JP2007001075A - インクジェットヘッドの製造方法およびインクジェットヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】インクジェットヘッド形成の際に、しわなどの変形を防止しながら厚さの薄い振動板を熱圧着することができるインクジェットヘッドの製造方法、およびその方法で製造されたインクジェットヘッドを提供することを目的とする。
【解決手段】
振動板4を固定部材本体330の外側面に密着させ、振動板4の両端側のそれぞれを固定部材本体330と外部固定部材340との間に挟持して、振動板固定部材313に振動板4を固定する振動板固定工程と、積層部材2の開口部を振動板固定部材313に対向させて配置する配置工程と、振動板固定部材313および積層部材2を加熱する加熱工程と、加熱された振動板固定部材313を、加熱された積層部材2の開口部を覆うように振動板4を介して押圧し熱圧着する熱圧着工程とを具備し、振動板4の変形を防止しながら拡散接合できる。
【選択図】図9
【解決手段】
振動板4を固定部材本体330の外側面に密着させ、振動板4の両端側のそれぞれを固定部材本体330と外部固定部材340との間に挟持して、振動板固定部材313に振動板4を固定する振動板固定工程と、積層部材2の開口部を振動板固定部材313に対向させて配置する配置工程と、振動板固定部材313および積層部材2を加熱する加熱工程と、加熱された振動板固定部材313を、加熱された積層部材2の開口部を覆うように振動板4を介して押圧し熱圧着する熱圧着工程とを具備し、振動板4の変形を防止しながら拡散接合できる。
【選択図】図9
Description
本発明は、金属製薄板の積層部材などで構成されるインクジェットヘッド構成部材に振動板を熱圧着するのに適したインクジェットヘッドの製造方法、およびその製造方法によって製作されたインクジェットヘッドに関する。
インクジェット印刷機におけるノズル(インク吐出孔)は、印刷密度を向上させるために、微小間隔に複数配置され、そのノズルには、微量のインクを導くための配管部が接続されている。この配管部をパイプで形成した場合には、インクジェット印刷機の極小化を図ることが困難であった。そこで、パイプを用いずに、所定位置に所定形状の開口が形成された薄板を複数枚積層し、熱圧着して積層部材を製作することで、インク流路を形成する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、上記のように薄板を複数枚積層して構成されたインクジェットヘッドでは、電圧の負荷により体積が変化して伸縮する圧電素子を利用して、インクをノズルから噴出させる構成を採用するものがある。この場合、圧電素子は、インク流路壁としても機能する振動板、およびフレキシブルプリント配線板(FPC)を介して配置される。この際、圧電素子の伸縮を効果的に利用するために、振動板の厚さは、薄い方が望ましい。
しかしながら、振動板の厚さを薄くすると、熱圧着処理によって、振動板が、空隙となっている流路側に窪んだ状態に変形したり、しわ状に変形したりすることがあった。これによって、フレキシブルプリント配線板を介して圧電素子を振動板の外側面に適切に設置することが困難となるとともに、圧電素子からの振動が減衰して、各ノズルからインクを均一に吐出することが困難となっていた。
そこで、従来においては、振動板の変形を抑制するために、振動板の厚さを増加させたりしていた。また、熱圧着処理を施す場合には、比較的低温によって熱圧着を施したり、熱圧着後に変形した振動板の外側面を研磨したりしていた。
特開2003−290935号公報
上記したように、振動板の変形を抑制するために、振動板の厚さを増加させることは、圧電素子の駆動振動の減衰率が高くなり、圧電素子の振幅を効果的に利用することができないという問題があった。また、比較的低温によって熱圧着を施すことで、接合ムラが発生しやすくなるという問題があった。さらに、熱圧着後に変形した振動板の外側面を研磨することによって、振動板を破損するという問題があった。
そこで、本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、インクジェットヘッド形成の際に、しわなどの変形を防止しながら厚さの薄い振動板を熱圧着することができるインクジェットヘッドの製造方法、およびその方法で製造されたインクジェットヘッドを提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明のインクジェットヘッドの製造方法は、インクジェットヘッド構成部材の側面に開口したインク流路の開口部を覆うように振動板を熱圧着するインクジェットヘッドの製造方法であって、前記振動板を、平面からなる一端面を有する固定部材の前記一端面に密接させ、前記振動板の端部を前記固定部材の前記一端面に隣り合った側面に挟持して固定する振動板固定工程と、前記固定部材の一端面に面する平行な位置に、前記インクジェットヘッド構成部材の開口部が位置するように前記インクジェットヘッド構成部材を配置するインクジェットヘッド構成部材配置工程と、前記振動板を固定した固定部材および前記インクジェットヘッド構成部材を加熱する加熱工程と、前記加熱された固定部材を、前記加熱されたインクジェットヘッド構成部材の開口部を覆うように前記振動板を介して押圧し、前記振動板を前記インクジェットヘッド構成部材に熱圧着する熱圧着工程とを具備することを特徴とする。
このインクジェットヘッドの製造方法によれば、固定部材が加熱され、熱膨張することで、固定部材の一端面に密接させて固定された振動板を伸張させ、その振動板が伸張した状態で、インクジェットヘッド構成部材の開口部を覆うように熱圧着されるので、しわなどを形成することなく振動板を熱圧着することができる。
本発明のインクジェットヘッドは、上記したインクジェットヘッドの製造方法によって製作されたことを特徴とする。
このインクジェットヘッドによれば、振動板を変形させることなく熱圧着できるので、各インク吐出孔から均一な量のインクを吐出することができる。
本発明のインクジェットヘッドの製造方法によれば、インクジェットヘッド形成の際に、しわなどの変形を防止しながら厚さの薄い振動板を熱圧着することができる。
以下、本発明の一実施の形態について図を参照して説明する。
図1は、本発明に係る一実施の形態のインクジェットヘッドの製造方法によって製作されたインクジェットヘッド1の全体の概略構成を示す斜視図である。図2は、図1のインクジェットヘッド1の構造を分解して示す斜視図であり、図3は、図1のインクジェットヘッド1の底面の構成を示す平面図であり、図4は、図1のインクジェットヘッド1の上面の構成を示す平面図である。
なお、ここでは、インクジェットヘッド1として、複数の流路形成積層板を積層して形成されるものを一例として説明するが、この構成に限られるものではない。例えば、インクジェットヘッド構成部材として機能し、側面にインク流路の一部が開口するように形成された積層構造以外の構造を有する金属部材などで形成されたインクジェットヘッド1などでもよい。
図1に示すように、インクジェットヘッド1は、インクジェットヘッド構成部材として機能する金属製の積層部材2を具備している。この積層部材2は、図2に示すように、複数種(図2に示す例では大別して5種)の金属製の第1流路形成積層板21〜第5流路形成積層板25を複数枚(例えば、25〜250枚)積層して構成されている。これらの第1流路形成積層板21〜第5流路形成積層板25は、厚さが例えば0.02mm〜0.2mmの金属製(例えば、SUS304等)の板材から構成されており、これらを拡散接合等によって圧着することにより、ブロック状に形成されている。また、第1流路形成積層板21〜第5流路形成積層板25に開口されたインク流路は、例えば、エッチング加工やブラスト加工によって形成される。
また、積層部材2の底面には、図2および図3に示すように、複数のインク吐出孔3a(直径、例えば0.01mm〜0.1mmの孔)が形成されたオリフィスプレート3が拡散接合等によって接合されている。このオリフィスプレート3は、積層部材2と同一の材料(例えば、SUS304等)から構成されており、厚さが例えば0.05mm〜0.2mmとされている。また、図3に示すように、インク吐出孔3aは、1列形成され、例えば、パンチング加工やレーザ加工、エッチング加工によって形成される。
また、積層部材2の両面には、図2に示すように、振動板(箔)4が、拡散接合等によって接合されている。この振動板4は、積層部材2と同一の材料(例えば、SUS304等)から構成されており、厚さが例えば0.01mm〜0.05mmとされている。また、振動板4は、レーザ加工やエッチング加工によって形成される。
振動板4の外側面には、接着剤(例えば、メチルシアノアクリレートやエポキシ系、アクリル系の接着剤)等によって、所定形状の導体パターンが形成されたフレキシブルプリント基板(FPC)5が貼着されており、このフレキシブルプリント基板5には、圧電素子6が熱圧着接合等により接合されている。圧電素子6は、材質がPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等から構成されており、厚さが例えば、0.5mm〜2mmとされている。この圧電素子6には、各インク吐出孔3aにそれぞれ対応した電極が、蒸着等の方法で形成されており、これらの電極は、フレキシブルプリント基板5に形成された導体パターンと電気的に接続されている。
図2に示される、第1流路形成積層板21〜第5流路形成積層板25は、中央部に配置される第1流路形成積層板21から積層方向両側に向けて、一方がインク吐出孔3aの奇数列の流路を形成するように、他方がインク吐出孔3aの偶数列の流路を形成するように配置されている。そして、これらの両側のインク流路は、一方側と他方側とが、図3に示されるインク吐出孔3aのように、同一直線上に形成されるようになっている。
上記した中央部に配置される第1流路形成積層板21には、インク供給流路201、インク溜め部202、インク吐出部207を形成するための開口部が設けられている。また、第1流路形成積層板21の外側に配置される第2流路形成積層板22には、インク供給流路201、インク溜め部202を形成するための開口部と、下側インク流路206を形成するための開口部が設けられている。
この第2流路形成積層板22の外側に配置される第3流路形成積層板23には、下側インク流路206と、上側共通インク流路203とを形成するための開口部が設けられている。また、この第3流路形成積層板23の外側に配置される第4流路形成積層板24には、下側インク流路206と、上側個別インク流路204とを形成するための開口部が設けられている。
そして、最も外側に配置される第5流路形成積層板25には、上下方向インク流路205を形成するための開口部が設けられている。
上記した構成の第1流路形成積層板21〜第5流路形成積層板25を、所定の順序で、所定枚数積層し、拡散接合することにより、積層部材2内には、インク供給流路201からインク吐出部207に至るインク流路が、積層方向中央部から両側に向けて形成される。そして、図1および図4に示すように、積層部材2の上側に、インク供給孔2aが開口した状態となる。
積層部材2へのインクの供給は、インク供給孔2aから行われる。そして、このインク供給孔2aから供給されたインクは、インク供給流路201を通って、インク溜め部202に導入され、このインク溜め部202から、上側共通インク流路203、上側個別インク流路204、上下方向インク流路205、下側インク流路206をこの順で通過して、インク吐出部207内にまで充填される。
そして、上記のように積層部材2内にインクが充填された状態で、フレキシブルプリント基板5を介して、圧電素子6に駆動信号が加わると、駆動信号が加わった部分の圧電素子6が変形することによって対応する部分の振動板4が振動し、対応する部分の上下方向インク流路205内のインクを押圧し、オリフィスプレート3の対応するインク吐出孔3aから所定量のインクが吐出されるようになっている。
次に、上記した積層部材2の両側面の上下方向インク流路205の開口部を覆うように振動板4を拡散接合して、インクジェットヘッド1を製造する方法について、図5〜10を参照して説明する。
図5には、拡散接合を行う熱圧着装置300の概要図を示している。また、図6は、振動板4を振動板固定部材313に固定した状態を示した断面図である。また、図7および図8には、上下方向インク流路205の開口部を覆うように振動板4を拡散接合する概要を説明するための図を示している。さらに、図9には、拡散接合時における接合部の断面の一部を模式的に示している。また、図10には、振動板4における上下方向インク流路205の開口部を覆うように積層部材2に拡散接合された以外の領域の切り離しを説明するための図を示している。
図5に示すように、この熱圧着装置300は、炉310と、この炉310の床上に設置された支え台311と、この支え台311上に設置されたあて板312と、このあて板312上に配置された積層部材2を上方から支え台311側に押圧する振動板固定部材313が取り付けられた圧着冶具314と、この圧着冶具314を駆動するアクチュエータ315とから主に構成されている。
炉310は、熱圧着を行う高温加熱が可能な炉であって、炉310内の温度を最大1300℃程度まで上昇させることができる。また、炉310内を真空状態にして加熱することも可能であり、または炉310内を、例えば、窒素などの不活性ガス雰囲気にして加熱することも可能である。ここで、炉310内を真空状態にして、振動板4を拡散接合する場合には、接合強度が高いという利点があり、また、不活性ガス雰囲気にして、振動板4を拡散接合する場合には、短時間で処理が終了するという利点がある。
圧着冶具314は、振動板固定部材313に固定された振動板4を、積層部材2の上下方向インク流路205の開口部を覆うように、上方から支え台311側に押圧する部材である。この圧着冶具314は、アクチュエータ315によって駆動される。
図6に示すように、振動板固定部材313は、平面からなる一端面330aを有する固定部材本体330と、この固定部材本体330の一端面330aに隣り合った側面330b、330bと振動板4を挟持する外部固定部材340とから構成されている。また、固定部材本体330は、本体内部部材331と、この本体内部部材331の振動板4と接触する側に形成された剥離層332とから構成されている。一方、外部固定部材340は、外部本体341と、その外部本体341の振動板4と接触する側に形成された剥離層342とから構成されている。
ここで、固定部材本体330を構成する本体内部部材331は、例えば、振動板4を構成するSUS304の線膨張係数(例えば、20〜100℃で17×10−6/K)よりも大きな線膨張係数を有する材料で形成され、具体的にはジュラルミン(線膨張係数;例えば、20〜100℃で23×10−6/K)などの金属が用いられる。また、ここでは、本体内部部材331を直方体に形成し、圧着冶具314と、例えば、ねじなどによって固定している。
また、本体内部部材331の振動板4と接触する側に形成された剥離層332は、例えば、ステンレス鋼にアルミニウムを含有させた析出硬化型ステンレス鋼などで形成される。この析出硬化型ステンレス鋼として、具体的には、日本冶金製の430A、日本高周波鋼業製のKTA17−7、KMS18−14、KMS18−17、日新製鋼製のNCA1、日本金属製のSUS631、日本金属工業製のNTK405、NTK631、NTKNY−80A等を使用することができる。なお、剥離層332を形成する材料の線膨張係数は、本体内部部材331の線膨張係数と同じ程度であることが好ましい。この剥離層332は、振動板4を固定する前に、炉310内で、1000℃程度に加熱されることにより、その表面にアルミニウムを析出し、析出したアルミニウムが酸化アルミニウム(アルミナ;Al2O3)の層を形成する。この層の形成によって、振動板4との溶着が防止される。また、剥離層332が形成する一端面330aは、このあて板312上に配置された積層部材2の上下方向インク流路205の開口部に面して設置され、さらに、上下方向インク流路205の開口部が形成された面と略平行に配置されている。
また、剥離層332における一端面330aと側面330b、330bとは、例えば90度などの所定の角度を有する交角部を形成するが、この一端面330aと側面330b、330bとが交わる部分を曲率(R部)を有して形成してもよい。このR部を有することで、振動板4を拡散接合する際に、例えば、一端面330aと側面330b、330bとの交角部において剥離層332が切断されるなどの不都合を防止することができる。なお、一端面330aと側面330b、330bとが交わる部分を曲率(R部)を有して形成する場合には、平面を形成する一端面330aが、振動板4を拡散接合する積層部材2の接合面よりも広くなるように、つまり、R部が接合面の外側に位置するように構成される。これによって、積層部材2の接合面には、平面からなる一端面330aが、振動板4を介して接することになり、振動板4を積層部材2の接合面に均一に押圧して拡散接合することができる。なお、剥離層332は、本体内部部材331にねじ止めなどによって固定される。
また、外部固定部材340は、振動板4の両端側のそれぞれを振動板固定部材313と挟持するもので、外部固定部材340を構成する外部本体341は、ジュラルミンなどの材料で形成される。この外部本体341の振動板4と接触する側に形成された剥離層342は、上記した剥離層332と同じ材料で形成される。また、剥離層332の場合と同様に、剥離層342は、振動板4を固定する前に、炉310内で、1000℃程度に加熱し、その表面に酸化アルミニウム(アルミナ;Al2O3)の層を形成してから使用される。この層の形成によって、振動板4との溶着が防止される。なお、剥離層342は、外部本体341にねじ止めなどによって固定される。また、外部固定部材340は、固定部材本体330に、例えば、ねじ止めなどで固定され、これによって、振動板4を固定部材本体330と外部固定部材340との間に挟持することができる。ここで、振動板4の両端側のそれぞれを固定部材本体330と外部固定部材340との間に挟持する際、振動板4が大きくたるむことがないように、振動板4を固定部材本体330の外側面に密着させている。
また、振動板4と接触する剥離層332の一端面330a、側面330b、330b、および剥離層342の接触面は、鏡面仕上げされていることが好ましい。これらの面を鏡面仕上げすることで、振動板4におけるこれらの面との接触面に傷がつくのを防止することができる。特に、一端面330aと接触する振動板4の接触面における傷の発生を防止することで、振動板4とフレキシブルプリント基板5との接合部における気泡の介在を防止することができる。なお、振動板4が拡散接合される積層部材2の接合面も、鏡面仕上げされていることが好ましい。積層部材2の接合面を鏡面仕上げすることで、振動板4との拡散接合を的確に行うことができる。
あて板312は、支え台311と積層部材2との間に介在し、積層部材2が支え台311と溶着するのを防止する部材である。また、あて板312は、剥離層332と同じ上記した材料で形成される。また、剥離層332の場合と同様に、あて板312は、積層部材2を設置する前に、炉310内で、1000℃程度に加熱し、その表面に酸化アルミニウム(アルミナ;Al2O3)の層を形成してから使用される。この層の形成によって、積層部材2との溶着が防止される。
なお、あて板312上に設置される積層部材2の位置決めを容易に行うために、例えば、支え台311上に設置されたあて板312の表面に、積層部材2の形状に対応させた均一な深さの溝部等を形成してもよい。なお、容易に積層部材2の位置決めを行う方法は、溝部を形成することに限られず、所定の位置に積層部材2を容易に設置できる構成ならばよい。
次に、図6〜図9を参照して、振動板4を積層部材2の側面に拡散接合する方法について具体的に説明する。
まず、積層部材2をあて板312上に設置する前、および振動板4を振動板固定部材313に固定する前に、あて板312および振動板固定部材313を炉310内において1100℃で360分程度熱し、あて板312および振動板固定部材313の剥離層332、342の表面に、アルミニウムを析出させ、そのアルミニウムが酸化した酸化アルミニウム層(アルミナ層)である層を形成する。
続いて、あて板312上の所定の位置に積層部材2を配置する。さらに、前述したように、振動板4が大きくたるむことがないように、振動板4を固定部材本体330の外側面に密着させ、振動板4の両端側のそれぞれを固定部材本体330と外部固定部材340との間に挟持して、振動板固定部材313に振動板4を固定する。
続いて、炉310内を加熱し、炉310内の温度を850℃に設定する。そして、その設定温度を20分維持する。この加熱によって、図6に示すように、振動板固定部材313を構成する本体内部部材331および振動板4は、熱膨張して伸張する。図6には、その伸張する方向のうちの一方向について矢印で示している。図6に示すように、本体内部部材331が体積膨張するので、本体内部部材331の各面は、その面積を拡大するように伸張する。また、剥離層332は、本体内部部材331の伸びに追従して伸びる。この際、前述したように、本体内部部材331を形成する材料は、振動板4を形成する材料よりも線膨張係数が大きいため、本体内部部材331の伸び、つまり固定部材本体330の伸びの方が、振動板4の伸びよりも大きくなり、振動板4は、固定部材本体330によって伸張される。この結果、振動板4は、固定部材本体330の外側面に、しわなどを形成することなく伸張された状態で接する。
続いて、アクチュエータ315によって圧着治具314を下降させ、振動板固定部材313に伸張した状態で固定されている振動板4を、上下方向インク流路205の開口部を覆うように積層部材2の接合面に押圧する。
続いて、この状態で、炉310内の温度を950〜1050℃で2時間維持し、振動板4を積層部材2の接合面に拡散接合した後、24時間の除冷処理を行う。なお、この設定温度および加熱時間は、積層部材2および振動板4を形成する材料や厚さ、大きさなどの形状を考慮して適宜に設定可能である。
上記した処理工程を実施することで、振動板4が積層部材2の上下方向インク流路205の開口部を有する側面に拡散接合される。
次に、図9を参照して、上記した加熱処理中におけるインク流路内の状態を説明する。
上記したように、炉310内を加熱することで、固定部材本体330に伸張した状態に固定された振動板4は、上下方向インク流路205の開口部を覆うように積層部材2の接合面に当接した後も、伸張した状態が維持される。これによって、振動板4が、上下方向インク流路205側に窪んだ状態に変形したり、しわ状に変形したりすることがない。
そして、振動板4は、この伸張した状態を維持したまま、積層部材2の接合面に拡散接合される。また、除冷処理工程においても、この伸張した状態が徐々に緩和されるため、振動板4が、上下方向インク流路205側に窪んだ状態に変形したり、しわ状に変形したりすることがない。
冷却後、図10に示すように、積層部材2の形状に対応させて、振動板4に形成された切り離し部400で振動板4を切断することで、振動板4の不要部分401を取り除く。ここで、切り離し部400は、積層部材2の形状に対応させて、振動板4の所定の領域に形成された、例えばミシン目などで構成される。なお、切り離し部400の構成は、これに限られるものではなく、容易に振動板4の不要部分401を取り除ける構成ならばよい。
また、上記した積層部材2の接合面と異なる側にも、上下方向インク流路205の開口部を有する場合には、上記した方法で、その異なる側の上下方向インク流路205の開口部を覆うように振動板4を拡散接合する。
続いて、振動板4上には、一方の面に圧電素子6が異方性導電ファイル(ACF)を用いて熱圧着されたフレキシブルプリント基板5が、接着剤により接着されインクジェットヘッド1が形成される。なお、振動板4上にフレキシブルプリント基板5を接着する際、フレキシブルプリント基板5を振動板4側に押圧して接着される。
以上説明したように、本発明に係る一実施の形態では、振動板4を固定する振動板固定部材313の本体内部部材331を形成する材料を、振動板4を形成する材料よりも線膨張係数が大きい材料で構成しているため、加熱した際、本体内部部材331の伸び、つまり固定部材本体330の伸びの方が、振動板4の伸びよりも大きくなり、振動板4を固定部材本体330によって伸張することができる。これによって、振動板4は、固定部材本体330の外側面に、しわなどを形成することなく伸張された状態で接することができ、拡散接合の際の振動板4におけるしわ状の変形などを防止することができる。
また、固定部材本体330に伸張した状態に固定された振動板4は、上下方向インク流路205の開口部を覆うように積層部材2の接合面に当接した後も、伸張した状態が維持されるので、振動板4が、上下方向インク流路205側に窪んだ状態に変形したり、しわ状に変形したりすることを防止することができる。
また、上記したインクジェットヘッドの製造方法で製作されたインクジェットヘッド1においては、変形を有しない振動板4が形成されるため、フレキシブルプリント基板5の接合や、フレキシブルプリント基板5を介しての圧電素子6の接合を的確に行うことができる。これによって、圧電素子6の伸縮による変動を振動板4に的確に伝達し、各インク吐出孔3aから均一な量のインクを吐出することができる。
また、上記した一実施の形態では、図5に示すように、振動板4の両端側のそれぞれを固定部材本体330と外部固定部材340との間に挟持して、振動板固定部材313に振動板4を固定しているが、振動板4の固定方法はこれに限られるものではない。例えば、図5に示した、外部固定部材340、340に加えて、これらに垂直な位置にさらに2つの外部固定部材を設けて、振動板4を4方向から挟持するように構成してもよい。なお、この場合には、増設された外部固定部材に対応する固定部材本体330の表面は、剥離層で構成される。また、振動板4には、増設された外部固定部材に挟持される端部が形成され、さらに、積層部材2の形状に対応した切り離し部400が形成される。このように、振動板4を4つの方向から挟持することによって、各方向により均一に振動板4を伸張することができ、拡散接合の際の振動板4におけるしわ状の変形などを防止することができる。
また、積層部材2として、両側面に上下方向インク流路205の開口部を有する形態のものを例にして説明したが、例えば、一側面にのみ上下方向インク流路の開口部を有する形態の積層部材にも、本発明は適用することができる。この場合にも、上記した作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
また、上記した拡散接合方法で、振動板4を積層部材2の側面に拡散接合する際、インク流路に内圧をかけて、振動板4をインク流路内から振動板固定部材313の剥離層332の一端面330aに押圧しながら拡散接合してもよい。
この振動板4を剥離層332の一端面330aに押圧する方法として、例えば、インク供給孔2a以外の、例えばインク吐出孔3aなどのインク流路を気密に封鎖し、振動板4を積層部材2に押圧した状態で、インク供給孔2aから圧縮された空気や不活性ガスをインク流路内に供給することなどが挙げられる。この方法を採用することで、拡散接合の際、振動板4が、上下方向インク流路205側に窪んだ状態に変形したり、しわ状に変形したりすることをさらに効果的に防止することができる。
(他の実施の形態)
ここで、上記した一実施の形態では、図10に示すように、振動板4は、積層部材2の長手方向の両端側に、固定部材本体330と外部固定部材340によって挟持される不要部分401を有する構成となっているが、この構成に限られるものではない。
ここで、上記した一実施の形態では、図10に示すように、振動板4は、積層部材2の長手方向の両端側に、固定部材本体330と外部固定部材340によって挟持される不要部分401を有する構成となっているが、この構成に限られるものではない。
例えば、図11に示すように、積層部材2の短手方向の両端側に、固定部材本体330と外部固定部材340によって挟持される不要部分401aを有するように振動板4aを構成してもよい。また、切り離し部400aは、積層部材2の形状に対応して形成されている。
また、図12に、この場合の拡散接合時における接合部の断面の一部を模式的に示す。
上記した振動板4を用いる場合と同様に、炉310内を加熱することで、固定部材本体330に伸張した状態に固定された振動板4aは、上下方向インク流路205の開口部を覆うように積層部材2の接合面に当接した後も、伸張した状態が維持される。これによって、振動板4aが、上下方向インク流路205側に窪んだ状態に変形したり、しわ状に変形したりすることがない。なお、この場合には、振動板4aは、不要部分401aの方向、つまり、積層部材2の短手方向に伸びる。
上記した振動板4を用いる場合と同様に、炉310内を加熱することで、固定部材本体330に伸張した状態に固定された振動板4aは、上下方向インク流路205の開口部を覆うように積層部材2の接合面に当接した後も、伸張した状態が維持される。これによって、振動板4aが、上下方向インク流路205側に窪んだ状態に変形したり、しわ状に変形したりすることがない。なお、この場合には、振動板4aは、不要部分401aの方向、つまり、積層部材2の短手方向に伸びる。
そして、振動板4aは、この伸張した状態を維持したまま、積層部材2の接合面に拡散接合される。また、除冷処理工程においても、この伸張した状態が徐々に緩和されるため、振動板4aが、上下方向インク流路205側に窪んだ状態に変形したり、しわ状に変形したりすることがない。
冷却後、図11に示すように、積層部材2の形状に対応させて、振動板4aに形成された切り離し部400aで振動板4aを切断することで、振動板4aの不要部分401aを取り除く。
さらに、図13に示すように、振動板は、長方形で、かつこの長手方向に対して所定の角度ずらして、積層部材2に拡散接合するように構成されてもよい。この場合には、振動板4bの長手方向の両端側が、固定部材本体330と外部固定部材340によって挟持される。また、振動板4bには、積層部材2の形状に対応させて、切り離し部400bが形成される。そして、この振動板4bも、上記した振動板4、4aの場合と同様の方法で、積層部材2に拡散接合される。このように、振動板が伸ばされる方向に対する積層部材2の接合面の配置方向は、特に限定されるものではない。
これらの他の実施の形態の場合も、上記した振動板4を用いる一実施の形態の場合と同様の作用効果を得ることができる。
1…インクジェットヘッド、2…積層部材、4…振動板、205…上下方向インク流路、207…インク吐出部、300…熱圧着装置、310…炉、311…支え台、312…あて板、313…振動板固定部材、314…圧着冶具、315…アクチュエータ、330…固定部材本体、330a…一端面、330b…側面、331…本体内部部材、332…剥離層、340…外部固定部材、341…外部本体、342…剥離層。
Claims (11)
- インクジェットヘッド構成部材の側面に開口したインク流路の開口部を覆うように振動板を熱圧着するインクジェットヘッドの製造方法であって、
前記振動板を、平面からなる一端面を有する固定部材の前記一端面に密接させ、前記振動板の端部を前記固定部材の前記一端面に隣り合った側面に挟持して固定する振動板固定工程と、
前記固定部材の一端面に面する平行な位置に、前記インクジェットヘッド構成部材の開口部が位置するように前記インクジェットヘッド構成部材を配置するインクジェットヘッド構成部材配置工程と、
前記振動板を固定した固定部材および前記インクジェットヘッド構成部材を加熱する加熱工程と、
前記加熱された固定部材を、前記加熱されたインクジェットヘッド構成部材の開口部を覆うように前記振動板を介して押圧し、前記振動板を前記インクジェットヘッド構成部材に熱圧着する熱圧着工程と
を具備することを特徴とするインクジェットヘッドの製造方法。 - 前記熱圧着工程において、
前記インクジェットヘッド構成部材の側面と異なる面に形成された前記インク流路の開口部を封止し、前記インク流路内を加圧することを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドの製造方法。 - 前記固定部材を形成する材料が、前記振動板を形成する材料よりも線膨張係数が大きいことを特徴とする請求項1および2記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記インクジェットヘッド構成部材および前記振動板は、ステンレス鋼からなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記振動板において、前記インクジェットヘッド構成部材に熱圧着される部分以外の領域は、切り離し可能に形成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記固定部材の少なくとも前記振動板と接する面は、剥離層が形成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記剥離層が、アルミニウムを含有する金属を加熱してアルミニウムを析出させて形成された酸化アルミニウムで構成されていることを特徴とする請求項6記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記振動板が熱圧着される前記インクジェットヘッド構成部材の圧着面に前記振動板を介して当接する前記固定部材の一端面、または前記インクジェットヘッド構成部材の圧着面および前記固定部材の一端面が鏡面処理されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記熱圧着工程は、真空下で行われることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 前記熱圧着工程は、不活性ガス雰囲気下で行われることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載のインクジェットヘッドの製造方法。
- 請求項1乃至請求項10のいずれか1項記載の製造方法によって製作されたことを特徴とするインクジェットヘッド。
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JP2005182080A JP2007001075A (ja) | 2005-06-22 | 2005-06-22 | インクジェットヘッドの製造方法およびインクジェットヘッド |
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JP2011083922A (ja) * | 2009-10-14 | 2011-04-28 | Nec Tokin Corp | 液体噴射装置およびその製造方法 |
CN101646303B (zh) * | 2008-08-06 | 2013-03-20 | 北大方正集团有限公司 | 用于塞孔的治具及利用该治具的塞孔工艺 |
-
2005
- 2005-06-22 JP JP2005182080A patent/JP2007001075A/ja not_active Withdrawn
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