JP2007008249A - タイヤ摩耗検知装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 所定の深さまで摩耗が進行したときに検知できるが、その状態に至るまではタイヤの摩耗を知ることができない。
【解決手段】 タイヤ摩耗検知装置10において、線状のアンテナ40は、車両50に装着されたタイヤのトレッド面22内部に埋設され、所定の信号を送信する。受信部52は、車体に設けられ信号を受信する。摩耗判定部54は、受信した信号の強度に応じてトレッド面22の摩耗度合いを検出する。アンテナ40は、トレッド面22の摩耗限度よりも浅い位置に少なくともその一部が含まれるように埋設され、トレッド面22の摩耗により該アンテナの一部がトレッド面22に露出したとき路面との接触により摩耗する材料で形成されている。
【選択図】 図1

Description

本発明は車両のタイヤのトレッド部の摩耗を検知するタイヤ摩耗検知装置に関する。
一般に、車両のタイヤのトレッド面にはトレッドパターンが形成されており、車両の走行性能、停止性能の発揮に大きな役割を果たす。そのため、摩耗によりトレッドパターンの溝の深さが規定値未満となった場合は速やかに交換することが望ましい。従来、タイヤの摩耗の検出を容易にすべく、タイヤのトレッド面の摩耗の進行に伴いトレッド面にスリップサインが出現するタイヤが実用化されている。しかし、このようなタイヤは、車両の運転者または運行管理者がタイヤを視認しない限り摩耗の度合いを知ることはできない。
特許文献1には、タイヤのトレッド内に、信号による情報の授受を行うトランスポンダを埋設するタイヤ摩耗状態検出方法が開示されている。これによれば、タイヤの摩耗によりトランスポンダ、またはトランスポンダに接続されたアンテナ線が破損しトランスポンダからの応答が無くなることによりタイヤの摩耗を検出できるとしている。
特開平10−307981号公報 特開2004−142649号公報 特開平11−170819号公報
しかしながら、上記特許文献1においては、所定の深さまで摩耗が進行したときに検知できるが、その状態に至るまではタイヤの摩耗を知ることができない。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、タイヤの摩耗の進行程度を検知することのできる技術を提供することにある。
本発明の一態様であるタイヤ摩耗検知装置は、車両に装着されたタイヤのトレッド面内部に埋設され、所定の信号を送信する線状のアンテナと、車体に設けられ前記信号を受信する受信手段と、受信された信号の強度に応じてトレッド面の摩耗度合いを検出する摩耗検出手段と、を備える。そして、前記アンテナは、トレッド面の摩耗限度よりも浅い位置に少なくともその一部が含まれるように埋設され、トレッド面の摩耗により該アンテナの一部がトレッド面に露出したとき路面との接触により摩耗する材料で形成されていることを特徴とする。
この態様によれば、トレッド面の摩耗によりアンテナが露出し、このアンテナが路面との接触により摩耗する。すると、アンテナの長さが当初より減少するため、当初の周波数の信号送信に適さなくなり、受信信号強度が減少する。これによって、摩耗を判定することができる。
アンテナの長軸はトレッド面に対して傾斜して配置されることが好ましい。こうすると、アンテナの摩耗低下の度合いが大きいため、信号強度の変化が大きくなって摩耗を検知しやすくなる。
前記アンテナは少なくともその一部が湾曲または屈折するように形成されており、アンテナ先端の埋設位置とトレッド表面との距離と比較して、湾曲部分または屈折部分がトレッド表面から浅い位置となるようにトレッド面内部に埋設されていることが好ましい。この態様によれば、トレッド面が摩耗してアンテナの湾曲部分または屈折部分が露出し、路面との接触によりアンテナの摩耗が進行すると、湾曲部分または屈折部分より先端側とそれ以外とにアンテナが二分されてアンテナの全長が大きく変化するため、摩耗を検知しやすくなる。
本発明によるタイヤ摩耗検知装置によれば、タイヤの摩耗の進行度合いに応じてタイヤから送信される信号の送信強度が低下するので、目視によることなくタイヤのトレッド面の摩耗を検知することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤ摩耗検知装置の構成を示す。タイヤ摩耗検知装置10は、車両50に装着されるタイヤ20の摩耗を検知する。図1には、タイヤ20、ホイールリム30およびホイール32の断面が示されている。タイヤ20のトレッド面22は、タイヤが路面に接する部分である。トレッド面22には、排水、制動力の発揮、操作性の向上などを目的としてトレッドパターン24が刻まれている。
ホイールリム30と接するビード部28は、タイヤ20をホイール32に固定する部分であり、タイヤ20の全周にわたるリング状の構造をしている。タイヤ20内に空気が注入されると、ビード部28はホイールリム30と接してタイヤ20内を気密にする。このビード部28には、タイヤ内の空気の圧力やホイール32の回転などにより大きな力がかかるので、その力に耐え得るようビード部28の中心には鋼線の束であるビードワイヤーが収められている。カーカスベルト26は、ナイロンまたはポリエステルなどの繊維で成形されるコード層であり、タイヤ構造を保持する役割を有する。カーカスベルト26のトレッド側は、スチールベルト48によって締め付けられている。
ホイールリム30には、空気調整バルブ44が取り付けられている。空気調整バルブ44と接続されているハウジング46内には、タイヤ20内の空気圧を検出する空気圧センサ(図示せず)と、検出した空気圧データを車体側に送信するための送信機(図示せず)が収容されている。空気圧センサおよび送信機には、図示しない電池から電源が供給される。
トレッド面22の内部には、線状のアンテナ40が埋設されている。アンテナ40はハウジング46内の送信機と導線42で接続されており、送信機は空気圧データをアンテナ40を介して車体側に送信する。図1の構成では、金属製であり電波を遮断するスチールベルト48よりもタイヤの外周側にアンテナ40が配置されているので、タイヤ外部に電波を送信することが可能である。
アンテナ40は、トレッド面22の摩耗限度よりも浅い位置に少なくともその一部が含まれるように埋設される。この摩耗限度は、車両の走行性能や停止性能が所定以上に低下しないように定められる摩耗量であり、タイヤの種類、タイヤゴムの材質、タイヤサイズ、タイヤの用途などにより異なるため、実験やシミュレーションによって求められる値である。また、アンテナ40は、トレッド面22の摩耗によりアンテナ40の先端がトレッド面に露出したとき、路面との接触により摩耗する比較的柔らかい材料で製作される。また、アンテナ40の全長は、車体との通信に使用する周波数帯域に応じて決定される。一例では、北米および日本の300MHz帯、欧州の430MHz帯で共用できるように、50mm前後とする。
車体側には、送信機からの信号を受信する受信部52と、受信した信号の強度に基づいてタイヤのトレッドの摩耗を検出する摩耗検出部が設けられる。受信部52で受信されたタイヤの空気圧データは図示しないECUに送られる。ECUでは、タイヤ空気圧を監視し、所定の空気圧以下になると警報を発する空気圧監視システム(TPMS)が構成されている。
なお、受信部52および摩耗判定部54は、ハードウェア的には、コンピュータのCPUやメモリをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックとして描いている。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
図1の構成において、車両の走行によりトレッド面22が徐々に摩耗していくと、図2に示すように、アンテナ40の先端がトレッド面22に露出する。この状態で走行を継続すると、路面との接触によりアンテナ40が削られていき、徐々に全長が短くなっていく。図2は、トレッド面22が摩耗した状態を示している。点線部は、摩耗により消失したトレッドゴムを表す。アンテナ40の先端部40aは、トレッド面22の摩耗とともに削られた部分を示す。
アンテナ40は、埋設当初は送出する電波の周波数に応じて最適な長さに調整されている。したがって、アンテナ40の全長が変化すると、受信部52における信号の受信強度が低下していく。そこで、摩耗判定部54は、受信部52における信号の受信強度を監視し、所定の強度まで低下したとき、タイヤ20のトレッド面が摩耗限度まで摩耗したと判定する。検出結果は、ブザーまたは警告ランプなどである警報機(図示せず)により運転者または車両管理者に通知される。
なお、アンテナ40からの信号の受信強度は車両の走行環境に左右されやすいことから、受信部52においてフィルタリングにより外乱を除去することが好ましい。また、アンテナ40の全長が短くなることによる信号強度の低下はわずかであるから、短時間でその変化を検出するのは非常に困難である。したがって、摩耗判定部54において信号強度の低下の傾向を例えば数ヶ月単位のような長期間で監視することが好ましい。
アンテナ40は、トレッド面22に対して垂直にするよりも、図1に示すように傾斜させて配置することが好ましい。これは、傾斜させておいたほうがアンテナ露出後の路面との接触面積が大きくなるためアンテナの摩耗量が増加し、アンテナ長さの減少速度がわずかながら速くなるためである。
また、タイヤの摩耗は短期間に進行する事象ではないので、摩耗判定部54における信号強度低下の検出は走行中常時行っている必要はない。例えば、イグニッションスイッチオン後の所定時間の信号強度のみを測定し、そのログを使用して信号強度の低下を検出するようにしてもよい。
図3は、アンテナの配置方法の別の実施例を示す。図示するように、アンテナをタイヤ外周方向に傾斜して配置することも可能である。また、アンテナはタイヤの円周上に複数配置してもよい。
以上、実施の形態をもとに本発明を説明した。これらの実施形態は例示であり、各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
図4は、アンテナの形状の別の実施例を示す。図1に示した方法では、トレッド面中央部の摩耗しか検出できないが、実際のタイヤには、タイヤの装着状態、車両重量、タイヤ空気圧の大小などに応じて、トレッド面の一部のみに摩耗が生じる偏摩耗が起きることがある。そこで、偏摩耗が発生しやすい部位、例えばショルダー部付近のトレッド面下部にアンテナが露出するように、V字状に形成したアンテナ70を埋設しておく。これによって、偏摩耗によりトレッド面の両サイドの摩耗が進行した場合でも、摩耗を検出することができる。
なお、V字形のアンテナ70は、図1のトレッド面中央に配置したアンテナ40と併用してもよいし、タイヤ全周を何等分かにし、トレッド面中央とトレッド面両サイドのアンテナを交互に配置して両方を検知できるようにしてもよい。
図5は、アンテナ形状のさらに別の実施例を示す。図5において、アンテナ60は少なくとも一部が略円弧状となるように波形に形成されており、円弧部の外周がトレッド面62に対向するように埋設される。さらに、トレッド面22の摩耗時に、円弧部の外周がアンテナ内で最初にトレッド面に露出するように配置されている。図中の点線62’は、トレッド面が摩耗限度まで摩耗したときのタイヤ外周を表している。これから分かるように、この円弧部分は、アンテナ全体の中でトレッド面から最も浅い位置になるように円弧の曲率、アンテナのトレッド面に対する傾斜角、アンテナの全長などを調節しておく。
図3に示した例では、アンテナの先端がトレッド面に最も近くなるようにゴム内部に埋設されているのに対して、図5に示した例では、アンテナの先端ではなく、波状の部分がトレッド面に最も近くなるようにゴム内部に埋設されている。言い換えると、図5の例では、トレッド面からの距離が大きい部分と小さい部分とが交互になるように埋設されている。したがって、トレッド面が摩耗してアンテナの波状部分が最初に露出し、路面との接触によりアンテナの波状部分の摩耗が進行すると、アンテナが波状部分より先端側とそれ以外との二つの部分に分離することになり、アンテナの長さを大きく変化させることができる。これによって、信号強度が大きく減少するので、摩耗検知の精度が向上する。
なお、上記のような効果を呈するアンテナは、図5に示したような波形に限られない。アンテナの少なくとも一部が湾曲または屈折するように形成しておき、アンテナ先端の埋設位置とトレッド表面との距離と比較して、湾曲部分または屈折部分がトレッド表面から浅い位置となるようにトレッド面内部に埋設されていればよい。具体的には、アンテナは鋸形やらせん形状であってもよい。
図6は、図5のタイヤが摩耗したときの様子を示す。図示するように、最初にトレッド面に露出したアンテナの円弧部分が路面との接触により次第に摩耗し、図5の時点では、アンテナ60が二つの部分に分離している。このように、アンテナを湾曲させて配置することで、摩耗時に、所定の湾曲部からアンテナを破断させることができる。
図1で説明したような直線に形成されたアンテナでは、摩耗によるアンテナ長さの減少がわずかであるため、摩耗判定部54における信号強度の低下の検出が容易ではないが、本実施例によれば、円弧部60aが摩耗した時点でアンテナ60の全長が短くなるため、信号強度の変化度合いが大きくなり、有効である。
本発明の一実施形態に係るタイヤ摩耗検知装置の構成を示す図である。 図1のタイヤのトレッド面が摩耗したときの様子を示す図である。 アンテナの配置方法の別の実施例を示す図である。 アンテナの形状の別の実施例を示す図である。 アンテナの形状のさらに別の実施例を示す図である。 図5のタイヤのトレッド面が摩耗したときの様子を示す図である。
符号の説明
10 タイヤ摩耗検知装置、 20 タイヤ、 22 トレッド面、 40 アンテナ、 52 受信部、 54 摩耗判定部、 60 アンテナ、 60a 円弧部、 70 アンテナ。

Claims (3)

  1. 車両に装着されたタイヤのトレッド面内部に埋設され、所定の信号を送信する線状のアンテナと、
    車体に設けられ前記信号を受信する受信手段と、
    受信された信号の強度に応じてトレッド面の摩耗度合いを検出する摩耗検出手段と、を備え、
    前記アンテナは、トレッド面の摩耗限度よりも浅い位置に少なくともその一部が含まれるように埋設され、トレッド面の摩耗により該アンテナの一部がトレッド面に露出したとき路面との接触により摩耗する材料で形成されていることを特徴とするタイヤ摩耗検知装置。
  2. 前記アンテナの長軸がトレッド面に対して傾斜して配置されることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ摩耗検知装置。
  3. 前記アンテナは少なくともその一部が湾曲または屈折するように形成されており、アンテナ先端の埋設位置とトレッド表面との距離と比較して、湾曲部分または屈折部分がトレッド表面から浅い位置となるようにトレッド面内部に埋設されていることを特徴とする請求項1に記載のタイヤ摩耗検知装置。
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