JP2007002997A - 真空断熱材 - Google Patents

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Abstract

【課題】低脆性で、引張り強度の強いガラス短繊維を芯材に適用することで、大気圧で圧縮されても繊維の歪みや破断が生じにくく、繊維積層体からなる芯材の耐圧縮性が改善され、より少ない繊維の接触点数で大気圧を保持することが可能となることから、優れた断熱性能を有する真空断熱材を提供する。
【解決手段】ガラス短繊維ウェブからなる積層体を成形してボード状にした芯材3を外被材4で覆って外被材4内部を減圧してなる真空断熱材2であって、芯材3を2000hPaまで圧縮後、速やかに圧縮を解放する操作を繰り返す場合において、1回目の圧縮時に圧縮強度が1800hPaとなる時の積層体の厚みを基準厚みとし、2回目の圧縮時の前記基準厚みにおける圧縮強度と、1800hPaとの比が0.89以上となる。
【選択図】図1

Description

本発明は、芯材と外被材とからなり、芯材を外被材で覆って内部を減圧密閉した真空断熱材に関するものである。
真空断熱材に使用する芯材は、熱伝導率が小さく、ガス発生の少ない無機化合物が適している。特に、ガラス繊維の積層体を芯材とした真空断熱材は、優れた断熱性能を有していることが知られており、その真空断熱材を構成する芯材の一例として、図7に示すものがある。
図7は、無機質細径繊維1a,1bがその長さ方向を伝熱方向と垂直になるように、且つ、この垂直な細径繊維1a,1bの長さ方向が相互に交差するように、ランダムに積層されて相互に点接触とされ、積層された細径繊維1a,1bに伝熱方向と平行に打込まれて、高密度の無機質細径繊維マットを構成するペネトレーション繊維1cを備え、無機質細径繊維マットを複数枚重ね合わすことで、芯材3を形成することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
以上のように構成された従来の真空断熱材は、無機質細径繊維1a,1bが、伝熱方向に対して垂直に、かつランダムに配置されているため、その繊維1a,1b相互が点接触となることから、接触点での接触熱抵抗が大きく、芯材3厚み方向の伝熱量は小さくなる。
しかし、伝熱方向と垂直に配置された繊維1a,1bのみでは、伝熱方向に作用する大気圧に対する耐圧縮性が低下し、真空包装後に作用する大気圧により、芯材3が圧縮され厚みの確保が困難になるため、部分的に、伝熱方向と平行に、ペネトレーション繊維1cを配置している。
しかしながら、ペネトレーション繊維1cにより、断熱性能が低下するため、無機質細径繊維マットを複数枚重ね合わすことで芯材3を形成し、ペネトレーション繊維1cによる伝熱量を低減するものである。
特公平7−103955号公報
しかしながら、上記従来の構成では、伝熱方向に平行な繊維1cによる熱伝導の寄与度が大きいため、無機質細径繊維マットを複数枚重ね合わした場合でも熱伝導を十分に低減することが困難なので、固体成分の熱伝導が大きくなるという課題を有していた。
一方、無機質細径繊維の一種であるガラス繊維1a,1bが伝熱方向と垂直な方向にのみ積層されて構成された芯材では、以下に示す要因により固体成分の熱伝導が増加する。
ところで、真空断熱材には、外被材内外の気圧差相当の圧力が働いている。このため、外被材内部のガラス繊維には外被材を介して圧縮力が加えられる。ガラス繊維から構成されている芯材内部ではガラス繊維相互が絡み合っており、大気圧により圧縮力が加わるとガラス繊維には引張り応力や曲げ応力が加えられ歪みや破断が生じる。
繊維の歪みは、ガラス繊維が絡み合って形成している空隙を縮小する方向に作用し、歪みが大きくなると、圧縮力が加わっていなければ接触しない繊維相互が接触する場合が生じる。このように生じた接点は伝熱経路となるため、芯材の熱伝導が大きくなることになる。
また、繊維が破断した場合は、繊維の歪みが進行した場合と同様に、繊維相互の絡みあいにより形成された芯材の空隙部分が押し潰され、繊維相互の接触点数が増大すると共に、部分的には繊維が線接触で接触する箇所が生じる等接触面積が増大することから接触熱抵抗が低下する。更には、繊維相互の絡みあいにより形成された芯材の空隙部分が破断した繊維で充填され、芯材の空隙が一層低下すると共に、繊維の接触点数も増加する。
このような理由から伝熱量が増大し、真空断熱材の断熱性能が低下すると共に、芯材の厚みが確保できず芯材を構成する繊維状物質の使用量を増加する必要があることから、材料コストが増大するという課題があった。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、大気圧により芯材が圧縮されても繊維の歪みや破断が生じにくく繊維の絡み合いにより形成される空隙が保持され、かつ繊維相互のより少ない接触点数で大気圧を保持することが可能で、一層断熱性能を改善すると共に、芯材の耐圧縮性を改善し、芯材にかかる材料コストを低減できる真空断熱材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、大きな引張り破断強度を有するガラス繊維の割合が大きい、つまり、このガラス繊維を積層して作製したグラスウールが低脆性となるガラス繊維を、伝熱方向と垂直方向に積層することによりグラスウールを作製し、このグラスウールからなる芯材を外被材で覆って内部を減圧して真空断熱材を得た。この真空断熱材において、グラスウールは低脆性であることから、繰り返し圧縮時の基準厚みにおける圧縮強度の低下が小さいのである。
具体的には、積層体からなる芯材を2000hPaまで圧縮後、速やかに圧縮を解放する操作を繰り返す場合において、1回目の圧縮時に圧縮強度が1800hPaとなる時の積層体の厚みを基準厚みとし、2回目の圧縮時の前記基準厚みにおける圧縮強度と、1800hPaとの比が0.89以上となるものである。
このように、本発明では、繰り返し圧縮時のある基準厚みにおける圧縮強度の低下が小さい積層体を真空断熱材の芯材に適用することで、真空断熱材の断熱性能が改善することを見出したのである。
また、芯材は非常に多数で微細なガラス繊維から構成されているため、真空断熱材を使用するスケールにおける特性は、破断していないガラス繊維による寄与と、破断したガラス繊維による寄与の両方からなり、ガラス繊維が破断した部分と破断していない部分の平均に依存する。
これは、芯材の各部分における熱伝導は繊維相互が接触している部分では大きいが、繊維が接触していない部分では熱伝導は生じない。一方、真空断熱材を実際に使用する大きさのスケールは個別の繊維より数桁大きいためである。
従って、芯材中において、破断していないガラス繊維の割合が大きいほど優れた断熱性能が得られる。
本発明の真空断熱材は、同一の熱伝導率を有するガラスを用いて作製された芯材を用いて作製した真空断熱材に比較して、より優れた断熱性能を有する。
請求項1に記載の真空断熱材の発明は、ガラス短繊維ウェブからなる積層体を成形してボード状にした芯材を外被材で覆って前記外被材内部を減圧してなる真空断熱材であって、低脆性で繊維強度を強化したガラス短繊維を前記芯材に用いることにより、前記芯材に対する繰り返し圧縮時の基準厚みにおける圧縮強度の低下を小さくしたものである。
一般に、ガラス組成物の破壊は、低温から常温において典型的な脆性破壊であり、臨界応力のもとで急激に破壊が生じる。このような脆性固体の破壊は、引張り応力によって原子間の結合が切られ、原子が分離することによって起こる。
しかし、実際はガラス表面や内部には大小のグリフィスフローと呼ばれる傷が存在するため、これらが応力集中源となって、理論値よりもはるかに低い負荷応力のもとで破壊に至る。このことが、ガラスの脆さの原因の一つとなっている。
ガラス短繊維の場合においても、繊維を強化すること、かつガラスそのものを低脆性とすることで、圧縮等の負荷応力に対して繊維の破断が起こりにくくなる。
大気圧により圧縮されても破断しない繊維が多い場合は、ガラス繊維周囲の空隙が保持され、周囲の繊維相互が接触しにくくなる。さらに、破断部が自由端となることにより、周囲のガラス繊維と接触することによる熱伝導の増大が抑制される。従って、固体成分の熱伝導の増大が抑制され、固体成分の熱伝導を低減した真空断熱材を得ることができる。
請求項2に記載の真空断熱材の発明は、請求項1に記載の発明において、芯材を2000hPaまで圧縮後、速やかに圧縮を開放する操作を繰り返す場合において、一回目の圧縮時に圧縮強度が1800hPaとなる時の芯材の厚みを基準厚みとし、2回目の圧縮時の前記基準厚みにおける圧縮強度と、1800hPaの比が0.89以上となるものである。
この試験方法にて、ガラス短繊維の積層体を繰り返し圧縮した場合に、2回目の圧縮時の前記基準厚みにおける圧縮強度と、1800hPaとの比が0.89以上となるようなガラス短繊維のウェブの積層体を真空断熱材の芯材とすることで、請求項1と同様の作用にて、芯材の厚み方向の伝熱量が低下することから真空断熱材の断熱性能が改善する。
更には、芯材の耐圧縮性が改善されることから芯材の空隙率を高められ、芯材の低密度化が可能となる。その結果、芯材の低コスト化を実現する真空断熱材を提供することができる。
また、ガラス短繊維の脆性に関する特性は、繊維の引張り強度で管理することが本質的である。しかしながら、実際には、積層体を構成するガラス短繊維はその繊維強度に幅広い分布を有するため、ガラス短繊維の全体像を把握するのに必要な測定には膨大な労力を要する。
そのため、本発明で示しているように、ガラス短繊維の積層体における圧縮特性で代用することにより管理が容易に実施でき、また積層体の全体像をより具体的に把握しやすくなる。
圧縮特性でグラスウールを構成するガラス繊維強度の分布を評価できるメカニズムを次に示す。
グラスウールを圧縮したときの圧縮強度は、繊維一本一本の変形に要する力の和の指標である。つまり、圧縮強度の低下は圧縮応力に寄与する繊維が破断して減少する度合いの指標となるからである。
要するに、本試験方法により得られる繰り返し圧縮強度比が、真空断熱材の熱伝導率と良好な相関関係を有していることを新たに見出したのである。
一方、繰り返し圧縮時の圧縮量を圧縮強度で2000hPaとするのは、真空断熱材の表面性を高める等の理由で圧縮する場合は大気圧との合計で大きな圧力が加わることが想定されることから設定したものであるが、多少前後することは問題ない。
また、繰り返し圧縮時にその基準厚みを1800hPa時の積層体の厚さとしているのは、基準厚みとする圧縮強度に応じて、繰り返し圧縮時の圧縮強度比が変動するが、1800hPa時の積層体の厚さを基準とした場合が、真空断熱材の断熱性能と良好な相関が得られるためである。
なお、繰り返し圧縮試験の圧縮強度比は、基準厚みにおける2回目の圧縮強度を1800hPaで割った値を適用する。
請求項3に記載の真空断熱材の発明は、請求項1に記載の発明において、芯材を2000hPaまで圧縮後、速やかに圧縮を開放する操作を繰り返す場合において、一回目の圧縮時に圧縮強度が1800hPaとなる時の芯材の厚みを基準厚みとし、2回目の圧縮時に圧縮強度が1800hPaとなるときの積層体の厚みと、前記基準厚みとの比が0.98以上となるものである。
本発明における芯材は、大気圧の約2倍である2000hPaまで圧縮した場合においても一旦圧力を開放することにより、厚さの低下が小さく、一旦圧縮した真空断熱材をリサイクルした場合であっても優れた性能を有する真空断熱材を得ることができる。
請求項4に記載の真空断熱材の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明における芯材が熱成形によりボード状に成形されているものである。
本発明によれば、芯材が熱成形によりボード状に成形されていることにより、結合剤を熱が伝導することによる断熱性能の劣化がない。従ってより優れた断熱性能を有する真空断熱材を得ることができる。
請求項5に記載の真空断熱材の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明における芯材が結合材によりボード状に成形されているものである。
本発明における芯材は、結合剤を用いているため、熱成形不可能なガラス繊維であってもボード状に成形することができ、優れた性能を有する真空断熱材を得ることができる。

請求項6に記載の真空断熱材の発明は、ガラス短繊維ウェブからなる積層体をボード状にすることなく作製した芯材を外被材で覆って前記外被材内部を減圧してなる真空断熱材であって、低脆性で繊維強度を強化したガラス短繊維を前記芯材に用いることにより、前記芯材に対する繰り返し圧縮時の基準厚みにおける圧縮強度の低下を小さくしたものであり、芯材をボード化していない場合であっても、請求項1に記載の発明と同等の作用により優れた断熱性能を有する真空断熱材を得ることができる。また、芯材をボード状に成形する工程を経ることなく真空断熱材を作製するため、コストを低く抑えることができる。
請求項7に記載の真空断熱材の発明は、請求項6に記載の発明において芯材を2000hPaまで圧縮後、速やかに圧縮を開放する操作を繰り返す場合において、一回目の圧縮時に圧縮強度が1800hPaとなる時の芯材の厚みを基準厚みとし、2回目の圧縮時の前記基準厚みにおける圧縮強度と、1800hPaの比が0.89以上となるものであり、芯材をボード化していない場合であっても、請求項2に記載の発明と同等の作用により優れた断熱性能を有する真空断熱材を得ることができる。また、芯材をボード状に成形する工程を経ることなく真空断熱材を作製するため、コストを低く抑えることができる。
請求項8に記載の真空断熱材の発明は、請求項6に記載の発明において、芯材を2000hPaまで圧縮後、速やかに圧縮を開放する操作を繰り返す場合において、一回目の圧縮時に圧縮強度が1800hPaとなる時の芯材の厚みを基準厚みとし、2回目の圧縮時に圧縮強度が1800hPaとなるときの積層体の厚みと、前記基準厚みとの比が0.98以上となるものであり、芯材をボード化していない場合であっても、請求項3に記載の発明と同等の作用により優れた断熱性能を有する真空断熱材を得ることができる。また、芯材をボード状に成形する工程を経ることなく真空断熱材を作製するため、コストを低く抑えることができる。
このように、真空断熱材の熱伝導率を改善するには、ガラス短繊維のウェブの積層体からなる芯材を繰り返し圧縮解放する操作において、繰り返し圧縮時の基準厚みおける圧縮強度の低下が小さいものが望ましい。
以下、本発明の繰り返し圧縮強度比を得るための試験方法について具体的に説明する。
(1) 試験試料の前処理として、真空包装後の圧縮等による試料の圧縮履歴を統一するため、まず、試料を1500hPaまで圧縮する。
(2) 1回目圧縮として、試験試料を2000hPaまで圧縮し速やかに所定厚み迄解放する。この圧縮過程にて圧縮強度が1800hPaとなる厚みを基準厚みとする。
(3) 1回目圧縮時と同一個所を再度、2000hPaまで2回目の圧縮をする。この圧縮過程にて、基準厚みおける圧縮強度を測定する。
(4) 以下の式より、繰り返し圧縮強度比を算出する。
繰り返し圧縮強度比=2回目圧縮時の基準厚みにおける圧縮強度/1800hPa
この時、繰り返し圧縮試験装置は一般的なオートグラフが使用できる。試験条件の一例としては、圧縮速度は1mm/分、圧縮用治具は上下共に直径100mmの鉄製の円形型、試験試料はサイズが200mm×200mmで目付量が2500g/m2±15%とし、試料の中心部を圧縮して繰り返し圧縮強度試験を実施するものである。
この試験では、1500hPa以上の圧力が加わっていない試験試料では、真空包装の有無に関らず同一の値が得られる。
なお、本発明で使用できるガラス短繊維は、公知の繊維が使用できるが、繊維径が細く、素材の熱伝導率が小さいものが望ましく、更には、繊維の引っ張り強度が0.5GPa以上であることがより望ましい。
また、ウェブは、ガラス短繊維をランダムに配置し、繊維相互が点接触となるように成形したものが望ましい。更に、このウェブを積層してなる積層体は、前記ウェブ間が積層体の一体性が保持できる必要最低限の繊維の交絡により結合され、厚み方向に均質に積層配列されたものがより好適である。
このような積層体とすることで、芯材厚み方向の伝熱量は、ガラス組成物に固有の熱伝導率よりも繊維相互の接触熱抵抗が支配的になる。一例としては、汎用ガラス組成物の常温での熱伝導率は1W/mK前後であるが、ガラス繊維を略垂直に積層して配置した積層体、すなわちウェブを積層した積層体を芯材とする真空断熱材の場合には、積層体の固体成分に関するみかけの熱伝導率がガラス組成物自身の100分の1以下となる。
また、繊維径は、特に指定するものではないが、繊維径が微細なものはより優れた断熱性能が得られる。しかし、経済性の観点からは平均繊維径が3〜5μmのものを使用するのが望ましい。
一方、ガラス短繊維を低脆性、かつ高強度とする方法の一例は、以下に示すとおりである。
本発明に適用できるガラス短繊維は、ガラス組成の適正化や製造プロセスの適正化により、ガラス短繊維を低脆性、かつ高強度とすることができる。このうち、製造プロセスの適正化により、ガラス短繊維の強度を増大する方法としては、化学強化法またはイオン交換法と呼ばれる方法や、加熱急冷法または風冷強化法と呼ばれる方法がある。
化学強化法は、フッ化水素酸等でガラス表面を浸食する方法であり、これにより、ガラス表面に存在するグリフィスフローを除去することができるため、ガラス短繊維の脆性と強度を改善できる。
また、イオン交換法は、ガラス表面のナトリウムイオンを分子径の大きいカリウムイオンで置換することで、予めガラスの表面に高い圧縮応力層を付与する方法であり、同様にガラスの脆性と強度を改善できる。
しかしながら、工業的に最も利用されるのは加熱急冷法である。これは、加熱されたガラスに低温の空気を吹き付けることで処理され、予めガラスの表面に高い圧縮応力層を付与することにより、引張り応力に対する耐久性を向上させるものである。
この方法は、ガラス繊維についても同様に実施することができ、繊維化直後の高温の繊維に対し冷却エアーを吹き付けることで、ガラス繊維が強化されるため効率的に処理できる。
以上、工業的に利用されるガラス強化方法を示したが、ガラス繊維の機械強度を強化する方法は、前述したものに限定するものではなく、公知の方法が適用できる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における真空断熱材の断面図である。図2は実施の形態1における真空断熱材の芯材の断面の模式図である。
図1において、本発明の実施の形態1における真空断熱材2は、ガラス短繊維ウェブからなる積層体を成形してボード状にした芯材3と吸着剤5とを外被材4で覆って外被材4内部を減圧してなる真空断熱材2であって、低脆性で繊維強度を強化したガラス短繊維を芯材3に用いることにより、芯材3に対する繰り返し圧縮時の基準厚みにおける圧縮強度の低下を小さくしたものである。
図2において、芯材3は、芯材断面に略平行に配置したガラス繊維1aと、芯材断面に略垂直に配置したガラス繊維1bとからなるガラス繊維集合体をガラスの歪点よりも低い450℃で5分間加熱プレスにて熱成形することでボード状の成形し、板状にしたものである。
外被材4は、最外層にポリエチレンテレフタレートフィルム(12μm)、中間層にアルミ箔(6μm)、最内層となる熱溶着層に直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(50μm)を適用したプラスチックラミネートフィルムから構成している。
吸着剤5は酸化カルシウムである。芯材3を構成しているガラス繊維集合体は、作製工程により、引張り破断強度が大きい繊維の割合を大きくしたものである。
ガラス繊維は、汎用的なソーダ石灰ガラス組成物を適用しているが、高速で回転する繊維化装置から吐出することにより繊維化直後に、冷却空気を吹き付ける事で急冷して強化している。
図2に示されているように、断面に略水平を向いたガラス繊維1aは、断面に略垂直を向いたガラス繊維1bのみを通して接触している。
芯材に大気圧が加わると、内部で絡み合った繊維に引張り力が作用するが、繊維の引張り破断強度が大きくなっていることにより、大気圧により圧縮され、繊維に引張り力が作用しても繊維が破断せず周囲の空間が保持され、周囲の繊維同士が接触していない状態で保持される。更に、破断部が自由端となることによる周囲のガラス繊維との接触が抑制される。従って、破断していない芯材の周囲はガラス繊維による熱伝導が少なくなる。
このようにして作製した真空断熱材の熱伝導率を英弘精機製のオートラムダにて測定した。その結果、真空断熱材1の熱伝導率は、平均温度24℃にて0.0015W/mKと優れた断熱性能を有しており、芯材の繰り返し圧縮試験における圧縮強度比は0.93であった。
これは、芯材の繰り返し圧縮試験における圧縮強度比が0.89未満の従来のガラス短繊維の積層体から芯材を成形した真空断熱材と比較して、熱伝導率は0.0004W/mK低減することが判った。
さらに、芯材作製の際に同一の材料構成、作製方法で作製した芯材3に対して同様に繰り返し圧縮強度比率を測定したところ、0.931であった。これは、真空断熱材を解体して取り出した芯材の繰り返し圧縮強度比率とほぼ同等の値であり、この差は試料のロット内ばらつきであると考える。
また同様に、真空断熱材1の芯材密度は、従来、250kg/m3であったものが、本実施の形態では240kg/m3であった。
その結果、芯材の厚み方向の伝熱量が低下することから真空断熱材の断熱性能が改善する。更には、芯材の耐圧縮性が改善されていることから芯材の空隙率を高められ、芯材の低密度化が可能となる。よって、本実施の形態では、グラスウールの使用量を4%低減可能となることから、原材料費の低減も実現できる。
なお、本実施の形態では、芯材を形成するガラス短繊維としては、汎用工業材料であるグラスウールを適用し、積層体の繰り返し圧縮試験における圧縮強度比が0.89以上になるよう加熱急冷法にて繊維を強化して適用している。
しかしながら、芯材に適用できるガラス短繊維は、低脆性で、かつ高強度のガラス短繊維であれば特に問題なく適用できる。しかし、望ましくは、芯材の繰り返し圧縮試験における圧縮強度比が0.89以上となるガラス短繊維の積層体、より望ましくは、圧縮強度比が0.91以上となるガラス短繊維の積層体、更に望ましくは、圧縮強度比が0.93以上となるガラス短繊維の積層体である。
なお、圧縮強度比は0.89を境にして熱伝導率が大きく低下するが、圧縮強度比が0.94を超えると熱伝導率の更なる低下は確認できない。よって、圧縮強度比が0.89から0.94の範囲においては、圧縮強度比が大きくなるに従い熱伝導率が低下する傾向にある。
なお、繰り返し圧縮試験は、島津製作所製のオートグラフを使用して、直径100mmの鉄製の円形治具を使用して実施した。この時、圧縮速度は1mm/分とした。また、供試材料の圧縮負荷履歴を統一し、試験バラツキを抑制するため、予め前処理として圧縮強度が1500hPaとなるまで一度圧縮処理を実施後、本試験を実施した。なお、圧縮強度比はそれぞれn=3の平均で示している。
(実施の形態2)
図3は本実施の形態における真空断熱材の断面図である。
図3において、真空断熱材2は、芯材3と吸着剤5とを外被材4に挿入し、内部を減圧して構成している。この時、真空断熱材2は、厚みが10mmとなるように芯材3を調整している。
芯材3の作製は、ガラス短繊維のウェブからなるグラスウールを所定厚みになるまで積層し、ウェブ間が交絡により結合された積層体を成形した。この時、芯材3は、結着剤、或いは熱成形等により積層体をボード状に成形することなく芯材として使用している。
なお、本実施の形態2における真空断熱材2は、芯材3の製造方法が異なる以外は、実施の形態1における材料構成、及び作製方法と同様である。
芯材3に適用しているガラス短繊維は、平均繊維径3.5μmのグラスウールであり、芯材の繰り返し圧縮試験での圧縮強度比は0.93であった。
このようして作製した真空断熱材2について、その熱伝導率を英弘精機製のオートラムダにて測定した。その結果、真空断熱材2の熱伝導率は、平均温度24℃にて0.0014W/mKと優れた断熱性能を有しており、繰り返し圧縮試験における圧縮強度比が0.89未満の従来のガラス短繊維の積層体から芯材を成形した真空断熱材と比較して、熱伝導率は0.0005W/mK低減することが判った。
また、ガラス短繊維の積層体を熱成形によりボード状に成形して使用した実施の形態1の場合と比較して、積層体の繰り返し圧縮試験での圧縮強度比が同等にも関わらず真空断熱材の断熱性能はより向上した。
また同様に、真空断熱材2の芯材密度は、従来、250kg/m3であったものが、本実施の形態では235kg/m3であった。
このような結果を得られた理由は、積層体の繰り返し圧縮試験での圧縮強度比が0.93であることから、従来品と比較して大気圧により圧縮されても繊維の歪みや破断が生じにくく、繊維の絡み合いにより形成される空隙が保持され、より少ない繊維の接触点数で大気圧を保持することが可能となったためと考える。
その結果、芯材の厚み方向の伝熱量が低下することから、真空断熱材の断熱性能が改善する。更には、芯材の耐圧縮性が改善されていることから芯材の空隙率を高められ、芯材の低密度化が可能となる。よって、本実施の形態では、グラスウールの使用量が6%低減可能となることから、原材料費の低減も実現できる。
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3における真空断熱材の断面図を示すものである。
図4において、真空断熱材2は、芯材3と吸着剤5とを外被材4に挿入し、内部を減圧して構成している。この時、真空断熱材は厚みが10mmとなるように芯材3を調整している。
芯材3は、結着剤としてグラスウールにフェノール樹脂を塗布することによりグラスウール全体としての剛性を向上して取り扱い性を改善したものである。
なお、本実施の形態3における真空断熱材2は、芯材3の製造方法が異なる以外は、実施の形態1における材料構成、及び作製方法と同様である。
このようして作製した真空断熱材2について、その熱伝導率を英弘精機製のオートラムダにて測定した。その結果、真空断熱材2の熱伝導率は、平均温度24℃にて0.0017W/mKであり、結着剤を用いずに作製した芯材を用いた真空断熱剤に比較すると熱伝導率が0.0002W/mK大きくなることが判った。
これは、フェノール樹脂がウェブのガラス繊維相互の接点での伝熱を大きくしているためである。また、芯材の繰り返し圧縮試験での圧縮強度比は0.91であり、結着剤を用いずに作製した芯材と比較すると0.02小さくなっているが、これは次に示す要因によると考える。
すなわち、一回目の圧縮で、ガラス繊維の破断に加えて、フェノールとガラス繊維の離脱が生じる。従って、二回目の圧縮強度に寄与する因子の低減が大きくなるためである。
一方、真空断熱材の密度は、従来、250kg/m3であったものが225kg/m3であった。これは、フェノールでガラス繊維の相対位置が変化しにくくなっているため、大気圧により圧縮されにくくなっているためである。よって本実施の形態では、グラスウールの使用量が10%低減可能となることから、原材料費の低減も実現できる。
(実施の形態4)
図5は、本発明の実施の形態4における真空断熱材の平面模式図を示すものである。また、図6は、図5のA−A‘線における真空断熱材の断面模式図を示す。
図5において、真空断熱材6は、複数の芯材3をガスバリア性の外被材4で減圧密封されており、斜線を付与した熱溶着部7により芯材3がそれぞれの独立した真空空間に保持されている。
真空断熱材6の作製方法は、真空チャンバー内に相対する上下一対のラミネートフィルムを設置する。この時、下部ラミネートフィルムの上側面には140℃で20分間乾燥した複数の芯材3を予め熱溶着する等、公知の方法で固定する。
その後、芯材周囲が10Pa以下になるように減圧し、予め加熱しておいた上下ラミネートフィルムを芯材部も含めて熱溶着させることで、複数の芯材3がそれぞれの芯材の周辺部近傍まで相対するラミネートフィルムが熱溶着され熱溶着部7を形成し、芯材3がそれぞれ独立した真空空間に保持される。
なお、本実施の形態4における真空断熱材6は、真空断熱材6の製造方法が異なる以外は、実施の形態1で説明した材料構成と同様である。但し、真空断熱材6には、水分吸着剤は使用しておらす、真空断熱材6の芯材部厚みは5mmとなるように調整している。
芯材3に適用しているガラス短繊維は、平均繊維径3.5μmのグラスウールであり、積層体の繰り返し圧縮試験での圧縮強度比は0.932であった。
このようして作製した真空断熱材6について、その芯材部熱伝導率を英弘精機製のオートラムダにて測定した。その結果、真空断熱材6の芯材部熱伝導率は、平均温度24℃にて0.0015W/mKと優れた断熱性能を有しており、繰り返し圧縮試験における圧縮強度比が0.89未満の従来のガラス短繊維の積層体から芯材を成形した真空断熱材と比較して、熱伝導率は0.0004W/mK低減することが判った。
また同様に、真空断熱材の芯材密度は、従来、250kg/m3であったものが、本実施の形態では240kg/m3であった。
このような結果を得られた理由は、積層体の繰り返し圧縮試験での圧縮強度比が0.932であることから、従来品と比較して大気圧により圧縮されても繊維の歪みや破断が生じにくく、繊維の絡み合いにより形成される空隙が保持され、より少ない繊維の接触点数で大気圧を保持することが可能となったためと考える。
その結果、芯材の厚み方向の伝熱量が低下することから、真空断熱材の断熱性能が改善する。更には、芯材の耐圧縮性が改善されていることから、芯材の空隙率を高められ、芯材の低密度化が可能となる。よって、本実施の形態では、グラスウールの使用量が4%低減可能となることから、原材料費の低減も実現できる。
以下、実施例、及び比較例を用いて、本発明の真空断熱材の芯材を構成するガラス短繊維から作製した芯材の繰り返し圧縮試験における特性について具体的に説明するが、本発明は本実施例のみに限定されるものではない。
(表1)に芯材に使用するガラス短繊維のガラス強化方法、及びガラス組成を種々変更した場合において、繰り返し圧縮試験における圧縮強度比、及び厚さ比と、真空断熱材の熱伝導率と密度との関係について、実施例1〜7、及び比較例1または2に示した。
真空断熱材は、基本的に、実施の形態1と同様の方法で作製しているが、真空断熱材2の芯材3を構成するガラス短繊維のガラス強化方法を種々変化させて作製している。
また、ガラス組成は、A〜Cの3組成で評価しており、Aはソーダ石灰ガラス(Cガラス)、Bは無アルカリガラス(Eガラス)、Cはソーダ石灰ガラスにおいてアルカリ含有率を2倍にする共に、酸化バリウムを5mol%添加した。なお、Cはアルカリと酸化バリウムの増加量分だけ酸化ケイ素量を低減している。
更に、ソーダ石灰ガラスについては、加熱急冷法、フッ化水素酸処理、及びイオン交換法によりガラスを強化している。
一方、繰り返し圧縮試験における圧縮強度比と厚さ比については、島津製作所製のオートグラフを用いて、それぞれn=3の平均値で示している。この時、圧縮強度比は基準厚みにおける2回目の圧縮強度を圧縮強度1800hPaで割った値を適用し、厚さ比は2回目圧縮時における1800hPaでの厚みを1回目圧縮時における1800hPaでの厚み(基準厚み)で割った値を適用している。また、熱伝導率は英弘精機製のオートラムダにて平均温度24℃にて測定した。
なお、芯材の繰り返し圧縮強度比は、圧縮試験による芯材のダメージによって真空断熱材の熱伝導率が劣化することを防ぐため、真空断熱材を解体して取り出した芯材に対して行った。
(実施例1)
芯材に適用する積層体を構成するガラス短繊維は、汎用的なガラスカレットを主成分とするソーダ石灰ガラスを適用している。しかしながら、ガラス短繊維は加熱急冷法にて強化されているため、高強度で、かつ低脆性となっている。
なお、この時、急冷時の空気温度を30℃として作製した。
上記ガラス短繊維の積層体からなる芯材において、繰り返し圧縮試験を実施したときの圧縮強度比は0.91であり、同様に厚さ比は0.982であった。
この時、真空断熱材の熱伝導率は、0.0016W/mKと従来品と比較して0.0003W/mK改善していた。また、同様に、真空断熱材の芯材密度は245kg/m3と、従来の250kg/m3と比較して2%低減していた。
なお、本実施例において、芯材は真空断熱材の2倍の試料数を作製し、半数を真空包装し、半数は真空包装を行わずに繰り返し圧縮試験を行ったところ、圧縮強度比は0.91、同様に厚さ比は0.981であった。厚さ比がわずかに異なるが、これは試料のロット内ばらつきであると考える。
このように、真空包装の有無によらず繰り返し圧縮試験では同一の値が得られる。これは、試験の過程(1)において圧縮履歴を統一しているためである。
このような結果が得られた理由は、芯材を構成する積層体が繰り返し圧縮試験を実施したときの圧縮強度比が0.91、同様に厚さ比が0.982であることから、従来品と比較して大気圧により圧縮された場合にも繊維の歪みや破断が生じにくく、繊維の絡み合いにより形成される空隙が保持され、より少ない繊維の接触点数で大気圧を保持することが可能となったためと考える。
その結果、芯材の厚み方向の伝熱量が低下することから、真空断熱材の断熱性能が改善する。更には、芯材の耐圧縮性が改善されていることから、芯材の空隙率を高められ、芯材の低密度化が可能となる。
(実施例2)
芯材に適用する積層体を構成するガラス短繊維は、汎用的なガラスカレットを主成分とするソーダ石灰ガラスを適用している。しかしながら、ガラス短繊維は加熱急冷法にて強化されているため、高強度で、かつ低脆性となっている。
なお、この時、急冷時の空気温度を30℃として作製した。
上記ガラス短繊維の積層体からなる芯材において、繰り返し圧縮試験を実施したときの圧縮強度比は0.93であり、同様に厚さ比は0.986であった。
この時、真空断熱材の熱伝導率は、0.0015W/mKと従来品と比較して0.0004W/mK改善していた。また、同様に、真空断熱材の芯材密度は240kg/m3と、従来の250kg/m3と比較して4%低減していた。
このような結果が得られた理由は、芯材を構成する積層体が繰り返し圧縮試験を実施したときの圧縮強度比が0.93、同様に厚さ比が0.986であることから、従来品と比較して大気圧により圧縮された場合にも繊維の歪みや破断が生じにくく、繊維の絡み合いにより形成される空隙が保持され、より少ない繊維の接触点数で大気圧を保持することが可能となったためと考える。
その結果、芯材の厚み方向の伝熱量が低下することから、真空断熱材の断熱性能が改善する。更には、芯材の耐圧縮性が改善されていることから、芯材の空隙率を高められ、芯材の低密度化が可能となる。
(実施例3)
芯材に適用する積層体を構成するガラス短繊維は、汎用的なガラスカレットを主成分とするソーダ石灰ガラスを適用している。しかしながら、ガラス短繊維は加熱急冷法にて強化されているため、高強度で、かつ低脆性となっている。
なお、この時、急冷時の空気温度を30℃から10℃まで低下させて作製した。
上記ガラス短繊維の積層体からなる芯材において、繰り返し圧縮試験を実施したときの圧縮強度比は0.94であり、同様に厚さ比は0.989であった。このように、圧縮強度比、及び厚さ比が増大した理由は、急冷時の空気温度を30℃から10℃と低下させたことで、焼き入れ効果がより顕著に作用したためと考える。
この時、真空断熱材の熱伝導率は、0.0015W/mKと従来品と比較して0.0004W/mK改善していた。また、同様に、真空断熱材の芯材密度は240kg/m3と、従来の250kg/m3と比較して4%低減していた。
以上の結果は、実施例1と同様の作用により改善されたものと考える。
(実施例4)
芯材に適用する積層体を構成するガラス短繊維は、汎用的なガラスカレットを主成分とするソーダ石灰ガラスを適用している。しかしながら、ガラス短繊維はフッ化水素酸処理にて強化しているため、高強度で、かつ低脆性となっている。
上記ガラス短繊維の積層体からなる芯材において、繰り返し圧縮試験を実施したときの圧縮強度比は0.94であり、同様に厚さ比は0.988であった。これらの値は、加熱急冷法における空気温度10℃での急冷時とほぼ同様の結果となった。
この時、真空断熱材の熱伝導率は、0.0014W/mKと従来品と比較して0.0005W/mK改善していた。また、同様に、真空断熱材の芯材密度は240kg/m3と、従来の250kg/m3と比較して4%低減していた。
以上の結果は、実施例1と同様の作用により改善されたものと考える。
(実施例5)
芯材に適用する積層体を構成するガラス短繊維は、汎用的なガラスカレットを主成分とするソーダ石灰ガラスを適用している。しかしながら、ガラス短繊維はイオン交換処理にて強化しているため、高強度で、かつ低脆性となっている。
上記ガラス短繊維の積層体からなる芯材において、繰り返し圧縮試験を実施したときの圧縮強度比は0.941であり、同様に厚さ比は0.989であった。
この時、真空断熱材の熱伝導率は、0.0014W/mKと従来品と比較して0.0005W/mK改善していた。また、同様に、真空断熱材の芯材密度は240kg/m3と、従来の250kg/m3と比較して4%低減していた。
以上の結果は、実施例1と同様の作用により改善されたものと考える。
(実施例6)
芯材に適用する積層体を構成するガラス短繊維は、無アルカリガラスであるEガラスを適用している。Eガラスはガラス組成物自体のヤング率がソーダ石灰ガラスと比較して約10%大きい。その結果、繊維の引張り強度が増大している。
上記ガラス短繊維の積層体からなる芯材において、繰り返し圧縮試験を実施したときの圧縮強度比は0.938であり、同様に厚さ比は0.988であった。
この時、真空断熱材の熱伝導率は、0.0014W/mKと従来品と比較して0.0005W/mK改善していた。また、同様に、真空断熱材の芯材密度は235kg/m3と、従来の250kg/m3と比較して6%低減していた。
以上の結果は、実施例1と同様の作用により改善されたものと考えるが、ガラス組成を変更することでも、断熱性能を改善できることが判る。
(実施例7)
実施例3と同様にして作製したグラスウールに結着剤としてフェノール樹脂を塗布して芯材を作製した。
上記芯材において、繰り返し圧縮試験を実施したときの圧縮強度比は0.91であり、同様に厚さ比は0.982であった。
この時、真空断熱材の熱伝導率は、0.0017W/mKと従来品と比較して0.0002W/mK改善していた。また、同様に、真空断熱材の芯材密度は225kg/m3と、従来の250kg/m3と比較して10%低減していた。
これは、フェノール樹脂の作用により繊維の相対位置が固定され、芯材全体としての剛性が向上したためであると考える。
(比較例1)
芯材に適用する繊維状物質のガラス短繊維を形成するガラス組成物には、ガラス短繊維としては一般的なソーダ石灰ガラスを適用している。また、同様に、ガラス繊維に特別な処理を施していないことから、汎用的な材料物性を有する従来ガラスの短繊維である。
上記ガラス短繊維の積層体において、繰り返し圧縮試験を実施したときの圧縮強度比は0.88であり、同様に厚さ比は0.975であった。
この時、真空断熱材の熱伝導率は0.0019W/mK、真空断熱材の芯材密度は250kg/m3であった。
(比較例2)
芯材に適用する繊維状物質のガラス短繊維を形成するガラス組成物は、ソーダ石灰ガラスにおいてアルカリ含有率を2倍にする共に、酸化バリウムを5mol%添加したものを適用している。なお、アルカリと酸化バリウムの増加量分だけ酸化ケイ素量を低減している。
また、ガラス繊維には特別な処理を施さず、一般的な方法で繊維化を実施した。
上記ガラス短繊維の積層体において、繰り返し圧縮試験を実施したときの圧縮強度比は0.83であり、同様に厚さ比は0.941であった。
この時、真空断熱材の熱伝導率は、0.0022W/mKと従来品と比較して、0.0003W/mK悪化した。また、同様に、真空断熱材の芯材密度は280kg/m3と、従来の250kg/m3と比較して増大する結果となった。
各条件で強化を行ったガラス繊維を芯材の構成要素として用いた真空断熱材の熱伝導率及び繊維、芯材の物性の関係を(表1)に示す。
Figure 2007002997
(表1)に示されているように、繰り返し圧縮強度比が大きくなるに従って、熱伝導率が低減しており、ガラス繊維集合体の作製方法に依存しないことが判る。
以上のように、本発明にかかる真空断熱材は優れた断熱性能を有しているので、より薄い厚さで高い断熱性能が得られる。従って、冷蔵庫、クーラーボックスなどの用途に加えて、液晶プロジェクター、コピー機、ノートパソコン等のようにより狭い空間で高い断熱性能が必要とされる用途に適用可能である。
本発明の実施の形態1における真空断熱材の断面図 本発明の実施の形態1における真空断熱材の芯材断面の模式図 本発明の実施の形態2における真空断熱材の断面図 本発明の実施の形態3における真空断熱材の断面図 本発明の実施の形態4における真空断熱材の平面図 図5のA−A‘線断面図 従来の真空断熱材の芯材断面の模式図
符号の説明
1,1a,1b ガラス繊維
2,6 真空断熱材
3 芯材
4 外被材

Claims (8)

  1. ガラス短繊維ウェブからなる積層体を成形してボード状にした芯材を外被材で覆って前記外被材内部を減圧してなる真空断熱材であって、低脆性で繊維強度を強化したガラス短繊維を前記芯材に用いることにより、前記芯材に対する繰り返し圧縮時の基準厚みにおける圧縮強度の低下を小さくした真空断熱材。
  2. 芯材を2000hPaまで圧縮後、速やかに圧縮を開放する操作を繰り返す場合において、一回目の圧縮時に圧縮強度が1800hPaとなる時の芯材の厚みを基準厚みとし、2回目の圧縮時の前記基準厚みにおける圧縮強度と、1800hPaの比が0.89以上となる請求項1に記載の真空断熱材。
  3. 芯材を2000hPaまで圧縮後、速やかに圧縮を開放する操作を繰り返す場合において、一回目の圧縮時に圧縮強度が1800hPaとなる時の芯材の厚みを基準厚みとし、2回目の圧縮時に圧縮強度が1800hPaとなるときの積層体の厚みと、前記基準厚みとの比が0.98以上となる請求項1に記載の真空断熱材。
  4. 芯材が熱成形によりボード状に成形されている請求項1から3のいずれか一項に記載の真空断熱材。
  5. 芯材が結合材によりボード状に成形されている請求項1から3のいずれか一項に記載の真空断熱材。
  6. ガラス短繊維ウェブからなる積層体をボード状にすることなく作製した芯材を外被材で覆って前記外被材内部を減圧してなる真空断熱材であって、低脆性で繊維強度を強化したガラス短繊維を前記芯材に用いることにより、前記芯材に対する繰り返し圧縮時の基準厚みにおける圧縮強度の低下を小さくした真空断熱材。
  7. 芯材を2000hPaまで圧縮後、速やかに圧縮を開放する操作を繰り返す場合において、一回目の圧縮時に圧縮強度が1800hPaとなる時の芯材の厚みを基準厚みとし、2回目の圧縮時の前記基準厚みにおける圧縮強度と、1800hPaの比が0.89以上となる請求項6に記載の真空断熱材。
  8. 芯材を2000hPaまで圧縮後、速やかに圧縮を開放する操作を繰り返す場合において、一回目の圧縮時に圧縮強度が1800hPaとなる時の芯材の厚みを基準厚みとし、2回目の圧縮時に圧縮強度が1800hPaとなるときの積層体の厚みと、前記基準厚みとの比が0.98以上となる請求項6に記載の真空断熱材。
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