JP2007001051A - 液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 - Google Patents

液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2007001051A
JP2007001051A JP2005181056A JP2005181056A JP2007001051A JP 2007001051 A JP2007001051 A JP 2007001051A JP 2005181056 A JP2005181056 A JP 2005181056A JP 2005181056 A JP2005181056 A JP 2005181056A JP 2007001051 A JP2007001051 A JP 2007001051A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piezoelectric element
divided
diaphragm
liquid
droplet discharge
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2005181056A
Other languages
English (en)
Inventor
Naibe Regan
ナイベ レーガン
Hirofumi Nakamura
洋文 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP2005181056A priority Critical patent/JP2007001051A/ja
Publication of JP2007001051A publication Critical patent/JP2007001051A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • Coating Apparatus (AREA)

Abstract

【課題】 液滴吐出ヘッドから吐出する液滴のサイズを変更するドロップ変調を効率よく行う。
【解決手段】 振動板18の上面に設ける縦振動型の圧電素子20を、中心部に空洞部26が形成された略正方形環状(帯状)の内部圧電素子20Aと、内部圧電素子20Aの外側に、周状の貫通溝28を介して同心的に配置された略正方形環状(帯状)の外部圧電素子20Bとに2分割して構成し、この分割された圧電素子の各部の個別駆動及び同時駆動を切り替えることにより、吐出する液滴のサイズ変更を行う。
【選択図】 図1

Description

本発明は、液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置に係り、詳細には、縦振動型の圧電素子を用いてインク滴を吐出し記録媒体に画像を記録するルーフシューター式のインクジェット記録ヘッド等に適用される液滴吐出ヘッド、及び、そのインクジェット記録ヘッドを備えたインクジェット記録装置等に用いられる液滴吐出装置に関する。
記録ヘッドのノズルからインク滴を吐出して記録媒体に画像を記録するインクジェット記録装置では、インク滴のサイズを変える所謂「ドロップ変調」によって、高画質化と高速化を両立させているものがある。例えば、圧電型(ピエゾ型)の記録ヘッドの場合は、圧電素子に対する駆動電圧や駆動周波数を変えることによってドロップ変調が可能になり、その他に、一つの圧電素子に設ける電極を複数に分割して各電極への印加電圧を変えることによりドロップ変調を行うもの(例えば、特許文献1〜5参照)、あるいは、サイドシューター式の記録ヘッドにおいて、一つの圧力室に対しブロック状の複数の圧電素子を一列に配列して各圧電素子を個別に駆動することにより行うものや(例えば、特許文献6及び7参照)、一つのインク流路に設ける積層型の圧電素子を複数に分割しその分割構成の圧電素子各部を個別に駆動することにより行うもの(例えば、特許文献8参照)などがある。
実開昭57−113943号公報 特開昭58−059854号公報 特開平06−000956号公報 特開平06−023981号公報 特開2003−008091号公報 特開昭59−190861号公報 特開昭63−179753号公報 特開平6−320761号公報
しかしながら、上記特許文献1〜5のように、一つの圧電素子に対して電極を複数に分割した構成では、圧電素子が連続体であるため、各電極に対応する圧電素子各部のそれぞれの変形性が悪くなり、吐出エネルギーの伝達効率が低下してドロップ変調を効率よく行うことができない。
また、特許文献6〜8のように、複数の圧電素子や、分割構成の圧電素子の各部を個別に駆動する構成は、サイドシューター式に用いた技術であるため、各圧電素子あるいは圧電素子各部が一列に配列されており、この構成を例えばルーフシューター式の記録ヘッドに適用した場合には、やはり、圧力室内のインクに対して吐出エネルギーを効率よく伝達することができず、また、ドロップ量の階調幅を広くとることができない。
本発明は上記事実を考慮して、縦振動型の圧電素子を用いたルーフシューター式のインクジェット記録ヘッド等に適用される液滴吐出ヘッドにおいて、吐出する液滴のサイズを変更するドロップ変調を効率よく行うことができる液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置を提供することを課題とする。
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、振動板上に設けられた圧電素子によって圧力室内の液体を加圧することにより、前記圧力室と連通されたノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドにおいて、前記圧力素子が前記振動板の面方向に沿って帯状に分割されていることを特徴としている。
請求項1に記載の発明では、振動板の面方向に沿って帯状に分割した構成の圧力素子であれば、例えばその分割構成の圧電素子各部を個別又は同時に駆動して、ノズルから吐出する液滴のサイズを変更するドロップ変調を行う際に、従来の一つの圧電素子に対して電極を複数に分割した構成よりも、圧電素子各部のそれぞれの変形性が良好となるため、振動板から圧力室内の液体に伝達される吐出エネルギーの伝達効率が向上する。また、この帯状に分割された圧力素子では、個別又は同時駆動において、所定の部位に変位を集中させることができるため、上記のように電極を複数に分割した構成や、従来の一つの圧力室に対して複数の圧電素子を一列に配列した構成に比べて、圧力室内の液体に対して吐出エネルギーをより効率よく伝達することができる。これにより、ドロップ変調を効率よく行うことができる。さらに、圧電素子各部を個別に駆動したときの排除体積の差も大きくなるため、ドロップ量の階調幅を広くとることができるようになる。また、このように圧力素子を帯状に分割した構成であれば、例えば圧電素子をブロック状等に分割する場合に比べ、圧電素子の高密度化及び小型化が可能となり、これに伴い液滴吐出ヘッドのサイズを小さくすることができる。また、圧電素子を小型に構成できることにより、圧電素子の静電容量が低減されて駆動回路のコストを低減することができる。
請求項2に記載の発明は、振動板上に設けられた縦振動型の圧電素子によって圧力室内の液体を加圧することにより、前記圧力室と連通されたノズルから液滴を吐出するルーフシューター式の液滴吐出ヘッドにおいて、前記圧力素子が前記振動板の面方向に沿って帯状に分割されていることを特徴としている。
請求項2に記載の発明では、振動板上に縦振動型の圧電素子を設けたルーフシューター式の液滴吐出ヘッドにおいて、圧電素子を振動板の面方向に沿って帯状に分割することにより、例えばその分割構成の圧電素子各部を個別に駆動してドロップ変調を行う際に、振動板から圧力室内の液体に伝達される吐出エネルギーの伝達効率が向上して、ドロップ変調を効率よく行うことができるようになり、さらに、ドロップ量の階調幅を広くとることができるようになる。また、圧電素子の高密度化及び小型化が可能となり、これに伴い液滴吐出ヘッドのサイズを小さくすることができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の液滴吐出ヘッドにおいて、分割された前記圧電素子は、略中心部が固形部とされその略中心部を除く分割領域が帯状とされていることを特徴としている。
請求項3に記載の発明では、圧電素子の略中心部を固形部とし、その略中心部を除く分割領域を帯状とすることにより、例えば略中心部に空洞部を設けるような構成に比べて、圧電素子の更なる高密度化及び小型化が可能となる。また、ドロップ変調においてこの圧電素子各部を個別又は同時駆動する際には、略中心部に変位が集中することになるため、特にルーフシューター式の液滴吐出ヘッド等に適用した場合に、吐出エネルギーの伝達効率向上の点で好適である。また、圧電素子を更に小型化できるため、圧電素子の静電容量の更なる低減と、駆動回路の更なるコスト低減を図ることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3の何れか1項記載の液滴吐出ヘッドにおいて、分割された前記圧電素子の各部の個別駆動及び同時駆動を切り替えることにより、前記ノズルから吐出する液滴のサイズ変更を行うことを特徴としている。
請求項4に記載の発明では、例えば内外方向に帯状に2分割された圧電素子では、ノズルから吐出する液滴のサイズを変更(ドロップ変調)する際に、内側に配置された圧電素子部(内部圧電素子)を駆動すると、振動板が小さく変形してノズルから吐出される液滴は小さくなる(小ドロップの吐出)。また、外側に配置された圧電素子部(外部圧電素子)を駆動すると、振動板が上記よりも大きく変形してノズルから吐出される液滴は上記よりも大きくなる(中ドロップの吐出)。また、内側と外側の各圧電素子部を同時に駆動すると、振動板が更に大きく変形してノズルから吐出される液滴は更に大きくなる(大ドロップの吐出)。このように、帯状に分割された圧電素子では、圧電素子各部の個別駆動及び同時駆動を切り替えることにより、ノズルから吐出する液滴のサイズ変更が可能となる。
請求項5に記載の発明は、請求項4記載の液滴吐出ヘッドにおいて、分割された前記圧電素子の各部の2つ以上を同時駆動する際に、少なくとも1つには所定の極性の駆動信号を印加し、他の少なくとも1つには前記所定の極性とは逆極性の駆動信号を印加することを特徴としている。
請求項5に記載の発明では、所定の極性の駆動信号が印加された圧電素子部に対して、逆極性の駆動信号が印加された圧電素子部は逆方向へ変位するため、圧電素子及び振動板では高次振動モードが励振されるようになり、これによって、圧力室内の圧力波振動の周波数が高くなり、ノズル付近での液体のメニスカスの振動速度が速くなる。
このように、メニスカスの引き込みと押し出しの繰り返しが高速で行われることで、ノズルから吐出される液滴は更に小さくなり(微小ドロップの吐出)、したがって、更なる高画質化が可能となる。
請求項6に記載の発明は、請求項1〜請求項5の何れか1項記載の液滴吐出ヘッドにおいて、分割された前記圧電素子の各部に駆動信号を供給するための複数の配線を備え、その複数の配線が圧電素子に重ならない構造とされていることを特徴としている。
請求項6に記載の発明では、分割された圧電素子の各部に駆動信号を供給するための複数の配線を、圧電素子に重ならないよう配置することにより、圧電素子各部の個別駆動が可能となり、ドロップ変調が可能となる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6の何れか1項記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記圧電素子の分割数が3以上とされていることを特徴としている。
請求項7に記載の発明では、例えば圧電素子を2分割した場合には、ドロップ変調において、液滴のサイズを3段階に調整する3変調が可能であるが、圧電素子を3分割した場合には、液滴のサイズを最大7段階に調整する7変調が可能となり、圧電素子の分割数を更に増加することにより、更に高次の変調が可能となる。このように、圧電素子の分割数を3以上とすることにより、液滴サイズの階調数を大きくすることができる。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7の何れか1項記載の液滴吐出ヘッドにおいて、分割された前記圧電素子の各部が、圧電素子の外周形状にほぼ添った帯状に形成されていることを特徴としている。
請求項8に記載の発明では、分割した圧電素子の各部を、圧電素子の外周形状にほぼ添った帯状に形成することにより、ドロップ変調でこの圧電素子の各部を個別又は同時駆動する際には、中央部付近や略中心部を中心とする所定領域に変位が集中して変位量の分布がほぼ均一になる。これにより、特にルーフシューター式の液滴吐出ヘッド等に適用した場合に、吐出エネルギーの伝達効率向上の点で好適である。
請求項9に記載の発明は、請求項1〜請求項8の何れか1項記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記圧電素子が半導体プロセスにより形成されて分割構造とされていることを特徴としている。
請求項9に記載の発明では、例えば薄膜、エッチング等の半導体プロセスにより圧電素子を形成して帯状の分割構造とすることにより、簡単な製造方法によって、高密度及び小型でドロップ変調を効率よく行うことができる圧電素子が作製できる。
請求項10に記載の発明は、請求項1〜請求項9の何れか1項記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記振動板の下面における少なくとも前記圧電素子の分割部と対応する部位に凹溝が形成されていることを特徴としている。
請求項10に記載の発明では、振動板における圧電素子の分割部と対応する部位は、凹溝によって他の部位よりも薄肉となり、低剛性となる。これにより、圧電素子の変位に伴う振動板の変形性が良好となって、吐出エネルギーの伝達効率が更に向上する。
請求項11に記載の発明は、液滴吐出装置に、請求項1〜請求項10の何れか1項記載の液滴吐出ヘッドを備えることを特徴としている。
請求項11に記載の発明では、上記の液滴吐出ヘッドを備えた液滴吐出装置であれば、ドロップ変調を効率よく行いつつ、高画質化と高速化の両立を図ることができる。
本発明の液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置は上記構成としたので、縦振動型の圧電素子を用いたルーフシューター式のインクジェット記録ヘッド等に適用する場合に、吐出する液滴のサイズを変更するドロップ変調を効率よく行うことができる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態に係るインクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置について説明する。
(第1の実施形態)
まず、図16を用いてインクジェット記録装置300の概要を説明する。なお、記録媒体は記録紙Pとして説明する。また図16では、インクジェット記録装置300における記録紙Pの搬送方向を副走査方向として矢印Sで表し、その搬送方向と直交する方向を主走査方向として矢印Mで表す。
図16に示されるように、本実施形態のインクジェット記録装置300は、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアンの各インクジェット記録ユニット330(インクジェット記録ヘッド10)を搭載するキャリッジ312を備えている。キャリッジ312は、記録紙Pの搬送方向上流側に一対のブラケット314が突設されており(図では片側のブラケット314のみを示している)、この一対のブラケット314にそれぞれ形成された円形孔には、主走査方向に架設されたシャフト320が挿通されている。
キャリッジ312に対し主走査方向の両端側には、主走査機構316を構成する駆動プーリー(図示省略)と従動プーリー(図示省略)が配設されている。これらの駆動プーリーと従動プーリーとに巻回されて、主走査方向に走行するタイミングベルト322の一部がキャリッジ312に固定されている。これにより、キャリッジ312は、駆動プーリーの回転駆動によってタイミングベルト322が主走査方向に走行すると、一対のブラケット314がシャフト320にガイドされて主走査方向に往復移動する。
インクジェット記録装置300の前側下部には、画像印刷前の記録紙Pを束状にして収納しておく給紙トレイ326が設けられている。この給紙トレイ326の上方には、上記各色のインクジェット記録ユニット330によって画像が印刷された記録紙Pが排出される排紙トレイ328が設けられている。また、キャリッジ312及びシャフト320の下方には、給紙トレイ326から1枚ずつ給紙された記録紙Pを所定のピッチで副走査方向へ搬送する搬送ローラー及び排出ローラーからなる副走査機構318が設けられている。
その他、このインクジェット記録装置300には、印刷時において各種設定を行うコントロールパネル324や、メンテナンスステーション(図示省略)等が設けられている。メンテナンスステーションは、キャップ部材、吸引ポンプ、ダミージェット受け、クリーニング機構等を含んで構成されており、吸引回復動作、ダミージェット動作、クリーニング動作等のメンテナンス動作を行うようになっている。
また、各色のインクジェット記録ユニット330は、図2に示されるインクジェット記録ヘッド10と、それにインクを供給するインクタンク(図示省略)とが一体に構成されたものであり、インクジェット記録ヘッド10の下面(インク吐出面)に形成された複数のノズル12(図2参照)が、記録紙Pと対向するようにキャリッジ312上に搭載されている。これにより、インクジェット記録ヘッド10が主走査機構316によって主走査方向に移動しながら、記録紙Pに対してノズル12から選択的にインク滴を吐出することにより、所定のバンド領域に対して画像データに基づく画像の一部が記録される。
そして、主走査方向への1回の移動が終了すると、記録紙Pは、副走査機構318によって副走査方向に所定ピッチ搬送され、再びインクジェット記録ヘッド10(インクジェット記録ユニット330)が主走査方向(前述とは反対方向)に移動しながら、次のバンド領域に対して画像データに基づく画像の一部が記録されるようになっており、このような動作を複数回繰り返すことによって、記録紙Pに画像データに基づく全体画像がフルカラーで記録される。
インクジェット記録装置300は以上の構成とされており、次に、このインクジェット記録装置300に搭載されたインクジェット記録ヘッド10について詳細に説明する。
図1には、第1の実施形態に係る縦振動型(ベンダー型)の圧電素子20が振動板18上に設けられた状態が示されており、図2には、その圧電素子20を備えた第1の実施形態に係るルーフシューター式のインクジェット記録ヘッド10が示されている。
図2に示されるように、インクジェット記録ヘッド10は、図の下側から、ノズル12が形成されたノズルプレート14、積層プレート16、及び振動板18の順に積層され、各プレートが互いに接合されて構成されている。圧電素子20は振動板18の上面に積層されるとともに、インクプール17からインクが供給されノズル12と連通された圧力室19に対応して配置されている。また、振動板18は、少なくとも表面が非導電性とされた材料によって形成されており、例えば、酸化膜等の絶縁膜を表面に被覆したステンレス板、あるいは樹脂板等によって形成されている。
図1(B)に示されるように、圧電素子20は、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)等の電歪材料により形成された膜状の圧電体層(PZT層)22が、導電性材料により形成された上部電極層24Aと下部電極層24Bとに挟まれた構造のベンダー型とされており、振動板18の上面には、下部電極層24B、圧電体層22、上部電極層24Aの順に成膜されて設けられている。上部電極層24A及び下部電極層24Bについては、一方が正電極とされ、他方が負電極とされており、この図1では、それらの正負電極に駆動信号を供給するための配線パターンは図示を省略している。
図1(A)に示されるように、平面視した圧電素子20は、外形が略正方形で、中心部には、所定の大きさの略正方形の貫通孔によって空洞部26が形成されており、さらに、その空洞部26を構成する略正方形環状(帯状)の内部圧電素子20Aと、内部圧電素子20Aの外側に、周状の貫通溝28を介して同心的に配置された略正方形環状(帯状)の外部圧電素子20Bとに2分割された形状とされている。したがって、この2分割された圧電素子20の内部圧電素子20Aと外部圧電素子20Bとは、圧電素子20の外周形状にほぼ添った帯状に形成されている。また、上記の上部電極層24Aと下部電極層24Bは、これらの内部圧電素子20Aと外部圧電素子20Bの各圧電体層22にそれぞれ対応して設けられており、平面視では、内部圧電素子20A及び外部圧電素子20Bとそれぞれ同形状の略正方形環状(帯状)に形成されている。
この帯状に分割された構造の圧電素子20を上面に設けた振動板18が図2(A)に示されるようにインクジェット記録ヘッド10に搭載された状態では、上部電極層24A及び下部電極層24Bには配線を介して図示しないヘッド制御部(駆動IC)が接続され、ヘッド制御部は、外部から入力された画像情報に応じて駆動信号(電気信号)を送信し、圧電素子20を所定のタイミングで駆動させる。これにより、圧電素子20が変位して振動板18を変形させ、圧力室19のインクが加圧されてノズル12からインク滴idが吐出される。
図3には、本実施形態のインクジェット記録ヘッド10によってドロップ変調を行うために、上記のヘッド制御部に設けられた圧電素子駆動回路の概略構成が示されている。
インクジェット記録ヘッド10では、複数のノズル12に対応して圧電素子20が複数設けられており、図3に示されるように、その複数の圧電素子20を駆動制御する駆動回路30には、各圧電素子20の内部圧電素子20A及び外部圧電素子20Bを個別に駆動するために、それらに対応させて、信号発生器32A、32B、増幅器34A、34B、及び複数の回路スイッチ36A、36Bを設けている。また、各回路スイッチ36A、36Bは、制御器38によって、それぞれON/OFFが切り替えられる。ここで、制御器38が各回路スイッチ36A、36BをON/OFF制御することにより、各圧電素子20の内部圧電素子20A及び外部圧電素子20Bに駆動信号がそれぞれ供給され、それらが個別又は同時に駆動して変位する。
図4(A)に、1つの圧電素子20における内部圧電素子20A及び外部圧電素子20Bに駆動信号を供給したときの変位を示す。
内部圧電素子20Aのみに駆動信号を供給した場合には、圧電素子20の中心部付近が縦方向に変位して、図の点線で示されるように振動板18の中央部領域が小さく変形し、ノズル12から吐出されるインク滴idは小さくなる(図4(B)の小ドロップid1参照)。
外部圧電素子20Bのみに駆動信号を供給した場合には、圧電素子20の外周部が縦方向に変位して、図の二点鎖線で示されるように振動板18における圧電素子20との対応部位のほぼ全体が平均的に小さく変形し、インク滴idの大きさは中程度となる(図4(B)の中ドロップid2参照)。
内部圧電素子20A及び外部圧電素子20Bに同時に駆動信号を供給した場合には、圧電素子20全体が縦方向に大きく変位して、図の実線で示されるように振動板18の中央部領域が大きく変形し、インク滴idは大きくなる(図4(B)の大ドロップid3参照)。
また、この圧電素子20の各変位動作では、図示のように、圧電素子20の中央部領域や略中心部を中心とする所定領域に変位が集中して変位量の分布がほぼ均一になる。
このように、本実施形態では、圧電素子20による圧力室19の加圧状態が3種類に切り替えられて、図4(B)に示すようにインク滴のサイズが3段階に調整されるため(ドロップ変調)、高画質化と高速化の両立を図ることが可能となる。
図5に、上記の圧電素子20において、下記の条件でドロップ変調を行った場合の変位状態及び変位量をシミュレーションした解析モデルを示す。なお、ここでは、圧電素子の変位に伴う振動板18の変形状態がわかりやすくなるようにするために、対称性を考慮して図5(B)に示すような1/4モデルで解析した。また、図5(C)〜(D)では、振動板18の変形状態を見やすくするために、圧電素子の図示を省略している。
・振動板の材質:SUS
・振動板の厚さ寸法:10μm
・圧電素子の厚さ寸法:10μm(但し、上部及び下部電極層の厚さは含まない)
・外部圧電素子の外形寸法(圧電素子の外形寸法):500μm×500μm
・外部圧電素子の幅寸法:50μm
・内部圧電素子の幅寸法:50μm
・外部圧電素子と内部圧電素子の間の貫通溝の幅寸法:50μm
上記の条件で圧電素子20のドロップ変調における変位をシミュレーションした結果、内部圧電素子20Aのみを駆動した場合には、図5(C)に示すように、圧電素子20の中心部付近が縦方向に変位して、その最大変位が0.258μmとなり、排除体積が3.40plとなった。また、外部圧電素子20Bのみを駆動した場合には、図5(D)に示すように、圧電素子20のほぼ全体が縦方向に変位して、その最大変位が0.157μmとなり、排除体積が5.54plとなった。また、内部圧電素子20A及び外部圧電素子20Bを同時に駆動した場合には、図5(E)に示すように、圧電素子20全体が縦方向に大きく変位して、その最大変位が0.417μmとなり、排除体積が8.97plとなった。この解析結果からもわかるように、本実施形態の圧電素子20では、インク滴のサイズを3段階に調整するドロップ変調が可能であり、さらに、ドロップ量の階調幅を広くとることができる。
以上説明したように、本実施形態のルーフシューター式のインクジェット記録ヘッド10では、振動板18上に設けられた縦振動型の圧電素子20を、振動板18の面方向に沿って帯状に分割していることにより、この分割構成の圧電素子20の各部(内部圧電素子20A及び外部圧電素子20B)を個別又は同時に駆動して、ノズル12から吐出するインク滴idのサイズを変更するドロップ変調を行う際に、圧電素子各部のそれぞれの変形性が良好となり、振動板18から圧力室19内のインクに伝達される吐出エネルギーの伝達効率が向上する。
さらに、本実施形態では、分割した内部圧電素子20A及び外部圧電素子20Bを、圧電素子20の外周形状にほぼ添った帯状(略正方形環状)に形成していることにより、ドロップ変調で個別又は同時駆動する際には、圧電素子20の中央部付近や略中心部を中心とする所定領域に変位が集中して変位量の分布がほぼ均一になる。これにより、圧力室19内のインクに対して吐出エネルギーをより効率よく伝達することができて、ドロップ変調を効率よく行うことができる。さらに、内部圧電素子20A及び外部圧電素子20Bを個別に駆動したときの排除体積の差も大きくなるため、ドロップ量の階調幅を広くとることができるようになる。
また、このように圧電素子20を帯状に分割した構成であれば、例えば圧電素子をブロック状等に分割する場合に比べ、圧電素子の高密度化及び小型化が可能となり、これに伴いインクジェット記録ヘッド10のサイズを小さくすることができる。また、圧電素子20を小型に構成できることにより、圧電素子20の静電容量が低減されて駆動回路30のコストを低減することができる。
そして、このインクジェット記録ヘッド10を備えたインクジェット記録装置300では、ドロップ変調を効率よく行いつつ、高画質化と高速化の両立を図ることができる。
(第2の実施形態)
図6には、第2の実施形態に係る縦振動型の圧電素子40が振動板18上に設けられた状態が示されている。
図6に示されるように、本実施形態の圧電素子40も、内部圧電素子40Aと外部圧電素子40Bとに2分割されて構成されているが、本実施形態では、圧電素子40の中心部に空洞部が存在せず、平面視した内部圧電素子40Aは、図6(A)に示されるように略正方形の固形部とされている。また、この内部圧電素子40Aの外側に、周状の貫通溝46を隔てて、略正方形の環状(帯状)に形成された外部圧電素子40Bが同心的に配置されている。このように、この圧電素子40は、略中心部が固形部(内部圧電素子40A)とされ、その略中心部を除く分割領域が帯状(外部圧電素子40B)とされている。
以上の構成により、本実施形態の圧電素子40では、第1の実施形態の圧電素子20のように、略中心部に空洞部26を設けたような構成に比べて、圧電素子の更なる高密度化及び小型化が可能となる。また、ドロップ変調においてこの圧電素子40の各部(内部圧電素子40A及び外部圧電素子40B)を個別又は同時駆動する際には、第1の実施形態と同様に、中央部付近や略中心部を中心とする所定領域に変位が集中して変位量の分布がほぼ均一になるため、特にルーフシューター式の液滴吐出ヘッド等に適用した場合に、吐出エネルギーの伝達効率向上の点で好適である。また、圧電素子を更に小型化できるため、圧電素子の静電容量の更なる低減と、駆動回路の更なるコスト低減を図ることができる。
(第3の実施形態)
第3の実施形態は、第1の実施形態と同様に分割構成された圧電素子において、圧電素子の各部を個別に駆動するための配線構造に関するものである。
図7には、第3の実施形態に係る縦振動型の圧電素子50が振動板18上に設けられた状態が示されている。
図7(B)及び(C)に示されるように、圧電素子50は、内部圧電素子50A及び外部圧電素子50Bの上面、すなわち、各圧電体層52上の上部電極層54Aの上面と、外部圧電素子50Bの外周面、さらに、下部電極層54Bから外側に引き出された下部配線67を含む振動板18の上面における外部圧電素子50Bの周囲に、保護絶縁層としての絶縁膜60が設けられている。また、図7(A)に示されるように、平面視にて略正方形の環状(帯状)に形成された外部圧電素子50Bでは、1つの辺部(図7(A)では左側の辺部)の略中央部に、内外方向に貫通された連通溝59が形成されており、この連通溝59によって、内部圧電素子50Aと外部圧電素子50Bの間に設けられた周状の貫通溝58と、圧電素子50(外部圧電素子50B)の外部とが連通されている。
連通溝59と対応する位置には、内部圧電素子50Aに駆動信号を供給するための上部配線64が絶縁膜60上に設けられている。この上部配線64は、図7(C)に示されるように、平面視にて直線状とされた配線パターン部64Bの一端が内部圧電素子50A上に配置され、その一端に設けられたコンタクト部64Aが、絶縁膜60に形成された開口62を介して、内部圧電素子50Aの上部電極層54Aに接続されている。
配線パターン部64Bは、絶縁膜60上を内部圧電素子20Aの上面部から外側面部へ屈曲されつつ下方へ引き回され、振動板18の上面部においては、貫通溝58を横断し、さらに連通溝59を通って、圧電素子50(外部圧電素子50B)の外側に引き出されており、この外側に引き出された配線パターン部64Bの他端には、駆動回路に接続される外部コンタクト部64Cが設けられている。
また、上部配線64の両側方(図7(A)では上下側方)には、外部圧電素子50Bに駆動信号を供給するための2本の上部配線66が隣接配置されて絶縁膜60上に設けられている。この2本の上部配線66は、図7(B)に示されるように、平面視にて直線状とされた配線パターン部66Bの一端が、外部圧電素子50Bにおける連通溝59によって分断された各分断端部上に配置され、その一端に設けられたコンタクト部66Aが、絶縁膜60に形成された開口62を介して、外部圧電素子50Bの上部電極層54Aに接続されている。
配線パターン部66Bは、絶縁膜60上を外部圧電素子50Bの上面部から外側面部へ屈曲されつつ下方へ引き回され、振動板18の上面部において外側に引き出されており、この外側に引き出された配線パターン部66Bの他端には、駆動回路に接続される外部コンタクト部66Cが設けられている。
本実施形態の圧電素子50は以上の構成とされており、次に、この圧電素子50の製造方法について説明する。
先ず、Ni、Cu、SUS、Si、ガラス、金属薄板、アモルファスカーボン等の振動板材料を、エレクトロフォーミング、エッチング、モールド等によって所定の形状及び厚さに加工し、振動板18を形成する。
次に、図8(A)に示されるように、振動板18上に、Al、Cu、Au等の下部電極及び下部配線材料を、CVD法(CVD:Chemical Vapor Deposition)等によって成膜し、フォトリソプロセスにより形成したフォトレジスト等のエッチングマスクを用いて、下部電極層54B及び下部配線67をドライエッチング又はウェットエッチングでパターニングする。パターニング後は、エッチングマスクを除去する。
続いて、図8(B)に示されるように、振動板18上に圧電体層材料を、ゾルゲル法、スパッタ法、基相成長法、液相成長法、水熱合成法、MOCVD法、AD(エアロゾルデポジション)法等の堆積法により成膜、あるいは、バルクPZTの接合によって形成し、その圧電体層材料上に、Al、Cu、Au等の上部電極材料をCVD法等によって成膜して、酸化膜、フォトレジスト、Si含有レジスト等のエッチングマスク68を用い、上部電極層54A及び圧電体層52をドライエッチング又はウェットエッチングでパターニングする。パターニング後は、エッチングマスク68を除去する。
次に、図8(C)に示されるように、酸化膜、PI等の絶縁膜60を成膜し、上部電極層54Aと上部配線64、66とを接続するための開口62を、フォトレジストを用いエッチングによって形成する。
続いて、図8(D)に示されるように、絶縁膜60の開口62を含む所定領域に、Al等の上部配線材料をCVD法等によって成膜し、酸化膜、フォトレジスト等のエッチングマスクを用いて、上部配線64(図7(C)参照)及び上部配線66をドライエッチング又はウェットエッチングでパターニングする。パターニング後は、エッチングマスクを除去する。
最後に、図8(E)に示されるように、酸化膜、フォトレジスト、Si含有レジスト等のエッチングマスク69を用い、絶縁膜60、上部電極層54A、圧電体層52、及び下部電極層54Bの4層をドライエッチングして空洞部56及び貫通溝58を形成し、エッチング後にエッチングマスク69を除去すると、図8(F)及び図7に示されるように、振動板18上に、帯状に分割された圧電素子50が形成され、この圧電素子50は、内部圧電素子50A及び外部圧電素子50Bの各下部電極層54Bに下部配線67がそれぞれ接続され、さらに、絶縁膜60を介して下部配線67と絶縁された上部配線64(図7(C)参照)及び上部配線66が、内部圧電素子50A及び外部圧電素子50Bの各上部電極層54Aにそれぞれ接続された構造となる。
以上説明したように、本実施形態の圧電素子50では、分割された圧電素子50の各部(内部圧電素子50A及び外部圧電素子50B)に駆動信号を供給するための複数の上部配線64、66を、圧電素子50に重ならないよう配置していることにより、内部圧電素子50A及び外部圧電素子50Bの個別駆動が可能となり、ドロップ変調が可能となる。
また、この圧電素子50の製造では、薄膜、エッチング等の半導体プロセスにより圧電素子50を形成して帯状の分割構造としていることにより、簡単な製造方法によって、高密度及び小型でドロップ変調を効率よく行うことができる圧電素子50が作製できる。
(第4の実施形態)
第4の実施形態は、第1の実施形態に係る圧電素子において、微小ドロップを吐出するための駆動方法に関するものである。
図9には、第1実施形態の圧電素子20を用いて、前述したようにインク滴のサイズを3段階に調整するドロップ変調を行う際に、圧電素子20に供給する駆動信号の印加タイミングと電圧レベル、圧電素子20が駆動したときの変位状態(振動板18の変形状態)、及びそれに応じてドロップ変調されたインク滴が吐出される様子が示されている。
圧電素子20への印加電圧については、図9(A)に示されるように、待機時には、圧電素子20の内部圧電素子50A及び外部圧電素子50Bに所定レベルのプラス電圧(+A〔V〕)を印加し、インク滴の吐出時には、電圧レベルを一旦低下してから(+C〔V〕:C<A)、所定のタイミングで、例えば5〔V〕又は20〔V〕の駆動電圧(+B〔V〕:C<B<A)を印加する。
これにより、待機時に加圧方向へ所定量変位していた圧電素子20が、インク滴の吐出直前に戻り方向へ変位して圧力室19内が減圧され、ノズル12付近ではインクのメニスカスが引き込まれるようになる。例えば、ノズル12からメニスカスが膨出した状態でインク吐出を行うと、インク滴のサイズがばらついたり、吐出方向がばらついて画質低下を招いてしまうが、このようにメニスカスを引き込んでからインク吐出を行うことにより、インク滴のサイズと吐出方向を安定させることができて画質低下が抑えられる。
ここで、図9(A)のタイミングで内部圧電素子50Aのみに駆動電圧(+B〔V〕)を印加し、内部圧電素子50Aのみを駆動させると、前述したように、ノズル12から小ドロップid1が吐出される。また、図9(A)のタイミングで外部圧電素子50Bのみに駆動電圧(+B〔V〕)を印加し、外部圧電素子50Bのみを駆動させると、ノズル12から中ドロップid2が吐出される。また、図9(A)のタイミングで内部圧電素子50A及び外部圧電素子50Bに駆動電圧(+B〔V〕)を同時に印加し、それらを同時に駆動させると、ノズル12から大ドロップid3が吐出される。なお、このインク吐出時に内部圧電素子50A及び外部圧電素子50Bに印加する各駆動電圧(+B〔V〕)については、同じ電圧レベルに設定する他に、例えば、小ドロップでは5〔V〕、中ドロップでは10〔V〕、大ドロップでは20〔V〕などのように、異なる電圧レベルに設定するようにしてもよい。
図10(A)にも示すように、上記のタイミングでプラスの駆動電圧を圧電素子20の内部圧電素子50A及び外部圧電素子50Bに共に印加して同時駆動させた場合には、図10(B)にも示すように、圧電素子20の変位量及びそれに伴う振動板18の変形量が大きくなり、ノズル12から大ドロップid3が吐出されるようになる。このように、2分割された圧電素子の各部を同じ方向へ変位させる駆動方法では、図10(B)に示されるように、圧電素子20及び振動板18が1次振動モードで変形する。
これに対し、微小ドロップを吐出させる場合には、図11(A)に示されるように、所定の吐出タイミングで、外部圧電素子50Bにはプラスの駆動電圧(+B〔V〕)を印加し、同時に内部圧電素子50Aにはマイナスの駆動電圧(−D〔V〕)を印加する。
この駆動方法では、図11(B)に示されるように、内部圧電素子50Aが外部圧電素子50Bとは逆方向へ変位するため、圧電素子20及び振動板18では高次振動モード(2次振動モード)が励振されるようになり、これによって、圧力室19内の圧力波振動の周波数が高くなり、メニスカスの振動速度が速くなる。
このように、メニスカスの引き込みと押し出しの繰り返しが高速で行われることにより、ノズル12から、小ドロップid3よりも更に小さい微小ドロップid4が吐出されるようになり、したがって、更なる高画質化が可能となる。
(第5の実施形態)
図12には、第5の実施形態に係る縦振動型の圧電素子70が振動板18上に設けられた状態が示されている。
図12(A)に示されるように、本実施形態の圧電素子70も2分割されているが、本実施形態では、平面視での外形が円形で、中心部には、所定の大きさの円形の貫通孔によって空洞部76が形成されており、さらに、その空洞部76を構成する円環状(帯状)の内部圧電素子70Aと、内部圧電素子70Aの外側に、円周状の貫通溝78を介して同心的に配置された円環状(帯状)の外部圧電素子70Bとに2分割された形状とされている。したがって、この圧電素子70の場合も、分割された内部圧電素子70Aと外部圧電素子70Bとは、圧電素子70の外周形状に添った帯状に形成されている。また、図12(B)に示されるように、上部電極層74Aと下部電極層74Bは、これらの内部圧電素子70Aと外部圧電素子70Bの各圧電体層72にそれぞれ対応して設けられており、平面視では、内部圧電素子70A及び外部圧電素子70Bとそれぞれ同形状の円環状(帯状)に形成されている。
本実施形態の圧電素子70は以上の構成とされており、このように、内部圧電素子70A及び外部圧電素子70Bが円環状に形成されて分割された構成の圧電素子70においても、第1の実施形態の圧電素子20と同様に、ドロップ変調において内部圧電素子70A及び外部圧電素子70Bを個別又は同時駆動する際には、中央部付近や略中心部を中心とする所定領域に変位が集中して変位量の分布がほぼ均一になるため、特にルーフシューター式の液滴吐出ヘッド等に適用した場合に、吐出エネルギーの伝達効率向上の点で好適である。
(第6の実施形態)
図13には、第6の実施形態に係る縦振動型の圧電素子80が振動板18上に設けられた状態が示されている。
図13(A)に示されるように、本実施形態の圧電素子80は、第1の実施形態の圧電素子20と同様に、外形が略正方形で、中心部に、所定の大きさの略正方形の貫通孔によって空洞部86が形成されているが、2つの周状の貫通溝88A、88Bを挟んで同心的に配置された略正方形環状(帯状)の内部圧電素子80A、中部圧電素子80B、及び外部圧電素子80Cとに3分割された形状とされている。
また、図13(B)に示されるように、上部電極層84Aと下部電極層84Bは、第1の実施形態と同様に、圧電素子各部の各圧電体層22にそれぞれ対応して設けられており、平面視では、圧電素子各部とそれぞれ同形状の略正方形環状(帯状)に形成されている。
このように、3分割に構成された本実施形態の圧電素子80では、ドロップ変調において、内部圧電素子80A、中部圧電素子80B、及び外部圧電素子80Cをそれぞれ個別に駆動する、又は、何れか2つを同時に駆動する(内部圧電素子80A+中部圧電素子80B/中部圧電素子80B+外部圧電素子80C/内部圧電素子80A+外部圧電素子80C)、又は、3つ全てを同時に駆動することにより、インク滴のサイズを最大7段階に調整する7変調が可能となる。このように、圧電素子の分割数を増加することで、インク滴サイズの階調数を大きくする高次の変調が可能となり、圧電素子の分割数を更に増やすことによって、更なる高次変調も可能である。
また、このような多数に分割構成された圧電素子においても、第4の実施形態で説明した駆動方法を用いて圧電素子及び振動板に高次振動モードを励振させることにより、微小ドロップを吐出させることが可能である。
(第7の実施形態)
第7の実施形態は、第1の実施形態で説明した圧電素子及びインクジェット記録ヘッドにおいて、振動板の構造を変更した変形例に関するものである。
図14には、第7の実施形態に係る振動板90の上面に、第1の実施形態で説明した圧電素子20が設けられた状態が示されており、図15には、その圧電素子20及び振動板90を備えた第7の実施形態に係るルーフシューター式のインクジェット記録ヘッド100が示されている。
図14(B)及び(C)に示されるように、振動板90の下面には、圧電素子20の空洞部26と対応する部位に、空洞部26とほぼ同形状とされた略正方形の凹溝92が形成されており、さらに圧電素子20の分割部である貫通溝28と対応する部位に、下面視が空洞部26とほぼ同形状とされた周状の凹溝94が形成されている。
以上の構成により、この振動板90では、圧電素子20の空洞部26と対応する部位、及び、圧電素子20の分割部(空洞部26)と対応する部位は、凹溝92、94によって他の部位よりも薄肉となり、低剛性となる。これにより、本実施形態の圧電素子20及び振動板90を備えたインクジェット記録ヘッド100では、圧電素子20の変位に伴う振動板90の変形性が良好となって、圧力室19内のインクに伝達される吐出エネルギーの伝達効率が更に向上する。
以上、本発明を上述した第1〜第7の実施形態により詳細に説明したが、本発明はそれらの実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内にて他の種々の形態が実施可能である。
例えば、上述の実施形態で説明した圧電素子では、圧電体層を形成する電歪材料として、例えばゾルゲル法による成膜及びドライエッチングによるパターニングが可能なSBT(Strontium Bismuth Tantalates)やBST(Barium Strontium Titanate)等を使用することもできる。
また、圧電素子の形状については、上述の実施形態で説明したような平面視が略正方形や円形に限らず、長方形、台形、平行四辺形、五角形以上の多角形状などの他の形状でもよい。また、帯状に分割構成された圧電素子各部の形状や、分割部となる周状の貫通溝の形状についても、平面視が略正方形環状や円環状、円周状に限らず、長方形環状(周状)、台形環状(周状)、平行四辺形環状(周状)、五角形以上の多角形状環状(周状)などの他の形状を用いることができる。
また、本発明は、上述したインクジェット記録ヘッド及びインクジェット記録装置に限らず、半導体等のパターン形成のために液滴を吐出するパターン形成装置等に使用される他の液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置にも適用することができる。
本発明の第1の実施形態に係る圧電素子が振動板上に設けられた状態を示す(A)は平面図、(B)は(A)の1B−1B線断面図である。 図1の圧電素子が備えられた本発明の第1の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る圧電素子を駆動する駆動回路の概略構成を示す回路図である。 (A)は本発明の第1の実施形態に係る圧電素子にてドロップ変調を行ったときの変位動作を示す断面図、(B)は(A)の変位動作にて吐出されたインク滴の大きさを模式的に示す模式図である。 (A)〜(E)は本発明の第1の実施形態に係る圧電素子の変位をシミュレーションした解析モデルを示す斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係る圧電素子が振動板上に設けられた状態を示す(A)は平面図、(B)は(A)の6B−6B線断面図である。 本発明の第3の実施形態に係る圧電素子が振動板上に設けられた状態を示す(A)は平面図、(B)は(A)の7B−7B線断面図、(C)は(A)の7C−7C線断面図である。 (A)〜(F)は図7の圧電素子の製造工程を示す製造工程図である。 (A)は圧電素子に供給する駆動信号の印加タイミングと電圧レベルを示すグラフ図、(B)〜(D)は圧電素子が駆動したときの変位状態、及びそれに応じてドロップ変調されたインク滴が吐出される様子を模式的に示す断面図である。 (A)は大ドロップを吐出する際に圧電素子に供給する駆動信号の印加タイミングと電圧レベルを示すグラフ図、(B)は(A)の駆動信号にて圧電素子が駆動したときの変位状態、及びそれに応じてドロップ変調されたインク滴が吐出される様子を模式的に示す断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る圧電素子の駆動方法において、(A)は微小ドロップを吐出する際に圧電素子に供給する駆動信号の印加タイミングと電圧レベルを示すグラフ図、(B)は(A)の駆動信号にて圧電素子が駆動したときの変位状態、及びそれに応じてドロップ変調されたインク滴が吐出される様子を模式的に示す断面図である。 本発明の第5の実施形態に係る圧電素子が振動板上に設けられた状態を示す(A)は平面図、(B)は(A)の12B−12B線断面図である。 本発明の第6の実施形態に係る圧電素子が振動板上に設けられた状態を示す(A)は平面図、(B)は(A)の13B−13B線断面図である。 本発明の第7の実施形態に係る圧電素子が振動板上に設けられた状態を示す(A)は平面図、(B)は(A)の14B−14B線断面図、(C)は振動板の下面図である。 図14の圧電素子及び振動板が備えられた本発明の第7の実施形態に係るインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。 本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の外観を示す斜視図である。
符号の説明
10 インクジェット記録ヘッド(液滴吐出ヘッド)
12 ノズル
18 振動板
19 圧力室
20 圧電素子
20A 内部圧電素子
20B 外部圧電素子
26 空洞部
28 貫通溝(分割部)
40 圧電素子
40A 内部圧電素子
40B 外部圧電素子
50 圧電素子
50A 内部圧電素子
50B 外部圧電素子
59 連通溝
64 上部配線
66 上部配線
70 圧電素子
70A 内部圧電素子
70B 外部圧電素子
80 圧電素子
80A 内部圧電素子
80B 中部圧電素子
80C 外部圧電素子
90 振動板
92 凹溝
94 凹溝
100 インクジェット記録ヘッド
300 インクジェット記録装置(液滴吐出装置)
id インク滴(液滴)

Claims (11)

  1. 振動板上に設けられた圧電素子によって圧力室内の液体を加圧することにより、前記圧力室と連通されたノズルから液滴を吐出する液滴吐出ヘッドにおいて、
    前記圧力素子が前記振動板の面方向に沿って帯状に分割されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  2. 振動板上に設けられた縦振動型の圧電素子によって圧力室内の液体を加圧することにより、前記圧力室と連通されたノズルから液滴を吐出するルーフシューター式の液滴吐出ヘッドにおいて、
    前記圧力素子が前記振動板の面方向に沿って帯状に分割されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  3. 分割された前記圧電素子は、略中心部が固形部とされその略中心部を除く分割領域が帯状とされていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の液滴吐出ヘッド。
  4. 分割された前記圧電素子の各部の個別駆動及び同時駆動を切り替えることにより、前記ノズルから吐出する液滴のサイズ変更を行うことを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項記載の液滴吐出ヘッド。
  5. 分割された前記圧電素子の各部の2つ以上を同時駆動する際に、少なくとも1つには所定の極性の駆動信号を印加し、他の少なくとも1つには前記所定の極性とは逆極性の駆動信号を印加することを特徴とする請求項4記載の液滴吐出ヘッド。
  6. 分割された前記圧電素子の各部に駆動信号を供給するための複数の配線を備え、その複数の配線が圧電素子に重ならない構造とされていることを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項記載の液滴吐出ヘッド。
  7. 前記圧電素子の分割数が3以上とされていることを特徴とする請求項1〜請求項6の何れか1項記載の液滴吐出ヘッド。
  8. 分割された前記圧電素子の各部が、圧電素子の外周形状にほぼ添った帯状に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項7の何れか1項記載の液滴吐出ヘッド。
  9. 前記圧電素子が半導体プロセスにより形成されて分割構造とされていることを特徴とする請求項1〜請求項8の何れか1項記載の液滴吐出ヘッド。
  10. 前記振動板の下面における少なくとも前記圧電素子の分割部と対応する部位に凹溝が形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項9の何れか1項記載の液滴吐出ヘッド。
  11. 請求項1〜請求項10の何れか1項記載の液滴吐出ヘッドを備えることを特徴とする液滴吐出装置。
JP2005181056A 2005-06-21 2005-06-21 液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置 Pending JP2007001051A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005181056A JP2007001051A (ja) 2005-06-21 2005-06-21 液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005181056A JP2007001051A (ja) 2005-06-21 2005-06-21 液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2007001051A true JP2007001051A (ja) 2007-01-11

Family

ID=37687089

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005181056A Pending JP2007001051A (ja) 2005-06-21 2005-06-21 液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2007001051A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015516898A (ja) * 2012-03-26 2015-06-18 カーハーエス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング 3次元表面に印刷するための方法及び装置
JP2020501945A (ja) * 2016-12-19 2020-01-23 フジフィルム ディマティックス, インコーポレイテッド 流体送達システムのためのアクチュエータ
JP2021514880A (ja) * 2018-02-27 2021-06-17 スリーシー プロジェクト マネージメント リミテッド 液滴吐出器
WO2021235080A1 (ja) * 2020-05-20 2021-11-25 ローム株式会社 トランスデューサ、及びその駆動方法、並びにシステム

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2015516898A (ja) * 2012-03-26 2015-06-18 カーハーエス・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング 3次元表面に印刷するための方法及び装置
JP2020501945A (ja) * 2016-12-19 2020-01-23 フジフィルム ディマティックス, インコーポレイテッド 流体送達システムのためのアクチュエータ
US11498334B2 (en) 2016-12-19 2022-11-15 Fujifilm Dimatix, Inc. Actuators for fluid delivery systems
US11794475B2 (en) 2016-12-19 2023-10-24 Fujifilm Dimatix, Inc. Actuators for fluid delivery systems
JP2021514880A (ja) * 2018-02-27 2021-06-17 スリーシー プロジェクト マネージメント リミテッド 液滴吐出器
WO2021235080A1 (ja) * 2020-05-20 2021-11-25 ローム株式会社 トランスデューサ、及びその駆動方法、並びにシステム

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7575306B2 (en) Discharge head, method of manufacturing discharge head, and liquid discharge apparatus
JP2006175845A (ja) 液体吐出ヘッド、液体吐出装置及び画像形成装置
JP4956929B2 (ja) アクチュエータ、液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、及びアクチュエータ製造方法
JP2007168319A (ja) 液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置及び液滴吐出ヘッド製造方法
US8033653B2 (en) Liquid discharge head and recording device
JP2006264188A (ja) 液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置
JP2001038917A (ja) インクジェットプリンタ
JP2007001051A (ja) 液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置
JP2004066652A (ja) 液滴吐出ヘッド、インクカートリッジ及びインクジェット記録装置
JP5849131B1 (ja) インクジェットヘッドおよびその製造方法
US7677709B2 (en) Liquid ejection head and image forming apparatus
GB2526177A (en) Method of manufacturing liquid jet head, liquid jet head, and liquid jet apparatus
JP2011018836A (ja) 圧電型アクチュエータの製造方法、及び該製造方法によって製造された圧電型アクチュエータ
WO2001072520A1 (fr) Tete a jet d'encre a buses multiples et son procede de fabrication
US7156493B2 (en) Droplet ejecting apparatus that contains an actuator plate having a communication hole
JP2013052616A (ja) ノズル状態検知方法、クリーニング方法、インクジェット記録方法及びインクジェット記録装置
JP6360949B2 (ja) インクジェットプリンタ
JP6181830B2 (ja) インクジェット式記録ヘッドの製造方法
JP2008055900A (ja) 液滴噴射装置及び液滴噴射装置の製造方法
JP2007062251A (ja) 液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッドの製造方法、記録液カートリッジ、画像形成装置
EP1752293B1 (en) Ink jet head driving method, ink jet head and ink jet recording apparatus
JP2016117254A (ja) インクジェット式記録ヘッドとその製造方法
JP3826945B2 (ja) インクジェット記録ヘッドおよびインクジェット記録装置並びにインクジェット記録ヘッドの製造方法
JP5011723B2 (ja) 液滴吐出ヘッド及び液滴吐出装置
JP3794587B2 (ja) 画像形成装置およびインク吐出駆動方法