JP2007004001A - オペレータ応対能力診断装置、オペレータ応対能力診断プログラム、プログラム格納媒体 - Google Patents

オペレータ応対能力診断装置、オペレータ応対能力診断プログラム、プログラム格納媒体 Download PDF

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創 鈴木
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Abstract

【課題】感情解析技術を応用しつつオペレータの顧客応対能力を客観的、かつ正確に評価できるオペレータ応対能力診断装置を提供する。
【解決手段】 オペレータが使用する電話機における通話の開始から終了までの通話期間中に、当該電話機への受話音声をデジタル形式の録音データとして記憶する受話音声録音手段と、前記録音データを感情解析技術により処理して所定の感情を抽出するともに、当該抽出した感情の度合いを通話期間中に随時数値出力する感情解析手段と、前記感情解析手段が出力する通話期間における感情の度合いの時間変動パターンに基づいてオペレータの応対能力を段階的に評価し、その評価結果を適宜に出力するオペレータ評価手段と、を備えたコールセンターにおけるオペレータ応対能力診断装置としている。
【選択図】 図1

Description

この発明は、コールセンターにおけるオペレータの顧客応対能力を診断するための装置に関し、具体的には、オペレータと電話で会話する顧客の音声に感情解析技術を適用してオペレータの顧客応対能力を評価するオペレータ応対能力診断装置に関する。
コールセンターのオペレータは、顧客と電話で会話しながら、顧客の意見やクレーム聴き、適切に回答する。しかし、オペレータに要求される最も重要な事項は、顧客との信頼関係を築くことにある。オペレータが顧客との信頼関係を構築するためには、適切な言葉遣いをすることはもちろん、顧客の感情をよく理解し、最終的には満足感や安心感という感情へと導くことが必要である。そしてオペレータとしての応対能力は、この顧客の感情を制御する技術にあると言ってもよい。
ところで、話者の感情を機械抽出する感情解析技術は、例えば、以下の特許文献1に記載されている。そして感情解析は、コールセンターにおける顧客とオペレータとの通話音声を解析し、顧客の感情などを素早く察知して適切な対応を行う、という用途などに適応可能であるとしている。
特表2003−508805号公報
コールセンターのオペレータの顧客対応能力を評価する場合、企業のコールセンター業務における責任者など、オペレータ教育や顧客対応技能に秀でた専門家が、オペレータとの面接や実際のオペレータ業務(顧客との通話状況)を観察して「主観的」に評価しているのが現状である。
もちろん、上記感情解析技術により顧客の感情を抽出し、顧客が怒っているのか、困惑しているのか、それとも満足しているのか、安心しているのか、などを特定することは可能である。しかし、オペレータの顧客応対能力は、上述したように、顧客の感情を制御することにあり、単純に顧客の感情を機械抽出したとしてもオペレータの能力を正確に評価することは難しい。
したがって、本発明の目的は、感情解析技術を応用しつつオペレータの顧客応対能力を客観的、かつ正確に評価できるオペレータ応対能力診断装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するための本発明は、コールセンターにおいて、顧客と電話で応対するオペレータの能力を診断するための装置であって、
オペレータが使用する電話機における通話の開始から終了までの通話期間中に、当該電話機への受話音声をデジタル形式の録音データとして記憶する受話音声録音手段と、
前記録音データを感情解析技術により処理して所定の感情を抽出するともに、当該抽出した感情の度合いを通話期間中に随時数値出力する感情解析手段と、
前記感情解析手段が出力する通話期間における感情の度合いの時間変動パターンに基づいてオペレータの応対能力を段階的に評価し、その評価結果を適宜に出力するオペレータ評価手段と、
を備えたコールセンターにおけるオペレータ応対能力診断装置としている。
また、オペレータ評価手段は、通話開始時点から所定時間経過時点までの所定の感情についての度合いと、当該経過時点以降の所定の感情の度合いとの相関関係に基づいてオペレータの応対能力を評価するコールセンターにおけるオペレータ応対能力診断装置としてもよい。
上記オペレータ応対能力診断装置において、感情解析手段は、所定の感情として、怒りまたは困惑を抽出することとしてもよい、あるいは、感情解析手段は、所定の感情として、怒りと困惑とを抽出し、オペレータ評価手段は、怒りの度合いと困惑の度合いのそれぞれの時間変動パターンに基づいて怒りの困惑のそれぞれの感情に関してオペレータの応対能力を評価するとともに、それぞれの感情に関する応対能力の評価を総合して評価結果を求めることとしてもよい。
また、上記に記載したいずれかのオペレータ応対能力診断装置は、通話期間中におけるオペレータの送話音声をデジタル形式の送話録音データとして記憶する送話音声録音手段と、オペレータ評価手段が出力する評価結果と当該評価結果の起源となった通話における送話録音データとを対応付けして記憶する診断結果記憶手段とを備えていてもよい。
本発明は、コンピュータコンピュータプログラムにも及んでおり、当該プログラムは、コールセンターのオペレータが使用する電話機からの受話音声を入力するコンピュータにインストールされ、このコンピュータに、
前記電話機における通話の開始から終了までの通話期間中に、当該電話機への受話音声をデジタル形式の録音データとして記憶する受話音声録音ステップと、
前記録音データを感情解析技術により処理して所定の感情を抽出するともに、当該抽出した感情の度合いを通話期間中に随時数値出力する感情解析ステップと、
前記感情解析手段が出力する通話期間における感情の度合いの時間変動パターンに基づいてオペレータの応対能力を段階的に評価し、その評価結果を適宜に出力するオペレータ評価ステップと、
を実行させることとした。なお、当該オペレータ応対能力診断プログラムを記録したプログラム格納媒体も本発明の範囲とした。
本発明のオペレータ応対能力診断装置によれば、コールセンターにおいて、顧客と電話で応対するオペレータの能力を客観的、かつ正確に診断することができる。
===オペレータ応対能力診断装置の構成===
本発明のオペレータ応対能力診断装置(以下、診断装置)は、例えば、オーディオカードが実装されたパーソナルコンピュータをハードウエアとし、そのコンピュータに感情解析技術を適用して所定の感情を抽出・評価するための専用アプリケーションプログラム(以下、診断プログラム)をインストール・実行することで実現される。
図1に本発明の本実施例における診断装置1の機能ブロック構成を示した。診断装置1は、コールセンターにおける複数のオペレータのそれぞれが使用する電話機50への受話音声を個別に処理し、その受話音声から顧客の所定の感情を定量的に抽出・取得するとともに、その感情の度合い(感情度)の時間的な推移に基づいてオペレータが顧客の感情を制御しているかどうかを判断し、その判断結果に基づいてオペレタータの顧客応対能力を診断する。なお、本実施例では所定の感情として「怒り」と「困惑」を抽出・取得する。
診断装置1は、各オペレータと、各オペレータが使用するそれぞれの電話機50との対応関係21を外部記憶20に記憶・管理している。この対応関係は、例えば、テーブルによってコールセンター要員(オペレータ,支援者)を識別符号や氏名によって識別するとともに、これらコールセンター要員のそれぞれに使用する電話機50の内線番号を対応付けするなどして管理すればよい。そして診断装置1は、周知のテレフォニーAPIなど、コンピュータによって構内交換機(PBX)40を制御するために、PBXと通信して外線と内線との回線接続状態などを監視したり、PBX40を制御したりするBPX通信制御機能2を備えている。なお、PBX40と診断装置1との物理的なインタフェースは、RS232Cなどが採用できる。診断装置1は、コールセンターにおける各オペレータの電話機50への受話音声6を入力・処理するともに、処理対象の受話音声6や処理後の各種データと、その処理起源となったオペレータとを関連づけして外部記憶20に診断結果ファイル24として記憶・管理する。
PBX通信制御部2は、PBX40と通信して回線接続状態を監視し、PBX40がコールセンターに着信した外線を内線に接続すると、オーディオ信号処理部3に、PBX40から各オペレータの電話機50へ接続する経路7上から受話音声6を入力させ、その受話音声信号をA/D変換してデジタル音声データを出力させる。なお、オーディオ信号処理部3は、診断装置1に実装されたサウンドカードに相当し、本実施例では、オペレータの電話機への受話信号を、サンプリング周波数8kHz、量子化数16bit、1チャンネル(モノラル)でサンプリングしたデジタル音声データに変換している。
録音ファイル作成部4は、ある内線にて外線との通話が開始されると、外部記憶20に記憶領域を確保し、その領域に通話の受話音声6を起源とするデジタル音声データを記憶していく。そして、通話の終了をPBX通信制御部2を介して認知すると、それまで記憶したデジタル音声データに内線番号などオペレータの識別子を対応付けし、所定形式のファイル22にして外部記憶20に格納する。本実施例では、通話開始時時刻と内線番号を数列によって記述したファイル名のWAV形式ファイル(録音ファイル)22に作成して記憶することで、デジタル音声データとオペレータとその通話のログとを対応付けしている。もちろん、ファイル内容にオペレータや通話ログを記述することもできる。
音声分析部10は、デジタル音声データを処理する専用のソフトウエアの実行により実現される。音声分析部10は、適時に録音ファイル22を処理し、そのファイル22におけるデジタル音声データから基本周波数(ピッチ)、音圧レベルなどの音の特徴情報を抽出するとともに、その特徴情報と特徴情報に基づいて求められる各種音声や会話に関する特徴(発話の間(ま)の持続時間、間の時間割合など)を音声分析パラメータとして抽出・取得する機能31と、その音声分析パラメータに基づいて、顧客の「怒り」と「困惑」を抽出する機能32と、それらの感情の度合い(感情度)を判定する機能33とを含んでいる。
なお本実施例では、各音声分析パラメータのそれぞれについての重み付けや限定条件などを初期設定パラメータとし、診断装置1は、その初期設定パラメータが、ユーザインタフェース40におけるキーボードやマウスなどの操作入力部41を介して入力されると、そのパラメータを所定形式のファイル(初期設定ファイル)23にしてコンピュータの外部記憶20に記憶する。そして音声分析部10は、特定の音声分析パラメータや感情、および感情度を対応する初期設定パラメータに基づいて抽出・取得する
診断結果ファイル作成部5は、1通話分の録音ファイルについて、音声分析部10からの感情度の判定結果を通話期間における時系列に対応付けして処理し、判定結果の時間推移に基づいてオペレータの顧客応対能力を評価し、その評価結果を該当のオペレータに対応付けして所定形式のファイル(診断結果ファイル)24に作成する。そして、その診断結果ファイル24を外部記憶20に記憶する。診断結果ファイル24は、最終的にユーザインタフェース40の出力装置(表示装置、印刷装置など)42に表示や印刷により出力され、オペレータの顧客応対能力を評価するための資料として活用される。
===応対能力診断方法===
本実施例において、診断装置1は、コールセンターに電話を掛けてきた顧客の通話音声を感情解析処理することで、その顧客に応対したオペレータの能力を評価・診断する。本発明は、感情解析処理により得た感情度の処理方法を工夫することで、オペレータの顧客応対能力を的確に診断している。
診断装置1は、所定の判定時間毎(例えば、10秒など)に顧客の感情度を随時出力し、感情度を通話の開始から終了までの時系列に対応付けする。具体的には、診断装置1は、怒りおよび困惑のそれぞれについての感情度を、平常:1から激怒、および平常:1から非常に困惑5まで、5段階で数値出力し、各感情の感情度を通話開始からの経過時間に対応付けする。そして、たとえば、全体の通話時間を1とした場合、通話開始から1/3までを前半、後の2/3を後半などとし、通話時間の時系列を前半と後半に2分割する。そして、前半における感情度の平均値(前半感情度)と、後半の平均値(後半感情度)とを比較し、その比較結果に応じてオペレータの応対能力を評価する。
図2(A)(B)にオペレータの評価/診断方法の概念を示した。通話期間中における感情度の時間遷移(A)に基づいて前半感情度aと後半感情度bを算出し、その前半感情度aと後半感情度bの相関関係に応じてオペレータの応対能力を最低の1点から最高の10点までの10段階の評価点を出力する(B)。前半感情度より後半感情度が低いときに顧客の感情を上手く制御していると判断される。また、前半と後半の感情に大きな変化が見られない場合には、前半感情度が低いほど高い評価点となる。すなわち、顧客の感情を終始安定させてとして判断される。当然のことながら、初期感情度より後半感情度の方が高ければ、顧客を怒らせたり困惑させたりしたことになり、低い評価点となる。本実施例では、前半感情度aと後半感情度bの数値範囲と評価点との対応表が外部記憶20にあり、診断ファイル作成部5は、このテーブルに基づいて評価点を求めている。また、怒りと困惑のそれぞれの評価点の合計点をオペレータの応対能力を示す最終的な診断結果としている。なお、ここに示した評価方法は一例であり、前半および後半感情度の数値範囲をより細かく区分してもよい。また、通話時間を3以上のさらに細かい時間毎に区切って、各区間の感情度の相関関係や推移に応じて診断しもよい。いずれにしても、通話中における感情度の変化に基づいてオペレータの応対能力を評価・診断できればよい。また診断装置は、通話期間が所定時間以上である場合についてのみ診断結果ファイルを出力するようにしてもよい。そして、前半感情度aと後半感情度bの数値範囲と評価点との対応かんけいなどの診断基準、通話期間の区切り方、診断対象となる最低通話時間などをユーザ入力により設定可能としてもよい。
===感情の定量評価について===
本実施例において、発話している人の感情を機械抽出するのに当たり、怒りや困惑状態にある人の音声の特徴を特定し、診断装置の音声分析部は、その特徴に基づいて感情の度合いを定量評価している。人が怒りや困惑を感じているか否かは、音響出力された人の発話状態を学識経験者や専門家が試聴することで判断することができる。しかし、その判断結果を実際に数値として出力しない限り、オペレータの感情の程度を客観的に把握することができない。
周知のごとく、入力した音声信号から音の特徴情報を抽出し、例えば、基本周波数(ピッチ)や音圧レベルの時間遷移、音声信号をフーリエ変換して得られる単位時間当たりの周波数分析結果(特徴パラメータ)などをグラフにして、発話状態を可視化するための音声分析装置がある(例えば、Kay Elemetrics Corp.製、CSL Computerized Speech Lab Model 4500など)。そして本発明者らは、コールセンターのオペレータが顧客と電話で会話したときの発話音声を音響出力しながら、音声分析装置による音の特性に関するグラフを表示し、学識経験者や専門家がこれらの情報について検討し、所定の感情と所定の特徴情報の時間変位状態との相関関係を求め、感情や発話の適正さを定量化した。本発明の診断装置は、上記方法により知見した相関関係に基づいて発話音声に含まれる怒りと困惑を数値化して出力している。なお、怒りや困惑の抽出方法、怒りや困惑を特徴づける発声状態は、本実施例に限るものではない。感情解析技術に基づいて怒りや困惑状態を定量評価できればよい。もちろん、抽出する感情も、怒りと困惑のどちらか一方であってもよい。
===音声分析パラメータ===
本実施例において、診断装置1は、怒りや困惑に限らず種々の感情や発話状態を抽出する汎用的な音声分析プログラムを実装している。そして、そのプログラムの実行により実現される音声分析部10は、サンプリング周期毎に採取されるデジタル音声データの時間変位から各種音声分析パラメータを抽出する。本実施例では、デジタル音声データの時系列をサンプリング周期より充分に長い期間(例えば、数秒間)を測定期間として区切り、各測定期間におけるデジタル音声データの時系列から、ピッチA、音圧レベルB、発話持続時間C、間の持続時間D、間の全体割合E、特徴パラメータF、発話速度Gを音声分析パラメータとして取得する。図3に測定期間の概念を示した。ある測定期間の終了時点と次の測定期間の開始時点とを時系列上で重複させることで、判定を均一化させている。また本実施例では、発話を開始した当初は、話者の感情が安定していると見なし、デジタル音声データにおける上記時系列において、最初あるいは初期の所定の測定期間、あるいは初期の所定回数分の測定期間に相当分を基準音声としている。そして、基準音声から取得される上記各分析パラメータの値を基準値として採用している。したがって、本実施例では、正確には、通話時間における基準値を求めるための時間経過後から通話終了までの時間を前半と後半に分けていることになる。ここで、各音声分析パラメータについて説明する。
<ピッチ(A)>
音声の基本周波数(Hz)で、声の第1 倍音である。基準音声の平均ピッチをASとする。測定期間あるいは所定の期間におけるピッチの平均値(平均ピッチ)をAとする
<音圧レベル(B)>
基準音声の平均音圧レベル(基準音圧レベル)をBSとする。単位はdB(デシベル)であり、基準となる音圧を20μPaとし、音圧レベル値は、基準音圧レベルBSに対する倍数で示される。測定期間あるいは所定の期間における音圧レベルの平均値(平均音圧レベル)をBとする
<持続時間(C)>
一連の発話が続いている時間、音声群の持続時間を音圧の閾値より算出する。デジタル音声データから抽出される音圧レベルの時間変位より求める。単語、音節、文章のそれぞれの会話終了後、所定時間(例えば、0.3 秒間)閾値以下の音圧レベルであれば、無音と判断する。なお、音圧レベルの閾値はユーザ入力により設定可能となっている。
<間の持続時間(D)>
会話において発話していない時間。すなわち、音圧レベルが上記ユーザ入力された音圧レベルの閾値以下で上記所定時間以上継続した状態を「間(ま)」とし、その間の持続時間を求める。
<間の全体割合(E) >
間の割合基準値をESとする。会話の持続時間(C)と間の持続時間(D)から間の全体割合をE=D/(C+D)により算出する。
<特徴パラメータ(F)>
単位時間あたりの周波数を分析したものであり、話者のデジタル音声データをフーリエ変換することにより算出する。なお、特徴パラメータ基準値をFSとする。周知の通り、人間の声に含まれる周波数は、60Hz〜1 万数千Hz まで広がっている。また、人の声の周波数を分析することで、話者の性別、年齢、身長、職業意識、体調等を読みとることができる。コールセンターのオペレータの適正を判断する際には、周波数分析を利用することにより、「通る声」かどうかを判定することが可能となる。「通る声」は、腹式発声ができていることが前提となり、腹式発声ができていると、声の周波数は2500Hz〜3000Hz周辺に集まってくる。なお、本実施例では、サンプリング周波数が8kHzであることから、分析可能な周波数の上限は4000Hzとなる。
<発話速度(G)>
単位時間あたりの単語の要素数。発話速度基準値をGSとする。発話速度は、音圧レベルが上記音圧レベルの閾値以下になった時点を境界とし、次の境界までを「発語の要素」と定義する。そして、単位時間当たりの発語の要素の数を発話速度としている。
===怒りの定量化===
本発明の診断装置は、コールセンターに電話を掛けてきた顧客の音声から怒りと困惑という感情を定量解析し、その解析結果に基づいてオペレータの顧客応対能力を診断している。図4と図5に本実施例における怒りの抽出原理を示した。図4は、発話時のピッチを示すグラフ60であり、通常(初期)状態におけるピッチの時間変動61と、怒りの感情が表れていると専門家が判断したときのピッチの時間変動62とが示されている。図5は発話時の音圧レベルの変動を示すグラフ70であり、通常時の音圧レベル71と怒りの感情が表れているときの音圧レベル72の時間変動が示されている。
図4において、「怒り」の感情が表れているとき62は、通常状態61と比較して音声の基本ピッチの上昇が見られる。通常時のピッチが50〜150Hz程度であるのに対し、怒っているときのピッチは、その2倍近い300Hz付近まで上昇する。ピッチの変化量も大きい。また図5より、怒っているとき72は、音圧が上昇し、話速も上がることがわかる。「怒り」は「通常」と比べ平均で20db、エネルギーにして100倍程度の差が現れる。このような音声の特徴をとらえ「怒り」の度合いを定量的に評価する。
図6に、本実施例における、怒りを評価するために使用する各音声分析パラメータの値と点数との対応関係と、合計点数と怒り度との対応関係とを示した。音声分析部10は、測定期間におけるピッチA、音圧レベルB、発話速度Eの各音声分析パラメータの値の範囲に応じて所定の点数(point)を付与するとともに、各音声分析パラメータに対する点数の合計値を算出する。そして、合計点の範囲に応じて怒りの感情度を5段階で評価する。なお診断装置1は、各音声分析パラメータの値とポイントとの対応関係や合計点と評価点との対応関係を上述の初期設定パラメータとしてユーザ入力により受け付け、その初期設定パラメータを外部記憶に記憶する。
===困惑の定量化===
診断装置1は、上記怒りに加え、困惑という感情も定量解析している。図7に本実施例における困惑の抽出原理を示した。図7は、発話時の音圧レベルの変動を示すグラフ80であり、通常(初期)状態における音圧レベルの変動81と、困惑状態であると専門家が判断したときの音圧レベルの変動82とが示されている。「困惑状態」は「通常状態」と比べ、音圧レベルが1/9 程度に下がっている。また、発話速度が低下し、間の割合が増加していることがこのグラフから見て取れる。診断装置は、これらの変化を定量解析して困惑の度合いを数値出力する。
本実施例では、測定期間における音圧レベルB、発話速度E、間の全体割合Gの各音声分析パラメータの値について、その値の範囲に応じて所定の点数を付与する。そして、各音声分析パラメータについて付与された点数の合計点に応じた評価結果を出力する。図8に、本実施例における、上記各音声分析パラメータの値と点数との対応関係と、合計点数と困惑度との対応関係とを示した。
===初期設定パラメータの定義===
診断装置1は、音声分析パラメータを抽出する際の各種設定事項や怒りや困惑の感情度算出基準を初期設定パラメータとして自身の操作入力装置32などを介して受け付ける。図9〜図11にこの設定に関わるGUI環境の概略を示した。図9は、デジタル音声データから特徴情報を抽出するなど基本的な初期設定パラメータを入力するための画面である。この画面90には、ピッチを抽出する際に必要な各種設定パラメータを入力するための複数のテキストボックス群91や、その他の設定パラメータを入力欄するためのテキストボックス群92などが配設されている。この例では、ピッチを抽出するために、サンプリング周波数、窓関数の指定やその窓関数に適用するフレーム長、フレーム周期などを設定する。また、その他の設定パラメータとして、発話速度を測定する際に無音と判断すべき音圧レベルの閾値、間を検出する際に無音と判断すべき音圧レベルの閾値、間として判断するための閾値の継続期間の閾値、測定期間(ピリオド)の長さや、ピリオドにおける重複期間、あるいは、特徴パラメータを算出する際のフーリエ変換(FFT)のフレーム長などの指定入力を受け付ける。
図10は、「怒り」に関する各種パラメータを入力するための画面100を示した。この画面100には、怒りを抽出するのに採用される、ピッチ、音圧レベル、発話速度のそれぞれの各音声分析パラメータについて、閾値や重み付け、すなわち音声分析パラメータの値の範囲と点数との対応付けの指定を受け付けるためのテキストボックス群(101〜103)、および合計点と評価結果との対応関係を指定するための入力欄1044などが含まれている。
図11は、「困惑」に関する各種パラメータを入力するための画面110を示した。この画面110にも、困惑を抽出するのに採用される、各音声分析パラメータ(音圧レベルB、発話速度G、間の割合E)について、閾値や重み付けの指定を受け付けるためのテキストボックス群(111〜113)、および合計点と評価結果との対応関係を指定するための入力欄114などが含まれている。
===送話音声の録音===
上記実施例では、受話音声を起源とした録音ファイルを作成していた。この例に限らず、診断装置は、通話期間中のオペレータの送話音声を入力し、受話音声の録音ファイルとは別の録音ファイル(送話録音ファイル)を作成するようにしてもよい。そして、ある通話における診断結果ファイルと送話録音ファイルとを対応付けして外部記憶に記憶するようにしてもよい。それによって、送話録音ファイルを再生処理してオペレータの応対時の音声と診断結果と照らし合わせることができる。そして、たとえば、応対の好例あるいは悪例をオペレータに具体的に示すことで、オペレータに自身の応対能力を把握させたり、応対能力向上のための努力を促したりすることができる。
本発明の実施例における診断装置の機能ブロック図である。 上記診断装置におけるオペレータ応対能力診断方法の概略図である。(A)は、上記診断装置が取得する感情度の時間変位グラフであり、(B)は感情度の時間変と診断結果との関係図である。 上記診断装置における音声データの測定期間の概念図である。 発話者の通常状態と怒り状態でのピッチの変動グラフである。 発話者の通常状態と怒り状態での音圧レベルの変動グラフである。 怒りの感情度を求めるときの採点方法の概略図である。 発話者の通常状態と困惑状態での音圧レベルの変動グラフである。 困惑の感情度を求めるときの採点方法の概略図である。 上記診断装置のGUIにおいて全般的な設定パラメータを入力するための画面概略図ある。 上記診断装置のGUIにおいて怒りに関する設定パラメータを入力するための画面概略図である。 上記診断装置のGUIにおいて困惑に関する設定パラメータを入力するための画面概略図である。
符号の説明
1 オペレータ応対能力診断装置
3 オーディオ信号処理部
4 録音ファイル作成部
5 診断結果ファイル作成部
10 音声分析部
20 外部記憶
30 ユーザインタフェース

Claims (7)

  1. コールセンターにおいて、顧客と電話で応対するオペレータの能力を診断するための装置であって、
    オペレータが使用する電話機における通話の開始から終了までの通話期間中に、当該電話機への受話音声をデジタル形式の受話録音データとして記憶する音声録音手段と、
    前記録音データを感情解析技術により処理して所定の感情を抽出するともに、当該抽出した感情の度合いを通話期間中に随時数値出力する感情解析手段と、
    前記感情解析手段が出力する通話期間における感情の度合いの時間変動パターンに基づいてオペレータの応対能力を段階的に評価し、その評価結果を適宜に出力するオペレータ評価手段と、
    を備えたコールセンターにおけるオペレータ応対能力診断装置。
  2. 請求項1において、オペレータ評価手段は、通話開始時点から所定時間経過時点までの所定の感情についての度合いと、当該経過時点以降の所定の感情の度合いとの相関関係に基づいてオペレータの応対能力を評価するコールセンターにおけるオペレータ応対能力診断装置。
  3. 請求項1または2において、感情解析手段は、所定の感情として、怒りまたは困惑を抽出することを特徴とするコールセンターにおけるオペレータ応対能力診断装置。
  4. 請求項1または2において、感情解析手段は、所定の感情として、怒りと困惑とを抽出し、オペレータ評価手段は、怒りの度合いと困惑の度合いのそれぞれの時間変動パターンに基づいて怒りの困惑のそれぞれの感情に関してオペレータの応対能力を評価するとともに、それぞれの感情に関する応対能力の評価を総合して評価結果を求めることを特徴とするコールセンターにおけるオペレータ応対能力診断装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかにおいて、通話期間中におけるオペレータの送話音声をデジタル形式の送話録音データとして記憶する送話音声録音手段と、オペレータ評価手段が出力する評価結果と当該評価結果の起源となった通話における送話録音データとを対応付けして記憶する診断結果記憶手段とを備えたコールセンターにおけるオペレータ応対能力診断装置。
  6. コールセンターのオペレータが使用する電話機からの受話音声を入力するコンピュータにインストールされるコンピュータプログラムであって、当該コンピュータに、
    前記電話機における通話の開始から終了までの通話期間中に、当該電話機への受話音声をデジタル形式の録音データとして記憶する受話音声録音ステップと、
    前記録音データを感情解析技術により処理して所定の感情を抽出するともに、当該抽出した感情の度合いを通話期間中に随時数値出力する感情解析ステップと、
    前記感情解析手段が出力する通話期間における感情の度合いの時間変動パターンに基づいてオペレータの応対能力を段階的に評価し、その評価結果を適宜に出力するオペレータ評価ステップと、
    を実行させるオペレータ応対能力診断プログラム。
  7. 請求項6に記載のオペレータ応対能力診断プログラムを記録したプログラム格納媒体。

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