JP2005041459A - 車線逸脱防止装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車線逸脱防止装置は、走行環境及び逸脱傾向に基づいて、ヨーモーメント分担量及び減速分担量を設定する設定手段(ステップS6)と、設定手段が設定したヨーモーメント分担量に基づいて、自車両の走行車線からの逸脱を回避するための目標ヨーモーメントを算出する目標ヨーモーメント算出手段(ステップS7)と、設定手段が設定した前記減速分担量に基づいて減速制御量を算出する減速制御量算出手段(ステップS8)と、逸脱傾向を検出したときに、目標ヨーモーメント算出手段が算出した目標ヨーモーメントと減速制御量算出手段が算出した減速制御量とに基づいて各車輪の制動力を制御する制動力制御手段(ステップS9)と、を備える。
【選択図】図2
Description
しかしながら、前記特許文献1の技術では、あくまでも走行車線と自車両との位置関係だけを考慮して当該自車両の逸脱を防止しているに過ぎない。そのため、自車両にヨーモーメントが付与されている状態で一時的に自車両が走行車線から逸脱してしまったことを考えた場合、その逸脱先が路肩等の走行用車線外の領域であれば、運転者に不快感を抱かせることもある。一方、この不安感を抱かせるのを抑止するために、早めの逸脱防止制御を行うと、走行車線と追い越し車線との2車線路における走行車線側から追い越し車線側への逸脱の場合も、逸脱先が路肩等の走行用車線外の領域と同じ早めの制御となり、運転者はそれほど不安に感じていないのにもかかわらず、逸脱防止制御をしてしまい、運転者にとって過度な制御であると感じさせ、逆に煩わしく感じさせるおそれがある。
そこで、本発明は、前述の問題に鑑みてなされたものであり、走行中の車線などの走行環境に合わせて車線逸脱防止の内容を変更することで、運転者に煩わしく感じさせることが少ない車線逸脱防止装置の提供を目的とする。
これにより、車線逸脱防止装置は、自車両の逸脱傾向に加え自車両の走行環境をも考慮して、車線逸脱防止のために自車両に付与するヨーモーメントと自車両の減速との分担を決定している。
第1の実施形態は、本発明の車線逸脱防止装置を搭載した後輪駆動車両である。この後輪駆動車両は、自動変速機とコンベンショナルディファレンシャルギヤとを搭載し、前後輪とも左右輪の制動力を独立制御可能な制動装置を搭載している。
図中の符号1はブレーキペダル、2はブースタ、3はマスタシリンダ、4はリザーバであり、通常は運転者によるブレーキペダル1の踏込み量に応じて、マスタシリンダ3で昇圧された制動流体圧を各車輪5FL〜5RRの各ホイールシリンダ6FL〜6RRに供給する。また、マスタシリンダ3と各ホイールシリンダ6FL〜6RRとの間には制動流体圧制御部7が介装されており、この制動流体圧制御部7によって、各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を個別に制御することも可能となっている。
また、この車両には、画像処理機能付きの撮像部13が設けられている。撮像部13は、自車両の車線逸脱傾向検出用に走行車線内の自車両の位置を検出するためのものである。例えば、撮像部13は、CCD(Charge Coupled Device)カメラからなる単眼カメラで撮像するように構成されている。この撮像部13は車両前部に設置されている。
なお、検出された車両の走行状態データに左右の方向性がある場合には、いずれも左方向を正方向とする。すなわち、ヨーレートφ´、横加速度Yg及びヨー角φは、左旋回時に正値となり、横変位Xは、走行車線中央から左方にずれているときに正値となる。
先ずステップS1において、前記各センサやコントローラ、コントロールユニットから各種データを読み込む。具体的には、ナビゲーション装置15が得た前後加速度Xg、横加速度Yg、ヨーレートφ´及び道路情報、各センサが検出した、各車輪速度Vwi、操舵角δ、アクセル開度θt、マスタシリンダ液圧Pmf,Pmr及び方向スイッチ信号、並びに駆動トルクコントロールユニット12からの駆動トルクTw、撮像部15からヨー角φ、横変位X及び走行車線曲率βを読み込む。
前輪駆動の場合
V=(Vwrl+Vwrr)/2
後輪駆動の場合
V=(Vwfl+Vwfr)/2
・・・(1)
ここで、Vwfl,Vwfrは左右前輪それぞれの車輪速度であり、Vwrl,Vwrrは左右後輪それぞれの車輪速度である。すなわち、この(1)式では、従動輪の車輪速の平均値として車速Vを算出している。なお、本実施形態では、後輪駆動の車両であるので、後者の式、すなわち前輪の車輪速度により車速Vを算出する。
続いてステップS3において、走行環境を判定する。具体的には、自車両が走行している道路の種類、自車両の走行車線を検出する。そして、その検出結果から、安全度に基づいた方向の判定をする。判定は、道路情報、すなわち車線数や一般道路か高速道路かを示す道路種別情報や撮像部13が得た画像情報に基づいて行う。図3はその走行環境判定の具体的な処理手順を示す。
続いてステップS13において、撮像部13が得た撮像画像から白線部分(車線区分線部分)を抽出する。ここで、図4に示すように自車両が片側3車線の道路を走行している場合を例に挙げて説明する。この図4に示すように、道路は、左側から第1乃至第4白線LI1,LI2,LI3,LI4により区分されることで、片側3車線の道路として構成されている。このような道路を自車両が走行する場合、車線毎で得られる撮像画像は異なる。さらにその画像中から白線を抽出して構成される画像も、走行車線に応じて異なるものになる。
また、右側車線を自車両100Cが走行している場合、左方向、すなわち隣車線に逸脱するときよりも、右方向、すなわち対向車線に逸脱したときの方が安全度が低くなる。よって、この場合、右側車線を自車両100Cが走行している場合、第1障害物等存在方向Soutが右方向であると判定する(Sout=right)。
また、車線数で比較した場合、左方向が路肩になり、右方向が対向車線になる片側1車線のときがより安全度が低くなる。この場合には、左右両方向が第1障害物等存在方向Soutであると判定する(Sout=both)。
続いてステップS4において、車線逸脱傾向の判定を行う。この判定の処理の処理手順は具体的には図6に示すようになる。
先ずステップS21において、逸脱予測時間Toutを算出する。具体的には、dxを前記横変位Xの変化量(単位時間当たりの変化量)とし、Lを車線幅とし、横変位Xを用いて、下記(2)式により逸脱予測時間Toutを算出する(X,dx,Lの値については図7を参照)。
この(2)式によれば、車線中央(X=0)からXだけ横変位している車両100が、車線中央から距離L/2だけ離れた外側位置領域(例えば路肩)に至るまでの逸脱予測時間Toutを求めることができる。
なお、車線幅Lについては、撮像部13が撮像画像を処理することで得ている。また、ナビゲーション装置15から車両の位置を得たり、ナビゲーション装置15の地図データから車線幅Lを得てもよい。
続いてステップS23において、横変位Xに基づいて逸脱方向Doutを判定する。具体的には、車線中央から左方向に横変位している場合、その方向を逸脱方向Doutにし(Dout=left)、車線中央から右方向に横変位している場合、その方向を逸脱方向Doutにする(Dout=right)。
続いてステップS5において、運転者の車線変更の意図を判定する。具体的には、前記ステップS1で得た方向スイッチ信号及び操舵角δに基づいて、次のように運転者の車線変更の意図を判定する。
方向スイッチ信号が示す方向(ウインカ点灯側)と、前記ステップS4で得た逸脱方向Doutが示す方向とが同じである場合、運転者が意識的に車線変更していると判定し、逸脱判断フラグFoutをOFFに変更する(Fout=OFF)。すなわち、逸脱しないとの判定結果に変更する。
また、方向指示スイッチ20が操作されていない場合には、操舵角δに基づいて運転者の車線変更の意図を判定する。すなわち、運転者が逸脱方向に操舵している場合において、その操舵角δ及びその操舵角の変化量(単位時間当たりの変化量)Δδが設定値以上のときには、運転者が意識的に車線変更していると判定し、逸脱判断フラグFoutをOFFに変更する(Fout=OFF)。
例えば、前記ステップS5で得た逸脱判断フラグFoutのON及びOFFの状態に応じて逸脱の警報を作動させる。例えば、逸脱判断フラグFoutがON(Tout<Ts)になっているが、運転者による操舵操作等により車線逸脱しないと判断できるときには、逸脱の警報を実施する。例えば、音や表示等により警報を行う。
また、逸脱判断フラグFoutがONの場合(Tout<Ts)において、前記ステップS3で得た第1障害物等存在方向Sout及びステップS4で得た逸脱方向Doutに基づいて逸脱回避の制動制御方法も決定する。これについては、後で詳述する。
具体的には、前記ステップS1で得た横変位Xと前記変化量dxとに基づいて、下記(3)式により目標ヨーモーメントMsを算出する。
Ms=K1・X+K2・dx ・・・(3)
ここで、K1,K2は車速Vに応じて変動するゲインである。例えば、図8はその例を示す。この図8に示すように、例えばゲインK1,K2は、低速域で小さい値になり、車速Vがある値になると、車速Vの増加に対応して大きくなり、その後ある車速Vに達すると一定値になる。
Pgf=Kgv・V+Kgx・dx ・・・(4)
そして、前輪用の目標制動液圧Pgfに基づいて、前後配分を考慮した後輪用の目標制動液圧Pgrを算出する。
このようにステップS8において、逸脱回避用の減速度(具体的には目標制動液圧Pgf,Pgr)を得る。
(1)逸脱判断フラグFoutがOFFの場合(Fout=OFF)、すなわち逸脱しないとの判定結果を得た場合、下記(5)式及び(6)式に示すように、各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)をマスタシリンダ液圧Pmf,Pmrにする。
Psfl=Psfr=Pmf ・・・(5)
Psrl=Psrr=Pmr ・・・(6)
ここで、Pmfは前輪用のマスタシリンダ液圧である。また、Pmrは後輪用のマスタシリンダ液圧であり、前後配分を考慮して前輪用のマスタシリンダ液圧Pmfに基づいて算出した値になる。
Ms<Ms1の場合
ΔPsf=0 ・・・(7)
ΔPsr=2・Kbr・Ms/T ・・・(8)
Ms≧Ms1の場合
ΔPsf=2・Kbf・(Ms−Ms1)/T ・・・(9)
ΔPsr=2・Kbr・Ms1/T ・・・(10)
ここで、Ms1は設定用しきい値を示す。また、Tはトレッドを示す。なお、このトレッドTは、簡単のため前後で同じ値にする。また、Kbf,Kbrは、制動力を制動液圧に換算する場合の前輪及び後輪についての換算係数であり、ブレーキ諸元により定まる。
前記ステップS6では、逸脱判断フラグFoutがONである場合において、前記第1障害物等存在方向Soutと前記逸脱方向Doutに基づいて制動制御方法を決定しており、第1障害物等存在方向Soutと逸脱方向Doutとの状態で場合分け(第1のケース〜第3のケース)して制動制御方法を説明する。
ここで、逸脱を回避するために車両に付与するヨーモーメントの大きさが前記目標ヨーモーメントMsになる。そして、車両へのヨーモーメントの付与は、左右の車輪に与える制動力に差をつけることで行う。具体的には、前述したように、目標ヨーモーメントMsが設定用しきい値Ms1未満のときには、左右後輪で制動力差を発生させて、車両に当該目標ヨーモーメントMsを付与し、また、目標ヨーモーメントMsが設定用しきい値Ms1以上のときには、前後左右輪で制動力差を発生させて、車両に当該目標ヨーモーメントMsを付与する。
また、逸脱判断フラグFoutがONからOFFになる場合とは、逸脱傾向がある場合に、逸脱回避のための制動制御が実施されたり、或いは運転者自身が回避操作をしたようなときである。
さらに、前記第1逸脱判断しきい値Ts未満の第2逸脱判断しきい値Tr(Ts>Tr>0)を定義して、この第2逸脱判断しきい値Trよりも逸脱予測時間Toutが小さくなったときに(Tout<Tr)、逸脱回避用ヨー制御に加えて、車両を減速させるための制動制御(以下、逸脱回避用減速制御という。)を行う。この逸脱回避用減速制御は、左右両車輪に同程度の制動力を与えて行う。
さらに、この場合、逸脱予測時間Toutが0になったときに、逸脱回避用ヨー制御に加えて、逸脱回避用減速制御を行う。
例えば、前記第1のケース〜第3のケースの場合における逸脱回避用ヨー制御では、下記(11)式により各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出する。
Psfl=Pmf
Psfr=Pmf+ΔPsf
Psrl=Pmr
Psrr=Pmr+ΔPsr
・・・(11)
Psfl=Pmf+Pgf/2
Psfr=Pmf+ΔPsf+Pgf/2
Psrl=Pmr+Pgr/2
Psrr=Pmr+ΔPsr+Pgr/2
・・・(12)
また、この(11)式及び(12)式が示すように、運転者による減速操作、すなわちマスタシリンダ液圧Pmf,Pmrを考慮して各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出している。
以上が、制駆動力コントロールユニット8による演算処理である。そして、制駆動力コントロールユニット8は、前記ステップS9で算出した各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を制動流体圧指令値として、制動流体圧制御部7に出力する。
先ず、各センサやコントローラ、コントロールユニットから各種データを読み込む(前記ステップS1)。続いて車速Vを算出する(前記ステップS2)。
続いて、走行環境を判定して、安全度が低い方向(第1障害物等存在方向Sout)を決定する(前記ステップS3、図3)。例えば、前記図4において左側車線を自車両100Aが走行している場合、第1障害物等存在方向Soutを左方向にする、といったようにである。
さらに、そのようにして得た逸脱方向Doutと方向スイッチ信号が示す方向(ウインカ点灯側)とに基づいて運転者の車線変更の意図を判定する(前記ステップS5)。
例えば、方向スイッチ信号が示す方向(ウインカ点灯側)と逸脱方向Doutが示す方向とが同じである場合、運転者が意識的に車線変更していると判定する。この場合、逸脱判断フラグFoutをOFFに変更する。
さらに、横変位Xと前記変化量dxとに基づいて目標ヨーモーメントMsを算出し(前記ステップS7)、また、逸脱回避用の減速度を算出する(前記ステップS8)。
第2のケースとは、前述したように、第1障害物等存在方向Soutと逸脱方向Doutとが一致し、かつ道路種別Rが一般道路の場合である。すなわち、図10に示すように、左側が路肩Aになり、右側が対向車線(中央車線LI5側)になるような片側1車線を自車両100が走行している場合において、当該自車両100(図10中最上位置の自車両100)が左方向或いは当該自車両(図10中中間位置の自車両100)が右方向に逸脱する傾向にある場合である。
なお、図10及び図11中、黒塗りしている車輪は、液圧を発生させて制動力が与えられている車輪を示す。すなわち、左右車輪のうちのいずれか一方が黒塗りの車輪の場合、左右車輪で液圧或いは制動力に差がある。この場合、車両にヨーモーメントが付与されることを示す。また、左右車輪が黒塗りの車輪の場合でも、その液圧値に差があるときもあり、この場合には、車両にヨーモーメントが付与されつつ、同時に当該車両が減速制御されていることを示す。このような関係は以降の図面でも同様である。
また、このような逸脱回避のための制動制御とともに、音や表示による警報を行う。例えば、制動制御の開始と同時、或いは制動制御に先立って所定のタイミングで警報を開始する。
前述したように、逸脱判断フラグFoutがON、すなわち逸脱傾向がある場合において、第1障害物等存在方向Soutと逸脱方向Doutとが一致していない場合(前記第1のケース)、逸脱回避用ヨー制御を行っている。一方、逸脱傾向がある場合(逸脱判断フラグFoutがON)でも、第1障害物等存在方向Soutと逸脱方向Doutとが一致した場合(前記第2及び第3ケース)には、逸脱回避用ヨー制御と逸脱回避用減速制御とを組み合わせて逸脱回避のための制動制御を行っている。具体的には、逸脱回避用ヨー制御の開始後、所定のタイミングで逸脱回避用減速制御を介入させている。
また、対向車線側に逸脱する傾向がある場合にも同様に、逸脱回避用ヨー制御を開始した後に、逸脱回避用減速制御を介入させることで、運転者に不安感を抱かせることを防止できる。
また、逸脱回避用ヨー制御の開始後に、ある状況(具体的にはTout<Tr)になったときにのみ逸脱回避用減速制御を介入させることで、逸脱回避のための逸脱回避用減速制御が頻繁に作動してしまうことを防止できる。これにより、逸脱回避のための制御が運転者に煩わしさを与えてしまうことを防止できる。
次にこのような構成を踏まえ、制駆動力コントロールユニット8で行う演算処理手順について説明する。演算処理手順についても、前記第1の実施形態の演算処理手順(前記図2)とほぼ同じであり、特に異なる部分について説明する。
すなわち、ステップS1では、さらにACC用レーダ31、後側方の障害物監視用レーダ32,33、側方の障害物監視用レーダ34,35及び後方の障害物監視用レーダ36からの信号を読み込む。
前記第1の実施形態では、自車両が走行している道路の種類、自車両の走行車線を検出し、その検出結果に基づいて第1障害物等存在方向を得ていた。これに対して、第2の実施形態では、ACC用レーダ31等により得た他の車両や障害物の存在に基づいて安全度が低い方向を得ている。
また、後側方の障害物監視用レーダ32,33から得た情報(後側方に存在する他の車両や障害物の情報)に基づいて、自車両からみて左方向が安全度が低いと判定した場合には、その方向を安全度が低い方向(以下、第3障害物等存在方向という。)RSoutとして(RSout=left)、自車両からみて右方向が安全度が低いと判定した場合には、その方向を第3障害物等存在方向RSoutとする(RSout=right)。すなわち例えば、自車両を追い越そうとしている追い越し車両を右車線側で検出した場合には、右方向を第3障害物等存在方向RSoutと判定する(RSout=right)。
また、側方の障害物監視用レーダ34,35から得た情報(側方に存在する他の車両や障害物の情報)に基づいて、自車両からみて左方向が安全度が低いと判定した場合には、その方向を安全度が低い方向(以下、第4障害物等存在方向という。)SDoutとして(SDout=left)、自車両からみて右方向が安全度が低いと判定した場合には、その方向を第4障害物等存在方向SDoutとする(SDout=right)。すなわち例えば、右車線を他の車両が併走していると判定した場合には、右方向を第4障害物等存在方向SDoutとする(SDout=right)。
また、自車両からみて両方向が安全度が低い場合には、両方向を第4障害物等存在方向SDoutと判定する(SDout=both)。
続いてステップS4〜ステップS9において、前記第1の実施形態と同様に、車線逸脱傾向の判定、運転者の車線変更の意図の判定、制御方法の決定、目標ヨーモーメントの算出、逸脱回避用の減速度の算出及び各車輪の目標制動液圧の算出を行う。以上が、第2の実施形態における制駆動力コントロールユニット8による演算処理になる。
逸脱方向Doutと第2障害物等存在方向Aoutとの関係では次のようになる(第4のケース〜第6のケース)。
(第5のケース) 逸脱方向Doutと第2障害物等存在方向Aoutとが一致している場合、逸脱判断フラグFoutがOFFになるまで、逸脱回避用ヨー制御を行う。
また、ここでは前記逸脱判断しきい値(Ts+dTs1)により車線逸脱傾向を判定する。これにより、前記逸脱判断しきい値(Ts+dTs1)よりも逸脱予測時間Toutが小さくなったときに(Tout<(Ts+dTs1))、逸脱回避用ヨー制御が開始される。
例えば、距離が短いほど、第1設定量dTs1、第2設定量dTs2や減速量を大きくしたりする。このように設定した場合、距離が短いほど、逸脱回避用ヨー制御の開始タイミングが早くなる。また、距離が短いほど、逸脱回避用減速制御による減速度が大きくなる。
(第7のケース) 逸脱方向Doutと第3障害物等存在方向RSoutとが一致していない場合、第1逸脱判断しきい値Tsよりも逸脱予測時間Toutが小さくなったときに(Tout<Ts)、逸脱回避用ヨー制御を行う。
(第8のケース) 逸脱方向Doutと第3障害物等存在方向RSoutとが一致している場合、逸脱判断フラグFoutがOFFになるまで、逸脱回避用ヨー制御を行う。
(第9のケース) 逸脱方向Doutと第4障害物等存在方向SDoutとが一致していない場合、第1逸脱判断しきい値Tsよりも逸脱予測時間Toutが小さくなったときに(Tout<Ts)、逸脱回避用ヨー制御を行う。
(第10のケース) 逸脱方向Doutと第4障害物等存在方向SDoutとが一致している場合、逸脱判断フラグFoutがOFFになるまで、逸脱回避用ヨー制御を行う。
ここで、図15は、前記第10のケースで逸脱回避用ヨー制御を行った場合の車両挙動を示す。前記第10のケースとは、逸脱方向Doutと第4障害物等存在方向SDoutとが一致している場合である。すなわち、図15に示すように、自車両100が右方向に逸脱する傾向にあり、かつ右隣の車線に当該自車両100と併走する他の車両101がいる場合である。このような場合、逸脱回避用ヨー制御を行う。また、このときの逸脱回避用ヨー制御は、通常のタイミングよりも早く作動する。
(第11のケース) 後方車両存在フラグFrearがONになっている場合、すなわち後続車両等を検出した場合、第1逸脱判断しきい値Tsに、ある設定量(以下、第5設定量という。)dTs5を加算した逸脱判断しきい値(Ts+dTs5)を用いて車線逸脱傾向を判定する。これにより、前記逸脱判断しきい値(Ts+dTs5)よりも逸脱予測時間Toutが小さくなったときに(Tout<(Ts+dTs5))、逸脱回避用ヨー制御が開始される。これにより、第5設定量dTs5分だけ、逸脱回避用ヨー制御の開始タイミングが早くなる。
なお、各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)については、前記第1の実施形態と同様に決定する。すなわち、前記第4のケース〜第11のケースにおける制動制御方法を実現するように、各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出する。そして、算出した各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を制動流体圧指令値として、制動流体圧制御部7に出力する。制動流体圧制御部7では、制動流体圧指令値に基づいて、各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を個別に制御する。
前述したように、周囲の車両や障害物に基づいて、逸脱回避用ヨー制御を行っている。例えば、前記第1の実施形態では、片側3車線道路の中央車線を走行している場合には、通常の逸脱回避の制御になるが、この第2の実施形態のように、周囲の車両や障害物に基づいて逸脱回避用ヨー制御を行うことで、片側3車線道路の中央車線を走行している場合でも自車両の走行環境を考慮した逸脱回避の制御が実現できる。
また、前述したように、走行車線からの逸脱が路外への逸脱になってしまうといった特段の事情がない限り、後方(この場合後側方も含む)に他の走行車両が存在する場合には、逸脱回避用減速制御を行わないようにしている。例えば、逸脱回避をするために逸脱回避用減速制御が作動してしまうと、後続の走行車両が自車両に接触してしまう可能性が高くなる。しかし、逸脱回避が必要な場合でも逸脱回避用減速制御を利用しないことで、後続の走行車両が自車両に接触してしまうことを防止できる。
また、前述したように、後側方や後方に他の走行車両が存在する場合に逸脱回避用ヨー制御の開始タイミングを早めれば、早期に逸脱回避のための制御を完了させることができるようになる。これにより、結果的に、逸脱回避用ヨー制御の後の逸脱回避用減速制御の介入をなくすことができる。このようなことから、後側方や後方に他の走行車両が存在する場合に逸脱回避用ヨー制御の開始タイミングを早めることが、それら他の走行車両と自車両との接触防止にもつながる。
この第3の実施形態では、前記第2の実施形態と、制駆動力コントロールユニット8の処理内容が異なっている。すなわち、第2の実施形態では、自車両の後側方又は後方の車両又は障害物の存在の有無に応じて安全度を基準にした方向を判定し、その判定結果に基づいて逸脱回避用ヨー制御や逸脱回避用減速制御による制動制御方法を決定していた。第3の実施形態では、これに加えて、他の車両等に対する相対速度等の相対位置関係をも考慮して、制動制御方法を決定している。
後続車両がいる場合、その後続車との衝突時間TTC(Time To Collision)に基づいて逸脱回避用減速制御を決定する。ここで、衝突時間TTCは、自車両と後続車両との間の相対速度を自車速で割り算した値であり、現在の相対速度のときに何秒後に後続車両が自車両に衝突する危険性があるかを示す指標となる。
そして、この衝突時間TTCが所定時間よりも短い場合、逸脱回避用減速制御による自車両の減速度を小さくする。図17はこれを実現する処理手順を示す。この処理は、制駆動力コントロールユニット8が行う処理になる。
なお、自車両と後続車両との間の距離の測定から衝突時間TTCの算出までの一連の処理を後方の障害物監視用レーダ36が行うようにしてもよい。この場合、後方の障害物監視用レーダ36が種々の計算が可能な演算処理機能を有することになる。
続いてステップS32において、前記ステップS31で算出した衝突時間TTCを後続車衝突時間Tbとおく。
前記ステップS34では、逸脱回避用減速制御による自車両の減速度を小さくする。逸脱回避用減速制御による自車両の減速度を例えば次のようにして小さくする。
Pgf=Pgf×α ・・・(13)
ここで、αは係数であり、例えば0から1の値である(0<α<1)。例えばこのαを後続車衝突時間Tbに基づいて決定する。具体的には、後続車衝突時間Tbが短いほど、αをより小さい値にする。また、前輪用の目標制動液圧Pgfに基づいて、前後配分を考慮した後輪用の目標制動液圧Pgrも算出する。
以上が図17に示す処理手順である。この処理により、後続車両がいる場合において、その衝突時間TTCが所定時間よりも短いときには、逸脱回避用減速制御による自車両の減速度を小さくすることができる。さらに、衝突時間TTCが短いほど、その減速度を小さくすることができる。
例えば、前記図16に示すように、逸脱方向に路肩があることに起因して逸脱回避用減速制御を行っている場合でも、後続車がいるときには、その衝突時間TTCに応じて当該逸脱回避用減速制御による自車両の減速度を小さくすることができる。
自車両の後側方に車両がいる場合、その車両との衝突時間TTCに基づいて逸脱回避のための制御開始タイミングを決定する。ここで、衝突時間TTCは、自車両とその後側方の車両との間の相対速度を自車速で割り算した値であり、現在の相対速度のときに何秒後に後続車が自車両に衝突する危険性があるかを示す指標となる。
なお、自車両と後側方の車両との間の距離の測定から衝突時間TTCの算出までの一連の処理を後側方の障害物監視用レーダ32,33内で行うようにしてもよい。この場合、後側方の障害物監視用レーダ32,33が種々の計算が可能な演算処理機能を有することになる。
続いてステップS43において、前記後側方車衝突時間Tbsと所定のしきい値Tbscとを比較する。ここで、後側方車衝突時間Tbsが所定のしきい値Tbsc未満の場合、ステップS44に進み、後側方車衝突時間Tbsが所定のしきい値Tbsc以上の場合、当該図18に示す処理を抜ける。
以上が図18に示す処理手順である。この処理により、自車両の後側方に車両がいる場合において、その衝突時間TTCが所定時間よりも短いときには、逸脱回避のための制御開始タイミングを早めることができる。
例えば、前記図14に示すように、自車両の後側方に車両がいるときには、その衝突時間TTCに応じて逸脱回避のための制御開始タイミングを早くすることができる。すなわち、逸脱回避のための逸脱回避用ヨー制御や逸脱回避用減速制御の作動タイミングを早くすることができる。
前述したように、後続車両が存在する場合、逸脱回避用減速制御による自車両の減速度を小さくしている。これにより、逸脱回避のために逸脱回避用減速制御が作動した場合でも、その減速度は小さいものになる。よって、後続車両が存在している場合に逸脱回避のために逸脱回避用減速制御を作動させた場合でも、当該後続車両が自車両に接触してしまうことを防止することができる。
また、逸脱回避の制動開始タイミングの変更の有無を、前記後側方車衝突時間Tbs、すなわち自車両と後側方の車両との相対位置関係に基づいて決定している。すなわち、自車両と後側方の車両との相対位置関係からその都度制動開始タイミングの変更の有無を決定している。これにより、制動開始タイミングが不要に早くなることもないので、逸脱回避のための制動制御の作動を運転者が煩わしく感じてしまうことを防止できる。
すなわち、ステップS1、ステップS2及びステップS4において、前記第1の実施形態と同様に、各種データの読み込み、車速の算出及び車線逸脱傾向の判定を行う。そして、このステップS4の後、後述のステップS51に進む。
続いて、ステップS7〜ステップS9において、目標ヨーモーメントの算出、逸脱回避用の減速度の算出及び各車輪の目標制動液圧の算出を行う。そして、各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を制動流体圧指令値として制動流体圧制御部7に出力する。
(第12のケース) 逸脱予測時間Toutが第1逸脱判断しきい値Ts以上の場合でも(Tout≧Ts)、前記横変位Xが所定値Xs以上のとき、すなわち走行車線内の端ぎりぎりの部分を自車両が走行しているとき或いは白線に沿って自車両が走行しているときには、ヨーモーメントが車両に付与されるように制動制御をする。
また、この場合、目標ヨーモーメントMsは、逸脱回避のそれよりも小さい値にしている。例えば、前記ステップS7において、前記(3)式により目標ヨーモーメントMsを算出しているが、その(3)式中のゲインK1をK1´(<K1)に変更することで、目標ヨーモーメントMsを小さい値にする。
ステップS51では、このように制動制御方法を決定する。そして、ステップS9では、この制動制御方法を実現するように、各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を算出し、この算出した目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を制動流体圧指令値として制動流体圧制御部7に出力する。制動流体圧制御部7では、制動流体圧指令値に基づいて、各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を個別に制御する。
前述したように、走行車線内の端ぎりぎりの部分を自車両が走行しているときには、ヨーモーメントを車両に付与している。
例えば、走行車線内の端ぎりぎりの部分を自車両が走行している場合、当該自車両の存在が隣接車線の走行車両の運転者に圧迫感を与えてしまう。また、このような場合、自車両と隣接車線の走行車両とが接触する可能性も高い。
また、この際に自車両に付与するヨーモーメントを逸脱回避のためのそれよりも小さくすることで、そのような報知が運転者に煩わしさを与えてしまうことを防止できる。さらに、付与する大きさの違いにより、そのヨーモーメント(旋回)の付与が逸脱回避のためのものなのか、走行車線内の端ぎりぎりの部分を自車両が走行している報知のためのものなのか、を区別して運転者に知らせることができる。これにより、ヨー制御による違和感や煩わしさを低減することができる。
ここで、ACC用レーダ31は、前述の第2の実施形態で説明したように、自車線に隣接する車線の前方の車両又は障害物についての情報を得る。具体的には、ACC用レーダ31は、前記前方車両等の有無、前方車両等との相対距離Lfrや相対速度Vfrを得る。このACC用レーダ31は、これら前方車両等の有無、相対距離Lfr及び相対速度Vfrを制駆動力コントロールユニット8に出力する。
すなわち、ステップS1、ステップS2及びステップS3において、前記第1の実施形態と同様に、各種データの読み込み、車速の算出及び走行環境の判定を行う。そして、このステップS3の後、新たに設けたステップS61に進む。
すなわち、先ず一定時間ΔTdrowsinessを設定し、その設定時間ΔTdrowsiness毎に、アクセル開度センサ18が検出したアクセル開度θtを取得する。そして、ある時刻におけるアクセル開度θtiと前記設定時間ΔTdrowsiness後のアクセル開度θti+1との差分値を、判定用値θconstを用いて判定する。
θti+1−θti≦θconst ・・・(14)
さらに、アクセル開度θti+1と前記設定時間ΔTdrowsiness後のアクセル開度θti+2との差分値を、判定用値θconstを用いて判定する。
θti+2−θti+1≦θconst ・・・(15)
例えば、Ndrowsinessが3であれば、下記式が成立する。
θti+2−θti+1≦θconst
θti+3−θti+2≦θconst
θti+4−θti+3≦θconst
ここで、前記(15)式に示すような関係を一定回数Ndrowsiness得た場合、運転者状態判断フラグFdrowsinessをONにする(Fdrowsiness=ON)。
Tdrowsiness=ΔTdrowsiness×Ndrowsiness ・・・(16)
さらに、運転者状態判断フラグFdrowsinessがONであり、かつ後述の逸脱判断フラグFoutがONであることが一定回数続くような場合、前記Ndrowsinessを減らす。ここでいう一定回数続く場合とは、例えば直近の所定時間内に一定回数続いた場合である。
ここで、NdrowsinessやΔTdrowsinessの値は、運転者の運転意思がない状態を判定するための所定のしきい値であるので、運転者状態判断フラグFdrowsinessがONであることが一定回数続くような場合に、NdrowsinessやΔTdrowsinessの値を小さくすることで、運転者の運転意思がない状態であると判定し易くなる。
続いて、前述の第1の実施形態と同様に、ステップS4で車線逸脱傾向を判定し、続くステップS5で運転者の車線変更の意図を判定する。
先ず、前述の第1の実施形態と同様な処理を行う。すなわち、方向スイッチ信号が示す方向(ウインカ点灯側)と、前記ステップS4で得た逸脱方向Doutが示す方向とが同じである場合、運転者が意識的に車線変更していると判定し、逸脱判断フラグFoutをOFFに変更する(Fout=OFF)。すなわち、逸脱しないとの判定結果に変更する。また、方向スイッチ信号が示す方向(ウインカ点灯側)と、前記ステップS4で得た逸脱方向Doutが示す方向とが異なる場合、逸脱判断フラグFoutを維持し、逸脱判断フラグFoutをONのままにする(Fout=ON)。すなわち、逸脱するとの判定結果を維持する。また、方向指示スイッチ20が操作されていない場合には、操舵角δに基づいて運転者の車線変更の意図を判定する。すなわち、運転者が逸脱方向に操舵している場合において、その操舵角δ及びその操舵角の変化量(単位時間当たりの変化量)Δδが設定値以上のときには、運転者が意識的に車線変更していると判定し、逸脱判断フラグFoutをOFFに変更する(Fout=OFF)。
前述したように車間自動制御(前記ACC)のシステムが作動している場合、アクセル開度θtiで運転者の運転意思がない状態か否かを判定することは困難である。この場合、前記逸脱判断フラグFoutを用いて、運転者の運転意思がない状態か否かを判定する。具体的には、アクセル開度θtiを検出できない場合(アクセル開度θti=0)に、逸脱判断フラグFoutを用いて、運転者の運転意思がない状態か否かを判定する。例えば、逸脱判断フラグFoutがONになっている場合、運転者の運転意思がない状態と判定し、運転者状態判断フラグFdrowsinessをONにする(Fdrowsiness=ON)。
前述の第1の実施形態では、前記ステップS3で得た第1障害物等存在方向Sout、ステップS4で得た逸脱方向Dout及びステップS5で得た逸脱判断フラグFoutに基づいて、逸脱回避のための制御内容を決定しているが、第5の実施形態では、これらの情報に加えて、ステップS61或いはステップS5で得た運転者状態判断フラグFdrowsinessをも参照して、逸脱回避のための制御内容を決定する。
続いてステップS9において、各車輪の目標制動液圧を算出する。すなわち、逸脱回避の制動制御の有無に基づいて最終的な制動液圧を算出する。ここでは、前記ステップS6の処理に対応して、運転者状態判断フラグFdrowsinessに基づいて次のように最終的な制動液圧を算出する。
以上が、制駆動力コントロールユニット8による演算処理である。そして、制駆動力コントロールユニット8は、前記ステップS9で算出した各車輪の目標制動液圧Psi(i=fl,fr,rl,rr)を制動流体圧指令値として、制動流体圧制御部7に出力する。
前述したように、運転者状態判断フラグFdrowsinessがON、すなわち運転者の運転意思がない状態の場合において、逸脱傾向がある場合、その逸脱傾向に応じて逸脱回避のための制動制御を行っている。これにより、不要に逸脱回避のための制動制御が作動することがなくなり、最適に逸脱を防止できる。
また、前述したように、システム作動スイッチ37がOFFになっている場合でも、逸脱傾向がある場合には逸脱回避のための制動制御を行っている。これにより、確実に逸脱を防止できるようになる。さらに、居眠り運転している場合、自らシステム作動スイッチ37をOFFにしたことを気づかない場合も多い。よって、システム作動スイッチ37がOFFでも、運転者の運転意思がない状態の場合に逸脱回避のための制動制御を行うことはより効果がある。
すなわち、前述の実施形態では、逸脱を回避するためのヨーモーメントが車両に付与されるように制動制御(逸脱回避用ヨー制御)、逸脱を回避するために減速させるための制動制御(逸脱回避用減速制御)との組み合わせ方法、その作動順序、その制御量(ヨーモーメントの大きさ、減速度の大きさ)を具体的に説明した。しかし、これに限定されないことはいうまでもない。
また、前述の実施形態では、横変位X及びその変化量dxに基づいて逸脱予測時間Toutを算出している(前記(2)式参照)。しかし、逸脱予測時間Toutを他の手法により得るようにしてもよい。例えば、ヨー角φ、走行車線曲率β、ヨーレートφ´或いは操舵角δに基づいて逸脱予測時間Toutを得てもよい。
また、前述の実施形態では、横変位X及び変化量dxに基づいて目標ヨーモーメントMsを算出している(前記(3)式参照)。しかし、目標ヨーモーメントMsを他の手法により得るようにしてもよい。例えば、下記(17)式に示すように、ヨー角φ、横変位X及び走行車線曲率βに基づいて目標ヨーモーメントMsを算出してもよい。
ここで、K3,K4,K5は車速Vに応じて変動するゲインである。
また、前述の実施形態では、前輪用の目標制動液圧Pgfを具体的な式を用いて説明している(前記(4)式参照)。しかし、これに限定されるものではない。例えば、下記(18)式により前輪用の目標制動液圧Pgfを算出してもよい。
ここで、Kgφ,Kgβはそれぞれ、ヨー角φ及び走行車線曲率βに基づいて設定する、制動力を制動液圧に換算するための換算係数である。
また、前述の実施形態では、逸脱回避用ヨー制御を実現するために、前輪及び後輪の目標制動液圧差ΔPsf,ΔPsrを算出している(前記(7)式及び(8)式参照)。しかし、これに限定されるものではない。例えば、前輪の目標制動液圧差ΔPsfだけで逸脱回避用ヨー制御を実現してもよい。この場合、下記(19)式により前輪の目標制動液圧差ΔPsfを算出する。
△Psf=2・Kbf・Ms/T ・・・(19)
例えば、前述の第5の実施形態では、アクセル開度θtiに基づいて運転者の運転意思がない状態を検出している。そして、運転者の運転意思がない状態の例として、運転者が居眠りをしている運転状態としている。しかし、運転者の運転意思がない状態が脇見運転をしているような状態であってもよい。
また、例えば運転者によるブレーキ操作や急転舵があった場合に、逸脱回避のための制動制御をキャンセルすることが考えられる。しかし、所定の条件を満たす場合には運転者の運転意思がない状態になっているとして扱い、運転者によるブレーキ操作や急転舵があったときでも、逸脱回避のための制動制御をキャンセルすることなく、当該制動制御の作動を維持するようにする。例えば、車間自動制御(前記ACC)で用いる前方監視レーザによって作動するいわゆるプレビュー機能付きブレーキアシストシステムが、前方車両と障害物との距離、相対速度或いは自車速に基づいてブレーキ操作や急操舵が必要でないと判断している場合において、運転者によるブレーキ操作や急操舵があった場合、その運転操作を運転者の運転意思がない状態のものとして扱い、逸脱回避のための制動制御をキャンセルすることなく、当該制動制御の作動を維持するようにする。
なお、前述の実施形態の説明において、撮像部13、ナビゲーション装置15、ACC用レーダ31、後側方の障害物監視用レーダ32,33、側方の障害物監視用レーダ34,35、後方の障害物監視用レーダ36及び制動力コントロールユニット8における処理(前記ステップS1、ステップS3)は、自車両の走行環境を検出する走行環境検出手段を実現しており、制動力コントロールユニット8の前記ステップS4の処理は、走行車線からの自車両の逸脱傾向を検出する逸脱傾向検出手段を実現しており、制動力コントロールユニット8の前記ステップS6の処理は、前記走行環境検出手段が検出した前記走行環境及び前記逸脱傾向検出手段が検出した前記逸脱傾向に基づいて、ヨーモーメント分担量及び減速分担量を設定する設定手段を実現しており、制動力コントロールユニット8の前記ステップS7の処理は、前記設定手段が設定した前記ヨーモーメント分担量に基づいて、自車両の走行車線からの逸脱を回避するための目標ヨーモーメントを算出する目標ヨーモーメント算出手段を実現しており、制動力コントロールユニット8の前記ステップS8の処理は、前記設定手段が設定した前記減速分担量に基づいて減速制御量を算出する減速制御量算出手段を実現しており、制動力コントロールユニット8の前記ステップS9の処理は、前記逸脱傾向検出手段が前記逸脱傾向を検出したときに、前記目標ヨーモーメント算出手段が算出した前記目標ヨーモーメントと前記減速制御量算出手段が算出した前記減速制御量とに基づいて各車輪の制動力を制御する制動力制御手段を実現している。
7 制動流体圧制御部
8 制駆動力コントロールユニット
9 エンジン
12 駆動トルクコントロールユニット
13 撮像部
15 ナビゲーション装置
17 マスタシリンダ圧センサ
18 アクセル開度センサ
19 操舵角センサ
22FL〜22RR 車輪速度センサ
31 ACC用レーダ
32,33 後側方の障害物監視用レーダ
34,35 側方の障害物監視用レーダ
36 後方の障害物監視用レーダ
37 システム作動スイッチ
Claims (19)
- 自車両の走行環境を検出する走行環境検出手段と、
走行車線からの自車両の逸脱傾向を検出する逸脱傾向検出手段と、
前記走行環境検出手段が検出した前記走行環境及び前記逸脱傾向検出手段が検出した前記逸脱傾向に基づいて、ヨーモーメント分担量及び減速分担量を設定する設定手段と、
前記設定手段が設定した前記ヨーモーメント分担量に基づいて、自車両の走行車線からの逸脱を回避するための目標ヨーモーメントを算出する目標ヨーモーメント算出手段と、
前記設定手段が設定した前記減速分担量に基づいて減速制御量を算出する減速制御量算出手段と、
前記逸脱傾向検出手段が前記逸脱傾向を検出したときに、前記目標ヨーモーメント算出手段が算出した前記目標ヨーモーメントと前記減速制御量算出手段が算出した前記減速制御量とに基づいて各車輪の制動力を制御する制動力制御手段と、
を備えたことを特徴とする車線逸脱防止装置。 - 前記制動力制御手段は、前記走行環境検出手段が検出した走行環境に基づいて、前記目標ヨーモーメントに基づく各車輪の制動力の発生タイミングと、前記減速制御量に基づく各車輪の制動力の発生タイミングとを異ならせることを特徴とする請求項1記載の車線逸脱防止装置。
- 前記制動力制御手段は、前記走行環境検出手段が自車両の逸脱方向に障害物を検出した場合、前記目標ヨーモーメントに基づいて各車輪に制動力を発生させてから、前記減速制御量に基づいて各車輪に制動力を発生させることを特徴とする請求項1又は2に記載の車線逸脱防止装置。
- 前記制動力制御手段は、前記走行環境検出手段が自車両の走行車線の逸脱が路肩又は対向車線のうちの少なくとも一方への逸脱になることを検出した場合、前記目標ヨーモーメントに基づいて各車輪に制動力を発生させてから、前記減速制御量に基づいて各車輪に制動力を発生させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の車線逸脱防止装置。
- 前記制動力制御手段は、前記走行環境検出手段が自車両が走行する道路が片側1車線の道路であることを検出した場合、前記目標ヨーモーメントに基づいて各車輪に制動力を発生させてから、前記減速制御量に基づいて各車輪に制動力を発生させることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の車線逸脱防止装置。
- 前記制動力制御手段は、前記逸脱傾向検出手段が前記逸脱傾向を検出したときには所定のタイミングで前記制動力を発生させるものであり、
前記走行環境検出手段が検出した走行環境に基づいて、前記所定のタイミングを設定するタイミング設定手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の車線逸脱防止装置。 - 前記タイミング設定手段は、前記逸脱傾向検出手段が検出した逸脱傾向を示す方向に前記走行環境検出手段が障害物を検出した場合、前記制動力を発生させるタイミングを早くする方向に変更することを特徴とする請求項6記載の車線逸脱防止装置。
- 前記障害物が自車両以外の車両であることを特徴とする請求項7記載の車線逸脱防止装置。
- 前記タイミング設定手段は、自車両の後側方を走行している他の車両が自車両の側方に達する時間よりも、前記他の車両の走行車線側に自車両が逸脱するまでの時間の方が短い場合、前記制動力を発生させるタイミングを早くする方向に変更することを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の車線逸脱防止装置。
- 前記設定手段は、前記走行環境検出手段が自車両の後方に他の車両を検出した場合、前記減速制御量を小さい値に変更することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の車線逸脱防止装置。
- 前記設定手段は、前記他の車両と自車両との相対速度を自車速で除算して得た値が小さいほど、前記減速制御量を小さい値にすることを特徴とする請求項10記載の車線逸脱防止装置。
- 前記制動力制御手段は、前記走行環境検出手段が自車両が車線区分線に沿って走行していることを検出した場合、当該自車両の走行状態を前記各車輪の制動力の制御により報知することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の車線逸脱防止装置。
- 前記逸脱傾向検出手段は、自車両が走行車線を逸脱するまでの時間を予測して、その予測時間が所定時間未満の場合、自車両が逸脱傾向にあることを検出することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の車線逸脱防止装置。
- 前記制動力制御手段は、運転者の運転意思がない場合、各車輪の制動力を制御することを備えたことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の車線逸脱防止装置。
- 運転者の運転意思がない状態を所定のしきい値を用いて判定しており、
前記運転者の運転意思がない状態になっているとの判定結果を所定の回数得た場合、前記所定のしきい値を変更することで、運転者の運転意思がない状態と判定し易くすることを特徴とする請求項14記載の車線逸脱防止装置。 - 前記逸脱を回避するための制動制御の作動を運転者がオン及びオフするための逸脱回避制御オンオフ操作手段を備えており、
前記逸脱回避制御オンオフ操作手段により前記逸脱を回避するための制動制御がオフになっている場合でも、前記逸脱を回避するための制動制御を行うことを特徴とする請求項14又は15に記載の車線逸脱防止装置。 - アクセル開度の変動が所定量以下であることが所定時間継続した場合を、前記運転者の運転意思がない場合とすることを特徴とする請求項14乃至16のいずれかに記載の車線逸脱防止装置。
- 前方物体と自車両との状態に基づいて運転者の運転操作が不要であるにもかかわらず、運転者が運転操作をした場合を、前記運転者の運転意思がない場合とすることを特徴とする請求項14乃至16のいずれかに記載の車線逸脱防止装置。
- 自動車速制御が作動中であり、かつ車線変更の意思がなく、かつ操舵操作がなされていない場合を、前記運転者の運転意思がない場合とすることを特徴とする請求項14乃至16のいずれかに記載の車線逸脱防止装置。
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