JP2007001476A - 車線逸脱防止装置及び車両の走行制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両の走行制御装置は、レーダ16が検出する自車レーンの前方を走行する先行車両の走行状態情報を記憶するとともに、レーダ16で先行車両を検出できなくなった場合、前記記憶した走行状態情報に基づいて、当該先行車両と自車両との接近度合いを予測し(ステップS31〜ステップS33)、接近度合いが大きい場合、減速制御作動判断フラグFgsをONにする(ステップS33)。これにより、車線逸脱防止制御による逸脱防止後に自車両に先行車両が接近すると予測した場合、当該車線逸脱防止制御における減速成分を大きくする補正をする。
【選択図】図5
Description
本発明は、前述の問題に鑑みてなされたものであり、逸脱防止後の自車両に先行車両が急接近してしまうのを防止する車線逸脱防止装置及び車両の走行制御装置の提供を目的とする。
この車線逸脱防止装置は、前記車線逸脱防止制御で自車両の逸脱を防止することで当該自車両に自車レーンの前方を走行する先行車両が接近すると予測した場合、当該車線逸脱防止制御において自車両に付与する減速成分を大きくする補正をする。
実施形態は、本発明に係る車両の走行制御装置を搭載した後輪駆動車両である。この後輪駆動車両は、自動変速機とコンベンショナルディファレンシャルギヤとを搭載し、前後輪とも左右輪の制動力を独立制御可能な制動装置を搭載している。
図中の符号1はブレーキペダル、2はブースタ、3はマスタシリンダ、4はリザーバであり、通常は運転者によるブレーキペダル1の踏込み量に応じて、マスタシリンダ3で昇圧された制動流体圧を各車輪5FL〜5RRの各ホイールシリンダ6FL〜6RRに供給する。また、マスタシリンダ3と各ホイールシリンダ6FL〜6RRとの間には制動流体圧制御部7が介装されており、この制動流体圧制御部7によって、各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を個別に制御することも可能となっている。
例えば、制動流体圧制御部7は、液圧供給系にアクチュエータを含んで構成されている。アクチュエータとしては、各ホイールシリンダ液圧を任意の制動液圧に制御可能な比例ソレノイド弁が挙げられる。
また、この車両には、画像処理機能付きの撮像部13が設けられている。撮像部13は、自車両の車線逸脱傾向検出用として、走行車線内の自車両の位置を検出するために備えられている。例えば、撮像部13は、CCD(Charge Coupled Device)カメラからなる単眼カメラで撮像するように構成されている。この撮像部13は車両前部に設置されている。
なお、本発明においては画像処理以外の検出手段でレーンマーカを検出するものであっても良い。例えば、車両前方に取り付けられた複数の赤外線センサによりレーンマーカを検出し、その検出結果に基づいて走行車線を検出しても良い。
また、この車両には、ナビゲーション装置14が設けられている。ナビゲーション装置14は、自車両に発生する前後加速度Yg或いは横加速度Xg、又は自車両に発生するヨーレイトφ´を検出する。このナビゲーション装置14は、検出した前後加速度Yg、横加速度Xg及びヨーレイトφ´を、道路情報とともに、制駆動力コントロールユニット8に出力する。ここで、道路情報としては、車線数や一般道路か高速道路かを示す道路種別情報がある。
また、この車両には、先行車両を追従対象車両と認識して、当該追従対象車両に追従するように自車両を車速制御するACC(adaptive cruise control)が搭載されている。車両には、このACC用として、レーザ光を前方に掃射して先行障害物からの反射光を受光することで、自車両と前方障害物との間の距離等を計測するためのレーダ16が設けられている。
次に、制駆動力コントロールユニット8で行う車線逸脱防止制御(車線逸脱防止装置として)の演算処理手順について、図2を用いて説明する。この演算処理は、例えば10msec.毎の所定サンプリング時間ΔT毎にタイマ割込によって実行される。なお、この図2に示す処理内には通信処理を設けていないが、演算処理によって得られた情報は随時記憶装置に更新記憶されると共に、必要な情報は随時記憶装置から読出される。
前輪駆動の場合
V=(Vwrl+Vwrr)/2
後輪駆動の場合
V=(Vwfl+Vwfr)/2
・・・(1)
ここで、Vwfl,Vwfrは左右前輪それぞれの車輪速度であり、Vwrl,Vwrrは左右後輪それぞれの車輪速度である。すなわち、この(1)式では、従動輪の車輪速の平均値として車速Vを算出している。なお、本実施形態では、後輪駆動の車両であるので、後者の式、すなわち前輪の車輪速度により車速Vを算出する。
続いてステップS3において、車線逸脱傾向の判定を行う。この判定処理の処理手順は具体的には図3に示すようになる。
Tout=(L/2−X)/dx ・・・(2)
この(2)式によれば、車線中央(X=0)からXだけ横変位している車両100がその現在位置から距離L/2だけ離れた外側位置領域(例えば路肩)に至るまでの逸脱予測時間Toutを求めることができる。
続いてステップS22において、逸脱判定をする。具体的には、前記逸脱予測時間Toutと所定の逸脱判断しきい値Tsとを比較する。ここで、逸脱予測時間Toutが逸脱判断しきい値Ts未満の場合(Tout<Ts)、車線逸脱傾向ありと判定する。また、逸脱予測時間Toutが逸脱判断しきい値Ts以上の場合(Tout≧Ts)、車線逸脱傾向なしと判定する。
以上のようにステップS3において車線逸脱傾向を判定する。
方向スイッチ信号が示す方向(ウインカ点灯側)と、前記ステップS3で得た逸脱方向Doutが示す方向とが同じである場合、運転者が意識的に車線変更していると判定し、逸脱判断フラグFoutをOFFに変更する(Fout=OFF)。すなわち、車線逸脱傾向なしとの判定結果に変更する。
また、方向指示スイッチ20が操作されていない場合には、操舵角δに基づいて運転者の車線変更の意思を判定する。すなわち、運転者が逸脱方向に操舵している場合において、その操舵角δとその操舵角の変化量(単位時間当たりの変化量)Δδとの両方が設定値以上のときには、運転者が意識的に車線変更していると判定し、逸脱判断フラグFoutをOFFに変更する(Fout=OFF)。
このように、逸脱判断フラグFoutをONである場合において運転者が意識的に車線変更していないときには、逸脱判断フラグFoutをONに維持している。
続いてステップS5において、前記ステップS4の処理の結果、逸脱判断フラグFoutがONの場合、車線逸脱防止のための警報として、音出力又は表示出力をする。
続いてステップS6において、先行車両の走行状態予測に基づいて減速制御の実施の可否の判定を行う。ここでいう減速制御は、後述する車線逸脱防止制御として車両を減速させる減速制御である。このステップS6における判定処理は、図2のフローチャートとは独立(並行)して行われる図5の処理結果に基づいて行われる。
続いてステップS32において、追従対象車両が切り換わったか否かを判定する。例えば、ACCでは、自車レーンの前方を走行する先行車両(以下、自車レーン先行車両という。)から隣接車線を走行する他の車両(以下、隣接車線先行車両という。)に追従対象車両が切り換わった場合、切り換え信号を出力している。このようなことから、当該切り換え信号を検出した場合、追従対象車両が切り換わったと判定する。
続いてステップS7において、推定横変位Xsに基づいて減速制御の実施の可否の判定を行う。具体的には、推定横変位Xsから所定の横変位限界距離(逸脱傾向判定用しきい値)XLを減じて得た減算値(|Xs|−XL)が減速制御判定用しきい値Xβ以上か否かを判定する。
Xs=Tt・V・(φ+Tt・V・β)+X0 ・・・(3)
ここで、Ttは前方注視距離算出用の車頭時間であり、この車頭時間Ttに自車速Vを乗じると前方注視点距離になる。すなわち、車頭時間Tt後の走行車線中央からの横変位推定値が将来の推定横変位Xsとなる。
この(3)式によれば、推定横変位Xsは、例えばヨー角φに着目した場合、ヨー角φが大きくなるほど、大きくなる。
XL=(L−H)/2 ・・・(4)
ここで、Lは車線幅であり、Hは車両の幅である。車線幅Lについては、撮像部13が撮像画像を処理することで得ている。また、ナビゲーション装置14から車両の位置を得たり、ナビゲーション装置14の地図データから車線幅Lを得たりしても良い。
また、推定横変位Xsと横変位限界距離XLとの関係から、推定横変位Xsから所定の横変位限界距離XLを減じて得た減算値(|Xs|−XL)は、車線逸脱傾向を判定のための値を構成する。
続いてステップS8において、車線逸脱防止制御として車両に付与する目標ヨーモーメントMsを算出する。
Ms=K1・X+K2・dx ・・・(5)
ここで、K1は車両諸元から決まる比例ゲインであり、K2は車速Vに応じて変動するゲインである。図9はそのゲインK2の例を示す。この図9に示すように、自車速Vが小さいときには、ゲインK2はある一定の大きい値となり、自車速Vがある値より大きくなると、自車速Vに対してゲインK2は自車速Vの増加に応じて減少する関係となり、自車速Vがさらに大きくなると、ゲインK2はある一定の小さい値となる。
この(5)式により、横変位Xが大きくなるほど、またはその変化量dxが大きくなるほど、目標ヨーモーメントMsは大きくなる。
また、目標ヨーモーメントMsは、逸脱判断フラグFoutがONの場合に算出され、目標ヨーモーメントMsは、逸脱判断フラグFoutがOFFの場合に0に設定される。
Pgf=Kgv・V+Kgx・dx ・・・(6)
このようにステップS9において、車線逸脱防止用の減速度(具体的には目標制動液圧Pgf,Pgr)を得る。
続いてステップS10において、各車輪の目標制動液圧を算出する。すなわち、車線逸脱防止の制動制御の有無に基づいて最終的な制動液圧を算出する。具体的には次のように算出する。
Psfl=Psfr=Pmf ・・・(7)
Psrl=Psrr=Pmr ・・・(8)
ここで、Pmfは前輪用の制動液圧である。また、Pmrは後輪用の制動液圧であり、前後配分を考慮して前輪用の制動液圧Pmfに基づいて算出した値になる。例えば、運転者がブレーキ操作をしていれば、制動液圧Pmf,Pmrはそのブレーキ操作の操作量に応じた値になる。
|Ms|<Ms1の場合
ΔPsf=0 ・・・(9)
ΔPsr=Kbr・Ms/T ・・・(10)
|Ms|≧Ms1の場合
ΔPsf=Kbf・(Ms/|Ms|)・(|Ms|−Ms1)/T ・・・(11)
ΔPsr=Kbr・(Ms/|Ms|)・Ms1/T ・・・(12)
ここで、Ms1は設定用しきい値を示す。また、Tはトレッドを示す。なお、このトレッドTは、簡単のため前後で同じ値にする。また、Kbf,Kbrは、制動力を制動液圧に換算する場合の前輪及び後輪についての換算係数であり、ブレーキ諸元により定まる。
Psfl=Pmf
Psfr=Pmf+ΔPsf
Psrl=Pmr
Psrr=Pmr+ΔPsr
・・・(13)
Psfl=Pmf+Pgf/2
Psfr=Pmf+ΔPsf+Pgf/2
Psrl=Pmr+Pgr/2
Psrr=Pmr+ΔPsr+Pgr/2
・・・(14)
また、この(13)式及び(14)式が示すように、運転者によるブレーキ操作、すなわち制動液圧Pmf,Pmrを考慮して各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出している。そして、制駆動力コントロールユニット8は、このようにして算出した各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を制動流体圧指令値として、制動流体圧制御部7に出力する。
先ず、各センサ等から各種データを読み込むとともに(前記ステップS1)、車速Vを算出する(前記ステップS2)。
続いて、逸脱予測時間Toutに基づいて車線逸脱傾向の判定を行い、車線逸脱傾向があるときには、逸脱判断フラグFoutをONにして、さらに逸脱方向Doutを検出して、また、車線逸脱傾向がないときには、逸脱判断フラグFoutをOFFにする(前記ステップS3)。また、逸脱判断フラグFoutをONにした場合でも、運転者の車線変更の意思を判定し、運転者に車線変更する意思がある場合、逸脱判断フラグFoutをOFFに変更して、運転者に車線変更する意思がない場合、逸脱判断フラグFoutをONに維持する(前記ステップS4)。
一方、車線逸脱防止制御として車両を減速させる減速制御を行うか否かを判定する(前記ステップS6、ステップS7)。すなわち、先ず、先行車両の走行状態予測に基づいて判定をいる(前記ステップS6)。これにより、隣接車線先行車両を追従対象車両として認識している期間中の自車レーン先行車が自車両の接近している場合、減速制御作動判断フラグFgsをONにして、接近していない場合、減速制御作動判断フラグFgsをOFFにする。
そして、減速制御作動判断フラグFgsがONの場合、減速制御の減速度を算出する(前記ステップS9)。一方、車線逸脱防止制御として自車両に付与する目標ヨーモーメントMsを算出する(前記ステップS8)。
ACCが自車レーン先行車両101を追従対象車両と認識して自車両100を追従制御している場合において(同図(a))、自車両100の隣接車線方向へのヨー角が大きくなると、隣接車線先行車両102を自車両100のACCのレーダ16が認識するようになり、ACCによる追従対象車両が自車レーン先行車両101から隣接車線先行車両102に切り換わる(同図(b))。
そして、このように切り換わりが発生する直前に、自車両100では、自車レーン先行車両101の走行状態情報として、自車レーン先行車両101との相対距離及び相対速度等を取得する。そして、そのような自車レーン先行車両101の走行状態情報に基づいて、隣接車線先行車両102を追従対象車両として認識している期間中の自車両100と自車レーン先行車両101との接近度合いを判定する。ここで、同図(b)の点線の示す自車レーン先行車両101のように、自車レーン先行車両101が自車両100に接近している場合、減速制御作動判断フラグFgsをONにする。
これにより、ACCが隣接車線先行車両102を追従対象車両として認識している期間中に自車レーン先行車両101が自車両100に接近している場合でも、車線逸脱防止制御による逸脱防止直後に自車両100が自車レーン先行車両101に接近してしまうのを防止できる(同図(c))。
すなわち、前記実施形態では、自車レーン先行車両から隣接車線先行車両に追従対象車両が切り換わることを前提にしているが、追従対象車両である自車レーン先行車両を単に見失うロストの場合にも本発明を適用できる。
また、前記実施形態では、ACCによる追従制御により自車両が先行車両に追従している場合を説明した。しかし、これに限定されるものではない。例えば、運転者が運転操作して、自車両を先行車両に追従させている状態にある場合でも、本発明を適用することができる。
7 制動流体圧制御部
8 制駆動力コントロールユニット
9 エンジン
12 駆動トルクコントロールユニット
13 撮像部
14 ナビゲーション装置
16 レーダ
17 マスタシリンダ圧センサ
18 アクセル開度センサ
19 操舵角センサ
22FL〜22RR 車輪速度センサ
Claims (7)
- 走行車線に対して自車両が逸脱傾向にあるとき自車両にヨーモーメントを付与することで自車両が走行車線から逸脱するのを防止する車線逸脱防止制御を行う車線逸脱防止装置において、
前記車線逸脱防止制御で自車両の逸脱を防止することで当該自車両に自車レーンの前方を走行する先行車両が接近すると予測した場合、当該車線逸脱防止制御において自車両に付与する減速成分を大きくする補正をすることを特徴とする車線逸脱防止装置。 - 前記先行車両を自車両が追従している追従走行制御中において、前記車線逸脱防止制御で自車両の逸脱を防止することで当該自車両に前記先行車両が接近すると予測したとき、前記減速成分が大きくなるように当該車線逸脱防止制御の制御量を補正することを特徴とする請求項1記載の車線逸脱防止装置。
- 先行車両検出手段で検出した先行車両を追従対象車両と認識して、当該追従対象車両に追従するように自車両を車速制御する車速制御装置と、走行車線に対して自車両が逸脱傾向にあるとき、自車両にヨーモーメントを付与することで自車両が走行車線から逸脱するのを防止する車線逸脱防止制御を行う車線逸脱防止装置とを搭載する車両の走行制御装置において、
前記先行車両検出手段が検出する自車レーンの前方を走行する先行車両の走行状態情報を記憶する走行状態情報記憶手段と、
前記走行状態情報記憶手段が記憶されている前記走行状態情報に基づいて、前記車線逸脱防止制御による逸脱防止後の自車両への先行車両の接近を予測する接近予測手段と、
前記接近予測手段が前記接近を予測した場合、前記車線逸脱防止制御で自車両に付与する減速成分を大きくする補正をする減速成分補正手段と、
を備えることを特徴とする車両の走行制御装置。 - 前記接近予測手段は、前記先行車両検出手段が前記自車レーンの前方を走行する先行車両を検出できなくなった場合、前記先行車両の接近を予測し、前記走行状態情報記憶手段は、前記走行状態情報として前記先行車両と自車両との相対速度及び相対距離を記憶しており、前記接近予測手段は、前記相対速度及び相対距離に基づいて、前記接近を予測することを特徴とする請求項3記載の車両の走行制御装置。
- 前記先行車両検出手段が前記自車レーンの前方を走行する先行車両を検出できなくなった場合とは、前記先行車両検出手段による検出対象が前記自車レーンの前方を走行する先行車両から前記逸脱傾向を示す側の隣接車線を走行する先行車両に切り換わったことによるものであることを特徴とする請求項4記載の車両の走行制御装置。
- 前記走行状態情報記憶手段は、前記走行状態情報として前記先行車両と自車両との相対距離及び相対速度を記憶しており、前記接近予測手段は、前記相対距離及び相対速度に基づいて、前記先行車両と自車両との接近を予測していることを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の車両の走行制御装置。
- 前記車線逸脱防止制御では、左右輪に制動力差を付与することで、前記ヨーモーメントを自車両に付与するとともに、前記自車両へのヨーモーメントの付与とは別に、自車両を減速させており、前記車線逸脱防止制御で自車両に付与する減速成分を大きくする補正は、その減速度を大きくすることで行うことを特徴とする請求項3乃至6の何れか1項に記載の車両の走行制御装置。
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