JP2006528008A - Ｐｍｍａ骨セメントにおける殺菌性有効成分の使用 - Google Patents

Abstract

本発明は、好ましくは抗生物質を含有しないＰＭＭＡ骨セメントにおける、ポリヘキサメチレンビグアニドの使用に関する。前記セメントは、セメントの総重量に対して１重量％を超えない有効成分濃度を示すが、この濃度はセメント表面の微生物のコロニー化を防止するのに十分な程度に高い。前記セメントは、治癒プロセスに長期間にわたる変化を及ぼさない。

Description

本発明は、セメント表面における微生物のコロニー化を防止するのに十分な有効成分濃度での、ポリメチルメタクリレート骨セメント（ＰＭＭＡセメント）における殺菌性有効成分の使用に関する。

従来の薬剤を含有する骨セメントは、とりわけその中に粉末薬剤が分布している、ＰＭＭＡまたはＰＭＭＡ共重合体粉末から成る。モノマー液を（活性化剤と共に）混合すると、重合が起こる。硬化した骨セメントは、それから、これからその表層に位置する薬剤が放出される高分子塊となる。

セメントおよび／または隣接する組織の微生物のコロニー化後の感染性炎症反応を防止するために、従来の骨セメントにおいては薬剤として抗生物質が用いられている。しかしながら、骨セメントにおける抗生物質の幅広い使用は、抗生物質耐性菌種の出現の増加をもたらしており、一定の状況下における創傷感染を完全に防ぐことがもはや不可能となっていることを意味している。ごく最近の抗生物質の使用は、新規な薬剤への耐性を有する菌種が予測できるほど近い将来に形成されると思われるため、長期間にわたる解決法ではなくなっているようである。

ＥＰ７０１８２４（Ｍｅｒｃｋ Ｐａｔｅｎｔ ＧｍｂＨ）には、有効成分を含有する骨セメントであって、とりわけ抗生物質または殺菌剤をも含んでいてもよいものの製造方法が記載されている。

ＷＯ９８／０７４５６（Ｍｅｒｃｋ Ｐａｔｅｎｔ ＧｍｂＨ）は、有効成分を含有する骨セメントおよび骨代替材料またはこれらから製造される移植可能なデポー製剤であって、とりわけ抗生物質または殺菌剤をも含んでいてもよいものの製造プロセスに関する。

ＥＰ２０２４４５（Ｍｅｒｃｋ Ｐａｔｅｎｔ ＧｍｂＨ）は、細胞増殖抑制剤を制御しながら遅延放出させるために体内に移植可能なデポー製剤であって、細胞増殖抑制剤に加えて、さらに抗生物質および／または殺菌剤をも含んでいてもよいものに関する。

ＥＰ２３４００４（Ｍｅｒｃｋ Ｐａｔｅｎｔ ＧｍｂＨ）には、化学療法薬の作用を増加または増大させるための、抗生物質および殺菌剤を含む移植可能なデポー製剤が記載されている。

本発明の目的は、従来の骨セメントにおける抗生物質を、セメント表面の抗菌作用に悪影響を与えることなく、新規な薬剤によって代替することである。新規な薬剤では、その作用機序が異なるために、長期間にわたって耐性菌の形成が妨げられる。新規な薬剤では、抗菌作用が確保される一方で外傷治癒が著しく害されることがないように、その性質および濃度を選択する。

セメント表面の微生物のコロニー化を防止するのに十分な有効成分濃度の殺菌有効成分をＰＭＭＡ骨セメントにおいて使用することによって、本目的は達成される。ＰＭＭＡ骨セメントは、抗生物質を含まないことが好ましい。

適当な殺菌剤は、以下の群から選択される化合物である：
・ヘキサデシルジメチルエチル−アンモニウムエトサルフェートまたはジデシルジメチルアンモニウムクロライドなどの４級アンモニウム化合物
・Ｎ−アルキル（Ｃ１０〜Ｃ１８）−Ｎ，Ｎ−ジメチルアミンＮ−オキシドまたはＮ−アルキル（Ｃ１０〜Ｃ１８）−Ｎ，Ｎ−ジエチルアミンＮ−オキシドのような、アミンオキシド
・オクテニジン二塩酸塩などのピリジン誘導体
・ポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩などのグアニジン、
および／または
・１０−ウンデシレン酸Ｎ−エタノールアミドなどの１０−ウンデシレン酸アミド。

ポリヘキサメチレンビグアニドを、セメントの総重量に対して、最大量で１重量％添加することが好ましい。最大量で０．５重量％であることがより好ましく、０．０２５から０．５重量％の量であることがさらに好ましい。最大量で０．１５５重量パーセントのポリヘキサメチレンビグアニドが最も好ましい。本発明によれば、１種を超える殺菌性有効成分を添加することも可能である。

比較実験結果：
図１ａおよび図１ｂに比較実験の結果を示す。

図１ａおよび１ｂに見られるように、ＰＭＭＡ骨セメント（未処理ＰＡＬＡＭＥＤ（登録商標））にポリヘキサメチレンビグアニドを０．１５５重量％混合するだけで、比較として使用したゲンタマイシン（抗生物質）を０．８６重量％混合するのと同等の（またはより高い）、セメント表面の細菌のコロニー化を防止する生物学的有効性があった。

本発明による骨セメントの製造について、２つの実施例を参照してより詳細に記載する。

実施例１
９７．３ｍｇのポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩を、１８．８ｇのＰａｌａｍｅｄ液（メチルメタクリレート、Ｎ，Ｎ−ジメチル−ｐ−トルイジンおよび染料からなる）に混合した。製造者の指示に従って、均一な溶液に、４４ｇのＰａｌａｍｅｄ粉末（未処理；ゲンタマイシンを含まない）を真空混合システム中で混合した。混合物を型に注入し硬化させた。

実施例２
５．３ｇの二酸化ジルコニウムを、９７．３ｍｇのポリヘキサメチレンビグアニド塩酸塩を４００ｍｇの水に溶解させた溶液と混合した。凍結乾燥によって水を除去した。この殺菌剤含有二酸化ジルコニウムを、続いて３８．３ｇのポリ（メチルメタクリレート−ｃｏ−メチルアクリレート）および０．４４ｇの過酸化ジベンゾイルと混合した。得られた粉末を、０．４ｇのＮ，Ｎ−ジメチル−ｐ−トルイジンを１８．４ｇのメチルメタクリレートに溶解させた溶液に添加し、その２つを激しく混合した。混合物を型に注入し硬化させた。

溶離（０日、３日、７日後）およびＳｔａｐｈ．Ｅｐｌ．ＯＭ３０１に２時間保存後の各種骨セメント上の細菌数の比較を示す棒グラフである。 図１ａの縦軸の目盛を拡大したものである。

Claims (6)

1. セメント表面における微生物定着を防止するのに十分な有効成分濃度である、セメントの総量に対して最大１重量％の殺菌性ポリヘキサメチレンビグアニドのＰＭＭＡ骨セメントにおける使用。
2. 抗生物質を含まないＰＭＭＡセメントにおける請求項１に記載のポリヘキサメチレンビグアニドの使用。
3. 長期間にわたって外傷治癒プロセスに悪影響を与えることがなく、骨セメントの硬化プロセスを著しく害することもない、請求項１および／または２に記載のポリヘキサメチレンビグアニドの使用。
4. セメントの総量に対して０．０２５から０．５重量％の量での、請求項１から３のいずれか一項に記載の使用。
5. セメントの総量に対して最大で０．１５５重量％の量での、請求項４に記載の使用。
6. 請求項１から５のいずれか一項に記載の骨セメントから製造される医療用インプラント。

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