JP2007006819A - 浅い湖沼における沈水植物の再生・復元方法 - Google Patents

浅い湖沼における沈水植物の再生・復元方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 水域に固有な衰退または消失した沈水植物を再生または復元し、かつ該水域の水質改善が図れる浅い湖沼における沈水植物の再生・復元方法を提供する。
【解決手段】 少なくとも、水域に固有な沈水植物群落AAが衰退または消失し、汚濁物質の流入が減少しても、水質汚濁状態が解消されない浅い湖沼において、水域内の水底に所定に透過光を到達させる濁度低下手段1,11,21を設けたり、水域内から埋土種子を採取したりして、衰退または消失した水域に固有な沈水植物群落AAを再生または復元させるとともに、水域の水質を改善するようにした。
【選択図】 図1

Description

この発明は、浅い水深の湖沼において、該湖沼に固有な生態系の保全と水質改善とが図れる沈水植物の再生・復元方法に係るものである。
近年、浅い水深の池や沼、湖など(以降、浅い湖沼と称する)において、この浅い湖沼に流入する河川系の水質改善にも拘わらず、その水質が、改善されない事例があった。これは、浅い湖沼の汚濁のため、沈水植物群落が一旦衰退または消失してしまうと、この沈水植物群落の自己回復は非常に困難なので、該沈水植物群落の水質改善作用を復旧できずに、一旦進展した汚濁状態が解消されないためと考えられる。
たとえば流入河川水質が改善される前の汚濁物質の流入によって、浅い湖沼が汚濁され、沈水植物群落が一挙に消失してしまうことがあった。すなわち、この水質汚濁によって、浅い湖沼の透明度が低下すると、沈水植物は、浅深度の水底に位置していても、水質汚濁の影響に加えて日射不足となるので、少なくとも、衰退してしまう。そして、このように沈水植物群落が一旦衰退や消失してしまうと、水面上の風波の影響が、直接的にその水底に堆積した底泥に及んで、該底泥の巻き上げ現象が生起する。このため、底泥が水中に拡散し、この底泥から窒素やリンなどの栄養塩類の溶出が、活発化する。この結果、湖沼の富栄養化が進み、植物プランクトンが著しく増殖して、水中の植物プランクトン量が増大する。
このように、底泥の巻き上げ現象による底泥粒子の水中濃度と、富栄養化による植物プランクトンの水中濃度とが、共に上昇するので、湖沼の透明度が大幅に低下する。したがって、浅深度の水底でもこの水底に達する日射量は、沈水植物の自己回復や生息に適さない程度に減少する。このため、流入河川の水質が改善されても、沈水植物群落は再生または復元されず、浅い湖沼の汚濁状態は継続することになる。
そこで、このような汚濁した水域を浄化するための、各種の提案が行われている。たとえば、湖沼や池のような滞留性水域の岸に沿い、かつ、この岸から適度の間隙距離を確保して通水性を有する護岸を形成し、この護岸と岸との間に浅水深ゾーンを形成して、この浅水深ゾーンに水性植物群を植栽するとともに、護岸の外側に沿わせた状態で生物学的な水処理装置を設け、この水処理装置に水域の水を強制循環させるようにした構成の湖沼や池のような滞留性水域の水質保全システムが提案され、既に権利化されている(特許文献1)。また、この水質保全システムは、浅水深ゾーンがその深い所で30cm程度の水深とされ、この浅水深ゾーンに新たに植栽する水性植物として、例えばヨシ、アシ、マコモ、ガマ、フトイ等の大型抽水植物、ウォーターポピー、クレソン、セリ等の抽水浮葉植物、及びタヌキモ、スギモ等の沈水植物をそれぞれの生活形態に応じて組み合わせて用いるのが好ましいとされている。したがって、この水質保全システムによれば、水処理装置によって、水域から有機物などのBOD成分や、窒素、リンを除去するとともに、浅水深ゾーンの性植物群によりDO(Dissolved Oxygen:溶存酸素量)を供給することにより、自然が本来的に持つ浄化機能を増幅的に活用しているので、増大する汚染負荷にさらされている滞留性水域の水質や、既に汚染が進行してしまった滞留性水域の水質の保全、あるいは回復・保全を、自然との調和を保ちつつ効率的にできるとしている。
また、汚濁水域の深層や水底に光の透過しない暗い水域において、この水域に提体や膜体で囲い締め切る「水域のうつろ」構成し、この水域の水の透明度を高め、この水を媒体として、大量の太陽光を汚濁水域の温度躍層以下の深層や水底に透過させ、観光や娯楽を可能にするとともに、深層や水底での光合成作用を活発にして、深層や水底で大量の溶存酸素を供給し、生態環境や水底のヘドロを浄化するように構成した「水域のうつろ」によるサンライトホ−ルを利用した底質や深層環境の改善方法が提案され、既に権利化されている(特許文献2)。また、この改善方法において、その「水域のうつろ」の透明度を高めるために具体的には、1)公知の浄化装置を利用して「水域のうつろ」内の水の透明度を高めるか、2)透明度を高い水を「水域のうつろ」内に投入するか、3)「水域のうつろ」内の濁った水を強制排出するか、4)「水域のうつろ」内に浄化剤を投入することによって汚濁水を浄化するか、のいずれかを用いて、または適宜、これらを組合せて用いており、この改善方法によれば、ランニングコストが少なく、生態環境保全や底質環境保全効果が大きいとしている。
さらに、常時水を貯留した止水域と、この止水域の周囲に設けた水位変動域と、この水位変動域の周囲に設けた冠水しない水際域とを、調整池か遊水池かのいずれか一方、または双方に設けた構成の人工緑化区域を形成し、止水域から水位変動域にかけて、所定の冠水頻度に応じた複数域に区分し、これらの複数域に、冠水頻度に応じた冠水耐性を有する植物を、植生の移りゆきが見られるように植栽して植物推移帯を形成した人工緑化方法が知られている(たとえば、特許文献3)。また、この人工緑化方法においては、その複数域を、常時冠水域と頻繁冠水域と稀冠水域とに区分して、常時冠水域には、浮葉植物か沈水植物かのいずれか一方または双方を植え、頻繁冠水域には、沈水植物か湿性植物かのいずれか一方または双方を植えて、段階的に植生が移りゆく構成としているので、より自然に近い配置構成が達成でき、種が定着し易く、長期間安定した生態系の構成を促進できるとされている。また、このように植物推移帯を設けているので、植生配置に強く影響される小動物はその棲み分けが促進され、結果として定着性の強い動植物相が構成され、多様な生態系を内包した優れたビオトープを創出できるとしている。
さらに、湖沼本体に連続して浅い小池を設けると共に、該小池に多数の水草を配し、湖沼本体と小池との間に、水を通過させるが、水草の通過を遮る仕切りを設置した構成の湖沼の浄化装置が知られている(たとえば、特許文献4)。この浄化装置では、小池の水中及び岸辺に、睡蓮、菱、蘆、真菰、浮草等の水草を多数配することが望ましいとされ、また湖沼本体の周囲に複数の小池を設けたり、水を環流させる風車駆動のポンプを設けたりしている。したがって、この浄化装置によれば、水草の水質浄化作用という自然の力を利用して湖沼の水を浄化するので、大がかりな装置やこの装置用の電気等のエネルギー及び特殊な薬品が不要であり、環境破壊等を引き起こす心配が無く、コストも低廉で済むとされている。
特許第2849020号公報 特許第3644523号公報 特開2001−224243号公報 特開2003−19493号公報
しかしながら、上記の構成や方法では、たとえ水生植物群を形成していても、該水域に固有な沈水植物を明確に再生・復元していないので、必ずしも、その湖沼生態系の保全が図れないという問題が生じる。
すなわち、上記の水質保全システムでは、新たに形成した浅水深ゾーンに、同様に水性植物群を新たに植栽しており、また上記の底質や深層環境の改善方法では、深層や水底での光合成作用を活発させるとだけして、少なくとも、水生植物群に関する明確な記載はなく、さらに上記の人工緑化方法では、その生態系を長期安定化するため、所定に植生が推移する植物推移帯を人為的な地形の造成および植栽配置で形成しており、また上記の湖沼の浄化装置では、湖沼本体に新たに小池を付設して、この小池に同様に水生植物群を新たに形成している。いずれにしても、水域に固有な沈水植物を、積極的に再生または復元していない。
また、上記従来の構成や方法では、上述した沈水植物の衰退または消失に伴って浅い湖沼で生じる底泥の巻き上げ現象に起因した汚濁状態を、根本的に解消していない。すなわち、汚濁した湖沼水を、対症療法的に、たとえ水生植物で浄化することが期待できても、この汚濁の原因となる底泥の巻き上げ自体を抑制するという観点は、欠落している。このため、上記の従来例では、謂わば、底泥の巻き上げに起因した汚濁力よりも、水生植物による浄化力が上回り、かつこの力関係が維持される必要がある。したがって、水質汚濁の改善は、その進行が遅く、長期化することが予測される。
そこでこの発明は、前記従来のものの問題点を解決し、水域に固有な衰退または消失した沈水植物を再生または復元し、かつ該水域の水質改善が図れる浅い湖沼における沈水植物の再生・復元方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、外部から流入した汚濁物質のため、水域の水質汚濁が進展して、少なくとも、該水域に固有な沈水植物群落が衰退または消失し、前記汚濁物質の流入が減少しても、汚濁状態が解消されない浅い湖沼において、前記水域の水底に透過光を到達させる濁度低下手段を形成し、前記沈水植物群落が衰退または消失した水域に、前記固有な沈水植物群落を再生または復元させるとともに、該水域の水質を改善する。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記濁度低下手段は、浮葉植物を所定に分布させて形成する。
請求項3に記載の発明は、請求項1において、前記濁度低下手段は、前記水底を、マットで覆って形成する。
請求項4に記載の発明は、請求項1において、前記濁度低下手段は、前記水底の周囲を、シート状部材を垂下した浮体枠で囲んで形成する。
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかにおいて、前記沈水植物を再生または復元させる箇所に、少なくとも、既存の浮葉植物が進入することを防止する隔離部材を設けた。
請求項6に記載の発明は、外部から流入した汚濁物質のため、水域の水質汚濁が進展して、少なくとも、該水域に固有な沈水植物群落が消失し、前記汚濁物質の流入が減少しても、汚濁状態が解消されない浅い湖沼において、前記水域内に埋設された前記沈水植物の埋土種子を採取し、この採取した埋土種子によって、該水域に固有な沈水植物群落を復元させるとともに、該水域の水質を改善する。
請求項7に記載の発明は、請求項6において、前記採取した埋土種子を発芽させて、所定に生長させた再生株を大量培養し、この再生株の生長に適した箇所を、前記水域から選定し、この選定した箇所の水底に透過光を到達させる濁度低下手段を設け、この透過光を確保した水底に、所定数の再生株を移植して定着させ、沈水植物群落として生長させる。
請求項8に記載の発明は、請求項6または7において、前記埋土種子の採取地点は、前記水域の流動モデルを作成し、この流動モデルを用いて、選定する。
請求項9に記載の発明は、請求項6ないし8のいずれかにおいて、前記箇所は、前記水域の流動モデルを作成し、この作成した流動モデルを用いて、選定する。
請求項10に記載の発明は、請求項6ないし9のいずれかにおいて、前記再生株は、所定容器に収容して、前記水底に設置しており、前記容器は、少なくとも、その底面が多孔質に形成されている。
この発明は、前記のような構成であるから、浅い湖沼の水質向上や保全が図れるとともに、沈水植物群落の衰退または消失に伴い減少または消滅した各種の水生生物を含めた生態系も、浅い湖沼に復活させて再現する可能性を高めることができる。すなわち、沈水植物を群落として、一旦回復または復元させて定着させれば、この沈水植物群落が風波に起因した底泥の巻き上げを抑制して、水中に拡散する底泥粒子および水中プランクトンによる水中の濁りを低下できる。このため、透明度の高い水質が向上した浅い湖沼を回復することが可能となる。特に、透明度の上昇と、これによる沈水植物の生体活動の活発化とが相互に連携しあって推進されるので、水質が向上する傾向を促進できる。他方、沈水植物が過去に提供していた生息環境を回復できるので、該環境を利用していた水生生物を優先的に回帰させることが可能となる。
図1は、この発明の沈水植物の再生・復元方法を用いた第1の実施形態を示し、(a)は、沈水植物が衰退し、浮葉植物が繁茂している状態を示す概略図、(b)は、沈水植物を回復させるために浮葉植物を所定に刈り取った状態を示す概略図、(c)は、沈水植物の回復を開始または回復途中の状態を示す概略図、(d)は、沈水植物を群落として再生した状態を示す概略図である。
この第1の実施形態は、外部から流入した汚濁物質のため、少なくとも、その水域に固有な沈水植物群落が衰退し、外部からの汚濁物質の流入が減少しても、水質汚濁が解消されない浅い湖沼に対処した沈水植物の再生・復元方法であり、その水域の全域あるいは特定の一部箇所に浮葉植物が繁茂していることを前提としている。
すなわち、図1(a)に示すように、水域内の所定箇所Pで、浮葉植物Bが繁茂している場合、たとえばヒシなど葉が水面に浮いており、その水中根で湖底に活着している浮葉植物Bが繁茂している場合には、このような場所では、風波が抑制されることで、底泥の巻き上げは、既に抑制されている。しかし、水面を覆う葉が、光や酸素の供給を妨げることから、この第1の実施形態では、これらの浮葉植物Bの一部分のみを所定に刈り取ることで、その消波効果は残しながら、光が湖底にまで到達する箇所Pを、所定に創出するようにした。なお、この箇所Pは、少なくとも、沈水植物の生息に適した水深を有した箇所が、選定されている。
すなわち、このように浮葉植物Bが繁茂している場合には、これらの浮葉植物Bの葉が、その繁茂箇所Pの水底に、水面からの透過光や酸素が到達することを妨げている。このため、たとえ、その水底に沈水植物Aが残存していても、その生育は未発達なものに留まり、また同水底に沈水植物Aの種子が残存していても、種子が発芽する可能性は極めて低くなる。したがって、その水域に固有な沈水植物Aは衰退しており、本来、その場所がこの沈水植物Aの成育に適した優性種となる場所であっても、沈水植物群落AAとして回復し再生しないことになる。
そこで、この第1の実施形態は、図1(b)に示すように、浮葉の除去に留まることなく、繁茂している浮葉植物Bから、いくつかの浮葉植物B自体を、所定に間引くように刈り取ることにより、この刈り取らずに残した浮葉植物B同士の間に、沈水植物Aが回復可能な所定面積の水底部分を形成するようにしている。換言すれば、湖沼の水質環境低下に対してある程度の耐性を有したと実証されたことになる既存の繁茂している浮葉植物Bを、その繁茂場所の水面から水底への光の透過を過剰に妨害しない程度に分布させるように整備し、このように分布させた浮葉植物Bを濁度低下手段1としている。
したがって、このように残存させた浮葉植物B同士の間には、水中に露出された水底部分が形成され、かつ、この水底部分は、その水底部分から水面までの妨害物のない直線的な経路が確保されるので、水面からの透過光や酸素の供給量を充分に確保できる。このため、水底部分に残存した生育不良な沈水植物Aは、その順調な成体への生長が可能となる。他方、水底部分に残存した沈水植物Aの種子は、発芽して生長する機会が与えられることになる。すなわち、浮葉植物Bの繁茂状況によってはその大部分の日射が遮られていた場合、ある程度の日射光量が、水底部分に到達するので、発芽条件を満たす照度まで上昇することが期待できる。
また、このように、繁茂している浮葉植物Bの一部分を水底部分の日射を確保できるように刈り取っても、その周囲に残存した浮葉植物Bが、この刈り取った箇所Pに再侵入することが予測される。そこで、この刈り取った箇所Pに、再侵入防止手段5を設置して、新たな浮葉植物Bが侵入することを防止している。すなわち、刈り取り箇所Pを、オイルフェンスと同様に、周囲から隔離するシート6を浮体7から吊り下げて配置し、浮葉植物Bの再侵入を防ぐようにしている。
この再侵入防止手段5は、浮体7と、この浮体7から吊下された隔離部材であるシート6とを主体に構成され、刈り取り箇所Pとこの刈り取り箇所Pの周囲に残存した浮葉植物Bとの間を区画した境界線上における適宜の範囲に渡って、設置されている。すなわち、これらの両者P,Bの間に、スクリーン状にシート6が展張され、両者P,Bを分離している。
浮体7は、浮標などに類似した所定形状に形成されて、発泡体や中空体を主体にした構成とされ、シート6を吊下して水面に留まれる程度の浮力が確保されている。シート6は、浮体7に吊下されて所定箇所Pに設置された場合に、その下端が、着底できる程度の垂下方向の長さが確保されている。
したがって、この再侵入防止手段5は、所定に設置されたシート6によって、浮葉植物Bなどが、刈り取り箇所Pに進入して繁茂することを防止する。すなわち、再侵入防止手段5を所定箇所Pに設置する場合に、その浮体7が、その垂下したシート6の下端を水底に埋設して固定され、または、図示しないワイヤなどで所定に係留され、その設置された位置を維持する。このため、オイルフェンスと同様にして、周囲から所定箇所Pを隔離し、周囲に残存した浮葉植物Bが再進入することを防止する。
なお、再侵入防止手段5は、所定箇所Pの全周囲を取り囲む必要はなく、所定箇所Pの周りに残存した浮葉植物Bの繁茂状況や水底の地勢などを、適宜、勘案して、必要な箇所に設置するものとする。また、この再侵入防止手段5は、図1(b)に示すように、2重壁状に設けてもよく、これによって、防止効果をより高めるようにしてもよい。
したがって、このようにして、沈水植物Aの回復が開始されると、水中濁度を低減させる方向の変化を、促進し加速する正のフィードバックが得られる。すなわち、沈水植物Aの生長に伴い、この生長の阻害要因である水中濁度が低減されるので、該生長を活発化でき、これに連係して水中濁度を低減させる変化傾向を、さらに大きくできる。
より詳細には、風波による底泥の巻き上げを、該底泥の表面を覆うように生長する沈水植物Aが、緩和し抑制する。このため、該底泥からの窒素やリンなどの栄養塩類の水中への溶出が抑制される。したがって、該水中に溶存した栄養塩類の濃度が低下する。このため、該栄養塩類を吸収していた該水中の植物プランクトンの生体活動が低下する。これらの結果、該水中植物プランクトン量が減少すると同時に、巻き上げられて水中に浮遊する底泥粒子の量も減少し続けることになる。
このように、植物プランクトンの減少による透明度の上昇と、底泥巻き上げ量の減少による濁度の低下と、を同時に生起できるので、沈水植物Aの付近では、水中の濁りを大幅に低下できる。すなわち、沈水植物A付近に位置した、植物プランクトン濃度と、底泥粒子の濃度と、を同時的に低下できる。
そして、このように濁度が低下して、沈水植物Aが位置した水底に到達する透過光量が増加するので、この透過光を受けた沈水植物Aの生長活動や繁殖活動が活発化する。すなわち、所定箇所Pに移植した沈水植物Aは、その発芽した枝葉に、必要な透過光が確保されるとともに、その発根した毛根で、所定箇所Pの底泥から窒素やリンなどの栄養塩類を直接摂取できるので、充分に安定して生長し定着できる。
このように、風波に起因した泥土の巻き上げを沈水植物Aが抑制し、泥土粒子の発生量を低減させかつこれに伴い植物プランクトンの発生要因を削減して、水中濁度を低下させ、沈水植物Aへの透過光量が増加して、沈水植物Aの生長が促進され、該沈水植物Aによる抑制効果が高まり、水中濁度の低下傾向が増大するという正のフィードバック作用を得ることができる。
したがって、上記の結果として、図1(c)に示すように、浮葉植物Bと混在して共存させた形態で、徐々にその湖沼固有の沈水植物群落AAを回復し、そして沈水植物帯を再生することができる。
すなわち、同図1(c)中に示すように、沈水植物Aが群落として、ある程度の個体数や生育量を確保して安定した生息状態となった場合には、この沈水植物群落AAは、その周囲からの浮葉植物Bの侵入を阻止できるので、再侵入防止手段5を撤去している。したがって、水域内に人工物を残留させずに済む。このため、植物体以外の生物にも影響を与えずに済み、生態系の復活に好ましい環境となる。
そして、同図1(d)中に示すように、沈水植物Aが定着し、安定的かつ持続的に自生が可能な程度に生長した場合には、適宜、浮葉植物Bを取り除く。たとえば、まずこれらの生長した沈水植物A同士の間から、刈り取らずに残存させた浮葉植物Bを、除去して排除する。このため、沈水植物Aだけからなる群落に、発展させることができる。すなわち、成体となった沈水植物Aの個体数を順調に増加できるとともに、その幼体を含めた植生密度を高めることができる。このため、沈水植物群落AAによる底泥巻き上げを阻止する作用を強化できる。この結果、沈水植物群落AAは安定して生息できる。
このようにして、複数の沈水植物群落AAを自生可能に回復させて再生し、これらの沈水植物群落AA自身の生長作用で、その群落の植生範囲を拡充させて、相互に連絡させれば、連続的な沈水植物帯として再生できる。すなわち、このように再生されて安定的な生長が確保された沈水植物群落AAは、自らの繁殖作用で、その周辺領域へ拡充することが期待できる。
なお、この第1の実施形態の他の例として、外部から流入した汚濁物質のため、その水域に固有な沈水植物群落が衰退しただけではなく、浮葉植物が衰退または消失し、外部からの汚濁物質の流入が減少しても、水質汚濁が解消されない場合には、まず所定に浮葉植物を復元し、次に上記と同様にして、沈水植物群落を回復するようにしてもよい。
すなわち、この他の例では、特に図示しないが、上記のように両植物が衰退または消失し、かつ沈水植物群落を回復させる予定箇所に、その水域内の他の箇所に繁茂している上記の耐性が保証された成体の浮葉植物を移植するか、該水域の現状の水質汚濁環境に対してある程度の耐性を有した浮葉植物を、水域外部から導入して移植するか、のいずれか、またはこれらの両者を適宜、組み合わせて、予定箇所にその水面の風波を抑制し、かつ、その水底への透過光を過剰に低下させないように、浮葉植物を分布させた構成の濁度低下手段を設け、次に、上記の再進入防止手段を適宜設け、上記した正のフィードバック作用を得た水生植物群落の回復サイクルを開始させ、最終的に水生植物帯が得られるようにしている。
したがって、この他の例によれば、沈水植物群落を回復させる箇所は、浮葉植物が繁茂している水域内の箇所に制約されずに済むので、その選択幅が広がる。このため、沈水植物Aの生育に適した箇所を選定して、より早期に沈水植物群落を回復させることが可能となる。他方、底泥の巻き上げ現象が多く見られる箇所を選定して、この箇所に沈水植物群落を回復させれば、より早期に水質汚濁の改善させる、つまりより早期に水質向上を図ることも可能となる。
以上説明したように、この第1の実施形態の沈水植物の再生・復元方法によれば、衰退した沈水植物の回復と水質改善とを、同時に生起させて、並行的に進行させるとともに、沈水植物を群落として回復しかつ群落を拡大的に発展させることが期待できる。
すなわち、この沈水植物の再生・回復方法によれば、水質汚濁が維持された状態から、水質を変化させる状態に移行でき、しかもこの変化状態として、植物体の自然的かつ自発的な生長に伴なって、水質を改善する方向に変化させる正のフィードバック作用を得て、なんら維持や保守整備のコストを要さずに、持続的かつ拡大発展的に、水質改善させることが可能となる。このため、水質改善に向う正のフィードバック・ループ・サイクルを継続できるだけではなく、この正のフィードバック方向への変化を、加速させることができる。
また、底泥の巻き上げ抑制に適した沈水植物、この底泥の巻き上げ防止用の沈水植物の一種として、特に車軸藻類を回復できれば、この車軸藻類は、その細かな分枝が底泥を覆うので、これらが充分に生長して繁茂していれば、底泥の巻き上げを、充分かつ確実に抑制する効果が得られることになる。したがって、このように回復させる沈水植物の種類が、底泥の巻き上げ防止に適していれば、この種類の沈水植物の回復を起点にして、底泥の巻き上げ抑制に適さない他の種類の沈水植物を回復させることも可能となる。
他方、沈水植物を再生させる生息環境を整えるために、既存の浮葉植物を所定に分布させて濁度低下手段として用い、少なくとも、沈水植物群落が再生するにつれて、この濁度低下手段とした浮葉植物が徐々に減少するため、この再生箇所では、別種であっても水生植物の生息が維持される。換言すれば、既存の浮葉植物群落と徐々に代替する形で、固有な沈水植物群落を再生している。このため、再生前後の水域における生態系を、断絶させたり大きく乱したりせずに、連続性を確保しながら、固有な沈水植物群落が再生した状態に移行できる。
これらの結果、水質の改善とともに、湖沼の生物多様性の保全に寄与することが期待できる。このように、衰退した沈水植物群落を回復して自己完結的かつ持続的に保全することができ、水生植物以外の該湖沼に固有な水生生物を含めた生態系の再現が可能となる。すなわち、回復した沈水植物群落によって、該湖沼に固有な水生生物に適した生息環境を整えられるので、単なる水中生物の回帰ではなく、該湖沼に固有な水生生物を優先的に生息させることができる。他方、たとえば、沈水植物群落を回復させる箇所として、陸上に近い水域内の地点、つまり水際域を選定できれば、より多くの生物種の生息域としての水際域を、再生することができるので、より生物多様性の保全に寄与できる。なお、この水生生物としては、一時的に沈水植物群落を利用する生物を含めることとする。
このように、その湖沼特有の水生植物群落を回復できれば、この湖沼の水域をその一部として含んだ地域全体の生態系や、水文化を含めた社会的な文化の再生や活性化に貢献することが期待できる。
次に、この発明の第2の実施形態を説明する。なお、上記した第1の実施形態と同一の構成の部材には、同一の符号を付して、説明を省略または簡略化することにする。すなわち、上記の第1の実施形態と異なる部分を中心に説明し、この第2の実施形態では説明しない構成や、上記の作業手順などの方法、およびこれらにより得られる作用は、上記の第1の実施形態と同一とする。
この第2の実施形態の再生・復元方法は、外部から流入した汚濁物質のため、少なくとも、その水域に固有な沈水植物群落が消失し、外部からの汚濁物質の流入が減少しても、水質汚濁が解消されない浅い湖沼に対処した沈水植物の再生・復元方法であり、その水域のどこかに、消失した沈水植物の種子が埋設されていることを前提としている。すなわち、沈水植物帯が消失しても、その種子が底泥に埋設されて休眠状態となっている可能性が高い。
そこで、この再生・復元方法では、発芽可能な状態で埋設された種子(以降、埋土種子と称する)を、水域内から採取し、この埋土種子から再生株を大量培養し、所定に選択した水域箇所に、濁度低下手段を設けたうえで、所定の集団サイズを確保した所定数の再生株を移植して、水域に固有な沈水植物群落を復元するようにしている。
上記の埋土種子は、底泥中に平面的、鉛直的に分布していると考えられる。すなわち、沈水植物の消失時点から現時点までの経過時間(年数)の長さに依存して、埋土種子は、群落が存在した位置から離れて、より広く拡散したり、より深く埋設されると考えられる。
したがって、まず第1に、湖沼底泥中の埋土種子の分布状況を把握して、固有な沈水植物を復元するための種子としてその効率的な採取手法を開発する。
そして第2に、採取した埋土種子の発芽させ、復元用の再生株として大量培養する手法を開発する。
さらに第3に、大量培養した再生株を移植して、現地に沈水植物群落を復元するための手法を開発する。
より詳細に、採取手法は、3次元流動・種子拡散モデルの開発、複数地点での底泥柱状サンプル調査による地点特性別底泥性状の把握、採取地点の底泥に含まれる埋土種子の発芽実験および発芽した植物体の分析、この分析結果による埋土種子の採取地点の仮選定、この採取地点での底泥採取量と発芽種子量および種数との関係の把握、採取地点の確定、の各段階を順次、経て開発している。
すなわち、種子の拡散状況の再現、底泥の堆積傾向の定量化を行うために、現地の地形、水文、気象状況に基づき、湖底における風波による底泥擾乱や流速分布を定量的に評価できる3次元流動シミュレーション・モデルおよび種子拡散モデル(以降、流動モデルと称する)を作成する。この流動モデルは、実際の水域で測定や観測して所得した地形、水文、気象データに基づいて作成された数理的な仮想モデルであり、このモデルをコンピュータで用いて、環境条件などを反映した各種のパラメータを設定して、シミュレーション・プログラムを実行すれば、このシミュレーション結果として、所定の推定データまたは予測データを得ることができる。
したがって、この作成した流動モデルは、地点特性別底泥性状を把握するためのサンプル採取地点の選定に用いることができる。すなわち、たとえば底泥性状および底泥の堆積傾向の特徴が、明瞭に現れる地点を、あらかじめ予測して選定できる。さらに、この流動モデルは、種子拡散モデルとしても利用できる。すなわち、過去の沈水植物群落の分布から、種子や卵胞子がどのような場所で多く堆積する可能性が高いかを、推定できる。具体的には、流動モデルを用いたコンピュータ・シミュレーションで、過去に存在した沈水植物群落の場所から、その沈水植物の種子や卵胞子が、どのように拡散して、現在のどの場所に多く堆積しているかを推測できる。
なお、種子拡散モデルとして流動モデルに用いる種子の沈降速度パラメータは、実測値に基づき設定されている。すなわち、室内などで実物実験を行なって、あらかじめ種子の沈降特性を実測して得ている。
次に、底泥性状および底泥の堆積傾向を把握するため、地点特性別底泥性状を調査する。すなわち、この底泥性状および堆積傾向は、水深、湖岸からの距離などの地形的相違や、周辺河川の有無などの特性の違いに影響される。このため、この調査方法としては、現地の数箇所で底泥の柱状サンプルを取得して分析する手法が選択されている。また、これらの箇所は、流動モデルを用いて、沈水植物の種子や卵胞子の埋設箇所を勘案しながら、底泥性状および堆積傾向の把握に最適な箇所が選定されている。
具体的には、図2(a)に示すように、数箇所St1,St2で湖沼底泥の不攪乱柱状サンプルSa1,Sa2を採取し、これらの柱状サンプルSa1,Sa2を、図2(b)中の左図に示すように、該柱状サンプルSa1を底泥の深さ方向にスライスして分析する。すなわち、柱状サンプルSa1の長手方向において底泥の各層に対応した箇所を、平板状に切断し、これらの切断したサンプルSa11,Sa12,Sa13をそれぞれ分析する。なお、この分析としては、たとえば層毎に含水率、酸化還元電位、強熱減量などの指標を測定する。
また、分析残余のサンプルSa11〜Sa13は、発芽、培養試験用に提供する。また、この際、各層の底泥サンプルSa11〜Sa13は、一部保管し、発芽種子が多く含まれたサンプルSa12については、その年代測定を行い、埋土種子が堆積した過去の時代を解明することに用いられる。すなわち、年代ごとの埋土種子の分布状況を把握する。
なお、これらの各地点で採取した柱状サンプルSa1,Sa2の分析から得た諸特性の実測値は、流動モデルによるシミュレーション結果の精度を検証して、流動モデル自体を修正したり、各パラメータを補正したりするために用いる。
次に、埋土種子の発芽、培養実験を行なう。この発芽実験は、任意の環境条件が設定可能なインキュベータ(培養器)を用いて、このインキュベータ内において、採取された底泥を培地にし、およびこの培地に洗い出された埋土種子を設置し、各種の条件を設定して行われる。すなわち、図2(b)中の左図に示すように、ある採取地点で採取した泥土の柱状サンプルSa12を、その採取地点の各層ごとにスライスする。そして、図2(b)中の右図に示すように、この各層の泥土を培地にし、この培地およびその泥土から分離した埋土種子を容器に収容し、インキュベータで種々の環境条件を設定した発芽実験を行なう。
すなわち、埋土種子が底泥中に残存しているのにも拘わらず、現状の湖沼中で沈水植物として生育できないのは、埋土種子の休眠が解除されず発芽しないか、発芽しても生長できないか、のいずれかの理由によると考えられる。すなわち、後者の理由では、発芽条件が満たされて発芽した埋土種子は、その種子内の栄養によって、ある程度、栄養生長しても、日射不足のためそれ以上生長できず、結局、死滅すると考えられる。
したがって、この発芽実験では、現地での底泥の巻上げの影響による日射不足の阻害要因を除外できるが、温度、光、水分条件などのように、現地とは異なる諸条件の検討が必要となる。そこで、光、水分、水温、酸素濃度などの環境条件を変えて、発芽条件(あるいは休眠解除条件)を解明する。
また発芽した種子については、その増殖条件も解明する。特に、車軸藻は、その分岐藻体が底泥表面を覆って水中透明度の向上に有効なので、この車軸藻に着目して、発芽した植物体から種を同定する。
そして、ある条件下で発芽した植物種については、その分類学的研究を行って、種を同定し、またこの同定した種毎に適切な増殖条件を決定する。
上記の分析結果を総合して、発芽可能な埋土種子が多く含まれると考えられる箇所の平面的かつ深度方向の分布を解明できる。したがって、埋土種子状況を把握して、これに基づき、群落の復元に適した埋土種子が埋設されている地点を選定することができる。すなわち、保存状態が良好なつまり発芽可能な種子が多数存在するだけではなく、群落に遺伝的な多様性を確保できるように同一種でも互いに異なる系統に属した種子が、埋設されている地点を選定できる。
具体的には、底泥の性状や、埋土種子の保存状況の分布を、図示しないGIS(Geographic Information System:地理情報システム)を用いて整理する。一般的に、このGISは、地物の位置や形状(地図)と属性(表)とを関連付けて管理するシステムであり、空間的解析や、レイヤー(異なる地図)の重ね合わせ処理、属性(表)の検索・集計などの機能を備えており、これらの機能を組み合わせて、様々な解析・統計処理を可能としている。
このGISに、各地点から採取した底泥を分析して得られた性状データや、底泥中の埋土種子を発芽・培養試験して得られた該埋土種子に関するデータを入力する。そして、この整理した情報を基に、底泥中に残存する埋土種子を量的に把握するとともに、採取地点の選定などのように、多数種の埋土種子を効率的に採取する手法を、決定する。
このようにして、図2(c)に示すように、過去の沈水植物群落の分布から、現在の埋土種子の所在状況を推測するだけではなく、上記の各要因を勘案して、復元用に最適な埋土種子を、効率的に採取できる地点を選定する。
そして次に、底泥採取量と、発芽種子量および種数との関係を把握する。すなわち、上記のようにして判明した埋土種子の保存状態が良好な地点において、多数の底泥柱状サンプルを採取して、前記の関係を把握するために充分な量の底泥採取量を確保する。そして、この底泥を用いて、上記の発芽試験をし、前記の関係を定量的に求める。
したがって、選定地点での単位当たりの底泥採取量に対して、発芽種子量および種数が、所定に多いという結果が得られた場合には、仮に選定した採取地点を、本格的な採取地点として確定する。
次に、大量培養法を開発する。この大量培養法は、採取した埋土種子から再生株を得て大量培養する手法であり、流動モデルによる復元場所の選定と並行して、開発する。
すなわち、採取地点の底泥における特定層に含まれた埋土種子を所定に選別し、この選別した埋土種子から生長させた再生株の大量培養技術を、開発する。たとえば埋土種子を発芽させて生長させた再生株を、胚培養などの適宜の培養技術を適用して、図3に示すように、所定に生長した再生株a1…を、大量に培養する手法を開発する。
次に、再生産可能な移植・復元手法を開発する。すなわち、上記した埋土種子状況の把握、および効率的採取法の開発で得られた分布の結果から、分布場所毎に埋土種子を、発芽、増殖させる。同時に、埋土種子から得た植物体が、雌雄同体か異体かなどの繁殖様式を調べ、上記と合わせて、現地での再生産が可能なように移植・復元する手法を開発する。
また、実際かつ現状の湖沼つまり現地において、沈水植物群落を復元するためには、以下の2つの条件を満たす必要があると考えられる。すなわち、第1の条件は、現地の地形、水文、気象、水質状況を勘案して、沈水植物群落として定着が可能な場所を選定することであり、第2の条件は、該場所で再生産可能な、ある程度のサイズ以上の初期集団サイズを確保して沈水植物を導入することである。
そこで、沈水植物群を復元するために、実証実験を行なう。すなわち、図4(a)に示すように、流動モデルによるコンピュータ・シミュレーションで、埋土種子から培養して得た沈水植物Aの再生株a1が物理的に定着すると思われる場所を検討して選定し、この場所を実験区域P0に設定する。そして、この実際の湖沼における実験区域P0に、大量培養した再生株a1を導入することによって、あらかじめ予備的な現地植生再生試験を行う。
なお、この場合には、実験区域P0に浮葉植物Bが繁茂しているので、第1の実施形態と同様に浮葉植物Bを所定に間伐して、浮葉植物Bを所定に分布させて消波性と光透過性とを所定に確保した構成の濁度低下手段1を、実験区域P0に設けている。
また、この検証実験では、初期集団サイズによる定着度、および他生物との相互作用などについて評価する。すなわち、たとえば実験区域P0内の所定領域に、集団サイズの大きさを互いに異ならせた個体数の再生株a1を、それぞれ設置する。そして、この導入した初期集団サイズの大きさと、定着度との関連性を求めたり、導入した再生株a1から生長する沈水植物Aと既存の水中生物とが相互に及ぼしあう影響を観測したりする。
さらに、流動モデルによる種子の拡散予測をし、現地における導入実験の際には、導入した場所からの種子の拡散についても予測しておく。
したがって、この導入実験によって、現地に移植した再生株a1によって生成し定着させる植物集団として、その初期集団サイズの大きさが決定できる。
このように上記した各種の検討や、開発、実証実験が完了した場合には、現地に実用的な沈水植物群落AAの復元を開始する。すなわち、流動モデルにより、風波の程度が低く、かつ濁りを低減させる対策を行えば湖底まで日光が到達し、その底質が沈水植物の生育に適した、復元可能性の高い場所Pを選定する。そして、図5(a)に示すように、この実用に選定した所定箇所Pが、沈水植物群の消失に加え、浮葉植物が消失して、ほとんど裸地化している場合には、この浮葉植物の替わりに、図5(b)に示すように、無生物の手段からなる濁度低下手段11を設けている。この濁度低下手段11は、オイルフェンスのように、シート状部材12を垂らした浮体枠13を、所定に配置した構成とされ、この浮体枠13に囲まれたその内側での波の減衰を図るようにしている。
すなわち、浮体枠13は、いくつかの浮体13a,13aをその端部同士を接続して所定に組み合わせ、水面に浮かべて設置する構成とされ、任意の範囲を枠状に囲めるようしている。これらの浮体13a,13aは、所定長さの長尺形状に形成されて、発泡体や中空体を主体にした構成とされ、所定の浮力が確保されている。すなわち、各浮体13a,13aは、それぞれが水面に留まれる程度の浮力だけではなく、それぞれが吊下したシート状部材12に相当する分だけ、余分の浮力が確保されている。シート状部材12は、浮体13a,13aに吊下されて所定箇所に設置された場合に、その垂下方向の長さが、浮体枠13で囲んだ領域の外部から水中波の影響を減衰可能な長さ、およびその下端が着底できる長さが、確保されている。したがって、たとえば所定箇所Pにおける所定に区切った小区画の範囲を、シート状部材12を吊下した浮体枠13で囲むように設置すれば、この範囲内での風波の大きさを限定でき、また範囲外から伝達される波を減衰できる。
また、再生株a1は、図4(b)に示すように、所定の容器15に収容されて、この容器15に収容されたまま、所定箇所に運搬され、該箇所の水底に安置されている。
すなわち、埋土種子が発芽および発根して、所定に生長した再生株a1となってから、この再生株a1を、平皿状の所定容器15に移し替え、この再生株a1を収容した各容器15を、所定数、上記のようにして所定に選択した箇所Pの水底に、所定に配列して設置し、図4(c)に示すように、この設置した容器15に杭16を打ち込んで、該容器15を設置した箇所に固定している。
この容器15は、上方に開口した平皿状に形成され、安定して定置できる程度の底面積が確保され、かつ、その全体形状が、該所定箇所Pを流れる水流によって押し流されないように略扁平形状となっている。また、この容器15は、再生株a1の下部を支持する砂状培地を収容し、少なくとも、その底面は、多孔質に形成されている。すなわち、この容器15は、たとえば、その底面部分が、多硬質状となるように、所定に加工処理が施されて、改質されている。そして、この容器15には、再生株a1を、概略直立させた姿勢で保持する支持体として、砂状培地である砂礫が、所定深さを確保した分量収容され、この砂礫中に、再生株a1の根が埋設されている。したがって、容器15は、該底面から砂状培地が流出することを阻止するとともに、同底面の厚さ方向に再生株a1の根が通過して容器15外に伸長できるようにしている。他方、容器15はその底面を、多孔質状に形成しているので、所定径の短棒状に形成された杭16は、該底面を損傷することなく貫通して水底に貫入でき、これによって容器15を水底に固定できる。
なお、容器15は、その全体を単一の多孔質性材料で形成し、その全面が多孔質状となるようにしてよく、この構成の場合には、簡素な構成となり、低コスト化が図れるとともに、再生株a1から生長する根の伸張方向を底面だけに制約せずに済み、より再生株a1が生長しやすくなる。
したがって、再生株a1を設置する際には、再生株a1を収容した所定数の容器15を、所定箇所Pの水底に配列し、各容器15を杭16で固定して設置しているので、再生株a1の根を手作業で水底に埋設して設置するのに比べて、大幅に作業が容易になり、かつ再生株a1が損傷する機会を削減できる。このため、多数の再生株a1を、迅速かつ正確に設置できる。この結果、簡単かつ確実に初期集団サイズの大きさを確保して、順調な生長可能に再生株a1を移植できる。
このようにして、容器15に収容されて水底に設置された再生株a1は、透過光を受けて成体に向けて生長し、この生長に伴いその根が伸長し、この伸長した根が、多孔質性の容器15の底部を通過して、所定箇所Pの底泥中に進入し、再生株a1が該水底に活着する。すなわち、再生株a1は、所定箇所Pの底泥から養分を摂取し、所定に確保された透過光で光合成し生長活動する。この結果、この再生株a1から生長した沈水植物Aとして、該水底に定着して自生する。
したがって、沈水植物Aが順調に生長して、沈水植物群落AAの回復と水質の改善とが開始され、かつ、上記の第1の実施形態と同様に、正のフィードバック作用を得て、並列的に進行できる。特に、この際には、沈水植物Aに隣接して植生した浮葉植物を濁度低下手段1とした第1の実施形態に比べて、このような浮葉植物と混在することなく、沈水植物Aは単独で生長するので、より順調な生長が期待できる。この結果、図5(c)に示すように、湖沼に固有な沈水植物群落AAを復元でき、そして沈水植物帯を復活できる。
以上のように、この第2の実施形態の再生・復元方法によれば、第1の実施形態と同様な作用効果を得ることができ、沈水植物の復元と水質改善とを、同時に生起させて、並行的に進行させるとともに、水域に固有な沈水植物を群落として復元しかつこの群落が自発的に拡大発展することが期待できる。
特に、この第2の実施形態の再生・復元方法では、濁った状況の浅い湖沼において、比較的復元しやすい抽水植物や、大量に繁茂すると水面を覆って底層の嫌気化を招く可能性のある浮葉植物ではなく、成体としては一旦消失した沈水植物を復元させているので、この復元した沈水植物が、底泥の巻き上げを抑制するとともに、底生生物の生息環境を改善することができる。すなわち、少なくとも、底層の嫌気化や日射不足を解消できる。
さらに、現地での運用を念頭において、物理的な定着可能性を事前に検討することや、定着させるための具体的な現地実証試験をすること、を沈水植物群落を再生する一連の手順、つまり復元計画に含んでいるので、充分に実用的であり、高い実現性を得ることができる。
他方、ある栄養レベルの魚類を除去して生態系構造を変化させるバイオマニピュレーションなどのように、生態系に直接かつ強圧的に働きかけて水質を含む湖沼環境の改善をねらう従来の方法に対して、この再生・復元方法は、謂わば、ソフトな生態系利用による環境保全であると言えるとともに、絶滅が危惧される湖沼に固有な沈水植物を再生・復元し、これと同時進行的に水質改善を目指しているので、該水域の生態系に余計な負荷を与えずに済む。すなわち、沈水植物の生長に伴い水質が改善するので、生態系構造を急激に変化させたり、断絶させたりすることなく、汚濁前の水質環境に向けて、継続的かつ連続的に変化させることができる。
すなわち、上記した正のフィードバック・ループ・サイクルを継続できるだけではなく、このサイクルを推進して、正のフィードバック方向への変化を、加速させることができる。また、復元した沈水植物が水質改善に適した種であれば、すなわち特に車軸藻類を復元できれば、この車軸藻類は、その細かな分枝が底泥を覆うので、これらが充分に生長して繁茂している場合には、底泥の巻き上げを、充分かつ確実に抑制する効果が得られることになる。
したがって、水質を改善するとともに、湖沼の生物多様性を保全することに寄与することが期待できる。このように、水生生物と呼ばれる多くの生物種の生息域としての沈水植物群落を再生して自己完結的かつ持続的に保全することができ、水生植物以外の該湖沼に固有な水生生物を含めた生態系の再現が可能となる。すなわち、該湖沼に固有な水生生物に適した生息環境を整えられるので、単なる水中生物の回帰ではなく、該湖沼に固有な水生生物を優先的に生息させることができる。なお、この固有な水生生物としては、捕食、退避などで一時的に水際域を利用する生物を含めることとする。
このように、その湖沼特有の水生植物群落を復元できれば、この湖沼の水域をその一部として含んだ地域全体の生態系や、社会的な文化の再生に、より貢献することが期待できる。
次に、この発明の第3の実施形態を説明する。なお、上記した第2の実施形態と同一の構成の部材には、同一の符号を付して、説明を省略または簡略化することにする。すなわち、上記の第2の実施形態と異なる部分を中心に説明し、この第3の実施形態では説明しない構成や、上記の作業手順などの方法、およびこれらにより得られる作用は、上記の第2の実施形態と同一とする。
この第3の実施形態では、図6(a)に示すように、上記の復元用に選定した所定箇所が、沈水植物群および浮葉植物群が消失して、ほとんど裸地化している場合には、この裸地化した所定箇所Pの水底を直接覆った無生物の手段からなる濁度低下手段21を設け、底泥の巻き上げ抑制している。すなわち、この第3の実施形態では、濁度低下手段21としての生分解プラスティックでつくった繊維からなるマット22を、所定箇所に杭23で打ち込み、底泥巻き上げを押さえるようにしている。
このマット22は、植物由来の生分解プラスティックなどのように生分解性を有した材料を用いて細い繊維を作成し、この繊維を、スチールウールと同様に、繊維間の隙間を多く確保しながら、互いにからめて所定厚さに形成した面状部材とされている。したがって、このマット22は、その繊維間の隙間を所定に確保して、所定の厚さに形成しているので、柔軟に変形が可能となり、マット22が設置される水底の形状に応じて変形でき、その水底面を確実にカバーできる。このため、水中擾乱の影響を水底に伝達させずに済む。他方、少なくとも、マット22上に位置した植物体から根を、その生長に伴い、マット22の厚さ方向に貫通させて、水底に到達させることができる。また、このマット22は、その材質が所定に選択され、またはその繊維径や厚さなどが、所定寸法に確保されており、少なくとも、該マット22を水中設置してから自然にその分解が完了するまでに要する時間が、同時的に設置した再生株a1が底泥の巻き上げ現象を所定に抑制できる程度の植物体に成長するための時間よりも、長くなるように設定されている。
そして、図6(b)に示すように、上記の選定した箇所Pは、該箇所Pの水底面が、マット22で覆われており、このマット22の所定箇所をそれぞれ貫通して、杭23が、水底にまで打ち込まれている。このため、これらの杭23によって、風波による水中の擾乱に拘わらず、その設置した水底から移動しないように、かつ、該水底を覆うように、マット22が固定される。
したがって、風波による水中擾乱の影響は、その大部分がマット22で遮断されたり緩和されたりして、実質的に水底に到達させずに済む。このため、マット22で覆った水底からの底泥の巻き上げが抑制される。このため、該水底における底泥の巻き上げによる濁度の上昇が抑制される。この結果、該水底には、沈水植物の育成を可能とする程度の透過光量が確保される。
そして、このように透過光量が確保される水底には、ほぼ同時的に、上記の第2の実施形態と同様にして、沈水植物の再生株a1が、所定数の単位で移植され、図6(c)に示すように、再生株a1が該水底で生長して、固有の沈水植物Aが沈水植物群落AAとして復元され、上記した正のフィードバック作用を得た水質浄化が並行的に進行する。
すなわち、上記の容器15に収容されて水底に設置された再生株a1は、透過光を受けて生体に向けて生長し、この生長に伴いその根が、容器15の底部およびこの底部に接したマット22を貫通して、水底の底泥中に進入し、沈水植物として、水底に活着する。
他方、マット22は、自然に生分解されるが、少なくとも、再生株a1が活着して生長するまでは残存し、底泥の巻き上げをある程度抑制できる沈水植物群落となってから、完全に分解され消失する。したがって、マット22を除去する作業を不要にでき、省力化が図れる。特に、除去し忘れなどの人為的なミスが生じることを未然に回避でき、設置後の管理を簡素化できる。このように、自然分解されて人工物を残存させずに済むので、再生・復元した沈水植物群落の生息環境として好ましいものとなる。
以上のように、この第3の実施形態の再生・復元方法によれば、上記の第2の実施形態による作用効果が得られるのに加えて、この濁度低下手段としてマットを、選定した箇所の水底を覆うように設置して、該水底からの底泥の巻き上げを抑制したので、このマットが、同箇所の水面および水中の妨害物となることを回避できる。このため、移植した沈水植物の観測などのように、同箇所の水面での諸活動や水上交通を阻害せずに済む。
また、このようにマットは、水底に該水底を覆うように設置されているので、水流抵抗を受けにくいので、ある程度の速度の水流が存在した箇所に設置できる。たとえば、マットを、湖沼の流入または流出河口付近などのように、風波による水中擾乱以外に、常時、水流が存在した箇所に安定して設置できる。したがって、水域内における設置箇所の選択幅が広がる。このため、この再生・復元方法の適用範囲を拡大できる。
他方、生分解性材料を用いて、所定に自然分解に要する時間が設定されたマットを用いているので、少なくとも、沈水植物群落を復元した後のマット除去作業が不要となり、省力化が図れ、群落復元用に掛かる費用を削減できる。また、人工物としてのマットを、その一部でも残存させることなく、完全に排除できるので、生態系に影響を与えずに済む。
なお、衰退した沈水植物群落を再生するために、または、消失した沈水植物群落を復元するために、上記した第1ないし第3の実施形態でそれぞれ説明した濁度低下手段のうちのいずれかを適宜選択して、または適宜組み合わせて用いてもよい。すなわち、上記した各実施形態の濁度低下手段は、互いに排除しあうものではないので、実際の現地状況に応じて、適宜、いくつかの濁度低下手段を組み合わせてよく、より濁度を低下させる作用を増強してもよい。また、たとえば、所定箇所に、小規模な浮葉植物群落が密生している場合には、つまり沈水植物群落を再生・回復させる予定領域の一部を、浮葉植物群落が占有している場合には、この浮葉植物群落を除去することなく所定に分布させて、予定領域の一部を担当する濁度低下手段としたうえ、予定領域の他の部分を担当するために、上記の第2,第3の実施形態の濁度低下手段を設けてもよい。また、浅い湖沼とは、その水域の全域が浅い水深を有した湖沼だけではなく、水質汚濁に影響を与える程度の面積の浅水域を有していれば、その一部に深い水域を有した湖沼を含むものとする。
さらに、上記した各実施形態では、内陸部の浅い湖沼に適用した例を説明したが、これに限られることなく、浅い水深であれば、海水が混合する汽水域や、狭い湾口を有した湾内の内奥部などの海水域を含むものとし、これらに応じて、各域の衰退または消失した群落を再生または回復対象とする。
この発明の再生・復元方法を適用した例としての第1の実施形態を示し、(a)は、所定箇所に浮葉植物が繁茂している状態を示す概略図、(b)は、繁茂していた浮葉植物を濁度低下手段として所定に分布させた状態を示す概略図、(c)は、沈水植物が定着して自生した状態を示す概略図、(d)は、沈水植物群落が再生した状態を示す概略図である。 この発明の再生・復元方法の適用例としての第2の実施形態を示し、いくつかの箇所で底泥の柱状サンプル採取を示す概略図である。 この第2の実施形態を示し、採取した柱状サンプルの分析資料化および発芽試験を示す概略図である。 第2の実施形態を示し、埋土種子の採取地点を選定する概要を示す概略図である。 第2の実施形態を示し、再生株の大量培養の概要を示した概略図である。 第2の実施形態を示し、現地の湖沼に設定した実験区域を示す概略図である。 第2の実施形態を示し、再生株を収容した容器を示す概略断面図である。 第2の実施形態を示し、再生株を収容した容器を、水底に固定設置した状態を示す概略断面図である。 この第2の実施形態を示し、(a)は、所定箇所が裸地化している状態を示す概略図、(b)は、濁度低下手段を設置した状態を示す概略図、(c)は、沈水植物群落が復元した状態を示す概略図である。 この発明の再生・復元方法の適用例としての第3の実施形態を示し、(a)は、所定箇所が裸地化している状態を示す概略図、(b)は、濁度低下手段を設置した状態を示す概略図、(c)は、沈水植物群落が復元した状態を示す概略図である。
符号の説明
1,11,21 濁度低下手段 5 再侵入防止手段
6 シート(隔離部材) 7 浮体
12 シート(シート状部材) 13 浮体枠
13a 浮体 15 容器
16 杭(容器固定用) 22 マット
23 杭(マット固定用)
A 沈水植物 a1 再生株
AA 沈水植物群落 B 浮葉植物
P 沈水植物群落の再生・復元用箇所
Sa1,Sa2 湖沼底泥の不攪乱柱状サンプル
St1,St2 底泥の柱状サンプルを採取した箇所

Claims (10)

  1. 外部から流入した汚濁物質のため、水域の水質汚濁が進展して、少なくとも、該水域に固有な沈水植物群落が衰退または消失し、前記汚濁物質の流入が減少しても、汚濁状態が解消されない浅い湖沼において、
    前記水域の水底に透過光を到達させる濁度低下手段を形成し、前記沈水植物群落が衰退または消失した水域に、前記固有な沈水植物群落を再生または復元させるとともに、該水域の水質を改善することを特徴とする浅い湖沼における沈水植物の再生・復元方法。
  2. 前記濁度低下手段は、浮葉植物を所定に分布させて形成することを特徴とする請求項1に記載の浅い湖沼における沈水植物の再生・復元方法。
  3. 前記濁度低下手段は、前記水底を、マットで覆って形成することを特徴とする請求項1に記載の浅い湖沼水域における沈水植物の再生・復元方法。
  4. 前記濁度低下手段は、前記水底の周囲を、シート状部材を垂下した浮体枠で囲んで形成することを特徴とする請求項1に記載の浅い湖沼における沈水植物の再生・復元方法。
  5. 前記沈水植物を再生または復元させる箇所に、少なくとも、既存の浮葉植物が進入することを防止する隔離部材を設けたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の浅い湖沼における沈水植物の再生・復元方法。
  6. 外部から流入した汚濁物質のため、水域の水質汚濁が進展して、少なくとも、該水域に固有な沈水植物群落が消失し、前記汚濁物質の流入が減少しても、汚濁状態が解消されない浅い湖沼において、
    前記水域内に埋設された前記沈水植物の埋土種子を採取し、この採取した埋土種子によって、該水域に固有な沈水植物群落を復元させるとともに、該水域の水質を改善することを特徴とする浅い湖沼における沈水植物の再生・復元方法。
  7. 前記採取した埋土種子を発芽させて、所定に生長させた再生株を大量培養し、
    この再生株の生長に適した箇所を、前記水域から選定し、
    この選定した箇所の水底に透過光を到達させる濁度低下手段を設け、
    この透過光を確保した水底に、所定数の再生株を移植して定着させ、沈水植物群落として生長させることを特徴とする請求項6に記載の浅い湖沼における沈水植物の再生・復元方法。
  8. 前記埋土種子の採取地点は、前記水域の流動モデルを作成し、この流動モデルを用いて、選定することを特徴とする請求項6または7に記載の浅い湖沼における沈水植物の再生・復元方法。
  9. 前記箇所は、前記水域の流動モデルを作成し、この作成した流動モデルを用いて、選定することを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載の浅い湖沼における沈水植物の再生・復元方法。
  10. 前記再生株は、所定容器に収容して、前記水底に設置しており、前記容器は、少なくとも、その底面が多孔質に形成されていることを特徴とする請求項6ないし9のいずれかに記載の浅い湖沼における沈水植物の再生・復元方法。
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