、前記(I)〜(III)の構成単位以外に、本発明の効果を損なわない範囲で他の共重合成分を導入することが出来る。他の共重合成分の原料としては、ヒドロキシ安息香酸などの芳香族オキシカルボン酸類、ビスフェノールA等の芳香族ジオール類、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸類、トリメチロールプロパン、グリセリン等の多価アルコール類、りんご酸などの多価オキシカルボン酸などが挙げられる。
本発明の耐衝撃性ポリエステル樹脂組成物中の脂肪族ポリエステル共重合体の量は、芳香族ポリエステル重合体100重量部に対し、0.1〜99重量部、好ましくは1〜70重量部、更に好ましくは2〜50重量部である。脂肪族ポリエステル共重合体の量が少なすぎる場合は得られる樹脂組成物の生分解性が不十分であり、多すぎる場合は、得られる樹脂組成物の耐衝撃性、引張伸度などの機械的特性の向上が不十分である。
本発明の耐衝撃性ポリエステル樹脂組成物は、前記の芳香族ポリエステル樹脂および脂肪族ポリエステル共重合体を必須成分として含有するが、その他に、本発明の樹脂組成物の特性を損なわない範囲で周知の種々の添加剤などを含有することが出来る。
上記の添加剤としては、例えば、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ステアリン酸およびそのエステル、シリコンオイル等の離型剤;ヒンダードフェノール系、亜リン酸エステル系、チオエーテル系などの熱安定剤;繊維状強化材あるいは無機充填材;結晶化促進剤;紫外線吸収剤あるいは耐侯性付与剤;難燃剤および難燃助剤;染料、顔料、発泡剤、帯電防止剤などの樹脂添加剤が挙げられる。
また、上記の他、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロンMXD6等の各種ポリアミド樹脂、各種ポリアミドエラストマー、ポリカーボネート、各種スチレン系樹脂(ポリスチレン、ABS、AS、MS等)、各種アクリル系樹脂、各種オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体など)、フッ素樹脂(ポリテトラフルオロエチレン等)、アイオノマー樹脂、エラストマー(イソブチレン−イソプレンゴム、スチレン−ブタジェンゴム、スチレン−ブタジェンゴム−スチレン、エチレン−プロピレンゴム等)、熱硬化性樹脂(フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂)等も使用し得る。
本発明の耐衝撃性ポリエステル樹脂組成物は、前記の芳香族ポリエステル樹脂および脂肪族ポリエステル共重合体と必要に応じて使用される各種添加剤などを配合し、ドライブレンド又は溶融混練する方法で製造される。ドライブレンドは、例えば、リボンブレンダー、ヘンシェルミキサー、ドラムブレンダー等を使用して行われる。溶融混練は、各種押出機、ブラベンダープラストグラフ、ラボブラストミル、ニ−ダー、バンバリーミキサー等を使用して行われる。溶融混練時の加熱温度は、通常230〜290℃である。混練時の分解を抑制するには、前記の熱安定剤を使用するのが好ましい。各成分は、付加的成分を含めて混練機に一括して、または、順次に供給することが出来る。更には、付加的成分を含め各成分から選ばれた2種以上の成分を予め混合しておくことも出来る。ガラス繊維などの繊維状強化充填材は、押出機の途中から樹脂が溶融した後に添加することにより、破砕を避け、高い特性を発揮させることが出来る。
本発明の耐衝撃性ポリエステル樹脂組成物は、熱可塑性樹脂の成形法として知られる種々の成形法、例えば、射出成形、中空成形、押出成形、圧縮成形、カレンダー成形、回転成形などの成形法を適用し、電気・電子機器分野、自動車分野、機械分野、医療分野、包装分野、繊維分野などに使用される各種製品に成形することが出来る。本発明の樹脂組成物は、流動性が良いため、射出成形法が好適である。射出成形の際は、樹脂温度を240〜280℃にコントロールすることが好ましい。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、生分解性と耐衝撃性に優れており、特に耐衝撃性が要求される各種構造体材料としての使用が期待される。具体的には、例えば、航空機、ロケット、人工衛星などの航空・宇宙機、鉄道、船艇、自動車、自動二輪車、自転車などの輸送機器の構造材や外板、圧力部材;電気・電子機器における筐体や内部精密部品;筆記用具、机、椅子などの各種事務用品、各種の樹脂構造体を含む日用品などとして好適に使用することが出来る。
本発明のポリエステル樹脂組成物は、生産性が高いため、特に、生産量の多い自動二輪車や自動車の構造材、外板、圧力部材などの他、電気・電子機器、機械などの歯車などの微小精密部品や筐体に代表される樹脂構造体として利用するのが好ましい。具体的には、自動二輪車のメインフレーム、自動車のプラットホーム等の基本骨格材料;フロントエプロン、フード、ルーフ、ハードトップルーフ、ピラー、トランクリッド、ドア、フェンダー、サイドミラーカバー等の自動車外板;フロントエアダム、リアスポイラー、サイドエアダム、エンジンアンダーカバー等の空力部材;インストルメントパネル等の自動車内装材;電気・電子機器における筐体;歯車、配線コネクタ、各種スイッチ等の微小精密部品などの樹脂構造体が挙げられる。
以下、実施例および比較例を示し、本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の例に制約されるものではない。以下の例で使用した材料は及び物性測定方法は次の通りである。
(1)PBT−1:
三菱エンジニアリングプラスチックス社製のポリブチレンテレフタレート樹脂(固有粘度1.20dl/g、末端カルボキシル基濃度18eq/ton)
(2)PBT−2:
、三菱エンジニアリングプラスチックス社製のポリブチレンテレフタレート樹脂(固有粘度1.20dl/g、末端カルボキシル基濃度35eq/ton)
(3)脂肪族ポリエステル共重合体−1:
原料として、コハク酸、1,4−ブタンジオール、乳酸を使用し、後述の製造例1に従って製造した、数平均分子量(Mn)58,900の脂肪族ポリエステル共重合体
(4)脂肪族ポリエステル共重合体−2:
原料として、コハク酸、1,4−ブタンジオール、グリコール酸を使用し、後述の製造例2に従って製造した、Mn42,500の脂肪族ポリエステル共重合体
(i)PBTの固有粘度:
1,1,2,2−テトラクロロエタン/フェノール=1:1(重量比)の混合溶媒を使用し30℃で測定した溶液粘度から求めた。
(i i)PBTの末端カルボキシル基濃度:
ベンジルアルコール3mlに樹脂1gを溶解し、水酸化ナトリウム0.1モル/1リットルベンジルアルコール溶液を使用した滴定法により求めた。
(iii)ポリマー組成:
H−NMR法により測定したスペクトルの面積比により組成を計算した。
(iv)数平均分子量(Mn):
クロロホルムに共重合体を溶解し、東ソー社製「GPC HLC−8020」を使用し、ポリスチレン換算により測定した。カラムは「PLgel−10μ−MIX」を使用した。
(v)引張試験:
ISO527に準拠して引張強度及び、引張伸びを測定した。
(vi)シャルピー衝撃試験:
ISO179−2に準拠して測定した。
(vii)生分解性試験:
テストピースを5月間土中に埋没させた後、目視により観察し、複数の虫食い状の穴が認められれば生分解性有り(〇と表示)、穴が認められない場合は生分解性無し(×と表示)と判定した。
製造例1:
攪拌装置、窒素導入管、加熱装置、温度計、助剤添加口を供えた容量100mlの反応容器に、コハク酸35.4g、1,4−ブタンジオール28.4g及び酸化ゲルマニウム1重量%を含有する乳酸水溶液2.9gを仕込んだ。攪拌下、反応容器に窒素ガスを導入し、窒素ガス雰囲気下180℃に昇温し、45分間反応させた後、20mmHgに減圧し、更に1.75時間反応させた。続いて、220℃、0.5mmHgの条件下で4時間反応させた。得られた共重合体のポリマー組成は、乳酸単位4.6モル%、1,4−ブタンジオール単位およびコハク酸単位は夫々47.7モル%、Mnは58,900であった。
製造例2:
攪拌装置、窒素導入管、加熱装置、温度計、助剤添加口を供えた容量300mlの反応容器に、コハク酸118.1g、1,4−ブタンジオール99.1g及び酸化ゲルマニウム1重量%を含有する70重量%グリコール酸水溶液6.3gを仕込んだ。攪拌下、反応容器に窒素ガスを導入し、窒素ガス雰囲気下185℃に昇温し、0.5時間反応させた後、内温を220℃に昇温し、0.5時間反応させた。続いて、220℃、0.5mmHgの条件下で6時間反応させた。得られた共重合体のポリマー組成は、グリコール酸単位2.4モル%、1,4−ブタンジオール単位およびコハク酸単位は夫々48.8モル%、Mnは42,500であった。
実施例1〜6及び比較例1〜2:
PBT樹脂および脂肪族ポリエステル共重合体を、表−1に示される配合比率でドライブレンドし、二軸押出機(日本製鋼所社製、TEX30HSST L/D=42)のホッパーに投入し、吐出量20kg/h、スクリュー回転数150rpm、バレル温度260℃の条件下、押出し、ペレット化して樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットを使用し、射出成形機(住友重機械社製、型式SH−100)により、シリンダー温度250℃、金型温度80℃でISO機械的性質測定用試験片を成形し、前記の方法に従って、引張強度、引張伸度及びシャルピー衝撃強度を測定した。また、樹脂組成物ペレットを使用し、卓上熱プレス機により、厚み0.3〜0.37mmのフィルムを作成し、これを2cm×2cmに切断してテストピースとし、前記の方法により生分解性を評価した。結果を表−1に示した。
Figure 2007009053
表1から明らかな様に、PBTに脂肪族ポリエステル共重合体を配合した実施例1〜〜6の樹脂組成物は、比較例1のPBT単独に比し、生分解性を示し、引張強度はやや低下するものの、衝撃強度、引張伸度は共に大きく向上している。但し、脂肪族ポリエステル共重合体の配合量が多すぎる比較例2の樹脂組成物では、生分解性は示すものの、引張強度、引張伸度、衝撃強度は何れもPBT単独の場合より大きく低下している。
本発明の耐衝撃性ポリエステル樹脂組成物は、自動車部品、電気電子機器部品、精密機械部品などの用途における環境の保全に配慮し、かつ、耐衝撃性に優れた樹脂構造体の成形材料として有用である。

Claims (5)

  1. 芳香族ポリエステル樹脂100重量部に対し、脂肪族ポリエステル共重合体0.1重量部以上100重量部未満を含有して成る組成物であって、脂肪族ポリエステル共重合体が、下記(I)式で表される脂肪族オキシカルボン酸単位0〜30モル%、下記(II)式で表される脂肪族または脂環式ジオール単位35〜50モル%及び下記(III)式で表される脂肪族ジカルボン酸単位35〜50モル%から成り、且つ、数平均分子量が1万〜20万であることを特徴とする耐衝撃性ポリエステル樹脂組成物。
    Figure 2007009053
  2. 前記(II)式で表される脂肪族または脂環式ジオール単位のモル%と、前記(III)式で表される脂肪族ジカルボン酸単位のモル%とが実質的に等しく、夫々45〜49.5モル%の範囲にある求項1に記載の耐衝撃性ポリエステル樹脂組成物。
  3. 前記(II)式におけるRが炭素数2〜10の直鎖アルキレン基または炭素数3〜10のシクロアルキレン基であり、前記(III)式におけるRが直接結合または炭素数1〜10の直鎖アルキレン基である請求項1又は2に記載の耐衝撃性ポリエステル樹脂組成物。
  4. 芳香族ポリエステル樹脂がポリブチレンテレフタレートである請求項1〜3の何れかに記載の耐衝撃性ポリエステル樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の耐衝撃性ポリエステル樹脂組成物を成形して成ることを特徴とするポリエステル樹脂構造体。
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