JP2007007274A - 浴槽 - Google Patents
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Abstract
【課題】 浴槽の周囲をエプロンや壁で囲わずに浴槽を浴室に設置した場合でも、浴槽の端縁部での層間剥離や、浴槽の端縁面から中間層への浴水の侵入を防止できる浴槽を提供する。
【解決手段】 全表面を化粧面6にした内側層2と表面の少なくとも一部を化粧面6にした外側層3との間に断熱性を備えた中間層4を設ける。内側層2の端縁部と外側層3の端縁部とを接着剤5で一体に連結すると共に、この接着剤5で中間層4をシールする。
【選択図】 図1
【解決手段】 全表面を化粧面6にした内側層2と表面の少なくとも一部を化粧面6にした外側層3との間に断熱性を備えた中間層4を設ける。内側層2の端縁部と外側層3の端縁部とを接着剤5で一体に連結すると共に、この接着剤5で中間層4をシールする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、浴槽に関するものである。
浴槽1には、たとえば発泡性樹脂から構成されて断熱性有する中間層4を内側層2と外側層3との間に設けた層構造に形成されており、その端縁部では、図11のように、特に補強などが行われずに上記層構造のまま中間層4が外方に露出する状態となっているものがある(たとえば特許文献1参照)。このような浴槽1では、浴槽1の端縁部に何らかの衝撃が加わったりすると内側層2と外側層3と中間層4との間で層間剥離が生じたり、また、この浴槽1の端縁面に浴水が至るとこの浴水が中間層4に染み入り、カビが発生して外観が劣化したり、中間層4の断熱性能が低下したり等の不具合が発生する恐れがあった。
ところで、浴槽1を浴室に設置するには、エプロン11や浴室の壁によって浴槽1の周囲を囲わせるようにして行うのが一般的であり、このような場合には、エプロン11や浴室の壁によって、浴槽1の端縁部を衝撃からある程度保護できたり、浴水が浴槽1の端縁面に至るのをある程度防止できることから、上述の問題が表面化しないで済んでいるのが現状である。
しかしながら、近年の浴室の高意匠化によって、たとえば、エプロン11や浴室の壁によって浴槽1の周囲を囲わせずに、浴室の床に浴槽1を単体で載置するといった浴槽1の配設様式を採用した場合には、浴槽1の端縁面の中間層4がそのまま浴室に露出されることから、上記問題の表面化を回避することができない。
特許第3001752号公報
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて為したものであって、浴槽の周囲をエプロンや壁で囲わずに浴槽を浴室に設置した場合でも、浴槽の端縁部での層間剥離や、浴槽の端縁面から中間層への浴水の侵入を防止できる浴槽を提供することを課題とするものである。
上記課題を解決するために本発明の請求項1に係る浴槽は、全表面を化粧面6にした内側層2と表面の少なくとも一部を化粧面6にした外側層3との間に断熱性を備えた中間層4を設け、内側層2の端縁部と外側層3の端縁部とを接着剤5で一体に連結すると共にこの接着剤5で中間層4をシールしたことを特徴とする。これによると、内側層2の全表面を化粧面6にすると共に外側層3の表面の少なくとも一部を化粧面6にしたことで、化粧面6となった浴槽1の部位を浴室12に露出させても良好な外観を確保することができ、つまり、従来のように浴槽1の周囲をエプロン11や浴室12の壁等で覆うようにして浴槽1を設置しない場合においても、浴槽1の浴室12への設置状態を外観良く仕上ることができるのであり、浴槽1を浴室12に外観良く設置可能にする配設様式の自由度を広げることができる。また、上記のように浴槽1の周囲をエプロン11等で覆わずに浴室12に浴槽1を設置する場合には、内側層2の端縁部と外側層3の端縁部とは浴室12に露出する部位となって、入浴者が不意にその身体をぶつけたりして衝撃が加わり易く、また浴水にも容赦なく晒されるようになるが、この内側層2の端縁部と外側層3の端縁部とを接着剤5で一体に連結したことで、浴槽1の端縁部の補強をすることができて浴槽1の端縁部に何らかの衝撃が加えられても浴槽1の端縁部での層間剥離を防止できるのであり、また、接着剤5で断熱性を備えた中間層4をシールしたことで、中間層4への浴水の侵入を防止できてカビの発生による外観の劣化や断熱性能の低下を回避することができるのである。
また、請求項2に係る浴槽は、請求項1において、接着剤5の接着面7となる内側層2の端縁部または外側層3の端縁部の肉厚を、接着面7以外の部位における内側層2または外側層3の肉厚よりも、厚く形成したことを特徴とする。これによると、内側層2の端縁部と外側層3の端縁部との接着面7を広くとることができ、接着剤5の接着強度を高めて浴槽1の端縁部で起こり得る層間剥離をより防止できると共に、接着剤5によるシール厚も長く確保できて中間層4の防水効果もより高めることができる。
本発明は、浴槽の周囲をエプロンや浴室の壁等で覆わずに浴槽を設置した場合においても外観を良好にできるだけでなく、上述のように浴槽の周囲をエプロン等で覆わないことで発生し易くなった内側層の端縁部と外側層の端縁部との間の層間剥離や中間層への浴水の侵入をそれぞれ防止することができる、といった利点を有する。
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
本例の浴槽1は、入浴者が入浴する入浴用凹所8を形成するべく底壁9の周縁から側壁10が立設されて主体が形成されている。この浴槽1の主体は、図1(b)や図9(a)のように、入浴用凹所8に臨む側壁10の内面部位及び底壁9の上面部位を構成する内側層2と、入浴用凹所8に臨まない浴槽1の側壁10の外面部位及び底壁9の外面部位を構成する外側層3とを有し、これら内側層2と外側層3との間に、入浴用凹所8に張られた浴水が冷めないように浴槽1の断熱性能を確保するための中間層4を有してなる層構造に形成されている。
ところで、本例の浴槽1は、図1(a)のように浴槽1の周囲をエプロン11などで覆わずに、浴室12の床12aに単体で載置するタイプの浴槽1であり、浴槽1の入浴者の目にふれる部位(少なくとも浴槽1の底壁9の外面部位(下面)を除く全ての表面部位)を、良好な外観を確保する化粧面6としている。ここで、化粧面6とは浴室12に露出する浴槽1に良好な外観を付与できる面であり、たとえば化粧面6は後述のように浴槽を成形する際に形成される。化粧面6とした浴槽1の部位は浴室12に露出させても外観が良く、つまり、浴槽1の周囲をエプロン11や浴室12の壁等で囲わずに浴槽1を浴室12に設置した場合にも、浴槽1の浴室12への配設状態に良好な外観が現出可能にされている。
本例の浴槽1は、上述のように浴槽1の周囲をエプロン11などで覆わずに浴室12に配設する様式のものであって、つまり浴槽1が周囲のエプロン11で保護されずにそのまま浴室12に露出しているから、内側層2の端縁部や外側層3の端縁部が位置する浴槽1の端縁部には、入浴者が不意にその身体をぶつけたりして衝撃が加わり易く、また浴水にも容赦なく晒されるようになっており、すなわち、背景技術の項で述べた内側層2の端縁部や外側層3の端縁部での層間剥離や、中間層4への水の侵入による外観の低下や断熱性の低下等の問題が生じ易い配設様式の浴槽1となっている。しかしながら、本例の浴槽1の端縁部では、上記層間剥離や中間層4への水の侵入を防止できるような構造とされている。
つまり、本例の浴槽1の端縁部では、図1(c)や図9(b)のように、内側層2の端縁部と外側層3の端縁部とが浴槽1の周方向に亙って接着剤5で一体に連結されると共に、上記接着剤5によって中間層4の端縁部が浴室12に露出しないようにシールされている。このように、内側層2の端縁部と外側層3の端縁部とが接着剤5で一体に連結されたことで、浴槽1の端縁部を補強できて浴槽1の端縁部に何らかの衝撃が加わっても層間剥離が防止されており、また、この接着剤5で中間層4の端縁部がシールされたことで、中間層4への浴水の侵入が防止できてカビの発生による外観の劣化や断熱性能の低下が回避されているのである。
上記構成の浴槽1を製造するには、たとえば以下に説明する製造方法が適用できる。
まず、内側層2と外側層3とを別個に製造する。詳しくは、内側層2は、図2(a)のように、浴槽1の内面形状に対応した型面を有した雄型13を入浴用凹所8に対応した凸部13aが上方に向くようにして配置し、雄型13の型面全てにスプレーガンにて樹脂14aを塗布してゲルコート層14を成形する。本例ではこのゲルコート僧14が化粧面6となる。次に、図2(b)のように、このゲルコート層14にガラスマット2aを積層させた後に樹脂を含浸させてFRP層を得ると共に上記ゲルコート層14に貼り付け、このFRP層にガラスマット2aを積層させた後に樹脂を含浸させて更なるFRP層を得ると共に先のFRP層に貼り付けるといった作業を複数回繰り返し、ゲルコート層14の化粧面6を表面に有するFRPで構成された所定厚みの内側層2を得る。また、外側層3は、図3(a)のように、浴槽1の外面形状に対応した型面を有した雌型15を用い、内側層2と同様にして、ゲルコート層14の化粧面6を表面に有するFRPで構成された所定厚みの外側層3を得る。ここで、内側層2の端縁部は、浴槽1の側壁10の上縁部分を構成しており、この部位では浴槽1の外側且つ浴槽1の下方に向けて折り曲げてなるU字形状に形成されており、内側層2の端縁面は上記U字形状の先端で下方に向けて形成されている。また、外側層3の端縁部は、浴槽1の側壁10の外面部分の上縁近傍部位を構成しており、外側層3の端縁面は上方に向けて形成されている。また、雌型15には、外側層3を構成するゲルコート層14やFRP層を切除してゲート用穴19を形成するための穴形成用突部20が設けられると共に、穴形成用突部20の突出端面に開口する樹脂充填用のゲート18が設けられている。また、内側層2及び外側層3の製造の際のゲルコート層14の成形のために塗布される樹脂14a及びFRP層を成形するべくガラスマット2a,3aに含浸させる樹脂にはそれぞれ、たとえば不飽和ポリエステル樹脂や、アクリル樹脂や、ビニルエステル樹脂を好適に用いることができる。
次に、図2(c)や図3(c)のように、内側層2の端縁部及び外側層3の端縁部に内側層2や外側層3の他の部位よりも肉厚を厚くした厚肉部23を形成する。この各厚肉部23は内側層2及び外側層3の内側にそれぞれ各端縁面に面一となるように形成される。具体的に、各厚肉部23はガラスマット23aを積層して樹脂を含浸させるという作業を繰り返して形成されるのであり、つまり各厚肉部23はFRPに形成されている。なお詳しくは、本例の内側層2の厚肉部23はU字形状の内側層2の端縁部におけるU字溝内を充填するようにして形成されており、ガラスマット23aに含浸させる樹脂としては、たとえば不飽和ポリエステル樹脂や、アクリル樹脂や、ビニルエステル樹脂を好適に用いることができる。この面一状態にある各端縁面と各厚肉部23の端面とはそれぞれ接着剤5が塗布される接着面7となるのであって、つまり厚肉部23は接着面7を大きく形成するために設けられたものである。次に、図2(d)や図3(d)のように上記各接着面7をペーパーヤスリ24等を用いて微少な凹凸を形成して粗面にする。
次に、図4(a)のように、雄型13の型面上に位置する内側層2に発泡ウレタンで構成された断熱材4aを上方から被せるようにして配置させる。次に、図4(b)のように上記粗面にされた各接着面7に接着剤5を付着させ、次いで、図4(c)のように、外側層3を残した状態で雌型15を上下反転させて外側層3を下方に面するようにし、この雌型15を雄型13に上方から近接させて内側層2に対して上記断熱材4aを介在させて外側層3を上方から被せ、雌型15と雄型13とを型締めする。このときには、外側層3は内側層2に対して断熱材4aが位置した空所21を介して配置されると共に、外側層3の接着面7が内側層2の接着面7に接着剤5を介して押し当てられる。つまり、内側層2の端縁部や外側層3の端縁部が位置する浴槽1の端縁部では、浴槽1の周方向に亙って内側層2の端縁部や外側層3の端縁部が接着剤5にて一体に連結されると共に、この接着剤5によって空所21が浴室12に露出しないように内側層2の端縁部と外側層3の端縁部との間がシールされた状態にされるのである。ここで、各接着面7は各厚肉部23によって比較的広い厚み(2〜10mm)を有するように形成され、しかもその表面は接着剤5が付着し易い粗面とされており、接着剤5の接着強度を高めて浴槽1の端縁部で起こり得る層間剥離の防止効果が高められると共に、シール長さも長く確保できて空所21内への浴水の侵入防止効果が高められている。また、接着剤5としては、不飽和ポリエステル樹脂やアクリル樹脂やビニルエステル樹脂等の樹脂剤を好適に用いることができ、更に言うと、本例では、FRPにて形成された接着面7同士を接着剤5で接着させるので、接着剤5を構成する上記樹脂剤にガラスパウダーやガラス繊維を混入したものを用いると、より内側層2と外側層3との接着性が向上して効果的である。無論、接着剤5は成形型13,15とは非接着性を有するのは言うまでもない。なお、本例では、接着剤5は、図4(d)のように、上記型締め時の圧力によって、空所21内(詳しくは浴槽1の側壁10の内面部位、上面部位及び外面部位との間の部位)に押し込まれるのであって、この部位で接着剤5の層5aが形成されるようになっている。
次に、図5(a)のように、雌型15のゲート18から外側層3と内側層2との間の空所21に樹脂4bを充填させ、上記断熱材4aで付与された断熱性を備えた中間層4を形成させる。つまり、外側層3と内側層2との間に中間層4を設けた層構造の樹脂成形物を得るのである。なお、この外側層3と内側層2との間の空所21に充填させる樹脂4bとしては、不飽和ポリエステル樹脂や、アクリル樹脂や、ビニルエステル樹脂が好適に用いられる。このときには、既に接着剤5でシールされた空所21に中間層4が形成されるので、中間層4は外方に露出しないよう接着剤5でシールされた状態となっている。次に、図5(b)のように、この樹脂成形物から雌型15及び雄型13を取り外し、最後に、上記樹脂成形物に存在する浴槽1に不要な部分22(たとえば硬化した接着剤5のバリ等)を切断したり、表面にサンデイング、バフ研磨等を施したり、必要に応じて部分的に塗装を施すなどの仕上げ処理を行うことで、図1(b)(c)のような所定形状の浴槽1を得ることができる。
また、上記構成を有する浴槽1を製造するには、下記の製造方法も適用できる。
まず、内側層2と外側層3とを別個に製造する。詳しくは、内側層2は、図6(a)のように、浴槽1の内面形状に対応した型面を有した雄型13を入浴用凹所8に対応した凸部13aが上方に向くようにして配置し、この雄型13の全型面に樹脂2bを吹き付け等で塗布することで製造される。ここで、上記樹脂2bには顔料や模様剤等が混入されていてこれ自体が良好な外観を呈する化粧面6を形成している。しかして、内側層2の全表面は化粧面6とされている。また、この製造された内側層2の端縁部には、浴槽の側壁10の上面を構成する水平板状のフランジ部17が形成されている。一方、外側層3は、図6(b)のように、浴槽1の外面形状に対応した型面を有した雌型15において、浴槽1の側壁10の外面に対応する型面の部位に着色料16a(塗料)を塗布して化粧層16を形成し、次いで雌型15の全型面に樹脂3bを吹き付け等で塗布することで製造される。この製造された外側層3は、浴槽1の側壁10に対応する部位の表面が化粧層16で構成された化粧面6とされている。なお、この雌型15には、後述の発泡性を有する樹脂4cを充填するためのゲート用穴19を形成するための穴形成用突部20が設けられている。また、外側層3の化粧面6と内側層2の化粧面6とはその外観を合わせるように形成されている。
次に、図7(a)のように、雄型13に内側層2を被せたままの状態で、内側層2のフランジ部17の板面に接着剤5を比較的厚く塗布し、外側層3を残した状態で雌型15を上下反転させて外側層3を下方に面するようにし、次いで、図7(b)のように、この雌型15を雄型13に上方から近接させて外側層3を内側層2に上方から被せ、雌型15と雄型13とを型締めする。このときには、外側層3は内側層2に空所21を介して配置されると共に、外側層3の端縁面が内側層2のフランジ部17に接着剤5を介して押し当てられる。この接着剤5を介して押し当てられた外側層3と内側層2との部位が接着面7とされ、つまり外側層3と内側層2とは各接着面7で接着剤5を介して接着されている。なお、本例では、接着剤5は、図7(c)のように、上記型締め時の圧力によって、空所21内(詳しくは浴槽1の側壁10の内面部位、上面部位及び外面部位との間の部位)に押し込まれるのであって、この部位で接着剤5の層5aが形成されるようになっている。この接着剤5によって、浴槽1の周方向に亙って内側層2の端縁部と外側層3の端縁部とが一体に連結されると共に、空所21が浴室12に露出しないように内側層2の端縁部と外側層3の端縁部との間がシールされた状態にされるのである。
次に、外側層3から雌型15を取り外し、代わりに、図8(a)のように、後述の樹脂を流し込むゲート18を設けた型15´を外側層3に上方から嵌め込んで取付け、このゲート18から外側層3のゲート用穴19を介して外側層3と内側層2との間の空所21に未発泡の樹脂4aを流し込み、この樹脂4cを空所21内で隙間無く発泡させて中間層4を形成し、外側層3と内側層2との間に中間層4を設けた層構造の樹脂成形物を得る。ここで、中間層4は樹脂4cの発泡にて得られた発泡断熱材で構成されている。このときには、既に接着剤5でシールされた空所21に中間層4が充填されるので、中間層4は外方に露出しないよう接着剤5でシールされた状態となっている。次に、図8(b)のように、この樹脂成形物から雌型15及び雄型13を取り外し、最後に、上記樹脂成形物に存在する浴槽1に不要な部分22(接続した外側層3の端縁面よりも外方に位置するフランジ部17)を切断したり、表面にサンデイング、バフ研磨等を施したり、必要に応じて部分的に塗装を施すなどの仕上げ処理を行うことで、図9のような所定形状の浴槽1を得ることができる。
上述の製造方法では、ゲート18を設けた型15´を使用しているが、先例の製造方法のようにゲート18を設けた雌型15を使用する、つまり雌型15と型15´とを兼用しても好ましい。この場合、雌型15にゲート18を設けるには、穴形成用突部20の内部にゲート18を位置させて穴形成用突部20の突出端面にゲート18の出口を開口させることで可能である。
また、上記製造方法で製造された浴槽1の他の実施形態として、接着面7を大きくするために、接着剤5の接着面7を構成する内側層2または外側層3の部分の肉厚を、接着面7以外の内側層2または外側層3の部位の肉厚よりも、厚く形成することも好ましい。図10では、接着面7となる外側層3の端縁部に外側層3の他の部位よりもその肉厚を厚く形成した厚肉部23を形成し、この外側層3の厚肉部23に接着面7を形成してこの接着面7を内側層2の端縁部(フランジ部17)に接着剤5を介して突き合わせて外側層3の端縁部と内側層2の端縁部とを接合している。これによると、外側層3の端縁部と内側層2の端縁部との間の接着面7を比較的広く形成でき、接着剤5の接着強度を高めて浴槽1の端縁部で起こり得る層間剥離をより防止できると共に、シール長さも長く確保できて発泡断熱層の防水効果もより高めることができる。更に言うと、外側層3に設けた厚肉部23自体によって、浴槽1の端縁部の強度を向上させることもできる。なお、本例では外側層3のみに厚肉部23を設けているが、内側層2の端縁部にも内側層2の他の部位よりも肉厚を厚く形成した厚肉部23を形成し、外側層3と内側層2の各厚肉部23同士の対向面間を接着剤5で接合させてもよく、これによっても上記効果を備えることができる。
なお、上記各製造方法にて製造された浴槽1にあっては、内側層2の端縁部と外側層3の端縁部との一体化及びシールを浴槽1の主体内に形成された接着剤5の層5aでも行わせたことで、内側層2と外側層3との各接着面7においてはごく薄い接着剤5の層5bを介在させるにとどめている。したがって、内側層2と外側層3との境界部位にあっては、ごく薄い接着剤5の層5bが浴室12に露出するが目立つものではなく、つまりシームレスの外観(継ぎ目が目立たない外観)になっており、浴槽1の外観には一体感があって高級感のある外観が現出されるようになっている。無論、上記内側層2と外側層3との境界位置から浴室12に露出するごく薄い接着剤5の層5bには、浴水が染み入ることはなく、カビ等も発生しないことから、浴槽1が経年的にも良好な外観を維持可能にされているのは言うまでもない。
なお、上述の実施形態の浴槽1は、周囲全てをエプロン11等で覆わずに単体で設置されるもので、浴槽1の側壁10の外面の周面全てを化粧面6とし、浴槽1の浴室12への配設状態に良好な外観を現出させているが、たとえば浴室12の壁に沿わせて設置される浴槽1であれば、壁に沿って浴室12に露出しない浴槽1の側壁10の外面部位は化粧面6としないでもよく、これによっても浴槽1の浴室12への配設状態に良好な外観を確保できるのは言うまでもない。
1 浴槽
2 内側層
3 外側層
4 中間層
5 接着剤
6 化粧面
7 接着面
12 浴室
12a 床
2 内側層
3 外側層
4 中間層
5 接着剤
6 化粧面
7 接着面
12 浴室
12a 床
Claims (2)
- 全表面を化粧面にした内側層と表面の少なくとも一部を化粧面にした外側層との間に断熱性を備えた中間層を設け、内側層の端縁部と外側層の端縁部とを接着剤で一体に連結すると共にこの接着剤で中間層をシールしたことを特徴とする浴槽。
- 接着剤の接着面となる内側層の端縁部または外側層の端縁部の肉厚を、接着面以外の部位における内側層または外側層の肉厚よりも、厚く形成したことを特徴とする請求項1記載の浴槽。
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