JP2006525784A - 膜貫通型タンパク質amigoおよびその用途 - Google Patents

膜貫通型タンパク質amigoおよびその用途 Download PDF

Info

Publication number
JP2006525784A
JP2006525784A JP2004560540A JP2004560540A JP2006525784A JP 2006525784 A JP2006525784 A JP 2006525784A JP 2004560540 A JP2004560540 A JP 2004560540A JP 2004560540 A JP2004560540 A JP 2004560540A JP 2006525784 A JP2006525784 A JP 2006525784A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
amigo
receptor
cells
polypeptide
cell
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2004560540A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006525784A5 (ja
Inventor
クヤ−パヌラ,ユハ
キールトマキ,マルヤーナ
ラウヴァラ,ヘイッキ
Original Assignee
リセンチア エルテーデー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by リセンチア エルテーデー filed Critical リセンチア エルテーデー
Publication of JP2006525784A publication Critical patent/JP2006525784A/ja
Publication of JP2006525784A5 publication Critical patent/JP2006525784A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K14/00Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof
    • C07K14/435Peptides having more than 20 amino acids; Gastrins; Somatostatins; Melanotropins; Derivatives thereof from animals; from humans
    • C07K14/705Receptors; Cell surface antigens; Cell surface determinants
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • A61P25/02Drugs for disorders of the nervous system for peripheral neuropathies
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P25/00Drugs for disorders of the nervous system
    • A61P25/28Drugs for disorders of the nervous system for treating neurodegenerative disorders of the central nervous system, e.g. nootropic agents, cognition enhancers, drugs for treating Alzheimer's disease or other forms of dementia
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P35/00Antineoplastic agents
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K38/00Medicinal preparations containing peptides

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Neurosurgery (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Neurology (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Cell Biology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Toxicology (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Gastroenterology & Hepatology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • Psychiatry (AREA)
  • Hospice & Palliative Care (AREA)
  • Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
  • Preparation Of Compounds By Using Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)

Abstract

細胞外領域に6個のロイシン−リッチリピート(LRR)と1個の免疫グロブリンドメインを含む、膜貫通型タンパク質であるAMIGO、AMIGO2およびAMIGO3(Amphoterin induced gene and orphan receptor、即ち、「アンフォテリン誘導性遺伝子とオーファン受容体」)。これらのタンパク質を用いた、神経系細胞の成長、遊走、軸索伸長、ミエリン形成、束形成または増殖を制御する方法、ならびに癌、腫瘍増殖および転移腫瘍の処置方法。2つのAMIGO化合物間の相互作用、またはAMIGOと上皮成長因子受容体(EGFR)との相互作用を制御する物質のスクリーニング方法。

Description

本発明は概して遺伝子工学の分野に関し、より詳細には、軸索路(axon tract)の発生に関与する膜貫通型タンパク質に関する。
数十億の連結部を有する神経系の発生は、自然界において最も複雑かつ興味深い現象の一つである。このような事象の鍵となる特徴の1つは、適切な標的への神経成長円錐の誘導である。種々の可溶性マトリクスおよび細胞表面分子が、軸索成長および成熟した繊維路を形成するための軸索の会合に関与していることが見出された(文献としてはTessier-Lavigne and Goodman, 1996 および Drescher et al., 1997を参照)。
末梢神経系(PNS)においては、損傷した神経繊維は長い距離に渡って再生し、優れた機能回復を達成することができる。過去15年の間に神経科学者は、これは末梢神経系の神経細胞と中枢神経系(CNS)の神経細胞との間に存在する固有の差異がもたらすものではないことを認識し始めた。驚くべきことに、CNSのニューロンは、PNS(例えば、坐骨神経)の移植部位を介して成長する機会を与えた時には、長距離に渡って軸索を伸長する。したがって、CNSのニューロンは、細胞外環境から正しいシグナルを与えられれば成長する能力を保持している。CNSとPNSの異なる成長能に寄与する要因には次のものが含まれる: 部分的にしか特徴付けられていない成長阻害分子であって、CNSで神経繊維を取り巻く乏突起膠細胞の表面に存在するが、PNSにおける対応細胞集団(シュワン細胞)では存在量の少ない分子;基底層および他の表面の分子であって、PNSでは成長を促進するがCNSには存在しないもの(例えばラミニン);および細胞の生存および分化をもたらす遺伝子発現のプログラムを活性化する栄養因子や可溶性ペプチド。このような栄養因子は神経細胞の生存能および分化能の維持に必須であるとみなされているが、CNSの軸索再生の誘導などを担う特定の物質は不明である。その結果、今日までCNS損傷の有効な治療法は開発されていない。
免疫グロブリンスーパーファミリーのタンパク質は、神経突起の伸長、軸索の誘導およびシナプスの可塑性の接触依存型制御に関与することが示されている分子からなる最も多様かつ研究されているクラスを形成している(文献としてはSchachner, 1997、Walsh and Doherty, 1997、Stoeckli and Landmesser, 1998 および Van Vactor, 1998を参照)。ロイシン−リッチリピート(ロイシンに富んだ反復配列、LRR)を含む細胞外タンパク質も、軸索誘導に関与することが明らかになっている。例えば、LRRドメインを有するSlitタンパク質は、Robo(Roundabout)受容体を介した交連軸索に対する正中線忌避物質として作用し(Battye et al., 1999 および Brose et al., 1999)、近年、Battyeら(2001)は、SlitとそのRobo受容体との相互作用はSlitに存在するLRRに基づくことを明らかにした。さらに、Puschら(2000)は、X連鎖先天性定常的夜盲症(X-linked congenital stationary night blindness、XLCSNB)と呼ばれる疾病は、網膜のニクタロピンというLRR含有タンパク質しかコードしない遺伝子にマッピングされることを明らかにした。近年、軸索再生阻害物質であるNogoに対する受容体(Chen et al., 2000)は、GPI−結合細胞表面タンパク質であり、その唯一の確認可能なモチーフがLRRドメインであることが見出された(Fournier et al., 2001)。
アンフォテリン(“HMGB1”とも呼ぶ)は、神経突起伸長促進因子として周生期ラットの脳から単離されたヘパリン結合性タンパク質であり(Rauvala and Pihlaskari, 1987)、神経系細胞の成長円錐に豊富に存在する因子である。アンフォテリンは、細胞表面の受容体(RAGEおよび硫酸化グリカンエピトープ)への結合、ならびにアンフォテリンに対するプラスミノーゲンおよびプラスミノーゲンアクチベーターの結合を介したECMのタンパク質分解の活性化という機能故に、侵襲細胞や成長円錐の遊走に対するオートクリン因子であると提案されている(文献としてはRauvala et al., 2000 および Muller et al., 2001を参照)。
細胞の運動性、特に神経突起の伸長におけるアンフォテリンの役割を調べるために、アンフォテリンマトリクス上に誘導された遺伝子をmRNA ディファレンシャル ディスプレイ法を用いて検索した。本発明においては、AMIGO(AMphoterin Induced Gene and Orphan receptor、即ち、「アンフォテリン誘導性遺伝子とオーファン受容体」)と命名した新規なタンパク質のクローニングおよび機能的特徴付けを開示する。AMIGOのクローニングは、2種の他の関連性のあるタンパク質(AMIGO2およびAMIGO3)のクローニングを可能とする配列データを提供した。これら3種のタンパク質が統合的に膜貫通型タンパク質の新規なファミリーを構成する。これらAMIGOの予想されるアミノ酸配列は、AMIGOが分泌のためのシグナル配列と膜貫通型ドメインを有するI型の膜貫通型タンパク質であることを示唆する。興味深いことには、これらAMIGOの細胞外領域には、6個のロイシン−リッチリピート(LRR)、それに隣接するシステイン−リッチLRR N末端ドメインとシステイン−リッチLRR C末端ドメイン、および膜貫通領域の近傍に位置する1つの免疫グロブリンドメインが含まれている。このような2つのモチーフを有する構造は、これらAMIGOを免疫グロブリンスーパーファミリーおよびロイシン−リッチリピートスーパーファミリーの両方のメンバーとして定義することができる。
アンフォテリン
アンフォテリンは、その神経突起伸長促進能に基づいて、周生期ラットの脳から単離されたタンパク質である(Rauvala and Pihlaskari, 1997)。アンフォテリンは、正に帯電した領域および負に帯電した領域をいずれも有する極性分子である。このような二極性の性質により、アンフォテリンは非常に接着性の強い分子であり、例えばヘパリンや他の硫酸化グリカンに結合する。
アンフォテリンは細胞核に局在し、DNAに結合することも分かっており、このような役割においてアンフォテリンはHMG1と呼ばれている(Bianchi et al., 1989)。後の研究によって、アンフォテリンは細胞内に拡散状態で局在するが、細胞が突起の伸長を始めるとアンフォテリンは突起の先端に局在する(Merenmies et al., 1991 および Parkkinen et al., 1993)。アンフォテリンは分泌のためのシグナル配列を欠いているが、細胞外マトリクス(extracellular matrix、ECM)にも存在することが明らかになっている。In vitroにおいてアンフォテリンは、ニューロンの表面に局在していることが明らかになっており(Rauvala and Pihlaskari, 1997 および Rauvala et al., 1988)、またアンフォテリンは細胞表面受容体であるRAGEに対するリガンドであることも明らかになっている(Hori et al., 1995)。エンドトキシン ショックの際には大量のアンフォテリンがヒトの血漿に蓄積することが明らかになっている(Wang et al., 1999)。この期間に赤血球が成熟過程にあると、ECMにアンフォテリンが分泌されて、そこで分化因子として作用すると考えられている(Passalacqua et al., 1997)。また、グリア細胞から分泌されるアンフォテリンは、グリア細胞とニューロンとの相互作用に関連する因子として作用することも示唆されている(Passalacqua et al., 1998 および Daston and Ratner, 1994)。
アンフォテリンは、発生途中の神経系のニューロンおよびグリア細胞で高度に発現しており、未成熟細胞でも概ね発現している。アンフォテリンは単球およびマクロファージならびにしばしば形質転換細胞でも高度に発現している。アンフォテリンは細胞の侵襲性遊走に関与すると考えられている。アンフォテリンはプラスミノーゲンおよびプラスミノーゲンアクチベーターを結合し、この結合がプラスミンの形成およびアンフォテリンの分解も活性化することが明らかになっている(Parkkinen and Rauvala, 1991 および Parkkinen et al., 1993)。細胞表面レベルでは、アンフォテリンは膜貫通型タンパク質であるRAGE、いくつかのプロテオグリカン(例えばシンデカン−1)および硫酸糖脂質に結合する。マルチリガンドタンパク質であるRAGE(Receptor of advanced glycation end products、即ち、AGE受容体)は、免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーである。アンフォテリンは、RAGE依存シグナル伝達を介して神経突起の伸長を刺激するが、アンフォテリンとRAGEはいずれも発生途中の神経系の同じ部分に局在している(Hori et al., 1995)。アンフォテリンは、侵襲的遊走においてオートクリン因子および/またはパラクリン因子として作用することが示唆されており、具体的には、アンフォテリンはその受容体に結合し、ECMのタンパク質分解と細胞骨格の再構築の両方を活性化する(Rauvala et al., 2000 および Rauvala et al., 1988)。アンフォテリンとRAGEとの間の相互作用を阻害することにより、腫瘍の増殖および侵襲性を低減することができる。
免疫グロブリンドメイン
IgGドメインは最も一般的な細胞外タンパク質モチーフの1つである。これは抗体分子から初めに発見された。抗体分子に加えて多くの細胞接着分子、細胞表面受容体およびいくつかの細胞内筋タンパク質がIgGドメインを含有する。IgGドメインは全長約70〜110アミノ酸であり、通常、55〜77個のアミノ酸で隔てられた2つのシステインを含有している。また、IgGドメインは7〜10枚のβシートを形成し、疎水性残基を内側に、親水性残基を外側に向けてしっかりとまとめられた球状構造をとっている。多くの場合この構造は、保存されたシステイン間のジスルフィド結合によって安定化されている(Walsh and Doherty 1997 および Williams and Barclay, 1988)。
配列レベルでは、IgGドメイン類は大きく異なる。同じタンパク質内の異なるIgGドメイン間の相同性についても、共有する類似アミノ酸はたった10〜30%である。全てのIgGグロブリンが同じコア構造、即ち、重ねられた2枚のβシートを共有しているが、他の特徴はかなり異なっている。IgGドメインは多様であるが、それらをいくつかのカテゴリーに分類することができる。IgGドメインはもともとC1、C2およびVに分類され、その後、グループIが加えられた(Williams and Barclay, 1988)。IgGドメインの安定性は、IgGドメインが共通して細胞外空間に存在する理由を説明する、即ち、IgGドメインはタンパク質分解性および酸化的な環境に耐性があるからである。細胞外IgGドメインを有する分子は、細胞接着ならびに分子の認識および結合に機能し得る。IgGドメインはそのドメイン表面のいかなる部分とも相互作用すると考えられる(Williams and Barclay, 1988)。
IgGドメイン含有タンパク質は、免疫グロブリンスーパーファミリーと呼ばれるタンパク質のファミリーを形成し、これは細胞表面タンパク質の最も一般的なファミリーである。配列分析によると、765個のヒトタンパク質がこのファミリーに属することが分かっており、ハエ(flyes)では140個そして蠕虫(worms)では64個のタンパク質がこのファミリーに属する(Venter et al., 2001)。IgGファミリーのメンバーは、細胞の認識および接着に関与するタンパク質、例えば、抗体分子、T細胞受容体、成長因子受容体、多くの接着分子および神経突起伸長促進受容体をコードする。IgGドメイン接着分子は、多くの場合、いくつかの連続したIgGドメインおよびIII型フィブロネクチン様ドメインからなる(Crossin and Krushel, 2000)。
免疫グロブリンスーパーファミリーの神経系由来のメンバーは、受容体分子および接着分子として作用し、特に軸索の成長および誘導に関連する多くの重要な機能についてその役割が明らかになっている。接着分子は、多くの相互作用を緻密に組み合わせることが必要な神経系の発生において重要な役割を担い、例えば、NCAMおよびL1は軸索の成長および誘導の際に機能する(Walsh and Doherty, 1997)。他のメンバーには、FGFに対する受容体(FGFR)、神経栄養因子受容体からなるTrkファミリー、Eph受容体、Slitの機能を仲介するRobo(Roundabout)およびネトリンと相互作用するDCC(Deleted in colorectal carcinoma)が含まれる(Tessier-Lavigne and Goodman, 1996 および Brose and Tessier-Lavigne, 2000)。
軸索のIgG細胞接着分子は、ホモフィリックまたはヘテロフィリックに他のIgGファミリーのメンバーと相互作用し得る。このような結合パートナーは、同じ細胞膜内、隣接する細胞膜または細胞外空間に局在し得る。多くのIgGタンパク質は細胞相互作用の非常に複雑なネットワークを形成し、部分的に重複した機能さえ持ち得る。複数のIgGタンパク質が、他のリガンドに対する結合親和性を調節することによって同じリガンドを競合することもある(Brummendorf and Lemmon, 2001)。
ミエリン形成に関与する免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーは、MAG(myelin-associated glycoprotein、即ち、ミエリン関連糖タンパク質)およびP0であるが、これらの正確な機能は不明である。MAGの機能はCNSニューロンの再生阻害と関連するか、あるいはある種のニューロンの神経突起の伸長を活性化または阻害できることが知られている。ミエリンに含まれる全タンパク質の約半分は、ミエリン鞘の細胞膜の相互結合に関与していると考えられるホモフィリックな細胞接着分子であるP0タンパク質からなる(Brummendorf and Rathjen, 1994)。
LRRドメイン
ロイシン−リッチリピート(LRR)は全長20〜29アミノ酸からなる配列モチーフであり、一定の距離を隔てて存在する疎水性残基、特にロイシン、の反復によって特徴付けられる。この配列の反復はタンパク質中に数回現れ、反復配列からなるこのような領域を「LRRドメイン」と呼ぶ。LRRは、全長11アミノ酸のコンセンサス配列であるLxxLxLxxzxL(配列中、xはいかなるアミノ酸でもよく、zはNまたはシステインであり、そしてLはロイシン、バリン、イソロイシンまたはフェニルアラニンである)を含有する。LRRタンパク質は、通常、複数のLRRドメインを含んでおり、最大30個含んでいるもの(カオプチン(chaoptin))もある。LRRドメインはコンセンサス配列と常に同一なわけではなく、したがって、ギャップを含んだり、その長さやアミノ酸の組成が異なっていてもよい(Kobe and Deisenhofer, 1994)。
LRRドメインの唯一の疎水性コアが溶媒と直接相互作用するのを防ぐために、LRRドメインはそのN末端側および/またはC末端側にいくつかのシステイン残基が隣接している(LRR NTドメインおよびLRR CTドメイン)。配列の分析により、4種のC末端システインリッチドメインと1種のN末端システインリッチドメインの存在が明らかになった(Kobe and Kajava, 2001 および Kajava, 1998)。これらのシステインドメインは細胞外タンパク質にのみ見出されており、システインは分子間ジスルフィド結合を形成する(Kresse et al., 1993 および Hashimoto et al., 1991)。
LRRドメインタンパク質は細胞の様々な場所に存在し、種々の機能を有する。真核生物のLRRタンパク質は細胞外空間に加えて、細胞核、細胞質や細胞膜に存在し、ホルモンの受容体、酵素のサブユニットおよび細胞接着分子として機能し、細胞認識の際にも作用する(Kobe and Kajava, 2001)。さらに、このようなLRRタンパク質は、例えばシグナル伝達や細胞内輸送といった種々の細胞機能およびDNAの修復、組換えや転写を仲介する(Buchanan and Gay, 1996)。
LRRタンパク質は、LRRの長さおよびコンセンサス配列の組成によって少なくとも7種のサブクラスに分類することができる。7種のサブクラスは、RI様LRR、SDS22様LRR、システイン含有LRR、細菌性LRR、典型的LRR、植物特異的LRRおよびTpLRRである(Kobe and Kajava, 2001)。前者の3つが細胞内に存在するのに対し、後者の4つは細胞膜または細胞外空間に存在する。
LRRドメインはタンパク質−タンパク質相互作用における役割を担っていると考えられている。例えば、カオプチンはLRRドメインからなる細胞表面タンパク質であり、脂質アンカーを介して細胞膜に繋がれており、ホモフィリックな細胞接着を仲介することが明らかになっている(Reinke et al., 1988 および Krantz and Zipursky, 1990)。
細胞外マトリクスは、相同性を有するいくつかの小さなプロテオグリカンを含有し、その配列の70〜80%がLRRドメインで構成されている。このような小さなプロテオグリカンはN−末端グリコサミノグリカン、ならびに可変量のLRRとそこに隣接するLRR NTドメインとLRR CTドメインで構成されている。バイグリカンなどのプロテオグリカンはラミニンおよびフィブロネクチンに結合するのに対し、デコリンおよびフィブロモジュリンはI型コラーゲンおよびII型コラーゲンに結合する(Svensson et al., 1995)。軸索伸長調節分子であるSlitはLRRドメイン、EGF反復配列、ラミニン様GドメインおよびLRR NTドメインとLRR CTドメインを含む。SlitのLRRドメインのみが、in vivoにおける反発的なシグナル伝達の仲介のみならず、in vitroにおけるRoboへの結合に必要である(Battye et al., 2001)。
神経系で発現する複数のLRRタンパク質が知られているが、その機能や結合パートナーが明かなものはほんのわずかである。最もよく特徴付けられた神経系のLRRタンパク質はショウジョウバエのコネクチン、カプリシャスおよびカオプチンである。コネクチンは、筋神経連結の発生における役割を担うGPI(glycosyl phosphatidyl inositol、即ち、グリコシルフォスファチジルイノシトール)結合細胞接着タンパク質である。コネクチンは、10個のLRRドメインと、そこに隣接したLRR CTドメインを含む。筋神経連結の形成の際にコネクチンはある種の筋肉細胞の表面で発現し、同時にそれらを支配する運動ニューロンの、特に成長円錐で発現する。シナプス形成の際にはコネクチンは連結領域に局在するが、シナプスの成熟の際にはコネクチンの発現は下向きに調節される。In vitroの実験によって、コネクチンをトランスフェクトしたS2細胞間でホモフィリックな細胞接着が上昇することが明らかになった(Nose et al., 1992 および Meadows et al., 1994)。さらに、in vivoの研究は、神経系に対する興味深い成長調節タンパク質としてのコネクチンの役割を支持している。コネクチンが全ての筋肉細胞において誤って発現されると、異常な筋神経連結形成が生じる(Yu et al., 2000)。
カプリシャスは、筋神経連結形成におけるコネクチンの機能と類似した機能を有する細胞膜タンパク質である。カプリシャスは、12個のLRRドメインと、そこに隣接したLRR CTドメインとLRR NTドメインを有する。In vitroの研究はホモフィリックな接着を支持しなかったので、筋神経連結形成の際の細胞間シグナル伝達過程を仲介すると考えられる(Shishido et al., 1998)。
カオプチンは、光受容細胞に特異的な、30〜40個のLRRドメインを有する接着分子であり、GPIアンカーを介して細胞膜に結合している。カオプチンはホモフィリックな細胞接着を仲介し、光受容細胞の適切な形成に必要である(Krantz and Zipursky, 1990)。
Slitタンパク質は保存性が高く、細胞外空間に分泌されて、軸索の伸長および分岐におけるガイダンスを提供する。Slitタンパク質はいくつかのLRRドメイン、EGF様反復配列、ラミニン様G−ドメインおよびLRR NTドメインからなる(Brose and Tessier-Lavigne, 2000)。Slitは軸索伸長を抑制するものとしてショウジョウバエから発見された(Rothberg et al., 1990 および Kidd et al., 1999)。Slitは正中線のグリア細胞で産生され、正中線を横切る軸索路の形成と水平側生路(horizontal lateral tracts)の配置に必要である。Slitの生物学的機能は、細胞膜受容体であるRoboによって仲介されている。SlitのLRRドメインはin vitroでRoboに結合するので、LRRドメインはSlitによる反発的なシグナル伝達に必要である(Battye et al., 2001)。3種の哺乳類由来SlitおよびRoboがクローニングされている。また、Slitはラミニン−1、ネトリン−1およびグリピカン−1に結合する(Brose et al., 1999 および Liang et al., 1999)。
Nogo受容体(NogoR)はミエリンに見出されたCNS受容体タンパク質であり、軸索再生を阻害する原因因子である。NogoRは、8個のLRRドメインとそこに隣接するLRR CTドメインからなり、GPIアンカーを介して細胞膜に繋がっている。NogoRは、Nogo-66に結合し、軸索伸長を阻害する(Grandpre and Strittmatter, 2001 および Fournier et al., 2001)。
OMgpは、CNSミエリンおよび乏突起膠細胞の細胞膜に見られる乏突起膠細胞−ミエリン糖タンパク質(oligodendrocyte-myelin glycoprotein)である。OMgpは、少なくとも6個のLRRドメインと1個のLRR NTドメインを含む110kDaのGPI−結合細胞膜タンパク質である(Mikol et al., 1988 および 1990)。Nogoと同様に、OMgpは哺乳類のCNSで軸索の再生を阻害する。最近になって、OMgpはNogoRに結合し、軸索再生を阻害することが明らかになった(Wang et al., 2002)。
LRRドメインとIgドメインを含有するタンパク質
神経系のいくつかの膜貫通型タンパク質はLRRドメインとIgドメインを共に含有する。このようなタンパク質について以下で説明する。
KekkonおよびISLR
ショウジョウバエは、LRRドメインとIgドメインの両方を有する膜貫通型タンパク質をコードするkekkonと呼ばれる遺伝子ファミリーを有する。Kekkon1(kek1)およびKekkon2(kek2)の細胞外領域は、6個のLRRとそこに隣接するLRR NTドメインおよびLRR CTドメインを含む。これらは、膜貫通領域の近傍に位置する1個のC2型 Igドメインと大きな細胞内テール構造を有する。いずれの遺伝子も発生途中の中枢神経系(CNS)で発現し、kekkon1はさらに発生途中の卵巣にも存在する(Musacchio and Perrimon, 1996)。Kek1は卵形成における上皮成長因子受容体(EGFR)の機能を阻害することが知られている(Ghiglione, 1999)。興味深いことに、EGFRの阻害に必要なのは、kek1タンパク質の細胞外領域と膜貫通ドメインのみである。
膜貫通型タンパク質であるISLRは、kekkonタンパク質と同様のドメイン構造を有する。ISLRの細胞外領域は、6個のLRRとそれに隣接するLRR NTドメインおよびLRR CTドメインを含有する。ISLRはさらに膜貫通領域の近傍に1個のC2型Igドメインを含有するが、細胞内領域は含有しない。ISLRはヒトおよびマウスからクローニングされている。ISLRは網膜、心臓、胸腺および脊髄などの種々の組織で発現する(Nagasawa et al., 1999 および Nagasawa et al., 1997)。
Trk−受容体
ニュートロフィン受容体であるTrkA、TrkBおよびTrkCはチロシンキナーゼ型受容体であり、細胞外領域は3個のLRR領域を有し、各領域がLRR NTドメインおよびLRR CTドメインと隣接している。細胞外領域は2個のIgドメインも有している。Trk受容体の細胞内領域はチロシンキナーゼドメインを有している。Trk受容体のリガンドはニュートロフィンであり、これは中枢神経系および末梢神経系の発生および維持に重要な因子である。ニュートロフィンのTrk受容体への結合によってTrk受容体が二量体化し、次いでチロシンキナーゼドメインが自己リン酸化し、このリン酸化によっていくつかのシグナル伝達カスケードが活性化される(Kaplan and Miller, 1997)。もともと、Trk受容体のLRR領域がリガンド結合ドメインであることを示す研究がいくつか存在した(Windisch et al., 1995 および Windish et al., 1995)。近年では、TrkA受容体の細胞表面に最も近いIgドメインが、神経成長因子(nerve growth factor、NGF)を結合するものであることが明らかになった(Holden et al., 1997、Perez et al., 1995、Robertson et al., 2001、Urfer et al., 1995 および Wiesmann et al., 1999)。
NLRR、PalおよびLIG−1
神経系のロイシン−リッチリピートタンパク質(NLRR)は神経組織で発現される膜貫通型タンパク質である。NLRRの細胞外領域は、12個のLRRとそこに隣接するLRR NTドメインおよびLRR CTドメイン、1個のIgドメインおよびIII型フィブロネクチン様ドメインを含有する。類似したNLRRタンパク質がマウス、ラット、ゼブラフィッシュ、カエルおよびヒトから見出されている(Hayata et al., 1998、Taniguchi et al., 1996、Taguchi et al., 1996、Bormann et al., 1999 および Fukamachi et al., 1998)。ゼブラフィッシュにおいては、NLRRファミリーのメンバーの1つが損傷後の軸索再生の際に特異的に発現される(Hayata et al., 1998)。成熟した哺乳類のCNSとは異なり、ゼブラフィッシュのニューロンは損傷領域に新たなニューロンを伸ばすことができた。マウスでは、皮質損傷後にNLRR−3遺伝子が誘導されることが明らかになっている(Ishii et al., 1996)。
Palは網膜で特異的に発現される膜貫通型タンパク質である。Palの細胞外領域は5個のLRRとそこに隣接したLRR NTドメインおよびLRR CTドメイン、1個のC2型IgドメインおよびIII型フィブロネクチン様ドメインを含有する。成熟した網膜では、Palは光受容体細胞によって発現されており、タンパク質は視神経円板(disks)に局在すると考えられている。Palの機能はまだ不明であるが、ホモダイマーを形成することが明らかになっている(Gomi et al., 2000)。
LIG−1も、LRRドメインと免疫グロブリンドメインを含む膜貫通型タンパク質である。LIG−1の細胞外領域は15個のLRRおよび3個のC2型Igドメインを含有する。LIG−1の細胞内領域は全長270アミノ酸であり、既知のドメインを1つも有していない。LIG−1はマウスおよびヒトの脳で高度に発現する。マウスでは、LIG−1の発現は、神経系支持細胞の特定の集団に局在し、小脳では、LIG−1はバーグマングリア細胞に局在する(Nilsson et al., 2001 および Suzuki et al., 1996)。
本発明においては、神経系で高度に発現するタンパク質ファミリーのメンバーであるAMIGO、AMIGO2およびAMIGO3の特徴付けを行った。本発明は、これらAMIGOが神経系における繊維路の発生に際してホモフィリックな機構およびへテロフィリックな機構を介して細胞間相互作用を仲介することを開示する。
上皮成長因子受容体
上皮成長因子受容体(EGFR)は、内因性のチロシンキナーゼ活性を有する170kDaの膜貫通型糖タンパク質である(Cohen et al., 1982)。EGFRは、細胞の生存、分裂促進性の応答、分化および細胞運動を含む非常に多様な生物学的機能を発揮する(Khazaie et al., 1993)。EGFRに対する多くのリガンドが同定されており、リガンドとしては上皮成長因子(EGF)、トランスフォーミング増殖因子−α(TGF−α)、アンフィレギュリン(AR)、エピレギュリン(ER)、バタセルリン(Batacellulin)(BTC)、ヘパリン結合性EGF様増殖因子(HB−EGF)およびシュワノーマ由来増殖因子(SDGF)が挙げられる。EGFファミリーのペプチドは乳腺の発生、形態形成および乳汁分泌の制御に著しく関与し、ヒト乳癌の病因にも影響を与える(Normanno and Ciardiello, 1997)。
上皮成長因子受容体(EGFR)(配列番号21〜24)は、上皮成長因子(EGF)(配列番号25〜28)およびトランスフォーミング増殖因子−α(TGF−α)(配列番号29〜32)に対する特異的な受容体である。これらの分裂促進性のポリペプチドがEGFRに結合すると、受容体のチロシンキナーゼ活性が誘導され、その結果として細胞の成長を調節する一連の事象が開始する。多くの悪性腫瘍および非悪性腫瘍に関連した病態が今ではEGFR、特にEGFRの異常発現と関連すると考えられている。異常発現には、正常なEGFRの発現量の上昇および変異EGFRの発現の両方が含まれる。EGFRの過剰発現は、大部分のグリオブラストーマ、ならびに乳癌、肺癌、卵巣癌、結腸直腸癌、膀胱癌、膵臓癌、扁平上皮細胞癌および腎臓癌を含む多くのヒト腫瘍で見られる。上昇したEGFRレベルは、ヒト腫瘍における予後不良と相関する。ヒトEGFRをコードするmRNAの配列は公知である(Ullrich et al., Nature, 1984, 309, 418; GenBank Accession Number NM_005228)。EGFRをコードする遺伝子はc-erb-B1として知られている。典型的な例においては、ノーザンブロット上に2種のEGFR転写物が検出され、1つの測定値は10kbであり、他方の測定値はは5.6kbである。
EGF受容体系の1つの役割は、オートクリン刺激による成長を介した、細胞の腫瘍形成性の成長であると考えられる。細胞がEGFRを発現し、EGFおよび/またはTGF−αを分泌する場合には、このような細胞はその細胞自身の成長を促進することができる。ヒト乳癌の細胞系および腫瘍のいくつかはEGFRを発現し(Osborne, et al., J. Clin. Endo. Metab., 55:86-93 (1982)、Fitzpatrick, et al., Cancer Res., 44:3442-3447 (1984)、Filmus, et al., Biochem. Biophys. Res. Commun., 128:898-905 (1985)、Davidson, et al., Mol. Endocrinol., 1:216-223 (1987)、Sainsbury, et al., Lancet, i: 1398-1402 (1987) および Perez, et al., Cancer Res. Treat., 4:189-193 (1984))、TGF−αを分泌するので(Bates, et al., Cancer Res., 46:1707-1713 (1986) および Bates, et al., Mol. Endocrinol., 2:543-555 (1988))、オートクリンによる成長刺激経路が乳癌に存在することが提案されている(Lippman, et al., Breast Cancer Res. Treat., 7:59-70 (1986))。
EGFRに対する多くの阻害剤がヒト腫瘍細胞の成長阻害に効果的であることが明らかになっている。EGFRに対するモノクローナル抗体およびEGFRのチロシンキナーゼ活性を阻害する薬物は、ヌードマウスのヒト癌細胞異種移植片の成長を阻害することができる(Normanno et al., Clin. Cancer Res., 1996, 2, 601 および Grunwald et al, J Nat Cancer Inst, 2003, 95:851)。EGFRのチロシンキナーゼ活性を阻害する薬物であるPD153035はヌードマウスのA431細胞の成長を阻害することができ、他のチロシンキナーゼと同様にEGFRの活性を阻害するチロホスチンはヌードマウスの扁平癌の増殖を阻害することが示されいる(Kunkel et al., Invest. New Drugs, 1996, 13, 295 および Yoneda et al., Cancer Res., 1991, 51, 4430)。また、さらなる低分子チロシンキナーゼ阻害剤には、ZD1839、OSI-774、CI-1033、PKI-166、GW2016、EKB-569、PD168393、AG-1478 および CGP-59326Aが含まれる(Grunwald et al., J Nat Cancer Inst, 2003, 95:851の記載は全て本明細書に組み込まれているものとする)。
さらに、EGFRを発現する腫瘍細胞によるEGFRの発現は、EGFRに対するリガンド(即ち、TGF−αやEGFを含む他の分子)の産生をしばしば伴い、このことはオートクリンループがこのような腫瘍細胞の進行に関与することを示唆している(Baselga, et al., (1994) Pharmac. Therapeut. 64:127-154 および Modjtahedi, et al., (1994) Int. J. Oncology. 4:277-296)。したがって、上記EGFRリガンドとEGFRとの相互作用の遮断は、腫瘍の増殖および生存を阻害することができる(Baselga, et al., (1994) Pharmac. Therapeut. 64:127-154)。
多様なアプローチをEGFRのターゲティングに用いることができ、そのような方法として、例えば、EGFRの細胞外ドメインに対する活性リガンドの結合とモノクローナル抗体を競合させる方法、EGFRの細胞内チロシンキナーゼドメインに対する低分子の阻害剤を用いる方法、イムノトキシン結合体を用いてEGFRをターゲティングする毒素を腫瘍細胞に送達する方法、アンチセンスオリゴヌクレオチドを用いてEGFRのレベルを低減する方法、そしてEGFRシグナル伝達ネットワークの下流に存在するエフェクターを阻害する方法が挙げられる。前述の方法にも関わらず、EGFRの発現に関連した疾患の治療および/または予防に有効な、EGFRに対する新規な化合物が求められている。
発明の概要
本発明は、脊椎動物のAMIGO、AMIGO2およびAMIGO3(集合的に脊椎動物AMIGOポリペプチドと称する)、関連核酸、脊椎動物AMIGOに特異的な構造と活性を有するそのポリペプチドドメイン、ならびに脊椎動物AMIGOの機能を制御する物質に関連した方法と組成物を提供する。脊椎動物AMIGOポリペプチドは、細胞、特に神経細胞の機能および形態を調節することができる。このようなポリペプチドは、本発明の脊椎動物AMIGOポリペプチドをコードする核酸で形質転換した宿主細胞から組換え技術によって製造するか、または哺乳類細胞から精製することができる。本発明は、天然の脊椎動物AMIGO遺伝子と特異的にハイブリダイズすることが可能な、脊椎動物AMIGOの単離したハイブリダイゼーション用のプローブとプライマー、および特異的抗体などの脊椎動物AMIGO特異的結合性物質を提供し、さらに本発明の組成物の製造方法とそれを用いた診断方法(例えば、脊椎動物AMIGO転写産物を検出するための、遺伝的ハイブリダイゼーション スクリーニング法)や治療方法(例えば、神経細胞の成長を制御する方法)、および上記組成物を用いた生命医薬産業製品(例えば、免疫原、脊椎動物AMIGOの遺伝子やポリペプチドを単離するための試薬、ならびに薬理学的先導物質(lead pharmacological agents)を得るための化合物ライブラリー スクリーニング用試薬)を提供する。
1つの態様においては、本発明は、本発明のポリペプチドを神経突起伸長の促進に用いた条件下で神経系細胞を培養する、in vitroの方法およびそれに用いるキットを包含し、上記方法およびキットは、このような培養神経系細胞の神経突起伸長を刺激する物質の存在およびその量を検出する方法を含んでもよい。本願で開示するAMIGOタンパク質およびAMIGOポリペプチドは、本願で開示する方法の範囲内で有用であり、本願で開示するキットに含まれていてもよい。
神経突起伸長アッセイへの使用に適した細胞を調製する。例えば、海馬ニューロンの調製が本願実施例に記載されている。アッセイを開始する前に、調製した細胞を再懸濁し、基質で被覆したディッシュに添加し、次いで予め選択した時間、所定のアッセイ条件下に放置してもよい。細胞の接着と増殖のための時間が経過したら、上記のディッシュから接着していない細胞を取り除くためにすすぎ、次いで接着細胞を固定し、例えば位相差顕微鏡法などによって、観察する。
好ましくは、複数の細胞を基質ごとに分析する。それから細胞を所定の基準に基づき、「判定」する。例えば、ある細胞の直径よりも突起が長い場合、細胞は神経突起を有しているとみなすことができる。神経突起を発出している細胞のパーセンテージを、平均神経突起長と共に求めることが好ましい。特に好ましい神経突起伸長アッセイ方法を本願実施例に記載する。
したがって、本発明のタンパク質およびポリペプチドは、細胞培養および組織培養に関連した様々な用途において有用である。
例えば、1つの態様は、細胞培養系で神経系細胞の神経突起の伸長を阻害するための、以下の工程(1)と(2)を包含する方法に関する。(1)培地を含む組織培養条件下に神経系細胞を導入する工程、および(2)上記培養条件下で神経突起伸長の阻害に効果的な量の本発明のAMIGOポリペプチドを培地に導入する工程。
他の1つの態様は、細胞培養系で神経系細胞の神経突起の伸長を促進するための、以下の工程(1)と(2)を包含する方法に関する。(1)神経突起伸長促進活性を有する本発明のポリペプチドを基材上に固定する工程、および(2)組織培養条件下で神経系細胞を上記基材に接触させる工程。
他の1つの態様は、細胞培養系で神経系細胞の神経突起の伸長を促進するための、以下の工程(1)〜(3)を包含する方法に関する。(1)神経突起伸長促進活性を有する本発明のペプチドをコードするAMIGO核酸を、神経系細胞に導入する工程、(2)神経突起伸長促進活性を有する本発明のポリペプチドを基材に固定する工程、および(3)組織培養条件下で上記神経系細胞を培養する工程。
本発明はまた、神経突起伸長促進性を示す、実質的に純粋なポリペプチドを含有する組成物を開示する。各種の態様において、上記ポリペプチドはAMIGOタンパク質の部分に由来する。
他の1つの態様においては、本発明の組成物は、実質的に純粋な本発明のポリペプチドを含有し、上記組成物は固体支持体または基材に固定する。固体支持体としては、表面が神経系細胞などに接触するように設計した人工器官、インプラントまたは縫合用器具が挙げられ、さらに、固体支持体は、免疫系による拒絶反応の恐れを低減するように設計されたもの、具体的には、上記器具の表面を本発明のポリペプチドまたは拒絶反応を改善するように設計した他の物質で被覆したものでもよい。
本願で開示するAMIGOタンパク質、AMIGOポリペプチドおよびAMIGO核酸は、本願に記載する様々な治療用途においても有用である。
本発明の治療方法は、自然にまたは外科的に生じた外傷、梗塞、毒物暴露、変性疾患、および末梢ニューロンまたは中枢ニューロンに影響する悪性疾患と関連する末梢神経損傷の治療に有用であり、また、脳、脊髄または後根神経節由来の新鮮な神経系細胞を移植し、移植片からの神経突起伸長を刺激して受容組織への神経分布を達成することが必要とされる外科的方法または移植法においても有用である。上記の疾病には、さらに中枢神経系障害、グリオーシス、パーキンソン病、アルツハイマー病、神経変性などが含まれるが、これらに限定されることはない。本発明の方法は、グリオーシス様の反応や炎症を引き起こすいかなる疾患の治療にも有用である。
神経損傷の治療においては、損傷後すぐに本発明の治療用組成物を損傷した神経に接触させることが回復の速さと程度を向上させる上で特に重要である。
したがって、本発明は、対象生物または選択したその組織において神経突起の伸長を促進する方法に関し、この方法は、治療に効果的な量の本発明の神経突起伸長促進AMIGO化合物を含有する、生理的に許容される組成物を対象生物または組織に投与することを包含する。
好ましい方法においては、対象生物はヒトの患者であり、投与するポリペプチドはヒトAMIGOの細胞外ドメインを含んでいる。他の1つの好ましい方法においては、対象生物はヒトの患者であり、投与する核酸はヒトAMIGOのAMIGO細胞外ドメインをコードしている。
1つの態様においては、切断または損傷した神経は、神経を挿管用器具(entubalation device)の中に外科的に挿管して、効果的な量の本発明の神経突起伸長促進ポリペプチドを投与することで修復または再生することができる。
関連した態様においては、移植可能な送達器具(セルロースブリッジ(cellulose bridge)、縫合糸、スリング用人工補装具(sling prosthesis)やこれらと関連する送達機具など)に本発明のポリペプチドを含浸させることができる。このような器具は、所望により、神経膠で被覆することができ、被覆方法については Silver, et al., Science 220:1067-1069, (1983)に記載されており、この記載によってこの被覆方法は本明細書に組み込まれているものとする。
本発明の治療用組成物は、生理的に許容される担体と共に、本明細書に記載した本発明の神経突起伸長促進ポリペプチドを少なくとも1種含んでおり、ポリペプチドは有効成分として担体中に分散している。好ましい態様においては、治療用組成物はヒトの患者に治療目的で投与した場合に免疫原性を示さないものである。
便宜上、本明細書で説明する治療用組成物の有効成分を、「神経突起伸長促進ポリペプチド」と称する。この用語は、融合タンパク質、合成ポリペプチドおよび天然タンパク質の断片のみならず、それらの誘導体をも含む、本明細書で説明する種々のAMIGOポリペプチドを包含するものと理解されるべきである。この用語はまた、融合タンパク質、合成ポリペプチドおよび天然タンパク質の断片のみならず、それらの誘導体をも含む、本明細書で説明するAMIGOポリペプチドをコードする核酸も包含する。
上述した方法においては、所望により、ニューロンの生存、成長、分化または再生を促進し得るその他の物質と神経系細胞または神経を接触させる工程と組み合わせて実施することもできる。
本願で開示するAMIGOタンパク質が神経突起の伸長を促進し得るという発見によって、神経再生の向上と神経生存の促進、末梢神経損傷と脊髄損傷の治療、および内因性や移植した(implanted or transplanted)CNS組織の成長刺激に用いる物質が提供される。
従って本発明は、損傷または切断した神経や神経組織の再生を促進する方法や、神経系細胞の伸長を必要とする様々な神経学的条件下において、神経系細胞の神経突起の伸長を促進する方法も提供する。このような方法は、神経突起を伸長することのできる神経系細胞、あるいは損傷または切断した神経を、神経突起の伸長促進に効果的な量の本発明の神経突起伸長促進ポリペプチドを含む基質を包含する細胞培養系に接触させることを包含する。この方法はin vitroin vivoで行うことができる。
本発明の方法に用いるポリペプチドおよび核酸は、本明細書に記載したいかなる神経突起伸長促進ポリペプチドでもよい。
本発明の方法によって細胞培養系で種々の哺乳類神経系細胞を処置することができ、細胞には脳、CNS、末梢神経などの細胞が含まれる。さらに、このような細胞は、ヒト、マウス、ニワトリ、ならびに農業用家畜および飼養化されていないいかなる他の哺乳類種を含む様々な哺乳類種に由来するものであってもよい。
本発明の方法に用いる特定のポリペプチドの選択においては、本明細書に記載したいかなるポリペプチドも神経突起の伸長促進に用いることができ、神経系細胞の由来する種および本発明のポリペプチドを誘導したAMIGOタンパク質の由来する種には関係ない。しかし、ヒト神経系細胞の神経突起の伸長を誘導するにはヒトAMIGOタンパク質を用いることが好ましく、その他も同種のものを選択するのが好ましい。このように、好ましい態様においては、例えば、ラット神経系細胞とラットAMIGOタンパク質由来のポリペプチドを使用し、ヒト神経系細胞とヒトAMIGOタンパク質由来のポリペプチドを使用し、マウス神経系細胞とマウスAMIGOタンパク質由来のポリペプチドを使用する。
神経突起伸長促進組成物は、基材に固定したり、液相またはコラーゲンを含むゲル相において接触させたりすることができる。使用するアッセイ系により、AMIGOタンパク質は、固体表面に固定した場合には神経系における伸長を促進するが、液相として提供した際には神経系における伸長を阻害することもある。組成物は、本明細書に記載したような融合タンパク質の形態で本発明のポリペプチドを含有してもよい。本発明の方法は、本明細書に記載したいかなる形態(apparati format)の本発明ポリペプチドを用いても実施することができる。
本発明はまた、AMIGOの、AMIGO、上皮成長因子受容体またはAMIGOリガンド(AMIGOリガンドは、結合パートナー、内因性タンパク質、外因性タンパク質およびAMIGOに結合し得る物質からなる群より選ばれたもの)との相互作用を制御する物質を同定するための方法および組成物、ならびに上記相互作用を制御するための方法および組成物を提供する。AMIGO制御物質の同定方法は、商業的な薬物のスクリーニングにおいて特に有用である。このような方法は概して以下の工程を包含する。(1)AMIGOポリペプチドと、AMIGO、EGFRまたはリガンドポリペプチドとを、候補物質と共に混合する工程であって、該混合を、候補物質の不在下では、AMIGOと、AMIGO/EGFR/AMIGOリガンドポリペプチドとが一次相互作用を示す条件下で行い、そして(2)候補物質の存在下における、AMIGOとAMIGO/EGFR/AMIGOリガンドポリペプチドとの二次相互作用を測定する工程であって、一次相互作用と二次相互作用との間に差が見られる場合には、候補物質がAMIGOとAMIGO/EGFR/AMIGOリガンドポリペプチドとの相互作用を制御することを意味する。
AMIGOの相互作用を制御する本発明の方法においては、AMIGOと、AMIGO/EGFR/AMIGOリガンドポリペプチドとを、制御物質と共に混合する。AMIGOと、AMIGO/EGFR/AMIGOリガンドポリペプチドとは制御物質の不在下では一次相互作用を示すが、上記条件下では、AMIGOと、AMIGO/EGFR/AMIGOリガンドポリペプチドとは一次相互作用とは異なる二次相互作用を示す。特定の態様においては、制御物質はAMIGO、EGFRまたはAMIGOリガンドポリペプチドのドミナントネガティブ型である。
1つの態様においては、本発明は、上皮成長因子受容体(EGFR)に結合するAMIGO化合物、およびそのような化合物を1種または組み合わせて包含する組成物を提供する。AMIGO化合物は、好ましくはEGFやTGF−αなどのEGFRリガンドのEGFRへの結合を阻害(例えば遮断)し、さらに好ましくはEGFRのリン酸化を阻害する。例えば、EGFRリガンドのEGFRへの結合および/またはEGFRのリン酸化は、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%または100%阻害することができ、EGFR仲介細胞シグナル伝達を阻止することが好ましい。
本願で例示する1つの態様においては、本発明のAMIGO化合物は、ベクターにクローニングしたAMIGO cDNAを有するAMIGO DNA構築物である。他のAMIGO化合物も本願の範囲内であり、具体的には、AMIGOペプチド、変異体、生物学的に活性な断片、AMIGOの抗原性断片、抗AMIGO抗体またはその結合性部位、およびAMIGOポリペプチドの有する結合特性および/またはEGFRリン酸化阻害特性を保持するポリペプチドをコードする核酸も包含する。上記抗体は抗体分子全体であってもよいし、Fab断片、F(ab')2断片、Fv断片および鎖状Fv断片(chain Fv fragments)を含む、抗体の抗原結合性断片であってもよい。
発明の詳細な説明
アンフォテリンとラミニンは共に神経突起伸長促進因子である。アンフォテリンまたはラミニンのマトリクス上に培養した海馬ニューロンを用いたオーダード ディファレンシャル ディスプレイ(ordered differential display)法(Matz et al., 1997)によって、アンフォテリンマトリクス上に誘導した遺伝子を検出した。アンフォテリン上に誘導した遺伝子には新規な遺伝子が観察された。この発現量の異なる遺伝子の全長コード配列のクローニングを行い、AMIGO(AMphoterin Induced Gene and Orphan receptor、即ち、「アンフォテリン誘導性遺伝子とオーファン受容体」)と命名した。AMIGOの予想されるアミノ酸配列は、分泌のためのシグナル配列と膜貫通ドメインを有するI型の膜貫通型タンパク質をコードしている。演繹したAMIGOの細胞外領域には、6個のロイシン−リッチリピート(ロイシンに富んだ反復配列、LRR)、それに隣接するシステイン−リッチLRR N末端ドメインとシステイン−リッチLRR C末端ドメイン、および膜貫通領域の近傍に位置する1個の免疫グロブリンドメインが含まれている。このタンパク質の演繹した100個のアミノ酸からなる細胞質内領域には、公知のドメインは含まれていない。我々は、さらにAMIGO、AMIGO2およびAMIGO3からなる膜貫通型タンパク質の新規なファミリーを同定した。これら3種のタンパク質は互いに明確な相同性を示し、種々のドメインの長さや位置は高い同一性を示した(図2B)。
RT−PCR実験、in situ ハイブリダイゼーションおよび免疫組織染色に基づき、AMIGOは実質的に神経系に特異的なタンパク質であることが判明した。軸索結合の増加における細胞機構の1つが束形成、即ち、パイオニア軸索を後続軸索の成長円錐の基底として軸索が互いに沿って伸長することである。興味深いことに、培地に含まれるAMIGOの細胞外ドメインのドミナントネガティブ変異体を用いたアプローチは、AMIGOの束形成における役割をはっきりと示唆した。さらに、AMIGOは、その束形成における役割を説明するホモフィリックな結合機構を示す。また、AMIGOのLRR配列が、軸索の伸長、再生および誘導に関与すると報告されているslitタンパク質やNogo受容体と相同性を示す点も注目すべきである(図11)。AMIGOの2回目の発現上昇は、ミエリン形成における役割を示唆している。AMIGOが発生のこの段階の細胞間相互作用も仲介すると考えることは妥当である。さらにAMIGOの発現は成人期まで高いまま維持される。これは、繊維路発生機構の一般的な反復機構である、成人繊維路の再生と可塑性においてAMIGOが役割を担うことを示唆している。
したがって、本発明は、AMIGOと命名した新規なヒト遺伝子/タンパク質、およびAMIGO2とAMIGO3と命名したAMIGOに対応する相同体の発見と特徴付けに基づく。これら3種のタンパク質が膜貫通型タンパク質の新規なファミリーを構成する(単純化するために、3種のタンパク質を全て「AMIGO」または「AMIGOs」と称する)。
1つの態様においては、本発明は、AMIGOポリペプチドまたはその生物学的活性か抗原性を有する断片を包含する精製タンパク質、あるいは上記ポリペプチドまたは断片からなる精製タンパク質を提供する。
他の1つの態様においては、本発明は、AMIGOタンパク質との相同性が少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%であるか、相同性が100%であるアミノ酸配列を包含するタンパク質、あるいは上記アミノ酸配列からなるタンパク質に関する。
遺伝子コードの縮重に基づいて、配列番号1、3または5のヌクレオチド配列あるいはそれらの断片に含まれるcDNAの核酸配列との相同性が少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%または99%であるか、相同性が100%であるヌクレオチド配列を有する多数の核酸分子が、「機能的な活性を有する」ポリペプチドをコードすることを当業者は直ちに認識する。実際に、いずれのヌクレオチド配列の縮重変異体もすべて同じポリペプチドをコードするので、多くの場合、多数の核酸分子が「機能的な活性を有する」ポリペプチドをコードすることは当業者には明かである。さらに当業界においては、上述の核酸分子が縮重変異体ではない場合でも、かなりの数の核酸分子が機能的な活性を有するポリペプチドをコードすると認められる。その理由は、タンパク質の機能に著しい影響を与える可能性が低いかまたは与えないと考えられるアミノ酸置換(例えば、第1の脂肪族アミノ酸の第2の脂肪族アミノ酸による置換)について、当業者はよく知っているからである。これについては下記で詳細に説明する。
例えば、表現形質に影響することのないアミノ酸置換を行うための指針がBowie et al.,“Deciphering the Message in Protein Sequences: Tolerance to Amino Acid Substitutions (タンパク質配列のメッセージを解読する:アミノ酸置換の許容度)” Science 247:1306-1310 (1990) に開示されており、この論文の著者は、変更するアミノ酸配列の許容度を検討するための2つの主要な方法を示している。
第1の方法は、進化の過程における自然淘汰によるアミノ酸置換の許容度を活用する。色々な生物種の有するアミノ酸配列を比較することで、保存されているアミノ酸を同定することができる。このような保存されているアミノ酸はタンパク質の機能に重要であると考えられる。一方、自然淘汰によってある位置のアミノ酸置換が許容されたということは、この位置のアミノ酸はタンパク質の機能にとって決定的ではないことを意味する。したがって、アミノ酸置換を許容する位置のアミノ酸は、タンパク質の生物学的活性を維持しながら修飾することができる。
AMIGOの天然の対立遺伝子変異体の他にも、AMIGOヌクレオチド配列のコードするAMIGOポリペプチドのアミノ酸配列に置換が生じるように、突然変異によってAMIGOヌクレオチド配列に変更を導入することもできる。ヌクレオチドの置換によって、AMIGOポリペプチドの配列中の「非必須」アミノ酸残基にアミノ酸置換を行うことができる。「非必須」アミノ酸残基とは、生物学的活性を変更することなくAMIGOの野生型配列において変更することのできる残基であり、「必須」アミノ酸残基は、生物学的活性に必要なアミノ酸残基である。例えば、本発明のAMIGO分子間で保存されているアミノ酸残基は、特に変更の影響を受けにくい部分であると予測される。同類置換が可能なアミノ酸は当業者にはよく知られている。有用な同類置換を表Bの「好ましい置換」の欄に示した。あるクラスのアミノ酸を、同じクラスの他のアミノ酸で置換した同類置換体も、化合物の生物学的活性を実質的に変更しない限り本発明の範囲内である。
第2の方法では、遺伝子工学を用いてクローニングした遺伝子の特定の位置にアミノ酸の変化をもたらす変異を導入し、タンパク質の機能に重要な領域を同定する。例えば、部位特異的変異法やアラニンスキャニング変異法(分子内の全ての残基に対して単一アラニン変異を導入する方法)を用いることができる。Cunningham et al., Science 244:1081-1085 (1989) を参照。その結果として得られた変異分子について、次にその生物学的活性を試験する。同類アミノ酸置換(下記の表B参照)の他に、本発明の変異体には次の(i)〜(iv)が含まれる:(i)1つまたはそれ以上の非同類アミノ酸残基による置換体であって、置換したアミノ酸残基が遺伝コードによってコードされているかコードされていないもの、(ii)1つまたはそれ以上の、置換基を有するアミノ酸残基による置換体、(iii)成熟ポリペプチドと、ポリペプチドの安定性および/または溶解性を向上する化合物(例えば、896Iポリエチレングリコール)などの他の化合物との融合物、または(iv)ポリペプチドと、IgG Fc融合ペプチド、血清アルブミン(好ましくはヒト血清アルブミン)またはその断片や変異体、リーダー配列または分泌性配列、精製を容易にする配列などの付加的なアミノ酸配列との融合物。このような変異ポリペプチドは、本願の開示に基づいて当業者が作製可能である。
Figure 2006525784
本発明のさらなる態様は、アミノ酸置換を導入したアミノ酸配列を包含するポリペプチドに関し、該アミノ酸配列は、本願で開示するポリペプチド配列に1〜50個のアミノ酸置換を導入したアミノ酸配列からなるポリペプチドのアミノ酸配列である。上記アミノ酸置換は40個以下が好ましく、30個以下がより好ましく、20個以下がさらに好ましい。非常に好ましいポリペプチドは、そのアミノ酸配列が配列番号2、4または6のAMIGOポリペプチド、その一部またはその補体のアミノ酸配列を包含し、1個以上であって、10個、9個、8個、7個、6個、5個、4個、3個または2個以下、あるいは1個のアミノ酸置換を有する。アミノ酸置換の数は少ないほど好ましい。
好ましい態様においては、アミノ酸置換は同類置換である。
特定の態様においては、本発明のポリペプチドは、配列番号2、4または6に示した参照用アミノ酸配列の断片または変異体を包含するか、または断片または変異体からなるポリペプチドであって、上記断片または変異体は、参照用アミノ酸配列と比較して、1〜5個、5〜10個、5〜25個、5〜50個、10〜50個または50〜150個のアミノ酸残基の付加、置換および/または欠失を有する。
1つの態様においては、AMIGOポリペプチドの製造に適した技術は当業界で広く知られており、そこにはポリペプチドの内因性原料からAMIGOを単離する技術、(ペプチド合成機を用いた)ペプチド合成法および組み換え技術(またはこれら技術の組み合わせ)が含まれる。
1つの態様においては、単離した核酸分子はタンパク質をコードするヌクレオチド配列を包含し、このタンパク質は、AMIGOのアミノ酸配列と少なくとも約45%、好ましくは60%、より好ましくは70%、80%または90%、最も好ましくは約95%の相同性を有するアミノ酸配列を包含する。
他の態様においては、AMIGOポリペプチド変異体は、以下の(1)〜(3)の少なくとも1つを有する:(1)配列番号2、4または6に示した全長前駆体AMIGOポリペプチド配列と約80%の相同性を示すアミノ酸配列、(2)シグナルペプチドを欠いたAMIGOポリペプチド配列、または(3)全長AMIGOポリペプチド配列の他の断片。例えば、AMIGOポリペプチド変異体には、1つまたはそれ以上のアミノ酸残基を全長前駆体アミノ酸配列のN末端またはC末端に付加したか、N末端またはC末端から欠失したAMIGOポリペプチドが含まれる。AMIGOポリペプチド変異体のアミノ酸配列は、全長前駆体AMIGOポリペプチド配列と少なくとも約80%の相同性を有し、好ましくは少なくとも約81%の相同性、より好ましくは、少なくとも約82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%または98%の相同性を示し、少なくとも約99%の相同性を示すことが最も好ましい。AMIGOポリペプチド変異体のアミノ酸配列は、全長AMIGOポリペプチド配列のシグナルペプチドや他の断片を欠失していてもよい。通常、AMIGO変異体ポリペプチドの長さは、少なくとも約10アミノ酸であり、一般的には少なくとも約20アミノ酸であり、より一般的には少なくとも約30、40、50、60、70、80、90、100または150アミノ酸、またはより長いものである。
本発明の1つの態様においては、下記(a)〜(e)からなる群より選ばれるヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドを包含する単離した核酸分子、あるいは上記ポリヌクレオチドからなる単離した核酸分子を提供する。(a)配列番号1、3または5のヌクレオチド配列、(b)配列番号1、3または5に含まれるヌクレオチド配列であって、成熟AMIGOポリペプチドをコードする部分、(c)AMIGOポリペプチドの生物学的に活性な断片をコードするヌクレオチド配列、(d)AMIGOポリペプチドの抗原性断片をコードするヌクレオチド配列、および(e)上記(a)、(b)、(c)および(d)のヌクレオチド配列に相補的なヌクレオチド配列。
さらに本発明は、遺伝コードの縮重ゆえに本発明のヌクレオチド配列とは異なる核酸分子であって、配列番号2、4または6のアミノ酸配列で表されるAMIGOタンパク質と同じものをコードする核酸分子も包含する。
さらに、核酸分子の集団の中には、AMIGOのアミノ酸配列を変化させる配列多型が存在してもよい。例えば、個体間の対立遺伝子変異はAMIGOの遺伝的多型を示す。「遺伝子」と「組換え遺伝子」という用語は、AMIGO、好ましくは脊椎動物のAMIGOをコードする読み枠(ORF)を包含する核酸分子を意味する。このような天然の対立遺伝子変異は、典型的には1〜5%の変異をAMIGOにもたらす。このようなヌクレオチド変異およびその結果であるアミノ酸配列の多型は天然の対立遺伝子変異の産物であり、AMIGOの機能的活性を変化させないものである。このような変異および多型のそれぞれとそのすべてが本発明の範囲に含まれる。
さらに、ヒトのAMIGO配列とは異なるヌクレオチド配列からなる他の種のAMIGOも予想することができる。天然の対立遺伝子変異体や本発明のAMIGO cDNAの相同体に対応する核酸分子は、AMIGOとの相同性に基づいて、cDNAから誘導したプローブをストリンジェントな条件下で相同AMIGO配列にハイブリダイズさせることで単離することが可能である。
「AMIGO変異ポリヌクレオチド」または「AMIGO変異核酸配列」とは、以下の(1)〜(3)のいずれかを有する活性AMIGOをコードする核酸分子を意味する:(1)全長前駆体AMIGOをコードするヌクレオチド配列と少なくとも約80%の相同性を示すもの、(2)全長前駆体AMIGOがシグナルペプチドを欠いたもの、または(3)全長AMIGOの他の断片。通常、AMIGO変異体ポリヌクレオチドは、全長前駆体AMIGOをコードする核酸配列と少なくとも約80%の相同性を有し、好ましくは少なくとも約81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%または98%の相同性を示し、少なくとも約99%の相同性を示すことがより好ましい。AMIGO変異ポリヌクレオチドは、シグナルペプチドを欠失した全長前駆体AMIGOをコードするが、シグナル配列を有するか有していないもの、または全長AMIGOの他の断片をコードするものでもよい。変異体には、前駆体ヌクレオチド配列は含まれない。
通常、AMIGO変異体ポリヌクレオチドの長さは少なくとも約30ヌクレオチドであり、一般的には少なくとも約60、90、120、150、180、210、240、270、300または400ヌクレオチドであり、より一般的には少なくとも約500ヌクレオチド、またはより長いものである。
本願で開示するヒトおよびマウスの配列をコードする哺乳類AMIGOのcDNA配列の構造とヌクレオチド配列は、他の哺乳類からAMIGOをコードしている遺伝子配列をクローニングすることを可能にした。本発明において特に興味深い点は、本願に開示した配列を用いてヒトAMIGO分子のクローニングが可能な点である。AMIGOをコードするDNAは、本願実施例で行ったように、AMIGO mRNAを有すると考えられ、検出可能なレベルで発現する組織から調製したいかなるcDNAライブラリーからも得ることができる。したがって、AMIGO DNAは、例えば哺乳類胎児の肝臓、脳、筋肉、腸および末梢神経から調製したcDNAライブラリーから容易に得ることができる。AMIGOをコードする遺伝子は、ゲノムライブラリーまたはオリゴヌクレオチド合成によって得ることもできる。
目的遺伝子またはそれにコードされているタンパク質を同定するように設計したプローブ(AMIGOに対する抗体または約20〜80塩基からなるオリゴヌクレオチドなど)でライブラリーのスクリーニングを行う。選択したプローブでcDNAまたはゲノムライブラリーのスクリーニングを行う際には、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual (分子クローニング:実験マニュアル) (ニューヨーク州: Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1989) の10〜12章に記載の標準的な方法で行うか、または上記Sambrook et al.のセクション14に記載のPCR法で行うことができる。
AMIGOのアミノ酸配列変異体は、適当なヌクレオチド変異をAMIGO DNAに導入するか、または目的AMIGOポリペプチドを合成することで調製することができる。このような変異体は、配列番号2、4または6に示したアミノ酸配列からなる天然AMIGOのアミノ酸配列の内部または末端の一方か両方に挿入、置換および/または特定の欠失を有する。好ましくは、このような変異体は、成熟配列の内部または末端の一方か両方に挿入および/または置換を有するか、AMIGOのシグナル配列の内部または末端の一方か両方に挿入、置換および/または特定の欠失を有する。成熟配列とシグナル配列の両方に変異を有していてもよい。本願で定義したような目的の生物学的活性を有する最終的な構築物が得られるように、挿入、置換および/または特定の欠失を色々な組み合わせで用いる。
上述したような前駆体配列に見られる変異は、米国特許第5,364,934号に記載の同類および非同類変異に関する技術とガイドラインを元に作製することができる。このような方法には、オリゴヌクレオチドを介した(部位特異的)変異法、アラニンスキャニング変異法およびPCR変異法が含まれる。
AMIGOをコードする核酸(例えば、cDNAやゲノムDNA)を、さらなるクローニング(DNAの増幅)や発現のために複製可能なベクターに挿入する。種々のベクターが入手可能である。一般的にベクター構成成分には、1つまたは複数の以下の成分が含まれるが、これらに限定されるものではない:シグナル配列、複製開始点、1つまたは複数のマーカー遺伝子、エンハンサー因子、プロモーターおよび転写停止配列。
本発明のAMIGO類は、直接的に組換えによって製造する以外にも、異種ポリペプチド(好ましくはシグナル配列や特定の開裂部位を成熟タンパク質またはポリペプチドのN末端に有する他のポリペプチド)との融合ポリペプチドとして製造することもできる。融合タンパク質は組換え法によって容易に調製することができる。AMIGOをコードする核酸を読み枠内でAMIGOをコードしない核酸と融合することができるが、AMIGOをコードしない核酸はAMIGOのN末端、COOH末端または内部に融合させる。融合遺伝子は、自動DNA合成装置などの公知の方法で合成することもできる。AMIGO融合タンパク質は全長AMIGOのいかなる部分を含有していてもよく、生物学的活性部位をいくつも含有していてもよい。融合ポリペプチドは発現の研究、細胞の局在化、バイオアッセイおよびAMIGOの精製に有用である。
また、AMIGO融合タンパク質は、PCR増幅法とアンカープライマーを用いて容易に製造することもできる。この方法では2つの連続した遺伝子断片の間に相補的なオーバーハングを調製し、次いで増幅産物のアニーリングを行い、それを再増幅することでキメラ遺伝子配列を製造する(Ausubel et al., supra)。
シグナル配列はベクターの構成要素でもよいし、ベクターに挿入するAMIGO DNAの一部でもよい。選択した異種シグナル配列は、宿主細胞によって認識および処理される(例えば、シグナルぺプチダーゼによって開裂される)ものが好ましい。本来のAMIGOシグナル配列を認識および処理することのない原核生物を宿主細胞とする場合には、AMIGOシグナル配列を原核性シグナル配列(例えば、アルカリフォスファターゼのリーダー配列、ペニシリナーゼのリーダー配列および熱安定性II型エンテロトキシンのリーダー配列からなる群より選ばれるもの)で置換する。酵母による分泌のためには、本来のシグナル配列を、例えば、酵母インベルターゼのリーダー配列、α因子のリーダー配列(Saccharomyces属およびKluyveromyces属のα因子リーダー配列を含み、後者は1991年4月23日に発行された米国特許第5,010,182号に記載されている)、酸フォスファターゼのリーダー配列やCandida albicansグルコアミラーゼのリーダー配列(1990年4月4日に発行されたEP 362,179を参照)で置換することができる。哺乳類細胞による発現においては、本来のシグナル配列(例えば、通常、ヒト細胞においてin vivoでAMIGOの分泌を指示するAMIGOプレ配列)で十分であるが、他の哺乳類シグナル配列が適当な場合もある。他の哺乳類シグナル配列としては、他の動物のAMIGOのシグナル配列や、同一または関連する種の分泌ポリペプチド用のシグナル配列が挙げられ、他にはウイルス分泌用のリーダー配列、例えば単純ヘルペスウイルスのgDシグナルも挙げられる。
発現およびクローニングベクターは、通常、宿主生物によって認識されるプロモーターを含有し、発現可能な状態でAMIGO核酸と連結している。ベクターの選択は、使用する生物または細胞と目的とするベクターの性質によって支配されている。ベクターは標的細胞中で一回複製するものでも、「自殺」ベクターでもよい。一般的に、ベクターはシグナル配列、複製開始点、マーカー遺伝子、エンハンサー因子、プロモーターおよび転写停止配列を包含する。各因子の選択については、ベクターを使用する生物に依存し、容易に決定することができる。上記因子のいくつかは特定条件下でのみ機能するものであり、例えば、適切な条件下でのみ機能する誘導性または条件付プロモーターが挙げられる。
ベクターは2種に大別することができる。1つはクローニングベクターであって、適切な宿主細胞における増殖に必要のない領域も有する複製プラスミドまたはファージであり、外来DNAを挿入することができる。外来DNAはベクターの一成分であるかのように複製し、増幅する。もう一方の発現ベクター(プラスミド、酵母または動物ウイルスゲノム)は、外来遺伝物質を宿主細胞または組織に導入し、外来DNAの転写と翻訳を行うためのものである。発現ベクターに導入したDNAは、宿主細胞に挿入遺伝子を転写するための指示を伝達するプロモーターなどの因子に発現可能な状態で連結している。いくつかのプロモーター、例えば、特定の因子に応答して遺伝子の転写を制御する誘導性プロモーター、は特に有用である。誘導性プロモーターに発現可能な状態で連結したAMIGOまたはそのアンチセンス構築物は、AMIGOまたはその断片、あるいはアンチセンス構築物の発現を制御することができる。典型的な誘導性プロモーターの具体例には、α−インターフェロン、熱ショック、重金属イオン、グルココルチコイドなどのステロイド類(Kaufman RJ,“Vectors Used for Expression in Mammalian Cells (哺乳類細胞における発現に用いるベクター)”“Methods in Enzymology, Gene Expression Technology (酵素学の方法、遺伝子発現技術)”, David V. Goeddel ed., 1990, 185:487-511)やテトラサイクリンに応答するプロモーターが挙げられる。他の好ましい誘導性プロモーターには、構築物を導入する細胞にとって内因性ではないが、誘導性物質を細胞の外部から与えた時に応答するものが挙げられる。
プロモーターは、構造遺伝子の開始コドンの上流(5’側)に位置する非翻訳配列(通常、約100〜1,000bp)であり、そこに発現可能な状態で連結した特定の核酸配列(例えばAMIGO核酸配列)の転写と翻訳を制御するものである。このようなプロモーターは典型的には2つのクラス、誘導性と構成性、に大別することができる。誘導性のプロモーターは、培養条件の変化(例えば、栄養素の存在または不在、または温度変化)に応じて、その制御下のDNAの転写レベルの増加を制御するプロモーターである。今では、種々の宿主細胞候補によって認識されるプロモーターが多数知られている。このようなプロモーターを発現可能な状態でAMIGOをコードするDNAに連結する時には、DNAの原料から制限酵素消化によってプロモーターを切り出し、単離したプロモーター配列をベクターに挿入する。本来のAMIGOプロモーター配列と種々の異種プロモーターは共に、AMIGO DNAの直接的な増幅および/または発現に使用することができる。しかし、異種プロモーターは、通常、本来のAMIGOプロモーターよりも高い転写率とAMIGOの高収率を可能とするため、異種プロモーターが好ましい。原核細胞、真核細胞、酵母および哺乳類の宿主細胞に用いるための種々のプロモーターが存在し、当業者に知られている。
真核宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒトまたは他の多細胞生物から得た有核細胞)に用いる発現ベクターも、転写停止とmRNAの安定化に必要な配列を含有する。このような配列は、真核生物またはウイルスのDNAまたはcDNAの通常5’側、時には3’側の非翻訳領域に存在する。このような領域は、AMIGOをコードするmRNAの非翻訳領域中のポリアデニル化断片として転写されるヌクレオチドセグメントを含有する。
上で列挙した成分を1つまたは複数含有する適切なベクターの構築には、標準的な連結技術を用いる。必要なプラスミドとなるような形に単離したプラスミドまたはDNA断片を開裂し、仕立て直し、再連結する。
本発明を実施する際に特に有用なのは、哺乳類細胞中でAMIGOをコードするDNAの一過性発現を可能とする発現ベクターである。一般的に、一過性発現には宿主細胞内で効果的に複製することのできる発現ベクターを用い、宿主細胞が発現ベクターの複数のコピーを蓄積し、その代わりに発現ベクターによってコードされている目的ポリペプチドを高レベルで合成する(上述のSambrook et al., pp. 16.17 - 16.22を参照)。適切な発現ベクターと宿主細胞を包含する一過性発現系は、クローニングしたDNAにコードされているポリペプチドの存在の同定を簡単に行うだけでなく、このようなポリペプチドを対象として目的とする生物学的特徴または生理的特徴についての迅速なスクリーニングを可能とする。したがって、一過性発現系は、AMIGOの生物学的に活性な類似体や変異体を同定するために、本発明において特に有用である。
培地における脊椎動物細胞の増殖(組織培養)は、日常的な操作である(例えば、“Tissue Culture (組織培養)”, Academic Press, Kruse and Patterson ed. (1973)を参照)。有用な哺乳類宿主細胞系としては、サル腎臓細胞系CV1をSV40で形質転換したもの(COS-7、ATCC CRL 1651)、チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO、Urlaub et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA, 77:4216 (1980))、ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL 2)およびイヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34)が挙げられる。
上述のAMIGO製造用の発現ベクターまたはクローニングベクターで宿主細胞をトランスフェクトし、好ましくは形質転換し、プロモーターの誘導、形質転換体の選択または目的配列をコードする遺伝子の増幅に適当なように修飾した市販の栄養培地で培養する。
トランスフェクションとは、コード配列が実際発現されるかどうかに関係のない、宿主細胞による発現ベクターの取り込みを意味する。通常の知識を有する当業者にトランスフェクションのための方法が多数知られており、例えば、エレクトロポレーション法が挙げられる。トランスフェクションの成功は、通常、宿主細胞においてこのベクターが機能したことを示す何らかの指標が生じたことによって確認する。
形質転換とは、核外因子または染色体導入物として複製可能なようにDNAを生体に導入することを意味する。使用する宿主細胞によるが、形質転換は各細胞に適した標準的な方法で行う。上述のSambrook et al.、セクション1.82に記載の塩化カルシウムを用いたカルシウム処理またはエレクトロポレーション法が、実質的に細胞壁のバリアを有する原核細胞や他の細胞に一般的に用いられている。
哺乳類細胞宿主系形質転換の一般的な特徴は、1983年8月16日発行の米国特許第4,399,216号に記載されている。酵母の形質転換は、典型的には、Van Solingen et al., J. Bact., 130:946 (1977) および Hsiao et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76:3829 (1979) の方法に準じて実施する。しかし、細胞にDNAを導入するための他の方法、例えば、核のマイクロインジェクション法、エレクトロポレーション法、細菌のプロトプラストを無傷の細胞と融合する方法、またはポリカチオン法(例えば、ポリブレン、ポリオルニチンなどを用いる方法)を実施することもできる。哺乳類細胞を形質転換する種々の方法については、Keown et al., Methods in Enzymology, 185:527-537 (1990) および Mansour et al., Nature, 336:348-352 (1988) を参照されたい。
本発明のAMIGOポリペプチドの製造に用いる原核細胞は、上述のSambrook et al.などに一般的に記載されている適切な培地で培養する。一般的に、哺乳類培養細胞の生産性を最大にするための原理、方法、実践的技術については、“Mammalian Cell Biotechnology: a Practical Approach (哺乳類細胞生物工学:実践的手法)”, M. Butler ed. (IRL Press, 1991) に記載されている。
遺伝子の増幅および/または発現は試料から直接測定することができ、例えば、本願で開示する配列に基づいた適切な標識プローブを用いた、公知のサザンブロット法、mRNAの転写を測定するためのノーザンブロット法(Thomas, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:5201-5205 (1980))、ドットブロット法(DNA解析)または in situ ハイブリダイゼーション法によって測定することができる。種々の標識、最も一般的にはラジオアイソトープ、特に32Pを使用する。しかし、その他の技術、例えば、特定の二本鎖分子(二本鎖DNA、二本鎖RNA、DNA−RNAハイブリッド二本鎖またはDNA−タンパク質二本鎖を含む)を認識するポリヌクレオチドまたは抗体に標識を導入するためのビオチン修飾ヌクレオチドも使用可能である。
遺伝子の発現は、組織切片の免疫組織的染色、培養細胞や体液のイムノアッセイといった免疫学的手法によって、遺伝子産物の発現を直接定量することもできる。免疫組織的染色技術においては、細胞試料を(典型的な方法では脱水と固定によって)調製し、細胞にカップリングされている遺伝子産物に特異的な標識抗体と反応させる。この場合の標識は、通常目視で検出可能な酵素ラベル、蛍光ラベル、発光ラベルなどである。本発明での使用に適した特に感度の高い染色方法が、Hsu et al., Am. J. Clin. Path., 75:734-738 (1980) に記載されている。
組換え体の作製
ヒト由来ではない組換え細胞によってAMIGOを製造した場合、得られたAMIGOはヒト由来のタンパク質やポリペプチドを全く含まない。しかし、AMIGOとして実質的に均質な調製物を得るためには、製造したAMIGOを組換え細胞のタンパク質やポリペプチドから精製する必要がある。精製を行うには、まず、培地または細胞溶解物を遠心分離することで、そこから粒状の細胞片を取り除くことができる。次いで、適切な精製方法の例として以下に挙げる方法で、異物である可溶性のタンパク質やポリペプチドからAMIGOを精製することができる。このような方法としては、イオン交換カラムによる分取、エタノール沈殿、逆相HPLC、シリカ充填カラムを用いたクロマトグラフィー、クロマトフォーカシング(chromatofocusing)、イムノアフィニティ法、エピトープタグ結合樹脂を用いる方法、SDS−PAGE、硫酸アンモニウム沈殿、Sephadex G-75などを用いたゲル濾過、およびIgGなどの異物を取り除くためのプロテインAセファロースカラムを用いる方法が挙げられる。
アミノ酸残基が欠失、挿入または置換されたAMIGO変異体は、変異によって生じた物性の実質的な変化にも注意しながら、前駆体AMIGO配列と同様の方法で回収する。モノクローナル抗AMIGO抗体結合樹脂(monoclonal anti-AMIGO resin)などのイムノアフィニティ樹脂をAMIGO変異体中に残っている少なくとも1つのエピトープに結合させることにより、AMIGO変異体を樹脂に吸収させることができる。
変異体のアッセイは以下のようにして行うことができる。AMIGO分子の免疫特性の変化、例えば一定の抗体に対する親和性などは、競合的なイムノアッセイによって測定できる。タンパク質やポリペプチドの物性の他の考えうる変化、例えば酸化還元性、熱安定性、疎水性、タンパク質分解に対する感受性、担体との凝集傾向や多量体形成傾向などは、当業界で公知の方法でアッセイを行う。
本発明は、異種ポリペプチドに融合したAMIGOを含むキメラポリペプチドも包含する。キメラAMIGOは、本発明で定義するAMIGO変異体の1種である。1つの好ましい態様においては、キメラポリペプチドは、AMIGOと、抗タグ抗体または抗タグ分子が選択的に結合可能なエピトープを提供するタグポリペプチドとの融合物を包含する。このようなエピトープタグは、一般的にAMIGOのアミノ末端またはカルボキシル末端に設けられる。エピトープタグを付したこのような形態のAMIGOは、タグポリペプチドに対する標識抗体を用いてその存在を検出することが可能なので好ましい。また、エピトープタグを付与することで、抗タグ抗体を用いた親和性精製でAMIGOを容易に精製することが可能になる。抗体を用いた親和性精製の方法および診断のためのアッセイに関しては後述する。
タグポリペプチドとその抗体については、当業界においてよく知られている。例えば、インフルエンザHAタグポリペプチドとその抗体である12CA5(Field et al., Mol. Cell. Biol., 8:2159-2165 (1988))、c−mycタグとその抗体である8F9、3C7、6E10、G4、B7および9E10(Evan et al., Molecular and Cellular Biology, 5:3610-3616 (1985))、ならびに単純ヘルペスウイルスの糖タンパク質D(gD)タグとその抗体(Paborsky et al., Protein Engineering, 3(6):547-553 (1990))などである。その他のタグポリペプチドも開示されており、例えば、Flag ペプチド(Hopp et al., BioTechnology, 6:1204-1210 (1988))、KT3エピトープペプチド(Martin et al., Science, 255:192-194 (1992))、α−チューブリンエピトープペプチド(Skinner et al., J. Biol. Chem., 266:15163-15166 (1991))、およびT7遺伝子誘導タンパク質に由来するペプチドタグ(Lutz-Freyermuth et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:6393-6397 (1990))が挙げられる。
タグポリペプチドを選択すれば、それに対する抗体を、本願で説明する方法によって作製することができる。C末端ポリヒスチジン配列タグが好ましい。ポリヒスチジン配列は、Lindsay et al., Neuron 17:571-574 (1996) に記載のNi−NTAクロマトグラフィーによってタグを付したタンパク質の単離を可能にする。
エピトープタグを付したAMIGOの構築と製造に適した一般的な方法は、上記した様々な方法と同様のものである。
エピトープタグを付したAMIGOは、抗タグ抗体を用いたアフィニティクロマトグラフィーにより簡便に精製することができる。アフィニティ抗体を結合させるマトリクスとしては大抵の場合アガロースが用いられるが、他のマトリクス(例えば、多孔性ガラスビーズ(controlled pore glass)やポリスチレンジビニルベンゼン)も使用可能である。エピトープタグを付したAMIGOは、例えば緩衝液のpHやイオン強度を変化させたり、カオトロピックな物質を加えたりすることにより、アフィニティカラムから溶出させることができる。
適切な免疫グロブリン定常ドメイン配列に結合したAMIGO配列より構築されるキメラ(イムノアドヘシン(immunoadhesins))は当業界でよく知られている。文献に発表されたイムノアドヘシンとしては、以下のタンパク質との融合物が挙げられる。T細胞受容体(Gascoigne et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84: 2936-2940 (1987))、CD4*(Capon et al., Nature 337: 525-531 (1989)、Traunecker et al., Nature, 339: 68-70 (1989)、Zettmeissl et al., DNA Cell Biol USA, 9: 347-353 (1990) および Byrn et al., Nature, 344: 667-670 (1990))、TNF受容体(Ashkenazi et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88: 10535-10539 (1991)、Lesslauer et al., Eur. J. Immunol., 27: 2883-2886 (1991) および Peppel et al., J. Exp. Med., 174:1483-1489 (1991))、およびIgEレセプターα*(Ridgway et al., J. Cell. Biol., 1 15:abstr. 1448 (1991))。文中のアスタリスク(*)は、受容体が免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであることを示す。
最も単純で簡単なイムノアドヘシン設計においては、「アドヘシン」タンパク質の結合領域を、免疫グロブリンのH鎖のヒンジ部とFc領域と組み合わせる。通常、本発明のAMIGO−免疫グロブリンキメラを調製する場合は、AMIGOをコードする核酸を、AMIGOのC末端側に免疫グロブリンが結合するように、免疫グロブリン定常ドメイン配列のN末端をコードする核酸に融合させるが、N末端側に免疫グロブリンが結合するように核酸を融合することも可能である。
このような融合物では、概してコードされたキメラポリペプチドは、少なくとも免疫グロブリン H鎖の定常領域のヒンジドメイン、CH2ドメインおよびCH3ドメインを、機能的な活性を有する形態で保有する。定常ドメインのFc部位のC末端から融合することもできるし、H鎖のCH1ドメインのN末端の直前やL鎖の対応領域から融合することもできる。
融合させる正確な位置は重要ではなく、融合に適した特定の位置もよく知られている。融合位置は、AMIGO−免疫グロブリンキメラの生物学的活性、分泌特性または結合特性の最適化を目的として選択することができる。
AMIGOイムノアドヘシンを発現させる宿主細胞系の選択は、主に発現ベクターに依存する。他に考慮する点は、必要なタンパク質の量である。例えば、リン酸カルシウム法またはDEAE−デキストラン法(Aruffo et al., Cell, 61:1303-1313 (1990) および Zettmeissl et al., DNA Cell Biol. US, 9:347-353 (1990))を用いた一過性トランスフェクションでは、しばしばミリグラム単位のタンパク質を製造できる。より多量のタンパク質が望まれる場合には、宿主細胞系を安定トランスフェクションに付した後でイムノアドヘシンを発現させればよく、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素をコードするさらなるプラスミドの存在下でチャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO細胞)に発現ベクターを導入する。
抗体
AMIGO核酸は、本発明で例示する組換え技術によるAMIGOポリペプチドの調製に有用であり、このようにして得られるAMIGOポリペプチドは、後述する多様な用途を有する抗AMIGO抗体の製造に用いることができる。
免疫組織染色および/または体液試料のアッセイに有用な抗体は、モノクローナル抗体とポリクローナル抗体のいずれであってもよい。
本発明はさらに、AMIGOに特異的に結合する抗体、またはその断片を包含する。本発明の1つの好ましい態様には、AMIGOの生物学的活性を阻害する抗体も含まれる。上記の抗体は、診断アッセイにおけるAMIGOの同定に有用であり、このような診断アッセイによって、AMIGOの存在量が関与する疾患に罹患した哺乳類におけるAMIGO存在量を測定することができる。さらに、AMIGOに特異的に結合する抗体は、AMIGOとその受容体との相互作用を遮断するのにも有用であるため、後述するように、AMIGO関連疾患を治療するための治療環境においても有用である。
AMIGOタンパク質またはペプチドの全長配列またはペプチド断片に対するモノクローナル抗体は、公知のいかなるモノクローナル抗体調製法、例えば Harlow et al., (1988, “Antibodies, A Laboratory Manual(抗体、実験マニュアル)”、ニューヨーク州:Cold Spring Harbor)に記載の手法、を用いて調製してもよい。なお、抗AMIGOモノクローナル抗体は、少なくとも次の4つの工程を含んでなるハイブリドーマ法を用いて調製することができる。(1)宿主または宿主のリンパ球を免疫する工程、(2)モノクローナル抗体を分泌する(または分泌能を有する)リンパ球を回収する工程、(3)不死化した細胞へと該リンパ球を融合する工程、そして(4)所望の(抗AMIGO)モノクローナル抗体を分泌する細胞を選択する工程。モノクローナル抗体は、従来のIg精製法、例えばプロテインAセファロース、ヒドロキシアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、硫酸アンモニウム沈殿またはアフィニティクロマトグラフィーなどを用いて、培地や腹水液から単離または精製することができる(Harlow et al., supra)。
マウス、ラット、モルモット、ハムスター、またはその他の適当な宿主を免疫して、免疫原に特異的に結合する抗体を製造するか、または製造能を有するリンパ球を誘導する。また、リンパ球は in vitro で免疫してもよい。
ヒトの細胞が望ましい場合は、一般に、末梢血リンパ球を用いる。しかし、ヒト以外の哺乳類由来の脾臓細胞または脾臓リンパ球が好ましい。
免疫原には一般にAMIGOまたはAMIGO融合タンパク質が含まれる。
本発明はさらに、ヒト化抗AMIGO抗体およびヒト抗AMIGO抗体も包含する。
ヒト化した非ヒト動物抗体とは、非ヒト動物Igから誘導した最小配列を含有するキメラIg、そのIg鎖または断片(例えば、抗体のFv、Fab、Fab’、F(ab’)またはその他の抗原結合性配列)である。
一般的に、ヒト化抗体は、非ヒト動物原料から導入した1つ以上のアミノ酸残基を有する。このような非ヒト動物種由来アミノ酸残基をしばしば「外来(import)」残基と称し、その残基は一般に「外来」可変ドメインから得たものである。ヒト化は、げっ歯類の相補性決定部位(CDR)またはCDR配列をヒト抗体の対応する配列に置換することで達成する(Jones et al., Nature 321:522-525 (1986)、Riechmann et al., Nature 332:323-327 (1988) および Verhoeyen et al., Science 239:1534-1536, (1988))。このような「ヒト化」抗体はキメラ抗体であり(米国特許第 4,816,567 号, 1989)、それは完全なヒト可変ドメインに実質的には満たない部分が、非ヒト動物種の対応配列で置換されたものである。実際には、ヒト化抗体は、一般的にヒト抗体のCDR内の残基の一部、さらに可能であればFR内の残基の一部が、げっ歯類抗体の相同部位の残基によって置換されたものである。ヒト化抗体には、レシピエント抗体の相補性決定部位(CDR)の残基が、所望の特異性、親和性および適応力を有する非ヒト動物種抗体(ドナー抗体)(例えばマウス、ラット、ウサギなどの抗体)のCDRの残基によって置換された、ヒトIg(レシピエント抗体)が含まれる。場合によっては、ヒトIg Fv断片のフレームワーク配列中の残基を、非ヒト動物種の対応する残基で置換する。ヒト化抗体は、レシピエント抗体中にも、あるいは外来CDR配列やフレームワーク配列中にも存在しない残基を包含してもよい。一般的に、ヒト化抗体は少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの全てを実質的に含有し、この可変ドメインのCDR領域の全てでなくとも大部分は非ヒト動物IgのCDR領域に相当し、FR領域の全てでなくとも大部分はヒトIgのコンセンサス配列である。最適なヒト化抗体は、典型的にはヒトIgのIg定常領域の少なくとも一部も含有する(Jones et al., supra および Presta LG, Curr Opin Biotechnol 3:394-398 (1992))。
ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリー法(Hoogenboom et al., Nucleic Acids Res 19:4133-4137 (1991) および Marks et al., Biotechnology (NY) 10:779-83 (1991))やヒトモノクローナル抗体の調製法(Boerner et al., J. Immunol 147(1):86-95 (1991) および Reisfeld and Sell,“Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy(モノクローナル抗体と抗癌治療)”ニューヨーク州:Alan R. Liss, Inc., 1985)などの様々な方法によっても製造することができる。同様に、内因性Ig遺伝子が部分的にまたは完全に不活化されているトランスジェニック動物にヒトIg遺伝子を導入する方法も、ヒト抗体の合成に活用することができる。この方法を実践してみると、ヒト抗体の製造が観察され、例えば遺伝子の再配列、アセンブリおよび抗体のレパートリーなどの事象が、ヒトに見られるものと全ての点において酷似していた(米国特許第 5,545,807 号, 1996、米国特許第 5,545,806 号, 1996、米国特許第 5,569,825 号, 1996、米国特許第 5,633,425 号, 1997、米国特許第 5,661,016 号, 1997、米国特許第 5,625,126 号, 1997、Fishwild et al., Nat Biotechnol 14:845-51 (1996)、Lonberg and Huszar, Int Rev Immunol 13:65-93 (1995)、Lonberg et al., Nature 368:856-9 (1994) および Marks et al., Biotechnology (NY) 10:779-783 (1992))。
1つの好ましい態様において、本発明は、モノクローナルな二重特異性抗体、好ましくはヒト抗体またはヒト化抗体を包含する。二重特異性抗体は少なくとも2つの異なる抗原に対する結合特異性を有する。例えば、一方がAMIGOに対する結合特異性で、他の一方は任意の抗原、好ましくは細胞表面タンパク質、受容体または受容体サブユニット、に対する結合特異性である。
従来の方法では、二重特異性抗体の組換えによる製造は、2組のIgのH鎖とL鎖の共発現に基づいているが、その場合、2本のH鎖は異なる特異性を有している(Milstein and Cuello, Nature 305:537-540 (1983))。IgのH鎖とL鎖を任意に組合せることによって得られるハイブリドーマ(クワドローマ(quadroma))は、異なる10種の抗体分子の混合物を産生する可能性があるが、そのうち所望の二重特異性構造を有するのは1種だけである。得られた所望の抗体はアフィニティクロマトグラフィーやその他の方法(WO 93/08829, (1993) および Traunecker et al., Trends Biotechnol 9:109-113 (1991))によって精製することができる。
二重特異性抗体を製造する(Suresh et al., Methods Enzymol. 121:210-228 (1986))には、所望の抗原抗体結合部位を有する可変ドメインをIg定常ドメイン配列に融合させる。好ましくは、ヒンジ部、CH2領域およびCH3領域の少なくとも一部を含有するIgのH鎖定常ドメインに融合させる。L鎖との結合に必要な部位を含む第1H鎖定常領域(CH1)が、融合物の少なくとも1つに含まれていることが好ましい。Ig H鎖融合物と、所望によりIg L鎖もコードするDNAを、それぞれ別の発現ベクターに挿入し、適切な宿主生物にコトランスフェクトする。
Fab断片は大腸菌から直接回収し、化学的にカップリングして二重特異性抗体を形成する。例えば、完全にヒト化した二重特異性F(ab’)抗体を作製することができる(Shalaby et al., J Exp Med. 175: 217-225 (1992))。各Fab断片を大腸菌に別々に分泌させ、in vitro で化学的に直接カップリングして、二重特異性抗体を形成する。
また、二重特異性抗体の断片を培養組換え細胞から直接調製したり単離したりするための様々な方法も報告されている。例えば、ロイシンジッパーモチーフを活用することができる(Kostelny et al., Immunol. 148:1547-1553 (1992))。Fosタンパク質とJunタンパク質から得たペプチドを、遺伝子融合によって2つの異なる抗体のFab部位に結合する。抗体のホモダイマーをヒンジ部で還元してモノマーに分離し、該モノマーを再び酸化して抗体のヘテロダイマーを形成する。この方法で抗体のホモダイマーを製造することもできる。
「二重特異性抗体(diabody)」技術(Holliger et al., Proc Natl Acad Sci USA. 90:6444-6448 (1993))は、二重特異性抗体断片を製造するための別の方法を提供する。この断片は、同一鎖上で2つのドメインを対合させるには短すぎるリンカーを介して結合した、H鎖の可変ドメイン(VH)とL鎖の可変ドメイン(VL)を含有する。1つの断片のVHドメインとVLドメインを、他の断片の相補的なVLドメインおよびVHドメインに対合させ、2つの抗原結合部位を形成する。二重特異性抗体断片を製造するための別の方法は、1本鎖Fv(sFv)ダイマーを用いる(Gruber et al., Immunol. 152:5368-5374 (1994))。また、三重特異性抗体など、2価を超える力価の抗体も想像することができる(Tutt et al., J lmmunol. 147:60-69 (1991))。
ポリクローナル抗体は、例えば、1種以上の免疫原を、所望によりアジュバントと共に注射することで、哺乳類を宿主として製造することができる。概して、免疫原および/またはアジュバントを哺乳類に対して皮下注射または腹腔内注射を数回行うことによって投与する。免疫原としては、AMIGOまたはAMIGO融合タンパク質が挙げられる。
アジュバントの例としては、フロイントの完全アジュバントおよびモノホスホリル脂質A合成トレハロースジコリノミコレート(monophosphoryl Lipid A synthetic-trehalose dicorynomycolate、MPL−TDM)が挙げられる。免疫応答を高めるには、AMIGO宿主中で免疫原性を有するタンパク質、例えばスカシ貝ヘモシアニン(keyhole limpet hemocyanin、KLH)、血清アルブミン、ウシ チログロブリンおよび大豆トリプシン阻害因子、に免疫原を結合させてもよい。抗体の製造手順は、上記したHarlow et al.に記載されている。その他にも、ポリクローナル抗体は、IgY分子を産生するニワトリで製造することもできる(Schade et al.,“The production of avian (egg yolg) antibodies: IgY. The report and recommendations of ECVAM workshop(トリ(卵黄)抗体であるIgYの製造 ECVAMワークショップによる報告と推奨方法)”、Alternatives to Laboratory Animals NAILA. 24:925-934 (1996))。
治療
AMIGOタンパク質、AMIGO遺伝子およびAMIGO核酸は、AMIGOの活性に関連するかAMIGOの反応性に益を得る疾患や障害の治療において哺乳類、特にヒトに投与することを目的とした、ex vivo または in vivo における治療用途を有すると考えられる。特にAMIGOが適した疾患は、神経障害、好ましくは中枢神経系障害、パーキンソン病、アルツハイマー病、神経損傷または脳腫瘍である。
患者に対し、効果的な量の本発明のAMIGOタンパク質、生物学的活性を有するペプチド断片、変異体またはそのペプチドをコードする核酸を投与する。AMIGO、AMIGO作用物質、AMIGO拮抗物質または抗AMIGO抗体の投与を包含する治療方法は本願の範囲内である。本発明はまた、適切な薬理学的担体に担持させた、AMIGOのタンパク質、ペプチド断片または誘導体を含有する医薬組成物を提供する。AMIGOのタンパク質、ペプチド断片または変異体の投与は、全身に行ってもよいし、局所的に行ってもよい。
疾患や医学的障害において、神経細胞および/または神経細胞の軸索突起の生存や機能に欠陥が生じた場合、それは神経障害とみなされる。そのような神経障害は、以下に挙げる病態の結果として起こるものである。(a)傷害部位近傍の軸索突起および/または神経細胞本体の変性を引き起こす身体的傷害、(b)発作などの虚血症、(c)癌の化学療法薬剤(例えば、シスプラチン)およびエイズの化学療法薬剤(例えば、ジデオキシシチジン(ddC))などの神経毒素への曝露、(d)糖尿病や腎臓機能障害などの慢性代謝障害、および(e)パーキンソン病、アルツハイマー病、および筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの、特定の神経群の変性を伴う神経変性疾患。即ち、神経障害を起こす病態の中には、パーキンソン病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症、発作、糖尿病性多発神経炎、中毒性神経炎、グリア性瘢痕、および神経系への物理的損傷が含まれる。物理的損傷には、脳や脊髄の物理的傷害や、上肢、手や身体の他の部位における圧挫傷や切り傷などがあり、例えば、発作によって生じた、神経系の一部における血流の一時的または永続的な停止も含まれる。
本発明は、発作や外傷性傷害など、中枢神経系に傷害を負った哺乳類の治療方法を開示する。この方法は、負傷後少なくとも6時間、例えば12、24、48時間またはそれ以上の長時間が経過した哺乳類に対し、本発明のAMIGOタンパク質、ペプチド断片、または変異体を投与する工程を含む。なお本発明の治療方法を実践することのできる対象治療範囲には、未だ限界が定まっていない。本発明は、様々な病態が原因となって起こる中枢神経系傷害に伴う、1つまたは複数の悪性症状を治療するために用いることができる。血栓、塞栓および全身の低血圧は発作の原因として最も一般的なものである。他の傷害の原因としては、高血圧症、高血圧性大脳血管疾患、動脈瘤破裂、血管腫、血液疾患、心不全、心拍停止、心臓性ショック、腎不全、敗血症性ショック、頭部外傷、脊髄外傷、癲癇発作、腫瘍からの出血やその他の血液量または血圧の低下などが考えられる。これらの傷害は、生理機能の破壊、それに続くニューロンの死滅、そして負傷部位の壊死(梗塞)へとつながる。本願明細書で「発作」とは、上述の様々な傷害に関連して生ずる突然かつ劇的な神経的欠損を意味する。
本願明細書で「虚血症」または「虚血症の発症」とは、組織への血液供給の欠乏につながるようないかなる状況をも意味する。したがって、中枢神経系における虚血症の発症は、脳のあらゆる部位に対する血液供給の欠乏または中断の結果であり、そのような脳の部位とは、例えば大脳、小脳または脳幹の一部などであるが、これらに限定されるものではない。脊髄もまた中枢神経系の一部であり、脳と同様に、血流の減少による虚血症の影響を受けやすい。虚血症の発症は、血栓や塞栓の場合に起こるような血管の狭窄または閉塞に起因する。その他にも、虚血症の発症の原因として、例えば上に挙げた心拍停止など、あらゆる心臓機能欠陥が考えられる。欠陥が非常に深刻かつ長期に渡る場合、生理機能の破壊、それに続くニューロンの死滅、そして負傷部位の壊死(梗塞)が起きる。傷害による神経系の異常の程度と種類は、梗塞や虚血病巣の位置と大きさによる。虚血が発作と関係する場合、その程度は全身的な場合もあれば、局所的な場合もある。
本発明はまた、頭部の強打などの、機械的な力によって起きる中枢神経系への外的損傷の治療においても有用であることが期待できる。外傷には、哺乳類の頭部、頸部や脊柱のあらゆる部位やそこに付属する部位に対する外部からの物体の接触による外傷に起因する、擦過傷、切り傷、挫傷、刺し傷、圧迫傷(compression)などからなる群より選ばれる組織の損傷が含まれる。他の種類の外的損傷は、体液の不適当な蓄積(正常な脳脊髄液や硝子液の産生、代謝や容量調節の遮断または不全、あるいは硬膜下血腫、硬膜下水腫、頭蓋内血腫や頭蓋内水腫など)による、哺乳類のCNS組織の狭窄または圧迫に起因する。同様に、外傷性の狭窄または圧迫は、転移腫瘍や一次腫瘍(primary tumor)などの異常組織塊の存在によって引き起こされることもある。
本発明はまた、腫瘍や転移腫瘍細胞、特に脳腫瘍の治療において有用であることが期待できる。最も一般的な脳腫瘍はグリオーマであり、これはグリア組織で始まる。また、アストロサイトーマは、「星状細胞」と呼ばれる小さな星型の細胞から発生し、成人の場合、大脳で発生することがほとんどである。第III度のアストロサイトーマは「異型性アストロサイトーマ」と称されることがある。第IV度のアストロサイトーマは通常、「多形性膠芽腫」と称される。また、脳幹膠腫は脳の最下方、幹状部分で発生する。脳幹は様々な生体機能を司る。大部分の脳幹膠腫は重度のアストロサイトーマである。脳室上衣細胞腫は、通常、脳室の内側に発生するが、脊髄に発生することもある。乏突起膠腫は、ミエリン(神経を保護している脂質の被覆)を産生する細胞で発生する。この腫瘍は通常大脳内で発生する。これらはゆっくりと増殖し、普通は脳周辺の組織に広がることはない。髄芽細胞腫は、通常は生後の体内に残存することのない原始神経細胞から発生する。そのため、髄芽細胞腫はしばしば原始神経外胚葉腫瘍(PNET)と称される。髄芽細胞腫はたいてい小脳で発生するが、他の部位に発生することもある。また、髄膜腫は髄膜から発生し、一般に良性である。この腫瘍は非常にゆっくりと増殖するため、その間に脳が腫瘍の存在に順応することもありうる。したがって、髄膜腫は症状が表れるまでにかなり大きく成長することが多い。髄膜腫は30代から50代の女性に最も多く発病する。シュワン細胞腫はシュワン細胞から発生する良性の腫瘍であり、シュワン細胞は聴神経を保護するミエリンを産生する。なお聴神経腫はシュワン細胞腫の一種である。頭蓋咽頭腫は視床下部付近の下垂体領域に発生する。通常、頭蓋咽頭腫は良性だが、視床下部を圧迫したり損傷を与えたりして生理機能に影響を与えることがあるので、悪性とみなされることもある。胚細胞腫瘍は原始性細胞(発生中の性細胞)または胚細胞より発生する。脳の胚細胞腫瘍で最もよく見られるのは胚細胞腫である。松果体領域の腫瘍は松果体の内部または周囲で発生し、増殖の遅い松果体細胞腫または増殖の早い松果体芽細胞腫になる。松果体領域は非常に治療の行いにくい場所にあり、腫瘍を除去できないことがしばしばである。脳腫瘍の治療法は、様々な要素に依存する。要素とは、腫瘍の種類、位置および大きさ、ならびに患者の年齢と健康状態などである。一般に、脳腫瘍は外科手術、放射線療法および化学療法で治療する。AMIGO療法によって治癒可能な腫瘍としては、EGFRを発現し、AMIGOを介したEGFRのリン酸化阻害に反応するものが好ましい。
本発明は霊長類、好ましくはヒトなどの高等霊長類の治療に適している。しかし本発明はさらに、飼養化した哺乳類、例えば人間にとってのコンパニオンアニマル(イヌ、ネコ、ウマなど)、高い商業的価値のあるもの(ヤギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、競技用動物や役畜など)、高い科学的価値のあるもの(捕獲後のまたは野生の絶滅危惧種、あるいは交配または生命工学によって調製した動物系統)、または上記以外の価値のあるもの、の治療にも用いることができる。医学や獣医学分野の当業者は、ある哺乳類が中枢神経系に虚血性損傷または外部損傷を受けているかどうか判別できるよう教育を受けている。例えば、慣行的な試験および/または臨床的診断評価や獣医学的診断評価によって、哺乳類が中枢神経系の(例えば神経学的な)機能の欠陥や損失を被っているかどうかが分かる。熟練した当業者には、本発明に開示した治療法やその他の治療法に関連のある、臨床的および非臨床的な指標ならびに経験の蓄積から、ある個体が中枢神経系に虚血性損傷または外部損傷を受けているかどうか、あるいは、本発明の方法を含む特定の治療法が対象生物にとって最適であるかどうか、について決定するための情報が自ずと与えられるものである。
遺伝子治療用途においては、例えば欠損遺伝子の代わりに、治療に有効な遺伝子産物の in vivo 合成を行うために遺伝子を細胞内に導入する。「遺伝子治療」には、単一の治療によって永続効果が得られる従来の遺伝子治療と、治療に有効なDNAまたはmRNAを一回または繰返して投与することを含む遺伝子治療剤の投与との両方がある。アンチセンスRNAとDNAは in vivo において特定の遺伝子の発現を阻害するための治療物質として用いることができる。短いアンチセンスオリゴヌクレオチドは、細胞膜による取り込みが限定されるためその細胞内濃度が低いにも関らず、細胞内に導入されて阻害剤として働くことが明かになっている(Zamecnik et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 83:41434146 (1986))。オリゴヌクレオチドは、例えば、負の電位を帯びたリン酸ジエステル基を電位を帯びていない基で置換するといった修飾によって、取り込み量を高めることができる。
遺伝子の発現を阻害する他の方法には、RNA干渉(RNAi)の誘導にRNAを用いる方法が含まれ、この方法では二本鎖RNA(dsRNA)配列を用いるか(Fire et al., Nature 391: 806-811. 1998)、または短鎖干渉性RNA(siRNA)配列を用いる(Yu et al., Proc Natl Acad Sci USA. 99:6047-52. 2002)。「RNAi」とは、dsRNAが相補的mRNAの相同性依存的分解を誘導する過程である。1つの態様においては、合成アンチセンス核酸分子を、相補的塩基対の形成に基づいて「センス」リボ核酸とハイブリダイズして二本鎖RNAを形成する。dsRNAであるアンチセンスおよびセンス核酸分子を提供するが、この核酸分子は、AMIGOコード鎖の少なくとも約20、25、50、100、250または500ヌクレオチドあるいはAMIGOコード鎖全体に対応するか、あるいはその部分にのみ対応する配列である。別の態様においては、siRNAの長さは30ヌクレオチド以下、好ましくは21〜23ヌクレオチドであって、特徴的な2〜3ヌクレオチドの3’オーバーハング末端(overhanging ends)を有するものである。このようなsiRNAはより長いdsRNAをリボヌクレアーゼIIIで開裂することで生成する(例えば、Tuschl T. Nat Biotechnol. 20:446-48. 2002を参照)。
短鎖RNA分子の細胞内転写は、一般に、核内低分子RNA(snRNA)であるU6またはヒトRNAse P RNA H1をコードしているRNAポリメラーゼIII(Pol III)転写ユニット内に、鋳型siRNAをクローニングすることで達成される。siRNAを発現させるには2種類のアプローチを用いることができる。即ち、1つの態様においては、siRNA二本鎖を構成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を、それぞれ別個のプロモーターを有する構築物を用いて転写する(Lee, et al., Nat. Biotechnol. 20, 500-505. 2002)。別の態様においては、細胞内プロセシングの後でsiRNAを生じるステムループタイプのヘアピンRNA構造としてsiRNAを発現させる(Brummelkamp et al., Science 296:550-553. 2002)(その記載によって本明細書中に組み込まれているものとする)。
dsRNA/siRNAは、生物に送達する前に、in vitro でRNAのセンス鎖およびアンチセンス鎖をアニーリングしてから投与する方法が最も一般的である。別の態様では、本発明のセンス核酸およびアンチセンス核酸を、投与前にアニーリングせず、同じ溶液中に入れて投与することでRNAiを起こすことができるが、上記2つの核酸を別々のベヒクルに入れて、ほとんど間隔を空けずに投与してもRNAiを起こすことができる。さらに、AMIGOの断片や変異体をコードする核酸分子、またはAMIGO核酸配列に相補的なアンチセンス核酸も提供される。
生細胞に核酸を導入する際に利用可能な方法はいろいろある。用いる方法は、核酸を in vitro の培養細胞に導入するか、ex vivo で導入するか、または目的宿主内の細胞に in vivo で導入するかによって異なる。In vitro での哺乳類細胞への核酸導入に適した方法としては、リポソームを利用する方法(Nicolau and Sene, Biochim. Biophys. Acta, 721:185-190 (1982)、Fraley, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 76:3348-3352 (1979)、Felgner, Sci. Am., 276(6):102-6 (1997) および Felgner, Hum. Gene Ther., 7(15):1791-3, (1996))、エレクトロポレーション法(Tur-Kaspa, et al., Mol. Cell Biol., 6:716-718, (1986) および Potter, et al., Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 81:7161-7165, (1984))、直接マイクロインジェクション法(Harland and Weintraub, J. Cell Biol., 101:1094-1099 (1985))、細胞融合、DEAE−デキストラン法(Gopal, Mol. Cell Biol., 5:1188-1190 (1985))、リン酸カルシウム沈殿法(Graham and Van Der Eb, Virology, 52:456-467 (1973)、Chen and Okayama, Mol. Cell Biol., 7:2745-2752, (1987) および Rippe, et al., Mol. Cell Biol., 10:689-695 (1990))、細胞の超音波処理法(Fechheimer, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 84:8463-8467 (1987))、高速マイクロプロジェクタイルを用いた遺伝子ボンバードメント法(gene bombardment using high velocity microprojectiles)(Yang, et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:9568-9572 (1990))などが挙げられる。現在、in vivo 遺伝子導入法として好ましい方法としては、ウイルス(概してレトロウイルス)ベクターによるトランスフェクションおよびウイルスコートタンパク質−リポソームを介したトランスフェクション(Dzau et al., Trends in Biotechnology, 11:205-210 (1993))などが挙げられる。状況によっては、細胞表面膜タンパク質または標的細胞に特異的な抗体、あるいは標的細胞に提示された受容体に対するリガンドなどの、標的細胞をターゲティングする物質を核酸材料と共に用いることが望ましい。リポソームを用いる場合、エンドサイトーシスに関与する細胞表面膜タンパク質に結合するタンパク質を、ターゲティングおよび/または取り込みの促進に用いてもよく、そのようなタンパク質としては、特定の細胞種に対する屈性を示すキャプシッドタンパク質やその断片、サイクリングの際に内在化するタンパク質に対する抗体、および細胞内局在化をターゲットとして細胞内半減期を延ばすタンパク質などが挙げられる。なお、受容体を介したエンドサイトーシスに関する技術については、例えば、Wu et al., J. Biol. Chem., 262: 4429-4432 (1987) および Wagner et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87:3410-3414 (1990)に開示されている。現在までに公知の遺伝子標識および遺伝子治療のプロトコールに関する文献としては、Anderson et al., Science, 256:808-813 (1992)を参照されたい。
目的の外来性遺伝子を動物内に導入するときは、適切であればいかなるベクターを用いてもよい。公知文献に開示されたベクターの例としては、例えばレンチウイルスベクター(ただしこれに限定されない)などの非増殖性レトロウイルスベクター([Kim et al., J. Virol., 72(1): 811-816 (1998); Kingsman & Johnson, Scrip Magazine, October, 1998, pp. 43-46.]、アデノウイルスベクター(例えば、米国特許第5,824,544号、米国特許第5,707,618号、米国特許第5,792,453号、米国特許第5,693,509号、米国特許第5,670,488号、米国特許第5,585,362号、Quantin et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89: 2581-2584 (1992)、Stratford-Perricadet et al., J. Clin. Invest., 90: 626-630 (1992) およびRosenfeld et al., Cell, 68: 143-155 (1992)を参照)、レトロウイルスベクター(例えば、米国特許第5,888,502号、米国特許第5,830,725号、米国特許第5,770,414号、米国特許第5,686,278号、米国特許第4,861,719号を参照)、アデノ随伴ウイルスベクター(例えば、米国特許第5,474,935号、米国特許第5,139,941号、米国特許第5,622,856号、米国特許第5,658,776号、米国特許第5,773,289号、米国特許第5,789,390号、米国特許第5,834,441号、米国特許第5,863,541号、米国特許第5,851,521号、米国特許第5,252,479号 および Gnatenko et al., J. Investig. Med., 45: 87-98 (1997)を参照)、アデノウイルスとアデノ随伴ウイルスとのハイブリッドベクター(例えば、米国特許第5,856,152号を参照)またはワクシニアウイルスベクターまたはヘルペスウイルスベクター(例えば、米国特許第5,879,934号、米国特許第5,849,571号、米国特許第5,830,727号、米国特許第5,661,033号 および 米国特許第5,328,688号を参照)、リポフェクチン仲介の遺伝子導入ベクター(BRL製)、リポソームベクター(例えば、米国特許第5,631,237号 “Liposomes comprising Sendai virus proteins(センダイウイルスタンパク質を包含するリポソーム)”)、およびこれらの組み合わせである。なお上記文献の記載は全て本明細書に組み込まれているものとする。また、好ましい態様においては、非増殖性アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターおよびレンチウイルスを用いる。
ウイルスベクターを用いる態様において好ましいポリヌクレオチドは、目的の標的組織における発現を促進する適切なプロモーターとポリアデニル化配列を含んでいる。本発明の多様な用途において哺乳類細胞による発現に適したプロモーター/エンハンサーとしては、例えば、サイトメガロウイルスのプロモーター/エンハンサー(Lehner et al., J. Clin. Microbiol., 29:2494-2502 (1991) および Boshart et al., Cell, 41:521-530 (1985));ラウス肉腫ウイルスのプロモーター(Davis et al., Hum. Gene Ther., 4:151 (1993));シミアンウイルス40のプロモーター、レトロウイルスの長い末端反復配列(LTR)、ケラチン14のプロモーターおよびα ミオシンH鎖プロモーターが挙げられる。
本発明の具体的な態様においては、発現構築物(または上記のペプチド)は、リポソームに封入されていてもよい。リポソームは、リン脂質二重膜および内部の水性媒体を特徴とする小胞状の構造体である。多重層リポソームは、水性媒体で隔てられた複数の脂質層を有する。このようなリポソームは、リン脂質を過剰量の水溶液に懸濁すると自然に形成される。脂質成分は、閉鎖構造を形成する前の自己再配列を経て、脂質二重層間に水とそれに溶解している溶質を封入する(Ghosh and Bachhawat,“In Liver Diseases, Targeted Diagnosis And Therapy Using Specific Receptors And Ligands(肝臓病における、特異的な受容体とリガンドを用いる標的診断および治療法)”, Wu, G., Wu, C., ed.,ニューヨーク州:Marcel Dekker、pp. 87-104 (1991))。陽イオンリポソームにDNAを添加すると、位相変化(topological transition)が生じて、リポソームは光学的に複屈折性を示す液晶性凝縮小球となる(Radler, et al., Science, 275(5301):810-4, (1997))。このようなDNA−脂質複合体は、遺伝子治療や遺伝子デリバリーに用いる非ウイルスベクターとなる可能性がある。
また本発明は、「リポフェクション」法を含む様々な市販のアプローチにも関する。本発明のある態様においては、リポソームは赤血球凝集性のウイルス(HVJ、即ち、センダイウイルス)と複合体を形成していてもよい。これにより、細胞膜との融合が容易になり、リポソームに封入されたDNAが細胞へ入り込むのを促進することが報告されている(Kaneda, et al., Science, 243: 375-378 (1989))。他の態様においては、リポソームは、細胞核の非ヒストン染色体タンパク質(HMG−1)との複合体として、またはHMG−1と共に使用してもよい(Kato, et al., J. Biol. Chem., 266:3361-3364 (1991))。さらに他の態様においては、リポソームは、HVJおよびHMG−1の両方との複合体を形成するか、または3種を共に使用してもよい。In vitro および in vivo において核酸の導入と発現に有効に用いることができる発現構築物は、本発明に適用可能である。
治療用遺伝子をコードする核酸を細胞に送達するのに用いることができる他のベクター送達システムとしては、受容体仲介送達ベヒクルが挙げられる。このようなシステムは、ほぼ全ての真核細胞に見られる受容体仲介エンドサイトーシスにより巨大分子の選択的な取り込みを利用する。種々の受容体は細胞種特異的に分布するため、このようなシステムを用いた送達は高い特異性を示す(Wu and Wu (1993), supra)。
本発明の他の1つの態様においては、発現構築物は、単に裸の組換えDNAまたはプラスミドからなるものでもよい。構築物の導入は、物理的または化学的に細胞膜を透過させる上記のいずれの方法によって行ってもよい。これは in vitro での導入に特に適するが、in vivo での使用に適用してもよい。Dubensky, et al., Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 81:7529-7533 (1984)には、ポリオーマウイルスのDNAをリン酸カルシウム沈殿物の形態で成体マウスおよび新生マウスの肝臓と脾臓に注射して、能動的なウイルス複製および急性感染に成功したことが報告されている。Benvenisty and Neshif, Proc. Nat. Acad. Sci. USA, 83:9551-9555 (1986)にも、リン酸カルシウム沈殿したプラスミドの腹腔内直接投与がトランスフェクトした遺伝子の発現をもたらすことが報告されている。
裸のDNA発現構造物を細胞に導入するための、本発明の他の1つの態様としては、粒子衝突法が挙げられる。この方法は、DNAで被覆したマイクロプロジェクタイルを高速に加速して細胞膜を貫通させ、細胞を殺すことなく遺伝子を導入することが可能である(Klein, et al., Nature, 327:70-73 (1987))。小さい粒子を加速するための装置がいくつか開発されている。そのような装置の1つは、高圧放電を用いて電流を発生させ、その結果として原動力を提供する(Yang, et al., Proc. Natl. Acad. Sci USA, 87:9568-9572 (1990))。使用するマイクロプロジェクタイルは、タングステンや金のビーズのような、生物学的に不活性な物質からなる。
当業者は、in vivoex vivo の状況下で、どのように遺伝子送達を適用するかを認識している。ウイルスベクターに関しては、通常、ウイルスベクターの原液を調製する。ウイルスの種類と達成可能な力価により、1×104、1×105、1×106、1×107、1×108、1×109、1×1010、1×1011または1×1012の感染粒子を患者に送達する。リポソームまたはその他の非ウイルス性の処方物(formulation)についても、相対的な取り込み効率を比較することにより、同様の数値が外挿できる。薬学的に許容される組成物となる処方物については以下に述べる。
様々な細胞種に対する様々な投与方法が考えられる。実用的には、いかなる細胞、組織または器官の種類に関しても、全身送達(systemic delivery)が考えられる。他の態様においては、多様な、即ち、直接的、局所的そして部分的なアプローチを用いることができる。例えば、細胞、組織または器官に発現ベクターまたはタンパク質を直接注射することができる。
また、別の態様は、ex vivo の遺伝子治療に関する。Ex vivo の態様においては、細胞を患者から取り出し、少なくともある程度の期間体外で保持する。この期間中に、取り出した細胞に治療を施し、その後、細胞を患者の体内に再導入する。
本発明はまた、AMIGOの活性化に対する拮抗物質(例えば、AMIGOアンチセンス核酸、RNAiおよび中和抗体など)を提供する。内因性のAMIGO活性化レベルが増加しているか、または過剰である哺乳類にAMIGO拮抗物質を投与することが考えられ、そのようなAMIGOレベルの増加が病理学的な障害を引き起こす状況で投与することが好ましい。
医薬用および治療用の組成物と処方物
本発明のAMIGO核酸分子、AMIGOポリペプチド、AMIGO作用物質、AMIGO拮抗物質および抗AMIGO抗体(活性化合物)ならびにそれらの誘導体、断片、類似体および相同体は、医薬組成物に組み込むことができる。
そのようなAMIGO組成物は、保存を目的として、望ましい純度を有するAMIGO核酸分子、AMIGOタンパク質またはAMIGO抗体を、生理的に許容される所望の担体、賦形剤または安定剤(“Remington's Pharmaceutical Sciences(レミントンの薬理科学)”, 第16版, Osol, A.編集, (1980))と混合し、凍結乾燥した固体または水溶液の形態に調製する。許容される担体、賦形剤または安定剤は、使用する用量および濃度においてレシピエントに非毒性であり、その例としては、リン酸、クエン酸およびその他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸などの酸化防止剤;低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチンおよび免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンおよびリシンなどのアミノ酸;グルコース、マンノースおよびデキストリンなどの単糖、二糖およびその他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;マンニトールおよびソルビトールなどの糖アルコール;ナトリウムなどの塩形成対イオン(salt-forming counter-ions);ならびにTween、プルロニックおよびポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
AMIGO核酸分子、AMIGOタンパク質、AMIGO作用物質、AMIGO拮抗物質またはAMIGO抗体は、例えば、コアセルベーション法で調製したマイクロカプセル(例えば、ヒドロキシメチルセルロース マイクロカプセル)や界面重合法により調製したマイクロカプセル(例えば、ゼラチン マイクロカプセルとポリメチルメタクリレートマイクロカプセル)、コロイダルドラッグデリバリーシステム(colloidal drug delivery systems)に用いる送達用物質(例えば、リポソーム、アルブミン小球体、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)またはマクロエマルジョンに封入してもよい。このような手法は前出の「レミントンの薬理科学」に記載されている。
AMIGO核酸分子、AMIGOタンパク質またはAMIGO抗体の投与は、公知の方法に従って行えばよく、例えば、個々の態様に関して上記した方法や静脈、腹腔内、脳内、筋内、眼内、鞘内、頭蓋内、髄腔内、脳室内、動脈内または病巣内への注射や点滴などの一般的な方法、あるいは以下に述べる徐放システムなどの公知の方法で行うことができる。AMIGO核酸分子、AMIGOタンパク質またはAMIGO抗体は、点滴により継続的に投与するか、または大量瞬時投与する。一般的には、疾患が許せば、AMIGO核酸分子、AMIGOタンパク質またはAMIGO抗体を部位特異的送達用に処方して投与すべきである。投与は継続的または断続的に行うことができる。また、投与は、流量が一定のまたは流量をプログラムできる埋め込み型のポンプ、あるいは断続的な注射により行うことができる。本発明の核酸分子は、ベクターに挿入し、遺伝子治療用ベクターとして用いることができる。遺伝子治療用ベクターは、例えば静脈注射や局所投与により対象生物に送達することができ(Nabel and Nabel, 米国特許第5,328,470号, 1994)、定位注射(stereotactic injection)(Chen et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 91:3054-3057 (1994))により対象生物に送達することもできる。遺伝子治療用ベクターの医薬用製剤は、許容される希釈剤を含んでいてもよいし、または遺伝子送達ベヒクルを包埋した徐放性マトリクスを包含していてもよい。
他の方法として、完全な遺伝子送達ベクターを無傷の状態で組換え細胞から製造することができる場合、例えばレトロウイルスベクターを用いる場合には、上記の医薬用製剤は、遺伝子送達システムを産生する1つ以上の細胞を包含していてもよい。
適当な徐放性製剤の例としては、AMIGOタンパク質を含有する、固体の疎水性ポリマーからなる半透性マトリクスが挙げられ、このようなマトリクスは成形品(フィルムやマイクロカプセルなど)の形態をとっている。徐放性マトリクスの具体例としては、ポリエステル、Langer et al., J. Biomed. Mater. Res., 15:167-277 (1981) および Langer, Chem. Tech., 12:98-105 (1982)に記載のあるヒドロゲル、ポリビニルアルコール、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号およびEP 58,481)または非分解性エチレン酢酸ビニル(Langer et al., supra)が挙げられる。
徐放性AMIGO組成物には、リポソームに封入されたAMIGO核酸分子、AMIGOタンパク質、AMIGO作用物質、AMIGO拮抗物質またはAMIGO抗体も含まれる。AMIGO核酸分子、AMIGOタンパク質またはAMIGO抗体を含有するリポソームは、それ自体公知である次の方法によって調製する:Epstein et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82:3688-3692 (1985)、Hwang et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 77:40304034 (1980)、EP 52,322、EP 36,676、EP 88,046、EP 143,949、EP 142,641、米国特許第4,485,045号および第4,544,545号;ならびにEP 102,324。通常、リポソームは、小さい(約200〜800オングストロームの)単膜型のものであり、脂質含量はコレステロールとして約30mol%を超え、その組成は、AMIGO核酸分子、AMIGOタンパク質またはAMIGO抗体を用いた治療の効果が最適となるように調整したものである。
エチレン酢酸ビニルや乳酸−グリコール酸などのポリマーが、100日に渡って分子を放出することを可能にする一方、特定のヒドロゲルはタンパク質をより短期間で放出する。封入されたタンパク質が体内に長期間残存すると、37℃で湿気にさらされることによって変性したり凝集したりすることがあり、結果として生物活性が失われたり、免疫原性に変化が生じることがある。関連するメカニズムに基づいて、タンパク質を安定化させる合理的な方法を考案することが可能である。例えば、凝集のメカニズムがチオール−ジスルフィド相互交換(thio-disulfide interchange)による分子間S−S結合の形成であると分かったら、タンパク質のスルフヒドリル残基の修飾、酸性溶液の凍結乾燥、水分量の制御、適切な添加剤の使用および特定のポリマーマトリクス組成物の開発により、安定化を達成することもできる。
半透性の、移植可能な膜状装置は、特定の環境において薬物を送達するのに有用な手段である。例えば、可溶性AMIGOを分泌する細胞、AMIGOを細胞表面に発現する細胞、あるいはキメラまたは抗体を発現する細胞を上記の装置に封入し、患者、例えば、パーキンソン病、神経系の外傷またはグリア性瘢痕を患う患者の脳に移植することができる。米国特許第4,892,538号(Aebischer et al.)、米国特許第5,011,472号(Aebischer et al.)、米国特許第5,106,627号(Aebischer et al.)、PCT出願 WO 91/10425、PCT出願 WO 91/10470、Winn et al., Exper. Neurology, 113:322-329 (1991)、Aebischer et al., Exper Neurology, 111:269-275 (1991)、および Tresco et al., ASAIO, 38:17-23 (1992)を参照されたい。
したがって、本発明は、神経の損傷またはその他のAMIGO反応性細胞の損傷を予防または治療する方法であって、AMIGO、あるいは特定の病態に対して必要とされるAMIGO作用物質またはAMIGO拮抗物質を分泌または細胞表面に発現する細胞の、治療を必要とする患者の体内への移植を包含する方法に関する。また、本発明は、神経の損傷または本願に記載する他の細胞の損傷を予防または治療するための、半透膜とそこに封入されたAMIGO(あるいは特定の病態に対して必要とされる作用物質または拮抗物質)を分泌する細胞とを包含する装置であって、該半透膜はAMIGO(あるいはAMIGO作用物質またはAMIGO拮抗物質)に対して透過性であるが、細胞にとって有害な患者由来の因子に対しては不透性である装置に関する。AMIGOを製造するようにex vivoで形質転換した患者自身の細胞は、所望により、上記のようなカプセル封入を行うことなく、患者に直接移植することができる。生細胞の膜封入の方法は当業者にはよく知られたものであり、封入細胞の調製と封入細胞の患者への移植は過剰な(under)実験を行わずとも実施可能である。
したがって、本発明は、神経の損傷を予防または治療する方法であって、AMIGOまたはAMIGO抗体を産生する能力を天然に有する細胞、または生物工学的に分泌するようにした細胞を、治療を必要とする患者の体内に移植することを包含する方法を含む。患者がヒトの場合、発現または分泌されたAMIGOまたはAMIGO抗体は、可溶性のヒト成熟AMIGOであることが好ましい。移植物は、非免疫原性であるか、免疫原性の移植細胞が免疫系により認識されるのを防ぐものであるか、またはこの両方であることが好ましい。CNSに送達するのに好ましい移植部位は、脊髄の脳脊髄液である。
治療に用いるAMIGO核酸分子、AMIGOタンパク質、AMIGO作用物質、AMIGO拮抗物質またはAMIGO抗体の効果的な量は、例えば、治療目的、投与方法および患者の状態に依存する。したがって、治療を行う専門家は投薬を滴定し、最適な治療効果が達成されるように投与方法を調整することが必要となる。典型的には、臨床医は、所望の効果を得られる投与量に達するまでAMIGOタンパク質またはAMIGO抗体を投与する。全身療法における典型的な1日の投与量は、上記の要因により異なるが、約1μg/kgから10mg/kg以上である。もう1つの一般的な投与法としては、AMIGO核酸分子、AMIGOタンパク質またはAMIGO抗体を処方し、組織中で効果的であるが過剰に毒性にならないAMIGOレベルを達成する投与量を、標的部位または標的組織に送達する。可能であれば、連続的な点滴、徐放的な放出、局所的な投与、AMIGO発現細胞の移植または経験的に定めた頻度の注射によってこの組織内濃度を維持するべきである。この治療の経過は、公知のアッセイによって簡単にモニターすることができる。
当業者であれば認識することであろうが、処方する組成物は治療に効果的な量の本発明のAMIGOタンパク質、そのペプチド断片または変異体あるいはAMIGOレセプターの制御物質を包含する。つまり、そのような組成物は、病変した神経系組織に上記の物質を適切な濃度で提供し、該提供は、中枢神経系機能の検出可能な修復を刺激するために十分な時間、例えば完全にその修復がなされるまで継続する。当業者であれば認識することであろうが、これらの濃度は種々の要因、例えば、選択した物質の生物学的効力、その化学的性質(例えば、疎水性)、組成(例えば、1種またはそれ以上の賦形剤との混合物における組成)、投与方法および想定する治療法(例えば、有効成分を直接組織部位に投与するか、全身投与するか)などによって変動する。好ましい一回当たりの投与量も、罹患または損傷している組織の状態や、個々の哺乳類の総合的な健康状態といった変動する要因に左右されやすい。一般的に、本発明のAMIGOタンパク質、そのペプチド断片または変異体あるいはAMIGO受容体の作用物質は、0.00001〜1,000mgを単一投与か、毎日、週2回または週1回投与すれば十分であり、好ましい投与量は0.0001〜100mgであり、さらに好ましくは0.001〜10mgである。あるいは、体重kg当たり0.01〜1,000μg、好ましくは0.01〜10mgを単一投与か、毎日、週2回または週1回投与する方法も有効である。本発明で用いる効果的な投与量は、所望により、または個々の状況に応じて適切に、1回または複数回(2回またはそれ以上)に分割して投与してもよい。大量瞬時投与または拡散可能な注入処方物による投与を用いることができる。繰り返してまたは頻繁に行われる点滴を容易に行いたい場合、半永久的ステントの(例えば、静脈内、腹腔内、槽内または嚢内への)移植が望ましいと考えられる。下記の実施例において、AMIGO、AMIGO2またはAMIGO3の脊髄内投与は、中枢神経系機能の損失または障害の、検出可能なレベルの修復に明確に寄与した。
AMIGO化合物の用途
本発明は、AMIGO化合物をEGFRの機能阻害に用い、最終的にはEGFRのリン酸化を制御し、EGFRから開始するシグナル伝達カスケードを制御する。これは、EGFRに特異的に結合し、EGFRのリン酸化を制御するAMIGO化合物を提供することによってなされる。そのようなAMIGO化合物はEGFRの機能の正常な役割に干渉し、その細胞シグナル伝達を制御する。干渉されるEGFRリン酸化の機能には、リガンド−受容体相互作用、細胞膜におけるEGFRの二量体化、EGFRのリン酸化、EGFRが関与すると考えられるEGFR開始シグナル伝達カスケードの制御などの重要な機能が全て含まれる。このようなAMIGO化合物の干渉によって生じる総合的な影響は、EGFRのリン酸化の制御である。本発明においては、「制御」とは、EGFRのリン酸化の増加(刺激)または減少(阻害)のいずれも意味する。本発明においては、阻害はEGFRリン酸化の制御の好ましい形態である。
本発明のAMIGO化合物のいくつかは、不適切なEGFR活性を特徴とする細胞増殖異常の処置に用いることができる。「不適切なEGFR」活性とは、次の(1)〜(5)のそれぞれを意味する。(1)通常はEGF受容体(EGFR)を発現しない細胞によるEGFRの発現;(2)通常はEGF/TGF−αを発現しない細胞によるEGFの発現;(3)望まない細胞増殖を引き起こす、EGF受容体(EGFR)発現の増加;(4)望まない細胞増殖を引き起こす、EGF/TGF−αの発現の増加;および/または(5)EGF受容体(EGFR)の構成的な活性化を引き起こす変異。EGF/TGF−αやEGFRの存在量や活性が不適切であるか異常であることは、当業界で公知の手順により決定する。
EGF/TGF−αの活性または発現の増加は、EGFリガンドの結合の際に生じる1種またはそれ以上の次のような活性の増加を特徴とする。(1)EGFRの二量体化;(2)EGFRの自己リン酸化;(3)EGFR基質(例えば、PLCγ)のリン酸化;(4)アダプター分子の活性化;および(5)細胞分裂の増加。これらの活性は、次に述べる手法および当業界で公知の手法を用いて測定することができる。例えば、EGFRの自己リン酸化は抗リン酸チロシン抗体を用いて測定することができ、細胞分裂の増加は、DNAの3H−チミジンの取り込み量の測定によって確認することができる。EGFR活性の増加は、リン酸化したEGFRおよび/またはDNA合成量の増加を特徴とすることが好ましい。
望まない細胞増殖は、癌細胞、癌細胞の周辺の細胞や内皮細胞を含む様々な種類の細胞において生じる不適切なEGFR活性により起こり得る。不適切なEGF活性を特徴とする疾患の例としては、グリオーマ、頭部癌、頸部癌、胃癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、結腸癌および前立腺癌などの癌が挙げられる。
AMIGO化合物:「AMIGO化合物」という用語は、AMIGOペプチド、AMIGO変異体、AMIGOの生物学的に活性である断片、AMIGO抗原性断片、抗AMIGO抗体またはその結合部位を意味するか、あるいはEGFRまたは上皮成長因子受容体リガンドと結合、あるいはなんらかの方法で相互作用できる上記のペプチドをコードする核酸を意味する。本発明のAMIGO化合物と、対応するリガンドとの結合または相互作用は、リガンドと対応する受容体との間の相互作用の制御、好ましくは防止または阻害をもたらす。リガンド−受容体相互作用はEGFR発現腫瘍細胞の増殖に関与するため、「AMIGO化合物」という用語は、上皮成長因子受容体と対応するリガンドとの間の相互作用を制御し、さらに好ましくは上皮成長因子受容体と対応するリガンドとの間の相互作用を減少させるように作用して、EGFRのリン酸化の阻害をもたらす全ての化合物を包含する。
本願においては、「リン酸化を阻害する」という用語(例えば、EGFRのリン酸化の阻害/遮断に言及する際に用いる用語)は、部分的阻害と完全阻害の両方を包含する。EGFRリン酸化の阻害は、EGFRリガンドが阻害または遮断されることなくEGFRに結合した際に生じる細胞シグナル伝達の正常のレベルや種類を、減少あるいは変化させることが好ましい。阻害はまた、EGFRリガンドがAMIGO化合物と接触していない場合との比較から明かな、AMGIO化合物に接触しているEGFRリガンドのEGFRに対する結合親和性の、いかなる測定可能な減少も包含する。例えば、EGFRリガンドのEGFRに対する結合の遮断は少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、99%または100%である。
本発明のAMIGO化合物には多数の治療用および診断用の用途がある。例えば、治療用途としては、癌または他の関連した疾病に罹患している疑いのある患者に対する癌の治療が含まれる。具体的には、本発明のAMIGO化合物は、EGFRリガンドの産生および/またはEGFRタンパク質の過剰発現を行う腫瘍細胞を有する患者の治療に用いることができる。
治療の1つの種類は、治療物質に結合させたAMIGO化合物の使用を含んでもよい。効果的な量の治療物質と結合したAMIGO化合物を患者に投与することにより、患者に存在する、EGFR発現腫瘍細胞の成長を阻害するか、または腫瘍細胞を殺すことで、癌を治療することができる。
本発明の癌の治療方法によると、このような治療物質を結合したAMIGO化合物は、腫瘍細胞とEGFRとの関連性に基づいて、腫瘍細胞を認識し結合することができる。これに限定されることはないが、癌細胞に対する結合機構には、EGFR、即ち細胞表面に存在するリガンドあるいは発現および/または分泌されたリガンドの認識が含まれる。
治療物質を結合したAMIGO化合物がEGFRとの相互作用によって腫瘍細胞と結合または密接に会合すると、治療物質はその細胞を阻害または殺すことができる。このように、本発明の治療方法は、例えばEGFRと関連性のある癌細胞などの特定の標的に対して選択的である。
正常な細胞およびEGFRと関連性のないその他の細胞(即ち、EGFRを発現しない細胞)は、AMIGO化合物による治療法によって影響を受ける恐れはほとんどないと考えられる。
また、本発明のAMIGO化合物は、腫瘍細胞の増殖誘発の防止または阻害に用いることができる。例えば、EGFRを有する癌細胞は、低濃度のEGFRリガンドの存在下で増殖が誘発される。EGFRリガンドがその受容体と相互作用するのを防止することにより、癌患者を治療する方法を提供することが可能である。
細胞の増殖を阻害または防止する本発明の方法によると、AMIGO化合物はEGFRに結合することができる。In vivo でのEGFRとの結合により、EGFR−AMIGO化合物複合体が形成され、立体的に(sterically)、またはその他の方法で、リガンド−受容体相互作用を防止または阻害することができる。このことから、本発明は、腫瘍細胞を有する患者に効果的な量のAMIGO化合物を投与することにより、患者における腫瘍細胞の増殖を防止または阻害する治療を提供する。
本発明のAMIGO化合物の上記以外の治療用用途も多数考案可能であることを認識いただきたい。そのような治療は、本発明のAMIGO化合物を他の公知の治療法と組み合わせて用いることを包含していてもよい。本発明は、本願で説明した治療用処置に限定されるわけではなく、これらは単なる例示として記載したものである。
さらに、腫瘍細胞を阻害または殺すのに十分な本発明のAMIGO化合物の投与量は、悪性細胞の種類、患者の体重、用いる治療物質の種類などの多数の要因によって変化する。当業者にとっては、in vitro または in vivo において特定の悪性細胞を阻害または殺すのに必要な化合物の量は、慣行的な実験を最小限行うことにより容易に定めることができることは明かである。効果的な量のAMIGO化合物を腸管外、皮下、静脈内、筋内、腹腔内または経口的に投与することができる。さらに、適切な賦形剤、補助剤(auxiliaries)または医薬物質として本発明のAMIGO化合物の作用や安定性を促す化合物を含有する医薬製剤を調製することができる。
本発明のAMIGO化合物の(EGFRのリン酸化の制御に基づく)診断的用途としては、例えば、患者から得たサンプル中のEGFRの検出が挙げられる。そのようなサンプルとしては、体組織、体液(例えば、血液、尿、涙、唾液、血清および脳脊髄液)、便、細胞抽出物などが挙げられる。
したがって、本発明で開示したEGFRのリン酸化反応を患者から得たサンプルから検出することは、癌の診断方法を提供する。つまり、患者から得たサンプル中のEGFRの検出は、患者にEGFRを発現する細胞が存在することを示す。さらに、AMIGO化合物はEGFRに対して特異的であるため、リン酸化のアッセイは、患者の腫瘍の生物学的特徴に関する情報を提供することができる。例えば、EGFRを過剰発現する腫瘍細胞を有する癌患者は、EGFRの過剰発現を示さない癌患者よりも全体的な生存率が低いことが知られている。したがって、EGFRのリン酸化の検出は予後検査として役立ち、臨床医が患者を治療するためのより効果的な治療法を選択することを可能にする。
本発明のAMIGO化合物の組成物は、in vitro での治療用途または診断用途に関連する結合活性を最初に試験することができる。例えば、本発明の組成物は、下記の実施例に記載するELISAおよびフローサイトメトリーによるアッセイを用いて試験することができる。さらに、少なくとも1種のエフェクターが仲介するエフェクター細胞活性、例えば、EGFR発現細胞におけるEGFRのリン酸化、を引き起こす際のこれらの分子の活性をアッセイすることができる。
本発明の組成物は、EGFR関連疾病の治療と診断においても有用性を有する。例えば、AMIGO DNAは、in vivo または in vitro で1つ以上の次の生物学的活性の誘発に用いることができる。EGFR発現細胞におけるEGFまたはTGF−α誘導性の自己リン酸化の阻害;オートクリンEGFまたはTGF−α誘導性の、EGFR発現細胞の活性化の阻害;および、EGFRを(例えば少量)発現している細胞の成長阻害。
具体的な態様においては、AMIGO化合物およびその誘導体/変異体は、様々なEGFRに関連する疾病の治療、予防または診断にin vivo で用いられる。EGFR関連疾病の例としては、種々の癌、例えばグリオーマ、グリオブラストーマ、膀胱癌、乳癌、子宮/子宮頸部癌、結腸癌、膵臓癌、結腸直腸癌、腎臓癌、胃癌、卵巣癌、前立腺癌、腎細胞癌、扁平上皮細胞癌、肺癌(非小細胞肺癌)、食道癌、頭部癌および頸部癌が挙げられる。
本発明の組成物の投与方法は当業界で公知である。使用する分子の適した投与量は対象生物の年齢と体重や用いる特定の薬物による。AMIGO化合物は、Goldenberg, D. M. et al., (1981) Cancer Res. 41: 4354-4360およびEP 0,365,997に記載の方法によって、131I、90Y、105Rh、インジウム−111などの放射性核種と結合することができる。他の1つの態様においては、本発明は、放射性同位体、細胞毒性物質(例えば、カリチェアミシン(calicheamicin)やデュオカルマイシン(duocarmycin))、細胞増殖抑制性物質または化学療法薬に結合した、本発明のAMIGO抗体またはその結合部位、あるいはAMIGOペプチドまたはその断片を包含する免疫複合体(immunoconjugate)に関する。本発明の組成物は抗感染物質に結合することもできる。
他の1つの態様においては、AMIGO化合物は、化学療法薬や免疫抑制剤などの治療物質と同時に投与してもよいし、AMIGO化合物の投与を、他の公知の治療法、例えば理学療法(放射線治療、発熱療法や移植(例えば、骨髄移植など))と組み合わせてもよい。上記の治療物質には、他の薬物と共に、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、シスプラチン、硫酸ブレオマイシン、カルムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミドおよびヒドロキシウレアなどの、それ自身では患者に毒性または準毒性となるレベルでのみ有効な抗癌薬も含まれる。シスプラチンは100mg/m2を4週間毎に静脈内投与し、アドリアマイシンは60〜75mg/m2を、21日毎に静脈内投与する。
本発明の医薬組成物は、次の化学療法薬からなる群より選ばれる1種以上を包含することができる:ナイトロジェンマスタード(例えば、シクロホスファミドやイホスファミド)、アジリジン(例えば、チオテパ)、スルホン酸アルキル(例えば、ブスルファン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチンやストレプトゾシン)、白金錯体(例えば、カルボプラチンやシスプラチン)、非古典的アルキル化剤(non-classical alkylating agents)(例えば、ダカルバジンやテモゾロマイド)、葉酸誘導体(analogs)(例えば、メトトレキサート)、プリン誘導体(例えば、フルダラビンやメルカプトプリン、アデノシン誘導体(例えば、クラドリビンやペントスタチン)、ピリミジン誘導体(例えば、フルオロウラシル(単独でまたはロイコボリンと組み合わせて用いるもの)やゲムシタビン)、尿素置換体(例えば、ヒドロキシ尿素)、抗腫瘍抗生物質(例えば、ブレオマイシンおよびドキソルビシン)、エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシドやテニポシド)、微小管作用物質(microtubule agents)(例えば、ドセタキセルやパクリタキセル)、カンプトテシン誘導体(camptothecin analogs)(例えば、イリノテカンやトポテカン)、酵素(例えば、アスパラギナーゼ)、サイトカイン(例えば、インターロイキン−2やインターフェロン−α)、モノクローナル抗体(例えば、トラスツズマブやベバシツマブ)、組換え毒素や免疫毒素(例えば、組換えコレラ毒素−BやTP−38)、癌遺伝子療法薬、理学療法薬(例えば、発熱療法、放射線療法や外科治療に用いる薬剤)ならびに癌ワクチン(例えば、テロメラーゼに対するワクチン)。
本発明のAMIGO化合物と化学療法薬とを同時に投与することにより、異なるメカニズムを通じて作用する2種の抗癌物質が提供され、ヒト腫瘍細胞に細胞毒性効果がもたらされる。このような同時投与は、薬物への耐性の発現や、抗体に対して不活性となる腫瘍細胞の抗原性の変化によって生じる問題を解決することができる。
他の1つの態様においては、対象生物は、リンフォカイン製剤でさらに処置することができる。リンフォカイン製剤を用いることにより、EGFRを高度には発現しない癌細胞にEGFRの高度発現を誘導することができる。リンフォカイン製剤は、腫瘍細胞のEGFRのより相同的な発現を引き起こすことができ、それはより効果的な治療につながる。投与に適したリンフォカイン製剤としては、インターフェロン−γ、腫瘍壊死因子およびそれらを組合せたものが挙げられる。このようなリンフォカイン製剤は、静脈内投与することができる。リンフォカインの適した投与量は10,000〜1,000,000単位/患者である。
1つの態様においては、本発明は、サンプルにおけるEGFRリン酸化反応の存在を検出するか、またはEGFRリン酸化反応を定量する方法を提供し、該方法は、AMIGO化合物とEGFRとの間で複合体を形成することができる条件下で、サンプルと対照サンプルをそれぞれEGFRに特異的に結合するAMIGO化合物に接触させる工程を包含する。そして、複合体の形成、即ち、リン酸化の制御、好ましくはリン酸化の阻害を検出するが、サンプルと対照サンプルとの間のEGFRリン酸化反応の差は、サンプル中のEGFRの存在を示す。
スクリーニング
本発明はまた、AMIGOの発現または活性を制御する物質にも関する。そのような物質は、例えば、低分子であってもよい。このような低分子物質の例としては、ペプチド、ペプチド模倣物(例えばペプトイド)、アミノ酸、アミノ酸類似体、ポリヌクレオチド、ポリヌクレオチド類似体、ヌクレオチド、ヌクレオチド類似体、分子量が約10,000g/mol未満の有機または無機化合物(例えば、ヘテロ有機化合物および有機金属化合物)、分子量が約5,000g/mol未満の有機または無機化合物、分子量が約1,000g/mol未満の有機または無機化合物および分子量が約500g/mol未満の有機または無機化合物、ならびにこのような化合物の塩、エステルおよび薬学的に許容される他の形態が挙げられるが、これらに限定されるものではない。低分子物質の適切な投与量は、通常の技量を有する医師、獣医師、研究者の考えのおよぶ範囲の多数の要因に依存すると理解されている。低分子物質の投与量は、例えば、処置する対象生物またはサンプルの特性、大きさおよび状態によって変わり、さらに、該当する場合は、このような化合物の投与経路によっても変わり、本発明の核酸またはポリペプチドに対する、従事者が望む低分子物質の効果によっても変わる。典型的な投与量としては、対象生物またはサンプルの1kg当たりミリグラム量またはマイクログラム量(例えば、約1μg/kg〜約500mg/kg、約100μg/kg〜約5mg/kg、または約1μg/kg〜約50μg/kg)の低分子物質を使用する。さらに、低分子物質の適切な投与量は、低分子物質の制御する発現または活性に対する効能にも依存すると理解されている。そのような適切な投与量は、本願明細書に記載するアッセイを用いて求めることができる。本発明のポリペプチドまたは核酸の発現や活性を制御するために1つ以上の低分子物質を動物(例えば、ヒト)に投与する場合、医師、獣医師または研究者は、例えば、初めは比較的低投与量で処方し、その後適当な反応が得られるまで投与量を増加させてもよい。さらに、特定の対象動物のための特定の投与レベルは、例えば、使用する特定化合物の活性、対象動物の年齢、体重、健康状態、性別および食餌、投与時間、投与経路、排泄速度、他の薬物との組み合わせならびに制御する発現または活性の程度、などの種々の要因に依存すると理解されている。
本発明の方法には、ホモフィリックまたはヘテロフィリックなAMIGO相互作用を制御する物質をスクリーニングするための方法、およびこれらの相互作用を制御する方法が含まれる。AMIGOの活性化は、細胞間相互作用、細胞の遊走、神経突起の成長および束形成などの広い範囲の細胞機能を制御することが分かっている。AMIGOポリペプチドは、EGFRポリペプチドの機能の特異的な制御物質として開示される。したがって、本発明は標的となる細胞機能を制御する方法であって、AMIGO:AMIGO相互作用またはAMIGO:AMIGOリガンド相互作用に対する制御物質と細胞を接触させることによって、AMIGOの活性化を制御する工程を包含する方法を提供する。本発明はまた、標的となる細胞機能を制御する方法であって、AMIGO:EGFR相互作用を制御する物質と細胞を接触させることによって、EGFRの活性化を制御する工程を包含する方法を提供する。
別の態様においては、本発明は、AMIGO:AMIGO相互作用、AMIGO:EGFR相互作用またはAMIGO:AMIGOリガンド相互作用を制御する物質をスクリーニングするための方法を提供する。これらの方法は、一般に、AMIGO発現細胞と、AMIGO、EGFRまたはAMIGOリガンドポリペプチドと候補物質との混合物を形成し、そして候補物質が細胞のAMIGO発現量に与える効果を求める。この方法は、先導化合物を得るための、自動化した、費用効果の高い、化合物ライブラリーのハイスループットスクリーニングに適応可能である。同定した試薬は、動物およびヒトの治験に用いるといった医薬産業における用途を見出している。例えば、試薬は誘導化し、そして in vitro および in vivo でのアッセイで再スクリーニングし、医薬開発のために活性の最適化と毒性の最小化を行うことができる。具体的には、神経系細胞に基づく神経系伸長アッセイ、束形成および凝集アッセイについて後述の実施例において詳しく説明する。
本発明はさらに、制御物質の同定方法(本願明細書では「スクリーニングアッセイ」とも称する)を提供し、制御物質は、AMIGOタンパク質に結合するか、(例えばAMIGOの発現や活性を)刺激または阻害する効果を有するか、または(例えばAMIGO基質の発現や活性を)刺激または阻害する効果を有する物質の候補あるいはテスト用の化合物または薬剤(例えば、ペプチド、ペプチド模倣物、ペプトイド、低分子の薬物または他の薬物)である。この方法によって同定された化合物は、治療プロトコールでAMIGOの活性を制御したり、AMIGOの生物学的機能を明らかにしたり、正常なAMIGO相互作用を妨害する化合物を同定するために用いることができる。この態様において好ましいAMIGOは、本発明のAMIGO、AMIGO2およびAMIGO3である。
1つの態様において、本発明は、AMIGOタンパク質、AMIGOポリペプチドまたはその生物学的に活性な部位に対する基質の候補物質またはテスト用化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。別の態様においては、本発明は、AMIGOタンパク質、AMIGOポリペプチドまたはその生物学的に活性な部位に結合するかまたはその活性を制御する候補物質またはテスト用化合物をスクリーニングするためのアッセイを提供する。
本発明のテスト化合物は、当業界で公知のコンビナトリアル ライブラリー法における多数のアプローチのいずれを用いることによっても得られる。コンビナトリアル ライブラリー法の例としては、生物学的ライブラリー法(biological libraries)、ペプトイドライブラリー法[ペプチドの機能性を有するが新規な非ペプチド主鎖を有する分子であり、酵素分解に耐性であるが、生物活性を保持する分子のライブラリー](例えば、Zuckermann, R. N. et al., J. Med. Chem. 1994, 37: 2678-85を参照)、立体構造によって特定可能な、並行合成した固相または溶液相ライブラリーを用いる方法(spatially addressable parallel solid phase or solution phase libraries)、デコンボリューションを必要とする合成ライブラリー法、“1ビーズ−1化合物”(one-bead one-compound)ライブラリー法、およびアフィニティクロマトグラフィーによる選択を用いる合成ライブラリー法が挙げられる。生物学的ライブラリー法とペプトイドライブラリー法はペプチドライブラリーにのみ適応可能なアプローチであるが、他の4つの方法は、ペプチド、非ペプチドオリゴマーまたは低分子からなる化合物ライブラリーに適用可能なアプローチである(Lam, K. S., (1997) Anticancer Drug Des. 12:145)。
1つの態様においては、アッセイは、AMIGOタンパク質またはその生物学的に活性な部位を発現する細胞をテスト化合物と接触させ、テスト化合物がAMIGO活性を制御する能力を測定する細胞ベースのアッセイである。テスト化合物がAMIGO活性を制御する能力は、例えば、細胞の結合や付着、細胞成長、神経突起の伸長、束形成および細胞の化学走化性をモニターすることによって測定できる。細胞は、例えば、哺乳類由来の細胞、例えば神経細胞でもよい。好ましい態様においては、AMIGOは神経系細胞で発現したものであり、AMIGO活性を制御するテスト化合物の能力は神経突起の伸長をモニターするか、または軸索の束形成をモニターすることによって行われる。別の好ましい態様においては、AMIGOとEGFRが、例えば神経系または非神経系由来の腫瘍細胞によって同時に発現されており、EGFRリン酸化反応の量をモニターする。
AMIGOタンパク質またはその生物学的に活性な断片が、AMIGO標的分子(例えば、AMIGO、EGFRまたはAMIGOリガンドを含有する分子)に結合するか、または相互作用する能力の測定は、直接結合を測定するための上記の方法のうちの1つによって行うことができる。好ましい態様においては、AMIGOタンパク質がAMIGO標的分子に結合するか、または相互作用する能力の測定は、標的分子の活性を測定することによって行うことができる。例えば、標的分子の活性は、標的分子による細胞内第二メッセンジャー(即ち、細胞内カルシウムやIP3)の誘導の検出、適当な基質に対する標的分子の触媒活性/酵素活性の検出、(検出可能なマーカー、例えばルシフェラーゼ、をコードする核酸に発現可能な状態に結合した標的応答性制御エレメントを含有する)レポーター遺伝子の誘導の検出、または標的分子が制御する細胞応答(即ち、細胞の結合、付着、成長または遊走)を検出することによって測定する。
さらに別の態様においては、本発明のアッセイは細胞を用いないアッセイであって、該アッセイでは、AMIGOタンパク質またはその生物学的に活性な部位をテスト化合物と接触させ、テスト化合物がAMIGOタンパク質またはその生物学的に活性な部位に結合する能力を測定する。本発明のアッセイで用いるAMIGOタンパク質の生物学的に活性な部位の好ましい例としては、AMIGO、EGFRまたはAMIGOリガンドタンパク質との相互作用に関与する断片が挙げられる。これらの断片はAMIGOタンパク質またはEGFRタンパク質の細胞外領域を含有することが好ましい。
細胞を用いない本発明のアッセイは、単離AMIGOタンパク質またはその生物学的に活性な部位が可溶性の形態および/または膜に結合した形態のいずれにも適応可能である。膜に結合した形態のAMIGOタンパク質を用いる、細胞を用いないアッセイの場合には、単離AMIGOタンパク質の膜結合形態が溶液中において維持されるような可溶化剤を用いることが望ましい。このような可溶化剤の例としては、非イオン性界面活性剤、例えば、n−オクチルグルコシド、n−ドデシルグルコシド、n−ドデシルマルトシド、オクタノイル−N−メチルグルカミド、デカノイル−N−メチルグルカミド、Triton(登録商標)X-100、Triton(登録商標)X-114、Thesit(登録商標)、イソトリデシル、ポリ(エチレングリコールエーテル)n(Isotridecypoly(ethylene glycol ether)n)、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−1−プロパンスルホネート(3-[(3-cholamidopropyl)dimethylamminio]-1-propane sulfonate、CHAPS)、3−[(3−コールアミドプロピル)ジメチルアンモニオ]−2−ヒドロキシ−1−プロパンスルホネート(3-[(3-cholamidopropyl)dimethylamminio]-2-hydroxy-1-propane sulfonate、CHAPSO)およびN−ドデシル=N,N−ジメチル−3−アンモニオ−1−プロパンスルホネートが挙げられる。
AMIGOタンパク質に結合する化合物を同定するために用いるアッセイの原理には、AMIGOタンパク質とテスト化合物とを、これら2つの成分が相互作用し結合する条件下で結合に十分な時間反応させて反応混合物を調製し、その結果として反応混合物から除去および/または検出され得る複合体を形成することが含まれる。このアッセイは多様な方法で行うことができる。例えば、このようなアッセイを行うための一つの方法としては、AMIGOタンパク質またはテスト化合物を固相上に固定し、固相上に固定したAMIGOタンパク質/テスト化合物複合体を反応の終了時に検出する方法が挙げられる。このような方法の一つの態様としては、AMIGOタンパク質を固体表面に固定し、(固定されていない)テスト化合物を、本願明細書に記載した、当業者にはよく知られている検出可能な標識で直接的に、または間接的に標識することができる。
本発明の上記のアッセイ方法の多数の態様においては、AMIGO、EGFRまたはAMIGOリガンドのいずれかを固定化することによって、複合体を形成していない一方または両方のタンパク質からのタンパク質複合体の分離を容易にすると共に、アッセイの自動化に適応させることが望ましい。テスト化合物のAMIGOタンパク質への結合や、候補化合物の存在下および不在下におけるAMIGOタンパク質とAMIGO、EGFRまたはAMIGOリガンドとの相互作用は、このような反応物質を入れるのに適当ないかなる容器を用いても行うことができる。そのような容器の例としては、マイクロタイタープレート、試験管およびマイクロ遠心管が挙げられる。1つの態様においては、一方または両方のタンパク質をマトリクスに結合させるドメインを加えた融合タンパク質を提供することができる。例えば、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ/AMIGO融合タンパク質またはグルタチオン−S−トランスフェラーゼ/標的融合タンパク質は、グルタチオンセファロースビーズ(ミズーリ州、セントルイス、Sigma Chemical製)またはグルタチオン誘導マイクロタイタープレートに吸着させることができる。次いでこれらのビーズまたはプレートをテスト化合物と接触させるか、またはテスト化合物と吸着されていないAMIGO、EGFRまたはAMIGOリガンドタンパク質のいずれかと接触させ、得られた混合物を複合体が形成される条件下(例えば、塩濃度およびpHが生理的に適合した条件下)でインキュベートする。インキュベーションの後、ビーズまたはマイクロタイタープレートのウェルを洗浄してマトリクスに結合していない成分を除去するが、ビーズを用いた場合にはマトリクスを固定しておく。複合体の存在量は、例えば上述のようにして直接的または間接的に測定する。また、複合体はマトリクスから分離できるので、AMIGOの結合または活性のレベルは標準的方法を用いて測定する。
アッセイを行うために、固定化されていない成分を、固定された成分を含有するコーティングを施した表面に添加する。反応が完全に終了した後、形成されたいかなる複合体も固体表面に固定化されたままであるような条件下で、未反応成分を(例えば洗浄によって)除去する。固体表面に固定された複合体の検出は、多くの方法によって行うことができる。固定化前に成分が予め標識されている場合には、固体表面に固定化された標識の検出は、複合体が形成されたことを示す。固定化前に成分が予め標識されていない場合には、固体表面に固定された複合体を検出するために間接的な標識、例えば、固定化した成分に特異的な標識抗体を用いることができる(その後、この抗体は、例えば標識抗Ig抗体によって、直接的または間接的に標識することができる)。
1つの態様では、AMIGOタンパク質、EGFRまたはAMIGOリガンドとは反応するがAMIGOタンパク質のAMIGO、EGFRまたはAMIGOリガンドへの結合に干渉しない抗体を用いてアッセイを行う。そのような抗体をプレートのウェルに誘導化し、AMIGO、EGFRまたはAMIGOリガンドを抗体との結合によってウェルに捕える。このような複合体を検出するための方法としては、GST−固定化複合体を検出するための上記の方法以外に、AMIGO、EGFRまたはAMIGOリガンドと反応する抗体を用いる複合体の免疫検出、および、AMIGOタンパク質、EGFRまたはAMIGOリガンドに関連した酵素活性の検出に基づく酵素結合アッセイが挙げられる。
また、別の態様において、このアッセイは液相において行うことができる。そのようなアッセイにおいては、反応生成物は、未反応成分から、多くの標準的方法のいずれを用いることによっても分離される。標準的方法の例としては、分画遠心法、クロマトグラフィー、電気泳動および免疫沈降法が挙げられるが、これらに限定されるものではない。分画遠心法においては、一連の遠心工程を通して分子の複合体を、複合化していない分子から分離するが、この分離は、サイズおよび密度の違いに基づく複合体の沈降平衡の差によるものである(例えば、Rivas, G., および Minton, A. P., Trends Biochem Sci 1993 Aug;18(8):284-7を参照)。標準的なクロマトグラフィーもまた、複合化していない分子から複合化した分子を分離するために用いることができる。例えば、ゲル濾過クロマトグラフィーは分子をそのサイズに基づいて分離するが、カラムに充填した適当なゲル濾過樹脂を利用することによって、例えば、相対的に大きな複合体を相対的に小さな複合化していない成分から分離することができる。同様に、複合化していない分子とは比較的異なる複合体の電荷特性を、例えばイオン交換クロマトグラフィー樹脂を用いて、残存する個々の反応物質から複合体を分画分離するために利用することができる。このような樹脂とクロマトグラフィーを用いた手法は、当業者にはよく知られている(例えば、Heegaard, N. H., J Mol Recognit 1998 Winter; 11(1-6):141-8 および Hage, D. S., Tweed, S. A., J Chromatogr B Biomed Sci Appl 1997 Oct 10;699(1-2):499-525を参照)。ゲル電気泳動もまた、複合化分子を未結合分子種から分離するために用いることができる(例えば、Ausubel, F. et al. 編“Current Protocols in Molecular Biology (分子生物学最新プロトコール)”1999, J. Wiley: ニューヨーク州を参照)。この技術においては、タンパク質または核酸の複合体を、例えばサイズまたは電荷に基づいて分離する。電気泳動を行っている間も結合相互作用を維持するためには、還元剤の不在下で非変性ゲルを用いることが典型的には好ましいが、特定の相互作用物質に適する条件は当業者によく知られている。免疫沈降は、溶液からタンパク質−タンパク質複合体を単離するために用いられるもう1つの一般的な技術である(例えば、Ausubel, F. et al.編“Current Protocols in Molecular Biology (分子生物学最新プロトコール)”1999, J. Wiley: ニューヨーク州を参照)。この技術においては、遠心分離によって容易に回収することができるポリマービーズに、結合分子の1つに特異的な抗体を結合し、この抗体に結合するすべてのタンパク質を溶液中から沈殿させる。結合したタンパク質は、(複合体のタンパク質−タンパク質相互作用を妨害しない、特定のタンパク質分解反応または周知の技術により)ビーズから外し、第2の免疫沈降工程を実施する。このときには別の相互作用タンパク質に特異的な抗体を利用する。この方法では、複合体のみがビーズに付着したまま残るはずである。捕捉した複合体は、ゲル電気泳動を用いて視覚化することができる。(これらの手法のどれを用いても同定され得る)分子複合体の存在は、特異的な結合が生じたこと、および導入した化合物が標的タンパク質に特異的に結合することを示す。さらに、蛍光エネルギー転移もまた、ここに述べるように、複合体を溶液から、さらに精製せずに結合を検出するのに便利に用いることができる。
好ましい態様においてアッセイは、AMIGOタンパク質またはその生物学的に活性な部位を、AMIGOと結合する公知の化合物に接触させてアッセイ混合物を形成し、形成したアッセイ混合物をテスト化合物と接触させ、そしてテスト化合物がAMIGOタンパク質と相互作用する能力を測定することを包含する。テスト化合物がAMIGOタンパク質と相互作用する能力の測定は、公知の化合物に比べて、テスト化合物がAMIGOタンパク質またはその生物学的に活性な部位に優先的に結合する能力を測定することによって行う。さらに好ましい態様においては、AMIGOタンパク質またはその生物学的に活性な部位をAMIGOタンパク質と接触させ、テスト化合物がAMIGOタンパク質と相互作用する能力を既知のAMIGO:AMIGO相互作用と比較する。さらに好ましい態様においては、AMIGOタンパク質またはその生物学的に活性な部位をEGFRタンパク質と接触させ、テスト化合物がAMIGOタンパク質と相互作用する能力を既知のAMIGO:EGFR相互作用と比較する。
さらに別の態様において細胞を用いないアッセイは、AMIGOタンパク質またはその生物学的に活性な部位をAMIGOタンパク質と結合する公知の化合物と接触させてアッセイ混合物を形成し、形成したアッセイ混合物をテスト化合物と接触させ、そしてテスト化合物がAMIGOタンパク質と相互作用する能力を測定することを包含する。テスト化合物がAMIGOタンパク質と相互作用する能力の測定は、AMIGOタンパク質がAMIGO、EGFRまたはAMIGOリガンドに優先的に結合するか、または活性を制御する能力を測定することによって行う。
本発明のAMIGOタンパク質は、in vivoで、1つまたはそれより多くの細胞内または細胞外高分子(例えばタンパク質)と相互作用することができる。この点について説明する際には、そのような細胞内および細胞外高分子をここでは「結合パートナー」と称する。このような相互作用を妨害する化合物はAMIGOの活性を制御するのに有用である。このような化合物の例としては、抗体、ペプチドおよび低分子が挙げられるが、これらの分子に限定されない。この態様に用いる好ましいタンパク質は、本発明で同定したAMIGOタンパク質である。In vivoにおける相互作用を妨害する物質の探索という目的のために、別の態様においては、本発明は、テスト化合物がAMIGO、EGFRまたはAMIGOリガンドの下流に位置するエフェクターの活性を制御することで、AMIGOタンパク質の活性を制御する能力を測定するための方法を提供する。例えば、既に述べたように、AMIGO、EGFRまたはAMIGOリガンドに対するエフェクター分子の活性を測定したり、AMIGO、EGFRまたはAMIGOリガンドに対するエフェクター分子の結合を測定したりすることができる。
AMIGOとその細胞内または細胞外の少なくとも1つの結合パートナーとの相互作用に干渉する化合物を同定するために用いるアッセイシステムの基本原理には、AMIGOと結合パートナーが相互作用して結合し、そして複合体を形成するような条件下で十分な時間反応させて、AMIGOとその結合パートナーを含む反応混合物を得ることが含まれている。物質の阻害活性を試験するために、上記反応混合物を、テスト化合物の存在下および不在下で調製する。テスト化合物は初めから反応混合物に含まれていてもよいし、AMIGOおよびその細胞内または細胞外の結合パートナーの添加に続いて添加してもよい。対照の反応混合物は、テスト化合物の添加なしに、またはプラシーボを添加してインキュベートする。その後、AMIGOとその細胞内または細胞外の結合パートナーとの複合体の形成を検出する。複合体の形成がテスト化合物を含む反応混合物には見られないが、対照の反応混合物で見られるということは、テスト化合物がAMIGOとそれと相互作用する結合パートナーとの相互作用を妨害することを示す。なお、テスト化合物とAMIGOとを含む反応混合物における複合体の形成は、テスト化合物と変異AMIGOとを含む反応混合物における複合体の形成とも比較することができる。この比較は、変異AMIGOの相互作用を妨害するが、正常なAMIGOの相互作用は妨害しない化合物の同定が望ましい場合には重要となり得る。
AMIGOと結合パートナーとの相互作用に干渉する化合物のためのアッセイは、異質性のまたは同質性の形態で行うことができる。異質性のアッセイにおいては、AMIGOまたは結合パートナーのいずれかを固相に固定し、固相に固定された複合体を反応終了時に検出する。同質性のアッセイにおいては、反応全体を液相で行う。どちらのアプローチにおいても、試験する化合物に関する異なる情報を得るために、反応物質を添加する順序を替えることができる。例えば、AMIGOと結合パートナーとの相互作用に(例えば、競合によって)干渉するテスト化合物は、テスト物質の存在下で反応を行うことによって同定することができる、即ち、AMIGOおよび相互作用する細胞内または細胞外の結合パートナーの添加の前または同時に、テスト物質を反応混合物に添加することによって、テスト化合物を同定することができる。また、すでに形成されている複合体を壊すテスト化合物(例えば、複合体の成分の1つを置換するほど高い結合定数を有する化合物)を、複合体の形成後に反応混合物に添加することによって、テスト化合物を試験することができる。以下、このような各種形態について簡単に説明する。
異質性のアッセイシステムにおいては、AMIGOまたは相互作用する細胞内結合パートナーか細胞外結合パートナーを固体表面に固定し、固定しない分子種を直接的または間接的に標識する。実際には、マイクロタイタープレートを用いるのが簡便である。固定する分子種は、非共有結合または共有結合により固定化することができる。非共有結合は、単に、固体表面にAMIGOまたは結合パートナーの溶液を塗布して乾燥させることによって達成することができる。また、ある分子種を固体表面に固定するために、固定する分子種に特異的な抗体を固定化することもできる。このような表面は、予め調製し保存しておくことができる。
アッセイを行うために、固定化した分子種に対する結合パートナーを、テスト化合物を含有するコーティングまたは含有しないコーティングを施した固体表面に曝す。反応が完全に終了した後、未反応成分を(例えば洗浄によって)除去するが、形成されたいかなる複合体も固体表面に固定化されたまま残る。固体表面に固定された複合体の検出は、多くの方法で行うことができる。固定化しなかった分子種が予め標識されている場合には、固体表面に固定化された標識の検出は、複合体が形成されたことを示す。固定化しなかった分子種が予め標識されていない場合には、表面に固定された複合体を検出するために間接的な標識、例えば、初めに固定化しなかった分子種に特異的な標識抗体を用いることができる(その後、この抗体は、例えば、標識抗Ig抗体によって、直接的または間接的に標識することができる)。反応成分を添加する順序により、複合体形成を阻害するか、または形成された複合体を壊すテスト化合物を検出することができる。
また、反応を液相においてテスト化合物の存在下または不在下で行い、得られた反応生成物を未反応成分から分離し、そして複合体を検出することができる。検出には、例えば、溶液中で形成されたいかなる複合体も固定するための、結合成分の1つに特異的な固定化抗体や、固定化複合体を検出するための他の結合パートナーに特異的な標識抗体を用いることができる。また、反応物質を液相に添加する順序により、複合体を阻害するか、または形成された複合体を壊すテスト化合物を同定することができる。
本発明の別の態様においては、同質性のアッセイを用いることができる。このアプローチにおいては、AMIGOとそれと相互作用する細胞内または細胞外の結合パートナー産物との複合体を予め形成しておく。この複合体を調製する際には、AMIGOまたは結合パートナーのいずれか一方を標識するが、標識の発生するシグナルが複合体の形成によって消失するようにする(例えば、このアプローチを免疫アッセイに用いる米国特許第4,109,496号を参照)。予め形成しておいた複合体の分子種の1つと競合して該分子種を置換するテスト物質の添加は、バックグラウンド値を超えるシグナルの発生をもたらす。このようにして、AMIGOと細胞内または細胞外の結合パートナーとの相互作用を壊すテスト物質を同定することができる。
テスト化合物がAMIGOの発現を制御する能力を検出するためのアッセイ
別の態様においては、AMIGO発現の制御物質は、細胞を候補化合物と接触させ、細胞中のAMIGO mRNAまたはAMIGOタンパク質の発現を定量するという方法によって同定する。候補化合物の存在下におけるAMIGO mRNAまたはAMIGOタンパク質の発現レベルを、候補化合物の不在下におけるAMIGO mRNAまたはAMIGOタンパク質の発現レベルと比較する。その後、この比較に基づいて、候補化合物をAMIGO発現の制御物質として同定することができる。例えば、AMIGO mRNAまたはAMIGOタンパク質の発現が、候補化合物の不在下よりも候補化合物の存在下の方が高い(即ち、統計学的に有意に高い)場合は、候補化合物はAMIGO mRNAまたはAMIGOタンパク質の発現の促進物質と同定する。一方、AMIGO mRNAまたはAMIGOタンパク質の発現が、候補化合物の不在下よりも候補化合物の存在下の方が低い(即ち、統計学的に有意に低い)場合は、候補化合物はAMIGO mRNAまたはAMIGOタンパク質の発現の阻害物質と同定する。細胞におけるAMIGO mRNAまたはAMIGOタンパク質の発現レベルは、AMIGO mRNAまたはAMIGOタンパク質を検出するために、本願明細書に記載した方法によって定量することができる。
アッセイの組み合わせ
別の態様においては、本発明は、本願明細書に記載した2つ以上のアッセイの組み合わせに関する。例えば、制御物質は細胞を用いたアッセイまたは細胞を用いないアッセイで同定することができ、制御物質がAMIGOタンパク質の活性を制御する能力は、in vivoで、例えば、CNS疾患、あるいは細胞形質転換および/または神経系再生の動物モデルなどの動物で確認することができる。
本発明はさらに、上記のスクリーニングアッセイによって同定される新規な物質にも関する。したがって、本願で説明するように同定した物質を適切な動物モデルに用いることは本発明の範囲内である。例えば、本願で説明するように同定した物質(AMIGO制御物質、アンチセンスAMIGO核酸分子、AMIGO特異的抗体やAMIGOに対する結合パートナーなど)を動物モデルに用い、このような物質による治療の効果、毒性または副作用を決定することができる。また、本願明細書で説明するように同定した物質を動物モデルに用い、このような物質の作用メカニズムを決定することができる。さらに、本発明は、上記のスクリーニングアッセイによって同定される新規な物質を用いた、本願明細書に記載の治療剤にも関する。
アッセイの形態の選択は、主として、アッセイを行う感受性/耐性のタンパク質の性質および種類に基づく。当業者は、本発明で用いるタンパク質活性アッセイを本発明において同定する遺伝子に容易に適合させることができる。
診断
本発明はまた、生物学的試料中のAMIGOまたはその対立遺伝子変異体を検出するために用いる診断用のまたは予後予測用のキットに関する。このキットは、上述したAMIGO依存性の病態を診断するための手段、あるいはAMIGOの変異または機能不全が影響する病態に関する個体の疾病素質を評価するための手段を提供する。このキットは、生物学的試料中のAMIGOポリペプチドまたはAMIGO核酸(例えばAMIGO mRNA)を検出することができる標識化合物を含んでいてもよい。このキットはまた、AMIGO遺伝子またはその対立遺伝子変異体の少なくとも一部分に特異的にハイブリダイズすることができる核酸プライマーまたはプローブを含んでいてもよい。このキットは適当な容器に入れることができ、該キットを用いるための説明書を含むことが好ましい。
AMIGO結合分子の精製
本発明のさらに別の態様においては、AMIGOやAMIGO類似体は、AMIGOに結合する分子(受容体)の親和性精製に用いることができる。AMIGOは、精製のための好ましいリガンドである。簡単に言えば、この技術は、(a)AMIGOに対する精製すべき受容体が支持体に固定化したAMIGO上に選択的に吸着される条件下で、該受容体の原料を固定化したAMIGOに接触させ、(b)固定化したAMIGOとその支持体を、吸着されていない物質を取り除くために洗浄し、そして(c)固定化したAMIGOに吸着している受容体分子を溶離緩衝液で溶離して、AMIGOに結合するリガンドを得ることを包含する。親和性精製の特に好ましい態様においては、AMIGOは不活性で多孔性のマトリクスまたは樹脂(例えば、臭化シアンと反応させたアガロース)に共有結合している。ここで、特に好ましいのは、プロテインAカラムに固定化したAMIGOイムノアドヘシンである。次に、AMIGO受容体を含む溶液を、クロマトグラフィー材料に流す。AMIGO受容体はカラムに吸着し、溶離条件(例えば、pHまたはイオン強度)を変えることによってAMIGO受容体を溶離させる。
AMIGOに結合する分子を同定するための好ましい手法は、固相(例えば、アッセイプレートのウェル)に結合するキメラAMIGO(例えば、エピトープタグを付したAMIGOまたはAMIGOイムノアドヘシン)を用いる。所望により標識した(例えば、放射線標識した)候補分子の固定化したAMIGOへの結合を測定することができる。
トランスジェニック動物の作製
AMIGOをコードする核酸、好ましくはヒト以外の種(例えばマウスやラット)のAMIGOタンパク質をコードする核酸は、トランスジェニック動物または「ノックアウト」動物の作製に用いることができ、作製した動物は、治療に有用な試薬の開発やスクリーニングに役立てることができる。トランスジェニック動物(マウスなど)とは、トランスジーンを含有する細胞を有する動物であり、そのトランスジーンは、出生前段階、例えば胚の段階で該動物またはその祖先に導入されたものである。トランスジーンは、トランスジェニック動物の発生の出発点となる細胞のゲノムに組み込まれるDNAである。1つの態様においては、確立された技術を用いてAMIGOをコードするヒトおよび/またはマウスのcDNA、あるいはその適当な配列を、AMIGOをコードするゲノムDNAのクローニングに用い、得られたゲノム配列を、AMIGOをコードするDNAを発現する細胞を有するトランスジェニック動物の作製に用いることができる。トランスジェニック動物、特にマウスなどのトランスジェニック動物の作製法は当業界ではすでに一般的なものとなっており、例えば米国特許第4,736,866号および米国特許第4,870,009号に開示されている。典型的には、組織特異的エンハンサーを用いたAMIGOトランスジーンの導入のために特定の細胞を標的とすることにより、所望の治療結果が得られることがある。胚発生期に動物の生殖細胞系に導入した、AMIGOをコードするトランスジーンの複製物を含むトランスジェニック動物は、AMIGOをコードするDNAの発現増加効果を調べるのに用いることができる。このような動物は、例えばAMIGOが関与する疾患からの保護を与えると考えられる試薬のための実験動物として使うことができる。本発明のこのような態様に基づいて、上記試薬で動物を処置すると、トランスジーンを有する未処置の動物と比較してAMIGO関連疾患の発病率が低下するため、その疾患の治療に有効となる介入である可能性が示される。
トランスジーンが5’側にイントロンを含有し、かつそのイントロンが天然のイントロンであった場合、トランスジーンがより効率的に発現されることが現在よく知られている(Brinster et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:836-840 (1988) および Yokode et al., Science 250:1273-1275 (1990))。
生まれてきたトランスジェニックな動物(transgenic offspring)は、マイクロインジェクトしたトランスジーンの動物ゲノムへの組み込みを立証することで同定できるが、トランスジーンの組み込みは、テール部の短い部分からDNAを調製し、トランスジーンの存在をサザンブロット法(即ち、「テールブロット(Tail Blots)法」)で分析することが好ましい。プローブとして好ましいのは、マウスゲノムには存在せず、トランスジーン特有の配列として存在するトランスジーン融合構築物(transgene fusion construct)の断片である。また、トランスジーン内のコドンの天然配列を、同じペプチドをコードする異なる配列で置換することにより、DNAおよびRNAの解析の際に同定可能な特有の領域が得られる。この方法で同定されたトランスジェニック「ファウンダー」マウスを正常なマウスと交配してヘテロ個体を得、得られたヘテロ個体を戻し交配することでトランスジェニックマウスの系統を創生する。そして、系統が確立されホモ個体が現れるまで、各世代のマウスのテールブロットを行う。産生に成功したファウンダーマウスおよびその系統は、系統間でマウスゲノムに挿入されたトランスジーンの位置やコピー数が異なるため、トランスジーンの発現レベルには幅広い多様性が見られる。確立された各系統から選択した動物を生後2ヶ月の時点で殺し、トランスジーンの発現を、肝臓、筋肉、脂肪、腎臓、脳、肺、心臓、脾臓、生殖腺、副腎および腸由来のRNAのノーザンブロット法により分析する。
ノックアウト動物の作製
また、ヒト以外の動物種由来AMIGO相同体を、AMIGO「ノックアウト」動物(即ち、内因性AMIGO遺伝子と、動物の胚細胞に導入した改変ゲノムAMIGO DNAとの相同組換えの結果として、AMIGOをコードする遺伝子が欠陥を有するかまたは改変されている動物)の作製に用いることもできる。例えば、マウスのAMIGO cDNAを用い、確立された手法でゲノムAMIGO DNAをクローニングすることが可能である。つまり、ゲノムAMIGO DNAを欠損させたり、他の遺伝子(例えば組込みをモニターしたりするのに使うことのできる選択的マーカーをコードする遺伝子)などで置換することが可能である。典型的には、ベクターには数キロベースの非改変隣接DNA配列が(5’末端と3’末端の両方に)含まれている(相同組換えベクターに関する記載については、Thomas and Capecchi, Cell 51:503 (1987)等を参照のこと)。ベクターを胚性幹細胞系に(エレクトロポレーション法などで)導入し、導入したDNAが内因性DNAと相同組換えした細胞を選択する(例えば、Li et al., Cell 69:915 (1992)を参照)。続いて、選択した細胞を(マウスなどの)動物の胚盤胞に注入し、凝集キメラ(aggregation chimera)を形成する(Bradley, “Teratocarcinomas and Embryonic Stem Cells: A Practical Approach(奇形癌と胚性幹細胞:実践的アプローチ)”, E. J. Robertson編 (IRL, Oxford, 1987), pp. 113-152等を参照)。その後、適切な偽妊娠した代理母動物にキメラ胚を移植し、「ノックアウト」動物が生まれるようにキメラ胚を出産日まで育てる。性細胞に相同組換えDNAを有する、子供の「ノックアウト」動物は標準的な手法で同定することができ、また、全細胞が相同組換えDNAを有する動物を交配するために用いることができる。ノックアウト動物は、ヒトの神経学的な障害や欠陥を模倣するその能力によって特徴付けられる。
同等物
本明細書中ではある特定の態様を詳細に開示しているが、これはあくまで説明を目的とした実例として開示したにすぎず、添付の請求項に定義する本発明の請求の範囲を限定するものではない。特に、本発明者らは、請求の範囲に定義される本発明の精神および範囲を逸脱することなく、本発明の多様な置き換え、変更および改良をなし得ることを意図している。出発物質としての核酸、目的のクローン、ライブラリーの種類などの選択は、本明細書に開示する態様についての知識を有する当業者には慣例的な事項であると考える。本発明の他の態様、効果および改良に関しては、添付の請求項の範囲内にあるとみなす。
材料と方法

オーダード ディファレンシャル ディスプレイ法
Matz et al. (1997)の記載に従ってオーダード ディファレンシャル ディスプレイを行い、アンフォテリンマトリクス上に誘導した遺伝子とラミニンマトリクス上に誘導した遺伝子を対比した。18日齢のラット胚から海馬を切り取り、1mMのピルビン酸ナトリウムと10mMのHEPESを含有するpH7.4のハンクス平衡塩類溶液(CaとMgを含有しないHBSS、GIBCO BRL製)中で、パスツールピペットを用いて磨砕した。磨砕した海馬をHBSSで洗浄後、神経細胞培養用基礎培地(Neurobasal medium、GIBCO BRL製)に2%のB27サプリメント(GIBCO BRL製)、25μMのL−グルタミン酸(Sigma-Aldrich製)および1%のL−グルタミン(GIBCO BRL製)を添加したものに得られたニューロンを懸濁し、ニューロンをラミニン(10μg/ml、Sigma-Aldrich製)または組換えアンフォテリン(10μg/ml)を塗布した35mmのプラスチック板(Greiner製)あたり106細胞の密度で植え付けた。植え付けから24時間後にRNeasy mini kit(Qiagen製)を用いてRNAを単離し、得られたRNAをオーダード ディファレンシャル ディスプレイに使用した。
AMIGO、AMIGO2およびAMIGO3のcDNAのクローニング
ラットAMIGO cDNAの5’末端を、鋳型乗り換え効果(template-switching effect)とステップアウトPCRに基づいてMatz et al. (1999)の方法で増幅した。また、全長cDNAは、次のプライマーを用いたRT反応により生後14日齢のラットの大脳からクローニングした:5’プライマーは ACTGCTTCTCGCCTGGCCCGT であり、3’プライマーは GAACCTCCCCATCAGCCTATACTG であった。ヒトAMIGOおよびマウスAMIGOをクローニングするための配列を得るために、ラットAMIGO配列を用いてヒトESTおよびマウスESTを探索した。ヒトAMIGO cDNAは、次のプライマーを用いたRT反応によりTHP−1細胞系(ATCC #TIB-202)からクローニングした:5’プライマーは CAGAACATGCCCGGGTGAC であり、3’プライマーは GGACCAATTCCCTTGAGGTCAG であった。マウスAMIGO cDNAは、次のプライマーを用いたRT反応により、マウス成体の大脳からクローニングした:5’プライマーは ACTGCTTCTCGCCTGGCCCGT であり、3’プライマーは AACCTCCCCATCAGCCTACGCTG であった。関連性があると考えられる別の配列を発見するために、AMIGO配列を用いたBLASTによるホモロジー検索を行った。上記と同様に、ヒトAMIGO2 cDNAをHT1080細胞系(ATCC #CCL-121)からクローニングした。このときの5’プライマーは CTCAGAGGCGACCATAATGTC であり、3’プライマーは TGTTTATTTTGCAGACCACACAC であった。マウスAMIGO2 cDNAは、次のプライマーを用いてマウス成体の大脳からクローニングした:5’プライマーは CTCAGAGGCGACCATAATGTC であり、3’プライマーは GCGATGCTGAAGGCTAAGATG であった。ヒトAMIGO3 cDNAは、次のプライマーを用いてHEK293細胞系(ATCC #CRL-1573)からクローニングした:5’プライマーは CAACCTGCACAGAGCTGCTCTGTAC であり、3’プライマーは GCACAGTGCTTCCCACCAGTATCTG であった。マウスAMIGO3 cDNAは、次のプライマーを用いてマウス成体の小脳からクローニングした:5’プライマーは AGAAGTAGGTGAGTCTTGGAGCT であり、3’プライマーは TGTTGTGCAGGTAGAGCCTG であった。
RT−PCRおよび in situ ハイブリダイゼーション
総RNAの逆転写を、1μgのRNA、0.25mMのdNTP mix、1μgのランダムノナマー、20Uの組換えRnasin(Promega製)および200UのMMLV−RT(Promega製)と添付の1×MMLV反応緩衝液を含む反応混合物中で行った。得られた逆転写反応混合物を2μl用い、遺伝子特異的プライマーを用いたポリメラーゼ連鎖反応を行った。マウスAMIGOに対するプライマーは、5’プライマーが AGCAACATCCTCAGCTGCTCであり、3’プライマーが CTTCAGCTTGTTGGAGGACAG であった。マウスAMIGO2に対するプライマーは、5’プライマーが GGCACTTTAGCTCCGTGATGであり、3’プライマーが GTCTCGTTTAACAGCCGCTG であった。マウスAMIGO3に対するプライマーは、5’プライマーが AGGTGTCAGAGTCCCGAGTGであり、3’プライマーが GTAGAGCAACACCAGCACCA であった。対照のGAPDHに対するプライマーは、5’プライマーが CAACGACCCCTTCATTGACCであり、3’プライマーが AGTGATGGCATGGACTGTGG であった。
次に、PCR反応を行った。反応は、5’プライマーと3’プライマーを0.2μMずつと1単位のDYNAzyme II DNAポリメラーゼ(Finnzymes製)を含有するPCR mix(2.5μMのdNTP、10mMのTris−HCL(pH8.8)、150mMの塩化カリウム、1.5mMの塩化マグネシウムおよび0.1%のTriton X−100)中で行った。増幅産物は1.5% アガロースゲル上で分離し、エチジウムブロマイドで染色した。
放射線標識したプローブを用いた in situ ハイブリダイゼーション用に、マウスAMIGO cDNAの1.2kb断片を、次のプライマーを用いてPCRで増幅した:5’プライマーは CCGCTCGAGCCGGCCGATCTGTGGTTAG であり、3’プライマーは CGGAATTCTCACACCACAATGGGTCTATCAGA であった。得られた増幅産物をpGEM−Tベクターに連結した。In situ ハイブリダイゼーションは、公知の方法(Reponen et al., 1994)に従い、マウス胎児とマウス成体のパラフィン包埋組織切片に対して一本鎖RNAプローブを用いて行った。
AMIGO−Ig融合タンパク質の製造
マウスAMIGOの全細胞外コード領域を含む1180bpのBamHI断片を、次のプライマーを用いたPCRで増幅した:5’プライマーは CGGGATCCTAGGGTGACTCTCTCCCAGATCC であり、3’プライマーは CGGGATCCGTTGAGGGTGTCATGGTGTCC である。得られた増幅産物をpRMHA3−3c−FC−cDNAに連結した。Fugene6トランスフェクション試薬(ROCHE製)を用いて、AMIGO−Ig融合タンパク質プラスミドとハイグロマイシン耐性プラスミドであるp−COP−hygをショウジョウバエのS2細胞にコトランスフェクトした。3週間後、300μg/mlのハイグロマイシンB(Calbiochem製)による選択に付し、安定なAMIGO−Ig融合S2細胞のプールを振とうフラスコで培養し、500μMのCuSO4でタンパク質の発現を誘導した。6日間の培養後、プロテインAアガロース(Upstate製)を製造者の説明書に従って使用し、AMIGO−Ig融合タンパク質を培養上清から単離した。
抗体、ウェスタンブロット法および免疫組織染色
ウサギ抗AMIGOペプチド抗体を、合成ペプチドであるYAMGETFNET(マウスAMIGOの341〜350番目のアミノ酸およびラットAMIGOとヒトAMIGOの342〜351番目のアミノ酸に相当)に対し製造した。AMIGOへの抗体の結合を、組換えAMIGO−Ig融合タンパク質と脳粗抽出物を用いたウェスタンブロット法で検証した(下記参照)。抗体は、ラット以外の種に由来するAMIGOよりもラットAMIGOの方により強く特異的に結合したため(これは、免疫に用いたペプチド配列の近傍に位置するグリコシル化部位の種間における相違が原因だと考えられるが)、免疫組織染色による検出においては主としてラット試料を使用した。
最終濃度が83.3mg組織/mlのSDS抽出緩衝液(62.5mMのトリス、1.8%のSDS、7.75%のグリセロールおよび4.4%の2−メルカプトエタノール、pH6.8)となるように、ラット胚、新生ラットおよびラット成体の脳を抽出に付した。上記SDS抽出緩衝液を脳に加えた後に、抽出物を針に通して数回つぶした。抽出物を5分間の煮沸に2回付し、その後10,000×gで10分間遠心分離に付し、不溶性の物質を取り除いた。同じ湿重量の組織に相当する試料をウェスタンブロット法で分析した。ブロット後の膜をポンソー染色したところ、タンパク質の量は均一であることが確認された。
4〜15%のプレキャストゲル(Bio-Rad製)を、ウェスタンブロット法で行うSDS−PAGEに用いた。タンパク質は、セミドライブロット法でHybond(商標)ニトロセルロース膜(Amersham Pharmacia Bitech製)に転写した。ウサギ抗AMIGOペプチド抗体(1/1,000に希釈)とモノクローナル抗CNPase、クローン11−5B(Sigma製、1/1,500に希釈)を一次抗体として用いた。HRP結合ヤギ抗ウサギIgG(Bio-Rad製)とHRP結合ヒツジ抗マウスIgG(AP Biotech製)を二次抗体として用いた。これらの抗体複合体は、ECL(商標)試薬(AP Biotech製)で検出した。
AMIGOの免疫組織染色はパラフィン切片を用いて行った。つまり、ラット成体をCO2処理してから頚椎脱臼で殺し、4%パラホルムアルデヒドを含む氷冷したPBSで組織を固定し、得られた組織試料をパラフィンに包埋した。水和したパラフィン切片(厚さ4〜10μm)を1%過酸化水素のメタノール溶液で20分間インキュベートし、再びPBSで洗浄した。得られた切片を5%スキムミルク粉末のPBS溶液で1時間ブロッキングした。次いでこれら切片を、ブロッキング緩衝液で200分の1に希釈したウサギAMIGOペプチド抗血清と共に4℃で一晩インキュベートした。このような処理を施した切片をPBSで洗浄後、500分の1に希釈したHRP結合ヤギ抗ウサギ抗体(Biorad製)と共に室温で2時間インキュベートし、PBSで洗浄した後、発色基質であるアミノエチルカルバゾール(AEC、Sigma製)と共にインキュベートした。In vitro で培養した海馬ニューロンの免疫蛍光染色は、FITC結合ヤギ抗ウサギ二次抗体(Jackson lab製)を用いて行った。
神経突起伸長アッセイ
18日齢のラット胚から海馬を切り取り、CaとMgを含有しない磨砕用培地(1mMのピルビン酸ナトリウムおよび10mMのHEPESを含有するHBSS、pH7.4)に入れた。細胞を、ガラス製のパスツールピペットで25回ピペッティングすることにより分離し、CaおよびMg含有緩衝液(1mMのピルビン酸ナトリウムおよび10mMのHEPESを含有するHBSS+Ca+Mg、pH7.4)で一回洗浄した。洗浄した細胞は、テストタンパク質で被覆し、2%のB27サプリメント(GIBCO BRL製)、1%のBSA、0.5mMのL−グルタミン、25μMのL−グルタミン酸および1×ペニシリン−ストレプトマイシンを含む神経細胞培養用基礎培地(Neurobasal medium、GIBCO BRL製)を入れた96穴ポリスチレンディッシュのウェルに、密度が70,000細胞/cm2となるように植えた。細胞を加える前に、ディッシュをテストタンパク質のPBS溶液(3.125〜100μg/ml)で4℃で一晩被覆し、PBSで3回洗浄し、そして1% BSAのPBS溶液によるブロッキングを室温で1時間行った。神経突起伸長を計測する前に、細胞を24時間培養した。神経突起伸長を計測する際は、ランダムに選択した顕微鏡視野から生細胞の画像を撮り、生細胞の細胞体の2倍の長さの突起を神経突起とみなして計測した。神経突起伸長を定量するために、合計750個の細胞を示す15枚の画像(275μm × 225μm)を、被覆に用いたテストタンパク質(AMIGO−Ig融合物質またはFc対照基質)の全ての濃度について評価した。3つの独立した実験によるデータを収集した。
可溶性AMIGO−Ig融合タンパク質の効果を試験するために、ディッシュをAMIGO−Ig融合タンパク質(PBS中の濃度は12.5μg/ml)で4℃にて一晩被覆し、PBSで3回洗浄し、そして1% BSAのPBS溶液によるブロッキングを室温で1時間行った。細胞を、70,000細胞/cm2の密度で植え付け、神経突起伸長を計測する前に24時間培養した。3つの独立した実験において、上記のようにして計測を行った。合計750個の細胞を、溶液中のテストタンパク質(AMIGO−Ig融合タンパク質またはFc対照タンパク質)の全ての濃度について評価した。
In vitro における束形成のアッセイ
神経突起の束形成を、上述のように調製した海馬ニューロンを用いて研究した。96穴プレートをポリ−L−リシンで4℃にて一晩被覆し、PBSで3回洗浄し、そして1%BSAのPBS溶液で室温において1時間ブロッキングした。細胞は、無血清培地に密度が70,000細胞/cm2となるように植え付け(「神経突起伸長アッセイ」の項を参照)、AMIGO−Ig融合タンパク質溶液またはFc対照タンパク質溶液を加えた。AMIGO−Ig融合タンパク質とFc対照タンパク質は3.25〜25μg/mlで試験した。実験は独立に3回行い、培養開始から4日後に生細胞の写真を撮影した。神経突起の伸長を定量するために、AMIGO−Ig融合タンパク質溶液およびFc対照タンパク質溶液の各濃度について、12枚のランダムに取り出した画像(45μm×35μm)を撮影した。束形成の阻害を評価するために、試験した各タンパク質濃度について撮影した12枚の画像より、(1〜3本の神経突起だけで形成される)直径2μm未満の細胞突起の長さの合計を計測した。
神経突起の伸長および束形成の実験においては、写真はオリンパス製DP10デジタルカメラを用いて撮影し、計測はImage−Pro画像解析ソフトを用いて行った。
結合アッセイ
共免疫沈降実験は一過性トランスフェクションに付したHEK293T細胞を用いて行った。構築物は、FUGENE6(ROCHE製)を用いて製造者の説明書に従って細胞にトランスフェクトした。全長AMIGOは、pEGFP−N1ベクター(Clontech製)およびpcDNA6−V5−Hisベクター(Invitrogen製)を用い、読み枠に合わせてクローニングした。全長RAGEはpcDNA6−V5−Hisベクターを用いて読み枠に合わせてクローニングした。トランスフェクション後、細胞を48時間培養し、10mg/mlのPMSFと60μg/mlのアプロチニン(SIGMA製)を含むRIPA緩衝液中で溶解した。共免疫沈降実験は、ウサギ抗GFP抗体(sc−8334、Santa Cruz製)とマウス抗V5抗体(46−0705、Invitrogen製)を1μg/mlの濃度で用いて行った。
凝集アッセイは、プロテインAフルオレスブライトカルボキシル基導入ビーズ(サイズ:1μm、Polysciences製)を用いて行った。ビーズ(100μg)を最初に2%BSAと0.1%Tween20を含有するPBS溶液を用いて3回洗浄し、洗浄したビーズを上記緩衝液50μlと混合し、水浴中で超音波処理した。ビーズを2つに分け、試験タンパク質および対照タンパク質(各10μg)をそれぞれ2%BSAと0.1%Tween20を含有するPBS溶液25μlとしてビーズに加えた(最終体積はそれぞれ50μl)。タンパク質の添加後の様々な時間において、サンプル2μlを、2%BSAと0.1%Tween20を含有するPBS溶液100μlの入った96穴プレートのウェルに加えた。プレートを室温でインキュベートし、蛍光顕微鏡を用いて凝集を評価した。ビーズ凝集の動態は、3つの独立した実験により得た、それぞれ1,500個のビーズを含む12個の顕微鏡視野より計算した。ビーズ凝集の程度は、Nt/N0を指標として表す。ここで、NtおよびN0はそれぞれ、インキュベーション時間tおよび0における粒子の総数を表す(Agarwala et al., 2001)。
AMIGOおよびAMIGO2のEGFRとの共免疫沈降
共免疫沈降実験は、安定なEGFR発現HEK293細胞を用いて行った。構築物は、FUGENE6(ROCHE製)を用いて製造者の説明書に従って細胞にトランスフェクトした。AMIGO、AMIGO2とAMIGO3のそれぞれの全長と細胞外領域(EC領域)を、pcDNA6−V5−Hisベクター(Invitrogen製)を用いて読み枠に合わせてクローニングした。トランスフェクション後、細胞を48時間培養し、10mg/mlのPMSF、60μg/mlのアプロチニン(SIGMA製)と1mMのEDTAを含むRIPA緩衝液中で細胞を溶解した。共免疫沈降実験は、ウサギ抗EGFR抗体(Santa Cruz製)とマウス抗V5抗体(46−0705、Invitrogen製)を1μg/mlの濃度で用いて行った。
EGFRリン酸化実験
EGFRリン酸化実験は、HEK293T細胞を用いて行った。構築物は、FUGENE6(ROCHE製)を用いて製造者の説明書に従って細胞にトランスフェクトした。全長AMIGO、全長AMIGO2および全長AMIGO3を、pcDNA6−V5−Hisベクター(Invitrogen製)を用いて読み枠に合わせてクローニングした。全長ヒトEGFRは、C末端Flagタグと共にpcDNA6ベクター(Invitrogen製)にクローニングした。0.3μgのEGFRプラスミドを、1.7μgのAMIGOプラスミド、AMIGO2プラスミド、AMIGO3プラスミドまたは対照のプラスミド(pcDNA6−V5−His、Invitrogen製)と共に6cmプレートで50%コンフルエントに達した細胞にトランスフェクトした。トランスフェクションから24時間後、細胞に血清欠乏処理を4時間施した。50ng/mlのEGFを37℃で5分間与えることにより、EGFRの自己リン酸化を誘導した。細胞を溶解し、抗リン酸化チロシン抗体(クローンPY20)で免疫沈降を行った。抗Flagタグ抗体(クローンM2)を用いた細胞の免疫沈降も行った。抗リン酸化チロシン免疫沈降物のサンプルを、抗Flagタグ抗体を用いたウェスタンブロット法により検出し、サンプル間のEGFRリン酸化の違いを調べた。また、抗Flagタグ免疫沈降物のサンプルを、抗リン酸化チロシン抗体を用いたウェスタンブロット法により検出し、サンプル間のEGFRリン酸化の違いを調べた。
AMIGO、AMIGO2およびAMIGO3のホモフィリックな結合およびヘテロフィリックな結合
共免疫沈降実験は一過性トランスフェクションに付したHEK293T細胞を用いて行った。構築物は、FUGENE6(ROCHE製)を用いて製造者の説明書に従って細胞にトランスフェクトした。AMIGO、AMIGO2とAMIGO3のそれぞれの全長と細胞外領域(EC領域)を、pEGFP−N1ベクター(Clontech製)またはpcDNA6−V5−Hisベクター(Invitrogen製)を用いて読み枠に合わせてクローニングした。全長RAGEはpcDNA6−V5−Hisベクターを用いて読み枠に合わせてクローニングした。トランスフェクション後、細胞を48時間培養し、10mg/mlのPMSFと60μg/mlのアプロチニン(SIGMA製)を含むRIPA緩衝液中で溶解した。共免疫沈降実験は、ウサギ抗GFP抗体(sc−8334、Santa Cruz製)とマウス抗V5抗体(46−0705、Invitrogen製)を1μg/mlの濃度で用いて行った。
AMIGO、AMIGO2およびAMIGO3のノックアウト構築物
AMIGO遺伝子ターゲティングのために、マウスファージライブラリー(129SV株)から得たゲノムDNA断片を用いて置換ベクターを構築した。次の仕立てた(tailored)PCRプライマーを用いて、β−ガラクトシダーゼ遺伝子をAMIGO遺伝子プロモーターの下流に挿入し、AMIGO遺伝子の全コード領域を置換した:5’プライマーは GCGGCCGCTCAGGGCCCACGGTTTCTGCAG(NotIサイトを有する)であり、3’プライマーは GGCGCGCCACTGGGAAGAGVGAGGAAGGCCAC(AscIサイトを有する)であった。陽性の選択のために、β−ガラクトシダーゼ遺伝子の後ろにネオマイシン耐性遺伝子をクローニングした。3’末端相同アームをKpnI/NcoI断片(NcoI末端は平滑)としてベクターに挿入した。相同組換えアームの長さについては、5’アームが9.9kbであり、3’アームが2.0kbであった。
AMIGO2遺伝子ターゲティングのために、マウスファージライブラリー(129SV株)から得たゲノムDNA断片を用いて置換ベクターを構築した。次の仕立てたPCRプライマーを用いて、ヒト胎盤アルカリホスファターゼ遺伝子をAMIGO2遺伝子プロモーターの下流に挿入し、AMIGO2遺伝子の全コード領域を置換した:5’プライマーは TAAACTAGCGGCCGCTCATGGAGGCTCACCCATGGAC(NotIサイト有する)であり、3’プライマーは AGATATGGCGCGCCGGTCGCCTCTGAGTCTCTTGCCAG(AscIサイトを有する)であった。陽性の選択のために、ヒト胎盤アルカリホスファターゼ遺伝子の後ろにネオマイシン耐性遺伝子をクローニングした。3’末端相同アームをBamHI/HindIII断片(HindIII末端は平滑)としてベクターに挿入した。相同組換えアームの長さについては、5’アームが3.0kbであり、3’アームが3.0kbであった。
AMIGO3遺伝子ターゲティングのために、マウスファージライブラリー(129SV株)から得たゲノムDNA断片を用いて置換ベクターを構築した。次の仕立てたPCRプライマーを用いて、EGFP遺伝子をAMIGO3遺伝子プロモーターの下流に挿入し、AMIGO3遺伝子の全コード領域を置換した:5’プライマーは ACCTTAATTAACCAGATGGCTTCTTCTTTC(PacIサイトを有する)であり、3’プライマーは AGATATGGCGCGCCAGTGACTACCAGGGAAGAT(AscIサイトを有する)であった。陽性の選択のために、EGFP遺伝子の後ろにネオマイシン耐性遺伝子をクローニングした。3’末端相同アームをBamHI断片としてベクターに挿入した。相同組換えアームの長さについては、5’アームが3.5kbであり、3’アームが2.6kbであった。
標準的な方法で、PBS中に懸濁したR1マウス胚性幹細胞に、線状化した(AMIGOはNotIで、AMIGO2はNotIで、AMIGO3はPacIでそれぞれ線状化した)ターゲティングベクター20μgをGene Pulser(240Vおよび500μF)(BioRad製)を用いてエレクトロポレーションにより導入した。300μg/mlのG418(Gibco製)を用いてトランスフェクトされた細胞を選択した。エレクトロポレーションから9〜11日後に100〜400個のクローンを選び、ネオマイシン耐性遺伝子と標的遺伝子座の外側の配列に対するプライマーを用いたPCR増幅によって、相同組換えを有する耐性クローンを同定した。PCRの結果は、標的遺伝子座の外側の配列に対するプローブを用いたサザンブロット法により確認した。
標準的な方法により、選択した胚性幹細胞を凝集させてICRマウス桑実胚とし、凝集物を偽妊娠代理母に移した。キメラである確率の高いオスをメスのICRマウスと交配してヘテロ個体の子を得、ヘテロ個体の子同士を交配してホモ個体の変異マウスを得た。遺伝子タイピングのために、プロテインK消化とイソプロパノール沈降によりゲノムDNAを尾の生検材料から分離した。慣例的な遺伝子タイピングの方法として、PCR増幅を行った。PCR増幅においては、1回目の反応系には、無傷のAMIGO、AMIGO2またはAMIGO3の遺伝子座からのみの(即ち、その遺伝子の内側から)生成物を増幅するオリゴ核酸が含まれている。2回目のPCR反応系には、標的遺伝子座からのみ生成物を増幅するオリゴ核酸が含まれている(一方のオリゴ核酸はネオマイシン遺伝子から、他方のオリゴ核酸はターゲティングに用いた3’相同アームから増幅する)。
これらのAMIGO、AMIGO2とAMIGO3の一重ノックアウトマウス株を用い、二重ノックアウトマウス株(ΔAMIGO/ΔAMIGO2;ΔAMIGO/ΔAMIGO3;ΔAMIGO2/ΔAMIGO3)と三重ノックアウトマウス株(ΔAMIGO/ΔAMIGO2/ΔAMIGO3)を標準的な交配方法により得た。変異マウスの遺伝子型は、一重ノックアウト株と同じPCR反応により確認した。
AMIGO−Ig融合トランスジェニック動物
マウスAMIGO細胞外領域をコードするDNA領域を、BamHI含有上流プライマーである CGGGATCCTAGGGTGACTCTCTCCCAGATCC とBamHI含有下流プライマーである CGGGATCCGTTGAGGGTGTCATGGTGTCC を用い、マウスAMIGO cDNAからPCRにより増幅した。発現ベクターであるpRMHA3−3c−FCに、ヒトIgG FC部位と共にPCR断片を読み枠に合わせてクローニングした。IgG FC部位と融合したマウスAMIGO細胞外領域をコードするDNA領域を、NotI含有上流プライマーである ATAAGAATGCGGCCGCCAATGTGCATCAGTTGTGGTCAG とXbaI含有下流プライマーである GCTCTAGACGTGCCAAGCATCCTCGTGCGAC を用いてPCRにより増幅した。PCR断片はベクターであるpsisGIにクローニングした。得られたプラスミドにおいては、AMIGO−Ig融合物の読み枠はPDGFβプロモーターの制御下に位置し、このフレームにウシ成長ホルモンのポリアデニル化シグナル配列を加えた。構築物は、C57BL/6株の排卵過度にしたメスから得た卵母細胞の受精前核に注入した。トランスジーンの組込み(transgene integration)は、サザンブロット法およびテールDNAのPCR解析により決定した。トランスジェニック系統を確立するために、ファウンダーをC57BL/6マウスと交配した。
AMIGOタンパク質、AMIGO2タンパク質またはAMIGO3タンパク質による再生実験
脊髄損傷およびAMIGO、AMIGO2またはAMIGO3の送達は以下のように行なうことができる。メスのBALB−cマウス(n=70)に、0.4ml/kgのハイプノームと5mg/kgのジアゼパムで麻酔をかける。鋭い骨鉗子で骨を除去し、胸髄部分を露出させ、T7レベルで背側部過片側切除(dorsal over-hemisection)した。鋭利な鋏を用いて脊髄の背側を切り、損傷が脊髄の中心管を越えて及ぶように2回目は鋭利なナイフで切る。薬物送達システムSABER(DURECT Corporation製)を製造者の説明書に従って用い、AMIGO−Ig融合タンパク質、AMIGO2−Ig融合タンパク質またはAMIGO3−Ig融合タンパク質をSABER溶液に1〜100mg/mlの濃度で添加する。対照として、第2群の動物にPBS緩衝液を含むSABER溶液を投与し、第3群には何も処理を施さない。再切断は、脊髄損傷から3週間後、上記で説明したように脊髄のT6位を切り、BBB運動機能評価スケール(Basso-Beattie-Bresnahan locomotor rating scale)を用いて2回目の手術から1日後、2日後および6日後に動物を試験する。また、後述するように、Ig融合タンパク質をAMIGO細胞外ドメインに置き換えて実験する。
AMIGO、AMIGO2またはAMIGO3の可溶性細胞外ドメインを用いた軸索再生実験
脊髄背側部片側切除術(spinal cord dorsal hemisection)および皮質脊髄繊維の追跡(corticospinal fiber tracing)には、GrandPre et al. (2002)の記載を採用した。Nogo-66受容体の拮抗物質であるペプチドは軸索再生を促進する(Nature 417: 547−551)。メスの成体マウス C57BL/6(8〜10週齢)に、筋内にケタミン(100mg/kg)と腹腔内にキシラジン(15mg/kg)を投与し深く麻酔をかける。完全な椎弓切除を行い、脊髄の背側部をT6レベルおよびT7レベルで完全に露出させる。皮質脊髄路の背側部を切断するために、脊髄の背側半分をマイクロシザー(microscissors)で切り、11番の刃(number 11 blade)の鋭利な部分を脊髄の背側半分に渡らせて損傷の深さ(およそ1.0mm)を確かなものにする。背側脊髄を片側切除した後、浸透圧ミニポンプ(Alzet model 2002、カリフォルニア州、マウンテンビュー、Alza製)を移植し、皮下腔に試薬を送達するために配置する。ミニポンプの出口に接続したカテーテルを、髄膜の小さい穴を通して、T7レベルの脊髄の髄腔内に挿入する。ミニポンプを、ベヒクル(97.5% PBS+2.5% DMSO)、あるいは可溶性のAMIGO、AMIGO2および/またはAMIGO3の細胞外ドメインを含有する上記のベヒクルの溶液で満たす。ベヒクル、あるいは可溶性のAMIGO、AMIGO2および/またはAMIGO3を、約0.6μl/時間の流速で14日間連続的に送達する。この時、可溶性のAMIGO、AMIGO2および/またはAMIGO3の細胞外ドメインの投与量は、2.0mg/kg/日、7.5mg/kg/日および15.0mg/kg/日である。脊髄を損傷させずに可溶性のAMIGO、AMIGO2および/またはAMIGO3の細胞外ドメインを投与するマウスにも、椎弓切除およびミニポンプの設置を同様のやり方で行う。損傷から2週間後、下肢の感覚運動皮質を覆う頭蓋骨の各側に穿頭孔(burr hole)を作る。順行性神経トレーサー(anterograde neuronal tracer)であるビオチン デキストラン アミン(BDA、PBSに10%含有)を頭蓋骨の各側の皮質表面から0.5〜0.8mmの深さに、4箇所の注入部位から注入する。BDA注入から2週間後、マウスをPBS、次いで4%パラホルムアルデヒドの灌流によって殺す。損傷部位から吻側6mmの地点から尾側6mmの地点にわたる脊髄を振動刃ミクロトーム(vibrating microtome)を用いて傍矢状に(50μm)切断する。横断面は損傷部位から吻側8〜12mmの地点と損傷部位から尾側8〜12mmの地点にわたる脊髄から採取する。得られた断面を、アビジン−ビオチン−ペルオキシダーゼ複合体と共にインキュベートし、再生した軸索を追跡するためのBDAトレーサーを、ニッケルで増強したジアミノベンジジン HRP反応により視覚化する。行動(bevioral)分析のために、ベヒクルで処置したマウスと可溶性のAMIGO、AMIGO2またはAMIGO3の細胞外ドメインで処置したマウスとを、Basso et al.(1995) “A sensitive and reliable locomotor rating scale for open field testing in rats(ラットのオープンフィールド試験のための高感度で正確な運動機能評価スケール)”. Neurotrauma 12, 1-21.に記載の、BBB運動機能評価スケールを用いて比較する。
可溶性のAMIGOタンパク質、AMIGO2タンパク質およびAMIGO3タンパク質による、CNSにおけるグリア性瘢痕形成の阻害
大脳皮質の定位的破壊(stereotactic lesioning)および脳質内カニューレ挿管はLogan et al., 1994に従って行うことができる。200g〜250gのメスの成体ウィスター系ラットを、各5匹からなる2つの処置群に分け、(i)群には30μg/10μl/日のFc対照タンパク質の生理食塩水溶液を投与し、(ii)群には30μg/10μl/日のAMIGO−Ig融合タンパク質、AMIGO2−Ig融合タンパク質および/またはAMIGO3−Ig融合タンパク質の生理食塩水溶液を投与する。実験0日目には、定位的に決めた片側切開性破壊(unilateral incisional lesion)を大脳皮質から側脳室へ行い、同時に、同側の脳室内へのカニューレの永久的な設置を行う。試薬(10μl)を、ハロタン麻酔下で上記のカニューレを介した脳室内注入により破壊部位へ14日間毎日灌流する。破壊の14日後、ラットを殺し、破壊部位の免疫組織染色による分析のためにその脳を処理する。別の方法としては、Fcドメインに対する免疫応答を避けるために、Fc−融合タンパク質をAMIGO細胞外ドメインで置き換える。したがって、各5匹からなる処置群は、次の(i)または(ii)の投与を受ける:(i)10μl/日のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)投与、そして(ii)30μg/10μl/日の、AMIGO、AMIGO2またはAMIGO3の可溶性細胞外ドメインを含有するリン酸緩衝生理食塩水の投与。
AMIGO、AMIGO2またはAMIGO3の可溶性細胞外ドメインの使用による腫瘍転移の制御
腫瘍転移制御のアッセイは、以下のように行うことができる。マウス ルイス肺癌細胞を6〜8週齢のオスのC57BL/6Jマウス(メイン州、バーハーバー、Jackson Laboratoriesより購入)の背側中線に注射する。腫瘍体積が1,500mm3となった時点(14日目)で一次腫瘍を外科的に切除する。一次腫瘍の切除前の3日間は、マウスにAMIGO−Ig融合タンパク質、AMIGO2−Ig融合タンパク質またはAMIGO3−Ig融合タンパク質、あるいは対照Fc−部分タンパク質を1日1回投与する。切除後21日目には、肺の重量を量り、肺表面の転移の数を、インディアインク(15%)を気管内注射した後にオリンパス顕微鏡を用いて4倍の倍率で観察して求める。別の方法として、Liao et al. (2000)に記載の動物実験が挙げられる。肺転移モデルを作製するために、C57BL/6Jマウス(メイン州、バーハーバー、Jackson Laboratoriesより購入)に、1×105細胞のマウス ルイス肺癌細胞を肉球内注射する。肉球の腫瘍が直径5mmに達した時点で、腫瘍を有する脚を外科的に結紮する。それからマウスを2群に分け、ベヒクル(リン酸緩衝生理食塩水)、あるいはベヒクルとAMIGO、AMIGO2またはAMIGO3の可溶性細胞外ドメインのいずれかを、3週間にわたり3日毎に約20〜30mg/kg/1回の用量で注射する。肺の重量を量り、肺表面の転移の数を、インディアインク(15%)を気管内注射した後にオリンパス顕微鏡を用いて4倍の倍率で観察して求める。
AMIGO、AMIGO2またはAMIGO3の可溶性細胞外ドメインによる局所腫瘍増殖の阻害
ラットC6グリオーマ細胞を、4〜6週齢のメスのNCR免疫無防備状態マウス(ニューヨーク州、ジャーマンタウン、Taconic Farmsより購入)の背側中線に注射する。別の方法として、ラットC6グリオーマ細胞を、メスの重症複合免疫不全のマウス(severe combined immunodeficiency、SCID;Taconic Farmsより購入)の背側中線に注射する。ラットC6グリオーマ細胞の注射後、AMIGO−Ig融合タンパク質、AMIGO2−Ig融合タンパク質またはAMIGO3−Ig融合タンパク質、あるいは対照Fc−部分タンパク質を免疫無防備状態の(無胸腺症ヌード)マウスに、1日1回投与する。21日目に腫瘍をカリパスで測定し、体積を次の式から計算する:V=π×h(h2+3a2)/6(式中、hは腫瘍部分の高さであり、aは(腫瘍の長さ+腫瘍の幅)/4であり、そしてVは腫瘍の体積である)。腫瘍組織を回収し、ホルマリン(10%)中で固定し、パラフィン包埋切片を調製する。別の方法として、ヒトA431扁平上皮細胞癌異種移植片は、0.5〜2×106細胞のヒトA431扁平上皮癌細胞を6〜8週齢の無胸腺ヌードnu/nuマウスの背側脇腹に皮下移植することで調製した。ヒトA431扁平上皮癌細胞の移植後、免疫無防備状態の(無胸腺症ヌード)マウスに、AMIGO−Ig融合タンパク質、AMIGO2−Ig融合タンパク質またはAMIGO3−Ig融合タンパク質、あるいは対照Fc−部分タンパク質を(1回あたり約10〜40mg/kg)を1日1回投与する。21日目に腫瘍をカリパスで測定し、体積を次の式から計算する:V=π×h(h2+3a2)/6(式中、hは腫瘍部分の高さであり、aは(腫瘍の長さ+腫瘍の幅)/4であり、そしてVは腫瘍の体積である)。腫瘍組織を回収し、ホルマリン(10%)中で固定し、パラフィン包埋切片を調製する。
可溶性のあるいは全長のAMIGO、AMIGO2またはAMIGO3による、レンチウイルス仲介遺伝子送達による腫瘍形成の抑制
動物実験には、Reed et al. (2002) “Suppression of tumorigenicity by adenovirus-mediated gene transfer of decorin(デコリンのアデノウイルス仲介遺伝子送達による腫瘍形成の抑制)”. Oncogene 21:3688-95 の記載を採用した。ヒトWiDr結腸細胞癌異種移植片およびヒトA431扁平上皮細胞癌異種移植片は、6〜8週齢の無胸腺ヌードnu/nuマウスに0.5〜2×106細胞の癌細胞を背側脇腹に皮下移植することで調製した。2〜3日毎にマウスを注意深く検査し、いかなる腫瘍もマイクロカリパスを用いて測定し、その増殖を次の式によって求める:V=a(b2/2)(式中、aは腫瘍の長径を表し、bは短径を表す)。腫瘍の長径が2〜3mmに達した時点で、マウスの腫瘍に直接注射液を注射し、さらに計3回の注射を1回目の注射から2、4および6日後に行う。注射液は複製能力のないレンチウイルス(4×107の毒素単位を含有する約50μl)を含み、このレンチウイルスは、空のウイルスか、AMIGO、AMIGO2またはAMIGO3の全長遺伝子または可溶性細胞外ドメイン遺伝子を有するウイルスである。スチューデントの両側t−検定(Student's two-sided t-test)を、処置したサンプルから得られた数値と対照サンプルから得られた数値との比較に用いる。P<0.05の数値を有意と見なす。
動物は、実験の最後に(処置方法や移植片の大きさにより、19日目〜58日目の間に)殺し、それぞれの腫瘍を注意深く解剖する。腫瘍は10%の緩衝化ホルムアルデヒド中で固定し、パラフィンに包埋し、慣行的な組織学的分析のために処理する。腫瘍異種移植片の増殖の指標を定めるために、Ki-67マーカーに陽性の腫瘍細胞核のパーセンテージを動物1匹あたり10個の高倍率(400倍)の顕微鏡視野から概算する。
結果

ロイシン−リッチリピートと免疫グロブリンドメインからなる縦列配列を包含する、膜貫通型タンパク質の新規なファミリー(AMIGO、AMIGO2およびAMIGO3)の同定およびクローニング
オーダード ディファレンシャル ディスプレイ(ODD;Matz et al., 1997)を、ニューロン中のアンフォテリン誘導性遺伝子の探索に用いた。アンフォテリンとラミリンで被覆したプレート上で生育した18日齢ラット胚の海馬ニューロンのODDによる比較により、アンフォテリン上でより強く発現されている転写産物の存在が明らかになった(図1、パネルA)。このような発現の相違は、RT−PCRでも確認した(図1、パネルB)。
この部分転写物の配列は、これまでクローニングされたいかなる遺伝子とも相同性を示さなかった。5’RACE法(Matz et al., 1999)を用いて、全長コード配列をコードするcDNAをクローニングした(図2、パネルA)。この発現量の異なる遺伝子をAMIGO(AMphoterin Induced Gene and Orphan receptor、即ち、「アンフォテリン誘導性遺伝子とオーファン受容体」)と命名した。疎水性プロファイル解析(Nielsen et al., 1997; ソフトウェア SignalIP V2.0.b2)によって、AMIGOのタンパク質配列にはシグナル配列および膜貫通領域と推定されるものが含まれることが明らかになった。演繹したAMIGOタンパク質の細胞外領域には、6個のロイシン−リッチリピート(LRR)および1個の免疫グロブリンドメインが含まれている。このタンパク質の演繹した細胞質内領域には、公知のドメインは含まれていない。
ラットAMIGO配列およびEST配列のデータを用いた5’RACE法により、ヒトとマウスのAMIGO相当物もクローニングした。ラットAMIGOとマウスAMIGOとのアミノ酸レベルの同一性は95%であり、マウスAMIGO配列は、ヒトAMIGOと89%同一である。細胞外領域では、マウスAMIGOとヒトAMIGOとの間で最も保存性の高いモチーフは、N末端のシステイン−リッチドメインとLRR 1〜3である。興味深いことに、膜貫通ドメイン全体および細胞質内テールはマウスAMIGOとヒトAMIGOとで100%同一である。
ホモロジー検索を用いて、AMIGOに対して相同性を示すが同一ではないESTを検出した。このEST配列を用いて、2種の他の新規なタンパク質をクローニングし、便宜上、AMIGO2およびAMIGO3と命名した。演繹したアミノ酸配列から、AMIGO2とAMIGO3がAMIGOと同じドメイン構成を有すること、即ち、分泌のためのシグナル配列と推定されるもの、ならびにシステイン−リッチLRR NTドメインとシステイン−リッチLRR CTドメインがN末端側とC末端側に隣接している6個のLRRを含有することが明らかになった。AMIGOと同様に、演繹したAMIGO2とAMIGO3の細胞外領域は膜貫通ドメイン近傍に免疫グロブリンドメインを含有する(AMIGO、AMIGO2およびAMIGO3の概略図は図2のパネルBを参照)。
アミノ酸レベルでは、AMIGOとAMIGO2との類似性は48%であり、AMIGOとAMIGO3との類似性は50%であり、AMIGO2とAMIGO3との類似性は48%である。AMIGO、AMIGO2およびAMIGO3のアライメントから、これらの3種のタンパク質間で最も保存性の高い領域はLRR、膜貫通領域、および細胞質内テールのいくつかの部分であることが分かる(図2、パネルA)。3種のAMIGOで見出されたLRRは LX2LXLX2NX(L/I)X2aX4(F/L/I)(「a」は脂肪族残基であり、「X」はいかなるアミノ酸でもよい)というモチーフで表すことができる。このモチーフは、動物性タンパク質の細胞外領域にしばしば見られる典型的なLRR配列に類似している(Kajava, 1998)。
遺伝子ファミリーメンバーの成体組織における発現
成体マウス組織のRT−PCR分析(図3)により、AMIGOは、主として神経系組織(小脳、大脳および網膜)で発現しているが、肝臓、腎臓、小腸、脾臓、肺および心臓にも低い発現がいくらか見られることが明らかになった。AMIGO2の発現は小脳、網膜、肝臓および肺で最も顕著である。大脳、腎臓、小腸、脾臓および精巣にも、AMIGO2 mRNAの低い発現が見られる。AMIGO3 mRNAの発現は、分析した全ての組織で検出することができたが、AMIGOやAMIGO2と比較して、固有の発現パターンは示さなかった。したがって、AMIGOが、神経系に実質的に特異的なタンパク質ファミリーのメンバーであると考えられることから、本発明者らは、AMIGOに焦点を当てて詳細に研究した。
大脳
成体ラットの大脳では、多くの神経繊維の束や神経路でAMIGO染色が見られた(図7および図9のパネルa)。抗CNPase染色と比較して、AMIGO染色は、大脳のほぼ全ての有髄領域と共に局在する。この分析において、白質領域でAMIGO染色が見られなかったのは、外側嗅索だけであった。
しかし、AMIGOの発現は有髄繊維路のみに限定されない。例えば、海馬では、透明層のCA3領域の無髄繊維路は、抗CNPase抗体とミエリン塩基性タンパク質(ミエリン塩基性タンパク質のデータは示さない)に陰性であったが、抗AMIGO抗体では、明確に染色された(図9、パネルaおよびc)。冠状断面の染色は、CA3領域の透明層に限定され、錐体細胞の先端樹状突起の基底部により厳密に局在していた(図8)。抗AMIGO抗体は、樹状突起を染色したのではなく、先端樹状突起の基底部の周辺領域を染色したようである。矢状断面では、AMIGO染色はわずかに繊維状に見えた(図9、パネルcおよびd)。海馬におけるAMIGO染色の局在性および構造は、苔状線維に見られるものを連想させる。苔状線維は顆粒細胞の軸索であり、歯状回からCA3領域の透明層まで達して、そこで錐体細胞の先端樹状突起とシナプスを形成する。苔状線維は抗ニューロフィラメント抗体で非常に強く染色されることが報告されている(Huber et al., 1985)。本発明者らが行った海馬の抗NF−M染色の結果は、抗AMIGO染色の結果と非常に類似しており、このことは、AMIGOが苔状線維またはそれと密接に関連する構造に局在するという解釈を裏付ける。一方、そのような構造は、CA3領域の介在ニューロンの軸索であってもよく、CA3領域の介在ニューロンの軸索は、透明層の苔状線維に沿って伸長することが報告されている(Vida and Frotscher, 2000)。
大脳皮質では、AMIGO免疫染色は、抗CNPase抗体および抗NF−M抗体にも免疫反応性である特定の領域のみで見られた(図7)。用いた全3種の抗体(AMIGO、CNPaseおよびNF−M)に対する皮質の染色は、いずれも拡散していて不明瞭であり、この染色結果は有髄軸索に関連する。同時に、AMIGOの染色が皮質錐体細胞の先端樹状突起の基底部に見られるが、興味深いことに、全ての先端樹状突起がAMIGO免疫反応性であるわけではない。抗NF−M染色も、先端樹状突起に見られたが、抗NF−M染色は、錐体細胞の細胞体および樹状突起の基底部にも見られた(図10)。
小脳
小脳でも、抗AMIGO染色は抗NF−M染色と共に局在した。小脳では、抗ニューロフィラメント抗体は、有髄軸索およびバスケット細胞軸索を非常に強く染色することが報告されている(Matus et al., 1979)。
白質および顆粒細胞層の有髄軸索において、抗NF−M抗体に対して見られたのと同様の強いAMIGO染色が見られた。白質で最も強い染色が見られたのは小脳の中心部であり、数珠を模した構造が染色された(図11、パネルaおよびb)。
小脳の皮質領域では、プルキンエ細胞層の両側にAMIGO染色が見られた。プルキンエ細胞体の周辺のバスケット状構造はAMIGOに対して免疫反応性であり、この構造はバスケット細胞軸索により形成される(図11、パネルaおよびb)。
小脳の分子層では、AMIGO染色は、プルキンエ細胞層に沿って走る繊維に見られる(図11)。この繊維の少なくともいくつかはバスケット細胞軸索であるが、他の軸索のいくつかにも、抗NF−M染色と比較して強いAMIGO免疫染色が見られたため、AMIGO陽性である(データは示さない)。
また、小脳の中心部分の細胞核はAMIGO免疫反応性であった。細胞核においては、AMIGO染色とNF−M染色は互いに異なる結果を示した。つまり、AMIGO染色は神経突起でのみ見られたが、NF−M染色は神経突起と細胞体でも見られた。
橋および延髄
橋および延髄では、AMIGO染色は白質に見られた。
脊髄
脊髄の横断面では、抗AMIGO染色は白質に点状構造として見られた。パラフィン切片では、ミエリン鞘は溶け出してしまい、ミエリンが位置した場所に円形の穴を残していた。これらの切片では、AMIGO染色は穴の中心の点に見られる(図12、パネルa)。抗NF−M抗体もこの点を染色した(図12、パネルc)が、一方、抗CNPaseはこの構造を染色しなかった(図12、パネルb)。凍結切片では、AMIGO染色は有髄軸索の中心に局在し、多層ミエリン鞘内には局在しないことが観察された(データは示さない)。全てのAMIGO陽性軸索が有髄であるのか、またはそうでないかは、光学顕微鏡観察の限界のために明らかではない。
脊髄の灰白質では、抗AMIGO抗体はいくつかの神経繊維を染色した。灰白質の繊維のうち、白質に交差しているものだけがAMIGO陽性であった。この結果は、AMIGOはこのような交差している軸索の集団のみに発現していることを示唆する(データは示さない)。
腎臓、視神経および大腿神経
腎臓におけるAMIGO染色は、抗NF−M染色と共に局在することが分かった。このような染色構造は、自律神経繊維であることが確認された(図13)。視神経は抗AMIGO抗体により強く染色されたが、大腿神経は染色されなかった(データは示さない)。

E18期のラット胚の頭部では、染色は、内包(図14、パネルc)、視索(図14、パネルa)、中小脳脚、視床髄条、反屈束および縦束橋(longitudinal fasciculus pons)の神経繊維および神経繊維路で観察された。AMIGO陽性染色が抗NF−M染色と共に局在したが、E18期の胚では、CNPaseは化学組織染色的手法では検出されなかった(データは示さない)。
E16期胚体の切片においては、抗AMIGO免疫染色は、発生途中の脳領域のいくつかの部位、視神経、および腸と肋骨の近傍の領域でのみ見られた(データは示さない)。
発生段階におけるAMIGOの発現
In situ ハイブリダイゼーションでより詳細にAMIGO mRNAの発現を研究した。AMIGO アンチセンス プローブは、発生途中の神経組織および成体の神経組織において明確なシグナルを示したが、センス プローブは明確なシグナルを示さなかった(センス プローブについてのデータは示さない)。明確なAMIGO発現は、E13期のげっ歯類胚で既に検出されており、この期での最も高いAMIGOの発現レベルは、後根神経節および三叉神経節で見られ、中枢神経系でもいくらかの発現が見られた(図4、パネルAおよびB)。発生の後期および成体では、AMIGOは脳でも顕著に発現し、海馬で最も強いシグナルが検出された(図4、パネルC)。
タンパク質レベルでAMIGOの発現を調べるために、AMIGOに存在するが、AMIGO2とAMIGO3には存在しない、細胞外領域の10個のアミノ酸からなるペプチド配列に対するポリクローナル抗血清を製造した。このような抗ペプチド抗体は、ショウジョウバエのS2細胞で産生された75kD AMIGO−Ig融合タンパク質を認識した(図5、レーン1と3)。脳粗抽出物を用いたウェスタンブロットにより、65kD ポリペプチドに対する特異的な結合が明らかになった(図5、レーン2と4)。認識されたポリペプチドの分子量は、計算したAMIGOの分子量(56kD)に近似している。抗体の、融合タンパク質への結合と脳の65kD ポリペプチドへの結合は、いずれも免疫原として用いた合成ペプチドによって遮断された(図5、レーン3〜6)。
様々な発生段階の脳粗抽出物を用いたAMIGOのウェスタンブロットの結果は、in situ ハイブリダイゼーションのデータと一致した。脳におけるAMIGOの発現は、末梢神経系における発現よりもいくらか遅く始まり、E13期とE14期の間にはっきりと増加する(図6)。周生期発生段階ではAMIGOの発現は高く維持されるが、出生後のP6期〜P10期の間は下向きに調節される。この後、AMIGOの発現は再度上向きに調節され、成体の脳では高い発現が維持される(図6)。出生後にAMIGOの発現が上向きに調節される期間が、ミエリン形成の開始と一致すると考えられるため、AMIGOの発現をミエリン特異的マーカーであるα−CNPaseの発現と比較した。実際に、AMIGOの発現とCNPaseの発現は、出生後発生において平行に増加する(図6)。したがって、AMIGOの発現は脳の発生において次の2つの特徴を示す。1回目のAMIGOの発現のピークは後期胚発生および周生期発生に生じ、2回目のAMIGOの発現の増加はミエリン形成を伴う。
抗ペプチド抗体を用いた免疫組織染色により、神経系のみで見られる特異的な染色が明らかになった。一般的に、免疫染色の強度は、ウェスタンブロットの結果から推測される発現データ(図6)と一致した。さらに、免疫染色の特異性は、免疫原として用いたペプチドによって組織切片への抗体の結合が阻害されたことにより示唆された(図5、パネルB)。一般的に、AMIGOは発生途中および成熟した繊維路で高い染色強度を示した。脊髄神経節が豊富にAMIGO mRNAを発現する胚発生の途中では(図4参照)、神経節と脊髄に接続する繊維路で免疫染色が観察されたが、神経節自体では観察されなかった(図7、パネルA)。これは、AMIGOタンパク質が軸索突起に運ばれることを示唆している。小脳では、最も強い染色はプルキンエ細胞層の両側の繊維で観察された。プルキンエ細胞体の周辺のバスケット細胞軸索によって形成される独特の構造は、AMIGO免疫染色により明確に識別された(図7、パネルB)。ウェスタンブロットで得たデータと一致して、AMIGO免疫染色は、成体の有髄軸索路のほとんどを標識した。一例を図7(パネルCおよびD)に示したが、この図は海馬周辺のAMIGO免疫染色結果およびα−CNPase免疫染色結果の類似性を示す。しかし、AMIGOの発現は有髄繊維路に限定されない。例えば、海馬では、α−CNPaseに対して陰性(図7、パネルD)で、ミエリン塩基性タンパク質に対しても陰性(データは示さない)であった透明層のCA3領域の無髄繊維路がAMIGOに対する染色で明確に染色された(図7、パネルC)。一般的に、(発生途中および成体動物の両方において)145kDのニューロフィラメントに対する抗体によっても染色された、直径の大きい神経突起(軸索)においてAMIGO染色は検出された(データは示さない)。前脳と同様に、小脳、橋、髄質および脊髄の有髄軸索路もAMIGOに対する染色を示した。
AMIGOは、培養海馬ニューロンの細胞体、ならびに束形成している突起および束形成していない突起においても明確に免疫染色された(図7、パネルF)。組織切片の免疫染色結果から予想されたように、二重免疫染色により、AMIGOは145kDのニューロフィラメントおよびβ−チューブリン(TuJ1)と共に局在するが、MAP2とは局在しないことが明らかとなった(結果は示さない)。したがって、AMIGOは樹状突起よりも軸索突起に選択的に発現する。
AMIGOは海馬ニューロンの神経突起伸長を促進する
アンフォテリン上で神経突起を伸長している海馬ニューロンからAMIGOを同定したこと、in vivoで繊維路が生じること、およびLRRドメインとIgドメインを含むドメイン構造を有することは、AMIGOが神経突起伸長における役割を担うことを示唆する。AMIGOの機能を理解するために、AMIGOが海馬ニューロンの神経突起伸長を促進することができるかどうかを試験した。AMIGOの細胞外領域をヒトIgG Fc部位と融合し、この融合タンパク質をマイクロタイターウェルに固定し、海馬ニューロンの基材として用いた。これらの実験は、AMIGO−Ig融合タンパク質が海馬ニューロンの接着と神経突起伸長を促進する(図8、パネルAおよびC)が、ヒトIgG Fc対照タンパク質上では、神経突起伸長は非常に低いか、検出不能な値である(図8、パネルBおよびC)ことを示した。固定したAMIGO−Ig融合タンパク質の誘導する神経突起伸長は、培地中の可溶性AMIGO−Ig融合タンパク質によって阻害された(図8、パネルD)。
可溶性AMIGOはin vitroで束形成軸索路の発生を妨げる
AMIGO免疫染色が、in vitro の海馬の束形成軸索、およびin vivo の軸索路で検出されたことから、AMIGOは神経突起の束形成に関与すると考えた。AMIGOの細胞外ドメインを培地に含まれるIg融合タンパク質として使用し、ドミナントネガティブ変異体を用いたアプローチによりこの問題に取り組んだ。海馬ニューロンをポリ−L−リシンで被覆したウェルに植え付けて、神経突起伸長と束形成を促進した。培養物の顕微鏡観察の結果は、可溶性AMIGOの存在下で神経突起の伸長パターンが劇的に変化したことを示した。対照培養では、神経突起は4日間の培養で束形成したが、可溶性AMIGOの存在下では、少なくとも培養の5日目までは、突起はほとんど束形成しなかった(図9、パネルA〜C)。
AMIGOはホモフィリックな結合機構を示す
軸索の束形成は、ホモフィリックな相互作用と関与することが知られており、これは可溶性AMIGOが束形成を妨げる理由であると考えられる。したがって、AMIGOがAMIGO自身に結合することができるかどうかを、共免疫沈降アッセイによって試験した。AMIGO−AMIGO会合を調べるために、GFPタグを付した全長AMIGO(図10、パネルA、レーン1〜4)を、V5タグを付した全長AMIGO(図10、パネルA、レーン1)またはV5タグを付した可溶性AMIGO細胞外ドメイン(図10、パネルA、レーン2)と共に293細胞にコトランスフェクトした。細胞溶解物中に存在する2つの形態のAMIGO−V5は、AMIGO−GFPを沈降し(図10、パネルA、レーン1および2)、同様に、全長AMIGO−V5および可溶性AMIGO−V5は抗GFP抗体で沈降した(図10、パネルA、レーン1および2)。V5タグを付したAMIGOを細胞にトランスフェクトしなかった場合には、共免疫沈降は観察されなかった(図10、パネルA、レーン3)。対照タンパク質であるV5タグを付したヒトRAGEは、AMIGO−GFPでは共免疫沈降せず、反対の場合も同様であった(図10、パネルA、レーン3)。
AMIGOのホモフィリックな結合を研究するための別のアプローチとして、プロテインAで被覆したビーズにAMIGO−Ig融合タンパク質を添加して、AMIGOタンパク質が細胞表面に存在するように配向させた。AMIGOはこのようなビーズを急速に凝集させたが(図10、パネルBおよびC)、対照タンパク質であるIgG Fc部位のビーズへの添加は凝集を全く誘導しなかった(図10、パネルBおよびD)。
AMIGOとAMIGO2のEGFRとの共免疫沈降
この実験の結果、AMIGOとAMIGO2は両方ともEGFRに結合し、EC領域のみが結合には十分なことが判明した(AMIGOについてのみデータを示した、図27)。
AMIGOはEGFRのリン酸化を阻害する
AMIGOとFlagタグを付したヒトEGFRが一緒に発現している場合、AMIGOは、AMIGO2、AMIGO3および対照ベクターと比較して、EGFの結合によって誘導されるEGFRの自己リン酸化を明確に阻害することができた(図29)。
AMIGO、AMIGO2およびAMIGO3のホモフィリックな結合およびヘテロフィリックな結合
共免疫沈降の結果により、各AMIGOはヘテロフィリックに互いに結合し、さらにホモフィリックな結合特性も有することが明らかになった(図28)。
考察

6個のLRRおよび1個のIg様ドメインを有する膜貫通型タンパク質の新規なファミリー
本研究において、本発明者らはAMIGO、AMIGO2およびAMIGO3と呼ばれる膜貫通型タンパク質の新規なファミリーを同定した。これら3種のタンパク質は互いに明確な相同性を示し、種々のドメインの長さや位置は高い同一性を示した(図2、パネルB)。このようなドメインの関係性は、3種のAMIGOの進化上の起源が同じであることを示唆する。
ゲノム配列データによると、これらの3種のタンパク質はおそらくフグ(Fugu rubripes)に存在する(データは示さない)。興味深いことに、ショウジョウバエにはkekkonと呼ばれるタンパク質ファミリーが存在し、この膜貫通型タンパク質の3種のメンバーであるkek1、kek2(Musacchio and Perrimon, 1996)およびkek3(Ashburner et al., 1999)は細胞外領域においてAMIGOと相同性を示す。AMIGOとkekタンパク質の細胞外領域はいずれも6個のLRRドメイン、それに隣接するシステイン−リッチLRR NTドメインとシステイン−リッチLRR CTドメインおよび貫通領域近傍に1個の免疫グロブリンドメインを含有する。しかし、AMIGOタンパク質とkekタンパク質の細胞質領域は互いに相同性を示さない。kek1 および kek2(Musacchio and Perrimon, 1996)の遺伝子発現データは、AMIGOおよびAMIGO2の遺伝子発現データを連想させ、これらは全て成体生物の中枢神経系に発現している。このようなドメインおよび発現の類似性は、AMIGOタンパク質とkekタンパク質が共通の先祖遺伝子から誘導された可能性を示唆する。
細胞外領域では、AMIGO間で最も相同性の高いモチーフはLRR3〜5である。BLASTサーチで最も適合度の高かったものは、細胞外軸索誘導タンパク質のSlitファミリーであり(Whitford et al., 2002)、Nogo-66受容体との明確な相同性も見られたが、認識可能なモチーフはLRRドメインのみである(Fournier et al., 2001)(図11)。AMIGO、Slit1およびNogo-66受容体のLRRに見られる類似性は、これらのタンパク質が進化上の起源が同じ祖先から誘導されたものであることを示唆する。AMIGO間でLRRに見られる明確な保存性は、この領域が細胞外リガンドとの相互作用に重要であること、そして同じ結合パートナーを共有し得ることを示唆する。
文献には、LRRドメインとIgドメインを細胞外領域に含んでいる他の膜貫通型タンパク質に関する報告がある。そのようなタンパク質は、5個のLRRと1個のIgドメインを有するISLR(Nagasawa et al., 1997)、5個のLRRと1個のIgドメインを有するPal(Gomi et al., 2000)、15個のLRRと3個のIgドメインを有するLIG-1(Suzuki et al., 1996)、および12個のLRRと1個のIgドメインを有するGAC1(Almeida et al., 1998)である。これらのタンパク質全てと3種のAMIGOに共通なのは、LRRが常にIgドメインより膜貫通領域に対して遠位に位置するという、LRRドメインとIgドメインの配列の順序である。興味深いことに、AMIGOから得たIgドメイン配列を用いたBLASTサーチは、Igスーパーファミリータンパク質の他のIgドメインとは明確な相同性を示さないが、最も近いものはIgドメインとLRRドメインの両方を含有するタンパク質に見られるものである(データは示さない)。
AMIGOの細胞質内部分はこれまでに特徴付けられた膜貫通型タンパク質と明確な相同性を示さないが、3種のAMIGOのアライメント(図2、パネルA)は保存された2個のセリン−リッチ領域を示す。一方は膜貫通ドメインの近傍に存在し、もう一方はC末端に存在する。AMIGOとAMIGO2のC末端 セリン−リッチ領域は、脳で偏在的に発現するセリン/スレオニン キナーゼであるカゼイン キナーゼ II(CK2)のコンセンサス配列(Allende et al., 1995)を有するが、脳で発現していないAMIGO3はこの配列を有していない。近年、Watts et al. (1999)は、膜貫通型のTNF−αがカゼインキナーゼ I(CK1)依存性リン酸化反応の基質であるコンセンサス配列 SXXS を有することを報告した。興味深いことに、3種のAMIGOの全てが、保存された2個のセリン−リッチ領域に、CK1リン酸化部位となり得る4つの部位を有している。これらの保存されたセリン残基が、AMIGOのシグナル伝達事象に重要な役割を有するかどうかは今後の研究によって明らかにされるであろう。
LRRドメインとIgドメインの両方を有する、哺乳類の膜貫通型タンパク質に関する報告が文献およびデータバンクに増えているが、残念ながら、現在のところそのようなデータのほとんどはこれらのタンパク質のクローニングと組織発現に関するものだけである。本願のデータは、これらのLRRスーパーファミリーとIgスーパーファミリーの両方に属する、2つのモチーフを有する膜貫通型タンパク質の機能に関する洞察を、AMIGOのより詳細な特徴付けという形で示す。
AMIGO:神経突起に存在する、ホモフィリックな結合機構を有する新規な膜貫通型タンパク質
RT−PCR実験、in situ ハイブリダイゼーションおよび免疫組織染色に基づき、AMIGOは実質的に神経系特異的なタンパク質であることが判明した。興味深いことに、AMIGOの発現は脳の発生過程におけるはっきりと認識することのできる2つの段階において上向きに調節される。1回目の発現のピークは周生期に見られ、2回目の発現上昇は、乏突起膠腫細胞特異的マーカーであるα−CNPaseが上向きに調節されている間、またはそれより若干前に生じる。
AMIGOの1回目の発現ピークは、軸索結合の増加における役割と一致する。このAMIGOの役割は、in vivoin vitro の両方における発生途中の軸索路におけるAMIGOの発現および本発明者らが行った神経突起伸長実験が裏付けとなる。軸索結合の増加における細胞機構の1つが束形成、即ち、パイオニア軸索を後続軸索の成長円錐の基底として軸索が互いに沿って伸長することである。興味深いことに、培地に含まれるAMIGOの細胞外ドメインのドミナントネガティブ変異体を用いたアプローチは、AMIGOの束形成における役割をはっきりと示唆した。さらに、AMIGOは、その束形成における役割を説明するホモフィリックな結合機構を示す。Igスーパーファミリーおよびカドへリンファミリーの両方に属するホモフィリックな付着分子が、神経系の発生過程において、神経突起伸長および束形成を仲介することが報告されている(Kamiguchi and Lemmon, 1997 および Martinek and Gaul, 1997を参照されたい)。また、AMIGOのLRR配列が、軸索の伸長、再生および誘導に関与すると報告されているSlitタンパク質やNogo受容体と相同性を示す点も注目すべきである(図11)。
AMIGOの2回目の発現上昇は、ミエリン形成における役割を示唆している。AMIGOが発生のこの段階の細胞間相互作用も仲介すると考えることは妥当である。しかし、ミエリン形成している軸索路(例えば、乏突起膠腫細胞やシュワン細胞と相互作用している軸索)におけるAMIGOの役割がさらなる研究によって立証されることは明確である。さらにAMIGOの発現は成人期まで高いまま維持される。これは、繊維路発生機構の一般的な反復機構である、成人繊維路の再生と可塑性においてAMIGOが役割を担うことを示唆している。
発生段階および成人期におけるAMIGOの機能的役割への理解をさらに深めるために、本発明者らは、近年、ES細胞における遺伝子を標的とし、現在、AMIGOを持たないマウス(AMIGO null mice)(Kuja-Panula and Rauvala、未出版)を作製している。遺伝子ターゲティングを用いたin vivo でのアプローチに加えて、どの分子ドメインがホモフィリックな結合を仲介するのか、そしてAMIGOの細胞内ドメインがシグナル伝達特性を有するのかどうかを理解することが重要になるであろう。さらに、本願で軸索路におけるAMIGOについて特徴付けたように、今後の研究により、AMIGOファミリーのメンバーが非神経系組織における類似の細胞間相互作用を仲介するのかどうかが明らかになるであろう。
本発明の方法は種々の態様に組み込むことができ、本願に開示されているのはその一部に過ぎないと認められる。他の態様が存在し、それは本発明の精神から外れるものではないことは当業者には明らかである。したがって、本発明の諸態様は単なる例示であり、本発明の範囲を限定するものではない。
発明の背景を明らかにするため、特に、その実施に関するさらなる詳細を提供するために本願で使用した出版物とその他の資料は、この記載によって本明細書に組み込まれているものとする。
実施例に記載した参考文献のリスト

Agarwala, K.L., S. Ganesh, Y. Tsutsumi, T. Suzuki, K. Amano, and K. Yamakawa. 2001. Cloning and functional characterization of DSCAML1, a novel DSCAM-like cell adhesion molecule that mediates homophilic intercellular adhesion. Biochem. Biophys. Res. Commun. 285:760-772.

Allende, J.E. and C.C. Allende. 1995. Protein kinases. 4. Protein kinase CK2: an enzyme with multiple substrates and a puzzling regulation. FASEB. J. 9:313-323.

Almeida, A., X.X. Zhu, N. Vogt, R. Tyagi, M. Muleris, A.M. Dutrillaux, B. Dutrillaux, D. Ross, B. Malfoy, and S. Hanash. 1998. GAC1, a new member of the leucine-rich repeat superfamily on chromosome band 1q32.1, is amplified and overexpressed in malignant gliomas. Oncogene. 16:2997-3002.

Ashburner, M., S. Misra, J. Roote, S.E. Lewis, R. Blazej, T. Davis, C. Doyle, R. Galle, R. George, N. Harris, G. Hartzell, D. Harvey, L. Hong, K. Houston, R. Hoskins, G. Johnson, C. Martin, A. Moshrefi, M. Palazzolo, M.G. Reese, A. Spradling, G. Tsang, K. Wan, K. Whitelaw, and S. Celniker. 1999. An exploration of the sequence of a 2.9-Mb region of the genome of Drosophila melanogaster: the Adh region. Genetics. 153:179-219.

Battye, R., A. Stevens, and J.R. Jacobs. 1999. Axon repulsion from the midline of the Drosophila CNS requires slit function. Development. 126:2475-2481.

Battye, R., A. Stevens, R.L. Perry, and J.R. Jacobs. 2001. Repellent signaling by Slit requires the leucine-rich repeats. J. Neurosci. 21:4290-4298.

Brose, K., K.S. Bland, K.H. Wang, D. Arnott, W. Henzel, C.S. Goodman, M. Tessier-Lavigne, and T. Kidd. 1999. Slit proteins bind Robo receptors and have an evolutionarily conserved role in repulsive axon guidance. Cell. 96:795-806.

Chen, M.S., A.B. Huber, M.E. van der Haar, M. Frank, L. Schnell, A.A. Spillmann, F. Christ, and M.E. Schwab. 2000. Nogo-A is a myelin-associated neurite outgrowth inhibitor and an antigen for monoclonal antibody IN-1. Nature. 403: 434-439.

Drescher, U., A. Faissner, R. Klein, F.G. Rathjen, and C. Sturmer. 1997. Axonal growth and pathfinding: from phenomena to molecules. Cell Tissue Res. 290:187-188.

Fournier, A.E., T. GrandPre, and S.M. Strittmatter. 2001. Identification of a receptor mediating Nogo-66 inhibition of axonal regeneration. Nature. 409:341-346.

Gomi, F., K. Imaizumi, T. Yoneda, M. Taniguchi, Y. Mori, K. Miyoshi, J. Hitomi, T. Fujikado, Y. Tano, and M. Tohyama. 2000. Molecular cloning of a novel membrane glycoprotein, pal, specifically expressed in photoreceptor cells of the retina and containing leucine-rich repeat. J. Neurosci. 20:3206-3213.

Kajava, A.V. 1998. Structural diversity of leucine-rich repeat proteins. J. Mol. Biol. 277:519-527.

Kamiguchi, H. and V. Lemmon. 1997. Neural cell adhesion molecule L1: signaling pathways and growth cone motility. J. Neurosci. Res. 49:1-8.

Logan, A., M. Berry, A. M. Gonzalez, S. A. Frautschy, M. B. Sporn, and A. Baird. 1994. Effects of transforming growth factor b1 on scar production in the injured central nervous system. Eur. J. Neurosci. 6: 355_363.

Martinek, S. and U. Gaul. 1997. Neural development: how cadherins zipper up neural circuits. Curr. Biol. 7:R712-R715.

Matz, M., N. Usman, D. Shagin, E. Bogdanova, and S. Lukyanov. 1997. Ordered differential display: a simple method for systematic comparison of gene expression profiles. Nucleic Acids Res. 25:2541-2542.

Muller, S., P. Scaffidi, B. Degryse, T. Bonaldi, L. Ronfani, A. Agresti, M. Beltrame, and M.E. Bianchi. 2001. New EMBO members' review: the double life of HMGB1 chromatin protein: architectural factor and extracellular signal. EMBO. J. 20:4337-4340.

Musacchio, M. and N. Perrimon. 1996. The Drosophila kekkon genes: novel members of both the leucine-rich repeat and immunoglobulin superfamilies expressed in the CNS. Dev. Biol. 178:63-76.

Nagasawa, A., R. Kubota, Y. Imamura, K. Nagamine, Y. Wang, S. Asakawa, J. Kudoh, S. Minoshima, Y. Mashima, Y. Oguchi, and N. Shimizu. 1997. Cloning of the cDNA for a new member of the immunoglobulin superfamily (ISLR) containing leucine-rich repeat (LRR). Genomics. 44:273-279.

Nielsen, H., J. Engelbrecht, S. Brunak, and G. von Heijne. 1997. Identification of prokaryotic and eukaryotic signal peptides and prediction of their cleavage sites. Protein Eng. 10:1-6.

Pusch, C.M., C. Zeitz, O. Brandau, K. Pesch, H. Achatz, S. Feil, C. Scharfe, J. Maurer, F.K. Jacobi, A. Pinckers, S. Andreasson, A. Hardcastle, B. Wissinger, W. Berger, and A. Meindl. 2000. The complete form of X-linked congenital stationary night blindness is caused by mutations in a gene encoding a leucine-rich repeat protein. Nat. Genet. 26:324-327.

Rauvala, H. and R. Pihlaskari. 1987. Isolation and some characteristics of an adhesive factor of brain that enhances neurite outgrowth in central neurons. J. Biol. Chem. 262:16625-16635.

Rauvala, H., H.J. Huttunen, C. Fages, M. Kaksonen, T. Kinnunen, S. Imai, E. Raulo, and I. Kilpelainen. 2000. Heparin-binding proteins HB-GAM (pleiotrophin) and amphoterin in the regulation of cell motility. Matrix Biol. 19:377-387.

Reponen, P., C. Sahlberg, C. Munaut, I. Thesleff, and K. Tryggvason. 1994. High expression of 92-kD type IV collagenase (gelatinase B) in the osteoclast lineage during mouse development. J. Cell Biol. 124:1091-1102.

Schachner, M. 1997. Neural recognition molecules and synaptic plasticity. Curr. Opin. Cell Biol. 9:627-34.

Stoeckli, E.T. and L.T. Landmesser. 1998. Axon guidance at choice points. Curr. Opin. Neurobiol. 8:73-79.

Suzuki, Y., N. Sato, M. Tohyama, A. Wanaka, and T. Takagi. 1996. cDNA cloning of a novel membrane glycoprotein that is expressed specifically in glial cells in the mouse brain. LIG-1, a protein with leucine-rich repeats and immunoglobulin-like domains. J. Biol. Chem. 271:22522-22527.

Tessier-Lavigne, M. and C.S. Goodman. 1996. The molecular biology of axon guidance. Science. 274:1123-1133.

Van Vactor, D. 1998. Adhesion and signaling in axonal fasciculation. Curr. Opin. Neurobiol. 8:80-86.

Walsh, F.S. and P. Doherty. 1997. Neural cell adhesion molecules of the immunoglobulin superfamily: role in axon growth and guidance. Annu. Rev. Cell Dev. Biol. 13:425-456.

Watts, A.D., N.H. Hunt, Y. Wanigasekara, G. Bloomfield, D. Wallach, B.D. Roufogalis, and G. Chaudhri. 1999. A casein kinase I motif present in the cytoplasmic domain of members of the tumour necrosis factor ligand family is implicated in 'reverse signalling'. EMBO. J. 18:2119-2126.

Whitford, K.L., V. Marillat, E. Stein, C.S. Goodman, M. Tessier-Lavigne, A. Chedotal, and A. Ghosh. 2002. Regulation of cortical dendrite development by Slit-Robo interactions. Neuron. 33:47-61.
海馬ニューロンのアンフォテリン誘導性遺伝子としての、AMIGOのクローニング。パネルA:ゲル電気泳動を用いたオーダード ディファレンシャル ディスプレイ法による分析。AMIGOに対応するバンド(矢印で示したもの)は配列決定のために切り出した。レーン1はアンフォテリン マトリクスから得たサンプル、レーン2はラミニン マトリクスから得たサンプルである。パネルB:AMIGOの誘導をRT−PCRを用いて確認した結果。レーン1はアンフォテリン上の海馬ニューロンから得たRT−PCR反応産物であり、レーン2はラミニン上の海馬ニューロンから得たRT−PCR反応産物である。グリセルアルデヒド3−リン酸脱水素酵素(GAPDH)を対照として分析した。 ヒトのAMIGO、AMIGO2およびAMIGO3の一次構造。パネルA:上記3種のAMIGOのアライメントであり、全てのAMIGO間で同一なアミノ酸は赤地に白い文字で示し、類似しているアミノ酸は赤地に黒い文字で示す。AMIGOに見出だされた種々のドメインは、そのドメインを構成する配列の上に色つきの枠で示す。パネルB:3種のAMIGOを示す概略図である。 種々の成体マウス組織における、AMIGO、AMIGO2およびAMIGO3のRT−PCR mRNA分析。GAPDHはグリセルアルデヒド3−リン酸脱水素酵素の略である。 AMIGO mRNAのin situ ハイブリダイゼーション法による分析。パネルAとB:E13期のマウス胚では、AMIGO mRNAの発現は後根神経節(パネルAおよびBの「DRG」)および三叉神経節(パネルAの「TG」)が最も高い。パネルC:成体マウス大脳では、最も強いシグナルを示す歯状回(DG)を有する海馬体においてAMIGOの発現は最も高い。錐体細胞層(CA1とCA3)もAMIGOを発現している。 組換えAMIGO−Ig融合タンパク質および抗AMIGO抗体の特徴付け。パネルA:組換えAMIGO−Ig融合タンパク質(レーン1、3および5)および成体ラット脳由来タンパク質溶解物(レーン2、4および6)を銀染色法(レーン1と2)またはウサギ抗AMIGO抗体を用いたイムノブロット法(レーン3〜6)により分析した結果。抗AMIGO抗体は、AMIGO−Ig融合タンパク質(レーン3)とラット脳溶解物の65kDのバンド(レーン4)の両方を認識する。AMIGOに対応するバンドへの抗体の結合は、免疫に使用したペプチドにより阻害される(パネルAのレーン5と6)。組織切片もまた、上記ペプチドにより用量依存的に阻害される(パネルBに、成体の小脳の免疫組織染色による分析結果として示した)。 脳の発生の際のAMIGOの発現には2つの特徴がある。様々な発生段階の脳の粗抽出物を用いたウェスタンブロット法によるAMIGOの分析によって、後期胚発生(E)と出生後発生における明確なAMIGO発現が明らかとなり、発現はE14期から始まる。AMIGOの発現は出生後(P)のP6期〜P10期の間は下向きに調節される。AMIGOの発現はP10期とP12期に再度上向きに調節され、成体の脳では高い発現が維持される。CNPase発現との比較から分かるように、上向きの調節はミエリン形成の開始と一致する。AMIGOの発現とCNPaseの発現は、出生後発生において平行に増加する。Wは出生後の週齢を表す。 組織および培養細胞では、AMIGOは軸索繊維路に局在する。ラット組織の免疫組織染色により、AMIGOが神経系で特異的に発現していることが明らかになった。E15胚(パネルA)では、発生中の繊維路および神経、例えば、脊髄(SC)の辺縁層(ml)の腹側部および後根神経節(DRG)や脊髄に接続する神経、に免疫染色が観察される。成体(パネルB、C、DとE)では、AMIGOは神経繊維でも検出された。小脳(パネルB)では、バスケット細胞軸索によってプルキンエ細胞体(p)の周囲に形成された独特なかご状構造(矢印で示す)に見られるように、顆粒細胞層(G)の両側の繊維に最も強い染色が検出された。小脳白質(W)の繊維も染色されている。矢状断面における海馬周辺のAMIGOに対する染色(パネルC)およびCNPaseに対する染色(パネルD)が示した同様の結果から明かなように、一般的に有髄繊維路は、動物成体においてはっきりと染色される。小脳のバスケット細胞軸索に加えて、海馬の無髄繊維も染色されている(パネルC、拡大図はパネルE)。このような海馬のCNPase陰性繊維は、CA3錐体細胞体の近傍に存在する。培養海馬ニューロン(パネルF)では、免疫蛍光染色によって神経突起でもAMIGOが検出される。Gは小脳皮質の顆粒細胞層であり、Mは小脳皮質の分子層であり、CA1はCA1領域であり、CA3はCA3領域であり、そしてhは門である。パネルA、B、EおよびF中のスケールバーは50μmであり、パネルCおよびD中のスケールバーは500μmである。 AMIGOは海馬ニューロンの神経突起の伸長を促進する。パネルA:25μg/mlのAMIGOで被覆した基材は、E18期の海馬ニューロンの神経突起伸長を促進する。パネルB:25μg/mlの、AMIGO細胞外ドメインを含まないFcタンパク質で被覆した対照基材上の細胞を比較のために示す。パネルC:24時間培養後の、AMIGO誘導性海馬神経突起伸長。基材に被覆したAMIGO−Ig融合タンパク質(グレーの棒)およびFc対照タンパク質(黒い棒)の量は以下の通りである:0μg/ml(1)、3.125μg/ml(2)、6.25μg/ml(3)、12.5μg/ml(4)、25μg/ml(5)、50μg/ml(6)および100μg/ml(7)。パネルD:AMIGO誘導性神経突起伸長(25μg/mlのAMIGO−Ig融合タンパク質で被覆した基材を使用)が、アッセイ培地中のAMIGO−Ig融合タンパク質によって遮断される。培地に添加したAMIGO−Ig融合タンパク質(グレーの棒)およびFc対照タンパク質(黒い棒)の量は以下の通りである:0μg/ml(1)、3.125μg/ml(2)、6.25μg/ml(3)、12.5μg/ml(4)、25μg/ml(5)、50μg/ml(6)および100μg/ml(7)。エラーバーは、3つの独立した実験で観察した15個の顕微鏡視野から計算した標準偏差を示す。パネルAおよびB中のスケールバーは50μmである。 可溶性AMIGOは海馬ニューロンの束形成を阻害する。パネルA:25μg/mlのAMIGO−Ig融合タンパク質を含む培地における、ポリ−L−リシン基材上のE18海馬ニューロン。パネルB:比較のための、25μg/mlのFc対照タンパク質の存在下における、ポリ−L−リシン基材上のE18海馬ニューロン。パネルC:ポリ−L−リシン基材上の、(1〜3本の神経突起で形成される)直径2μm未満の突起の長さの合計。培地に添加したAMIGO−Ig融合タンパク質(グレーの棒)およびFc対照タンパク質(黒い棒)の量は以下の通りである:0μg/ml(白い棒)(1)、3.125μg/ml(2)、6.25μg/ml(3)、12.5μg/ml(4)および25μg/ml(5)。パネルC中のエラーバーは3つの独立した実験で観察した12個の顕微鏡視野から計算した標準偏差を示す。パネルAおよびB中のスケールバーは50μmである。 AMIGOのホモフィリックな相互作用。パネルA:共免疫沈降実験。レーン1はGFPタグを付した全長AMIGOおよびV5タグを付した全長AMIGOでトランスフェクトした細胞であり、レーン2はGFPタグを付した全長AMIGOおよびV5タグを付した可溶性AMIGOでトランスフェクトした細胞であり、レーン3はGFPタグを付した全長AMIGOのみでトランスフェクトした細胞であり、レーン4はGFPタグを付した全長AMIGOおよびV5タグを付した全長ヒトRAGEでトランスフェクトした細胞である。GFPタグを付した全長AMIGOは、V5タグを付した全長AMIGOで共免疫沈降し(レーン1)、細胞外ドメインのみを含有する、V5タグを付した可溶性AMIGOでも共免疫沈降した(レーン2)。GFP抗体を用いた沈降によっても共免疫沈降は生じた。パネルB:ビーズ凝集の動態。NtおよびN0はそれぞれ、インキュベーション時間tおよび0における粒子の総数を表す。ビーズ凝集の程度は、Nt/N0を指標として表す。グレーの棒はAMIGO−Ig融合タンパク質で被覆されたビーズを示し、黒い棒はFcタンパク質で被覆されたビーズを示す。パネルCとD:プロテインAビーズの60分後のビーズ凝集状態であり、パネルCはAMIGO−Ig融合タンパク質で被覆したビーズ、パネルDはFc対照タンパク質で被覆したビーズを表す。エラーバーは3つの独立した実験で観察した12個の顕微鏡視野から計算した標準偏差を示す。 Slit1、Nogo受容体およびAMIGOの有するロイシンリッチ−リピート領域の多重アライメント。Slit1とNogo受容体のアミノ酸配列のうち、AMIGOと同一のアミノ酸は黒で示し、類似のアミノ酸はグレーで示す。AMIGOの6個のLRRモチーフのコンセンサス配列はアミノ酸配列の上に記す。 免疫グロブリンドメインの三次元構造の概略図。Ig−ドメインは、2つの逆平行βシートに挟まれている(Principles of Biochemistry (生化学の原理), Horton et al., 2002)。 リボヌクレアーゼ阻害剤の構造。パネル(a):MOLSCRIPTというプログラムで作成した、ブタRIの構造を示すリボン図。パネル(b):ブタRIのLRRのコンセンサス配列と二次構造。RIの配列のアライメントは、2種の反復配列(AとB)が配列中で交互になるように行った。アミノ酸の一文字表記を用いた。「x」はいかなるアミノ酸でもよく、「a」は脂肪族アミノ酸である。全てのLRRタンパク質中で強固に保存されている反復配列の部分を下線で示し、保存されている残基は太字で示す。配列の下に実線を引いた部分はIg−シートとヘリックスのコア領域であり、種々の反復配列に見られるヘリックスの拡張部分を点線で示す(Kobe and Deisenhofer, 1995)。 RNase A−RI複合体の構造。リボン図では、RNase Aは暗色、RIは淡色で示す(Kobe and Deisenhofer, 1995)。 いくつかのLRR含有タンパク質の構造の概略図。タータン(tartan)はショウジョウバエの発生に関与するタンパク質である(Chang et al., 1993 および Milan et al., 2001)。Slitタンパク質は、この図には示さないドメインを更に含有する。Sigはシグナルペプチドであり、AFRはアミノ末端隣接領域であり、LRRはロイシン−リッチリピートであり、CFRはカルボキシル末端隣接領域であり、そしてPIはホスファチジルイノシトールである(Hayata et al., 1998)。 AMIGOの予想される構造の概略図。 組織におけるAMIGO染色の特異性。α−AMI(抗AMIGO抗体)を、AMIP2ペプチドまたはAMIP1ペプチドの濃度が上昇していく系列でインキュベートした。ラット小脳の組織切片を、ペプチドとインキュベートした抗体で染色した。AMIP2ペプチドの濃度の上昇により組織染色は減少し、最終的には組織染色を完全に遮断した。明らかに、α−AMIの組織切片への結合はAMIP2ペプチドによって阻害されている。対照ペプチドであるAMIP1は、高濃度であってもα−AMI結合に影響しなかった。 α−AMIで染色したラット大脳の冠状断面。有髄繊維路がはっきりと染色されている。大脳皮質のいくつかの部分が染色されており、そのうち一ヶ所を矢じりで示す(乏突起膠細胞マーカーであるα−CNPaseおよびα−NF−Mでも同じ部分が染色された)。無髄構造は海馬のCA3領域で染色された(矢印で示す)。 海馬のCA3領域の冠状断面(図7の矢印で示した部分の拡大図)。パネルA:α−AMIによる染色。パネルB:α−NF−Mによる染色。いずれの染色部も錐体細胞の先端の樹状突起に近接した部分に位置する。このような層は透明層と呼ばれる。染色強度が低い円形構造は、ヘマトキシリンで染色された細胞核である。スケールバーは25μmである。 ラット海馬の矢状断面。パネルa:α−AMIによる染色、そしてパネルb:α−CNPaseによる染色。いずれの抗体も、海馬の内部および周辺の有髄神経繊維を染色する。さらにα−AMIは、海馬のCA3領域および歯状回(DG)の門(h)に存在する無髄構造も強く染色した。パネルcとd:α−AMIで染色したものの高倍率写真。CA3領域および歯状回においては繊維状構造が染色された(矢印で示す)。スケールバーは50μmである。 大脳皮質の高倍率写真。パネルa:α−AMIによる染色、そしてパネルb:α-NF−Mによる染色。大脳皮質の同じ部分がα−AMIとα−NF−Mの両方で染色された。より高い倍率で観察したところ、錐体細胞のいくつかの太い先端樹状突起(矢印で示す)およびいくつかの細い繊維(矢じりで示す)は両方の抗体で染色されている。錐体細胞の細胞体および基底樹状突起もα−NF−Mで染色された。スケールバーは50μmである。 α−AMIで染色した小脳切片。パネルa:小脳の冠状断面。小脳皮質は次の3層からなる:最外分子層(M)、プルキンエ細胞層(P)および顆粒細胞層(G)。白質(W)は小脳皮質の下に位置する。α−AMIは、この図では白質および顆粒細胞層の有髄繊維を染色した。プルキンエ細胞体(p)の周辺にバスケット細胞軸索が形成したバスケット状構造(矢印で示す)および分子層内の繊維も染色された。分子層においては、染色は分子層の内部に限られ、染色された繊維は主にプルキンエ細胞層に平行して走っている。パネルb:小脳の矢状断面。小脳の内側部では、白質(W)の染色に見られる構造は、数珠を模した構造である。スケールバーは25μmである。 脊髄白質の横断面図。パネルa:α−AMIによる染色、パネルb:α−CNPaseによる染色、そしてパネルc:α−NF−Mによる染色。断面図のはっきりとした丸い部分はミエリン鞘である。小さい点(矢印で示す)は、α−AMIおよびα−NF−Mではっきりと染色されたミエリン鞘の内部である。これらの点は、軸索の断面であると考えられる。これらの点はα−CNPaseでは染色されない。断面に平行に走る軸索路はα−NF−Mで染色されるが、α−AMIでは染色されない。スケールバーは50μmである。 腎臓の免疫組織染色。α−AMIによる染色(パネルa)およびα−NF−Mによる染色(パネルb)の両方によって、同じ小さい構造(矢印で示す)が腎臓で検出された。したがって、α−AMIによって染色されたのは腎臓の神経である。スケールバーは100μmである。 18日齢の胚の頭部の免疫組織染色。α−AMI染色によって、視神経(パネルa)や内包(パネルc)などの、発生途中の繊維路および脳神経が検出された。網膜においては、染色部(パネルa中に矢印で示す)は神経繊維層に存在する。神経繊維層は視神経を形成するガングリオン細胞軸索からなる。対照切片(パネルbおよびd)は、AMIP2で遮断したα−AMIで染色したものである。スケールバーは100μmである。 種々の発生段階のラットから得た粗脳抽出物を用いた、AMIGOのウェスタンブロット。同じ総重量の組織を各サンプルについて用いた。16日齢および18日齢の胚(E16およびE18)の脳、1、2、4、6、8、10および14日齢のラット(P1〜P14)の脳、そしてラット成体の脳を用いた。AMIGO−Ig融合タンパク質(AMIIg)を対照サンプルとして用いた。パネルaにおいては、ウェスタンブロットをα−AMIおよびα−CNPaseで検出した。α−AMIは約65kDaのタンパク質のバンドと、それよりも弱いタンパク質のバンド(約130kDa)を検出する。α−CNPaseは約48kDaのタンパク質のバンドを検出する。脳の発生の際のAMIGOの発現には2つの特徴がある。免疫ブロット法により、後期胚発生(E)と周生期発生における明確なAMIGOの発現が明らかとなった。AMIGOの発現は出生後(P)のP4期〜P10期の間は下向きに調節される。AMIGOの発現はP10期とP14期の間で再度上向きに調節され、成体の脳では高い発現が維持される。CNPase発現との比較から分かるように、上向きの調節はミエリン形成の開始と一致する。AMIGOの発現とCNPaseの発現は、出生後発生において平行に増加する。パネルbは、各サンプルに含まれるタンパク質の総量を比較するために、ウエスタンブロットをポンソー染色した結果である。 AMIGOとEGFRの共免疫沈降。EGFRを安定に発現する293細胞を、V5タグを付した以下のAMIGOでトランスフェクトした:全長AMIGO(レーン1)、AMIGOのEC領域を含む部分(レーン2)、全長AMIGO2(レーン3)および全長AMIGO3(レーン4)。共免疫沈降は抗EGFR抗体を用いて行い、検出は抗V5抗体を用いて行った。その結果、AMIGOとAMIGO2は両方ともEGFRに結合し、EC領域のみが結合には十分なことが判明した(AMIGOについてのみ示した)。 AMIGO、AMIGO2およびAMIGO3のホモフィリックな結合およびヘテロフィリックな結合。共免疫沈降は、抗V5タグ抗体を用いて行い、検出は抗GFPタグ抗体を用いて行った。レーン1〜5はGFPタグを付した全長AMIGOであり、レーン6〜9はGFPタグを付した全長AMIGO2であり、レーン10〜12はGFPタグを付した全長AMIGO3である。この実験では、V5タグを付した以下のタンパク質を使用した:レーン1は全長AMIGOであり、レーン2はAMIGOのEC領域であり、レーン3と6は全長AMIGO2であり、レーン7はAMIGO2のEC領域であり、レーン4、8と10は全長AMIGO3であり、レーン11はAMIGO3のEC領域であり、レーン5、9と12は全長RAGEである。図は、全長AMIGO−GFPは、全長AMIGO、全長AMIGO2と全長AMIGO3で共免疫沈降することができるが、全長RAGEでは共免疫沈降できないことを示す。全長AMIGO−GFPは、AMIGOのEC領域を含む部分のみで共免疫沈降することもできた。全長AMIGO2−GFPは、全長AMIGO2と全長AMIGO3のみならず、AMIGO2のEC領域を含む部分のみで共免疫沈降することもできた。全長AMIGO3−GFPは、全長AMIGO3とAMIGO3のEC領域を含む部分で共免疫沈降することができた。共免疫沈降の結果により、各AMIGOはヘテロフィリックに互いに結合し、さらにホモフィリックな結合特性も有することが明らかになった。 AMIGOはEGFRのリン酸化を阻害する。AMIGOおよびFlagタグを付したヒトEGFRを共にHEK293T細胞で発現させると、AMIGO2、AMIGO3および対照ベクターと比較して、AMIGOは、EGFの結合によって誘導されるEGFRの自己リン酸化を明らかに阻害する。
配列番号7〜12:
人工的な配列の説明: Ig−融合タンパク質

Claims (61)

  1. 配列番号2、4または6に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードするヌクレオチド配列を包含する、単離精製したAMIGO核酸。
  2. 配列番号1、3または5に記載のヌクレオチド配列を包含する、単離精製したAMIGO核酸。
  3. 配列番号1、3または5に記載のヌクレオチド配列、その相同体、またはそれらの断片を含む組換えヌクレオチド配列を包含する、単離精製した核酸。
  4. 発現制御配列に発現可能な状態に連結した請求項2の核酸を包含し、AMIGOポリペプチドまたはその変異体をコードしうる発現構築物。
  5. 請求項4の発現構築物で形質転換またはトランスフェクトした宿主細胞。
  6. ポリヌクレオチドで形質転換またはトランスフェクトした宿主細胞であって、該ポリヌクレオチドはヒト ヌクレオチド配列を含んだヌクレオチド鎖を含み、該ヒト ヌクレオチド配列は、配列番号1、3または5に記載の配列に相補的な非コード鎖を含むDNAと以下のハイブリダイゼーション条件下においてハイブリダイズすることを特徴とする、宿主細胞。
    (a)50%ホルムアミド、5×SSPE、5×デンハルト溶液、0.1%SDSおよび0.1mg/mlの変性サケ精子DNAを含む溶液中、42℃で20時間の条件下でフィルターのハイブリダイゼーションを行い、そして
    (b)該フィルターの洗浄を、1×SSCおよび0.1%SDSを含む洗浄液を用い、室温で30分間を2回、そして65℃で30分間を2回行う。
  7. 配列番号2、4または6に記載のアミノ酸配列を包含する、単離精製したAMIGOポリペプチド。
  8. 請求項5の宿主細胞であって、発現可能となるようにプロモーター配列と共にAMIGOポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを有し、該ポリペプチドをコードする核酸配列を発現する宿主細胞を培養し、そして
    該宿主細胞または該宿主細胞を培養した培地から該ポリペプチドを単離する
    ことを包含する、請求項7のAMIGOポリペプチドの製造方法。
  9. 請求項7の単離精製したAMIGOポリペプチドまたはその抗原性断片で哺乳類を免疫することを包含する、抗体の製造方法。
  10. 請求項7の単離精製したAMIGOポリペプチドまたはその抗原性断片を用いた抗原。
  11. 請求項9の方法で製造した抗体。
  12. 検出可能な標識で標識した、請求項11に記載の抗体。
  13. − 容器、および
    − 該容器に入っている、AMIGOまたはその対立遺伝子変異体を検出しうる化合物、好ましくは標識されている化合物
    を包含することを特徴とする、生物学的試料中のAMIGOまたはその対立遺伝子変異体の存在を検出するための、複数の試薬からなるキット。
  14. 該化合物がプライマーまたはプローブであることを特徴とする、請求項13に記載のキット。
  15. 該化合物が請求項11の抗体であることを特徴とする、請求項13に記載のキット。
  16. AMIGOの変異または機能不全が影響する病態に関する個体の疾病素質を評価するための、請求項13または14に記載のキット。
  17. 該キットを用いるための説明書をさらに包含する、請求項16に記載のキット。
  18. ヒトまたはマウスのAMIGO遺伝子をトランスジーンとして有する、トランスジェニックなヒト以外の動物。
  19. AMIGO遺伝子またはその相同体の発現を妨害するトランスジーンまたは挿入物を有する、トランスジェニックなヒト以外の動物。
  20. AMIGO核酸分子、AMIGOタンパク質、AMIGOペプチド断片、AMIGO融合タンパク質、AMIGO作用物質、AMIGO拮抗物質または抗AMIGO抗体を包含する医療用化合物。
  21. 薬学的に有効な量の請求項20の医療用化合物を、治療を必要とする患者に投与することを特徴とする、AMIGOに依存する病態の治療方法。
  22. 以下の工程を包含する、AMIGOに結合するリガンドを親和性精製する方法。
    (a)AMIGOに対する精製すべき受容体が支持体に固定化したAMIGO上に選択的に吸着される条件下で、該受容体の原料を固定化したAMIGOに接触させ、
    (b)固定化したAMIGOとその支持体を、吸着されていない物質を取り除くために洗浄し、そして
    (c)固定化したAMIGOに吸着している受容体分子を溶離緩衝液で溶離して、AMIGOに結合するリガンドを得る。
  23. 以下の工程を包含する、AMIGO受容体と他のAMIGO受容体との結合に対する制御物質を同定する方法。
    (a)制御物質と推定される化合物の存在下および不在下で、AMIGO受容体を含有するAMIGO受容体組成物を、該AMIGO受容体のリガンドとなる他のAMIGO受容体を含有するAMIGO組成物に接触させ、
    (b)制御物質と推定される化合物の存在下および不在下で、AMIGO受容体と他のAMIGO受容体との結合を検出し、そして
    (c)制御物質と推定される化合物の不在下における結合との比較によって確認することのできる、制御物質と推定される化合物の存在下におけるAMIGO受容体と他のAMIGO受容体との結合の増減を指標として、制御物質を同定する。
  24. 次の工程(d)をさらに包含する請求項23に記載の方法。
    (d)工程(c)において同定した制御物質を、薬学的に許容される担体と組み合わせて制御組成物を作製する。
  25. 次の工程(e)をさらに包含する請求項24に記載の方法。
    (e)AMIGO受容体を発現する細胞を有する動物に該制御組成物を投与し、動物における制御組成物の生理学的影響を判定する。
  26. 該AMIGO受容体組成物が、下記(a)、(b)および(c)からなる群より選ばれる1種を含有することを特徴とする、請求項23〜25のいずれかに記載の方法。
    (a)AMIGO受容体の、AMIGOに結合する細胞外ドメイン断片を包含する、精製したポリペプチド、
    (b)AMIGO受容体ポリペプチドを包むリン脂質膜、および
    (c)細胞表面のAMIGO受容体の発現量が増加するように組換え技術によって修飾した細胞。
  27. 該AMIGO受容体組成物が、固体支持体に固定されているAMIGO受容体細胞外ドメイン断片を含有することを特徴とする、請求項23〜25のいずれかに記載の方法。
  28. 該AMIGO受容体組成物が、免疫グロブリンのFc断片と融合したAMIGO受容体細胞外ドメイン断片を含有することを特徴とする、請求項23〜25のいずれかに記載の方法。
  29. 該AMIGO受容体が、哺乳類のAMIGO、AMIGO2およびAMIGO3からなる群より選ばれることを特徴とする、請求項23〜25のいずれかに記載の方法。
  30. 該AMIGO受容体がヒト由来であることを特徴とする、請求項23〜25のいずれかに記載の方法。
  31. 該AMIGO組成物が、下記(a)、(b)および(c)からなる群より選ばれる1種を含有することを特徴とする、請求項23〜30のいずれかに記載の方法。
    (a)該AMIGO受容体に結合するAMIGO断片を包含する、精製したポリペプチド、
    (b)AMIGOポリペプチドを包むリン脂質膜、および
    (c)細胞表面のAMIGOの発現量が増加するように組換え技術によって修飾した細胞。
  32. 該AMIGO組成物が、固体支持体に固定されているAMIGO細胞外ドメイン断片を含有することを特徴とする、請求項23〜30のいずれかに記載の方法。
  33. 該AMIGO組成物が、免疫グロブリンのFc断片と融合したAMIGO細胞外ドメイン断片を含有することを特徴とする、請求項23〜30のいずれかに記載の方法。
  34. 該AMIGOがヒト由来であることを特徴とする、請求項23〜33のいずれかに記載の方法。
  35. 該AMIGO受容体組成物が細胞表面のAMIGO受容体の発現量が増加するように組換え技術によって修飾した細胞を含有し、工程(b)はAMIGOの結合が誘導する細胞の生理学的変化の測定を含むことを特徴とする、請求項23〜25のいずれかに記載の方法。
  36. 該AMIGO組成物が細胞表面のAMIGOの発現量が増加するように組換え技術によって修飾した細胞を含有し、工程(b)はAMIGOの結合が誘導する細胞の生理学的変化の測定を含むことを特徴とする、請求項23〜25のいずれかに記載の方法。
  37. 以下の工程を包含する、AMIGOとEGFRとの結合に対する選択性を示す制御物質をスクリーニングするための方法。
    (a)AMIGO受容体とEGFR受容体との結合を制御する化合物の存在下および不在下で、AMIGO受容体を含有するAMIGO受容体組成物を、EGFR受容体を含有するEGFR受容体組成物に接触させ、
    (b)制御化合物の存在下および不在下で、AMIGO受容体組成物とEGFR受容体組成物との結合を検出し、そして
    (c)制御化合物の不在下における結合との比較によって確認することのできる、制御化合物の存在下におけるAMIGO受容体とEGFR受容体との結合の増減を指標として、選択性を示す制御化合物を同定するが、AMIGO−EGFR結合に対する該制御化合物の選択性の増加は、AMIGO−EGFR結合の他の結合との差異の減少と関連する。
  38. 以下の工程を包含する、哺乳類の生体における細胞の成長、遊走、軸索伸長、ミエリン形成、束形成または増殖を制御する方法。
    (a)AMIGO受容体およびEGFRからなる群より選ばれる少なくとも1種を発現する細胞を有する哺乳類の生体を同定し、そして
    (b)該哺乳類の生体においてAMIGOを発現する細胞の成長、遊走または増殖の制御に効果的な量の、以下の物質(i)〜(vi)からなる群より選ばれる1種を含有する組成物を該哺乳類の生体に投与する。
    (i) AMIGO受容体およびEGFRからなる群より選ばれる少なくとも1種に結合するAMIGO受容体を包含するポリペプチド、または該ポリペプチドをコードする核酸、
    (ii) AMIGOの断片を包含するポリペプチドまたは該ポリペプチドをコードする核酸であって、該ポリペプチドおよび該断片は共にAMIGOの有するAMIGO結合特性を保持する、
    (iii) 上記(i)または(ii)のポリペプチドに特異的に結合し、該ポリペプチドがAMIGO受容体およびEGFRからなる群より選ばれる少なくとも1種に結合するのを阻害する抗体、あるいは該抗体の、上記(i)または(ii)のポリペプチドに特異的に結合する断片、
    (iv) 抗原結合性である上記(iii)の抗体断片を包含するポリペプチドであって、上記(i)または(ii)のポリペプチドがAMIGO受容体およびEGFR受容体からなる群より選ばれる少なくとも1種に結合するのを阻害するポリペプチド、
    (v) AMIGOが該EGFR受容体に結合するのを阻害することなく、AMIGOが該AMIGO受容体に結合するのを選択的に阻害する分子、および
    (vi) AMIGO受容体およびEGFR受容体に選択的に結合する分子。
  39. 該哺乳類の生体がヒトであることを特徴とする、請求項38に記載の方法。
  40. 該細胞が神経系細胞を含むことを特徴とする、請求項38または39に記載の方法。
  41. 神経系細胞または神経突起の成長、遊走または増殖の異常を特徴とする疾病に該生体が罹患していることを特徴とする、請求項38〜40のいずれかに記載の方法。
  42. 該生体が神経系細胞に外傷を有することを特徴とする、請求項38〜41のいずれかに記載の方法。
  43. さらに以下の工程を包含することを特徴とする、請求項38に記載の方法。
    神経系細胞の成長、遊走、再生または増殖を制御するために第2の薬剤を生体に投与する工程であって、該薬剤は、上記物質(i)〜(vi)のいずれかのポリペプチドに特異的に結合する抗体、上記物質(i)〜(vi)のいずれかのポリペプチドに対する受容体に特異的に結合する抗体、および該抗体の抗原結合性断片を包含するポリペプチドからなる群より選ばれる1種である。
  44. 投与する組成物中のAMIGOが、AMIGOの細胞外断片がFcドメインに結合したAMIGO−Fcタンパク質であることを特徴とする、請求項38に記載の方法。
  45. 該AMIGO−Fcタンパク質が、ラットAMIGO−Fc融合タンパク質配列をヒトAMIGO配列およびヒトFc配列で実質的に置換したものであることを特徴とする、請求項44に記載の方法。
  46. 請求項38〜45のいずれかで定義したポリペプチドであって、AMIGO受容体を発現する細胞の成長、遊走、再生または増殖の異常を特徴とする疾病の治療剤の製造に用いるポリペプチド。
  47. 該細胞が、海馬細胞、大脳細胞、小脳細胞、外傷を受けた神経系細胞、グリア性瘢痕細胞、脊髄細胞、視神経細胞、網膜細胞、腎臓細胞、ならびに束形成、軸索誘導、軸索伸長またはミエリン形成の際に機能する細胞からなる群より選ばれる神経系細胞であることを特徴とする、請求項38〜45のいずれかに記載の方法。
  48. 以下の工程を包含する、哺乳類の生体における癌、腫瘍の増殖または癌転移を制御する方法。
    (a)AMIGO受容体およびEGFRからなる群より選ばれる少なくとも1種を発現する細胞を有する哺乳類の生体を同定し、そして
    (b)該哺乳類の生体において、癌の進行またはAMIGOを発現する細胞の転移を制御するのに効果的な量の、以下の物質(i)〜(vi)からなる群より選ばれる1種を含有する組成物を該哺乳類の生体に投与する。
    (i) AMIGO受容体およびEGFRからなる群より選ばれる少なくとも1種に結合するAMIGO受容体を包含するポリペプチド、または該ポリペプチドをコードする核酸、
    (ii) AMIGOの断片を包含するポリペプチドまたは該ポリペプチドをコードする核酸であって、該ポリペプチドおよび該断片は共にAMIGOの有するAMIGO結合特性を保持する、
    (iii) 上記(i)または(ii)のポリペプチドに特異的に結合し、該ポリペプチドがAMIGO受容体およびEGFRからなる群より選ばれる少なくとも1種に結合するのを阻害する抗体、あるいは該抗体の、上記(i)または(ii)のポリペプチドに特異的に結合する断片、
    (iv) 抗原結合性である上記(iii)の抗体断片を包含するポリペプチドであって、上記(i)または(ii)のポリペプチドがAMIGO受容体およびEGFR受容体からなる群より選ばれる少なくとも1種に結合するのを阻害するポリペプチド、
    (v) AMIGOが該EGFR受容体に結合するのを阻害することなく、AMIGOが該AMIGO受容体に結合するのを選択的に阻害する分子、および
    (vi) AMIGO受容体およびEGFR受容体に選択的に結合する分子。
  49. 該哺乳類の生体がヒトであることを特徴とする、請求項48に記載の方法。
  50. 該細胞が、グリオーマ、グリオブラストーマ、アストロサイトーマ、異型性アストロサイトーマ、脳室上衣腫、乏突起膠腫、髄芽細胞腫、髄膜腫、シュワン細胞腫、頭蓋咽頭腫、胚細胞腫瘍、松果体芽細胞腫、松果体細胞腫、胚細胞腫細胞、肺癌、乳癌、卵巣癌、結腸直腸癌、膀胱癌、膵臓癌、扁平上皮細胞癌または腎臓癌の細胞を含むことを特徴とする、請求項48または49に記載の方法。
  51. 癌または癌転移と診断される疾病に該生体が罹患していることを特徴とする、請求項48〜50のいずれかに記載の方法。
  52. 該疾病が脳腫瘍を含むことを特徴とする、請求項51に記載の方法。
  53. さらに以下の工程を包含することを特徴とする、請求項48に記載の方法。
    癌の進行または癌転移の進行を制御するために第2の薬剤を生体に投与する工程であって、該薬剤は、上記物質(i)〜(vi)のいずれかのポリペプチドに特異的に結合する抗体、上記物質(i)〜(vi)のいずれかのポリペプチドに対する受容体に特異的に結合する抗体、および該抗体の抗原結合性断片を包含するポリペプチドからなる群より選ばれる1種である。
  54. 投与する組成物中のAMIGOが、AMIGOの細胞外断片がFcドメインに結合したAMIGO−Fcタンパク質であることを特徴とする、請求項48に記載の方法。
  55. 該AMIGO−Fcタンパク質が、ラットAMIGO−Fc融合タンパク質配列をヒトAMIGO配列およびヒトFc配列で実質的に置換したものであることを特徴とする、請求項48に記載の方法。
  56. グリオーマ、グリオブラストーマ、アストロサイトーマ、異型性アストロサイトーマ、脳室上衣腫、乏突起膠腫、神経髄芽細胞腫、髄膜腫、シュワン細胞腫、頭蓋咽頭腫、胚細胞腫瘍である胚細胞腫、肺癌、乳癌、卵巣癌、結腸直腸癌、膀胱癌、膵臓癌、扁平上皮細胞癌および腎臓癌からなる群より選ばれる癌または癌細胞転移の進行を処置するための方法であって、治療を必要とする対象に請求項20の化合物を投与する工程を包含する方法。
  57. 海馬細胞、大脳細胞、小脳細胞、外傷を受けた神経系細胞、グリア性瘢痕細胞、脊髄細胞、視神経細胞、網膜細胞、腎臓細胞、ならびに束形成、軸索誘導、軸索伸長およびミエリン形成の際に機能する細胞からなる群より選ばれる神経系細胞を処置するための方法であって、治療を必要とする対象に請求項20の化合物を投与する工程を包含する方法。
  58. AMIGO受容体を発現する細胞の成長、遊走、再生または増殖の異常を特徴とする疾病用の治療剤を製造するための、AMIGO受容体に結合するAMIGOの断片を包含するポリペプチドまたは該ポリペプチドをコードする核酸。
  59. 細胞または組織をAMIGO化合物と接触させることを包含する、細胞または組織のヒト上皮成長因子受容体のリン酸化を制御する方法。
  60. 該AMIGO化合物が、配列番号1、3および5からなる群より選ばれるヌクレオチド配列によってコードされるAMIGOペプチドを包含することを特徴とする、請求項59に記載の方法。
  61. 該AMIGO化合物が、抗AMIGO抗体を包含することを特徴とする、請求項59に記載の方法。
JP2004560540A 2002-12-13 2003-12-12 膜貫通型タンパク質amigoおよびその用途 Pending JP2006525784A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US43301102P 2002-12-13 2002-12-13
PCT/FI2003/000949 WO2004055055A1 (en) 2002-12-13 2003-12-12 The transmembrane protein amigo and uses thereof

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006525784A true JP2006525784A (ja) 2006-11-16
JP2006525784A5 JP2006525784A5 (ja) 2006-12-28

Family

ID=32595102

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004560540A Pending JP2006525784A (ja) 2002-12-13 2003-12-12 膜貫通型タンパク質amigoおよびその用途

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20060241284A1 (ja)
EP (1) EP1578797A1 (ja)
JP (1) JP2006525784A (ja)
AU (1) AU2003285385A1 (ja)
WO (1) WO2004055055A1 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009110383A1 (ja) * 2008-03-04 2009-09-11 久光製薬株式会社 癌の治療薬のスクリーニング方法
KR101782634B1 (ko) 2015-06-29 2017-10-25 주식회사 큐라클 Amigo2와 3-포스포이노시티드-의존 키나아제 1의 결합 억제용 데코이 펩타이드
JP2018533966A (ja) * 2015-11-23 2018-11-22 サンガモ セラピューティクス, インコーポレイテッド 免疫を工学操作するための方法および組成物
JP7493487B2 (ja) 2015-11-23 2024-05-31 サンガモ セラピューティクス, インコーポレイテッド 免疫を工学操作するための方法および組成物

Families Citing this family (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20070128595A1 (en) * 2002-06-28 2007-06-07 Daniel Pereira Novel polynucleotide and polypeptide sequences and uses thereof
BRPI0514052A (pt) 2004-08-03 2008-05-27 Transtech Pharma Inc proteìnas de fusão rage e métodos de utilização
FI20060089A0 (fi) * 2006-01-30 2006-01-30 Heikki Matti Eemeli Rauvala Käyttäytymishäiriöiden hoito
US8211630B2 (en) 2006-04-18 2012-07-03 Perseus Proteomics Inc. Diagnostic agent and therapeutic agent for pancreatic cancer
CA2658265A1 (en) * 2006-07-20 2008-01-24 Novartis Ag Amigo-2 inhibitors for treating, diagnosing or detecting cancer
JP2011001267A (ja) * 2007-10-17 2011-01-06 Univ Of Tokyo 大腸癌治療薬
AU2010240569A1 (en) 2009-04-20 2011-10-20 Pfizer Inc. Control of protein glycosylation and compositions and methods relating thereto

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20040014173A1 (en) * 1999-05-14 2004-01-22 Anderson David W. Novel polynucleotides, polypeptides encoded thereby and methods of use thereof
JP2003524402A (ja) * 1999-05-14 2003-08-19 キュラジェン コーポレイション 新規のポリヌクレオチドおよびそれによりコードされるポリペプチド
US20040101882A1 (en) * 2001-03-06 2004-05-27 Henry Yue Secreted proteins
US20070128595A1 (en) * 2002-06-28 2007-06-07 Daniel Pereira Novel polynucleotide and polypeptide sequences and uses thereof

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2009110383A1 (ja) * 2008-03-04 2009-09-11 久光製薬株式会社 癌の治療薬のスクリーニング方法
KR101782634B1 (ko) 2015-06-29 2017-10-25 주식회사 큐라클 Amigo2와 3-포스포이노시티드-의존 키나아제 1의 결합 억제용 데코이 펩타이드
US10125183B2 (en) 2015-06-29 2018-11-13 Curacle Co., Ltd. Decoy peptides inhibiting binding of AMIGO2 and 3-phosphoinositide-dependent kinase 1
JP2018533966A (ja) * 2015-11-23 2018-11-22 サンガモ セラピューティクス, インコーポレイテッド 免疫を工学操作するための方法および組成物
JP2021166554A (ja) * 2015-11-23 2021-10-21 サンガモ セラピューティクス, インコーポレイテッド 免疫を工学操作するための方法および組成物
JP7493487B2 (ja) 2015-11-23 2024-05-31 サンガモ セラピューティクス, インコーポレイテッド 免疫を工学操作するための方法および組成物

Also Published As

Publication number Publication date
EP1578797A1 (en) 2005-09-28
US20060241284A1 (en) 2006-10-26
WO2004055055A1 (en) 2004-07-01
AU2003285385A1 (en) 2004-07-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
DK2081586T3 (en) RSPONDINES AS MODULATORS OF ANGIOGENESE AND VASCULOGENESES
JP5341311B2 (ja) Nogoレセプター結合タンパク質
JPH10509149A (ja) 感覚および運動ニューロンにより誘導される因子(smdf)
JP2002509734A (ja) 腫瘍形成におけるcxcr−4遺伝子の役割に基く治療的および診断的応用
JP2002112772A (ja) 新規ポリペプチドおよびそのdna
JP2006525784A (ja) 膜貫通型タンパク質amigoおよびその用途
US5753502A (en) Neuron-specific ICAM-4 promoter
JP5317318B2 (ja) 新規ポリペプチドおよびその用途
CZ330197A3 (cs) Růstové modulátory neuritů centrální nervové soustavy (CNS), farmaceutické prostředky je obsahující, buňky je exprimující, způsoby jejich použití, které vedou k modulaci, podpoře a zesílení nervového růstu v CNS, zlepšení paměti, zvýšení synaptické výkonnosti v CNS, a způsob testování schopnosti látky modulovat aktivitu nervové adhezní molekuly
US20080241168A1 (en) Transmembrane protein amigo and uses thereof
US20190352374A1 (en) Novel igfr_like 2 receptor and uses thereof
US7041801B1 (en) Antibodies binding to polypeptides encoded by developmentally-regulated endothelial cell locus-1
WO2004048565A1 (ja) アポトーシス関連蛋白質およびその用途
JP4488720B2 (ja) アポトーシス関連蛋白質およびその用途
US11999776B2 (en) IGFR-like 2 receptor and uses thereof
EP1308514A2 (en) ICAM-4 Materials and Methods
WO2003091434A1 (fr) Nouvelle proteine, et adn de cette proteine
KR20010012826A (ko) 신경교 세포주-유래 향신경성 인자 수용체
JP4175680B2 (ja) 新規タンパク質およびそのdna
JPWO2005061704A1 (ja) 癌の予防・治療剤
JP2002355057A (ja) Fgfタンパク質の製造方法
JP2004075569A (ja) Il20受容体およびil20の新規用途
YANAN Investigations on the tissue distribution, localization and functions of brain-enriched leucine-rich repeats (LRR) containing proteins AMIGO AND NgR2
JP2004173677A (ja) 新規タンパク質およびそのdna
JP2002357597A (ja) 疾患関連遺伝子の用途

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20061030

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061030

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090831

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100205